JP4895944B2 - アンテナ装置 - Google Patents
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Description
この長波標準電波は、おおたかどや山標準電波送信所から40kHzの長波標準電波が東日本地域に送信されており、はがね山標準電波送信所から60kHzの長波標準電波が西日本地域に送信されている。この長波標準電波では、時、分、通算日、年、曜日等のタイムコードが送信されている。そこで、受信側では、受信したタイムコードを用いて標準時刻を確定することができ、これに基づいて時計の時刻を自動修正することができるようになる。
また、ケーブルを新たに敷設するのは設置工事が大がかりになって設置費用も高額になることから既設のケーブルを用いることができるように、既存のTV共聴システムを利用する伝送システムも提案されている。この伝送システムでは、マンション等の屋上に設置したアンテナで長波標準電波を受信し、TV共聴システムが扱っているVHF帯あるいはUHF帯で長波標準電波を伝送するようにする。この伝送帯域がVHF帯あるいはUHF帯とされた長波標準電波とTV信号とを合波して既存のケーブルに送出し、マンション等の各戸に分配する。各戸に分配された長波標準電波は各戸に設置されている輻射アンテナから再放射されて、電波時計等にて受信され時刻が自動修正される。
そこで、本発明は、小型の可搬型のアンテナ装置により長波標準電波を再放射することができると共に、電界放射パターンをほぼ無指向性とすることができるアンテナ装置を提供することを目的としている。
前記ループアンテナと前記バーアンテナとにより電界強度パターンがほぼ無指向性となると共に、前記ループアンテナが前記送信信号を正常に輻射している際に、前記発光ダイオードが点灯して正常に輻射していることを報知するようにされており、前記送信信号は長波標準電波とされ、2周波の長波標準電波の内のいずれかを選択して利用できるように、前記ループアンテナおよび前記バーアンテナは、共振周波数を切り替えられるように構成されていることを最も主要な特徴としている。
これらの図に示すアンテナ装置1は、磁界アンテナとして動作させる矩形状のループアンテナ10と、磁界アンテナとして動作させるバーアンテナ11とを備え、バーアンテナ11はループアンテナ10内に配置されている。ループアンテナ10は、例えば約112mm×約97mmの筐体10aの側周面に銅線を巻回したコイル部10bと、コイル部10bに直列に接続されたコンデンサとにより構成されている。このループアンテナ10の共振周波数は、再放射される長波標準電波の周波数とされ、ループアンテナ10には再放射される長波標準電波の送信信号が印加されている。後面が閉じられ前面が開口した筐体10aの前面には開口を塞ぐ蓋部を取り付けることができる。ループアンテナ10のインダクタンスは効率良い放射ができるように約0.2〜約0.8mHとされている。また、筐体10aの寸法は上記した寸法に限るものではなく上記寸法より筐体10aを大きくすれば放射範囲を広くすることができ、小さくすれば放射範囲が狭くなるので目的に応じた大きさを選択すればよい。
本発明にかかるアンテナ装置1において特徴的な構成は、図2に示すようにループアンテナ10が形成する磁力線の方向Xと直交する方向Yに対して、バーアンテナ11が形成する磁力線の方向Rがθだけ傾斜しているように、バーアンテナ11をループアンテナ10内に傾けて配置した構成である。このように、バーアンテナ11をθだけ傾けることにより、アンテナ装置1における磁界アンテナの放射特性においてヌル点が改善されて、電界放射パターンをほぼ無指向性とすることができる。
図4に示すJJY受信システム100は、コールサインがJJYとされた長波標準電波を受信するJJY受信アンテナ101と、JJY受信アンテナ101において受信された長波標準電波をCATVの周波数帯域である例えば70MHz帯で送信するよう変調するCATV変調器102と、CATV変調器102から送出されてCATVケーブル等の共聴設備105を介して伝播されてきたCATVの周波数帯域の長波標準電波を復調して元の長波標準電波に復調するCATV復調器103とを備えている。さらに、CATV復調器103において復調された長波標準電波は増幅され約1.2Vp−pとされて本発明にかかるアンテナ装置1のループアンテナ10に供給される。CATV復調器の出力インピーダンスは約2Ωとされており、直列共振とされているループアンテナ10から効率よく長波標準電波が再放射される。アンテナ装置1は長波標準電波が届きにくい部屋等の建物内に設置されており、アンテナ装置1から輻射された長波標準電波は電波時計等に内蔵されている受信アンテナ104により受信される。受信アンテナ101で受信された長波標準電波からタイムコードが復調されてタイムコードにより電波時計の時刻が自動修正される。
図5において本発明にかかるアンテナ装置1と受信アンテナ20とは約3m離隔して配置し、アンテナ装置1を360°回転させることにより電界強度パターンを受信アンテナ20により測定している。この場合、アンテナ装置1を構成している矩形状のループアンテナ10の寸法は約112mm×約96mmとされ、インダクタンスは約0.38mHとされている。バーアンテナ11の寸法は約φ10mm×約80mmとされ、インダクタンスは約0.6mHとされている。そして、バーアンテナ11のY軸方向からの傾きθを0°、約1°、約2°、約3°、約4°、約5°、約7°、約10°、約15°、約20°とした際の電界強度パターンを、バーアンテナ11を無くしたアンテナの場合と対比して図6ないし図14に示している。
また、図7を参照すると、ループアンテナ10内に配置されたバーアンテナ11のY軸方向からの傾きθを1°とすると、ヌル点の電界強度が最大電界強度より約16dBしか減衰しないように改善され、ほぼ無指向性となる電界強度パターンが得られることがわかる。
さらに、図8を参照すると、ループアンテナ10内に配置されたバーアンテナ11のY軸方向からの傾きθを2°とすると、ヌル点の電界強度が最大電界強度より約11dBしか減衰しないように改善され、ほぼ無指向性となる電界強度パターンが得られることがわかる。
さらにまた、図10を参照すると、ループアンテナ10内に配置されたバーアンテナ11のY軸方向からの傾きθを4°とすると、ヌル点の電界強度が最大電界強度より約7dBしか減衰しないように改善され、ほぼ無指向性となる電界強度パターンが得られることがわかる。ただし、電界強度パターンが全体的に左回りに若干回転してさらに傾くようになる。
さらにまた、図11を参照すると、ループアンテナ10内に配置されたバーアンテナ11のY軸方向からの傾きθを5°とすると、ヌル点の電界強度が最大電界強度より約7dBしか減衰しないように改善され、ほぼ無指向性となる電界強度パターンが得られることがわかる。ただし、電界強度パターンが全体的にさらに左回りに回転して約20°程度傾くようになる。
さらにまた、図13を参照すると、ループアンテナ10内に配置されたバーアンテナ11のY軸方向からの傾きθを10°とすると、ヌル点の電界強度が最大電界強度より約7dBしか減衰しないように改善され、ほぼ無指向性となる電界強度パターンが得られることがわかる。ただし、電界強度パターンが全体的にさらに左回りに回転して約45°程度傾くようになると共に、最大電界強度が若干減少する。
さらにまた、図14を参照すると、ループアンテナ10内に配置されたバーアンテナ11のY軸方向からの傾きθを15°とすると、ヌル点の電界強度が最大電界強度より約9dBしか減衰しないように改善され、ほぼ無指向性となる電界強度パターンが得られることがわかる。ただし、電界強度パターンが全体的にさらに左回りに回転して約70°程度傾くようになると共に、最大電界強度が約4dB減少する。
図6ないし図15の電界強度パターンを参照すると、ループアンテナ10では発生してしまうヌル点を、ループアンテナ10にほぼ直交するよう配置されたバーアンテナ11が補完していることがわかる。このように、バーアンテナ11のY軸方向からの傾きθを大きくしていくと最大電界強度が減少していくのは、傾きθを±10°以上傾けると、ループアンテナ10とバーアンテナ11との磁界結合が大きくなり、共振周波数がずれるようになって電界強度が低くなるものと考えられる。このことから、本発明にかかるアンテナ装置1においては、バーアンテナ11のY軸方向からの傾きθを約±1°〜約10°とするのが好適とされる。
24−20log10F dB
ただし、Fは、測定する電波の周波数(単位MHz)である。
そこで、長波標準電波の周波数を40kHzとして計算すると減ずる値が約−52dBとなり、60kHzとした場合は約−48.4dBとなる。従って、アンテナ装置1から3mの位置における最大電界強度のレベルは、40kHzの場合では約106dBμV/m以下とされ、60kHzの場合は約102.4dBμV/m以下とされる。この最大電界強度のレベルとなるようアンテナ装置1から輻射した場合は、電波時計等において必要な受信電界強度は約50dBμV/mとされることから、雑音・障害物がない環境においてはアンテナ装置1から約20mの範囲において受信することが可能となる。ただし、アンテナ装置1から3mの位置における電界強度のレベルが約95dBμV/mとして運用されることが現実的であって、この場合でも少なくともアンテナ装置1から約14mの範囲において受信可能な電界強度を得ることができる。
ここで、図17にアンテナ装置1と導電体壁30との距離Lをパラメータとした際の電界強度特性を、ループアンテナのみとしたアンテナと対比して図17に示す。図17を参照すると、距離Lが0.5cmないし9cmとした場合に、本発明のアンテナ装置1においては電界強度を1〜2dB程度改善できることが分かる。
1.CATV復調器から長波標準電波がアンテナ装置1に供給されている場合
2.ループアンテナ10の共振周波数が供給された長波標準電波の周波数である40kHzあるいは60kHzに共振している場合
3.壁等の妨害物の影響を受けていない場合
4.バーアンテナ11がループアンテナ10に供給された長波標準電波の周波数である40kHzあるいは60kHzに共振している場合
とされ、一方LEDが点灯しない場合としては、
1.共聴設備から長波標準電波がアンテナ装置1に供給されていない場合
2.ループアンテナ10が障害物の影響を受けた場合(共振周波数がずれてループアンテナ10に交流電流が流れなくなる。)
となる。このことから、アンテナ装置1を設置するにはLEDが点灯する障害物の影響を受けない位置に設置すればよく、設置場所を容易に設定できるようになる。
また、ループアンテナ10の寸法は一例であり、上記した例に限ることはない。さらに、ループアンテナ10およびバーアンテナ11のインダクタンスの値も一例を挙げているが、この値に限るものではない。
Claims (1)
- 再放射される送信信号が印加され、該送信信号に直列共振するようにコイル部とコンデンサとが直列に接続されたループアンテナと、
該ループアンテナにおける磁界方向と直交する方向に対して約1°ないし約10°傾斜する方向が磁界方向となるように該ループアンテナ内に配置され、前記送信信号に並列共振するようにコイル部とコンデンサとが並列に接続されたバーアンテナと、
前記バーアンテナの前記コイル部と前記コンデンサとに並列に接続された発光ダイオードと抵抗との直列回路を備え、
前記ループアンテナと前記バーアンテナとにより電界強度パターンがほぼ無指向性となると共に、前記ループアンテナが前記送信信号を正常に輻射している際に、前記発光ダイオードが点灯して正常に輻射していることを報知するようにされており、
前記送信信号は長波標準電波とされ、2周波の長波標準電波の内のいずれかを選択して利用できるように、前記ループアンテナおよび前記バーアンテナは、共振周波数を切り替えられるように構成されていることを特徴とするアンテナ装置。
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