JP4896594B2 - ゴムクローラ - Google Patents
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Description
稲刈り後の圃場に大きな凹凸ができたままでは、その凹部に水が溜まって水はけが悪くなって、この部分がぬかるみやすくなったり、農作物の成長を妨げる原因になってしまう。このような大きな凹凸がある場合には、稲刈り後にトラクタ等により耕運しなおす必要もあり、手間がかかってしまう。
すなわち、本発明に係るゴムクローラは、無端帯状のクローラ本体の外周面に、前記クローラ本体の幅方向の一端部から他端部にわたって延び幅方向の長さが長い長ラグ部と、幅方向の長さが前記長ラグ部より短く前記幅方向の中心線に対して略対称の短ラグ部と、が周方向に交互に形成されており、前記長ラグ部および前記短ラグ部の幅方向の端部には、クローラ本体の外周面に対して所定の角度で傾斜する立面が設けられ、前記短ラグ部の立面の傾斜角度が70°以上、80°以下であり、前記長ラグ部の立面の傾斜角度が45°以上、60°以下であり、かつ前記短ラグ部の立面の傾斜角度および前記長ラグ部の立面の傾斜角度は、前記傾斜角度の範囲におけるそれぞれの下限値同士の組み合わせおよび上限値同士の組み合わせが回避されており、前記長ラグ部は、その頂面とその立面との間に傾斜面が形成された2段テーパーであって、当該頂面に対する前記傾斜面の角度が2°以上10°以下である。
図1、図2の第1実施形態において、本発明に係るゴムクローラ1は、例えば、コンバイン等の走行装置に装着されるものである。この走行装置は、例えば、トラックフレームにスプロケット、アイドラ、複数の転輪等を回転自在に設けたものであり、ゴムクローラ1は、この走行装置に巻き掛けられ、スプロケットによって駆動されて走行するようになっている。
このクローラ本体2の内部には、無端状の抗張体3が埋設されている。抗張体3は層状のものやスチールコード等、種々の形状・材質のものが使用される。クローラ本体2はその幅方向Xの中央域が厚肉部2bとされ、この厚肉部2bの幅方向Xの両側が薄肉部2cとなっており、抗張体3は厚肉部2b内に埋設されている。
クローラ本体2には、スプロケット係合用の複数の孔6が設けられている(以下、係合孔6という)。この係合孔6は、クローラ本体2の肉厚方向に貫通して形成されており、スプロケットの歯が順次嵌るようにクローラ本体2の周方向Yに一定の間隔をおいて形成されている。係合孔6は、クローラ本体2の幅方向Xの中心位置(この中心線を図中に符号Fで示す)に設けられている。
前記短ラグ8aは、クローラ本体2の幅方向Xに沿って直線状に形成されている。また、短ラグ8aは、長ラグ7aよりも幅方向Xの長さが短くされている。この短ラグ8aは、その幅方向Xの中心が、クローラ本体2の幅方向Xの中心に一致して設けられている。この短ラグ8aは、クローラ本体2の幅方向Xの中心(中心線F)に対して左右対称となっている。
図2に示すように、短ラグ8a(短ラグ部8)の幅方向Xの端部12の立面9bの傾斜角度θ2は、長ラグ7a(長ラグ部7)の幅方向Xの端部11の立面9aの傾斜角度θ1と異なっている。短ラグ8aの立面9bの傾斜角度θ2は、長ラグ7aの立面9aの傾斜角度θ1よりも大きくなっている。
図1、図2に示すように、幅方向Xにおいて、長ラグ7aの幅方向Xの端部11の立面9aとこの長ラグ7aの頂面10との間には、この頂面10に対して所定の角度で傾斜する傾斜面14が形成されている。この傾斜面14は、図1に示すように、平面視において長方形状とされている。この傾斜面14の周方向Yにおける長さは、長ラグ7aの頂面10の周方向Yにおける長さと等しくなっている。
すなわち、短ラグ8a(短ラグ部8)の幅方向Xの端部12の立面9bの傾斜角度θ2は、長ラグ7aの幅方向Xの端部11の立面9aの傾斜角度θ1よりも大きく、70°以上、80°以下とされており、このような形状の短ラグ8aは、土中に踏み込んだときのアンカー効果が大きく、直進時に左右方向(幅方向X)の踏ん張りが効くため、ゴムクローラは、横にずれにくくなり、直進安定性を維持(確保)できる。
長ラグ部7(長ラグ7a)は、クローラ本体2の幅方向Xの端部2d、2eまで形成されていることから、このゴムクローラ1が旋回したときに、その幅方向Xの端部11の立面9aが圃場の土を旋回方向に押しのけることになる。このとき、この長ラグ部7の幅方向Xの立面9aの傾斜角度θ1が上述した通り小さく形成されていることから、この立面9aに押しのけられる土の量は少なく、したがって旋回後の走行跡の凹凸を可及的に小さくできる。
図3の第2実施形態では、長ラグ部7の形状が第1実施形態と異なる。第1実施形態では、長ラグ部7には1つのラグ7aが形成されていたが、この第2実施形態では、長ラグ部7には、2つのラグ7b、7cが形成されている。
長ラグ部7の2つのラグ7b、7cの前記立面9aの傾斜角度θ1は、約45°以上、約60°以下とされていることが望ましい。また、短ラグ部8の立面9bの傾斜角度θ2は、第1実施形態と同様に約70°以上、約80°以下とされていることが望ましい。
図4の第3実施形態では、ラグの配置が第1実施形態と異なる。この第3実施形態では、クローラ本体2には、ラグが千鳥状に配置されている。クローラ本体2には、幅方向Xの一端部2d側に片寄って形成されたラグ(以下、第1ラグ16という)と、他端部2e側に片寄って形成されたラグ(以下、第2ラグ17という)とが周方向Yに交互に形成されている。第1ラグ16および第2ラグ17はクローラ本体2の幅方向Xに沿って直線状に形成されている。
第1ラグ16は、幅方向Xの一端部18がクローラ本体2の幅方向Xの一端部2dに一致して形成されている。第1ラグ16の他端部19は、クローラ本体2の幅方向Xの中心(中心線F)とクローラ本体2の幅方向Xの他端部2eとの間に位置している。第2ラグ17は、幅方向Xの一端部20がクローラ本体2の幅方向Xの他端部2eと一致して形成されている。また、第2ラグ17の他端部21は、クローラ本体2の幅方向Xの中心とこのゴムクローラ1の幅方向Xの一端部2dとの間に位置している。
第1ラグ16および第2ラグ17の短ラグ部分23の幅方向Xの端部(第1ラグ16の他端部19、第2ラグ17の他端部21に相当する部分)に形成された立面9bのクローラ本体2の外周面2aに対する傾斜角度θ2は、第1ラグ16および第2ラグ17の長ラグ部分22の幅方向Xの端部(第1ラグ16の一端部18、第2ラグ17の一端部20に相当する部分)に形成された立面9aのクローラ本体2の外周面2aに対する傾斜角度θ1よりも大きくなっている。前記長ラグ部分22の端部18、20の立面9aの傾斜角度θ1は、約45°以上、約60°以下とされていることが望ましい。また、前記短ラグ部分23の端部19、21の立面9bの傾斜角度θ2は、約70°以上、約80°以下とされていることが望ましい。
長ラグ部分22の幅方向Xの端部18、20は、それぞれクローラ本体2の幅方向Xの端部2d、2eに一致して形成されていることから、このゴムクローラ1が旋回したときに、この端部18、20の立面9aが圃場の土を旋回方向に押しのけることになる。このとき、この長ラグ部分22の立面9aの傾斜角度θ1が上述した通り小さく形成されていることから、この立面9aに押しのけられる土の量は少なく、したがって旋回後の走行跡の凹凸を可及的に小さくできる。
なお、第3実施形態のその他の構成は、第1実施形態とほぼ同様であり、両者が共通する部分には、共通符号を付している。
また、表1に実施例1〜4の走行試験結果(表1)により、長ラグ部7、長ラグ部分22の幅方向Xの端部11、18、20の立面9aの傾斜角度θ1が45°以上、60°以下とされ、短ラグ部8、短ラグ部分23の幅方向Xの端部12、19、21の立面9bの傾斜角度θ2が70°以上、80°以下の場合に直進性および旋回性が維持(確保)されることがわかった。
例えば、第2実施形態では、長ラグ部7に形成された2つのラグ7b、7cは幅方向の長さがほぼ等しくなっていたが、この長さが異なっていてもよい。また、第3実施形態では、第1ラグ16と第2ラグ17の幅方向Xの長さがほぼ等しくなっていたが、これらのラグ16、17の長さが異なっていてもよい。
2 クローラ本体
2a クローラ本体の外周面
2d クローラ本体の幅方向の一端部
2e クローラ本体の幅方向の他端部
7 長ラグ部
8 短ラグ部
9a 長ラグ部の幅方向の端部の立面
9b 短ラグ部の幅方向の端部の立面
11 長ラグ部の幅方向の端部
12 短ラグ部の幅方向の端部
14 傾斜面
16 ラグ
17 ラグ
18 長ラグ部分
19 短ラグ部分
θ1 長ラグ部の幅方向の端部の立面の傾斜角度
θ2 長ラグ部の幅方向の端部の立面の傾斜角度
X 幅方向
Y 周方向
Claims (3)
- 無端帯状のクローラ本体の外周面に、
前記クローラ本体の幅方向の一端部から他端部にわたって延び幅方向の長さが長い長ラグ部と、
幅方向の長さが前記長ラグ部より短く前記幅方向の中心線に対して略対称の短ラグ部と、が周方向に交互に形成されており、
前記長ラグ部および前記短ラグ部の幅方向の端部には、クローラ本体の外周面に対して所定の角度で傾斜する立面が設けられ、
前記短ラグ部の立面の傾斜角度が70°以上、80°以下であり、
前記長ラグ部の立面の傾斜角度が45°以上、60°以下であり、
かつ前記短ラグ部の立面の傾斜角度および前記長ラグ部の立面の傾斜角度は、前記傾斜角度の範囲におけるそれぞれの下限値同士の組み合わせおよび上限値同士の組み合わせが回避されており、
前記長ラグ部は、その頂面とその立面との間に傾斜面が形成された2段テーパーであって、当該頂面に対する前記傾斜面の角度が2°以上10°以下である
ことを特徴とするゴムクローラ。 - 無端帯状のクローラ本体の外周面に、
このクローラ本体の幅方向の一端部から幅方向の中心を越えて他端部に至る途中まで延びたラグと、
クローラ本体の幅方向の他端部から幅方向の中心を越えて前記一端部に至る途中まで延びたラグと、が周方向に交互に形成されており、
クローラ本体の幅方向の中心を境として、前記ラグにおける幅方向の長さの長い側を長ラグ部分および幅方向の長さの短い側を短ラグ部分としたとき、
前記長ラグ部分および前記短ラグ部分の幅方向の端部には、クローラ本体の外周面に対して所定の角度で傾斜する立面が設けられ、
前記短ラグ部分の立面の傾斜角度が70°以上、80°以下であり、
前記長ラグ部分の立面の傾斜角度が45°以上、60°以下であり、
かつ前記短ラグ部分の前記立面の傾斜角度および前記長ラグ部分の立面の傾斜角度は、前記傾斜角度の範囲におけるそれぞれの下限値同士の組み合わせおよび上限値同士の組み合わせが回避されており、
前記長ラグ部分は、その頂面とその立面との間に傾斜面が形成された2段テーパーであって、当該頂面に対する前記傾斜面の角度が2°以上10°以下である
ことを特徴とするゴムクローラ。 - 無端帯状のクローラ本体の外周面に、
前記クローラ本体の幅方向の一端部から他端部まで幅方向に沿って直線状にかつ幅方向の中心を挟んで前記一端部側と前記他端部側とに分かれた長ラグ部と、
幅方向の長さが前記クローラ本体の幅より短く前記幅方向の中心線に対して略対称の短ラグ部と、が周方向に交互に形成されており、
前記長ラグ部の幅方向外方側の両端部および前記短ラグ部の幅方向の両端部には、クローラ本体の外周面に対して所定の角度で傾斜する立面が設けられ、
前記短ラグ部の立面の傾斜角度が70°以上、80°以下であり、
前記長ラグ部の立面の傾斜角度が45°以上、60°以下であり、
かつ前記短ラグ部の立面の傾斜角度および前記長ラグ部の立面の傾斜角度は、前記傾斜角度の範囲におけるそれぞれの下限値同士の組み合わせおよび上限値同士の組み合わせが回避されており、
前記長ラグ部は、その頂面とその立面との間に傾斜面が形成された2段テーパーであって、当該頂面に対する前記傾斜面の角度が2°以上10°以下である
ことを特徴とするゴムクローラ。
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