JP4885380B2 - 液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、時計、携帯電話、オーディオ、電子機器等に使用される液晶表示装置に関し、液晶表示装置の輝度を向上する構成に係るものである。詳しくは、使用環境の光である外光を利用する反射型表示と、バックライト等の照明光を利用する透過型表示との両方の表示が可能な液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置に用いられる液晶パネル(LCD)は、一般に、TN(ツイステッドネマティック)型またはSTN(スーパーツイステッドネマティック)型の液晶が用いられ、液晶分子がツイスト配向した液晶層を挟んで互いに対向する2枚の基板を主要な構成としている。そして、液晶パネルの前面側と背面側にはそれぞれ偏光板が配置されている。このような構成の液晶表示装置は、電界や電流や温度上昇によって液晶分子の配列状態や相変化が起こり、液晶状態での光の干渉、散乱、回折、旋光、選択散乱、吸収などの光学的性質が変化することを表示の動作原理としているものである。そして、それぞれの基板に画素を形成するために設けられた電極間に電圧を印加して液晶層を制御することにより、表示を実現している。また、液晶パネルは非発光性のため、一般には反射板やバックライトが用いられている。
【0003】
液晶表示装置には、明所でも暗所でも表示が観察できるように、自然光や室内光等の外光を利用する反射型表示と、バックライトからの照明光を利用する透過型表示との両方の表示モードを行うものがある。このような液晶表示装置の構成としては、液晶パネルの背後に半透過板とバックライトを備えた構成が一般的に知られており、半透過型の表示装置と称されている。
以下に、半透過型のSTN液晶表示装置の構造について、図9、10を参照して説明する。図9は外光を利用して表示を観察する反射型表示の場合を示し、図10はバックライトの照射光を利用して表示を観察する透過型表示の場合を示している。
【0004】
図示するように、液晶パネル3は液晶層を挟んで対向する基板により構成されており、この液晶パネル3の上側に上偏光板1が、下側に下偏光板4がそれぞれ設けられている。上偏光板1と下偏光板4は、それぞれ特定方向の直線偏光のみを選択的に透過または吸収するものである。
【0005】
ここで、液晶パネル3の光学的異方性を補償する補償板2が、上偏光板1と液晶パネル3の間に設けられている。この補償板2はSTN型液晶装置では一般的に使用されている。また、下偏光板4の背後には半透過板5が設けられ、さらにその半透過板5の背後にバックライト6が設けられている。
【0006】
このような構成の液晶表示装置において、外光を利用して液晶パネル3を表示させる場合には、図9に示したように、上偏光板1に入射した入射光は、補償板2、液晶パネル3、下偏光板4を通過し、そのうちの一部の光は半透過板5で反射される。半透過板5で反射された光は、再度、下偏光板4、液晶パネル3、補償板2、上偏光板1を通って観察者に届く。これにより、液晶パネル3に表示された情報を見ることができる。
【0007】
次に、バックライトの光を利用して液晶パネル3を表示させる場合を図10に基づいて説明する。バックライト6が照射する照明光の一部は半透過板5を通過する。この通過した光はさらに下偏光板4を透過して液晶パネル3にその背面から入射され、表示パネルの前方に出射される。出射された光は、補償板2、上偏光板1を通過して観察者に届く。これにより、液晶パネル3に表示された情報を見ることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
外光とバックライト光の両方を利用できるように、反射と透過を行う半透過板を使用した液晶表示装置では、以下のような問題点があった。すなわち、半透過板の反射の割合を高めると透過の割合が低くなるため、外光を利用するときは明るくなるが、バックライトを使用するときは暗くなる。逆に、半透過板の透過の割合を高めると反射の割合が低くなるため、バックライトを利用するときは明るくなるが、外光を使用するときは暗くなる。このように、上述の構成の液晶表示装置では、外光とバックライトの双方に対して、共に明るくすることができないという問題点があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、互いに対向する基板間に液晶が挟持された液晶表示素子と、液晶表示素子の視覚側と背後にそれぞれ設けられた上偏光板および下偏光板と、下偏光板の背後に設けられたバックライトを備える液晶表示装置において、特定角度範囲で入射した光を散乱し、それ以外の角度で入射した光を透過する指向性拡散層を、下偏光板とバックライトの間に設ける構成とした。このような構成により、特定角度範囲の入射角で入射する外光ならびにバックライトからの照明光をともに効率よく利用して表示することが可能になる。そのため、輝度の高い、明るく表示品位の良い液晶表示装置が簡単な構成で容易に実現できる。
【0010】
次に、指向性拡散層により散乱された散乱光が特定方向に指向性をもって集光するように指向性拡散層を構成した。このような構成により、特定方向に光が効率よく集光されることとなる。そのため、特定方向から観察したときに極めて明るい、高輝度の表示が可能になる。
【0011】
次に、指向性拡散層は、指向性拡散層を通過した拡散光を集光する方向が液晶表示素子の最適視角と一致するように構成されることとした。このような構成により、最適視角に光が効率よく集光されることとなる。そのため、最適視角で観察したときに極めて明るい表示が実現できる。
【0012】
さらに、指向性拡散層とバックライトとの間に、特定方向の直線偏光のみを透過しそれ以外の光を反射する反射偏光子を設ける構成とした。このような構成により、従来観測者が観測できなかった成分の光が、反射偏光子による反射、あるいは、反射偏光子とバックライト間の多重反射によって、液晶表示素子の前面側へ射出される可能性が生じることになる。すなわち、従来は観測者が観測できなかった成分の光が、液晶表示装置からの散乱光の一部として利用できることとなるため、さらに光の利用効率が高くなり、より高輝度の表示が実現できる。
【0013】
また、反射偏光子の透過軸方向と下偏光板の透過軸方向を平行に一致させることとした。このような構成により、指向性反射フィルムの透過やバックライトでの反射により偏光方向が変換されてしまった成分が、反射偏光子による反射、あるいは、反射偏光子とバックライト間の多重反射によって、液晶表示素子の前面側へ射出され。液晶表示装置からの散乱光の一部として利用できることとなる。そのため、さらに光の利用効率が高くなり、より高輝度の表示が実現できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明による液晶表示装置は、互いに対向する基板間に液晶が挟持された液晶表示素子と、液晶表示素子の視覚側に設けられた上偏光板と、液晶表示素子の背後に設けられた下偏光板と、下偏光板の背後に設けられたバックライトとを備えるとともに、特定角度範囲で入射した光を散乱し、それ以外の角度で入射された光を透過する指向性拡散層を下偏光板とバックライトの間に設ける構成とした。このような構成の液晶表示装置を外光により観察する場合、特定角度範囲で入射した光は指向性拡散層で散乱される。指向性拡散層は特定角度範囲で入射した光を散乱させ、その散乱光を特定方向に向ける機能を有している。そして、指向性拡散層の構成を変えることにより、その散乱光が指向する方向を調整することができ、指向性拡散層の特性が任意に設定できる。したがって、液晶表示素子の視角方向に適応するように指向性拡散層の指向方向を設定することによって、液晶表示素子の視角方向で最も効率よく明るくすることが可能になる。
【0015】
さらに、指向性拡散層とバックライトとの間に、特定方向の直線偏光のみを透過しそれ以外の光を反射する反射偏光子を設ける構成とした。このような構成により、従来観測者が観測できなかった成分の光が、反射偏光子による反射、あるいは、反射偏光子とバックライト間の多重反射によって、下偏光板を通過して液晶表示素子に入射され、液晶表示素子の前面側へ射出されることになる。すなわち、従来観測者が観測できなかった成分の光が、液晶表示装置からの散乱光の一部として利用できることとなる。そのため、透過表示モードや反射表示モードの場合でも、さらに光の利用効率が高くなり、より高輝度の表示が実現できる。
【0016】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明にかかる液晶表示装置の実施例を説明する。
【0017】
(実施例1)
図1及び図2は、本実施例における液晶表示装置の断面構造を示す模式図である。特に、図1は外光を利用した状態を示し、図2はバックライトによる照明光を利用した状態を示す。
【0018】
図示するように、液晶が封入された液晶パネル3の上側に上偏光板1が、下側に下偏光板4がそれぞれ設けられている。ここで、液晶パネル3は液晶を透明基板に挟持させた構造で液晶分子をツイストさせた液晶表示素子である。また、STN型の液晶層を液晶パネルに用いた場合には、液晶パネルの光学的異方性を補償する補償板が上偏光板1と液晶パネル3の間に設けられる。下偏光板4の背後に指向性拡散層として指向性拡散フィルム7が配置される。さらに、指向性拡散フィルム7の背後にバックライト6を配置する。以下には、STN型の液晶表示素子を具体的に説明するが、TN型の液晶表示素子を用いた場合でも補償板の作用を除いて基本的に同一である。
【0019】
上偏光板1、補償板2及び下偏光板4は、液晶表示素子3の光学異方性を補償する角度に配置させる。液晶表示素子は、ほぼ正面が最適な視角となるように設定され、最適視角の前後15度くらいの視角範囲で観察できるように設計されている。そのため、指向性拡散フィルム7には、厚み方向(法線方向)からの入射光に対してはほぼ透過し、入射角5〜15度の光に対しては効率よく厚み方向すなわち指向性拡散フィルム7の正面に拡散光を集め、臨界角度である約20度以上の入射光に対してはほぼ透過する特性を持つものを利用する。指向性拡散フィルムはフィルム母材中に母材とは異なる屈折率の部位を設けた構成であり、例えば、フォトポリマーにマスクを用いて部分的に感光させることによって作成される。このように作成されたポリマーフィルムは、感光部と非感光部で屈折率が異なるため指向性拡散フィルムとしての機能を備えるようになる。バックライト6には白色光を発光するLEDを光源とするバックライトを使用した。一般に、バックライトは図8に示すように、光源11からの照射光をその前面に導く導光板12と、導光板の背後に設けられた反射層13と、導光板から出る光を拡散して輝度ムラを抑えるために設けられた拡散板14を備えている。導光板にはその上側あるいは反射層側に光を均一に照射するための処理を施しても良い。
【0020】
このような構成の液晶表示装置を、液晶表示装置のほぼ正面から(すなわち、法線方向から)外光を利用した反射モード表示で観察する場合について図1を用いて説明する。外部から入射した光は上偏光板1、補償板2によって偏光分離、楕円偏光変換が行われ、液晶表示素子3によって直線偏光に戻され、入射した角度をほぼ維持しつつ下偏光板4から出射される。出射された光のうち、一部の光は指向性拡散フィルムの界面で反射され、残りの光は指向性反射フィルムを通過する。このとき、指向性反射フィルム7の作用により通過した光は拡散光となるとともに、指向性拡散フィルム7の厚み方向(法線方向)へ集められる。このようにして指向性反射フィルムを通過した光はバックライト6の表面または反射層で反射され、再び指向性拡散フィルム7を通過する。このときにも通過する光は指向性拡散フィルムの厚み方向(法線方向)へ集められ、法線方向に対してほぼ0度で下偏光板に入射する。ここで、最初に指向性反射フィルムを通過した段階でバックライト6にほぼ法線方向から入射するように集められた光もあり、この光はそのままバックライトの表面または反射層で反射される。この反射光は指向性拡散フィルム7の法線方向に対してほぼ0度で指向性拡散フィルムに入射するため、効率良く指向性拡散フィルム7を透過する。いずれにしろ、再度指向性拡散フィルムを通過して下偏光板に向かう光は、法線方向に対してほぼ0度で下偏光板に入射することになる。そして、下偏光板4、液晶表示素子3、補償板2を入射したときと逆の変換が行われ、上側偏光板1より出射される。このように、指向性拡散フィルムの臨界角以内で液晶表示装置に入射する外光は法線方向(この場合、液晶表示素子の視角方向、すなわち、観測方向)に集められて出射することになる。
【0021】
上述したように、外光は効率良く液晶表示装置の法線方向に集められるので、外光を利用した反射モードで明るい表示が実現でき、良好な表示特性を得ることができる。
【0022】
また、ここでバックライトの表面に拡散板が設けられていると、液晶表示素子を通過した入射光はバックライトの表面(すなわち、拡散板の表面)で拡散反射することになるため、液晶層と反射部位の距離が小さくなリ、いわゆる視差を減少する効果が生じる。そのため、影のない表示が実現できる。
一方、バックライトの表面に拡散板が設けられていない場合、すなわち、導光板が露出している場合には、導光板の厚み分の視差は生じるものの、指向性拡散フィルムで集光された光が拡散板で拡散することがないため、指向性拡散フィルムの集光効果が妨げられることがなくなる。そのため、非常に明るい表示が実現できる。
【0023】
また、バックライトに用いる導光板は位相差が少ない方が良い。導光板には偏光板により直線偏光された光が入射する。導光板に位相差があると導光板で楕円偏光に変換されて反射層により反射され、再度偏光板を通過する際に着色されることになる。その結果、位相差がある部分だけ暗くなってしまう。特に、バックライトに拡散板が設けられていない場合には、この現象が顕著に目立つようになるので、導光板に位相差が少ないことが必要となる。
通常、導光板は光源からの照射光(すなわち、横方向の光)を導いて前面全体から出射する。したがって、均一に面発光させるために、導光板に横方向からの光を拡散させる機能を持たせることもある。しかしながら、本発明のように指向性拡散フィルムをバックライトの前面側に設ける場合には、導光板はその厚み方向に散乱のない透明なものが好ましい。導光板に散乱性があると、指向性拡散フィルムで集光された入射光が散乱してしまい、指向性拡散フィルムの集光効果を妨げることになるため、表示が暗くなってしまう。導光板に散乱特性がなければ指向性拡散フィルムの集光効果が有効に働くこととなり、極めて明るい表示が実現できる。
【0024】
また、バックライトの反射層は鏡面が良い。指向性拡散フィルムで集光された光が鏡面反射されて再度指向性拡散フィルムに入って集光されるので、視角方向で特に明るくなる。鏡面でない反射層、例えばマットの反射層だと、反射の際に指向性拡散フィルムで集光された光が散乱してしまい、集光効果が落ちることになる。
【0025】
以上のことから、バックライトは拡散板を用いずに構成し、バックライトの導光板には位相差が少なく、また、厚み方向に散乱性のないものを用い、導光板の背面に鏡面反射層を設けることにより、指向性拡散フィルムの機能が十分に生かせることとなり、反射モードの表示を極めて明るくすることができる。このような構成として散乱する部位を極力少なくすると特定方向から観察してピンポイントで極めて明るい表示となる。ある程度の視角範囲で明るくするには、散乱する部材を部分的に用いればよい。例えば、バックライト表面に拡散板を設けたり、マット反射層を用いる構成により、明るさ(輝度)の最大値は劣るものの明るく観察できる範囲(視角範囲)は広がることになる。
【0026】
次に、本発明の構成の液晶表示装置において、バックライトの照射光を使用した透過モードの表示の場合を図2に基づき説明する。
【0027】
バックライト6からの照明光のうち、法線方向に出射された成分はほぼそのまま指向性拡散フィルム7を通過する。法線方向以外の成分のうち0度〜20度で入射した照明光は、指向性拡散フィルム7によって拡散光に変換されると共に、法線方向に集められる。その結果、バックライト6からの照明光の大部分は下偏光板4に法線方向から入射されることとなる。入射された照明光は下偏光板4によって直線偏光に変換され、液晶パネル3で楕円偏光変換、さらに補償板2で直線偏光変換され、上偏光板1から出射される。その結果、バックライトからの光は効率良く液晶表示装置の法線方向に集められる。そのため、バックライトの照明光を利用した透過モードでも明るい表示が得られ、良好な表示特性を実現できた。
このように、本願発明の構成、すなわち、液晶表示素子の背後に設けられた下偏光板とバックライトとの間に、特定角度範囲で入射した光を散乱し、それ以外の角度で入射された光を透過する指向性拡散層を設ける構成によれば、反射表示でも透過表示でもともに明るい表示が可能になる。
【0028】
ここで、本実施例に用いた指向性拡散フィルムを簡単に説明する。図5は、本発明に係る指向性拡散フィルムの構造を示すものである。図6は指向性拡散フィルムに入射した光の光路を模式的に表している。指向性拡散フィルム7は、フォトポリマーの材質を元に、感光されていない非感光部60と感光により生じた感光部50とが隣接するように構成される。感光部50は、厚み方向に筒上に延びた形状である。感光部50と非感光部60とは互いに屈折率が異なっている。そのため、図6に示すように、感光部50に臨界角以内から入射した光80は非感光部60との界面で反射を繰り返して、光80は法線方向に寄せ集められた散乱光となる。また、厚み方向に対して垂直に入射した光70は、感光部50で屈折されることなく感光部50を透過する。一方、臨界角度を越えて入射された光90は、その入射された角度のまま感光部50と非感光部60を透過する。このように、図5及び図6の構成の指向性拡散フィルムによれば、臨界角以内の入射光を効率よく法線方向に集められる。
【0029】
ここで、感光部と非感光部の屈折率の差を変えることにより、臨界角を変えることができる。また、感光部50の分布密度、レイアウト、あるいは、径や長さ等の寸法を調整することで、散乱度や指向方向を任意に設定することが可能である。
【0030】
次に、本実施例で用いた指向性拡散フィルムの光学的特性について説明する。図7は、光の入射角度に対するフィルムの透過性を表しており、光の入射角度を横軸、透過率を縦軸としている。ここで、指向性拡散フィルム7に対して垂直に入射する光を入射角度の0度の光とする。また、0度からある方向をプラス、反対の方向をマイナスとする。図示するように、指向性拡散フィルムは入射角ゼロ度の光に対して高い透過率を示し、入射角が大きくなるにしたがって透過率が低下し、散乱性が大きくなる。そして、入射角度が10度付近で透過率は最小になり、散乱性が最大となる。さらに入射角度が大きくなると、徐々に透過率は上昇し、入射角度が20度を超えると透過率は急激に上昇し、それに連れて散乱性が失われていく。この角度が臨界角度である。したがって、臨界角度の20度から90度の入射角度で指向性拡散フィルムに入射した光は、殆ど散乱されずに透過する。マイナス側もプラス側と対称的な特性を示す。
【0031】
すなわち、本実施例で用いた指向性拡散フィルムは、入射角0度近傍から入射する光に対してはほぼ透過し、入射角5〜15度の光に対しては効率よく散乱・集光し、臨界角度である約20度以上の入射光に対してはほぼ透過する特性を持っている。このように、透過率が低く散乱性が高い入射角範囲が液晶表示素子の視角範囲に合うように指向性拡散フィルムを設定する。
【0032】
上述した特性の指向性拡散フィルム7を液晶表示装置に用いると、既に図1を用いて説明したように、下偏光板4を通過した光は指向性拡散フィルム7により一部は反射され、残りは指向性拡散フィルム7を通過してバックライト6で反射される。このとき、図7に示した特性から、下偏光板4を通過して0度から20度で指向性拡散フィルムに入射した光は指向性拡散フィルムにより散乱・集光されてバックライト6に向かい、バックライトで反射され、再度指向性拡散フィルムを通過する際に0度方向に集光される。そして、指向性拡散フィルム7による反射光とバックライト6での反射光が合成されて、下偏光板4、液晶パネル3、補償板2、上偏光板1を通って観察者に認識される。このように、上偏光板1の上方に現れる散乱光に指向性を持たせることができるので、外光を利用した反射表示の場合に特に明るくすることができる。
【0033】
(実施例2)
実施例1の指向性反射フィルム7とバックライト6の間に反射偏光子8を用いた構成の液晶表示装置を図3、4に示す。反射偏光子8は入射した光のうち特定方向の直線偏光のみを選択透過、または選択反射する特性を持っている。下偏光板4の透過軸と反射偏光子8の選択透過される軸方向を変化させることにより、反射偏光子で透過する光と反射する光との割合を任意に変えることができる。本実施例2においては下偏光板の透過軸と反射偏光子の透過軸が平行、すなわち0度になる角度で配置した。
【0034】
上記の構成の液晶表示装置を外光による反射モードの表示で観察する場合について、図3を用いて説明する。外部から入射した光は上偏光板1、補償板2によって偏光分離、楕円偏光変換が行われる。そして、液晶パネル3によって直線偏光に戻され、下偏光板4に入射される。下偏光板4からは下偏光板に入射した角度をほぼ維持しつつ出射される。出射された光のうち、一部の光は指向性拡散フィルム7の界面で拡散反射され、残りの光は指向性反射フィルム7を通過する。このとき、指向性反射フィルムを通過した光は指向性反射フィルムの作用により拡散光となると共に、指向性拡散フィルム7の厚み方向と同一方向(すなわち、入射角度が小さくなる方向)へ集められる。ここまでは実施例1と同様な作用効果であるが、本実施例2では、指向性拡散フィルム7とバックライト6との間に反射偏光子8が配置されている。この反射偏光子8はその選択透過軸が下偏光板の透過軸と平行になるように設定されている。このため、下側偏光板4で作られた直線偏光成分の中で、指向性反射フィルム7によって偏光方向が変換されてしまった光は反射偏光子8を透過できない選択反射成分となり、反射偏光子で反射され、液晶表示装置からの散乱光10の一部として利用できるようになる。
また、反射偏光子を透過した光のうちバックライト6での反射の際に偏光方向が変換された成分がバックライト6と反射偏光子8との多重反射の中で再び利用できることになる。したがって、実施例1に記載の液晶表示装置の反射モードでの光の利用効率から更に外光を有効に利用できるようになる。
【0035】
次に、本発明の構成の液晶表示装置において、バックライトを使用した透過モードの場合を図4に基づき説明する。バックライト6から出射された光のうち、下偏光板4の透過軸方向の光については反射偏光子8で選択透過される。反射偏光子を透過しなかった光はバックライト6側方向に選択反射され、バックライト6で再び反射される。このように、理論的には反射偏光子を透過しなかった光は反射偏光子の透過軸になるまでバックライト6と反射偏光子8との間で多重反射を繰り返すことになる。すなわち、バックライト6と反射偏光子8との多重反射を繰り返すうちにバックライト6の光成分の大部分は、下偏光板を通過する偏光軸の光となって液晶パネルを経由して観測者側に射出されることとなる。したがって、液晶表示装置のバックライト点灯時での視認性確保に利用できるようになる。すなわち、実施例1での効果の他に、バックライトからの照明光の利用効率を更に改善することができる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による液晶表示装置によれば、特定角度で入射して光を散乱し、それ以外の角度で入射された光を透過する指向性拡散フィルムを下偏光板とバックライト間に設けることにより、特定角度で入射した光を散乱することができ、輝度を向上させることができる。
【0037】
また、散乱光が特定方向に指向性を有することにより、指向性を高めることができ、輝度を高めることができる。
【0038】
また、特定方向を視覚方向と一致させることにより、ユーザーが液晶表示装置を見たときに、ユーザーが視認する際の輝度を向上させることができる。
【0039】
また、反射偏光子を指向性拡散フィルムとバックライトの間に設けることにより、バックライトの光をより指向性拡散フィルムに集光することができるので、輝度を向上させることができる。
【0040】
したがって、反射時、透過時とも明るく表示品位の良い液晶表示装置を提供できる。それによって、民生品市場で液晶表示装置が多用されているカメラ、携帯電話、時計をはじめとする電子機器分野で商品価値を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る液晶表示装置の断面構成を模式的に示す図である。特に、外光を利用した反射表示の場合の光路を模式的に表す図である。
【図2】本発明の第1実施例に係る液晶表示装置の断面構成を模式的に示す図である。特に、バックライトを利用した透過表示の場合の光路を模式的に表す図である。
【図3】本発明の第2実施例に係る液晶表示装置の断面構成を模式的に示す図である。特に、外光を利用した反射表示の場合の光路を模式的に表す図である。
【図4】本発明の第2実施例に係る液晶表示装置の断面構成を模式的に示す図である。特に、バックライトを利用した透過表示の場合の光路を模式的に表す図である。
【図5】指向性拡散フィルムの構造を模式的に示した図である。
【図6】指向性拡散フィルムの作用を模式的に示した図である。
【図7】指向性拡散フィルムの可視角度と透過率の関係を示した図である。
【図8】バックライトの断面構成を模式的に表す図である。
【図9】従来の液晶表示装置の構成を示す模式的断面図である。外光を利用したときの状態を模式的に示した図である。
【図10】従来の液晶表示装置の構成を示す模式的断面図である。特に、バックライトを利用したときの模式的に示した図である。
【符号の説明】
1 上偏光板
2 補償板
3 液晶パネル
4 下偏光板
5 半透過反射板
6 バックライト
7 指向性拡散フィルム
8 反射偏光子
10 液晶表示装置からの出射光
50 感光層
60 非感光層
Claims (3)
- 互いに対向する基板間に液晶が挟持された液晶表示素子と、
前記液晶表示素子を挟むように設けられた上偏光板および下偏光板と、
前記下偏光板の背後に設けられた導光板と、前記導光板の側方に設けられた光源と、前記導光板の背後に設けられた鏡面反射層を有するバックライトと、
前記下偏光板と前記導光板の間に設けられ、特定角度範囲で入射した光を散乱し、それ以外の角度で入射された光を透過する指向性拡散フィルムと、
前記指向性拡散フィルムと前記導光板の間に設けられた特定方向の直線偏光のみを透過する反射偏光子と、を備え、
前記反射偏光子の透過軸方向と前記下偏光板の透過軸方向が一致するとともに、
前記指向性拡散フィルムは、フィルム母材を厚み方向に貫通するように、該母材とは屈折率の異なる筒状の部位が分布して形成された構成であり、前記指向性拡散フィルムによって散乱された散乱光は前記液晶表示素子の視角方向に指向性を持つことを特徴とする、
前記バックライトで反射した外光を利用して反射表示が可能な半透過型の液晶表示装置。 - 前記導光板と前記液晶表示素子との間に拡散板が設けられていないことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
- 前記導光板が位相差を持たないことを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
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