JP4884756B2 - 蓄電池用電槽およびその成形方法 - Google Patents
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Description
本発明は、射出成形法により、複数のセル室間が目の字状に設けた隔壁で区画されている蓄電池用電槽、および該電槽の成形方法に関するものである。
従来の合成樹脂からなる蓄電池用電槽は、図３に示すように図示しない射出ゲート（射出ゲート跡３５）を電槽３０の底部であって、隔壁３３となる部分に位置させ、該ゲートから樹脂を注入する方法（特許文献１参照）や、図４に示すように隔壁４３と隔壁４３とに挟まれたセル室４４となる底面中央部に射出ゲート（射出ゲート跡４５）を位置させ、該ゲートから樹脂を注入する方法（特許文献２参照）が提案されている。
特開昭５１―１００２３７号公報
特公昭４８―３６９２９号公報
しかしながら、このような蓄電池用電槽の成形方法、特に図４に示す成型では、外壁に隣接する（最端部に位置する）隔壁４３（ｚ）に対する樹脂の回り込み性能が悪く、該隔壁にしばしば割れが入り、成形品を金型から取り出す際にその一部が金型内に残ってしまい、後工程に支障を来すことがあり、作業性、歩留りが悪くなる不具合が発生していた。
本発明者はかかる不具合の原因を具に調べたところ、電槽の外壁の厚さとセル室を区画する隔壁との厚さが相違し、壁の厚さが厚い外壁側ほど注入樹脂の流れ抵抗が少ないために多くの樹脂が抵抗の少ない外壁側に流れ、成形時に内部のコア（図示せず）が内側に押されることにより、隔壁４３（ｚ）の厚さが薄くなって強度が不足し、金型から取り出す際に割れが発生することを突き止め、本発明に到達した。
本発明者はかかる不具合の原因を具に調べたところ、電槽の外壁の厚さとセル室を区画する隔壁との厚さが相違し、壁の厚さが厚い外壁側ほど注入樹脂の流れ抵抗が少ないために多くの樹脂が抵抗の少ない外壁側に流れ、成形時に内部のコア（図示せず）が内側に押されることにより、隔壁４３（ｚ）の厚さが薄くなって強度が不足し、金型から取り出す際に割れが発生することを突き止め、本発明に到達した。
本発明の目的は、隔壁は勿論、外壁も良好に形成された蓄電池用電槽を提供すること、並びに該電槽を効率よく製造する蓄電池用電槽の成形方法を提供することである。
本発明に係わる蓄電池用電槽は、射出成形法により、外壁内に目の字状に設けた隔壁で区画されて複数のセル室が形成されている蓄電池用電槽であって、前記電槽の底面には、セル室の中央部に位置する第１射出ゲート跡と、端部のセル室と該端部セル室に隣接するセル室とを区画する隔壁の位置に第２射出ゲート跡とを有していることを特徴とする。
本発明に係わる蓄電池用電槽の成形方法は、射出成形法により、外壁内に目の字状に設けた隔壁で区画されて複数のセル室が形成されている蓄電池用電槽の成形方法であって、前記電槽底面のセル室中央部となる位置に第１射出ゲートを設け、端部のセル室と該端部セル室に隣接するセル室とを区画する隔壁となる位置に第２射出ゲートを設け、前記第１、第２の射出ゲートから樹脂を射出して前記蓄電池用電槽を成形することを特徴とする。
本発明は、端部に位置するセル室と該端部セル室に隣接するセル室とを区画する隔壁となる位置に第２射出ゲートを設け、成形時に該隔壁に樹脂が素早く確実に注入されるように射出ゲートを配置したので、該隔壁が設計どおりの肉厚に成形され、従って、隔壁に割れが発生せず、金型から容易に取り出することができ、隔壁間で肉厚に差のない蓄電池用電槽を提供することができる。
本発明によれば、隔壁に割れの発生しない良好な蓄電用電槽を成形でき、提供することができる。
本発明を、図１に示す本発明の一実施形態に基づき説明する。
図１（イ）は蓄電池用電槽１の底面図、図１（ロ）はその一部欠裁側面図である。蓄電池用電槽１は外壁２と隔壁３とによって目の字状にセル室４が形成されている。蓄電池用電槽１は一般に外壁２の厚さがセル室４を区画する隔壁３の厚さより厚く構成されている。
かかる蓄電池用電槽１は射出成形法で成形されており、射出成形で樹脂が注入される射出ゲートが配置された位置に射出ゲート跡５、６が残されている。
本実施形態では、図示するように各セル４の底面中央に第１射出ゲート跡５が、端部のセル室４（ｚ）と該端部セル室４（ｚ）に隣接するセル室４（ｙ）とを区画する隔壁３（ｚ）の位置に第２射出ゲート跡６が残されている。
図１（イ）は蓄電池用電槽１の底面図、図１（ロ）はその一部欠裁側面図である。蓄電池用電槽１は外壁２と隔壁３とによって目の字状にセル室４が形成されている。蓄電池用電槽１は一般に外壁２の厚さがセル室４を区画する隔壁３の厚さより厚く構成されている。
かかる蓄電池用電槽１は射出成形法で成形されており、射出成形で樹脂が注入される射出ゲートが配置された位置に射出ゲート跡５、６が残されている。
本実施形態では、図示するように各セル４の底面中央に第１射出ゲート跡５が、端部のセル室４（ｚ）と該端部セル室４（ｚ）に隣接するセル室４（ｙ）とを区画する隔壁３（ｚ）の位置に第２射出ゲート跡６が残されている。
図１に示す蓄電池用電槽１を成形するには、例えば図２に示す金型２０で成形する。図２（イ）は金型２０の底面図、図２（ロ）はその一部欠裁側面図である。金型２０は金型２０内に樹脂を射出注入する射出ゲート２５、２６を金型２０の底面に備えている。該射出ゲート２５の配置は、図２に示すように、成形する各セル４となるセル底面中央に配置され、第２射出ゲート２６は、成形する端部のセル室４（ｚ）と該端部セル室４（ｚ）に隣接するセル室４（ｙ）とを区画する隔壁３（ｚ）の下（底面）に配置され、これらの射出ゲート２５、２６から例えばポリプロピレン樹脂を金型２０内に射出注入して成形する。
このように、第１射出ゲート２５を成形する各セル４の底面中央に配置することで成形される電槽１の中間に位置する各隔壁３を成形する隔壁形成部２３には均等に射出圧が作用して全体に均等に樹脂が注入される。一方、第２射出ゲート２６を成形する端部のセル室４（ｚ）と該端部セル室４（ｚ）に隣接するセル室４（ｙ）とを区画する隔壁３（ｚ）の下（底面）に配置することにより、肉圧が厚く設計されている外壁を成形する外壁形成部２２への樹脂の供給で最外層のセル室４（ｚ）の底面中央に配置された第１射出ゲート２５（ｚ）から射出される樹脂の流れが抵抗の小さい外壁形成部２２へ流れてしまうのを、第２射出ゲート２６から射出される樹脂で補給し、補給される樹脂が最外位置にある隔壁形成部２３（ｚ）に優先的に供給されるので、最外位置にある隔壁３（ｚ）にも十分に樹脂が注入供給され、全ての隔壁の厚さが均等に成形することができる。
本実施形態の具体例を説明する。
＜実施例１＞
図１に示す平行する５つの隔壁３で目の字状に区画した６つのセル室４を有する蓄電池用電槽１を成形する。成形する電槽１の外壁の厚さは３．０ｍｍ、隔壁の厚さは１．６ｍｍに設定されている。
第１射出ゲート２５、第２射出ゲート２６の配置は図２に示すように、第１射出ゲート２５を成形する各セル４の底面中央に配置し、第２射出ゲート２６を、図２において左右に位置する端部のセル室４（ｚ）と該端部セル室４（ｚ）に隣接するセル室４（ｙ）とを区画する隔壁３（ｚ）を成形する位置に配置し、これらの射出ゲート２５、２６からポリプロピレン樹脂を金型内に射出注入し、成形した。
樹脂注入後、注入した樹脂が冷えたところで金型から取り出し、図１に示すように第１射出ゲート跡５、第２射出ゲート跡６が残る電槽１を完成した。
このようにして、電槽１を１０，０００個成形し、隔壁の割れを中心に不具合を検査した。その結果を表１に示す。
＜実施例１＞
図１に示す平行する５つの隔壁３で目の字状に区画した６つのセル室４を有する蓄電池用電槽１を成形する。成形する電槽１の外壁の厚さは３．０ｍｍ、隔壁の厚さは１．６ｍｍに設定されている。
第１射出ゲート２５、第２射出ゲート２６の配置は図２に示すように、第１射出ゲート２５を成形する各セル４の底面中央に配置し、第２射出ゲート２６を、図２において左右に位置する端部のセル室４（ｚ）と該端部セル室４（ｚ）に隣接するセル室４（ｙ）とを区画する隔壁３（ｚ）を成形する位置に配置し、これらの射出ゲート２５、２６からポリプロピレン樹脂を金型内に射出注入し、成形した。
樹脂注入後、注入した樹脂が冷えたところで金型から取り出し、図１に示すように第１射出ゲート跡５、第２射出ゲート跡６が残る電槽１を完成した。
このようにして、電槽１を１０，０００個成形し、隔壁の割れを中心に不具合を検査した。その結果を表１に示す。
＜比較例１＞
図３に示すように射出ゲートを、成形される隔壁３３の下（底面）と隔壁３３に平行な面の外壁３２下に配置し、実施例１と同じ条件で１０，０００個の蓄電池用電槽３０を成形し、隔壁の割れを中心に不具合を検査した。その結果を表１に併記する。
図３に示すように射出ゲートを、成形される隔壁３３の下（底面）と隔壁３３に平行な面の外壁３２下に配置し、実施例１と同じ条件で１０，０００個の蓄電池用電槽３０を成形し、隔壁の割れを中心に不具合を検査した。その結果を表１に併記する。
＜比較例２＞
図４に示すように、実施例１における第２射出ゲート２６を設けない金型により、実施例１と同一条件で１０，０００個の蓄電池用電槽４０を成形し、隔壁の割れを中心に不具合を検査した。その結果を表１に併記する。
図４に示すように、実施例１における第２射出ゲート２６を設けない金型により、実施例１と同一条件で１０，０００個の蓄電池用電槽４０を成形し、隔壁の割れを中心に不具合を検査した。その結果を表１に併記する。
〔表１〕
表１に示すように、実施例１では不具合となった電槽はなかったが、比較例１、２では数は少ないが不具合が発生した。
本発明は上述したように、第２射出ゲート２６を配置することで隔壁３に割れ等の不具合が発生しない電槽を、能率よく成形でき、歩留りに優れた射出成形方法を提供できる。
また、前記射出成形方法で製造された蓄電池用電槽は、隔壁の厚さが均一であり、このような電槽を使用することで、品質に優れ、高性能な蓄電池を提供することができる。
また、前記射出成形方法で製造された蓄電池用電槽は、隔壁の厚さが均一であり、このような電槽を使用することで、品質に優れ、高性能な蓄電池を提供することができる。
１ 蓄電池用電槽
２ 外壁
３ 隔壁
４ セル室
５ 第１射出ゲート跡
６ 第２射出ゲート跡
２０ 金型
２２ 外壁形成部
２３ 隔壁形成部
２５ 第１射出ゲート
２６ 第２射出ゲート
２ 外壁
３ 隔壁
４ セル室
５ 第１射出ゲート跡
６ 第２射出ゲート跡
２０ 金型
２２ 外壁形成部
２３ 隔壁形成部
２５ 第１射出ゲート
２６ 第２射出ゲート
Claims (2)
- 射出成形法により、外壁内に目の字状に設けた隔壁で区画されて複数のセル室が形成されている蓄電池用電槽であって、前記電槽の底面には、セル室の中央部に位置する第１射出ゲート跡と、端部のセル室と該端部セル室に隣接するセル室とを区画する隔壁の位置に第２射出ゲート跡とを有していることを特徴とする蓄電池用電槽。
- 射出成形法により、外壁内に目の字状に設けた隔壁で区画されて複数のセル室が形成されている蓄電池用電槽の成形方法であって、前記電槽底面のセル室中央部となる位置に第１射出ゲートを設け、端部のセル室と該端部セル室に隣接するセル室とを区画する隔壁となる位置に第２射出ゲートを設け、前記第１、第２射出ゲートから樹脂を射出して前記蓄電池用電槽を成形することを特徴とする蓄電池用電槽の成形方法。
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|---|---|---|---|
| JP2005344966A JP4884756B2 (ja) | 2005-11-30 | 2005-11-30 | 蓄電池用電槽およびその成形方法 |
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