本発明者等は、導電性シャフトの外周に直接導電性を有する被覆層を設けても上記問題が発生しない現像ローラについて種々検討を行った。
検討の結果、有機−無機ハイブリッド樹脂とカーボンブラックを有する導電性を有する被覆層を導電性シャフトの外周に設けた現像ローラは、多数枚プリントしても被覆層表面の動摩擦係数を特定範囲に調整するすることができ、且つ導電性シャフトと被覆層の接着性を良好に維持できることを見出した。
本発明の現像ローラが、上記問題を解決できた理由は、有機−無機ハイブリッド樹脂の種類とカーボンブラックの種類、その混合比を選び、有機−無機ハイブリッド樹脂中にカーボンブラックを均一に配合させた被覆層を形成することにより、被覆層の表面が摩耗しても好ましい範囲の動摩擦係数を継続して維持することができ、結果として、トナーの帯電量が安定化し、多数枚プリントしても高濃度のトナー画像が継続して得られ、トナー飛散の発生も防止できたものと推察している。
また、被覆層のはがれの問題を解決できた理由は、被覆層中の有機−無機ハイブリッド樹脂が導電性シャフトと強く接着するためと推察している。
次に、本発明の現像ローラについて説明する。
本発明の現像ローラは、以下の特性を満足することを特徴とする。
本発明の現像ローラは、導電性シャフトの外周に直接被覆層を形成したもので、被覆層が少なくとも有機−無機ハイブリッド樹脂とカーボンブラックを含有し、且つ被覆層表面の動摩擦係数μdの値を規定したものである。
現像ローラの構成
図1は、本発明の現像ローラの一例を示す断面概略図である。
図1において、25は現像ローラ、11は導電性シャフト、12は被覆層、13は下層、14上層を示す。
本発明の現像ローラは、図1(a)に示すようにシャフト11に直接被覆層12を設けたもの、図1(b)に示すようにシャフト11に下層13を設けその上に上層14を設けた多層構成の被覆層12のものでもよい。尚、下層層及び上層は各々複数層で形成されていても良い。
本発明で用いられる導電性シャフトの外径は、5〜30mmが好ましく、10〜20mmがより好ましい。
被覆層表面の動摩擦係数μdは、0.1〜1.0が好ましく、0.2〜0.8がより好ましい。
動摩擦係数を上記範囲にすることにより、非磁性1成分現像剤の搬送量が好ましい範囲となり、搬送中に非磁性1成分現像剤が被覆層表面を良好にころがり帯電量を一定の範囲にすることができる。
動摩擦係数は有機−無機ハイブリッド樹脂の組成(例えば、シラン骨格の量)、被覆層中の有機−無機ハイブリッド樹脂とカーボンブラックの割合、必要に応じ添加する非導電性充填剤の種類(粗さ付与粒子等)とその量等によりコントロールすることができる。
本発明における動摩擦係数μdとは、被覆層表面とサファイヤ針(針先端R0.1mm)との間の動摩擦を測定した値である。
本発明に係る動摩擦係数μdの測定は、以下の方法で測定して求めた値である。
測定機:表面性試験機 ドライボギア TYPE:18L(新東科学社製)
測定値:垂直荷重Fnが0.98Nのときの引っ掻き力Fpより動摩擦係数μdを算出する。
μd=Fp/Fn
測定は10回を行い、その平均値を動摩擦係数とする。
測定試料:実施例で作製したサンプル
測定環境:常温常湿(20℃、55%RH)
測定条件:垂直荷重0〜1.96N、移動速度100mm/min
本発明の現像ローラは、シャフトと被覆層の層間接着力が強いことを特徴としている。
シャフトと被覆層の層間接着力は、下記の方法で測定し評価する。
図2は、シャフトと被覆層の層間接着力の測定方法を説明するための模式図である。
現像ローラ25を、図2(a)に示すように、ローラ中央部の被覆層12に対し、その外周に沿って、破線Xで示される幅2.5cmの切り込みを入れ、さらに、上記被覆層12に対してシャフト11方向に切り込み(破線Y)を入れて、そこから被覆層12を少し剥がし、図2(b)に示すように、剥がされた被覆層12の端部を「オートグラフAGS(島津製作所社製)」のグリップ5でつまみ、垂直に引き上げて(矢印Z方向)、どの程度の力で引き上げたら被覆層が、シャフトから引きはがされ始めるか測定し層間接着力を評価する。
具体的には、被覆層を100mm/minの速度で引き上げていって、負荷容量20Nまで上げる過程で、負荷が増加しなくても被覆層を引き上げていける負荷値を求める。
次に、現像ローラを作製するのに用いる材料、作製方法について説明する。
《導電性シャフト》
本発明で用いられるシャフトの外径は、5〜30μmが好ましく、10〜20mmがより好ましい。また、シャフトは現像ローラ表面に蓄積される電荷をリークさせる部材も兼ねるため、体積固有抵抗が1×104Ω・cm以下の導電性材料で作製されたものが好ましい。代表的なものとして、ステンレス鋼(例えばSUS303)、鉄、アルミニウム、ニッケル、アルミニウム合金、ニッケル合金等の導電性金属を挙げることができる。具体的には、シャフトを軽量化するため中空のアルミニウム製スリーブ(肉厚は0.8〜2.0mm程度)の両端にフランジを装着したものが好ましい。なお、体積抵抗は公知の方法により測定することができる。
《被覆層》
本発明に係る導電性を有する被覆層は、樹脂成分と電子導電剤、必要に応じイオン導電剤、非導電性充填剤、架橋剤等の各種添加剤を適宜配合して得られる塗布液をシャフトの外周面に塗布しこれを乾燥し、所望の場合にはこれを加熱し硬化させて形成することができる。
尚、被覆層は、1×104〜1×1010Ω・cmの体積抵抗を有するものが好ましい。
〈樹脂成分〉
樹脂成分としては、有機−無機ハイブリッド樹脂を用いる。
有機−無機ハイブリッド樹脂としては、有機成分がポリウレタン骨格であり、無機成分がシラン骨格であるものが好ましい。
有機−無機ハイブリッド樹脂としては、例えばポリオールとイソシアネートと鎖伸長剤から得られ、且つエポキシ基と反応性を持つ官能基を有するポリウレタン樹脂(1)と、1分子中に1つの水酸基を持つエポキシ化合物(A)(以下、単にエポキシ化合物(A)と略す。)とアルコキシシラン部分縮合物(B)との脱アルコール反応によって得られるエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(2)とを反応させてなるアルコキシ基含有シラン変性ポリウレタン樹脂を用いることができるがこれに限定されるものではない。
当該ポリオールとしては、特に限定されず、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオールなど各種公知のものが挙げられる。当該ポリオールは分子末端に水酸基を持つことが望ましい。当該ポリオールは硬化物の力学物性を考慮すると、好ましくは1000〜6000の範囲内とするのがよい。また、最終的に得られるポリウレタン−シリカハイブリッド体の高温耐久性などの諸耐性の点から、上記高分子ポリオールのうちでもポリエステルポリオール及び/またはポリカーボネートポリオールが特に好適である。
当該ポリエステルポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチンジオール、ジプロピレングリコール等の飽和もしくは不飽和の各種公知の低分子グリコール類またはn−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル類、バーサティック酸グリシジルエステル等のモノカルボン酸グリシジルエステル類と、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸等の二塩基酸またはこれらに対応する酸無水物やダイマー酸、ひまし油及びその脂肪酸などとを脱水縮合せしめて得られるポリエステルポリオール類、或いは環状エステル化合物を開環重合して得られるポリエステルポリオール類などが挙げられる。尚、低分子グリコールと二塩基酸とから得られる高分子ポリオールの場合には、該グリコール類のうち5モル%までは以下
の各種ポリオールに置換することができる。例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ソルビトール、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
また、ポリカーボネートポリオールとしては、一般に多価アルコールとジメチルカーボネートの脱メタノール縮合反応、多価アルコールとジフェニルカーボネートの脱ウレタン縮合反応または多価アルコールとエチレンカーボネートの脱エチレングリコール縮合反応など公知の反応で得られる。これら反応で使用される多価アルコールとしては1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチンジオール、ジプロピレングリコール等の飽和もしくは不飽和の各種公知の低分子グリコール類、1,4−シクロヘキサンジグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコールなどが挙げられる。
またポリエーテルポリオールとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフランなどを開環重合して得られるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコールなどが掲げられる。
また、ポリオレフィンポリオ−ルとしては、末端に水酸基を持つポリブタジエンポリオールやポリイソプレンポリオール、或いはそれらを水添したものなどが挙げられる。
ポリウレタン樹脂(1)の構成成分であるジイソシアネート化合物としては芳香族、脂肪族または脂環族の各種公知のジイソシアネート類を使用することができる。
例えば、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4′−ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネートやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等がその代表例として挙げられる。
また、ポリウレタン樹脂(1)に使用する鎖伸長剤としては、例えば前記ポリエステルポリオールの項で述べた低分子グリコール類やジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸など分子内にカルボキシル基を持つグリコール類、またエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジアミン、ダイマー酸のカルボキシル基をアミノ基に転化したダイマージアミン等のポリアミン類、L−リジン、L−アルギニンなど分子内にカルボキシル基を持つポリアミン類、が挙げられる。
また、ポリウレタン樹脂には、分子量を調節するために重合停止剤を使用することもできる。重合停止剤としては、例えば、ジ−n−ブチルアミン、n−ブチルアミン等のア
ルキルモノアミン類や、D−アラニン、D−グルタミン酸など分子内にカルボキシル基を持つモノアミン類、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、グリコール酸など分子内にカルボキシル基を持つアルコール類が挙げられる。
ポリウレタン樹脂(1)を製造する方法としては、
(a)高分子ポリオールとジイソシアネート化合物ならびに、鎖伸長剤と重合停止剤の少なくとも一方を、適当な溶媒中で一度に反応させる一段法、
(b)高分子ポリオールとジイソシアネート化合物とをイソシアネート基過剰の条件で反応させ、高分子ポリオールの末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを調製し、次いでこれを適当な溶媒中で鎖伸長剤及び必要に応じて、重合停止剤と反応させる二段法、等が挙げられる。このうち、均一なポリマー溶液を得るには二段法が好ましい。これらの製造法において、使用される溶剤としては通常、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、その他ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノンなどの溶剤を単独または混合して使用できる。
ポリウレタン樹脂(1)におけるエポキシ基と反応性を有する官能基は、ポリウレタン樹脂(1)の末端、主鎖のいずれに存在していてもよい。かかるエポキシ基反応性官能基としては、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基などの酸性基、アミノ基、水酸基、メルカプト基などが挙げられるが、通常はエポキシ基との反応性や、官能基付与容易性の点から酸性基、アミノ基が好ましい。ポリウレタン樹脂(1)に酸性基を付与する方法に限定はないが、例えば前記の鎖伸長剤や重合停止剤のうちで、カルボキシル基を持つものを用いれば容易にカルボキシル基を付与できる。
また、ポリウレタン樹脂(1)にアミノ基を付与する方法に限定はないが、例えばプレポリマーの末端イソシアネート基に対し、アミノ基が過剰になるようポリアミン類を反応させればよい。ポリウレタン樹脂(1)におけるエポキシ基反応性官能基の量は特に制限されないが、通常は0.1〜20KOHmg/gであることが好ましい。0.1KOHmg/g未満になると得られるポリウレタン樹脂−シリカハイブリッド体の柔軟性や耐熱性が低下し、また20KOHmg/gを超えるとポリウレタン樹脂−シリカハイブリッド体の耐水性が低下する傾向がある。
次に、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(2)は、前記のように、エポキシ化合物(A)とアルコキシシラン部分縮合物(B)との脱アルコール反応によって得られるものである。
かかるエポキシ化合物(A)としては、1分子中に水酸基を1つもつエポキシ化合物であれば、エポキシ基の数は特に限定されない。また、エポキシ化合物(A)としては、分子量が小さいもの程、アルコキシシラン部分縮合物(B)に対する相溶性がよく、耐熱性や密着性付与効果が高いことから、炭素数が15以下のものが好適である。その具体例としては、エピクロロヒドリンと、水、2価アルコールまたはフェノール類とを反応させて得られる分子末端に1つの水酸基を有するモノグリシジルエーテル類;エピクロロヒドリンとグリセリンやペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールとを反応させて得られる分子末端に1つの水酸基を有するポリグリシジルエーテル類;エピクロロヒドリンとアミノモノアルコールとを反応させて得られる分子末端に1つの水酸基を有するエポキシ化合物;分子中に1つの水酸基を有する脂環式炭化水素モノエポキシド(例えば、エポキシ化テトラヒドロベンジルアルコール)などが例示できる。これらのエポキシ化合物の中でも、グリシドールが耐熱性付与効果の点で最も優れており、またアルコキシシラン部分縮合物(2)との反応性も高いため、最適である。
また、アルコキシシラン部分縮合物(B)としては、下記一般式(a)で表される加水分解性アルコキシシランモノマーを酸またはアルカリ水の存在下で加水分解し、部分的に縮合させて得られるものが用いられる。
一般式(a):R1pSi(OR2)4-p
(式中、pは0または1を示す。R1は、炭素原子に直結した官能基を持っていてもよい低級アルキル基、アリール基または不飽和脂肪族残基を示す。R2はメチル基またはエチル基を示し、R2同士はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
このような加水分解性アルコキシシランモノマーの具体的としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、等のテトラアルコキシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類、が挙げられる。尚、これらアルコキシシラン部分縮合物(B)としては、前記例示のものを特に制限なく使用できるが、これら例示物のうちの2種以上を混合使用する場合には、テトラメトキシシランを、アルコキシシラン部分縮合物(B)を構成する全てのアルコキシシランモノマー中70モル%以上用いて合成されたものが好ましい。
アルコキシシラン部分縮合物(B)は、例えば次の一般式(b)または(c)で示される。
(式中、R1は、炭素原子に直結した官能基を持っていてもよい低級アルキル基、アリール基または不飽和脂肪族残基を示す。R2はメチル基またはエチル基を示し、R2同士はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
(一般式(c)中のR2は、一般式(b)中のR2と同じ。)
尚、一般式(b)または(c)で示される構造部分が代表的なシラン骨格ということができる。
本発明では、有機−無機ハイブリッド樹脂に加え、前記その他の樹脂としては、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール変性・シリコーン変性等の変性アルキッド樹脂、オイルフリーアルキッド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ウレタン樹脂等を混合して用いることができる。
〈電子導電剤〉
電子導電剤としては、カーボンブラックを用いる。
本発明で用いられるカーボンブラックは、導電性を有するもで、有機−無機ハイブリッド樹脂中に良好に分散するものが好ましい。具体的にはファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等を挙げることができる。
カーボンブラックの体積固有抵抗は、1×10-4〜1×104Ω・cmのものが好ましい。また、カーボンブラックの数平均一次粒径は、10〜100nmのものが好ましい。上記特性を有するカーボンブラックを用いることにより、好ましい範囲の導電性と良好な分散特性を得ることができる。なお、体積固有抵抗および数平均一次粒径は公知の方法で測定することができる。
カーボンブラックは、被覆層中に2〜50質量部含有させることが好ましく、5〜30質量部がより好ましい。
〈イオン導電剤〉
イオン導電剤としては、従来から無機イオン塩や有機イオン塩として公知のものが、何れも適宜に選択使用できる。具体的には、Li、LiCl、NaI、NaBr、KI等のアルカリ金属ハライド、LiClO4、KClO4、CuC12Mg(ClO4)2等の過塩素酸塩、LiSCN、NaSCN、CsSCN等のチオシアン酸塩等のごとき無機イオン塩や、脂肪族スルホン酸塩、高級あるオール硫酸エステル塩、高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加リン酸エステル塩、4級アンモニウム塩、ベタイン等の有機イオン塩を挙げることができる。これらの中で特に好ましいものとして、トリメチルオクタデシルアンモニウムパークロレート、テトラメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を挙げることができる。このイオン導電剤は、1種類で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
イオン導電剤の配合量は、特に制限はなく各種状況に応じて適宜選定されるが、被覆層を形成する樹脂成分100質量部に対し0.001〜5質量部が好ましく、0.05〜2質量部がより好ましい。
これにより、上記の抵抗領域で、電気抵抗の位置ばらつきが少なく、且つ電気抵抗の電圧依存性が少ない上、温湿度の環境変化に対する電気抵抗の変動が少ない導電性を有する被覆層が得られる。
《現像ローラの作製》
被覆層をシャフトの外周面に形成する手段としては、上記構成材料を有機溶剤に溶解、分散等された塗布液をシャフト上に塗布する方法が有効に採用される。この塗布液の樹脂成分濃度は特に制限はなく、必要とする層厚に応じ、適宜調整すればよいが、塗布液における各種添加剤の分散性や安定性から、樹脂成分濃度は10質量%以上であることが好ましい。塗布液を調製するために用いる溶剤は、上記樹脂成分を溶解することができるものであれば何れのものでもよく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール、メチルエチルケトンなどのケトン類、シクロヘキサン、トルエン、キシレンなどが好ましく用いられる。
被覆層の形成方法としては、例えば被覆層を構成する樹脂成分の粘度などに応じて、ディッピング、スプレー、ロールコート又は刷毛塗りなどが挙げられるが、本発明はこの形成方法を特に限定するものではない。
被覆層の膜厚は、5〜25μmが好ましく、8〜22μmがより好ましい。被覆層の膜厚は、現像ローラより被覆層を含む断面試料を採取し、断面試料の顕微鏡写真より測定される。
次に、本発明に係る現像ローラを用いて行う画像形成に使用可能な非磁性1成分現像剤(以下単に、トナーともいう)について説明する。本発明に係る現像ローラを用いた画像形成に使用可能なトナーは、粉砕・分級工程を経て製造されるいわゆる粉砕トナー、また、樹脂粒子を作製する重合工程から直接作製されるいわゆる重合トナーのいずれを使用することが可能である。この中でも、特に、重合トナーは作製工程中でトナー粒径や形状を制御しながら作製することができるので、形状の揃った小粒径のトナーを作製する上で都合がよいものである。
形状の揃った小粒径のトナーを用いることにより、デジタルの画像形成で求められる様な高解像で高精細な画像形成が行い易く、例えば、高階調のピクトリアルフルカラー画像形成に特に好ましいものである。そして、本発明に係る現像ローラと組み合わせることにより、高精細なフルカラー画像形成を安定して作成することができるものと期待される。
一方、重合トナーには、その製造工程において粒子を凝集させてトナー粒子を形成する乳化会合型のトナーも含まれるが、作製されたトナー粒子表面に凝集工程で使用された凝集剤が微量ながら残存することも考えられる。この様な残存物が現像ローラ表面に付着することにより、現像ローラ表面における残留電荷への影響が懸念されていた。
しかしながら、本発明に係る現像ローラでは、重合トナーを用いて画像形成を繰り返し行っても、現像ローラ表面における残留電荷上昇は起こらず、良好な画像形成が行えることが後述する実施例の結果からも確認された。
以下、本発明に係る現像ローラを用いた画像形成に使用可能な一例である重合トナーを構成する要素について説明する。
(単量体)
重合性単量体としては、ラジカル重合性単量体を必須の構成成分とし、必要に応じて架橋剤を使用することができる。また、以下の酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体を少なくとも1種類含有させることが好ましい。
(1)ラジカル重合性単量体
ラジカル重合性単量体成分としては、特に限定されるものではなく従来公知のラジカル重合性単量体を用いることができる。また、要求される特性を満たすように、1種または2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
具体的には、芳香族系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体等を用いることができる。
芳香族系ビニル単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン等のスチレン系単量体およびその誘導体が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。
ビニルエーテル系単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。
モノオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
ジオレフィン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
(2)架橋剤
架橋剤としては、トナーの特性を改良するためにラジカル重合性架橋剤を添加しても良い。ラジカル重合性架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものが挙げられる。
(3)酸性基または塩基性基を有するラジカル重合性単量体
酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、例えば、カルボキシル基含有単量体、スルホン酸基含有単量体、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等のアミン系の化合物を用いることができる。
酸性基を有するラジカル重合性単量体としては、カルボン酸基含有単量体として、アクリル酸、メタクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル等が挙げられる。
スルホン酸基含有単量体としては、スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、アリルスルホコハク酸オクチル等が挙げられる。
これらは、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩あるいはカルシウムなどのアルカリ土類金属塩の構造であってもよい。
塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、アミン系の化合物があげられ、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、および上記4化合物の4級アンモニウム塩、3−ジメチルアミノフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩、アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド;ビニルピリジン、ビニルピロリドン;ビニル−N−メチルピリジニウムクロリド、ビニル−N−エチルピリジニウムクロリド、N,N−ジアリルメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジアリルエチルアンモニウムクロリド等を挙げることができる。
ラジカル重合性単量体としては、酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体を単量体全体の0.1〜15質量%使用することが好ましく、ラジカル重合性架橋剤はその特性にもよるが、全ラジカル重合性単量体に対して0.1〜10質量%の範囲で使用することが好ましい。
(連鎖移動剤)
分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることが可能である。
連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく例えばオクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル、四臭化炭素およびスチレンダイマー等が使用される。
(重合開始剤)
ラジカル重合開始剤は水溶性であれば適宜使用が可能である。例えば過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。
更に上記ラジカル性重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせレドックス系開始剤とすることが可能である。レドックス系開始剤を用いることで、重合活性が上昇し重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が期待できる。
重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度以上であればどの温度を選択しても良いが、例えば50℃から90℃の範囲が用いられる。但し、常温開始の重合開始剤、例えば過酸化水素−還元剤(アスコルビン酸等)の組み合わせを用いることで、室温またはそれよりやや高い温度で重合することも可能である。
(界面活性剤)
前述のラジカル重合性単量体を使用して重合を行うためには、界面活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行う必要がある。この際に使用することのできる界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適なものの例として挙げることができる。
イオン性界面活性剤としては、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
また、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等が挙げられる。これらは、主に乳化重合時の乳化剤として使用されるが、他の工程または使用目的で使用してもよい。
(着色剤)
着色剤としては無機顔料、有機顔料、染料を挙げることができる。
無機顔料としては、従来公知のものを用いることができる。具体的な無機顔料を以下に例示する。
黒色の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
これらの無機顔料は所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
有機顔料及び染料としても従来公知のものを用いることができる。具体的な有機顔料及び染料を以下に例示する。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156、等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
また、染料としてはC.I.ソルベントレッド1、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド52、C.I.ソルベントレッド58、C.I.ソルベントレッド63、C.I.ソルベントレッド111、C.I.ソルベントレッド122、C.I.ソルベントイエロー19、C.I.ソルベントイエロー44、C.I.ソルベントイエロー77、C.I.ソルベントイエロー79、C.I.ソルベントイエロー81、C.I.ソルベントイエロー82、C.I.ソルベントイエロー93、C.I.ソルベントイエロー98、C.I.ソルベントイエロー103、C.I.ソルベントイエロー104、C.I.ソルベントイエロー112、C.I.ソルベントイエロー162、C.I.ソルベントブルー25、C.I.ソルベントブルー36、C.I.ソルベントブルー60、C.I.ソルベントブルー70、C.I.ソルベントブルー93、C.I.ソルベントブルー95等を用いることができ、またこれらの混合物も用いることができる。
これらの有機顔料及び染料は所望に応じて単独または複数を選択併用することが可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
(ワックス)
重合トナーではトナー粒子中にワックスを含有させてもよい。ワックス自体の構造や組成としては特に限定はない。ポリプロピレン、ポリエチレンなどの低分子量ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、エステルワックス等を使用することができる。
添加量は、トナー全体に対し1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは3〜15質量%である。
本発明に係る現像ローラを用いた画像形成に使用可能なトナーとして、単量体中にワックスを溶解させたものを水中に分散して重合させ、樹脂粒子中にワックスを内包させた粒子を形成し、これを着色剤粒子とともに塩析/融着させることでトナーとすることが好ましい。
(トナーの製造方法)
本発明のトナーは、ワックスを溶解した単量体溶液を水系媒体中に分散し、ついで重合法により離型剤を内包した樹脂粒子を調製する工程、前記樹脂粒子分散液を用いて水系媒体中で樹脂粒子を融着させる工程、得られた粒子を水系媒体中より濾過し界面活性剤などを除去する洗浄工程、得られた粒子を乾燥させる工程、さらに乾燥させて得られた粒子に外添剤などを添加する外添剤添加工程などから構成される重合法で製造することが好ましい。ここで樹脂粒子としては着色された粒子であってもよい。また、非着色粒子を樹脂粒子として使用することもできる、この場合には、樹脂粒子の分散液に着色剤粒子分散液などを添加した後に水系媒体中で融着させる等により着色粒子とする。
特に、融着の方法としては、重合工程によって生成された樹脂粒子を用いて塩析/融着する方法が好ましい。また、非着色の樹脂粒子を使用した場合には、樹脂粒子と着色剤粒子を水系媒体中で塩析/融着させることができる。
また、着色剤や離型剤に限らず、トナーの構成要素である荷電制御剤等も本工程で粒子として添加することができる。
なお、ここで水系媒体とは主成分として水からなるもので、水の含有量が50質量%以上であるものを示す。水以外のものとしては、水に溶解する有機溶媒を挙げることができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等をあげることができる。
本発明での好ましい重合法としては、単量体中に離型剤を溶解した単量体溶液を臨界ミセル濃度以下の界面活性剤を溶解させた水系媒体中に機械的エネルギーによって油滴分散させた分散液に、水溶性重合開始剤を加え、ラジカル重合させる方法をあげることができる。この場合、単量体中に油溶性の重合開始剤を加えて使用してもよい。
この油滴分散を行うための分散機としては特に限定されるものでは無いが、例えばクレアミックス、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等をあげることができる。
前記した如く、着色剤自体は表面改質して使用してもよい。着色剤の表面改質法は、溶媒中に着色剤を分散し、その中に表面改質剤を添加した後昇温し反応を行う。反応終了後、濾過し同一の溶媒で洗浄濾過を繰り返し乾燥させ表面改質剤で処理された顔料を得る。
着色剤粒子は着色剤を水系媒体中に分散して調製される方法がある。この分散は、水中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われる。
顔料分散時の分散機は特に限定されないが、好ましくはクレアミックス、超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。
ここで使用される界面活性剤は、前述の界面活性剤を使用することができる。
塩析/融着を行う工程は、樹脂粒子及び着色剤粒子とが存在している水中にアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等からなる塩析剤を臨界凝集濃度以上の凝集剤として添加し、ついで樹脂粒子のガラス転移点以上に加熱することで塩析を進行させると同時に融着を行う工程である。
ここで、塩析剤であるアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩は、アルカリ金属として、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属として、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられ、好ましくはカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが挙げられる。また塩を構成するものとしては、塩素塩、臭素塩、沃素塩、炭酸塩、硫酸塩等が挙げられる。
(その他の添加剤)
トナーは、樹脂、着色剤、離型剤以外にトナー用材料として種々の機能を付与することのできる材料を加えてもよい。具体的には荷電制御剤等が挙げられる。これらの成分は前述の塩析/融着段階で樹脂粒子と着色剤粒子と同時に添加し、トナー中に包含する方法、樹脂粒子自体に添加する方法等種々の方法で添加することができる。
荷電制御剤も同様に種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
(外添剤)
本発明のトナーには、流動性、帯電性の改良およびクリーニング性の向上などの目的で、いわゆる外添剤を添加して使用することができる。これら外添剤としては特に限定されるものでは無く、種々の無機微粒子、有機微粒子及び滑剤を使用することができる。なお、通常、これらの外添剤を加える前の粒子を着色粒子、添加後のものをトナー又はトナー粒子ということが多い。しかし、いずれもトナー又はトナー粒子ということもある。
無機微粒子としては、従来公知のものを使用することができる。具体的には、数平均一次粒子径で5〜500nmのシリカ、チタン、アルミナ微粒子等が好ましく用いることができる。これら無機微粒子としては疎水性のものが好ましい。
具体的には、シリカ微粒子として、例えば日本アエロジル社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト社製のHVK−2150、H−200、キャボット社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等が挙げられる。
チタン微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品T−805、T−604、テイカ社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。
アルミナ微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等が挙げられる。
また、有機微粒子としては数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することができる。このものとしては、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体を使用することができる。
滑剤には、例えばステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
これら外添剤の添加量は、トナーに対して0.1〜5質量%が好ましい。
外添剤の添加方法としては、タービュラーミキサー、ヘンシエルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を使用することができる。
本発明おいては、高品質のトナー画像を得るという観点から重合法で作製した体積基準におけるメディアン径(D50)径が3〜9μmのものが好ましい。
次に、本発明に係る現像装置、フルカラー画像形成装置について説明する。
図3は、本発明に係る現像装置の一例を示す断面概略図である。
図3に示す現像装置20は、現像ローラ25に隣接してバッファ室26を、バッファ室26に隣接してホッパ27等を有する。
バッファ室26にはトナー規制部材である規制ブレード28が現像ローラ25に圧接させた状態で配置されている。規制ブレード28は、現像ローラ25上のトナーの帯電量及び付着量を規制するものである。また、現像ローラ25の回転方向に対して規制ブレード28の下流側に、現像ローラ25上のトナー帯電量・付着量の規制を補助するための補助ブレード29を更に設けることも可能である。
現像ローラ25には供給ローラ30が押圧されている。供給ローラ30は、図示しないモータにより現像ローラ25と同一方向(図中反時計回り方向)に回転駆動する。供給ローラ30は、導電性の円柱基体と基体の外周にウレタンフォームなどで形成された発泡層を有する。
ホッパ27には非磁性1成分現像剤であるトナーTが収容されている。また、ホッパ27にはトナーTを撹拌する回転体31が設けられている。回転体31には、フィルム状の搬送羽根が取付けられており、回転体31の矢印方向への回転によりトナーTを搬送する。搬送羽根により搬送されたトナーTは、ホッパ27とバッファ室26を隔てる隔壁に設けられた通路28を介してバッファ室26に供給される。尚、搬送羽根の形状は、回転体31の回転に伴い羽根の回転方向前方でトナーTを搬送しながら撓むとともに、通路32の左側端部に到達すると真っ直ぐの状態に戻るようになっている。このように羽根はその形状を湾曲状態を経て真っ直ぐに戻るようにすることでトナーTを通路32に供給している。
また、通路32には通路32を閉鎖する弁321が設けられている。この弁はフィルム状の部材で、一端が隔壁の通路32右側面上側に固定され、トナーTがホッパ27から通路28に供給されると、トナーTからの押圧力により右側に押されて通路32を開けるようになっている。その結果、バッファ室26内にトナーTが供給される。
また、弁321の他端には規制部材322が取付けられている。規制部材322と供給ローラ30は、弁321が通路32を閉鎖した状態でも僅かな隙間を形成する様に配置される。規制部材322は、バッファ室26の底部に溜まるトナー量が過度にならないように調整するもので、現像ローラ25から供給ローラ30に回収されたトナーTがバッファ室26の底部に多量に落下しないように調整される。
現像装置20では、画像形成時に現像ローラ25が矢印方向に回転駆動するとともに供給ローラ30の回転によりバッファ室26のトナーが現像ローラ25上に供給される。現像ローラ25上に供給されたトナーTは、規制ブレード28、補助ブレード29により帯電、薄層化された後、像担持体との対向領域に搬送され、像担持体上の静電潜像の現像に供される。現像に使用されなかったトナーは、現像ローラ25の回転に伴ってバッファ室26に戻り、供給ローラ30により現像ローラ25から掻き取られ回収される。
図4は、フルカラー画像形成装置の一例を示す概略断面図である。
図4に示すフルカラー画像形成装置においては、回転駆動される感光体ドラム10の周囲に、この感光体ドラム10の表面を所定の電位に均一に帯電させる帯電ブラシ111や、この感光体ドラム10上に残留したトナーを掻き落すクリーナ112が設けられている。
また、帯電ブラシ111によって帯電された感光体ドラム10をレーザビームによって走査露光するレーザ走査光学系20が設けられており、このレーザ走査光学系20はレーザダイオード,ポリゴンミラー,fθ光学素子を内蔵した周知のものであり、その制御部にはイエロー,マゼンタ,シアン,ブラック毎の印字データがホストコンピュータから転送されるようになっている。そして、このレーザ走査光学系20は、上記の各色毎の印字データに基づいて、順次レーザビームとして出力し、感光体ドラム10上を走査露光し、これにより感光体ドラム10上に各色毎の静電潜像を順次形成するようになっている。
また、このように静電潜像が形成された感光体ドラム10に各色のトナーを供給してフルカラーの現像を行うフルカラー現像装置30は、支軸33の周囲にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各非磁性1成分トナーを収容させた4つの色別の現像器31Y、31M、31C、31Bkが設けられており、支軸33を中心として回転し、各現像器31Y、31M、31C、31Bkが感光体ドラム10と対向する位置に導かれるようにな
っている。
また、このフルカラー現像装置30における各現像器31Y、31M、31C、31Bkにおいては、上記図4に示すように、回転してトナーを搬送する現像剤担持体(現像ローラ)25の外周面にトナー規制部材が圧接されており、このトナー規制部材により、現像ローラ25によって搬送されるトナーの量を規制すると共に、搬送されるトナーを帯電させるようになっている。尚、このフルカラー現像装置30においては、現像ローラによって搬送されるトナーの規制と帯電とを適切に行うために、トナー規制部材を2つ設けるようにしてもよい。
そして、上記のようにレーザ走査光学系20によって感光体ドラム10上に各色の静電潜像が形成される毎に、上記のように支軸33を中心にして、このフルカラー現像装置30を回転させ、対応する色彩のトナーが収容された現像器31Y、31M、31C、31Bkを感光体ドラム10と対向する位置に順々に導き、各現像器31Y、31M、31C、31Bkにおける現像ローラ25を感光体ドラム10に接触させて、上記のように各色の静電潜像が順々に形成された感光体ドラム10上に、帯電された各色のトナーを順々に供給して現像を行うようになっている。
また、このフルカラー現像装置30より感光体ドラム10の回転方向下流側の位置には、中間転写体40として、回転駆動される無端状の中間転写ベルト40が設けられており、この中間転写ベルト40は感光体ドラム10と同期して回転駆動されるようになっている。そして、この中間転写ベルト40は回転可能な1次転写ローラ41により押圧されて感光体ドラム10に接触するようになっており、またこの中間転写ベルト40を支持する支持ローラ42の部分には、2次転写ローラ43が回転可能に設けられ、この2次転写ローラ43によって記録紙等の記録材Sが中間転写ベルト40に押圧されるようになっている。
更に、前記のフルカラー現像装置30とこの中間転写ベルト40との間のスペースには、中間転写ベルト40上に残留したトナーを掻き取るクリーナ50が中間転写ベルト40に対して接離可能に設けられている。
また、普通紙等の記録材Sを中間転写ベルト40に導く給紙手段60は、記録材Sを収容させる給紙トレイ61と、この給紙トレイ61に収容された記録材Sを1枚ずつ給紙する給紙ローラ62と、上記の中間転写ベルト40上に形成された画像と同期して給紙された記録材Sを中間転写ベルト40と上記の2次転写ローラ43との間に送るタイミングローラ63とで構成されており、このようにして中間転写ベルト40と2次転写ローラ43との間に送られた記録材Sを2次転写ローラ43によって中間転写ベルト40に押圧させて、中間転写ベルト40からトナー像を記録材Sへ押圧転写させるようになっている。
一方、上記のようにトナー像が押圧転写された記録材Sは、エアーサクションベルト等で構成された搬送手段66により定着装置70に導かれるようになっており、この定着装置70において転写されたトナー像が記録材S上に定着され、その後、この記録材Sが垂直搬送路80を通して装置本体100の上面に排出されるようになっている。
次に、このフルカラー画像形成装置を用いてフルカラーの画像形成を行う動作について具体的に説明する。
まず、感光体ドラム10と中間転写ベルト40とを同じ周速度でそれぞれの方向に回転駆動させ、感光体ドラム10を帯電ブラシ11によって所定の電位に帯電させる。
そして、このように帯電された感光体ドラム10に対して、上記のレーザ走査光学系20によりイエロー画像の露光を行い、感光体ドラム10上にイエロー画像の静電潜像を形成した後、この感光体ドラム10にイエロートナーを収容させた現像器31Yから前記のようにトナー規制部材によって荷電されたイエロートナーを供給してイエロー画像を現像し、このようにイエローのトナー像が形成された感光体ドラム10に対して中間転写ベルト40を1次転写ローラ41によって押圧させ、感光体ドラム10に形成されたイエローのトナー像を中間転写ベルト40に1次転写させる。
このようにしてイエローのトナー像を中間転写ベルト40に転写させた後は、前記のようにフルカラー現像装置30を支軸33を中心にして回転させ、マゼンタトナーが収容された現像器31Mを感光体ドラム10と対向する位置に導き、上記のイエロー画像の場合と同様に、レーザ走査光学系20により帯電された感光体ドラム10に対してマゼンタ画像を露光して静電潜像を形成し、この静電潜像をマゼンタトナーが収容された現像器31Mによって現像し、現像されたマゼンタのトナー像を感光体ドラム10から中間転写ベルト40に1次転写させ、更に同様にして、シアン画像及びブラック画像の露光,現像及び1次転写を順々に行って、中間転写ベルト40上にイエロー,マゼンタ,シアン,ブラックのトナー画像を順々に重ねてフルカラーのトナー像を形成する。
そして、中間転写ベルト40上に最終のブラックのトナー像が1次転写されると、記録材Sをタイミングローラ63により2次転写ローラ43と中間転写ベルト40との間に送り、2次転写ローラ43により記録材Sを中間転写ベルト40に押圧させて、中間転写ベルト40上に形成されたフルカラーのトナー像を記録材S上に2次転写させる。
そして、このようにフルカラーのトナー像が記録材S上に2次転写されると、この記録材Sを上記の搬送手段66により定着装置70に導き、この定着装置70によって転写されたフルカラーのトナー像を記録材S上に定着させ、その後、この記録材Sを垂直搬送路80を通して装置本体100の上面に排出させるようになっている。
以下に、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
《有機−無機ハイブリッド樹脂の調製》
〈有機−無機ハイブリッド樹脂1の調製〉
撹拌機、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応装置に、ポリカーボネート(プラクセルCD220:(数平均分子量2000)ダイセル化学社製)1000質量部とイソホロンジイソシアネート278質量部を仕込み、窒素気流下に100℃で6時間反応させ、遊離イソシアネート価3.44%のプレポリマーとなし、これにメチルエチルケトン548質量部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン71.8質量部、ジ−n−ブチルアミン4.0質量部、メチルエチルケトン906質量部及びイソプロピルアルコール603質量部からなる混合物の存在下に、上記ウレタンプレポリマー溶液1000質量部を添加し、50℃で3時間反応させた。こうして得られたポリウレタン樹脂溶液(以下、ポリウレタン樹脂(1A)という)は、樹脂固形分濃度が30質量%、アミン価が1.2KOH(mg/g)であった。
一方、撹拌機、分水器、温度計及び窒素ガス導入管を備えて反応装置に、グリシドール(エピオールOH:日本油脂社製)1400質量部、及びテトラメトキシシラン部分縮合物(メチルシリケート51:(Siの平均個数4)多摩化学社製)8957.9質量部を仕込み、窒素気流下撹拌しながら、90℃に昇温した後、触媒としてジブチルスズジラウレート2.0質量部を加え反応させた。
反応中、分水器でメタノールを留去し、その量が約630質量部に達した時点で冷却した。昇温後冷却までに要した時間は5時間であった。次いで13kPaで約10分間、系内に残存するメタノール約80質量部を減圧除去した。このようにして、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(2A)を得た。
更に、同様の反応装置に、前述のポリウレタン樹脂(1A)の500質量部を50℃に加温した後、前記エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(2A)10.95質量部を加え、窒素気流下、60℃で4時間反応させ、アルコキシ基含有シラン変性ポリウレタン樹脂「有機−無機ハイブリッド樹脂1」を得た。
尚、アルコキシ基含有シラン変性ポリウレタン樹脂中の固形残分中のSi含有量は、シロキサン質量換算で3.3質量%であった。
〈有機−無機ハイブリッド樹脂2の調製〉
有機−無機ハイブリッド樹脂1の調製において、プラクセルCD220をポリエステルポリオール(クラレポリオールP2010:(数平均分子量2000)クラレ社製)に変更した以外は同様に反応を行い、ポリウレタン樹脂溶液(以下、ポリウレタン樹脂(1B)という)を得た。ポリウレタン樹脂(1B)は樹脂固形分が30質量%、アミン価が1.2KOHmg/gであった。
有機−無機ハイブリッド樹脂1と同様の反応装置に、グリシドール250.0質量部及びテトラメトキシシラン部分縮合物(メチルシリケート56:(Siの平均個数が10)多摩化学社製)2675.4質量部を仕込み、窒素気流下、撹拌しながら、90℃に昇温した後、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.5質量部を加え、反応させた。反応中、分水器を使ってメタノールを留去し、その量が約125質量部に達した時点で冷却した。昇温後冷却までに要した時間は6.5時間であった。次いで、13kPaで約10分間、系内に残存するメタノール約5質量部を減圧除去した。このようにして、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(2B)を得た。
更に、同様の反応装置に、上記のポリウレタン樹脂(1B)を500質量部を50℃に加温した後、前記エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(2B)17.75質量部を加え、窒素気流下、60℃で4時間反応させ、アルコキシ基含有シラン変性ポリウレタン樹脂「有機−無機ハイブリッド樹脂2」を得た。
尚、アルコキシ基含有シラン変性ポリウレタン樹脂中の固形残分中のSi含有量は、シロキサン質量換算で6.0質量%であった。
〈有機−無機ハイブリッド樹脂3の調製〉
有機−無機ハイブリッド樹脂1と同様の反応装置に、プラクセルCD220を1000質量部とイソホロンジイソシアネート278質量部を仕込み、窒素気流下に100℃で6時間反応させ、遊離イソシアネート価3.44%のプレポリマーとなし、これにメチルエチルケトン548質量部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン77.6質量部、ジ−n−ブチルアミン2.4質量部、メチルエチルケトン913質量部及びイソプロピルアルコール607質量部からなる混合物の存在下に上記ウレタンプレポリマー溶液1000質量部を添加し、50℃で3時間反応させた。こうして得られたポリウレタン樹脂溶液(以下、ポリウレタン樹脂(1C)という)は、樹脂固形分濃度が30%、アミン価が2.4KOHmg/gであった。更に、同様の反応装置に、上記のポリウレタン樹脂(1C)を500質量部を50℃に加温した後、有機−無機ハイブリッド樹脂1で得たエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(2A)18.54質量部を加え、窒素気流下、60℃で4時間反応させ、アルコキシ基含有シラン変性ポリウレタン樹脂「有機−無機ハイブリッド樹脂3」を得た。
尚、アルコキシ基含有シラン変性ポリウレタン樹脂中の固形残分中のSi含有量が、シロキサン質量換算で6.4質量%であった。
〈有機−無機ハイブリッド樹脂4の調製〉
有機−無機ハイブリッド樹脂1と同様の反応装置に、クラレポリオールP2010を1000質量部とジメチロールブタン酸40質量部、イソホロンジイソシアネート342質量部を仕込み、窒素気流下に100℃で6時間反応させ、遊離イソシアネート価3.28%のプレポリマーとなし、これにメチルエチルケトン593質量部を加えてウレタンプレポリマーの均一溶液とした。次いで、イソホロンジアミン59.7質量部、ジ−n−ブチルアミン9.9質量部、メチルエチルケトン897質量部及びイソプロピルアルコール599質量部からなる混合物の存在下に上記ウレタンプレポリマー溶液1000質量部を添加し、50℃で3時間反応させた。こうして得られたポリウレタン樹脂溶液(以下、ポリウレタン樹脂(1D)という)は、樹脂固形分濃度が30%、アミン価が3.0KOHmg/gであった。更に、同様の反応装置に、上記のポリウレタン樹脂(1D)を500質量部を50℃に加温した後、有機−無機ハイブリッド樹脂1で得たエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(2A)18.54質量部を加え、窒素気流下、60℃で4時間反応させ、アルコキシ基含有シラン変性ウレタン樹脂「有機−無機ハイブリッド樹脂4」を得た。
尚、アルコキシ基含有シラン変性ポリウレタン樹脂中の固形残分中のSi含有量が、シロキサン質量換算で7.8質量%であった。
〈比較用樹脂1の調製〉
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、及び還流冷却器を備えた反応器にε−カプロラクトン310部及びアルコール変性シロキサンオイル150部及びテトラブチルチタネート0.05部を装入し、窒素気流下で180℃の温度で10時間反応させ、水酸基価37、酸価0.40、数平均分子量3,030のポリシロキサン−ポリエステル共重合体を得た。
上記共重合体150部及び1,4−ブタンジオール27部を、200部のメチルエチルケトンと100部のジメチルホルムアミドとの混合溶媒中に溶解し、60℃でよく撹拌しながら91部の水添化ジフェニルメタンジイソシアネート(水添化MDIまたはH12MDIと略記することがある)を188部のジメチルホルムアミドに溶解したものを徐徐に滴下し、滴下終了後80℃で6時間反応させてシリコーン共重合ポリウレタン樹脂「比較用樹脂1」を得た。この溶液は非常に透明性が高く固形分35質量%で35.5Pa・s(25℃)の粘度を有していた。
《現像ローラの作製》
〈導電性シャフトの準備〉
導電性シャフトとして、外径と肉厚が異なるアルミニウム製スリーブの両端にフランジを装着した中空筒状の「シャフト1〜5」を準備した。
「シャフト1」外径4mm、肉厚1mm
「シャフト2」外径5.5mm、肉厚1mm
「シャフト3」外径16mm、肉厚1mm
「シャフト1」外径28mm、肉厚1mm
「シャフト1」外径32mm、肉厚1.5mm
〈現像ローラ1の作製〉
メチルエチルケトン500質量部に、「有機−無機ハイブリッド樹脂1」100質量部を溶解した溶液に、カーボンブラック(体積固有抵抗1×10-1Ωcm、数平均一次粒径50nm)20質量部、テトラメチルアンモニウムクロライド1.0質量部及び体積基準におけるメディアン径(D50)20μmの架橋アクリル樹脂粒子20質量部とをサンドミルを用いて2時間分散させ、被覆層形成用塗布液を調製した。
この塗布液を「シャフト3」の外周面にスプレー塗布した後、120℃で1時間乾燥を行い、乾燥後の膜厚が15μmの被覆層を形成し、「現像ローラ1」を作製した。
〈現像ローラ2の作製〉
現像ローラ1の作製で用いた「有機−無機ハイブリッド樹脂1」を「有機−無機ハイブリッド樹脂2」に、「シャフト3」を「シャフト1」に変更した以外は同様にして「現像ローラ2」を作製した。
〈現像ローラ3の作製〉
現像ローラ2の作製で用いた「シャフト1」を「シャフト2」に変更した以外は同様にして「現像ローラ3」を作製した。
〈現像ローラ4の作製〉
現像ローラ2の作製で用いた「シャフト1」を「シャフト3」に変更した以外は同様にして「現像ローラ4」を作製した。
〈現像ローラ5の作製〉
現像ローラ2の作製で用いた「シャフト1」を「シャフト4」に変更した以外は同様にして「現像ローラ5」を作製した。
〈現像ローラ6の作製〉
現像ローラ2の作製で用いた「シャフト1」を「シャフト5」に変更した以外は同様にして「現像ローラ6」を作製した。
〈現像ローラ7の作製〉
現像ローラ1の作製で用いた「有機−無機ハイブリッド樹脂1」を「有機−無機ハイブリッド樹脂3」に変更した以外は同様にして「現像ローラ7」を作製した。
〈現像ローラ8の作製〉
現像ローラ1の作製で用いた「有機−無機ハイブリッド樹脂1」を「有機−無機ハイブリッド樹脂4」に変更した以外は同様にして「現像ローラ8」を作製した。
〈現像ローラ9の作製〉
メチルエチルケトン500質量部に、「有機−無機ハイブリッド樹脂1」を10質量部、ウレタン樹脂(ニッポラン5199:日本ポリウレタン社製)90質量部を溶解した溶液に、カーボンブラック(体積固有抵抗1×10-1Ωcm、数平均一次粒径50nm)20質量部、テトラメチルアンモニウムクロライド1.0質量部及び体積基準におけるメディアン径(D50)20μmの架橋アクリル樹脂粒子30質量部とをサンドミルを用いて2時間分散させ、被覆層形成用塗布液を調製した。
この塗布液を「シャフト3」の外周面にスプレー塗布した後、120℃で1時間乾燥を行い、乾燥後の膜厚が10μmの被覆層を形成し、「現像ローラ9」を作製した。
〈現像ローラ10の作製〉
メチルエチルケトン500質量部に、「有機−無機ハイブリッド樹脂3」を20質量部、ウレタン樹脂(ニッポラン5199:日本ポリウレタン社製)80質量部を溶解した溶液に、カーボンブラック(体積固有抵抗1×10-1Ωcm、数平均一次粒径50nm)20質量部、テトラメチルアンモニウムクロライド1.0質量部及び体積基準におけるメディアン径(D50)20μmの架橋アクリル樹脂粒子30質量部とをサンドミルを用いて2時間分散させ、被覆層形成用塗布液を調製した。
この塗布液を「シャフト3」の外周面にスプレー塗布した後、120℃で1時間乾燥を行い、乾燥後の膜厚が10μmの被覆層を形成し、「現像ローラ10」を作製した。
〈現像ローラ11の作製〉
メチルエチルケトン500質量部に、「有機−無機ハイブリッド樹脂4」を60質量部、ウレタン樹脂(ニッポラン5199:日本ポリウレタン社製)40質量部を溶解した溶液に、カーボンブラック(体積固有抵抗1×10-1Ωcm、数平均一次粒径50nm)40質量部、テトラメチルアンモニウムクロライド1.0質量部及び体積基準におけるメディアン径(D50)20μmの架橋アクリル樹脂粒子30質量部とをサンドミルを用いて2時間分散させ、被覆層形成用塗布液を調製した。
この塗布液を「シャフト3」の外周面にスプレー塗布した後、120℃で1時間乾燥を行い、乾燥後の膜厚が10μmの被覆層を形成し、「現像ローラ11」を作製した。
〈現像ローラ12の作製〉
メチルエチルケトン500質量部に、ウレタン樹脂(ニッポラン5199:日本ポリウレタン社製)100質量部を溶解した溶液に、カーボンブラック(体積固有抵抗1×10-1Ωcm、数平均一次粒径50nm)40質量部、テトラメチルアンモニウムクロライド1.0質量部及び体積基準におけるメディアン径(D50)20μmの架橋アクリル樹脂粒子20質量部とをサンドミルを用いて2時間分散させ、被覆層形成用塗布液を調製した。
この塗布液を「シャフト3」の外周面にスプレー塗布した後、120℃で1時間乾燥を行い、乾燥後の膜厚が15μmの被覆層を形成し、「現像ローラ12」を作製した。
〈現像ローラ13の作製〉
メチルエチルケトン700質量部に、アクリル樹脂(パラペットHR−S:クラレ社製)100質量部を溶解した溶液に、カーボンブラック(体積固有抵抗1×10-1Ωcm、数平均一次粒径50nm)40質量部、テトラメチルアンモニウムクロライド1.0質量部及び体積基準におけるメディアン径(D50)20μmの架橋アクリル樹脂粒子30質量部とをサンドミルを用いて2時間分散させ、被覆層形成用塗布液を調製した。
この塗布液を「シャフト3」の外周面にスプレー塗布した後、120℃で1時間乾燥を行い、乾燥後の膜厚が10μmの被覆層を形成し、「現像ローラ13」を作製した。
〈現像ローラ14の作製〉
テトラヒドロフラン500質量部に、「有機−無機ハイブリッド樹脂5(比較用樹脂1)」100質量部を溶解した溶液に、カーボンブラック(体積固有抵抗1×10-1Ωcm、数平均一次粒径50nm)40質量部、テトラメチルアンモニウムクロライド1.0質量部及び体積基準におけるメディアン径(D50)20μmの架橋アクリル樹脂粒子30質量部とをサンドミルを用いて2時間分散させ、被覆層形成用塗布液を調製した。
この塗布液を「シャフト3」の外周面にスプレー塗布した後、120℃で1時間乾燥を行い、乾燥後の膜厚が10μmの被覆層を形成し、「現像ローラ14」を作製した。
〈現像ローラ15の作製〉
現像ローラ1の作製で用いたカーボンブラックを添加しなかった以外は同様にして「現像ローラ15」を作製した。
表1に、現像ローラの作製に用いた導電性シャフト、有機−無機ハイブリッド樹脂の種類とその量、その他の樹脂の種類とその量、シロキサン量、カーボンブラック量、動摩擦係数を示す。
《非磁性1成分現像剤の作製》
非磁性1成分現像剤として、下記のトナーを作製した。
(1)「樹脂粒子分散液1」の作製
撹拌装置を取り付けたフラスコに、ペンタエリスリトールテトラステアリン酸エステル72.0質量部を、スチレン115.1質量部、n−ブチルアクリレート42.0質量部、及び、メタクリル酸10.9質量部からなる単量体混合液に添加し、80℃に加温して溶解させた。
一方、撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けたセパラブルフラスコに、アニオン系界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:SDS)7.08質量部をイオン交換水2760質量部に溶解させた界面活性剤溶液を投入し、窒素気流下で撹拌速度230rpmで撹拌しながら80℃に昇温させた。次いで、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(エム・テクニック(株)製)」により、前記界面活性剤溶液(80℃)中に前記単量体溶液(80℃)を混合分散させ、均一な分散粒子径を有する乳化粒子(油滴)が分散された乳化液を調製した。
この分散液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)0.84質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を80℃にて3時間にわたり加熱・撹拌して重合反応を行った。得られた反応溶液に、重合開始剤(KPS)7.73質量部をイオン交換水240質量部に溶解させた溶液を添加し、15分後に温度を80℃とした後、スチレン383.6質量部、n−ブチルアクリレート140.0質量部、メタクリル酸36.4質量部、及び、n−オクチルメルカプタン12質量部からなる混合液を100分間かけて滴下し、この系を80℃で60分間にわたり加熱・撹拌させた後、この系を40℃まで冷却することにより、ワックスを含有する「樹脂粒子分散液1」(以下、「ラテックス(1)」という。)を作製した。
(2)「着色剤分散液K」の作製
一方、n−ドデシル硫酸ナトリウム9.2質量部をイオン交換水160質量部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、着色剤としてカーボンブラック「モーガルL(キャボット社製)」20質量部を徐々に添加し、次いで、機械式分散機「クレアミックス(エム・テクニック(株)製)」を用いて分散処理することにより、「着色剤分散液K」を調製した。「着色剤分散液K」における着色剤粒子の粒子径を電気泳動光散乱光度計「ELS−800(大塚電子社製)」で測定したところ、質量平均粒子径で120nmであった。
(3)「着色粒子1K」の作製
温度センサ、冷却管、撹拌装置(撹拌翼を2枚有し、交差角が20°)、形状モニタリング装置を取り付けた反応容器に、「樹脂粒子分散液1」1250質量部(固形分換算)、イオン交換水2000質量部、「着色剤分散液1」全量を投入し、内温を25℃に調整後、この分散液混合溶液に5mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10.0に調整した。次いで、塩化マグネシウム・6水和物52.6質量部をイオン交換水72質量部に溶解した水溶液を、撹拌下25℃にて10分間かけて添加した。その後、直ちに昇温を開始し、この系を5分間かけて95℃まで昇温(昇温速度14℃/分)させた。
この状態で「マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)」にて凝集粒子の粒径を測定し、体積基準におけるメディアン径(D50)が6.5μmになった時点で、塩化ナトリウム115質量部をイオン交換水700質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。さらに、液温度90℃にて8時間にわたり加熱撹拌(撹拌回転数120rpm)して融着を継続させて熟成処理した後、この系を10℃/分の条件で30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを3.0に調整し、撹拌を停止した。
生成した粒子を濾過し、イオン交換水で繰り返し洗浄して遠心分離装置によって液中分級処理し、その後、フラッシュジェットドライヤを用いて乾燥処理して含水率1.0質量%の「着色粒子1K」を生成した。
(4)「着色剤分散液Y」の調製
「着色剤分散液K」の調製において、カーボンブラック20質量部に代えて顔料「C.I.ピグメントイエロー74」20質量部を用いたこと以外は同様の手順により、「着色剤分散液Y」を調製した。「着色剤分散液Y」における着色剤粒子の粒子径を電気泳動光散乱光度計「ELS−800(大塚電子社製)」を用いて測定したところ、質量平均粒子径で120nmであった。
(5)「着色剤分散液M」の調製
「着色剤分散液K」の調製において、カーボンブラック20質量部に代えてキナクリドン系マゼンタ顔料「C.I.ピグメントレッド122」20質量部を用いたこと以外は同様の手順により、「着色剤分散液M」を調製した。「着色剤分散液M」における着色剤粒子の粒子径を電気泳動光散乱光度計「ELS−800(大塚電子社製)」を用いて測定したところ、質量平均粒子径で120nmであった。
(6)「着色剤分散液C」の調製
「着色剤分散液K」の調製において、カーボンブラック20質量部に代えてフタロシアニン系シアン顔料「C.I.ピグメントブルー15:3」20質量部を用いたこと以外は同様の手順により、「着色剤分散液C」を調製した。「着色剤分散液C」における着色剤粒子の粒子径を電気泳動光散乱光度計「ELS−800(大塚電子社製)」を用いて測定したところ、質量平均粒子径で120nmであった。
(7)「着色粒子1Y」の作製
「着色粒子1K」の作製において、「着色剤分散液K」全量に代えて「着色剤分散液Y」全量を用いた他は同様の手順により「着色粒子1Y」を作製した。
(8)「着色粒子1M」の作製
「着色粒子1K」の作製において、「着色剤分散液K」全量に代えて「着色剤分散液M」全量を用いた他は同様の手順により「着色粒子1M」を作製した。
(9)「着色粒子1C」の作製
「着色粒子1K」の作製において、「着色剤分散液K」全量に代えて「着色剤分散液C」全量を用いた他は同様の手順により「着色粒子1C」を作製した。
(10)トナーの作製
上記「着色粒子」に、数平均一次粒子径が12nm、疎水化度が65の疎水性シリカを0.8質量部、数平均一次粒子径が30nm、疎水化度が55の疎水性チタニアを0.5質量部添加し、ヘンシェルミキサーにて混合して、トナーを作製した。これらを「トナー1K、トナー1Y、トナー1M、トナー1C」とした。
《評価》
〈層間接着力評価〉
上記で作製した現像ローラのシャフトと被覆層の層間接着力は、前記の測定方法で測定し、下記評価基準で評価した。
評価基準
引きはがされ始める負荷が、10.0N以上のものは十分満足できるレベル
引きはがされ始める負荷が、4.0N〜10.0N未満のものは実用的に問題なレベル
引きはがされ始める負荷が、4.0N未満のものは実用に適さないレベル。
〈実写プリント評価〉
現像ローラの評価は、カラーレーザプリンタ「Magicolor2430DL(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)」に上記で作製した現像ローラと4色の非磁性1成分現像剤を順次装着し、常温常湿(20℃、55%RH)環境で5000枚プリントして行った。
現像ローラ初期の性能評価は、画素率20%(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色5%のフルカラーモード)でA4サイズの原稿を10枚プリントし、そのトナー画像品質と現像ローラの残留電位で評価した。
その後、画像率2%(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色0.5%のフルカラーモード)の原稿を用いて5000枚プリントを行った。
5000枚プリント後の性能評価は、初期性能評価と同じ画素率20%(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色5%のフルカラーモード)でA4サイズの原稿を10枚プリントし、帯電量、画像濃度とトナー飛散、被覆層のはがれについて評価した。
(帯電量)
帯電量は、下記に示す吸引式の帯電量測定装置により測定した。
測定方法
1.濾紙「T100A047A(アドバンテック社製)」を装着したトナー捕集ユニットの質量:W1(g)を分析用天秤「CP224S型:ザルトリウス社製)」により測定する。
2.トナー捕集ユニットを吸引ポンプに装着する。
3.トナーカートリッジ中の現像ローラ表面の約7cm2の領域にあるトナーを吸引ポンプによって濾紙上に捕集し、トナー捕集ユニットに移行した捕集トナーの持つ電荷量:Q(μC)をデジタルエレクトロメータ「R8252型(エーディーシー社製)」の電荷量測定モードにより求める。
4.トナー捕集ユニットを吸引ポンプから取り外し、トナー捕集後のトナー捕集ユニットの質量:W2(g)を測定する。
5.式1によってトナーの帯電量Q/M(μC/g)を求める。
式1 帯電量=Q/M=Q/(W2−W1)
帯電量は、初期及び5000プリント後共に、28〜38μC/gが好ましい。
(画像濃度)
画像濃度は、初期と5000枚プリント後のべた黒画像部の濃度を反射濃度計「RD−918(マクベス社製)」を用いて12点測定して評価した。
画像濃度は、初期及び5000プリント後共に、1.40以上が好ましい。
(トナー飛散)
トナー飛散の評価は、5000枚プリント終了後に現像器周辺のトナーこぼれとトナー飛散による機内汚れ状態を目視で観察した結果と、トナー飛散によるプリント画像の欠陥で行った。
評価基準
◎:トナーこぼれ、トナー飛散による機内汚れ全くなく、トナー飛散によるプリント画像の欠陥もなし
○:軽微なトナーこぼれ、トナー飛散による機内汚れはあるが、トナー飛散によるプリント画像の欠陥が無く、実用上問題無いレベル
×:トナーこぼれ、トナー飛散による機内汚れがひどく、トナー飛散によるプリント画像の欠陥が認められ、実用上問題となるレベル。
(被覆層のはがれ)
被覆層のはがれは、5000枚プリント後の現像ローラの外観を目視観察と、被覆層のはがれ部がプリント画像に欠陥として現れているかを評価した。
評価基準
◎:現像ローラの端部を含め、被覆層のはがれなし
○:現像ローラの端部にやや、被覆層のはがれがあるが、プリント画像に欠陥が無く実用上問題なし
×:現像ローラの画像形成分に被覆層のはがれが発生し、被覆層のはがれ部がプリント画像に欠陥として現れ実用上問題あ。
表2に、評価結果を示す。
表2の結果から、本発明の実施例1〜11の「現像ロール1〜11」は層間接着力が強く、実写プリント評価の何れの特性も優れていることが判る。しかし、本発明外の比較例1〜4の「現像ロール12〜15」は、層間接着力が弱く、実写プリント評価の何れかの特性に問題がでることが判る。