JP4884674B2 - 表示装置の作製方法 - Google Patents

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本発明は、電極間に発光材料を挟んだ素子(以下、発光素子という)を有する表示装置及びその作製方法に関する。特に、EL(エレクトロルミネッセンス:Electro Luminescence)が得られる発光性材料(以下、EL材料ともいう)を用いた表示装置に関する。
EL素子の主要部を構成するEL材料(特に有機EL材料)は、水分に弱く劣化しやすいという性質を持っている。従って、EL表示装置を製造する際には、装置内に含む水分量を減らす技術が需要となっている。その対策として、EL表示装置(エレクトロルミネッセンス装置)内に乾燥剤を入れ、封止する構造が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2003−297558号公報
しかしながら、このような対策を行っても、EL表示装置の劣化を完全に防ぐことが出来なかった。すなわち、画素内における点状の非発光領域の形成やその拡大による不良(以下「ダークスポット」ともいう。)、画素周辺からの非発光領域が経時的に拡大する不良(以下「シュリンク」ともいう。)を無くすことが出来なかった。
本発明は、発光素子の劣化を防ぐことのできる信頼性の高い表示装置、及びその表示装置をより簡略に作製できる作製方法を提供することを目的とする。
本発明の表示装置の作製方法の一は、導電性材料に結晶化を防ぐ材料を添加して第1の電極を形成し、第1の電極を減圧下で、350度以上の温度で加熱し、第1の電極上に有機化合物を含む層を形成し、有機化合物を含む層上に第2の電極を形成する。
本発明の表示装置の作製方法の一は、導電性材料に結晶化を防ぐ材料を添加して第1の電極を形成し、第1の電極の端部を覆って絶縁層を形成し、第1の電極と絶縁層とを減圧下で、350度以上の温度で加熱し、第1の電極上に有機化合物を含む層を形成し、有機化合物を含む層上に第2の電極を形成する。
本発明の表示装置の作製方法の一は配線を有する薄膜トランジスタを形成し、薄膜トランジスタ上に水素を含む絶縁膜を形成し、配線に接するように、導電性材料に結晶化を防ぐ材料を添加して第1の電極を形成し、薄膜トランジスタ、絶縁膜及び第1の電極を減圧下で、350度以上の温度で加熱することで、薄膜トランジスタの水素化と第1の電極の脱水処理とを同時に行い、第1の電極上に有機化合物を含む層を形成し、有機化合物を含む層上に第2の電極を形成する。
本発明の表示装置の作製方法の一は、配線を有する薄膜トランジスタを形成し、薄膜トランジスタ上に水素を含む絶縁膜を形成し、配線に接するように、導電性材料に結晶化を防ぐ材料を添加して第1の電極を形成し、薄膜トランジスタ、配線及び第1の電極の端部を覆って絶縁層を形成し、薄膜トランジスタ、絶縁膜、第1の電極及び絶縁層を減圧下で、350度以上の温度で加熱することで、薄膜トランジスタの水素化と、第1の電極及び絶縁層の脱水処理とを同時に行い、第1の電極上に有機化合物を含む層を形成し、有機化合物を含む層上に第2の電極を形成する。
本発明の表示装置の作製方法の一は、第1の電極を形成し、第1の電極を、減圧下において、350度以上、かつ第1の電極が結晶化しない温度で加熱し、第1の電極上に有機化合物を含む層を形成し、有機化合物を含む層上に第2の電極を形成する。
本発明の表示装置の作製方法の一は、第1の電極を形成し、第1の電極の端部を覆って絶縁層を形成し、第1の電極と絶縁層とを、減圧下において、350度以上、かつ第1の電極が結晶化しない温度で加熱し、第1の電極上に有機化合物を含む層を形成し、有機化合物を含む層上に第2の電極を形成する。
本発明の表示装置の作製方法の一は、配線を有する薄膜トランジスタを形成し、薄膜トランジスタ上に水素を含む絶縁膜を形成し、配線に接するように第1の電極を形成し、薄膜トランジスタ、絶縁膜及び第1の電極を減圧下において、350度以上かつ第1の電極が結晶化しない温度で加熱することで、薄膜トランジスタの水素化と第1の電極の脱水処理とを同時に行い、第1の電極上に有機化合物を含む層を形成し有機化合物を含む層上に第2の電極を形成する。
本発明の表示装置の作製方法の一は、配線を有する薄膜トランジスタを形成し、薄膜トランジスタ上に水素を含む絶縁膜を形成し、配線に接するように第1の電極を形成し、薄膜トランジスタ、配線及び第1の電極の端部を覆って絶縁層を形成し、薄膜トランジスタ、絶縁膜、第1の電極及び絶縁層を減圧下で、350度以上かつ第1の電極が結晶化しない温度で加熱することで、薄膜トランジスタの水素化と、第1の電極及び絶縁層の脱水処理とを同時に行い、第1の電極上に有機化合物を含む層を形成し、有機化合物を含む層上に第2の電極を形成する。
本発明により、表示装置内での脱ガスが生じない表示装置を、工程数を増やすことなく作製することができるので、発光素子の劣化を防止することができる。従って、高繊細で、高品質な画像を表示できる、信頼性の高い表示装置を歩留まりよく作製することができる。
[実施の形態1]
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
図14(A)は本発明に係る表示パネルの構成を示す上面図であり、絶縁表面を有する基板2700上に画素2702をマトリクス上に配列させた画素部2701、走査線側入力端子2703、信号線側入力端子2704が形成されている。画素数は種々の規格に従って設ければ良く、XGAであれば1024×768×3(RGB)、UXGAであれば1600×1200×3(RGB)、フルスペックハイビジョンに対応させるのであれば1920×1080×3(RGB)とすれば良い。
画素2702は、走査線側入力端子2703から延在する走査線と、信号線側入力端子2704から延在する信号線とが交差することで、マトリクス状に配設される。画素2702のそれぞれには、スイッチング素子とそれに接続する画素電極が備えられている。スイッチング素子の代表的な一例はTFTであり、TFTのゲート電極側が走査線と、ソース若しくはドレイン側が信号線と接続されることにより、個々の画素を外部から入力する信号によって独立して制御可能としている。
TFTは、その主要な構成要素として、半導体層、ゲート絶縁層及びゲート電極層が挙げられ、半導体層に形成されるソース及びドレイン領域に接続する配線層がそれに付随する。構造的には基板側から半導体層、ゲート絶縁層及びゲート電極層を配設したトップゲート型と、基板側からゲート電極層、ゲート絶縁層及び半導体層を配設したボトムゲート型などが代表的に知られているが、本発明においてはそれらの構造のどのようなものを用いても良い。
半導体層を形成する材料は、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いて気相成長法やスパッタリング法で作製されるアモルファス半導体(以下「AS」ともいう。)、該非晶質半導体を光エネルギーや熱エネルギーを利用して結晶化させた多結晶半導体、或いはセミアモルファス(微結晶若しくはマイクロクリスタルとも呼ばれる。以下「SAS」ともいう。)半導体などを用いることができる。
SASは、非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造を有し、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質な領域を含んでいる。少なくとも膜中の一部の領域には、0.5〜20nmの結晶領域を観測することが出来、珪素を主成分とする場合にはラマンスペクトルが520cm-1よりも低波数側にシフトしている。X線回折では珪素結晶格子に由来するとされる(111)、(220)の回折ピークが観測される。未結合手(ダングリングボンド)の中和剤として水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。SASは、珪化物気体をグロー放電分解(プラズマCVD)して形成する。珪化物気体としては、SiH4、その他にもSi26、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などを用いることが可能である。またGeF4を混合させても良い。この珪化物気体をH2、又は、H2とHe、Ar、Kr、Neから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈しても良い。希釈率は2〜1000倍の範囲とすればよい。圧力は概略0.1Pa〜133Paの範囲、電源周波数は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHz、基板加熱温度は300℃以下でよい。膜中の不純物元素として、酸素、窒素、炭素などの大気成分の不純物は1×1020/cm3以下とすることが望ましく、特に、酸素濃度は5×1019/cm3以下、好ましくは1×1019/cm3以下とする。
図14(A)は、走査線及び信号線へ入力する信号を、外付けの駆動回路により制御する表示パネルの構成を示しているが、図15(A)に示すように、COG(Chip on Glass)方式によりドライバIC2751を基板2700上に実装しても良い。また他の実装形態として、図15(B)に示すようなTAB(Tape Automated Bonding)方式を用いてもよい。ドライバICは単結晶半導体基板に形成されたものでも良いし、ガラス基板上にTFTで回路を形成したものであっても良い。図15において、ドライバIC2751は、FPC2750と接続している。
また、画素に設けるTFTをSASで形成する場合には、図14(B)に示すように走査線側駆動回路3702を基板3700上に形成し一体化することもできる。図14(B)において、3701は画素部であり、信号線側駆動回路は、図14(A)と同様に外付けの駆動回路により制御する。画素に設けるTFTを移動度の高い、多結晶(微結晶)半導体、単結晶半導体などで形成する場合は、図14(C)は、走査線駆動回路4702と、信号線駆動回路4704をガラス基板4700上に一体形成することもできる。
本発明の表示装置の作製方法を、図1、図2及び図5を用いて詳細に説明する。
絶縁表面を有する基板100の上に下地膜101として、プラズマCVD法により窒化酸化珪素(SiNO)膜を用いて下地膜101aを10〜200nm(好ましくは50〜100nm)を形成し、酸化窒化珪素(SiON)膜を用いて下地膜101bを50〜200nm(好ましくは100〜150nm)積層する。基板100としてはガラス基板、石英基板やシリコン基板、金属基板またはステンレス基板の表面に絶縁膜を形成したものを用いて良い。また、本実施の形態の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いてもよいし、フィルムのような可撓性基板を用いても良い。また、下地膜として2層構造を用いてもよいし、下地(絶縁)膜の単層膜又は2層以上積層させた構造を用いてもよい。
次いで、下地膜上に半導体膜を形成する。半導体膜は25〜200nm(好ましくは30〜150nm)の厚さで公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により成膜すればよい。半導体膜の材料に限定はないが、好ましくはシリコン又はシリコンゲルマニウム(SiGe)合金などで形成すると良い。
半導体膜は、アモルファス半導体(代表的には水素化アモルファスシリコン)、結晶性半導体(代表的にはポリシリコン)を素材として用いている。ポリシリコンには、800℃以上のプロセス温度を経て形成される多結晶シリコンを主材料として用いた所謂高温ポリシリコンや、600℃以下のプロセス温度で形成される多結晶シリコンを主材料として用いた所謂低温ポリシリコン、また結晶化を促進する元素などを添加し結晶化させた結晶シリコンなどを含んでいる。
また、他の物質として、セミアモルファス半導体又は半導体膜の一部に結晶相を含む半導体を用いることもできる。セミアモルファス半導体とは、非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造の半導体であり、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質なものである。典型的にはシリコンを主成分として含み、格子歪みを伴って、ラマンスペクトルが520cm-1よりも低波数側にシフトしている半導体膜である。また、未結合手(ダングリングボンド)の中和剤として水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。ここでは、このような半導体をセミアモルファス半導体(以下「SAS」と呼ぶ。)と呼ぶ。このSASは所謂微結晶(マイクロクリスタル)半導体(代表的には微結晶シリコン)とも呼ばれている。
このSASは珪化物気体をグロー放電分解(プラズマCVD)することにより得ることができる。代表的な珪化物気体としては、SiH4であり、その他にもSi26、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などを用いることができる。また、GeF4、F2を混合してもよい。この珪化物気体を水素、若しくは水素とヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンから選ばれた一種又は複数種の希ガス元素で希釈して用いることでSASの形成を容易なものとすることができる。珪化物気体に対する水素の希釈率は、例えば流量比で2倍〜1000倍とすることが好ましい。勿論、グロー放電分解によるSASの形成は、減圧下で行うことが好ましいが、大気圧における放電を利用しても形成することができる。代表的には、0.1Pa〜133Paの圧力範囲で行えば良い。グロー放電を形成するための電源周波数は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHzである。高周波電力は適宜設定すれば良い。基板加熱温度は300℃以下が好ましく、100〜200℃の基板加熱温度でも形成可能である。ここで、主に成膜時に取り込まれる不純物元素として、酸素、窒素、炭素などの大気成分に由来する不純物は1×1020cm-3以下とすることが望ましく、特に、酸素濃度は5×1019cm-3以下、好ましくは1×1019cm-3以下となるようにすることが好ましい。また、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンなどの希ガス元素を含ませて格子歪みをさらに助長させることで安定性が増し良好なSASが得られる。また半導体層としてフッ素系ガスより形成されるSAS層に水素系ガスより形成されるSAS層を積層してもよい。
半導体膜に、結晶性半導体膜を用いる場合、その結晶性半導体膜の作製方法は、公知の方法(レーザー結晶化法、熱結晶化法、またはニッケルなどの結晶化を助長する元素を用いた熱結晶化法等)を用いれば良い。結晶化を助長する元素を導入しない場合は、非晶質珪素膜にレーザ光を照射する前に、窒素雰囲気下500℃で1時間加熱することによって非晶質珪素膜の含有水素濃度を1×1020atoms/cm3以下にまで放出させる。これは水素を多く含んだ非晶質珪素膜にレーザ光を照射すると膜が破壊されてしまうからである。
非晶質半導体膜への金属元素の導入の仕方としては、当該金属元素を非晶質半導体膜の表面又はその内部に存在させ得る手法であれば特に限定はなく、例えばスパッタ法、CVD法、プラズマ処理法(プラズマCVD法も含む)、吸着法、金属塩の溶液を塗布する方法を使用することができる。このうち溶液を用いる方法は簡便であり、金属元素の濃度調整が容易であるという点で有用である。また、このとき非晶質半導体膜の表面の濡れ性を改善し、非晶質半導体膜の表面全体に水溶液を行き渡らせるため、酸素雰囲気中でのUV光の照射、熱酸化法、ヒドロキシラジカルを含むオゾン水又は過酸化水素による処理等により、酸化膜を成膜することが望ましい。
また、非晶質半導体膜の結晶化は、熱処理とレーザ光照射による結晶化を組み合わせてもよく、熱処理やレーザ光照射を単独で、複数回行っても良い。熱処理とレーザ光照射の2段階で結晶化を行う場合、金属元素導入後に、500〜550℃で4〜20時間かけて熱処理を行い、非晶質半導体膜を結晶化する(以下、第1の結晶性半導体膜という。)。
次に第1の結晶性珪素膜にレーザ光を照射し結晶化を助長し、第2の結晶性半導体膜を得る。レーザ結晶化法は、レーザ光を半導体膜に照射する。用いるレーザは、パルス発振または連続発振の固体レーザ、気体レーザ、もしくは金属レーザが望ましい。なお、固体レーザとしてはYAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライドレーザ、Ti:サファイアレーザ等があり、気体レーザとしてはエキシマレーザ、Arレーザ、Krレーザ、CO2レーザ等があり、金属レーザとしてはヘリウムカドミウムレーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザが挙げられる。レーザビームは非線形光学素子により高調波に変換されていてもよい。非線形光学素子に使われる結晶は、例えばLBOやBBOやKDP、KTPやKB5、CLBOと呼ばれるものを使うと変換効率の点で優れている。これらの非線形光学素子をレーザの共振器の中に入れることで、変換効率を大幅に上げることができる。高調波のレーザには、一般にNd、Yb、Crなどがドープされており、これが励起しレーザが発振する。ドーパントの種類は適宜実施者が選択すればよい。
また、結晶性半導体層を、直接基板に線状プラズマ法により形成しても良い。また、線状プラズマ法を用いて、結晶性半導体層を選択的に基板に形成してもよい。
半導体として、有機材料を用いる有機半導体を用いてもよい。有機半導体としては、低分子材料、高分子材料などが用いられ、有機色素、導電性高分子材料などの材料も用いることが出来る。
このようにして得られた半導体膜に対して、TFTのしきい値電圧を制御するために微量な不純物元素(ボロンまたはリン)のドーピングを行う。本実施の形態では、結晶性半導体層を用いる。
第1のフォトマスクを作製し、フォトリソグラフィ法を用いたパターニング処理により、半導体層102を形成する。
半導体層102を覆うゲート絶縁膜105を形成する。ゲート絶縁膜105はプラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを40〜150nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。ゲート絶縁膜105としては、珪素の酸化物材料又は窒化物材料等の公知の材料で形成すればよく、積層でも単層でもよい。本実施の形態では、窒化珪素膜、酸化珪素膜、窒化珪素膜3層の積層を用いる。またそれらや、酸化窒化珪素膜の単層、2層からなる積層でも良い。好適には、緻密な膜質を有する窒化珪素膜を用いるとよい。なお、低い成膜温度でゲートリーク電流の少ない緻密な絶縁膜を形成するには、アルゴンなどの希ガス元素を反応ガスに含ませ、形成される絶縁膜中に混入させると良い。
次いで、ゲート絶縁膜105上にゲート電極として用いる膜厚20〜100nmの第1の導電膜と、膜厚100〜400nmの第2の導電膜とを積層して形成する。第1の導電膜及び第2の導電膜はTa、W、Ti、Mo、Al、Cuから選ばれた元素、又は元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成すればよい。また、第1の導電膜及び第2の導電膜としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いてもよい。また、2層構造に限定されず、例えば、膜厚50nmのタングステン膜、膜厚500nmのアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、膜厚30nmの窒化チタン膜を順次積層した3層構造としてもよい。また、3層構造とする場合、第1の導電膜のタングステンに代えて窒化タングステンを用いてもよいし、第2の導電膜のアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜に代えてアルミニウムとチタンの合金膜(Al−Ti)を用いてもよいし、第3の導電膜の窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよい。また、単層構造であってもよい。
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなる第2のフォトマスクを形成し、電極及び配線を形成するための第1のエッチング処理を行う。ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することにより、第1の導電膜及び第2の導電膜を所望のテーパー形状にエッチングすることができる。なお、エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4もしくはCCl4などを代表とする塩素系ガス、CF4、SF6もしくはNF3などを代表とするフッ素系ガス又はO2を適宜用いることができる。
第1のエッチング処理により第1の導電層と第2の導電層から成る第1の形状の導電層(第1の導電層と第2の導電層)を形成する。
次いで、レジストからなるマスクを除去せずに第2のエッチング処理を行う。ここでは、W膜を選択的にエッチングする。この時、第2のエッチング処理により第2の導電層を形成する。一方、第1の導電層は、ほとんどエッチングされず、第2の形状の導電層を形成する。よって導電層106及び107が形成される。また、外部との電気的な接続を行う、端子部において、端子電極として機能する導電層180、181も同工程で形成する。本実施の形態では、導電層の形成をドライエッチングで行うがウェットエッチングでもよい。
次いで、半導体層に不純物領域を形成する。図1及び図2は画素部のみを示しているので、n型不純物領域は図示していないが、本実施の形態では表示装置のより詳細な図である図5に示すように、周辺回路部のTFTにはn型不純物領域を有している物も含む。レジストマスクを除去した後、第3のフォトマスクを用いてレジストマスクを新たに形成し、nチャネル型TFTを形成するため、半導体にn型を付与する不純物元素(代表的にはリン(P)、または砒素(As))を低濃度にドープするための第1のドーピング工程を行う。レジストマスクは、pチャネル型TFTとなる領域と、導電層の近傍とを覆う。この第1のドーピング工程によって絶縁層を介してスルードープを行い、低濃度不純物領域を形成する。一つの発光素子は、複数のTFTを用いて駆動させるが、pチャネル型TFTのみで駆動させる場合には、上記ドーピング工程は特に必要ない。
次いで、レジストマスクを除去した後、第4のフォトマスクを用いてレジストマスクを新たに形成し、半導体にp型を付与する不純物元素(代表的にはボロン(B))を高濃度にドープするための第2のドーピング工程を行う。この第2のドーピング工程によってゲート絶縁膜105を介してスルードープを行い、p型の不純物領域103、104を形成する。
次いで、第5のフォトマスクを用いてレジストマスクを新たに形成し、ここではnチャネル型TFTを形成するため、半導体にn型を付与する不純物元素(代表的にはリン、またはAs)を高濃度にドープするための第3のドーピング工程を行う。第3のドーピング工程におけるイオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜5×1015/cm2とし、加速電圧を60〜100keVとして行う。レジストマスクは、pチャネル型TFTとなる領域を覆う。この第3のドーピング工程によってゲート絶縁膜105を介してスルードープを行い、n型の低濃度不純物領域、高濃度不純物領域を形成する。
以上までの工程で、それぞれの半導体層に不純物領域が形成される。
次いで、レジストからなるマスクを除去してパッシベーション膜として水素を含む絶縁膜108を形成する。この絶縁膜108としては、プラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを100〜200nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。絶縁膜108は窒化珪素膜に限定されるものでなく、プラズマCVDを用いた窒化酸化珪素(SiNO)膜でもよく、他の珪素を含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
絶縁膜108は窒化珪素、酸化珪素、酸化窒化珪素(SiON)、窒化酸化珪素(SiNO)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化窒化アルミニウム(AlON)、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウム(AlNO)または酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜(CN)を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。また、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む材料、もしくは置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有する材料を用いてもよい。
不純物元素を活性化するために加熱処理、強光の照射、又はレーザ光の照射を行ってもよい。活性化と同時にゲート絶縁膜へのプラズマダメージやゲート絶縁膜と半導体層との界面へのプラズマダメージを回復することができる。
次いで、層間絶縁膜となる絶縁層109を形成する。本発明において、平坦化のために設ける層間絶縁膜としては、耐熱性および絶縁性が高く、且つ、平坦化率の高いものが要求されている。よって耐熱性平坦化膜が好ましい。こうした絶縁層の形成方法としては、スピンコート法で代表される塗布法を用いると好ましい。
本実施の形態では、絶縁層109の材料としては、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基に水素、フッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有する材料を用いた塗布膜を用いる。焼成した後の膜は、アルキル基を含む酸化珪素(SiOx)膜と呼べる。このアルキル基を含む酸化珪素(SiOx)膜は、高い光透過性を有しており、300℃以上の加熱処理にも耐えうるものである。
本実施の形態において、塗布法による絶縁層109の形成方法は、まず、純水での洗浄を行った後、濡れ性を向上させるためにシンナープリウェット処理を行い、シリコン(Si)と酸素(O)との結合を有する低分子成分(前駆体)を溶媒に溶解させたワニスと呼ばれる液状原料を基板上にスピンコート法などにより塗布する。その後、ワニスを基板とともに加熱して溶媒の揮発(蒸発)と、低分子成分の架橋反応とを進行させることによって、薄膜を得ることができる。そして、塗布膜が形成された基板端面周辺部の塗布膜を除去する。また、絶縁層(隔壁)を形成する場合には、所望の形状にするパターニングを行えばよい。また、膜厚は、スピン回転数、回転時間、ワニスの濃度および粘度によって制御する。
ここで、絶縁層109の形成手順を詳細に説明する。
まず、被処理基板の純水洗浄を行う。メガソニック洗浄を行ってもよい。次いで140℃のデハイドロベークを110秒行った後、水冷プレートによって120秒クーリングして基板温度の一定化を行う。次いで、スピン式の塗布装置に搬送して基板をセットする。
スピン式の塗布装置は、ノズル及び塗布カップを有している。塗布材料液が基板に滴下される機構となっており、塗布カップ内に基板が水平に収納され、塗布カップごと全体が回転する機構となっている。また、塗布カップ内の雰囲気は圧力制御することができる機構となっている。
次いで、濡れ性を向上させるためにシンナー(芳香族炭化水素(トルエンなど)、アルコール類、酢酸エステル類などを配合した揮発性の混合溶剤)などの有機溶剤によるプリウェット塗布を行う。シンナーを70ml滴下しながら基板をスピン(回転数100rpm)させてシンナーを遠心力で万遍なく広げた後、高速度でスピン(回転数450rpm)させてシンナーを振り切る。
次いで、シロキサン系ポリマーを溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテル)に溶解させた液状原料に用いた塗布材料液をノズルから滴下しながら徐々にスピン(回転数0rpm→1000rpm)させて塗布材料液を遠心力で万遍なく広げる。シロキサンの構造により、例えば、シリカガラス、アルキルシロキサンポリマー、アルキルシルセスキオキサンポリマー、水素化シルセスキオキサンポリマー、水素化アルキルシルセスキオキサンポリマーなどに分類することができる。シロキサン系ポリマーの一例としては、東レ製塗布絶縁膜材料であるPSB−K1、PSB−K31や触媒化成製塗布絶縁膜材料であるZRS-5PHが挙げられる。次いで、約30秒保持した後、再び徐々にスピン(回転数0rpm→1400rpm)させて塗布膜をレべリングする。
次いで、排気して塗布カップ内を減圧にし、減圧乾燥を1分以内で行う。
次いで、スピン式の塗布装置に備えられたエッジリムーバーによって、エッジ除去処理を行う。エッジリムーバーは、基板の周辺に沿って平行移動する駆動手段を備えている。また、エッジリムーバーには、シンナー吐出ノズルが基板の一辺を挟むように併設されており、シンナーによって塗布膜の外周部を溶かし、液体およびガスを排出して基板端面周辺部の塗布膜を除去する。
その後、110℃のベークを170秒行ってプリベークを行う。
次いで、スピン式の塗布装置から基板を搬出して冷却した後、さらに270℃、1時間の焼成を行う。
こうして絶縁層109を形成する。
また、液滴吐出法により絶縁層109を形成してもよい。液滴吐出法を用いた場合には材料液を節約することができる。また絶縁層109だけでなく、本発明において、配線層若しくは電極を形成する導電層や、所定のパターンを形成するためのマスク層など表示装置を作製するために必要なパターンを、液滴吐出法のような選択的にパターンを形成できる方法により形成してもよい。液滴吐出(噴出)法(その方式によっては、インクジェット法とも呼ばれる。)は、特定の目的に調合された組成物の液滴を選択的に吐出(噴出)して所定のパターン(導電層や絶縁層など)を形成することができる。この際、被形成領域に酸化チタン膜などを形成する前処理を行ってもよい。また、パターンが転写、または描写できる方法、例えば印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)なども用いることができる。
絶縁層109は、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される絶縁膜の他に、耐熱性が高く、平坦化性がよいものであれば、無機材料(酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素など)、感光性または非感光性の有機材料(有機樹脂材料)(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト、ベンゾシクロブテンなど)、低誘電率であるLow k材料などの一種、もしくは複数種からなる膜、またはこれらの膜の積層などを用いることができる。
次いで、レジストからなるマスクを用いて絶縁層109にコンタクトホール(開口部)を形成すると同時に周縁部の絶縁層を除去する。絶縁膜と選択比が取れる条件でエッチング(ウェットエッチングまたはドライエッチング)を行う。用いるエッチング用ガスに不活性気体を添加してもよい。添加する不活性元素としては、He、Ne、Ar、Kr、Xeから選ばれた一種または複数種の元素を用いることができる。中でも比較的原子半径が大きく、且つ、安価なアルゴンを用いることが好ましい。本実施の形態では、CF4、O2、He、Arとを用いる。ドライエッチングを行う際のエッチング条件は、CF4の流量を380sccm、O2の流量を290sccm、Heの流量を500sccm、Arの流量を500sccm、RFパワーを3000W、圧力を25Paとする。上記条件によりエッチング残渣を低減することができる。
なお、ゲート絶縁膜105上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させ、オーバーエッチングすると良い。1回のエッチングでテーパー形状としてもよいし、複数のエッチングによってテーパー形状にしてもよい。さらにCF4、O2、Heを用いて、CF4の流量を550sccm、O2の流量を450sccm、Heの流量を350sccm、RFパワーを3000W、圧力を25Paとし、2回目のドライエッチングを行ってテーパー形状としてもよい。また絶縁層109の端部におけるテーパー角θは、30度を越え75度未満とすることが望ましい。
ゲート絶縁膜105をエッチングし、ソース領域、ドレイン領域に達する開口部を形成する。開口部は、絶縁層109をエッチングした後、再度マスクを形成するか、エッチングされた絶縁層109をマスクとして、絶縁膜108及びゲート絶縁膜105をエッチングし、開口部を形成すればよい。エッチング用ガスにCHF3とArを用いてゲート絶縁膜105のエッチング処理を行う。上記条件のエッチングにより、エッチング残渣を低減し、凹凸の少ない平坦性の高いコンタクトホールを形成することができる。なお、より半導体層上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると良い。
導電膜を形成し、導電膜をエッチングして各不純物領域とそれぞれ電気的に接続する電極層112を形成する。この電極層112は、後に形成する発光素子の第1の電極と接し、薄膜トランジスタと発光素子を電気的に接続する配線である。電極層112はソース電極、ドレイン電極としても機能する。導電膜は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)もしくはシリコン(Si)の元素からなる膜又はこれらの元素を用いた合金膜を用いればよい。なお本実施の形態では、半導体層側から順にTi、TiN、Al、TiNをそれぞれ60nm、40nm、350nm、100nmに積層したのち、所望の形状にパターニングして、電極層112を形成する。なお、TiNは、絶縁層との密着性が良好な材料の一つである。よってピーリングなどの膜はがれが生じにくい。また、上記構造であると、TiNはAlの拡散に強いバリア層としても機能する。加えて、TFTのソース領域またはドレイン領域とコンタクトを取るためにTiNのN含有量は44atomic%より少なくすることが好ましい。なおより望ましくはTiNのN含有量は7atomic%より多く、44atomic%より少なくするとよい。また、導電膜を半導体層側から順にTiN、Alの2層構造にして工程を簡略化してもよい。
エッチングは、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法により、BCl3とCl2を用いて、エッチング条件は、コイル型の電極に印加される電力量450W、基板側の電極に印加される電力量100W、圧力1.9Paで行う。
また、絶縁膜108、絶縁層109をパターニングする際のエッチングによって、端子部の絶縁層も同時に除去し、導電層180、181を露出させる。本実施の形態では、電極層112を形成する工程において、配線層184も同時に、同材料によって形成する。その際、絶縁膜108、絶縁層109の外端部に傾斜(テーパー形状)を有するように形成すると、配線層184の被覆性が向上する。テーパー角としては30度を超え70度未満とすることが好ましい。
以上のような工程により、TFT150、TFT165、TFT175を備えた(アクティブマトリクス)素子基板が完成する。本実施の形態では画素領域にはpチャネル型TFTしか図示していないが、nチャネル型TFTを有していてもよく、またTFTはチャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造でも、二つ形成されるダブルゲート構造もしくは三つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。また、駆動回路部のTFTも、シングルゲート構造、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。
なお、本実施の形態で示したTFTの作製方法に限らず、トップゲート型(プレーナー型)、ボトムゲート型(逆スタガ型)、あるいはチャネル領域の上下にゲート絶縁膜を介して配置された2つのゲート電極を有する、デュアルゲート型やその他の構造においても適用できる。
次に、電極層112と接するように、第1の電極113(画素電極ともいう。)を形成する。第1の電極は陽極、または陰極として機能し、Ti、TiN、TiSiXY、Ni、W、WSiX、WNX、WSiXY、NbN、Cr、Pt、Zn、Sn、In、またはMoから選ばれた元素、または元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料を主成分とする膜またはそれらの積層膜を総膜厚100nm〜800nmの範囲で用いればよい。
本実施の形態では、表示素子として発光素子を用い、発光素子からの光を第1の電極側から取り出す構造のため、第1の電極が透光性を有する。第1の電極として、透明導電膜を形成し、所望の形状にエッチングすることで第1の電極113を形成する(図1(C)参照。)。本発明で用いる第1の電極は、脱水処理を行うための加熱処理温度で結晶化しないものであれば、第1の電極113として、酸化珪素を含む酸化インジウムスズ(酸化珪素を含むインジウム錫酸化物ともいう、以下、「ITSO」という。)、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウムなどを用いてもよい。この他、酸化インジウムに2〜20wt%の酸化亜鉛(ZnO)を混合した酸化インジウム酸化亜鉛合金などの透明導電膜を第1の電極113として用いることができる。第1の電極113として上記透明導電膜の他に、窒化チタン膜またはチタン膜を用いても良い。この場合、透明導電膜を成膜した後に、窒化チタン膜またはチタン膜を、光が透過する程度の膜厚(好ましくは、5nm〜30nm程度)で成膜する。本実施の形態では、第1の電極113として、導電性材料に酸化インジウムスズを、結晶化を防ぐ材料に酸化珪素を用いたITSOを用いる。本実施の形態では、ITSO膜を、インジウム錫酸化物に1〜10[%]の酸化珪素(SiO2)を混合したターゲットを用い、Arガス流量を120sccm、O2ガス流量を5sccm、圧力を0.25Pa、電力3.2kWとしてスパッタ法により膜厚110nmで成膜する。第1の電極113は、その表面が平坦化されるように、CMP法、ポリビニルアルコール系の多孔質体で拭浄し、研磨しても良い。またCMP法を用いた研磨後に、第1の電極113の表面に紫外線照射、酸素プラズマ処理などを行ってもよい。
本発明では、第1の電極113を形成後、図1(D)に示すように、加熱処理を行う。この加熱処理により、第1の電極中に含まれる水分は放出される。よって、第1の電極は脱ガスなどを生じないため、第1の電極上に水分によって劣化しやすい発光材料を形成しても、発光材料は劣化せず、信頼性の高い表示装置を作製することができる。本実施の形態では、第1の電極にITSOを用いているので、ベークを行ってもITO(酸化インジウム酸化スズ合金)のように結晶化せず、アモルファス状態のままである。従って、ITSOは、ITOよりも平坦性が高く、有機化合物を含む層が薄くとも陰極とのショートが生じにくい。
また、この加熱工程は、半導体層を水素化する工程も兼ねることができる。この水素化は、絶縁膜108に含まれる水素により、半導体層のダングリングボンドを終端する工程であり、TFT特性の改善に効果がある。本発明は、一回の加熱工程で、脱ガス防止のための電極の脱水処理と、薄膜トランジスタの半導体層の水素化が同時に行えるので、工程数を増やすことなく、信頼性を向上することができる。この加熱工程は、減圧下で、350℃以上で行う。好ましくは、減圧雰囲気下375℃以上で、12時間以上行う。加熱温度は、第1の電極が結晶化しない温度とする。圧力は、1×10-6Pa以上1×10-2Pa以下が好ましい。この温度は第1の電極が形成される基板温度である。本実施の形態では、3×10-4Paの減圧雰囲気下、基板温度410℃で12時間の加熱処理を行う。この熱処理工程により、第1の電極117を形成する。この第1の電極117は熱処理により、内部含有水分量は減少しており、装置内部で脱ガスを生じない。
次に、第1の電極113の端部、電極層112を覆う絶縁層(絶縁物)114(バンク、隔壁、障壁、土手などと呼ばれる)を形成する。絶縁層114としては、塗布法により得られるSOG膜(例えば、アルキル基を含むSiOx膜)を膜厚0.8μm〜1μmの範囲で用いる。エッチングには、ドライエッチングとウェットエッチングのどちらかを用いることができるが、ここではCF4とO2とHeの混合ガスを用いたドライエッチングにより絶縁層114を形成する(図5(C)参照。)。圧力は5Pa、1500Wで、CF425sccm、O225sccm、He50sccmでドライエッチングを行う。このドライエッチングにおいて、アルキル基を含むSiOx膜のエッチングレートは500〜600nm/min、一方、ITSO膜のエッチングレートは10nm/min以下であり十分選択比が取れる。また、電極層112は、アルキル基を含むSiOx膜からなる絶縁層114に覆われるため、密着性のよいTiN膜が最表面となっている。絶縁層114は、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される絶縁膜の他に、耐熱性が高く、平坦化性がよいものであれば、無機材料(酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素など)、感光性または非感光性の有機材料(有機樹脂材料)(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト、ベンゾシクロブテンなど)、低誘電率であるLow k材料などの一種、もしくは複数種からなる膜、またはこれらの膜の積層などを用いることができる。層間絶縁膜である絶縁層109と隔壁である絶縁層114を同じ材料を用いると、製造コストを削減することができる。また、塗布成膜装置やエッチング装置などの装置の共通化によるコストダウンが図れる。
また、さらに信頼性を向上させるため、発光層(有機化合物を含む層)119の形成前に真空加熱を行って脱気を行うことが好ましい。例えば、有機化合物材料の蒸着を行う前に、基板に含まれるガスを除去するために減圧雰囲気や不活性雰囲気で200℃〜300℃の加熱処理を行うことが望ましい。この熱処理で、第1の電極となる導電膜や絶縁層(隔壁)に含有、付着している水分を放出することができる。この加熱処理は、真空を破らず、真空のチャンパー内を基板が輸送できるのであれば、先の加熱工程と兼ねることもでき、先の加熱工程を絶縁層(隔壁)形成後に、一度行えばよい。ここでは、層間絶縁膜と絶縁層(隔壁)とを高耐熱性を有するSiOx膜で形成しているため、高い加熱処理を加えても問題ない。従って、加熱処理による信頼性向上のための工程を十分行うことができる。
本発明は、表示装置の表示素子としてEL材料からなる発光素子(EL素子ともいう)を用いる。EL素子は、一対の電極間に有機化合物層を挟んで電圧を印加することにより、陰極から注入された電子および陽極から注入された正孔が有機化合物層中の発光中心で再結合して分子励起子を形成し、その分子励起子が基底状態に戻る際にエネルギーを放出して発光するといわれている。励起状態には一重項励起と三重項励起が知られ、発光はどちらの励起状態を経ても可能であると考えられている。
第1の電極117の上には発光層119が形成される。なお、図5では一画素しか図示していないが、本実施の形態ではR(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した発光層を作り分けている。本実施の形態では発光層119として、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光を示す材料を、それぞれ蒸着マスクを用いた蒸着法等によって選択的に形成する。赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光を示す材料は、液滴吐出法により形成することもでき(低分子または高分子材料など)、この場合マスクを用いずとも、RGBの塗り分けを行うことができるため好ましい。また、それぞれの発光は、全て一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(蛍光)であっても、全て三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)でもよいし、1色が蛍光(又はリン光)あとの2色がリン光(又は蛍光)というように組み合わせでも良い。Rのみをリン光を用いて、G、Bを蛍光を用いてもよい。具体的には、正孔注入層として20nm厚の銅フタロシアニン(CuPc)膜を設け、その上に発光層として70nm厚のトリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体(Alq3)膜を設けた積層構造としてもよい。Alq3にキナクリドン、ペリレンもしくはDCM1といった蛍光色素を添加することで発光色を制御することができる。
但し、以上の例は発光層として用いることのできる有機発光材料の一例であって、これに限定する必要はまったくない。発光層、電荷輸送層または電荷注入層を自由に組み合わせて発光層(発光及びそのためのキャリアの移動を行わせるための層)を形成すれば良い。例えば、本実施の形態では低分子系有機発光材料を発光層として用いる例を示したが、中分子系有機発光材料や高分子系有機発光材料を用いても良い。なお、本明細書中において、昇華性を有さず、かつ、分子数が20以下または連鎖する分子の長さが10μm以下の有機発光材料を中分子系有機発光材料とする。また、高分子系有機発光材料を用いる例として、正孔注入層として20nmのポリチオフェン(PEDOT)膜をスピン塗布法により設け、その上に発光層として100nm程度のパラフェニレンビニレン(PPV)膜を設けた積層構造としても良い。なお、PPVのπ共役系高分子を用いると、赤色から青色まで発光波長を選択できる。また、電荷輸送層や電荷注入層として炭化珪素等の無機材料を用いることも可能である。これらの有機発光材料や無機材料は公知の材料を用いることができる。
具体的には、正孔注入層として前述したCuPcやPEDOT、正孔輸送層としてα−NPD、電子輸送層としてBCPやAlq3、電子注入層としてBCP:LiやCaF2、をそれぞれ用いる。また本実施の形態のように両面出射型、または上面放射型の場合で、第2の電極に透光性を有するITOやITSOを用いる場合、ベンゾオキサゾール誘導体(BzOS)にLiを添加したBzOS−Liなどを用いることができる。また例えばEMLは、R、G、Bのそれぞれの発光色に対応したドーパント(Rの場合DCM等、Gの場合DMQD等)をドープしたAlq3を用いればよい。
発光層として、CuPcやPEDOTの代わりに酸化モリブデン(MoOx:x=2〜3)等の酸化物とα−NPDやルブレンを共蒸着して形成し、ホール注入性を向上させることもできる。このように発光層の材料は、有機材料(低分子又は高分子を含む)、又は有機材料と無機材料の複合材料として用いることができる。
また、図示していないが、対向基板にカラーフィルタを形成してもよい。カラーフィルタは液滴吐出法や蒸着法によって形成することができる。カラーフィルターを用いると、高精細な表示を行うこともできる。カラーフィルターにより、各RGBの発光スペクトルにおいてブロードなピークを鋭くなるように補正できるからである。
以上、各RGBの発光を示す材料を形成する場合を説明したが、単色の発光を示す材料を形成し、カラーフィルターや色変換層を組み合わせることによりフルカラー表示を行うことができる。例えば、白色又は橙色の発光を示す電界発光層を形成する場合、カラーフィルター、色変換層、又はカラーフィルターと色変換層とを組み合わせたものを別途設けることによってフルカラー表示ができる。カラーフィルターや色変換層は、例えば第2の基板(封止基板)に形成し、基板へ張り合わせればよい。また上述したように、単色の発光を示す材料、カラーフィルター、及び色変換層のいずれも液滴吐出法により形成することができる。
もちろん単色発光の表示を行ってもよい。例えば、単色発光を用いてエリアカラータイプの表示装置を形成してもよい。エリアカラータイプは、パッシブマトリクス型の表示部が適しており、主に文字や記号を表示することができる。
次に、発光層119の上に導電膜からなる第2の電極120が設けられる。第2の電極120としては、仕事関数の小さい材料(Al、Ag、Li、Ca、またはこれらの合金MgAg、MgIn、AlLi、CaF2、またはCaN)を用いればよい。
図2(F)、図5に示した本実施の形態の表示装置は、発光素子から発した光は、第1の電極117側から、透過して出射される。
図示しないが、第2の電極120を覆うようにしてパッシベーション膜を設けることは有効である。パッシベーション膜としては、窒化珪素、酸化珪素、酸化窒化珪素(SiON)、窒化酸化珪素(SiNO)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化窒化アルミニウム(AlON)、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウム(AlNO)または酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜(CN)を含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしくは組み合わせた積層を用いることができる。また、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む材料、もしくは置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有する材料を用いてもよい。
この際、カバレッジの良い膜をパッシベーション膜として用いることが好ましく、炭素膜、特にDLC膜を用いることは有効である。DLC膜は室温から100℃以下の温度範囲で成膜可能であるため、耐熱性の低い発光層119の上方にも容易に成膜することができる。DLC膜は、プラズマCVD法(代表的には、RFプラズマCVD法、マイクロ波CVD法、電子サイクロトロン共鳴(ECR)CVD法、熱フィラメントCVD法など)、燃焼炎法、スパッタ法、イオンビーム蒸着法、レーザー蒸着法などで形成することができる。成膜に用いる反応ガスは、水素ガスと、炭化水素系のガス(例えばCH4、C22、C66など)とを用い、グロー放電によりイオン化し、負の自己バイアスがかかったカソードにイオンを加速衝突させて成膜する。また、CN膜は反応ガスとしてC24ガスとN2ガスとを用いて形成すればよい。DLC膜は酸素に対するブロッキング効果が高く、発光層119の酸化を抑制することが可能である。そのため、この後に続く封止工程を行う間に発光層119が酸化するといった問題を防止できる。
このように発光素子が形成された基板100と、封止基板123とをシール材125によって固着し、発光素子を封止する。断面からの水分の侵入がシール材によって遮断されるので、発光素子の劣化が防止でき、表示装置の信頼性が向上する。シール材としては、代表的には可視光硬化性、紫外線硬化性または熱硬化性の樹脂を用いるのが好ましい。例えば、ビスフェノールA型液状樹脂、ビスフェノールA型固形樹脂、含ブロムエポキシ樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、フェノール型樹脂、クレゾール型樹脂、ノボラック型樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エピビス型エポキシ樹脂、グリシジルエステル樹脂、グリジシルアミン系樹脂、複素環式エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を用いることができる。なお、シール材で囲まれた領域には充填材を充填してもよく、窒素雰囲気下で封止することによって、窒素等を封入してもよい。本実施の形態は、下面出射型のため、充填材122は透光性を有する必要はないが、充填材122を透過して光を取り出す構造の場合は、透光性を有する必要がある。代表的には可視光硬化、紫外線硬化または熱硬化のエポキシ樹脂を用いればよい。封止基板123としてはガラス基板、石英基板やシリコン基板、金属基板またはステンレス基板の表面に絶縁膜を形成したものを用いて良い。また、本実施の形態の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いてもよいし、可撓性基板、フィルムのようなカバー材を用いても良い。
本実施の形態では、端子部において、端子電極となる導電層180、181に異方性導電層182によってFPC183を接続し、外部と電気的に接続する構造とする。
本実施の形態では、上記のような回路で形成するが、本発明はこれに限定されず、パッシブマトリクス回路でもアクティブマトリクス回路であってもよく、周辺駆動回路としてICチップを前述したCOG方式やTAB方式によって実装したものでもよい。また、ゲート線駆動回路、ソース線駆動回路は複数であっても単数であっても良い。
また、本発明の表示装置において、画面表示の駆動方法は特に限定されず、例えば、点順次駆動方法や線順次駆動方法や面順次駆動方法などを用いればよい。代表的には、線順次駆動方法とし、時分割階調駆動方法や面積階調駆動方法を適宜用いればよい。また、表示装置のソース線に入力する映像信号は、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよく、適宜、映像信号に合わせて駆動回路などを設計すればよい。
さらに、ビデオ信号がデジタルの表示装置において、画素に入力されるビデオ信号が定電圧(CV)のものと、定電流(CC)のものとがある。ビデオ信号が定電圧のもの(CV)には、発光素子に印加される電圧が一定のもの(CVCV)と、発光素子に印加される電流が一定のもの(CVCC)とがある。また、ビデオ信号が定電流のもの(CC)には、発光素子に印加される電圧が一定のもの(CCCV)と、発光素子に印加される電流が一定のもの(CCCC)とがある。
以上、本発明により、表示装置内での脱ガスが生じない表示装置を、工程数を増やすことなく作製することができるので、発光素子の劣化を防止することができる。従って、高繊細で、高品質な画像を表示できる、信頼性の高い表示装置を歩留まりよく作製することができる。
[実施の形態2]
本実施の形態では、第1の電極と配線との接続構造が異なる本発明の表示装置の例を図3及び図4を用いて説明する。
実施の形態1で説明したように、基板100上に下地膜101a、101bを形成し、不純物領域103及び104を有する半導体層102を形成する。半導体層102上にゲート絶縁膜105を介してゲート電極である導電層106及び107を形成し、パッシベーション膜として絶縁膜108を形成する。そして、層間膜として、絶縁層109を形成する(図3(A)参照。)。本実施の形態においては、絶縁層109にシリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される絶縁層を用いる。
本実施の形態では、第1の電極113は、電極層112の形成前に、絶縁層109上に選択的に形成する。この場合、第1の電極の上に電極層112が積層する構造となる。第1の電極113を電極層112より先に形成すると、平坦な形成領域に形成できるので、被覆性、成膜性がよく、CMPなどの研磨処理も十分に行えるので平坦性よく形成できる。また、電極層112をパターニングする際のエッチングストッパーとして、第1の電極113が機能するので、別途にエッチングストッパー層を用いる必要がなく、工程が簡略化できるという効果がある。
絶縁層109上に、選択的に第1の電極113を形成する。その後、加熱処理工程を行う。本実施の形態では、第1の電極113を形成後、図3(B)に示すように、加熱処理を行う。この加熱処理により、第1の電極中に含まれる水分は放出される。よって、第1の電極は脱ガスなどを生じないため、第1の電極上に水分によって劣化しやすい発光材料を形成しても、発光材料は劣化せず、信頼性の高い表示装置を作製することができる。また、第1の電極は導電性材料に、結晶化を防ぐ材料を添加して形成される。本実施の形態では、第1の電極にITSOを用いているので、ベークを行ってもITOのように結晶化せず、アモルファス状態のままである。従って、ITSOは、ITOよりも平坦性が高く、有機化合物を含む層が薄くとも陰極とのショートが生じにくい。
また、この加熱工程は、半導体層を水素化する工程も兼ねることができる。この水素化は、絶縁膜108に含まれる水素により、半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。本発明は、一回の加熱工程で、脱ガス防止のための電極の脱水処理と、薄膜トランジスタの半導体層の水素化が同時に行えるので、工程数を増やすことなく、信頼性を向上することができる。この加熱工程は、減圧下で、350℃以上で行う。好ましくは、減圧雰囲気下375℃以上で、12時間以上行う。加熱温度は第1の電極が結晶化しない温度とする。圧力は、1×10-6Pa以上1×10-2Pa以下が好ましい。温度は第1の電極が形成される基板温度である。本実施の形態では、3×10-4Paの減圧雰囲気下、基板温度410℃で12時間の加熱処理を行う。この加熱処理工程により、第1の電極117を形成する。この第1の電極117は熱処理により、内部含有水分量は減少しており、装置内部で脱ガスを生じない。
加熱処理後、絶縁層109、絶縁膜108、ゲート絶縁膜105を除去し、半導体層102に達する開口部(コンタクトホール)を形成する。この絶縁層への開口部の形成は、加熱処理の前に行ってもよい。開口部に電極層112を、第1の電極117と接するように形成する(図3(D)参照。)。以上の工程でTFT150が形成される。
実施の形態1と同様に、第1の電極117の端部及びTFT150を覆う隔壁となる絶縁層114を形成し、発光材料を含む発光層119、第2の電極120を積層する。第2の電極120を覆うように保護膜121を形成し、基板100と封止基板123とをシール材で貼り合わせて固着する。本実施の形態では、充填材122を充填する。本実施の形態では図示しないが、表示装置内に、より水分を除去するため、乾燥剤を設置してもよい。設置場所、方法はどのようなものを用いてもよく、例えば、封止基板123に凹部を形成し、乾燥剤を設置してもよいし、吸湿性を有する樹脂などを充填材の代わりに充填してもよい。なお、封止基板123に凹部を形成する場所は、周辺駆動回路部や、配線層上部、シール材部分など、発光に寄与しない場所とすると、光の取り出し効率を低下させることがない。
以上、本発明により、表示装置内での脱ガスが生じない表示装置を、工程数を増やすことなく作製することができるので、発光素子の劣化を防止することができる。従って、高繊細で、高品質な画像を表示できる、信頼性の高い表示装置を歩留まりよく作製することができる。
[実施の形態3]
本実施の形態では、実施の形態1で作製した表示装置において、両面出射型、片面出射型である上面出射型の例を、図6及び図7を用いて説明する。
図6において、1300は素子基板、1355、1365、1375はTFT、1317は第1の電極、1319は発光層、1320は第2の電極、1321は透明導電膜、1322は充填材、1325はシール材、1305はゲート絶縁膜、1309は絶縁層、1314は隔壁、1323は封止基板、1384は配線層、1380、1381は端子電極、1382は異方性導電層、1383はFPCである。
図10の表示装置は、両面出射型であり、矢印の方向に素子基板1300側からも、封止基板1323側からも光を出射する構造である。なお本実施の形態では、透明導電膜を成膜し、所望の形状にエッチングすることで第1の電極1317を形成する。その後、本発明の加熱処理を行い、脱ガスを生じない第1の電極1317とする。第1の電極1317として透明導電膜を用いることができる。第1の電極1317として上記透明導電膜の他に、窒化チタン膜またはチタン膜を用いても良い。この場合、透明導電膜を成膜した後に、窒化チタン膜またはチタン膜を、光が透過する程度の膜厚(好ましくは、5nm〜30nm程度)で成膜する。本実施の形態では、第1の電極1317としてITSOを用いている。
次に、発光層1319の上には導電膜からなる第2の電極1320が設けられる。第2の電極1320としては、仕事関数の小さい材料(Al、Ag、Li、Ca、またはこれらの合金や化合物MgAg、MgIn、AlLi、CaF2、またはCaN)を用いればよい。図6の表示装置では、発光が透過するように、第2の電極1320として膜厚を薄くした金属薄膜(MgAg:膜厚10nm)と、透明導電膜1321として、膜厚100nmのITSOとの積層を用いる。透明導電膜1321として上述の第1の電極1317と同様なものを用いることができる。
図7の表示装置は、片面出射型であり、矢印の方向に上面出射する構造である。図7において、1600は素子基板、1655、1665、1675はTFT、1624は反射性を有する金属膜、1611は絶縁膜、1617は第1の電極、1619は発光層、1620は第2の電極、1621は透明導電膜、1622は充填材、1625はシール材、1605はゲート絶縁膜、1609は絶縁層、1614は隔壁、1623は封止基板、1684は配線層、1680、1681は端子電極、1682は異方性導電膜、1683はFPCである。この場合、前述の図6で示した両面出射型の表示装置において、第1の電極1317の下に、反射性を有する金属膜1624を形成する。反射性を有する金属膜1624の上に陽極として機能する透明導電膜である第1の電極1617を形成する。金属膜1624としては、反射性を有すればよいので、Ta、W、Ti、Mo、Al、Cuなどを用いればよい。好ましくは、可視光の領域で反射性が高い物質を用いることがよく、本実施の形態では、TiN膜を用いる。本発明では、第1の電極は形成後加熱処理され、装置内で脱ガスを生じない。
図7で示す表示装置は、封止基板1623側から光を取り出す上面出射型の表示装置なので、絶縁膜1611を形成しても、光の取り出し効率を低下させることはない。よって本実施の形態では、絶縁層1609上に絶縁膜1611を形成し、第1の電極1617の下地膜としている。絶縁膜1611は、電極層をパターニングする際、エッチングストッパーとして機能する。よって、電極層と絶縁膜1611は高い選択比を有するものを選択することによって、電極層エッチング後も絶縁膜1611表面に残渣が無く、平坦性のよい状態にすることができる。絶縁膜1611の平坦性がよいと、絶縁膜1611の上に画素電極として第1の電極1617を形成しても電極の断線やショート等を防ぐことができ、表示装置の信頼性が向上する。
発光層1619の上には導電膜からなる第2の電極1620が設けられる。第2の電極1620としては、陰極として機能させるので仕事関数の小さい材料(Al、Ag、Li、Ca、またはこれらの合金や化合物MgAg、MgIn、AlLi、CaF2、またはCaN)を用いればよい。本実施の形態では、発光が透過するように、第2の電極1620として膜厚を薄くした金属薄膜(MgAg:膜厚10nm)と、透明導電膜1621として、膜厚110nmのITSOとの積層を用いる。
以上、本発明により、表示装置内での脱ガスが生じない表示装置を、工程数を増やすことなく作製することができるので、発光素子の劣化を防止することができる。従って、高繊細で、高品質な画像を表示できる、信頼性の高い表示装置を歩留まりよく作製することができる。
[実施の形態4]
本実施の形態では、逆スタガ型TFTの一例を図8及び図9に示す。TFT以外の部分は、最良の形態における実施の形態1で示した表示装置と同一であるのでここでは詳細な説明は省略する。
図9に示すTFTはチャネル保護型である。1400は素子基板、1465、1475は駆動回路部のTFTであり、ゲート電極1403上に、ゲート絶縁膜1404、半導体層1405、一導電型を有する半導体層としてN型半導体層1407、金属層1408が積層形成されており、半導体層1405のチャネル形成領域となる部分上方にチャネル保護膜1406、電極層1411が形成されている。1412は第1の電極、1413は発光層、1414は第2の電極、1416はパッシベーション膜、1425はシール材、1409、1410は絶縁層、1415は隔壁、1423は封止基板、1484は配線層、1480、1481は端子電極、1482は異方性導電膜、1483はFPCである。本実施の形態の表示装置は、樹脂状の充填材1422を充填しているが、封止工程を窒素雰囲気下で行い、窒素を充填してもよい。
また、図8に示すTFTはチャネルエッチ型である。700は素子基板、765、775は駆動回路部のTFTであり、ゲート電極703上に、ゲート絶縁膜708、半導体層705、一導電型を有する半導体層としてN型半導体層706、電極層707が積層形成されており、半導体層705のチャネル形成領域となる部分は薄くエッチングされている。712は第1の電極、713は発光層、714は第2の電極、716はパッシベーション膜、725はシール材、715は絶縁層、722は充填材、723は封止基板、784は配線層、780、781は端子電極、782は異方性導電膜、783はFPCである。また、図8における表示装置では絶縁層715は、実施の形態1における表示装置において層間絶縁層と、隔壁となる絶縁層を兼ねている構造になっている。
図8、図9の逆スタガ型TFTを有する表示装置ともに、素子基板側から光を放射する下面出射型の表示装置であり、第1の電極に透光性を有する導電膜を用いている。第1の電極は、形成後、加熱処理を行われるので、表示装置内で脱ガスを生じないため、その上に形成される発光材料を劣化させる心配はない。
半導体層として、前述のセミアモルファス半導体膜も用いることができる。また一導電型を有する半導体層は必要に応じて形成すればよい。
本実施の形態の画素部におけるTFTはnチャネル型TFTであり、第1の電極(画素電極)712、1412を陰極として機能させ、第2の電極714、1414を陽極として機能させる。本実施の形態では、第1の電極と第2の電極に透明導電層であるITSOを用い、順に第1の電極(ITSO)、電子注入層(ベンゾオキサゾール誘導体(BzOS)にLiを添加したBzOS−Li)、電子輸送層(Alq)、発光層(キナクリドン誘導体(DMQd)をドープしたAlq)、正孔輸送層(4,4'−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(α−NPD))、正孔注入層(モリブデン酸化物(MoOx))、第2の電極(ITSO)とする。陽極、陰極、発光層を形成する電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層などの材料は、本実施の形態に限定されず、適宜選択し、組み合わせればよい。
以上、本発明により、表示装置内での脱ガスが生じない表示装置を、工程数を増やすことなく作製することができるので、発光素子の劣化を防止することができる。従って、高繊細で、高品質な画像を表示できる、信頼性の高い表示装置を歩留まりよく作製することができる。
[実施の形態5]
走査線側入力端子部と信号線側入力端子部とに保護ダイオードを設けた一態様について図17を参照して説明する。図17において画素2702にはTFT501、502、容量504、発光素子503が設けられている。このTFTは実施の形態4と同様な構成を有している。
信号線側入力端子部には、保護ダイオード561と562が設けられている。この保護ダイオードは、TFT501若しくは502と同様な工程で作製され、ゲートとドレイン若しくはソースの一方とを接続することによりダイオードとして動作させている。図17で示す上面図の等価回路図を図16に示している。
保護ダイオード561は、ゲート電極層、半導体層、配線層から成っている。保護ダイオード562も同様な構造である。この保護ダイオードと接続する共通電位線554、555はゲート電極層と同じ層で形成している。従って、配線層と電気的に接続するには、ゲート絶縁層にコンタクトホールを形成する必要がある。
ゲート絶縁層へのコンタクトホールは、マスク層を形成し、エッチング加工すれば良い。この場合、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能であり、基板の全面にマスク層を形成する必要はない。
信号配線層はTFT501におけるソース又はドレイン配線層505と同じ層で形成され、それに接続している信号配線層とソース又はドレイン側が接続する構造となっている。
走査線側の入力端子部も同様な構成である。保護ダイオード563は、ゲート電極層、半導体層、配線層から成っている。保護ダイオード564も同様な構造である。この保護ダイオードと接続する共通電位線556、共通電位線557はソース又はドレイン配線層と同じ層で形成している。このように、本発明によれば、入力段に設けられる保護ダイオードを同時に形成することができる。なお、保護ダイオードを挿入する位置は、本実施の形態のみに限定されず、駆動回路と画素との間に設けることもできる。
[実施の形態6]
図13は、本発明によって作製される、TFT基板2800を有するEL表示モジュールを構成する一例を示している。同図面において、TFT基板2800上には、画素により構成された画素部が形成されており、TFT2802、2803を有している。
図13では、画素部の外側であって、駆動回路と画素との間に、画素に形成されたものと同様なTFT又はそのTFTのゲートとソース若しくはドレインの一方とを接続してダイオードと同様に動作させた保護回路部2801が備えられている。駆動回路2809は、単結晶半導体で形成されたドライバIC、ガラス基板上に多結晶半導体膜で形成されたスティックドライバIC、若しくはSASで形成された駆動回路などが適用されている。
TFT基板2800は、スペーサ2806a、スペーサ2806bを介して封止基板2820と固着されている。スペーサは、基板の厚さが薄く、また画素部の面積が大型化した場合にも、2枚の基板の間隔を一定に保つために設けておくことが好ましい。発光素子2804、2805上であって、TFT基板2800と封止基板2820との間にある空隙には透光性の樹脂材料を充填して固体化しても良いし、無水化した窒素若しくは不活性気体を充填させても良い。
図13では発光素子2804、2805を上面出射(トップエミッション)型の構成とした場合を示し、図中に示す矢印の方向に光を放射する構成としている。各画素は、画素を赤色、緑色、青色として発光色を異ならせておくことで、多色表示を行うことができる。また、このとき封止基板2820側に各色に対応した着色層2807a、着色層2807b、着色層2807cを形成しておくことで、外部に放射される発光の色純度を高めることができる。また、画素を白色発光素子として着色層2807a、着色層2807b、着色層2807cと組み合わせても良い。
駆動回路2809は、TFT基板2800の一端に設けられた走査線若しくは信号線接続端子と、配線基板2810で接続される。また、TFT基板2800に接して若しくは近接させて、ヒートパイプ2813と放熱板2812を設け、放熱効果を高める構成としても良い。
なお、図13では、トップエミッションのEL表示モジュールとしたが、発光素子の構成や外部回路基板の配置を変えてボトムエミッション構造としても良い。トップエミッション型の構成の場合、隔壁となる絶縁層を着色しブラックマトリクスとして用いてもよい。この隔壁は液滴吐出法などによっても形成することができ、ポリイミドなどの樹脂材料に、顔料系の黒色樹脂やカーボンブラック等を混合させて形成すればよく、その積層でもよい。
また、TFT基板2800において、画素部が形成された側にシール材や接着性の樹脂を用いて樹脂フィルムを貼り付けて封止構造を形成てもよい。樹脂フィルムの表面には水蒸気の透過を防止するガスバリア膜を設けておくと良い。フィルム封止構造とすることで、さらなる薄型化及び軽量化を図ることができる。
[実施の形態7]
本発明によって形成される表示装置によって、テレビジョン装置を完成させることができる。表示パネルには、図14(A)で示すような構成として画素部のみが形成されて走査線側駆動回路と信号線側駆動回路とが、図15(B)のようなTAB方式により実装される場合と、図15(A)のようなCOG方式により実装される場合と、図14(B)に示すようにSASでTFTを形成し、画素部と走査線側駆動回路を基板上に一体形成し信号線側駆動回路を別途ドライバICとして実装する場合、また図14(C)のように画素部と信号線側駆動回路と走査線側駆動回路を基板上に一体形成する場合などがあるが、どのような形態としても良い。
その他の外部回路の構成として、映像信号の入力側では、チューナで受信した信号のうち、映像信号を増幅する映像信号増幅回路と、そこから出力される信号を赤、緑、青の各色に対応した色信号に変換する映像信号処理回路と、その映像信号をドライバICの入力仕様に変換するためのコントロール回路などからなっている。コントロール回路は、走査線側と信号線側にそれぞれ信号が出力する。デジタル駆動する場合には、信号線側に信号分割回路を設け、入力デジタル信号をm個に分割して供給する構成としても良い。
チューナで受信した信号のうち、音声信号は、音声信号増幅回路に送られ、その出力は音声信号処理回路を経てスピーカに供給される。制御回路は受信局(受信周波数)や音量の制御情報を入力部から受け、チューナや音声信号処理回路に信号を送出する。
表示モジュールを、図10に示すように、筐体2001に組みこんで、テレビジョン装置を完成させることができる。表示モジュールとして、図13のようなEL表示モジュールを用いると、ELテレビジョン装置を完成することができる。表示モジュールにより主画面2003が形成され、その他付属設備としてスピーカ部2009、操作スイッチなどが備えられている。このように、本発明によりテレビジョン装置を完成させることができる。
また、位相差板や偏光板を用いて、外部から入射する光の反射光を遮断するようにしてもよい。位相差板としてはλ/4板、λ/2板を用い、光を制御できるように設計すればよい。構成としては、順にTFT素子基板、発光素子、封止基板(封止材)、位相差板(λ/4 \λ/2)、偏光板となり、発光素子から放射された光は、これらを通過し偏光板側より外部に放射される。この位相差板や偏光板は光が放射される側に設置すればよく、両面放射される両面出射型の表示装置であれば両方に設置することもできる。また、偏光板の外側に反射防止膜を有していても良い。これにより、より高繊細で精密な画像を表示することができる。
筐体2001にEL素子を利用した表示用パネル2002が組みこまれ、受信機2005により一般のテレビ放送の受信をはじめ、モデム2004を介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、又は受信者間同士)の情報通信をすることもできる。テレビジョン装置の操作は、筐体に組みこまれたスイッチ又は別体のリモコン装置2006により行うことが可能であり、このリモコン装置にも出力する情報を表示する表示部2007が設けられていても良い。
また、テレビジョン装置にも、主画面2003の他にサブ画面2008を第2の表示用パネルで形成し、チャネルや音量などを表示する構成が付加されていても良い。主画面2003を視野角の優れたEL表示用パネルで形成し、サブ画面もEL表示用パネルで形成し、点滅可能とする構成としても良い。本発明を用いると、このような大型基板を用いて、多くのTFTや電子部品を用いても、信頼性の高い表示装置とすることができる。
勿論、本発明はテレビジョン装置に限定されず、パーソナルコンピュータのモニタをはじめ、鉄道の駅や空港などにおける情報表示盤や、街頭における広告表示盤など大面積の表示媒体としても様々な用途に適用することができる。
[実施の形態8]
本発明を適用して、様々な表示装置を作製することができる。即ち、それら表示装置を表示部に組み込んだ様々な電子機器に本発明を適用できる。
その様な電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、プロジェクター、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、カーナビゲーション、カーステレオ、パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それらの例を図11に示す。
図11(A)は、ノート型パーソナルコンピュータであり、本体2101、筐体2102、表示部2103、キーボード2104、外部接続ポート2105、ポインティングマウス2106等を含む。本発明は、表示部2103の作製に適用される。本発明を用いると、屋外へ持ち運ぶ事が多いノート型パーソナルコンピュータにおいて、長時間使用したり、過酷な状況で使用しても信頼性の高い高画質な画像を表示することができる。
図11(B)は記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)であり、本体2201、筐体2202、表示部A2203、表示部B2204、記録媒体(DVD等)読み込み部2205、操作キー2206、スピーカー部2207等を含む。表示部A2203は主として画像情報を表示し、表示部B2204は主として文字情報を表示するが、本発明は、これら表示部A2203、表示部B2204の作製に適用される。本発明を用いると、信頼性の高い高画質な画像を長時間にわたって表示することができる。
図11(C)は携帯電話であり、本体2301、音声出力部2302、音声入力部2303、表示部2304、操作スイッチ2305、アンテナ2306等を含む。本発明により作製される表示装置を表示部2304に適用することで、屋外など高温、多湿な環境において使われることが多い携帯電話であっても、長時間にわたって信頼性の高く高画質な表示をすることができる。
図11(D)はビデオカメラであり、本体2401、表示部2402、筐体2403、外部接続ポート2404、リモコン受信部2405、受像部2406、バッテリー2407、音声入力部2408、操作キー2409等を含む。本発明により作製される表示装置を表示部2402に適用することで、屋外など高温、多湿な環境において長時間使われても、信頼性の高い高画質な表示をすることができる。
図12では、表示部を自動車に搭載した例を示している。ここでは乗物の代表的な例として自動車を用いたが、特に限定されず、航空機、列車、電車などにも適用できる。特に自動車に搭載する表示装置としては、厳しい環境(高温多湿になりやすい車内)であっても高信頼性を有していることが重要視される。
図12は、自動車の運転席周辺を示す図である。ダッシュボード2507には音響再生装置、具体的にはカーオーディオや、カーナビゲーションが設けられている。カーオーディオの本体2505は、表示部2504、操作ボタン2508を含む。表示部2503に本発明を実施することによって、高信頼性を備えたカーオーディオを完成させることができる。
また、カーナビゲーションの表示部2503、車内の空調状態を表示する表示部2506に本発明を実施することによっても高信頼性を備えたカーナビゲーション完成させることができる。
また、本実施の形態では車載用カーオーディオやカーナビゲーションを示すが、その他の乗物の表示器や、据え置き型のオーディオやナビゲーション装置に用いても良い。
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、さまざまな分野の電子機器に適用することが可能である。
本実施例では、実験結果を示しながら本発明を説明する。
本実施例では、基板上に第1の電極として用いる導電層を形成し、加熱による水分量の変化について実験を行った。
基板として、ガラス基板を用い、第1の電極として用いるITSO膜をスパッタ法で110nm蒸着し試料を作成した。この試料を減圧CVD装置内で、各温度で加熱した。加熱処理温度は、300度、350度、375度、400度であり、3.2×10-4Paの減圧下で、それぞれ12時間加熱した後、脱ガスとして放出される水分量を測定した。測定は昇温脱離ガス分光法(TDS:Thermal Desorption Spectroscopy)を用いた。TDSとは、測定対象の試料を加熱して温度毎に試料から放出されるガス分子を測定する分光法である。
測定するITSO膜は、加熱処理なし(室温約25度)のものも含めて、全部で5試料である。測定結果を図18に、一番上から加熱処理なし、加熱処理温度300度、350度、375度及び400度の順に示す。また図18において、縦軸である測定されるガス分子は任意の強度で示されている。
加熱処理なしのITSO膜は、脱ガスのピークを2カ所有しており、TDS装置による基板温度(T2)で50度から100度の間に第1ピーク、200度から300度の間に第2ピークが見られる。この横軸のT2は、測定に使用したTDS装置の測定する基板温度であり、装置依存による誤差が見られる。実際の基板温度は、70〜80度ほど高く、よって加熱処理なしの試料における第2ピークは、実際の基板温度では270〜380度付近となる。
図18に見られる第2ピークで表される脱ガスとして放出される水分(任意の強度として示す)の、加熱処理温度に対する変化を図22に示す。図18、図22より、脱ガスによる第2ピークが、加熱処理なし(室温25度とする)と比べて、加熱処理温度300度、350度となるにつれ減少し、加熱処理温度375度、400度になると消失した。よって、加熱処理によって、ITSO膜からの脱ガスは抑えられることが確認できた。本発明により、発光素子の脱ガスによる劣化を防ぐことができる。
また、ITO膜とITSO膜の加熱処理による表面状態の変化を調べるため、X線回折計(XRD:X−ray diffractometer)により結晶性の測定を行った。XRDとは、波動の回折現象を利用し、物質中の原子・分子配置の周期性に関する情報を得るための装置であり、加熱処理によって非晶質であったITO膜、ITSO膜が結晶化するかどうかを測定した。ITO膜のXRD分析結果を図19に、ITSO膜のXRD分析結果を図20に示す。図19、図20ともに一番上から、加熱処理なし、加熱処理温度250度、410度の結果を示す。なお、試料は、下地膜としてSiNO膜を100nm形成した後、ITO膜、ITSO膜をその上に形成したものであり、ITSO膜中にはSiO2が10wt%添加されている。なお、加熱処理は、大気圧、窒素雰囲気下で1時間行った。
図19に示すように、ITO膜では、加熱処理温度250度、410度の試料にIn23の結晶化に起因する(222)、(400)、(440)の回折ピークが見られ、加熱処理によって結晶化したことがわかる。しかし、図20に示すように、ITSO膜では、加熱処理なし、加熱温度250度、410度と全ての試料において、結晶化によるピークは見られず、ITSO膜は平坦性の高い非晶質のままであることが確認された。
XRDでの結晶性の測定の他に、ITSO膜の表面状態の変化を調べる他の方法として、原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)による測定を行った。AFMとは試料表面に非常に小さな針を近づけて、試料表面と針との間に働く力(原子間力)を検出することによって、試料表面の形状を観察する装置である。このAFMによって、250度、300度、350度、410度で1時間加熱した各試料の膜表面の凹凸の最大高低差、平均面粗さ、平均粗さを測定した。最大高低差の結果を表1に、平均面粗さの結果を表2に、平均粗さの結果を表3にそれぞれ示す。測定は、2×2μm2領域内で行い、平均面粗さとは、JIS B0601で定義されている中心線平均粗さを面に対して適用できるよう三次元に拡張したものであり、平均粗さとは、測定領域内における凸部最大値より5番目までの値の平均値と、凹部最低値から5番目までの値の平均値との差を示すものである。
Figure 0004884674
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上記最大高低差、平均面粗さ、及び平均粗さのいずれの値においても、値が大きくなるに従って膜の表面状態があれており、平坦性が低下していることを表す。表1から表3の結果をグラフ化し、まとめたものを図21に示す。各グラフとも横軸に試料の加熱処理温度をとっており、図21(A)が表1の最大高低差、(B)が表2の平均面粗さ、(C)が表3の平均粗さを縦軸にとっている。測定試料は、基板上に、下地膜を形成し、その上に第1の電極に用いられる透明導電膜を形成した。下地膜としては、CVD法によるSiNO膜とスパッタ法によるSiN膜を用い、透明導電膜としては、スパッタによるITO膜とITSO膜を用いた。
図21に示すように、ITO膜よりも、ITSO膜の方が、最大高低差、平均面粗さ、平均粗さともに値が小さく、ITO膜よりも平坦性がよいことがわかる。また、最大高低差、平均面粗さ、平均粗さともに、温度による顕著な変化は見られず、加熱による平坦性の変化が生じないことが確認できた。下地膜を変化させても同様な傾向が得られたため、平坦性の下地膜による依存はないといえる。この結果より、本実施例の加熱処理を行っても、ITSO膜の平坦性を低下することなく、脱ガスを無くす効果が得られることが証明された。
以上の本実施例における実験結果より、本実施例で作製した導電膜は、十分に脱ガスを防止する効果を付与されており、なおかつその処理によって、膜表面の平坦性は損なうことがないことが確認できた。よって、本発明を適用された導電膜を用いた表示装置は、発光素子の劣化を防止できるので、信頼性の高い表示装置である。また本発明は、他の加熱工程を兼ねることができるため、本発明を用いると、工程数を増加することなく、歩留まりよく高品質の表示装置を作製することができる。
本発明の表示装置の作製方法を説明する図。 本発明の表示装置の作製方法を説明する図。 本発明の表示装置の作製方法を説明する図。 本発明の表示装置の作製方法を説明する図。 本発明の表示装置を説明する図。 本発明の表示装置を説明する図。 本発明の表示装置を説明する図。 本発明の表示装置を説明する図。 本発明の表示装置を説明する図。 本発明が適用される電子機器を示す図。 本発明が適用される電子機器を示す図。 本発明が適用される電子機器を示す図。 本発明のEL表示モジュールの構成例を説明する断面図。 本発明の表示装置の上面図。 本発明の表示装置の上面図。 図17で説明するEL表示パネルの等価回路図。 本発明のEL表示パネルを説明する上面図。 ITSO膜のTDS測定結果を示す図。 ITO膜のXRD分析結果を示す図。 ITSO膜のXRD分析結果を示す図。 AFMによる表面粗さ解析結果を示す図。 ITSO膜のTDS測定による水分強度と加熱処理温度との関係を示す図。

Claims (6)

  1. 第1の電極のみからなる画素電極を形成し、
    インジウム錫酸化物と酸化珪素が混合されてなる前記第1の電極を減圧下、375度以上410度以下で加熱処理し、
    前記第1の電極上に有機化合物を含む層を形成し、
    前記有機化合物を含む層上に第2の電極を形成し、
    前記375度以上410度以下で行う前記加熱処理の際に、前記第1の電極が結晶化しないことを特徴とする表示装置の作製方法。
  2. 配線を有する薄膜トランジスタを形成し、
    前記薄膜トランジスタ上に水素を含む絶縁膜を形成し、
    前記配線に接するように、第1の電極のみからなる画素電極を形成し、
    前記薄膜トランジスタ、前記絶縁膜及びインジウム錫酸化物と酸化珪素とが混合されてなる前記第1の電極を減圧下、375度以上410度以下で加熱処理することで、前記薄膜トランジスタの水素化と前記第1の電極の脱水処理とを同時に行い、
    前記第1の電極上に有機化合物を含む層を形成し、
    前記有機化合物を含む層上に第2の電極を形成し、
    前記375度以上410度以下で行う前記加熱処理の際に、前記第1の電極が結晶化しないことを特徴とする表示装置の作製方法。
  3. 第1の電極のみからなる画素電極を形成し、
    インジウム錫酸化物と酸化珪素が混合されてなる前記第1の電極を減圧下、375度以上410度以下で加熱処理し、
    前記第1の電極の端部を覆って絶縁膜を形成し、
    前記第1の電極および前記絶縁膜を、200度〜300度で加熱処理し、
    前記第1の電極上に有機化合物を含む層を形成し、
    前記有機化合物を含む層上に第2の電極を形成し、
    前記375度以上410度以下で行う前記加熱処理の際に、前記第1の電極が結晶化しないことを特徴とする表示装置の作製方法。
  4. 配線を有する薄膜トランジスタを形成し、
    前記薄膜トランジスタ上に水素を含む第1の絶縁膜を形成し、
    前記配線に接するように、第1の電極のみからなる画素電極を形成し、
    前記薄膜トランジスタ、前記第1の絶縁膜及びインジウム錫酸化物と酸化珪素が混合されてなる前記第1の電極を減圧下、375度以上410度以下で加熱処理することで、前記薄膜トランジスタの水素化と、前記第1の電極の脱水処理とを同時に行い、
    前記第1の電極の端部を覆って第2の絶縁膜を形成し、
    前記薄膜トランジスタ、前記第1の絶縁膜、前記第1の電極及び前記第2の絶縁膜を、200度〜300度で加熱処理をし、
    前記第1の電極上に有機化合物を含む層を形成し、
    前記有機化合物を含む層上に第2の電極を形成し、
    前記375度以上410度以下で行う前記加熱処理の際に、前記第1の電極が結晶化しないことを特徴とする表示装置の作製方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
    前記375度以上410度以下で行う前記加熱処理を、1×10−6Pa以上1×10−2Pa以下の減圧下で行うことを特徴とする表示装置の作製方法。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、
    前記375度以上410度以下で行う前記加熱処理を、12時間以上行うことを特徴とする表示装置の作製方法。
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