JP4887504B2 - 粒界性格制御多結晶の作製方法 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、結晶内部に粒界エネルギーの低い界面を持つ多結晶材料を作製する技術に関するものである。特には、本発明は、より高いシグマ値を有する結晶界面を持つ多結晶を用意し、それを種結晶として使用して、より低いシグマ値を有する粒界面を持つ多結晶材料生成技術に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池用結晶、構造材料、磁性材料などの多くの実用化材料は、材料内部に多くの結晶組織を有する多結晶材料である。
多結晶は、多くの結晶粒(crystal grain)から構成されるが、そのマクロな諸性質は結晶粒の大きさや異なる結晶粒間の境界である結晶粒界(grain boundary)の性質(粒界性格)に依存することが知られている。
例えば、太陽電池のセルに、多結晶シリコンをウエハー状に切り出して作製されたものを用いる場合がある。このとき、結晶の粒界面における欠陥やそれに伴って界面に蓄積されている粒界エネルギーにより、多結晶ウエハーの強度はそれほど高くない。また、粒界面における欠陥は、光励起キャリアに対する再結合中心として作用するため、太陽電池効率の低下の一因となっている。我が国は、世界一の太陽電池生産国であり、ここ数年の太陽電池生産量の年次増加率は25%を超えている。中でも、シリコンのバルク結晶をベースとした太陽電池は、総生産量の90%を超えており、太陽電池の主要材料となっている。
【0003】
しかしながら、今後の生産量の延びに対して、原材料のシリコンの確保が課題となっており、その解決策の一つとして、インゴットからスライスする際の厚みを薄くすることが検討されている。コストの低い多結晶シリコンにおいては、粒界からの破壊が大きな問題となっている。
産業的に見た場合、ウエハーの厚みを薄くすることで、材料のコスト低減や製品の軽量化につなげることが望まれているが、界面に多くの欠陥が存在したり、界面に蓄積されたエネルギーが大きい場合、ウエハーの厚みを薄くすることで機械的な強度が減少する。製造プロセス内で考えた場合、多結晶ウエハーを搬送・加工する際にウエハーが割れるということがあり、太陽電池セルの製造歩留まりが非常に低下する。これは、ウエハーの材料である多結晶材料に起因するものである。粒界面におけるキャリア再結合の抑制に対しては、水素により欠陥を終端するプロセスが行われているが、水素の効果は永続せずに、太陽電池性能の経時変化の要因ともなっている。本質的には、整合性が高く、キャリア再結合速度の小さい粒界を形成することが希求されている。
一方、この粒界の性格を制御することによって、強度の強い材料、錆びにくい材料などができるとした研究は行われている。
【0004】
結晶間の粒界の対応度は、シグマ(Σ)という指標を用いて表され、Σ値が低いほど結晶間の対応がよく、粒界に蓄積されたエネルギーが低いことになる。Σ値は、単位格子の面積に対して、対応する格子の単位格子面積がどの広さになっているかという比で求められる。Σ値は奇数の値のみを取り、Σ値が1であるということは、粒界面における両方の単位格子が同じであるということを意味し、粒界は存在しない。これは同じ結晶であるということを示す。実際に別の粒界の界面がある場合には、Σ値は3、5、7、・・・というように大きくなってくる。例えば、成長方位が<110>に対して粒界面が〔111〕である場合などは、Σ値が3(Σ3)となり、最も対応がよい界面ということになる。シリコンのような立方晶系においては、Σ3とΣ9が非常に粒界エネルギーの低い方位関係である。
この考えを基に、粒界エネルギーの低い多結晶シリコン材料を製造する技術が研究されている。これは、三結晶シリコン(トリシリコン)という技術である。この三結晶シリコン技術では、シリコン単結晶を機械的にカットして、Σ3、Σ3、Σ9の粒界しか存在しないように3つの結晶を貼り合わせたものを種結晶として、結晶を成長させようという考えのものである。これは、Σ値の低い多結晶材料を得るために、種結晶を粒界エネルギーの低い構成で単結晶の面を作り、それをもとに結晶成長させることにより、機械的強度の強い準単結晶(粒界の少ない多結晶)シリコンを得ようとするものである。
【0005】
{110}を成長方位として、二つのシグマ3粒界と一つのシグマ9粒界を有する三結晶シリコンが、薄くスライス可能な太陽電池用シリコンインゴットとして有用であることがMartinelliらにより提案された(非特許文献1:Appl.Phys.Lett.62,3262,1993)。その後、Schimigaらは、同様の手法で作製した三結晶シリコンから、17.6%の変換効率を有する太陽電池の作製例を報告している(非特許文献2:PV in Europe,Oct.2002,Rome)が、粒界近傍のキャリア拡散長が短いことが明らかになっており、粒界が精密にはシグマ3やシグマ9ではないことが示唆される。
一般的には、多結晶材料よりも単結晶材料のほうが、機械的強度が強いが、上記の三結晶シリコンのように、粒界エネルギーの低い界面を組み合わせた多結晶において、単結晶よりも高い強度の材料を得ることができる。上記のような背景から、結晶粒界を設計することが、材料の性質の制御に対する新たな自由度として有用であることが提案されているが、粒界性格の制御手法は確立されていない。
[0006]
ところで、本発明者等のグループは、Si(110)単結晶ロッドを面[111]に沿って半分にカットし、逆向きに貼り合わせたものを種結晶として、成長方位[110]にFZ成長させ、転位の密度(D)の評価をしている(非特許文献3:J.of Crystal Growth,280,pp.419−424(2005))が、そこで使用の種結晶は面[111]に沿って半分にカットしたものを貼り合わせているもので、カットに伴う方位のずれ、すなわち、3.5あるいは7.0°だけ方位が[110]を軸として面[111]よりずれた種結晶となっているものが使用されている。したがって、その二枚の結晶を貼りあわせた種結晶は、Σ3粒界から3.5あるいは7.0°だけ方位がずれているというだけのものであり、ずれ角を大きく設定することで、転位の密度を評価したところ、転位密度が小さくなってくる傾向があり、粒界エネルギーがトータルで下がるという示唆が得られたとの結果を示すにとどまり、そこでは粒界の転位の密度の評価を行っているものであって、意図的に相対方位関係がランダムな粒界エネルギーの高い粒界を有する多結晶を作成してそれを用いて粒界エネルギーの低い結晶粒界を持つ多結晶を作製するというものではなく、さらに、粒界エネルギーの高いランダム粒界から、粒界エネルギーの低い粒界を形成するなどの思想は全く示されていない。また、本発明者等のグループでは、上記非特許文献3で作製した結晶試料をX線で評価した結果を発表している(非特許文献4:Japanese Journal of Applied Physics, Vol. 44, No. 24, pp.L778-L780, (2005))が、そこでは成長条件に依存して、X線のロッキングカーブの値(結晶性の指標)や太陽電池セルとした場合の電流値が変化することを確認しているもので、上記非特許文献3と同様、意図的に相対方位関係がランダムな粒界エネルギーの高い粒界を有する多結晶を作成してそれを用いて粒界エネルギーの低い結晶粒界を持つ多結晶を作製するというものではない。
【0007】
【特許文献1】
特表2001-504996
【非特許文献1】
Appl. Phys. Lett. 62, 3262, 1993
【非特許文献2】
PV in Europe - From PV Technology to Energy Solutions, Conference + Exhibition, Oct. 2002, Rome
【非特許文献3】
M. Kitamura et al., J. of Crystal Growth, 280, pp.419-424 (2005)
【非特許文献4】
N. Usami et al., Japanese Journal of Applied Physics, Vol. 44, No. 24, pp.L778-L780, (2005)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の三結晶シリコンのように、粒界エネルギーの低い界面を組み合わせた多結晶において、単結晶よりも高い強度の材料を得ることができる。ところが、上記のような複数の単結晶から方位を測定して切り出した結晶を束ね、人工的な対応粒界を形成した多結晶を種結晶として用い、結晶成長させた材料(三結晶シリコン)においても、粒界間に存在する欠陥により、結晶内にクラックが発生する状況にあり、所望の粒界を持つ材料が得られていない。上記の手法によりうまくゆかない理由は、粒界性格の制御が、基になる単結晶の切り出し精度に依存するためである。例えば、粒界性格の制御には、相対的な方位関係として0.01度以内の精度が必要とされるが、現状の切断技術からは、この実現は極めて困難である。貼り合わせる結晶間の方位のミクロ的なずれと、面間のミクロな凹凸の存在により、粒界面のエネルギーが低い理想的な種結晶を得ることが非常に難しい。例えば、発明者らの実験によって得られた結果では、Σ3の方位関係から0.1度以内の微小なずれを持つように貼り合わせた種結晶を用いたフローティングゾーン成長法によるシリコンの結晶成長においては、成長した結晶においても、種結晶の方位のずれをそのまま引き継いだ結晶として成長が起こっている。
多結晶材料で、結晶粒界を設計して、その粒界性格を制御する技術の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するため、鋭意研究を進め、意図的に相対方位関係がランダムな粒界エネルギーの高い粒界を有する多結晶を種結晶として利用して、一方向成長を行う。すると、この方法により、適切な成長条件の下では、粒界エネルギーの高いランダム粒界から、粒界エネルギーの低い粒界が自発的に形成されることを見出した。よって、このことを積極的に利用すると、粒界の全てを低シグマ値の対応粒界に揃えることを可能となることを見出した。本発明は、こうした現象に基礎を置いてなされたものである。
本発明は、Σ値の低い粒界面を持つ多結晶材料を得るために、あえて種結晶として、Σ値の高くした結晶界面を用いることを特徴とする。これは、方位関係のずれが非常に大きい種結晶を用いることで、粒界エネルギーが低くなり、全体の粒界エネルギーが低くなることをドライビングフォースとして用いたものである。これにより、自発的に粒界エネルギーの低い界面を持つ多結晶が成長することを促す。つまり、結晶間の整合性が非常によいところから、数度以内のずれであれば、そのずれを解消するよりも、ずれをそのまま引き継いで成長する方が、エネルギーとして得であるということを逆に用いたものである。
【0010】
本発明は、粒界性格分布を制御した多結晶の新たな作製方法に関するものである。本発明技術においては、意図的に相対方位関係がランダムな粒界エネルギーの高い粒界を有する多結晶を種結晶として利用して、一方向成長を行うことを特徴とした多結晶材料形成法であり、適切な成長条件の下では、粒界エネルギーの高いランダム粒界から、粒界エネルギーの低い粒界が自発的に形成されることを積極的に利用しているもので、粒界の全てを低シグマ値の対応粒界に揃えることを可能とする技術である。このように形成される多結晶材料は、粒界における未結合手が少ないため、粒界のネットワークとして構成されている多結晶材料のマクロな性質においても、電気的活性度が小さい、結晶の強度が高いなどの優れた特性の発現を可能とする。
【0011】
本発明は、次なる態様を提供している。
〔1〕意図的に相対方位関係がランダムな粒界エネルギーの高い粒界でΣ値が少なくとも5以上とされた粒界を有するシリコン多結晶を形成し、次に該シリコン多結晶を種結晶として、一方向結晶成長を行い、粒界エネルギーの高いランダム粒界から、粒界エネルギーの低い粒界を形成することを特徴とするシリコン多結晶材料の製造法。
〔2〕種結晶が、結晶成長面に少なくとも2以上の粒界を有するものであることを特徴とする上記〔1〕記載のシリコン多結晶材料の製造法。
〔3〕種結晶が、結晶成長面に少なくとも5以上の粒界を有するものであることを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕記載のシリコン多結晶材料の製造法。
〔4〕結晶成長が、結晶の成長する方向の結晶の方位として単一の結晶方位とされて、該結晶成長が当該結晶方向に一方向になされるものであることを特徴とする上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一記載のシリコン多結晶材料の製造法。
〔5〕種結晶が、複数の単結晶から形成されたシリコン多結晶であり、結晶の成長する方向の結晶の方位として単一の結晶方位とされており、シリコン多結晶を構成する単結晶の数が、少なくとも3個以上であるものであることを特徴とする上記〔1〕〜〔4〕のいずれか一記載のシリコン多結晶材料の製造法。
〔6〕Σ値を高くした結晶界面を有するシリコン多結晶を種結晶として用いて、結晶を成長せしめて、Σ値の低い粒界面を持つシリコン多結晶を得ることを特徴とする上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一記載のシリコン多結晶材料の製造法。
〔7〕結晶成長開始面での結晶成長速度が、0.3mm/分以上であることを特徴とする上記〔1〕〜〔6〕のいずれか一記載のシリコン多結晶材料の製造法。
〔8〕種結晶の配置として、成長方位が[110]であり側面が[100]であるSi結晶と、成長方位が[110]であり側面が[111]であるSi結晶を、面[100]と面[111]とが接するように交互に積層することによりランダム粒界を形成したものであることを特徴とする上記〔1〕〜〔7〕のいずれか一記載のシリコン多結晶材料の製造法。
【0012】
本発明によれば、多結晶材料の粒界を制御する手法が提供され、該粒界制御技術により優れた電気的性質を有する粒界を有し(品質が単結晶なみ)、かつ強度が、従来の多結晶よりも強い結晶が作製できる。よって、インゴットからの、薄板切り出しや、その後のハンドリングが容易となり、スライス厚さの低減に材料の側面から寄与できる。このような理由により、現在、太陽電池産業で課題となっている将来的な原料の確保の問題を解決し、太陽電池産業の拡大とエネルギー問題解決に繋がる。また、他の多結晶材料(金属、複合材料など)に対しても、本発明の粒界制御技術を適用可能であり、粒界設計による材料の高機能化という新たな材料科学への展開が期待できる。
本発明のその他の目的、特徴、優秀性及びその有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ましい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されているものであることを理解されたい。本明細書に開示した本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているもので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに含めて解釈されるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の多結晶材料形成技術の基本概念を模式的に説明する図である。
【図2】単純立方格子を例にして、その単位格子と、<001>軸の周りに回転角36.52°回転させ多場合の対応格子を説明する。
【図3】シリコン多結晶における高品質バルク多結晶をデザインする場合の構造デザインとそれにより得られる効果予測マップを示す。
【図4】本発明の多結晶材料形成技術における出発種結晶を構成する場合につき一例を模式的に示すものである。代表例としては、シリコン多結晶を例にして説明できる。実施例の種結晶に相当する。
【図5】本発明の多結晶材料形成技術で得られたSi結晶の写真を示す。
【図6】本発明の多結晶材料形成技術で得られたSi結晶の種結晶近傍断面のEBSPを示す。
【図7】本発明の多結晶材料形成技術で得られたSi結晶の縦断面の方位分布変化をしめすEBSPを示す。
【図8】本発明の多結晶材料形成技術で得られたSi結晶の結晶成長面から40mmの位置で、成長方向に対して垂直に切断した面の方位の分布、および粒界性格の分布を調べたEBSPを示す。FZ9及びFZ12は、結晶成長速度約1.0mm/分での生成Si結晶試料であり、FZ13は、結晶成長速度約0.2mm/分での生成Si結晶試料である。
【図9】本発明の多結晶材料形成技術で得られたSi結晶の結晶の成長方向の方位分布(左)とそれに垂直な方位分布(右)についてのEBSPを示す。
【図10】理論的に強い機械的強度を有すると予測される多結晶材料の組織の模式図(下左)と本発明の多結晶材料形成技術で得られたSi結晶についての粒界性格・方位分布(EBSP:上側の三つの写真)と、その組織構造の模式図(下右)を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
従来技術として、複数の単結晶から、方位関係を測定して切り出した結晶を、束ねることにより人工的な対応粒界を形成した多結晶を作製し、さらに、この結晶を種結晶として、CZ (チョクラルスキー: Czochralski)法により、その方位を継承するような成長条件下で結晶成長を行う手法がある。この手法において作製される多結晶の粒界性格の精度は、切り出しの精度により制限され、必ずしも所望の粒界性格が実現されてはいない。例えば、粒界性格の制御には、相対的な方位関係として0.01°以内の精度が必要とされるが、現状の切断技術からは、実現が極めて困難である。
従来のアプローチであった、種結晶として用いる材料として、粒界の対応性のよい結晶を束ねるという概念、粒界種結晶間のΣを小さくするという考えがある。ところが、結晶間の整合性を原子レベルで取ることは現実的には不可能であり、微小な不整合が残れば、結晶成長中に解消することはない。これは不整合の度合いが小さいために、それ以上の整合を取るドライビングフォースが生じないためと思われる。
【0015】
一方、本発明においては、意図的に、所望の粒界の方位関係からは、角度が大きくずれた種結晶から成長を開始して、自発的に粒界性格が、粒界エネルギーの小さいものに変化することを利用する。よって、切り出しの精度に対する要請は、1°以内でも十分であり、切断精度によらずに、所望の粒界性格を有する多結晶が実現可能である。この手法は、成長方位が[110]であり、側面が[100]であるSi結晶と、成長方位が[110]であり、側面が[111]であるSi結晶を交互に束ねた結晶束を種結晶として、Si多結晶の成長を行う(この場合束ねた種結晶では面[100]と面[111]とが接して粒界を形成していることとなり、結晶の成長する方向の結晶方位は[110]とされている)と、その結果、粒界性格が全てシグマ3およびシグマ9という粒界エネルギーの小さい粒界に変化したことを検証することにより確認できる。
本発明は、結晶内部に粒界エネルギーの低い界面を持つ多結晶材料を作製する技術に関するものである。本発明は、意図的に相対方位関係がランダムな粒界エネルギーの高い粒界を有する多結晶を形成し、次に該多結晶を種結晶として、一方向結晶成長を行い、適切な成長条件の下で、粒界エネルギーの高いランダム粒界から、粒界エネルギーの低い粒界を形成することを特徴としている。本発明の基本概念を図1に示す。特には、本発明は、より高いシグマ値を有する結晶界面を持つ多結晶を用意し、それを種結晶として使用して、より低いシグマ値の対応粒界を持つ多結晶材料を生成することを特徴とする多結晶材料形成技術である。本発明は、Σ値の低い粒界面を持つ多結晶材料を得るために、あえて種結晶として、Σ値の高くした結晶界面を用いることを特徴とするもので、方位関係のずれが非常に大きい種結晶を用いることで、粒界エネルギーが低くなり、全体の粒界エネルギーが低くなることをドライビングフォースとして用いたもので、これにより、粒界エネルギーの低い界面を持つ多結晶が成長することを促しているのであり、一方では、結晶間の整合性が非常によいところから、数度以内のずれであれば、そのずれを解消するよりも、ずれをそのまま引き継いで成長する方が、エネルギーとして得であるということを逆に用いたものである。
【0016】
本明細書中、多結晶材料に必ず存在する「粒界」とは、該多結晶を構成する結晶粒同志のつなぎ目、すなわち、結晶粒間の境界のことである。
粒界を構成する二つの結晶の一つをある回転軸の周囲に、ある角度だけ回転させた場合の2つの結晶の重なりを考えたとすると、この際に、回転軸と回転角度によって原点以外にも周期的に相重なる格子点が形成されるが、これを「対応格子点」と呼んでいる。該対応格子点は周期的に生じる。ここでもとの結晶格子の単位胞面積と、ここで形成される対応格子の単位胞面積との比を、シグマ(Σ)値と言って、結晶間の粒界の対応度を表す指標として利用されている。このように、Σ値は、単位格子の面積に対して、対応する格子の単位格子面積がどの広さになっているかという比で求められる。
【0017】
これを、単純立方格子(図2)を例に挙げて説明する。該単純立方格子の単位格子は、図2の左上側の小さな正方形の四角で囲った部分である。図2において縦の垂直な線と横の水平な線とで示される単純立方格子を回転軸<001>の周りに回転角36.52度回転させると、もとの格子点と互いに重なり合う点(対応格子点)が生まれるが、その対応格子の単位格子は、図2のはぼ中央にあり且つ前記単純立方格子の単位格子部分より大きな面積の四角形の囲まれた部分で示すことができる。これ(図2)を両格子の対応度を表す指標であるΣ値で示すと次のようになる。
【0018】
【数1】
【0019】
かくして、図2の例ではΣ5の対応関係である。
一般的には、Σ値が低いほど結晶間の対応がよく、粒界に蓄積されたエネルギーが低いことになる。Σ値は奇数の値のみを取り、Σ値が1であるということは、粒界面における両方の単位格子が同じであるということを意味し、粒界は存在しない。これは同じ結晶であるということを示している。実際に別の粒界の界面がある場合には、Σ値は3、5、7、・・・というように大きくなってくる。例えば、成長方位が<110>に対して粒界面が〔111〕である場合などは、Σ値が3(Σ3)となり、最も対応がよい界面ということになる。シリコンのような立方晶系においては、Σ3とΣ9が非常に粒界エネルギーの低い方位関係である。
次の表1にはダイアモンド構造において、成長方位が等しく、成長界面と粒界が垂直な場合の低Σ値が実現可能な組み合わせを示す。
【0020】
【表1】
【0021】
Σ値が小さいほど対応度が高く、例えば、太陽電池用シリコン(Si)多結晶では、電気的に不活性な結晶粒界であることとなり、結晶粒界でのキャリア再結合が低減する。図3には、高品質Siバルク多結晶における多結晶構造の改良並びにその改良で得られる効果の予測マップが示されてある。そこにおいて、例えば、(1)結晶粒の成長方位が同じであれば、均質なテクスチュア形成が容易ということになり、(2)電気的に不活性な結晶粒界であれば、結晶粒界でのキャリア再結合が低減することになり、(3)粒内欠陥密度が低いと、単結晶並みの少数キャリア寿命が得られるし、(4)最適な粒子サイズであれば、高品質な結晶粒内の結晶性となるし、(5)不純物濃度が低いと、同様に、高品質な結晶粒内の結晶性となり、(6)機械的な強度が強いと、薄板加工、ハンドリングが容易となる。
【0022】
本明細書中、出発種結晶として使用する多結晶は、複数の単結晶から形成されたもので、好適な場合、意図した結晶の成長する方向の結晶の方位として単一の結晶方位とされているものが挙げられる。当該多結晶を構成する単結晶の数としては、少なくとも3個以上であるもの、少なくとも4個以上であるもの、少なくとも5個以上であるもの、少なくとも6個以上であるもの、少なくとも7個以上であるもの、少なくとも8個以上であるもの、少なくとも9個以上であるもの、少なくとも10個以上であるものなどが挙げられる。
当該種結晶としては、結晶成長面に少なくとも2以上の粒界を有するものが挙げられる。当該種結晶としては、(1)結晶成長面に少なくとも3以上の粒界を有するもの、(2)結晶成長面に少なくとも4以上の粒界を有するもの、(3)結晶成長面に少なくとも5以上の粒界を有するもの、(4)結晶成長面に少なくとも6以上の粒界を有するもの、(5)結晶成長面に少なくとも7以上の粒界を有するもの、(6)結晶成長面に少なくとも8以上の粒界を有するものなどが挙げられる。結晶を成長させる起点となる面は、成長させる結晶面の表面エネルギーを等価にするようにすることが好ましく、例えば、同一の結晶面となるように選択される。好適な態様では、結晶成長は、結晶の成長する方向の結晶の方位として単一の結晶方位とされて、該結晶成長が当該結晶方向に一方向になされるものである。
本発明は、多結晶材料として太陽電池用結晶、構造材料、磁性材料などの多くの実用化材料に適用でき、シリコンに限られることなく、当該分野で利用されている多結晶材料に広く適用できる。対象多結晶材料は、金属材料、金属間化合物材料、セラミックス材料、半導体材料などを含むものであってよく、その含まれる結晶構造も立方晶構造に限定されることなく、様々な結晶系に応用できる。
また、本発明における粒界制御手法は、太陽電池用シリコンウエハーなど、それ以外の他の多結晶材料(金属、複合材料など)に対しても、適用可能であり、粒界設計による材料の高機能化という新たな材料科学への展開が期待できる。
本発明の対象結晶系としては、元素周期表の典型金属元素、典型非金属元素、遷移金属元素を含む如何なるものであってもよく、所要の目的、作用効果が得られるものであれば特に限定されない。典型金属元素としては、アルカリ金属元素、アルカリ土類検束元素、亜鉛族元素、アルミニウム族元素、炭素族元素、窒素族元素などが挙げられる。典型非金属元素としては、ホウ素元素、炭素族元素、窒素族元素、酸素族元素、ハロゲン元素などが挙げられる。遷移金属元素としては、希土類元素、チタン族元素、土酸金属元素、クロム族元素、マンガン族元素、鉄族元素、白金族元素、銅族元素、ランタノイド、アクチノイドなどが挙げられる。代表的な多結晶構成元素としては、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、炭素(C;ダイヤモンドを含む)、セレン(Se)、テルル(Te)、スズ(Sn)などが挙げられる。多結晶は、化合物から構成されることもでき、例えば、ガリウムヒ素(GaAs)、ガリウムリン(GaP)、インジウムヒ素(InAs)、ガリウムアルミニウムヒ素(GaAlAs)、ガリウムアルミニウムインジウムヒ素(GaAlInAs)、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カドミウム(CdS)、カドミウムセレン(CdSe)、カドミウムテルル(CdTe)、炭化ケイ素(SiC)、酸化ニッケル(NiO)、酸化銅(Cu2O)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaSb、InP、InSb、ZnSe、ZnTe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、PbS、PbSe、PbTe、SnTe、CuGaS2、CuInS2、CuGaSe2、AgInS2、CuInSe2、AgInSe2、CuInTe2、AgInTe2、GeSiなどが含まれていてよい。さらに、鉄(Fe) 、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)などの金属(材料)及びその合金(材料)が含まれていてよい。
【0023】
本発明で利用する出発材料である種結晶を構成する場合の一例の模式図を図4に示す。図4は、同時に、実施例1で使用したSiを利用した結晶成長での種結晶の配置をも説明するものである。図4で結晶Aは、(001)単結晶ウエハーをへき開して得られた薄板で、一方、結晶Bは、(111)単結晶ウエハーをへき開して得られた薄板で、該結晶A(薄板)と結晶B(薄板)とを交互に配置(積層)して、図4の右側端に示された種結晶(粒界はランダム粒界である)を構成する。図4の例では、上の面が結晶成長開始面となり、結晶成長方向は<110>を使用している。
種結晶となるΣ値の高い材料の束ね合わせは、適宜、適切な数のものから構成してよく、例えば、短冊状の薄板を貼り合わせたり、直方体、立方体などを碁盤目状に貼り合わせたり、三角形断面の柱状物を貼り合わせたり、六角形断面の柱状物を貼り合わせたり、あるいは複数の多角形断面の柱状物を互いに組み合わせて貼り合わせたり、円柱内部に円柱を入れた形など、どのような構成であってもよい。例えば、短冊状の8枚を交互に貼り合わせたもの、3枚の短冊を交互に貼り合わせたもの、あるいは4以上の短冊、例えば、4〜20枚の短冊を交互に貼り合わせたもの、碁盤目状、三角断面の貼り合わせ、円柱内部に円柱を入れた形など、適宜、目的などに応じて構成してよい。また、一旦貼り合わせた材料は、それを種結晶とした結晶成長に使用するに適した形状・形態にすることが可能であり、またそうすることが好ましい場合もある。該形態(形状を含む)としては、例えば、円形断面あるいはだ円形断面を有する柱状形態などが挙げられるが、目的の結晶成長が得られるなど所要の目的を達成できる形態に任意に加工してあってもよい。種結晶を構成するのに用いる単結晶片のサイズは任意に設定でき、ミクロンサイズのものから0.1mmのオーダーのもの、さらにはmmのオーダーのもの、あるいはそのディメンジョンの一つのみがcmのオーダーで、他は0.1mmのオーダーあるいはmmのオーダーのものなどが挙げられる。目的に合わせてその単結晶片のサイズは選択できるし、設定できる。
【0024】
ある場合には、種結晶では、目的とする多結晶生成物に比して、相対方位関係がランダムな粒界エネルギーのより高い粒界を有するように構成されればよく、特に特定の値に、例えば、特定のΣ値に制限されるものではない。例えば、種結晶における結晶の交互配置あるいは積層の組み合わせとしては、Σ値がより大きい組み合わせとする場合が挙げられる。すなわち、種結晶である多結晶のΣ値=Xで、生産物である多結晶のΣ値=Yの場合、X>Yとなるように選択する。Σ値としては、Σ5、Σ7、Σ9など、さらにはそれよりも高い数値のΣ値の場合も挙げられてよいが、Σ51、Σ59などという高い数値もあり、そうした高い数値のΣ値の場合も含まれてよい。好適には、粒界エネルギーの第一原理計算結果などを参照にして、粒界エネルギーが大きく、かつ数度ずれたところで、あまり大きく変化しないようなところを選ぶことができる。さらに、結晶構造(対称性)の関係も考慮して、必要に応じて、実験を行うなどして選定できる。
【0025】
本発明技術での、結晶成長法としては当該分野で知られた方法から適宜選択して使用できる。結晶成長法としては、帯域溶融法(Zone Melting)、CZ法、フローティングゾーン(Floating Zone; FZ)法(浮遊帯溶融法)などが挙げられるが、これには限定されない。当該方法に使用される装置は、当該分野で広く知られており、当該公知の装置から適宜選んで使用することも可能である。一般的には、市販の装置を使用できる。当該装置は、制御プログラムを搭載又は搭載可能なコンピュータなどにより、その動作を制御されているものであってよく、ある場合には好ましい場合もある。
結晶成長速度は、所望の目的を達成するように選択でき、例えば、目的結晶成長の制御因子として使用できる。成長速度は、その速度が遅ければ、種結晶の面を引き継いだ成長が起こり、成長速度を上げることで、新しい核成長を促すこととなる。具体的な態様では、結晶成長速度は、通常の場合より速い速度とすることができ、界面での温度勾配として、過冷却が大きく粒界の性格の変化を誘起するような速度を選ぶことができ、例えば、1.0mm/分程度あるいはそれより早い速度とすることができるが、対象結晶を構成する元素あるいは化合物に応じて選択することができる。成長速度は、結晶成長の間にわたって一定である必要はなく、本発明の目的の粒界性格の変化を達成した後はその速度を遅くして、好ましい粒界性格を引く継ぐようにすることもできる。ある場合には、結晶成長速度は、0.3mm/分程度あるいはそれより早い速度、あるいは0.4mm/分程度あるいはそれより早い速度、また0.5mm/分程度あるいはそれより早い速度、あるいは0.6mm/分程度あるいはそれより早い速度、さらに0.7mm/分程度あるいはそれより早い速度、または0.8mm/分程度あるいはそれより早い速度、あるいは0.9mm/分程度あるいはそれより早い速度であってよい。別の例では、結晶成長速度は、0.3〜10.0mm/分、あるいは0.4〜5.0mm/分、また0.5〜3.0mm/分、あるいは0.6〜2.5mm/分、さらに0.7〜2.0mm/分、あるいは0.8〜1.5mm/分であってよい。上記成長速度は、結晶成長開始面での結晶成長速度であってよいし、例えば、結晶成長開始面からある程度成長してから、例えば、結晶成長開始面から約10〜50mm、ある場合には約20〜45mm、又は約25〜40mm程度成長してから、それよりは遅い速度にしてもよく、例えば、0.25mm/分程度あるいはそれより遅い速度、さらに0.2mm/分程度あるいはそれより遅い速度にすることもできる。
【0026】
本発明の技術では、出発種結晶の構成、粒界のシグマ値の選択、結晶成長の方位、結晶成長速度、結晶成長法、結晶成長温度などは、使用結晶材料に応じて、適宜適した条件を選択でき、そうした選択は、生成物の結晶の性状をEBSP法を使用して解析しながら行うことができる。
本発明の多結晶材料形成技術を使用することにより、金属材料、金属間化合物、セラミックス、半導体、高分子材料の結晶界面を制御でき、得られた材料の複合化などにより、多層膜材料・複合材料を開発したり、微細組織の結晶構造制御により超微細化を含めてのナノ材料開発、機械部品の微小化に伴う材料性能・信頼性の向上要求の充足、生体機能・適応機能をもった知的材料(インテリジェント・マテリアル)の開発が可能となる。
本発明の技術で、多結晶粒界面をコントロールして材料の脆弱性を制御したり、微細組織を均一化してその強度を向上せしめたり、さらには、高温変形、超塑性、破壊現象に関わる力学的性能を有利なものとできる。本発明の技術で、多結晶材料の粒界破壊に起因した粒界脆性の制御が可能となる。
【0027】
一つの具体的態様では、太陽電池用結晶、太陽電池セルに使用される多結晶シリコン材料(シリコンのバルク結晶)の製造に本発明の多結晶材料形成技術を適用でき、優れた作用効果が得られる。
該バルク多結晶シリコンの製造においては、意図的に相対方位関係がランダムな粒界エネルギーの高い粒界を有する多結晶を形成し、次に該多結晶を種結晶として、一方向結晶成長を行い、適切な成長条件の下で、粒界エネルギーの高いランダム粒界から、粒界エネルギーの低い粒界を形成する。具体的には、種結晶の配置として、成長方位が[110]であり側面が[100]であるSi結晶と、成長方位が[110]であり側面が[111]であるSi結晶をへき開により作製し、それらを交互に積層することによりランダム粒界を形成したものを作製する。本作製積層体の結晶面間のΣ値は、積層結晶相互の相対的な方位関係として数度のずれに対しても、粒界エネルギーがあまり変化せず、大きな値をとると予測される方位関係を用いることが好ましく、そうすることにより良好な結果を期待できる。各結晶の大きさは、任意の大きさとすることができ、例えば、幅4〜30mm、長さ5〜100mm、厚さが0.1〜2.0mmであり、これらを交互に4〜16枚の積層としたものを用いることができる。代表例では、幅約8mm、長さ約50mm、厚さが約0.4〜0.5mmであり、これらを交互に8枚の積層としたものを用いる。貼り合わせた面のうち、結晶を成長させる起点となる面は、成長させる結晶面の表面エネルギーを等価にするように選択することが好ましい。該結晶成長起点面は、例えば、本例では[110]方位と合せることで、成長する方向の結晶の方位を制御できる。上記のように、貼り合わせた面のうち、結晶を成長させる起点となる面を、表面エネルギーが等価となるように設定することで、成長過程における粒界エネルギーの影響を大きくし、粒界エネルギーの低い界面を持つ多結晶の成長を促進せしめるようにすることができ、好ましい。本例では、例えば、結晶成長起点面は[110]と等価にし、表面エネルギーを等価に設定することにより、成長過程における粒界エネルギーの影響を大きくし、粒界エネルギーの低い界面を持つ多結晶の成長を促進せしめるようにしている。
【0028】
上記種結晶を使用してのシリコン結晶の成長は、公知の結晶成長法を適用できるが、例えば、FZ法で行うことができる。加熱ソースは、公知の有効な手法であれば特に制限なく使用できるが、例えば、リング状のタングステンフィラメントからの電子ビーム、レーザービーム、鏡面を使用した収束光(ハロゲンランプ光を含む)などが挙げられる。通常は、上記種結晶の成長起点面を上向きに配置し、その上に原料となる直径約4〜30mm、例えば、約8mmのSi積層多結晶を対向させて配置させる。原料の多結晶シリコン下部を電子ビームなどの加熱ソースによって溶融させた後、その溶融面を種結晶上部に接触させ、十分に馴染ませた後に、フィラメントを上部に一定速度で移動させて成長を行う方法で結晶成長を行う。成長速度などの条件は、上記したようにして決定でき、代表的には、0.7〜2.0mm/分、あるいは0.8〜1.5mm/分であってよく、例えば、約1.0mm/分の速度となるように制御して行うことができる。
【0029】
複数の単結晶から方位関係を測定して切り出した結晶を束ねることにより人工的な対応粒界を形成した多結晶を作製し、さらに、この結晶を種結晶として、CZ法により、その方位を継承するような成長条件下で結晶成長を行う従来技術では、作製される多結晶の粒界性格の精度は、切り出しの精度により制限され、必ずしも所望の粒界性格が実現されない。例えば、粒界性格の制御には、相対的な方位関係として0.01°以内の精度が必要とされるが、現状の切断技術からは、実現が極めて困難である(種結晶に用いる結晶において、ミクロな結晶面のずれや粒界不整合により、成長したウエハーの粒界面の粒界エネルギーが高い部分が残り、予想した結晶強度のものが得られない)。一方、本発明では、界面エネルギーの非常に小さい性質を持つ多結晶材料を得ることができる。本発明においては、意図的に、所望の粒界の方位関係からは、角度が大きくずれた種結晶から成長を開始して、粒界性格が、粒界エネルギーの小さいものに変化することを利用しているので、切り出しの精度に対する要請は、1°以内でも十分であり、切断精度によらずに、所望の粒界性格を有する多結晶が実現可能である。太陽電池用シリコン多結晶において、本発明の技術を適用し、成長方位が[110]であり、側面が[100]であるSi結晶と、成長方位が[110]であり、側面が[111]であるSi結晶を交互に束ねた結晶束(粒界は面[100]と面[111]とが接して形成されている)を種結晶として、Si多結晶の成長を行って、その結果、粒界性格が全てシグマ3およびシグマ9という粒界エネルギーの小さい粒界に変化したものが得られていることで、その優位性が示される。本発明では、良質な結晶粒界を持つ多結晶体を得ることができる。
【0030】
本発明で得られるバルク多結晶シリコンは、原材料のシリコンの確保という課題(多結晶シリコンのウエハーを薄くすることが強く求められる)を解決するもので、インゴットからスライスする際の厚みを薄くすることが可能(従来では、薄くすることで機械的強度が不足することとなり、加工途中で割れるなどの問題を生じていた)で、コストの低減に寄与し、粒界からの破壊の問題の解決に資することができ、優れた電気的性質を有する粒界を有し(品質が単結晶なみ)、かつ強度が、従来の多結晶よりも強いものである。よって、インゴットからの、薄板切り出しや、その後のハンドリングが容易となり、スライス厚さの低減に材料の側面から寄与できる。かくして、現在、太陽電池産業で課題となっている将来的な原料の確保の問題を解決し、太陽電池産業の拡大とエネルギー問題解決に繋がる。また、本発明における粒界制御手法は、他の多結晶材料(金属、複合材料など)に対しても、適用可能であり、粒界設計による材料の高機能化という新たな材料科学への展開が期待できる。
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。本発明では、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解されるべきである。全ての実施例は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又は実施することのできるものであり、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。
【実施例】
【0031】
本実施例おいては、種結晶の配置として、成長方位が[110]であり側面が[100]であるSi結晶と、成長方位が[110]であり側面が[111]であるSi結晶をへき開により作製し、それらを交互に積層することによりランダム粒界を形成したものを用いた。つまり、側面の面[100]と側面の面[111]とが互いに接して粒界を形成するように貼り合わされている。
この面間のΣ値は41。数度のずれに対しても、粒界エネルギーがあまり変化せず、大きな値をとると予測される方位関係を用いた。各結晶の大きさは、幅8mm、長さ50mm、厚さが0.4から0.5mmであり、これらを交互に8枚の積層としたものを用いた。
貼り合わせた面のうち、結晶を成長させる起点となる面は、成長させる結晶面の表面エネルギーを等価にするように、[110]方位と合せることで、成長する方向の結晶の方位を制御している。また、貼り合わせた面のうち、結晶を成長させる起点となる面は[110]と等価にし、表面エネルギーを等価に設定することにより、成長過程における粒界エネルギーの影響を大きくし、粒界エネルギーの低い界面を持つ多結晶の成長を促進せしめるようにしている。
【0032】
シリコン結晶の成長は、上記の方法で作製した種結晶を用い、電子線フローティングゾーン(Floating Zone; FZ)成長法で行った。加熱ソースは、リング状のタングステンフィラメントからの電子ビームである。上記種結晶の成長起点面を上向きに配置し、その上に原料となる直径8mmのSi多結晶を対向させて配置させた。原料の多結晶シリコン下部を電子ビームによって溶融させた後、その溶融面を種結晶上部に接触させ、十分に馴染ませた後に、フィラメントを上部に一定速度で移動させて成長を行う方法で結晶成長を行った。
成長速度は、1mm/分の速度となるように制御した。
【0033】
上記の方法で成長させた結晶を、種結晶を貼り合わせた断面が見える方向に切断した面を、試料の結晶方位の指数を決定することができるEBSP法(後方散乱電子回折パターン法: Electron Backscatter Diffraction Pattern)により観察を行った。本発明の技術で成長せしめて得られたSi結晶の写真を、図5に示す。その結果、種結晶付近に置ける成長結晶は、種結晶と同じ方位で成長していることがわかった。種結晶近傍断面のEBSPを、図6に示す。更に成長が進んだ、種結晶から20mm程度の付近においては、本発明の意図する粒界整合のよい結晶成長が開始している。それ以降の結晶成長においては、粒界エネルギーの低い、互いに整合性のよい方位を持つ結晶が優先的に成長し、40mm以降の成長した結晶においては、粒界性格のよい結晶が支配的に成長した。本発明の技術で成長せしめて得られたSi結晶の縦断面の方位分布変化をしめすEBSPを、図7に示す。図7の左側に示してあるSi結晶試料の長さ(成長方向の長さ)は約40mmで(粒界は、Σ3とΣ9のみとなっている)、その右側に示してあるほぼ円形の断面積を有する試料の直径は8mmであり、種結晶から約40mmで輪切りした部位のEBSPを示している。図7より明らかな如く、多結晶であるものの、Σ3とΣ9のみの方位関係のみとなっている。これらの界面は自発的な成長により形成されたものであり、欠陥などが存在していない。本実施例での結晶成長速度は、1mm/分である。
【0034】
結晶成長面から40mmの位置で、成長方向に対して垂直に切断した面の方位の分布、および粒界性格の分布を調べた(図8)。その結果、もとの成長面の(110)面は残存してないが、成長した面の粒界は全てΣ3およびΣ9という対応粒界になっていた。この結果は、複数の試料で再現されており、本発明技術手法における粒界性格の良好な多結晶成長が可能であることが明らかである。比較例としての、成長速度0.2mm/分程度の遅い場合は、成長面は種結晶の成長面を継承して(110)が大半であり、ランダム粒界が残存していた。
FZ9及びFZ12は、結晶成長速度約1.0mm/分での生成Si結晶試料であり、FZ13は、結晶成長速度約0.2mm/分での生成Si結晶試料である。
【0035】
図9には、成長したSi結晶試料の結晶の成長方向の方位分布(図9左)とそれに垂直な方位分布(図9右)についてのEBSPを示す。成長方向の分布は、数種類の方位に限定されているが、それは、種結晶の方位が[110]であり、新たに形成された粒界がΣ3であることから幾何学的に説明可能であり、本発明の技術によれば、種結晶の方位を選定することにより、粒界性格に加えて結晶方位も限定できることが明らかである。
図10の左下の模式図は、機械的強度が極めて高いことが理論的に予測される多結晶の組織図を示しているものであるが、同図の右上では、本発明の技術により形成された結晶の粒界性格・方位分布を示し、右下は、その模式図を示すものであるが、非常によく似た組織が形成されていることがわかる。粒界性格がすべて対応粒界であることから、この結晶は太陽電池に加工した場合に優れた特性が得られると予測でき、更に、機械的強度も優れていることが予測できる。機械的強度が強いと、インゴットから薄くスライスして基板化しても、ハンドリングできることとなり、原料の有効活用にも貢献できて、且つ、変換効率の面からも改善が期待でき、コスト的にも非常に有利である。
上記実施例で結晶成長させて得られるシリコン多結晶は、(1)後方散乱電子回折パターン法による観察で実質的に欠陥が存在しない、(2)優れた機械的強度、優れた衝撃抵抗性、インゴットのスライス時での優れた破壊抵抗性、あるいは優れた耐割れ性を示す、(3)10 cm角のキャストセルにおける変換効率(太陽光を電気に変換する効率)18%以上、19%以上、20%以上、21%以上、22%以上、あるいは25%以上を与える、(4) 少なくとも4以上の結晶相からなるなどで特徴付けられるものとしてよい。
通常の技術常識から判断すれば、種結晶から結晶を成長させる場合には、遅い成長速度が有利である。これは、成長する結晶の結晶性や方位を、種結晶の結晶性や方位を十分に引き継いで成長させることにより、良好な結晶性を持つ結晶を得ることができるためである。実験により得られた結果でも、結晶成長速度を遅くした場合には、種結晶の粒界性格をそのまま承継した結晶成長が起こる。このことは、本発明で目的とする、粒界性格の良好な新しい結晶粒の核生成のためには、従来の常識とは逆に、成長速度を大きくし、適度な成長速度により、成長の駆動力である過冷却度をつけることが有効であるあるいは必要であることがわかる。粒界性格を変化させるには、従来とは異なる成長条件で、活性化エネルギー障壁を乗り越えることの重要性、あるいは必要性があることが示唆される。
【0036】
本発明によって得られた良好な粒界性格を持つ多結晶を加工し、種結晶として用いて結晶成長させることにより、結晶界面にΣ値の低いもののみが存在し、欠陥などが非常に少ない多結晶材料を得ることができる。このような多結晶材料は、粒界における未結合手が少ないため、粒界のネットワークとして構成されている多結晶材料のマクロな性質においても、電気的活性度が小さいとか、結晶の強度が高いなどの優れた特性の発現を可能とする。特に太陽電池用のシリコン材料においては、多結晶材料が多く使われているが、その結晶界面でキャリアが再結合する問題がある。本発明の技術によれば、これを改良できる。本発明を実施することにより得られる多結晶シリコン材料においては、従来の多結晶シリコンよりもキャリアの再結合を減少させることが可能である。また、単結晶材料では、ウエハーを薄くしたときに取扱いが難しいという問題があるが、本発明技術では得られる材料の機械的な強度を、従来の単結晶シリコンよりも大きくできる。これにより、ウエハーを薄くしたときに破壊などのプロセス中のトラブルを回避できると期待される。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明により、結晶粒界の性質(粒界性格)分布を制御した多結晶の作製が可能で、多結晶である太陽電池用結晶、構造材料、磁性材料など多くの実用化材料のマクロな諸性質を含めた材料の性質を制御することが可能となる。本発明で、意図的に相対方位関係がランダムな粒界エネルギーの高い粒界を有する多結晶としてものを種結晶として利用して、結晶成長を一方向に行って、粒界エネルギーの高いランダム粒界から、粒界エネルギーの低い粒界を形成せしめるので、例えば、粒界の全てを低シグマ値の対応粒界に揃えることが可能で、形成多結晶材料は、粒界における未結合手が少ないため、粒界のネットワークとして構成されている多結晶材料のマクロな性質においても、電気的活性度が小さいとか、結晶の強度が高いなどの優れた特性の発現を期待できる。
本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載した以外も、実行できることは明らかである。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のものである。
Claims (8)
- 意図的に相対方位関係がランダムな粒界エネルギーの高い粒界でΣ値が少なくとも5以上とされた粒界を有するシリコン多結晶を形成し、次に該シリコン多結晶を種結晶として、一方向結晶成長を行い、粒界エネルギーの高いランダム粒界から、粒界エネルギーの低い粒界を形成することを特徴とするシリコン多結晶材料の製造法。
- 種結晶が、結晶成長面に少なくとも2以上の粒界を有するものであることを特徴とする請求項1記載のシリコン多結晶材料の製造法。
- 種結晶が、結晶成長面に少なくとも5以上の粒界を有するものであることを特徴とする請求項1又は2記載のシリコン多結晶材料の製造法。
- 結晶成長が、結晶の成長する方向の結晶の方位として単一の結晶方位とされて、該結晶成長が当該結晶方向に一方向になされるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一記載のシリコン多結晶材料の製造法。
- 種結晶が、複数の単結晶から形成されたシリコン多結晶であり、結晶の成長する方向の結晶の方位として単一の結晶方位とされており、シリコン多結晶を構成する単結晶の数が、少なくとも3個以上であるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一記載のシリコン多結晶材料の製造法。
- Σ値を高くした結晶界面を有するシリコン多結晶を種結晶として用いて、結晶を成長せしめて、Σ値の低い粒界面を持つシリコン多結晶を得ることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一記載のシリコン多結晶材料の製造法。
- 結晶成長開始面での結晶成長速度が、0.3mm/分以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一記載のシリコン多結晶材料の製造法。
- 種結晶の配置として、成長方位が[110]であり側面が[100]であるSi結晶と、成長方位が[110]であり側面が[111]であるSi結晶を、面[100]と面[111]とが接するように交互に積層することによりランダム粒界を形成したものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一記載のシリコン多結晶材料の製造法。
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