JP4884502B2 - 車載機器遠隔制御システムおよび車載機器遠隔制御方法 - Google Patents

車載機器遠隔制御システムおよび車載機器遠隔制御方法 Download PDF

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Description

この発明は、携帯機との通信によるコード照合を行い、照合結果に基づいて車両の使用許可または不許可の制御を行う車載機器遠隔制御システムおよび車載機器遠隔制御方法に関する。
従来より、携帯機の操作部を操作して車両のドアの施錠/解錠を行う遠隔操作機能に加え、操作部を操作することなく、車両側からの送信要求信号に対して返送コード信号を返送し、コードを照合することによりドアの施錠/解錠を行うスマートエントリシステムがある。
例えば、特許文献1(特開平5−106376号公報)には、「第1の受信手段で呼出信号が受信されると、応答信号を送信する第1の送信手段を備えた携帯無線装置と、第2
の送信手段から所定の時間間隔で送信された呼出信号を受信して送信された応答信号が第2の受信手段で受信されると、車両のドアを解錠するための信号を出力し、応答信号が受信されなければ、所定時間経過後に車両のドアを施錠するための信号を出力する制御手段とを備えた車両無線装置とから構成されたキーレスエントリーシステム(即ち、スマートエントリシステム)」が記載されている。
また、従来より、車両側からの送信要求信号に対して返送コード信号を返送し、コードを照合することによりステアリングロック機構の解錠とエンジン始動禁止装置の解除を行い、機械的キーを使用しないエンジン始動操作を可能にしたスマートスタートシステムがある。
例えば、特許文献2(特開昭63−1765号公報)には、「携帯無線機に呼出信号を送信して、携帯無線機からの暗証コード信号を受信し、内部コードと照合し一致したときには、ステアリングロック機構の解錠動作、エンジンスイッチのスイッチング動作およびアクセサリスイッチのスイッチング動作を各々許可する手段から構成されたイグニッション装置(即ち、スマートスタートシステム)」が記載されている。
なお、スマートエントリシステムとスマートスタートシステムの上記両方のシステムを合わせたシステムは、スマートエントリ/スタートシステムと称される。
スマートエントリ/スタートシステムでは、前述のようにドアの施解錠、キーシリンダの解錠など、人の操作に対する応答性が重要な性能となる。
応答時間を短縮するために、コード認証のための通信時間を短くすることが課題である。
例えば、特許文献3(特開平9−144411号公報)には、「車両に設けられた受信機から携帯可能な送信機をサーチするためのサーチ信号を送信する一方、送信機がこのサーチ信号の受信に応じて送信機毎に設定されたIDコード信号を送信し、次に、車両に設けられた受信機で受信されたIDコード信号が当該車両に設定されたものと一致した場合には、車両ドアを解錠させるキーレスエントリ装置において、送信機は、車両から送信されたサーチ信号を受信した後に、予め設定された遅延時間を開けてIDコード信号を送信する送信手段を有している」ことが記載されている。
このように、特許文献3に示された従来のキーレスエントリ装置では、車両に設けられた受信機と携帯可能な複数の送信機間の通信は、タイムスロット方式で行われるため、送信機(即ち、携帯機)の数が多くなれば、通信時間が増大する。
一方、特許文献4(特表2003−500957号公報)には、「送受信ユニットを備えた装置を用いて遠隔アクセスを制御する方法であって、この送受信ユニットによって全
てのアクセスコード発生器を同時に活性化するポーリング信号を送出し、かつ、このポーリング信号を受信するすべてのアクセスコードコード発生器が、その後実質的に同時にその固有のアクセスコード信号を送出し、かつ、送受信ユニットが同時に受信されるアクセスコード信号の分離を該アクセスコード信号に変調により乗せられていることを特徴とする遠隔アクセス制御方法」が開示されており、更に、「車両ユニットと応答すべきアクセスコード発生器との間の交信課程において、アクセスコードコード発生器に対して一つの共通のポーリング信号によって応答させ、かつ、アクセスコード発生器が時間的に並列に答えるようにし、しかも送信信号には、車両ユニットにおける時間的に並列な処理を可能にする特徴が変調により乗せられている」ことが記載されている。
即ち、特許文献4では、送信機(携帯機)の数に関係なく通信時間が一定である多元接続可能なスペクトラム拡散通信方式が提案されている。
しかし、この提案の通信方式では、携帯機の数(=生産車両台数×1台当たりの携帯機数)に見合ったPN号(PSEUDO-NOISE 符号:疑似ランダム符号)の種類が必要になる。
そのためPN符号長は充分長いもの、例えば、相互相関が低く1と−1の発生頻度が平衡している平衡GOLD符号で10万種類程度用意するには、符号長は225bit(チップ)
になる。
また、車両側の第1受信手段には携帯機の数だけの相関器が必要になるので、回路規模
も大きく、製造コストが高くなる。
一方、PN符号長さを短くして、しかも相関器の数を減らす方法として、同じPN符号で1チップ以上の位相差を付けることで独立したPN符号として利用する方法が良く知られており、例えば、特許文献5(特開平6−244821号公報)の提案にあるように、多重化する方法がある。
しかし、後述するように、スマートエントリ/スタートシステムでは、車載機の第1送信手段と携帯機の第2受信手段の通信ではLF帯の電波(典型的には125kHz)を、携帯機の第2送信手段と車載局の第1受信手段との通信にはUHF帯の電波(典型的には315MHz)を使用している。
前述の1チップ以上の位相差を実現するためにはμsオーダの管理が必要なのに対して、第2送信手段の送信タイミングを決める第2受信手段の受信時刻は、携帯機の機差や送信アンテナからの距離によって、使用するLF帯周波数の数波(数十μs)程度以下の管理ができない。
従って、他携帯機との通信衝突(通信干渉)を確実に防止することは困難であり、特許文献5の提案のままでは通信信頼性は低く、位相差を利用して多重化することはできない。
時間管理できる程度、例えば200μs以上にPN符号長さを長くすることは、通信速度の低下と相関器の規模大となるのでシステム的には好ましくない。
また、特許文献6(特開2008−92267号公報)には、複数の携帯機に対して認証用および存否確認用の質問信号を送信する車載機の送信手段と、質問信号を受信する携帯機の受信手段と、質問信号を受信すると応答信号を車載機に返送する携帯機の送信手段と、携帯機の送信手段により返送される応答信号を受信する車載機の受信手段と、車載機に返送された応答信号の応答コードのコード照合がなされたとき、車載機器の作動状態を制御する作動制御手段を有する車載機器遠隔制御システムであって、携帯機の送信手段は、応答信号を2値データとし、この2値データに対応する複数の擬似ランダム符号で変調して得られるデジタル信号を用いて搬送波を変調して応答信号を送信し、車載機の受信手段は、複数の擬似ランダム符号に対応した複数の相関器を用いて受信した応答信号の相関をとり、複数の相関器出力により応答信号を復調すると共に、車載機の送信手段は、擬似ランダム符号の所定時間内に複数の相関器からの出力が在った場合に、携帯機に対して質問信号を再度送信する「車載機器遠隔制御システム」が記載されている。
そして、特許文献6に記載の車載機器遠隔制御システムは、「多重通信による応答性向上ができると共に、通信信頼性が高く、車両の無断使用の防止や盗難防止などに好適である」ことが記載されている。
しかし、特許文献6に開示されている車載機器遠隔制御システムでは、各携帯機の応答信号の返信間隔精度があまり良好でなく、多重化数を増加することが困難であった。
特開平5−106376号公報 特開昭63−1765号公報 特開平9−144411号公報 特表2003−500957号公報 特開平6−244821号公報 特開2008−92267号公報
以上のように、特開平9−144411号公に示された従来のキーレスエントリ装置では、車両に設けられた受信機と携帯可能な複数の送信機間の通信はタイムスロット方式で行われるため、送信機(携帯機)の数が多くなれば、通信時間が増大する。
また、特表2003−500957号公報に示された従来の技術(遠隔アクセス制御方法)では、携帯機の数に見合ったPN符号の種類が必要になり、そのためPN符号長は充分長いものとなり、また、車両側の受信手段には携帯機の数だけの相関器が必要になるので、回路規模が大きくなり、製造コストが高くなる。
また、特開平6−244821号公報に示された「スペクトラム拡散通信システムを利用して多重化する方法」では、他携帯機との通信衝突を確実に防止することは困難であり、通信信頼性は低い。
また、特開2008−92267号公報に示された「車載機器遠隔制御システム」では、各携帯機の応答信号の返信間隔精度を大幅に向上して、多重化数を増加することは困難であった。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、多重通信による応答性向上ができると共に、通信の信頼性が高く、車両の無断使用防止や盗難防止に好適であり、更に、各携帯機の応答信号の返信間隔精度を大幅に向上させることを可能として、多重化数を増加できる「車載機器遠隔制御システム」あるいは「車載機器遠隔制御方法」を提供することを目的とする。
本発明に係わる車載機器遠隔制御システムは、複数の携帯機に対して認証用および存否確認用の質問信号をASK(Amplitude Shift Keying)信号で送信する車載機の送信手段と、前記質問信号を受信する前記携帯機の受信手段と、該携帯機の受信手段が前記質問信号を受信するとスペクトラム拡散変調された応答信号を前記車載機に返送する前記携帯機の送信手段と、前記携帯機の送信手段により返送される前記応答信号を受信する車載機の受信手段と、前記車載機に返送された前記応答信号の応答コードのコード照合がなされたとき車載機器の作動状態を制御する作動制御手段を備え、前記携帯機の受信手段は、ASK信号で送信される前記質問信号を受信し、受信したASK信号から前記質問信号に対応したパルス信号を生成する車載機器遠隔制御システムであって、
前記携帯機の受信手段は、前記受信ASK信号が所定値より大きい場合に前記受信ASK信号の振幅を制限する振幅制限手段と、前記振幅制限手段を通過した受信信号を一定振幅に増幅する自動利得制御手段と、該自動利得制御手段にて増幅された受信信号を包絡線
検波する検波手段と、該検波手段から出力される検波信号を、前記質問信号に対応したパルス信号として出力する波形整形手段を備え、
前記携帯機の送信手段は、前記波形整形手段から出力する前記パルス信号の特定パルスを基準時刻として各携帯機で異なる所定遅延時間後に送信開始する遅延多重通信手段と、
前記振幅制限手段が振幅制限したことを検知する振幅制限検知手段と、前記振幅制限検知手段が振幅制限したことを検知した場合に前記所定遅延時間を修正する遅延時間修正手段を備えているものである。
また、本に係わる車載機器遠隔制御方法は、複数の携帯機に対して認証用および存否確認用の質問信号をASK(Amplitude Shift Keying)信号で送信する車載機の送信手段と、前記質問信号を受信する前記携帯機の受信手段と、該携帯機の受信手段が前記質問信号を受信するとスペクトラム拡散変調された応答信号応答信号を前記車載機に返送する前記携帯機の送信手段と、前記携帯機の送信手段により返送される前記応答信号を受信する車載機の受信手段と、前記車載機に返送された前記応答信号の応答コードのコード照合がなされたとき車載機器の作動状態を制御する作動制御手段を備え、前記携帯機の受信手段は、ASK信号で送信される前記質問信号を受信し、受信したASK信号から前記質問信号に対応したパルス信号を生成する車載機器遠隔制御方法であって、
前記携帯機の受信に関しては、前記受信ASK信号が所定値より大きい場合に前記受信ASK信号の振幅を制限する振幅制限ステップと、前記振幅制限ステップにおいて通過した受信信号を一定振幅に増幅する自動利得制御ステップと、該自動利得制御ステップにおいて増幅された受信信号を包絡線検波する検波ステップと、該検波ステップから出力される検波信号を、前記質問信号に対応したパルス信号として出力する波形整形ステップを有し、前記携帯機の送信に関しては、前記波形整形ステップにおいて出力する前記パルス信号の特定パルスを基準時刻として各携帯機で異なる所定遅延時間後に送信開始する遅延多重通信ステップと、前記振幅制限ステップにおいて振幅制限したことを検知する振幅制限検知ステップと、前記振幅制限検知ステップにおいて振幅制限したことを検知した場合に前記所定遅延時間を修正する遅延時間修正ステップを有しているものである。
本発明の車載機器遠隔制御システムあるいは車載機器遠隔制御方法によれば、携帯機の送信手段は、ASK信号で送信される質問信号に対応したパルス信号の特定パルスを基準時刻として各携帯機で異なる所定遅延時間後に送信開始する遅延多重通信手段と、振幅制限手段が振幅制限したことを検知する振幅制限検知手段と、振幅制限したことを検知した場合に前記所定遅延時間を修正する遅延時間修正手段を備えたことにより、携帯機の応答信号の返信間隔(=所定遅延時間)精度を大幅に向上でき、多重化数を増加できる。
多重化数を増加することによって、1bit以内のほぼ同時に応答信号を返信できる携帯機数がより多くなり、応答性向上ができると共に、通信信頼性が高く、小型・安価であり、車両の無断使用の防止や盗難防止などに好適な車載機器遠隔制御システムあるいは車載機器遠隔制御方法を提供できる。
実施の形態1による車載機器遠隔制御システムにおける車載機の全体構成を示すブロック図である。 車載機の車内送信アンテナおよび車外送信アンテナの配置状態と携帯機との通信状態を模式的に示した図である。 実施の形態1による車載機器遠隔制御システムにおける携帯機の全体構成を示すブロック図である。 認証用および存否確認用質問信号と各質問信号に対応する応答信号および遠隔制御信号の構成例を示す図である。 図3に示した携帯機の受信部の内部構成を示すブロック図である。 通常時(振幅制限非作動時)の携帯機受信部の動作を説明するための波形とタイミングの図である。 入力過大時(振幅制限作動時)の携帯機受信部の動作を説明するための波形とタイミングの図である。 携帯機の受信部の包絡線検波器から出力する包絡線検波波形の要部拡大図である。 実施の形態1における車載機のECUが携帯機と通信を実行する際の動作を説明するためのフローチャートである。 実施の形態1における携帯機のECUが実行する動作を説明するためのフローチャートである。 図9に示したステップ205の詳細フローチャートである。 実施の形態1による携帯機の送信部の詳細構成を示すブロック図である。 複数の携帯機が質問信号を受信してから応答信号を送信するまでの動作を説明するためのタイミングチャートである。 実施の形態1において複数携帯機の遅延多重通信での干渉発生確率を説明するための遅延時間の誤差密度関数例を示すグラフである。 実施の形態1における複数携帯機の遅延多重通信での干渉発生確率例を示すグラフである。 式(8)の関係をグラフにしたものである。 式(8)の関係でαを消去したグラフである。 図10に示したステップ115の実施例1および実施例2の詳細フローチャートである。 図10に示したステップ115の実施例3の詳細フローチャートである。
以下、図面に基づいて、本発明の一実施の形態について説明する。
なお、各図間において、同一符号は、同一あるいは相当のものであることを表す。
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係わる車載機器遠隔制御システムにおける車載機の全体構成を示すブロック図である。
図に示すように、車載機10は、例えば、車内送信用アンテナ11として第1車内送信アンテナ11aおよび第2車内送信アンテナ11bと、車外送信用アンテナ12として第1車外送信アンテナ12a〜第4車外送信アンテナ12dの6つの送信アンテナを有している。
図2は、車載機における各車内送信アンテナ、車外送信アンテナの配置状態と携帯機との通信状態を模式的に示した図である。なお、図2(a)は携帯機50が車外にある場合を、図2(b)は携帯機50が車内にある場合を示している。
図2(a)、図2(b)に示すように、第1車外送信アンテナ12a〜第4車外送信ア
ンテナ12dは、それぞれ車両(4輪車)の例えばドアの取っ手部に設けられている。
一方、第1車内送信アンテナ11aは車室内のセンターコンソール部に設置され、第2車内送信アンテナ11bは後部座席下付近に設置されている。
また、図1に示すように、第1車内送信アンテナ11aおよび第2車内送信アンテナ11bは、車載機10の送信部17に接続され、送信部17はECU(電子制御装置)20に接続されている。
ECU20は、送信部17に送信コードと車内送信アンテナのうちの一つ(即ち、第1車内送信アンテナ11aと第2車内送信アンテナ11bのいずれか一つ)を指定する信号を供給し、この送信コードが変調された周波数、例えば、125kHzの質問信号(携帯機の認証用および存否確認の信号)が、指定された携帯機50に対して送信される。
なお、車載機10から携帯機50に送信される質問信号は、ASK(Amplitude Shift
Keying)信号でであり、携帯機50から車載機10に返送される応答信号はスペクトラム拡散変調された信号である。
また、図1に示すように、車両には受信アンテナ18が設けられており、この受信アンテナ18で受信された携帯機50からの信号(例えば、周波数315MHzの信号)は、受信部19で復調されてECU20に供給される。
ECU20にはメモリ24が内蔵されており、このメモリ24には後述する質問信号用およびイモビライザ用のIDコードと、イモビライザ用および回答コードの復号用の暗号キーが格納されている。なお、イモビライザとは、エンジンの不正始動を防止して車両の盗難防止を図るための装置である。
例えば、メモリ24には、ドアロック用の質問コード、トランスポンダ用のIDコード
などに対応した互いに異なる複数の暗号キーが格納されている。
メモリ24は、EEPROM等の不揮発性メモリであり、電源が遮断されてもその記憶
内容は保持される。
操作検出部21は、ユーザによる各種スイッチ操作を検出するものであり、例えば、各アウタドアハンドルに設置された起動スイッチ(質問信号の送信を開始するための信号を投入するためのスイッチ)や、エンジンスイッチを押すことでロック解除のための交信を起動するためのキーノブスイッチや、エンジンスイッチの(始動、イグニッションオン、アクセサリオン、オフそしてロックなどの)位置を検出し、その操作検出信号をECU20に供給する。
ドア開閉検出部22は、全ドアの個別の開閉および全ドアの個別の施錠/解錠状態を検出し、その検出信号をECU20に供給する。
センサ群23は、車速や変速位置やエンジン運転状態を検出する各種のセンサであり、これらの各種センサの検出信号はECU20に供給される。
また、ECU20には、ステアリングロック部32、イモビライザ部34、ドアロック部36、シフトロック部38、報知部25が接続されている。
ステアリングロック部32は、エンジンスイッチのロック(Lock)位置から回動ロック機構を解除すると同時に、ステアリング操作の機械的ロック機構も解除する。
エンジンスイッチがロック位置に戻されると両ロック機構はロック状態になる。
イモビライザ部34は、エンジン40への燃料供給およびイグニッション動作を禁止する機構である。
ドアロック部36は、全てのドアのロック/アンロックを行う機構である。
シフトロック部38は、変速機ギアシフト機構でパーキングレンジからその他のレンジへの移行を禁止するロック装置であり、ECU20からロック解除の許可/不許可の信号を出す。
報知部25は、ドアロック/アンロックをした場合のいわゆるアンサーバックとしての車両のライト点灯やホーン吹鳴を行うアンサーバック装置や、各種警報のためのブザーの発音する警報装置や、状態表示のための表示装置を含んでいる。
また、ECU20はエンジン制御部30が接続されており、エンジン制御部30はセルモータを利用してエンジン40の始動を制御すると共に、エンジン40の駆動停止も制御できる。
図3は、本実施の形態に係わる車載機器遠隔制御システムにおける携帯機の全体構成を示すブロック図である。
ECU52には、メモリ53が内蔵されており、このメモリ53には、正規であれば上記車載機のメモリ24に格納されているのと同じIDコードおよび暗号キーが格納されている。
図に示すように、携帯機50は送信アンテナ56と受信アンテナ58を有している。
そして、送信アンテナ56は送信部55に接続され、送信部55はECU52に接続さ
れており、受信アンテナ58は受信部57に接続され、受信部57はECU52に接続されている。
受信アンテナ58で受信された車載機10よりの質問信号(例えば周波数125kHzの質問信号)は、受信部57で復調されてECU52に供給される。
また、ECU52は、前記質問信号に対応した暗号キーをメモリ53から読み出し、前記質問信号中の質問コードを暗号化して応答信号を作成し、作成した応答信号を送信部55に供給する。
送信部55に供給された応答信号は、送信部55で変調されて、例えば周波数315MHzの信号として送信アンテナ56から車載機10に対して送信される。
また、キーレスエントリ機能としての、ドアのロック/アンロックの遠隔操作をするLOCK(ロック)キー/UNLOCK(アンロック)キー信号などがあり、これらの信号は操作検出部51よりECU52に入力される。
図4は、車載機10および携帯機50の間で送受信される認証用および存否確認用の質問信号、各質問信号に対応する応答信号および遠隔制御信号の構成例を示す図である。
図4(a)は存否確認用質問信号の構成を示しており、存否確認用質問信号は、プリアンブル(例えば、2ms程度のバースト信号)、固定長のID情報からなる固定IDコード(例えば、20ビット)、応答すべき携帯機の識別情報を含む付加コード(例えば、4ビット)、および誤り制御情報として、例えば、CRC(巡回冗長検査)方式のコード(例えば、10ビット)から構成される。
図4(b)は存否確認用応答信号の構成を示しており、存否確認用応答信号は、携帯機の識別コード(例えば、10ビット)、固定IDコードおよびCRCコードから構成される。
図4(c)は認証用質問信号の構成を示しており、認証用質問信号は、プリアンブル、固定IDコード、応答すべき携帯機の識別情報を含む識別コード、毎回ランダムに生成される平文(例えば、32ビット)である質問コード、およびCRCコードから構成される。
図4(d)は認証用応答信号の構成を示しており、認証用応答信号は、携帯機の識別コード、固定IDコード、回答信号を示すビット、受信した質問コードを暗号キーで暗号化した暗号文である回答コード、およびCRCコードから構成される。
図4(e)は認証用応答信号の構成を示しており、認証用応答信号は、携帯機を識別する情報と遠隔制御信号であることを表す情報を含む識別コード、固定IDコード、遠隔操作コード、ローリングコードおよびCRCコードから構成される。
図5は、本実施の形態における携帯機50の受信アンテナ58と受信部57(図3参照)の詳細構成を示すブロック図であり、図6、図7、図8は図5の各部の波形例である。
図5において、受信アンテナ58は、コイル状のループアンテナで、コイル断面を通過する信号磁束に比例する電圧を発生し、電気回路的にはインダクタンスLで表される。
この電圧は、受信部57のコンデンサCと抵抗RのLC共振回路でQ倍(Q=2πfL/R ,
f:信号周波数)され受信電圧571になる。
前述したように、使用しているLF(低周波)は、磁界強度が距離の3乗に逆比例するので、例えば距離1mで受信電圧5mVとした場合、距離0.075mでは受信電圧は約12V、距
離0.05 mで受信電圧は40Vとなる。
従って携帯機はが3Vの電池で動作している場合、受信部57の電子回路を保護または
動作保証するために、受信電圧571を許容最大電圧以下(例えば6V)に制限する電圧
制限器57aが必要になる。
受信電圧571は、自動利得制御(以下AGCと称す)付き増幅器57bで一定振幅の電圧信号572に増幅される。AGCの制御出力は、受信電圧と対応(即ち、受信磁界強度と対応)するので、受信磁界強度信号(RSSI)577としてECU52に出力する

包絡線検波器57cは電圧信号572を検波して検波信号573を作り、検波信号573は波形整形回路(ヒス付きコンパレータ)57dで、図6や図7の送信信号に対応したパルス信号574に整形される。
起動検出回路57eは、受信信号(図4(a)、図4(c)に示す)のプリアンブル部分において、所定の周波数成分が復調可能レベル以上の状態が所定時間以上連続した後に前記所定の周波数成分が所定値以下となった場合は、ECU52が続く受信信号のdata部を受信する準備をさせるために、wake信号575を出力するとともに、パルス信号574をdata576としてECU52に出力するために切換器57fを閉路にする。
ECU52は、LF受信信号の受信が完了したら、次の受信のために、reset信号578を出力して起動回路を初期状態(起動信号未検出状態)に戻す。
図6は、受信電圧571が小さく電圧制限器57が作動していない場合(通常時)の各部の波形である。
図6において、「送信信号」は、情報ビット“0”の場合、搬送波振幅100%マーク部
分(時間幅tm0x)と搬送波振幅0%のスペース部分(時間幅ts0x)で、情報ビット“1”の場合、搬送波振幅100%のマーク部分(時間幅tm1x)と搬送波振幅0%のスペース部分(時間幅ts1x)で構成されている。
例えば、 tm0x = ts0x, tm1x = ts1xで、 tm1x + ts1x = 2(tm0x + ts0x) に設定す
る。
図6の例では、送信側の搬送波振幅は、説明を簡単にするために、送信信号と同様ステップ状に変化している。
前記LC共振回路により、受信側の「572波形」の「立上り」と「立下り」は、指数関数的になる。
包絡線検波後の「573波形」は、波形整形回路(電圧ヒステリシス付きコンパレータ)57dの閾値(Vtha,Vthb)によりパルス信号「574波形」に整形される。
「送信信号」に対応するマーク部分、スペース部分の各時間幅は、それぞれ情報ビット“0”の場合tm0r,ts0rで、情報ビット“1”の場合tm1r,ts1rであるが、時間的には、送信信号を基準にして、例えば情報ビット“1”のマーク部分の「立上り」はta1,同立
下りはtb1だけ遅延する。
受信側では、パルス信号578の「立上り」から「立上り」(または、「立下り」から「立下り」)までの時間を測定して閾値より長いか短いかで、情報ビット“1”か情報ビット“0”かを判断するため、この遅延時間(ta1,tb1)は、基本的に影響しない。
図7は、受信電圧571が大きく電圧制限器57が作動した場合(入力過大時)の各部の波形例である。
図7において、572波形のマーク部分が伸長している「情報ビット“1”に対応する部分」の574波形では、t’a1 < ta1,t’b1 > tb1となり、結果、t’m1r > tm1r,t’s1r < ts1rとなっている。
図8は、この変化を説明するための図であり、573波形の要部の拡大図である。
図8おいて、左が「立下り」部分で、右が「立上り」部分である。
太線の波形は、振幅制限が掛かっていない場合の波形であり、最大振幅は前記AGCで一定振幅Vagcに制御されている。
時定数をτとして、573波形の電圧V573は、理想的には次式で表される。
立下り部分:
V573=Vagc×exp(-t/τ) ・・・ (1)
ここで、tは図8のP1からの時間
立上り部分:
V573=Vagc{1−exp(-t/τ)} ・・・ (2)
ここで、tは図8のR1からの時間
もし、振幅制限となるような大きい入力信号の場合、振幅制限電圧VlmtはAGCによりVagcに制御されるが 受信電圧571が振幅制限電圧以下になるまでに、遅延時間dtb だけの時間が掛かる。
図8の細線の波形は、振幅制限電圧より大きい波形であり、振幅制限をしなかった場合の573波形であり、上限電圧Vagc以下の範囲では、573波形の電圧V573は次式で表される。
立下り部分:
V573=Ves×exp(-t/τ) ・・・ (3)
ここで、tは図8のP1からの時間
立上り部分:
V573=Ves{1−exp(-t/τ)} ・・・ (4)
ここで、tは図8のR1からの時間
式(3)より
Vagc=Ves×exp(-dtd/τ) ・・・ (5)
の関係になる。
立下りの閾値Vthbまでの時間は、通常時でtb1、振幅制限時でt’b1であり、式(1)、式(3)および式(5)より、
dtb1 =t’b1−tb1 =τ×ln(α) ・・・ (6)
ここで、α=Ves/Vagc
立上りの閾値Vthaまでの時間は、常時でta1、振幅制限時でt’a1であり、式(2)、式(4)より、
dta1 =ta1−t’a1 = τ×ln{(1−β/α)/(1−β)} ・・・ (7)
ここで、β=Vtha/Vagc
式(6)、(7)より情報ビット“1”のマーク部分長さの変化分dtm1rは、
dtm1r = tm1r−t’m1r = dtb1+dta1 =τ×ln{(α−β)/(1−β)} ・・・ (8)
と表され、閾値係数βは設計値として一定であるから、基本的に入力過大率α(=Ves/Vagc)の関数となる。
式(8)で時間幅の変化dtm1rは計測できる値であり、以下の説明では、情報ビット“
1”のマーク部分長のみで説明しているが、情報ビット“1”のスペース部分長や、情報ビット“0”のマーク、スペース部分に関しても同様である。
また、包絡線検波器の出力波形を指数関数として説明しているが、例えばピークホールド型の包絡線検波器の出力波形の立下り部分は、条件によって直線的になる。
しかしながら、振幅制限時の立下りの遅延時間dtb1は、図8での点P(通常時)が点Q(振幅制限時)に移動することに起因するもので、その後の波形は形には依存しない。
また、ピークホールド型の包絡線検波器の出力波形の「立上り部分」は階段状にはなるが、中央値の変化としては指数関数的に変化するので、指数関数と同様の挙動となる。
従って、ピークホールド型の包絡線検波器でも、式(8)のように入力過大率αの関数として表すことができるので、後述する関数dta1=f(dtm1r)が存在することになる。
ところで、前掲の図2は、前述したように、各車内送信アンテナ、車外送信アンテナの配置状態と携帯機50との通信状態を模式的に示したものであるが、携帯機50が正規登録機かどうかを確認する方式(相手認証方式)としては、例えば、所謂チャレンジ・レスポンス方式(秘密鍵暗号ベース相手認証方式)がある。
以下に、このチャレンジ・レスポンス方式(秘密鍵暗号ベース相手認証方式)について
説明する。
図2において、車載機10の各送信アンテナ(即ち、第1の車内送信アンテナ11a、第2車内送信アンテナ11b、第1車外送信アンテナ12a〜第4車外送信アンテナ12d)からは、周波数125kHzの質問信号が送信され、携帯機50はこの質問信号を受信すると、受信した質問信号に応じた暗号キーと質問コード(平文)から作成した応答コード(暗号文)で変調した周波数315MHzの応答信号を返送する。
車載機10の受信アンテナ18で受信された周波数315MHzの信号は、受信部19で復調されてECU20に供給され、ECU20は上記応答信号を受信する。
車載機10は、送信した質問コード(平文)を、対応した暗号キーで作成した暗号文と受信した応答コードを照合して、携帯機が正規登録機であるかどうかを確認する。
車載機10の各送信アンテナ(第1の車内送信アンテナ11a、第2車内送信アンテナ11b、第1車外送信アンテナ12a〜第4車外送信アンテナ12d)から携帯機50への送信信号は、低周波(以下LFと略す)を使用している。
LFを使用する理由は、携帯機50の位置を確認しやすいように、電磁波の内でその強度が距離の3乗に逆比例する磁界成分を利用するためであり、通常通信距離は1m前後である。一方、携帯機50から車載機の受信アンテナ18への通信は、UHF帯が使用されていて、通常通信距離は5〜20mの通信距離である。
なお、携帯機50に設けてある操作ボタンを押すことにより車両のドアのロック/アンロックを制御するキーレスエントリを行う場合の遠隔制御信号は、図4(e)に示すよう
に、応答コードの代わりにローリングコードを設定する。
ローリングコードは、携帯機が電波を送信する毎にカウントアップされる値であり、車載機側では、前回において携帯機から受信した所定のコードに含まれるローリングコードを記憶しておき、今回受信した所定のコードに含まれるローリングコードが前回のローリングコードの値から所定の範囲内であるとき今回のローリングコードは正しいと判別し、ドアの施解錠などを指示する制御コードに対応した制御を実施する。
図9は、本実施の形態における車載機10のECU20が携帯機50と通信を実行する際の動作を説明するためのフローチャートである。
また、図10は、本実施の形態における携帯機50のECU52が実行する動作を説明するためのフローチャートである。
なお、図10のフローチャートに基づくECU52の詳細動作については後述する。
図9において、ステップ200は、ECU20が起動後、起動SW(SW:スイッチ)、キーノブSW、エンジンスイッチのイグニッション(IG)オン位置(以下IGオンと称す)の各スイッチがオン状態になったとき、および運転席ドアが閉状態から開状態になったときに実行されるスタートプログラムである。
ステップ201で、前記実行条件のどの条件であるかが確認される。
起動SWがオンであった場合(ステップ202)、ステップ203で、オンになっている起動スイッチに対応した車外アンテナ(例えば右前ドアのアウタハンドル起動SWがオンなら第1車外送信アンテナ12a)から認証用質問信号が送信される。
ステップ204では、この質問信号に対する応答信号の返信を確認する。
返信が無ければステップ299で終了する。返信があれば、ステップ205で返信の通信エラーチェックを実施する。
図11は、図9に示したステップ205(通信エラー処理)の詳細フローチャートである。
図11に示すように、ステップ301で通信エラーがあれば、ステップ302で同じ車外アンテナから質問信号を再送信し、図9のフローチャートのステップ204に戻る。
図9のフローチャートにおいて、ステップ205で通信エラーが無ければ、ステップ2
06でこの質問信号に対する応答信号の内容を照合し、返信の回答が不正解ならばステップ299で終了する。
返信の回答が正解ならば、ステップ207でドアがアンロック状態であるか否かを確認する。ドアがロック状態ならばステップ213でドア開錠出力を指示し、ステップ299で終了する。
ドアがアンロック状態ならばステップ208、209で、エンジンスイッチがLock位置、かつ全ドアが閉まっているかどうか(条件1)を確認する。
条件1が成立しておれば、ステップ209で全車内アンテナから存否確認用質問信号を送信して、ステップ210で携帯機が車内に無い(返信が無い)ことが確認できればステップ211でドア施錠出力を指示し、ステップ299で終了する。
ステップ208、209で条件1が不成立の場合、またはステップ210で返信がある場合、ステップ212でロック操作が出来ないことを知らせるために警報出力を指示し、ステップ299で終了する。
キーノブSWがオンであった場合(ステップ220)、ステップ221で、全車内アンテナから認証用質問信号が送信される。
ステップ222では、この質問信号に対する応答信号の返信を確認する。返信が無ければステップ299で終了する。返信があれば、ステップ223で返信の通信エラーチェックを実施し、通信エラーがあれば質問信号を再送信しステップ222に戻る。
ステップ223で通信エラーが無ければ、ステップ224でこの質問信号に対する応答信号の内容を照合し、返信の回答が不正解ならばステップ299で終了する。
返信の回答が正解ならば、ステップ225でエンジンスイッチ・ロック解除出力を指示してステップ299で終了する。
IGオンであった場合(ステップ230)、ステップ231で、全車内アンテナから認証用質問信号が送信される。
ステップ232では、この質問信号に対する応答信号の返信を確認する。返信が無ければステップ299で終了する。
返信があれば、ステップ233で返信の通信エラーチェックを実施し、通信エラーがあれば質問信号を再送信しステップ232に戻る。
ステップ233で通信エラーが無ければ、ステップ234でこの質問信号に対する応答信号の内容を照合し、返信の回答が不正解ならばステップ299で終了する。
返信の回答が正解ならば、ステップ236でエンジン始動許可を出力してステップ299で終了する。
ドアが開から閉に変化した場合(ステップ250)、ステップ251で、エンジンスイッチがLock(ロック)位置かどうか確認し、Lock位置ならばステップ299で終了する。
Lock位置でない場合、ステップ252で全車内アンテナから存否確認用質問信号が送信される。ステップ253では、この質問信号に対する応答信号の返信を確認する。
返信が有ればステップ299で終了する。返信が無ければ携帯機が持ち出されたことを知らせるための警報出力を指示してステップ299で終了する。
上述のステップ205、ステップ223およびステップ233の通信エラー処理は共通処理であり、前述したように、図11はその詳細フローである。
図11において、ステップ301で通信エラーがあれば、ステップ302で同じ車外アンテナから質問信号を再送信する。
ステップ301の通信エラー検出は、応答情報に含まれる誤り検出コード(CRCコード)によるチェックで検出する方法である。
次に、図10のフローチャートに基づき、携帯機50の動作を説明する。
電池交換などで携帯機50のECU52がリセット状態から始まる場合は、START(ステップ100)より始まり、ステップ101でECU52の初期設定を行いステップ102の待機になる。
ステップ103でLOCKキー入力があれば、WAKEUP(ステップ104)して遠隔操作信号であるLOCK信号を送信する(ステップ105)。送信終了後、ステップ102に戻る。
ステップ103でLOCKキー入力がなければ、ステップ106に行く。
ステップ106でUNLOCKキー入力があれば、WAKEUP(ステップ107)して遠隔操作信号であるUNLOCK信号を送信する(ステップ108)。送信終了後、ステップ102に戻る。
ステップ106でUNLOCKキー入力がなければステップ109に行く。
ステップ109で車載機10からの信号受信(LF受信)があれば、WAKE UP(ステッ
プ110)し、ステップ111で受信処理をすると共に、受信時刻Trの計測、および、マーク部分またはスペースの時間幅の計測を行い、受信終了後ステップ112に行き、ステップ112で受信信号が存否用質問信号かどうかを確認する。
存否用質問信号でなければステップ113で、受信した質問コードから応答コードを生成して認証用応答信号を送信データにセットして、ステップ115に行く。
ステップ112で存否用質問信号の受信であれば、ステップ114で存否用応答信号を送信データにセットして、ステップ115に行く。
ステップ112で受信内容から返信不要の場合(例えば、付加コードで指示される指定された他の携帯機に対する返信要求であった場合)は、ステップ102に戻る。
ステップ115では、前記受信時刻に所定時間を加算した送信時刻を決定し、ステップ116では送信時刻になるのを待って、送信時刻になれば、ステップ117で、送信データの内容を送信し、送信終了後ステップ102に戻る。
図12は、本実施の形態における携帯機50の送信部55(図3参照)の詳細構成を示すブロック図である。
図12において、ECU52で生成する応答信号や遠隔制御信号の2値(0と1の)送信データ520が“0”の区間は、1次変調機55cで送信部55内部のPN符号生成器55aで生成される拡散符号(PN0)550を選択し、2値送信データが“1”の区間は、PN符号生成器55bで生成される拡散信号(PN1)551を選択し、直接スペクトラム拡散信号である1次変調信号552を生成する。
この1次変調信号552により搬送波を変調部55dで位相偏移変調(PSK)または
周波数偏移変調(FSK)した2次変調信号553を生成し、増幅部55eで増幅してアンテナ56から電波として送信する。
図13は、複数の携帯機(No.1とNo.2)が車載器からの質問信号(LF)を受信してから応答信号(RF)を送信するまでの動作を説明するためのタイミングチャートであり、車載器からの質問信号に対して、複数の携帯機(No.1とNo.2)が位相差△T12をもって応
答信号を送信するときのタイミングを示している。
図13において、LF送信信号の波形では、先頭部部分tpriは、図4(a)または図4(c)のプリアンブル部分を示し、ECU52がwake信号575を受けてから受信準備するための休止期間(搬送波振幅0の期間)tpos経過後、図4(a)または図4(c)の固定データ部分が続いている。
携帯機No.1パルス信号574および携帯機No.2のパルス信号574の最初の立上り(情報ビット“1”とする)は、前述したようにLF送信信号からdta1だけ遅延する。
携帯機No.1は質問信号=LF受信信号の受信が終了して、応答信号の準備ができている時刻(最初のパルス信号の立ち上がりから時間Td後)に、応答信号を送信開始する。
一方、携帯機No.2は、最初のパルス信号の立ち上がりからTd+△Td後の時間に応答信号を送信開始する。携帯機が3台以上の場合も同様に△Tdの位相差で送信開始するようにす
る。
実機においては、受信部57の製造バラツキによりdta1が変動するため位相差は△Tdではなく、△T12となる。
電圧制限器57がなかった場合のLC共振回路電圧(571の電圧)をEsとすると、前記入力過大率α=Ves/Vagc=Es/Vlmtとなる。
LC共振回路の共振周波数125kHz、Q=30とした場合、前記時定数τは,τ=Q/πf=76.4μs、LF送信アンテナ11および12と受信アンテナ58の距離で発生する入力過大率αが1以上の場合、例えば、α=2(後掲する図16の例では、時間変化分75μs)、波形整形回路57dの閾値係数βを0.75とすると、前記遅延時間の変化量dta1は、式(7)より70μsとなる(時刻が早くなる)。
図14は、複数携帯機(携帯機No.1、携帯機No.2)の遅延多重通信での干渉発生確率を説明するための遅延時間の誤差密度関数例を示すグラフであり、複数の直接スペクトラム拡散信号が位相差の誤差密度関数が正規分布(平均値μ=4、標準偏差s=1)で送信されているときを表している。位相差の誤差は、LC共振回路のQ、閾値Vtha、AGCのばらつきなどによって生じる。
図15は、複数携帯機の遅延多重通信での干渉発生確率例を示すグラフであり、PN符号長が128チップで、位相差が42チップの場合で、位相差変動の標準偏差sを変化させ
たときに位相差が±0.5チップ以内になる確率=干渉発生確率Pcを計算した例である。
この場合、干渉発生確率Pcを1/1000以下にしたい場合、標準偏差は42/4=10.5チップ以下でなければならない。 実機の標準偏差が10.5チップ以上の場合は位相差を42より大き
くする必要があり、多重化数は128/42=3から低下することになる。
伝送速度が4.8kbps でPN符号長が128チップの場合、1チップは1.63μsとなり、要求の標準偏差は1.63×10.5=17.1μs、(平均)位相差は1.63×42=68.4μsとなる。
図16は、前掲した式(8)の関係をグラフにしたものであり、τ=76.4μs、β=0.75で、dtm1rとdta1を式(8)と式(7)で計算しグラフにしたものである。
また、図17は、図16を基にαを消去し、dtm1rとdta1の関係をグラフにしたもので
ある。
ECU52は、tm1rを測定しその変化分dtm1rを知ることができるので、予め分かっている図17の関係からdta1を知ることもできる。
携帯機No.2の入力過大率α=1.5とすると、図16から変化時間dta1は53μs(早くな
る)、携帯機No.1が入力過大率α<1の場合(変化時間は0)、(平均)位相差は68.4
−53.0=15.4μsとなり、この値を図15の横軸に換算(標準偏差で除算)すると、15.4
/17.1=0.9であるから、図17から干渉発生確率が1/1000から1.5/100に増大する。
従って、干渉発生確率を低く保持するためには、振幅制限により生じる遅延時間変化(dta1など)を補償する必要がある。
以下、この補償の実施例について説明する。
実施例1.
図18は、携帯機50の動作を示す図10のフローチャートにおけるステップ115の送信時刻決定過程の詳細フローチャート例である。
図18において、まず、ステップ403で、過大入力のない場合の送信時刻Txを次式で算出する
Tx= 受信時刻Tr+固定間隔Td+固定遅延時間△Td×携帯機別数値n
ここで、nは0、1,2・・・の整数で携帯機別に指定された数字
次に、ステップ404で振幅制限の有無を、情報ビット“1”のマーク部分時間幅tm1r
と所定基準時間幅tm1rnとの差dtm1rが所定値以上かどうか判断して、差が所定値以上の場合、ステップ405に行く。
ステップ405では、前述した図17の関係 dta1=f(dtm1r)から修正量△Tx=dta1を求め、送信時刻Txを式Tx=Tx+△Txに修正して、この送信時刻決定ステップ115を終わる。
ステップ404で差dtm1rが所定値未満の場合、送信時間はステップ403で求めたま
まで、この送信時刻決定ステップ115を終わる。
実施例2.
実施例1のフローチャート図18において、ステップ404の振幅制限有無の判断方法が異なるのみで、その他は同じである。
即ち、図18のステップ404で受信した磁界強度検出手段の出力RSSIが所定値以上ならば振幅制限有りと判断しステップ405に分岐、RSSIが所定値未満ならば振幅制限なしとしてこの送信時刻決定ステップ115を終わる。
実施例3.
図19は、携帯機50の動作を示す図18のフローチャートのステップ115の送信時刻決定過程の詳細フローチャート例であって、実施例1の図18に対してステップ401および402が追加されたのもで、ステップ403から405は実施例1と同じであるので説明を省略する。
図19において、ステップ401では、受信した磁界強度検出手段の出力RSSIが所定値未満、即ち振幅制限がない場合には、ステップ402に行き、RSSIが所定値以上の場合にはステップ403に行く。
ステップ402では、図10のステップ111で計測した情報ビット“1”のマーク部分時間幅tm1rと、それまでの基準時間幅tm1rnとの重み係数k(ここで0<k<1)で平
均化演算した結果を新しい基準時間幅tm1rnとして、次ステップ403に行く。
送信アンテナ(11、12)に共振回路のような時間遅れ要素があって、各送信アンテナによって時間遅れ程度が異なる場合は場合には、各送信アンテナ毎に基準時間幅tm1rn
を設定するのが好適である。
以上説明したように、本実施の形態における車載機器遠隔制御システムは、複数の携帯機50に対して認証用および存否確認用の質問信号をASK(Amplitude Shift Keying)信号で送信する車載機の送信手段(送信部17)と、質問信号を受信する前記携帯機の受信手段と、該携帯機の受信手段(受信部57)が質問信号を受信するとスペクトラム拡散変調された応答信号を車載機に返送する携帯機の送信手段(送信部55)と、携帯機の送信手段(送信部55)により返送される応答信号を受信する車載機の受信手段(受信部19)と、車載機に返送された応答信号の応答コードのコード照合がなされたとき車載機器の作動状態を制御する作動制御手段(ECU20)を備え、携帯機の受信手段(受信部57)は、ASK信号で送信される前記質問信号を受信し、受信したASK信号から質問信号に対応したパルス信号を生成する車載機器遠隔制御システムであって、
携帯機の受信手段(受信部57)は、受信ASK信号が所定値より大きい場合に受信ASK信号の振幅を制限する振幅制限手段(電圧制限器57a)と、振幅制限手段を通過した受信信号を一定振幅に増幅する自動利得制御手段(57b)と、該自動利得制御手段(電圧制限器57a)にて増幅された受信信号を包絡線検波する検波手段(包絡線検波器57c)と、該検波手段(包絡線検波器57c)から出力される検波信号を、前記質問信号に対応したパルス信号として出力する波形整形手段(コンパレータ57d)を備え、
携帯機の送信手段は、波形整形手段から出力するパルス信号の特定パルスを基準時刻として各携帯機で異なる所定遅延時間後に送信開始する遅延多重通信手段(ステップ115)と、振幅制限手段が振幅制限したことを検知する振幅制限検知手段(ステップ404)と、振幅制限手段が振幅制限したことを検知した場合に前記所定遅延時間を修正する遅延時間修正手段(ステップ405)を備えている。
本実施の形態における車載機器遠隔制御システムでは、応答信号は同じPN符号で直接スペクトラム拡散された遅延多重通信系であって、車載機からのLFのASK変調された質問信号に対して、複数の携帯機はそれぞれPN符号の位相遅延をもって応答信号を送信するとき、受信されたLF信号の振幅制限作動を検知して、振幅制限作動による受信信号遅延時間を補償することで、それぞれの位相遅延をより正確に行えるようにしたので、複数携帯機間干渉による通信エラーの発生率を低減でき、信頼性の高い通信装置が実現できるという利点がある。
振幅制限したことを検知するための振幅制限検知手段として、ECUのソフトウエアで構成する、または受信機のRSSI機能を利用することとしたので、特別な追加回路が不要になり、既存のICがそのまま使用できるというコスト低減効果がある。
また、車載器送信から携帯機受信、送信で車載器受信までの時間精度が向上し、車載機での質問信号送信から応答信号受信までの往復通信時間管理ができることで、いわゆるリレーアッタック(例えば、特許第3909226号公報を参照)を防止できる確度が高くなる効果がある。
この発明は、車両の無断使用防止や盗難防止に好適であり、かつ多重化数を増加できる車載機器遠隔制御システムの実現に有用である。
10 車載機 11 車内送信アンテナ
12 車外送信アンテナ 18 車載機の受信アンテナ
19 車載機の受信部 20 車載機のECU
50 携帯機 52 携帯機のECU
56 携帯機の送信アンテナ 57 携帯機の受信部
57a 振幅制限手段 57b 自動利得制御手段
57c 検波手段 57d 波形整形手段
58 携帯機の受信アンテナ
115 遅延多重通信手段の動作を説明するためのステップ
404 振幅制限検知手段の動作4を説明するためのステップ
405 遅延時間修正手段の動作を説明するためのステップ

Claims (6)

  1. 複数の携帯機に対して認証用および存否確認用の質問信号をASK(Amplitude Shift Keying)信号で送信する車載機の送信手段と、前記質問信号を受信する前記携帯機の受信手段と、該携帯機の受信手段が前記質問信号を受信するとスペクトラム拡散変調された応答信号を前記車載機に返送する前記携帯機の送信手段と、前記携帯機の送信手段により返送される前記応答信号を受信する車載機の受信手段と、前記車載機に返送された前記応答信号の応答コードのコード照合がなされたとき車載機器の作動状態を制御する作動制御手段を備え、前記携帯機の受信手段は、ASK信号で送信される前記質問信号を受信し、受信したASK信号から前記質問信号に対応したパルス信号を生成する車載機器遠隔制御システムであって、
    前記携帯機の受信手段は、
    前記受信ASK信号が所定値より大きい場合に前記受信ASK信号の振幅を制限する振幅制限手段と、
    前記振幅制限手段を通過した受信信号を一定振幅に増幅する自動利得制御手段と、
    該自動利得制御手段にて増幅された受信信号を包絡線検波する検波手段と、
    該検波手段から出力される検波信号を、前記質問信号に対応したパルス信号として出力する波形整形手段を備え、
    前記携帯機の送信手段は、
    前記波形整形手段から出力する前記パルス信号の特定パルスを基準時刻として各携帯機で異なる所定遅延時間後に送信開始する遅延多重通信手段と、
    前記振幅制限手段が振幅制限したことを検知する振幅制限検知手段と、
    前記振幅制限検知手段が振幅制限したことを検知した場合に前記所定遅延時間を修正する遅延時間修正手段を備えていることを特徴とする車載機器遠隔制御システム。
  2. 前記振幅制限検知手段は、前記パルス信号のマーク部またはスペース部の時間幅と所定基準時間との差が所定値以上の場合に、振幅制限の検知としたことを特徴とする請求項1に記載の車載機器遠隔制御システム。
  3. 前記遅延時間修正手段の修正遅延時間量は、前記パルス信号のマーク部またはスペース部の時間幅変化量の関数であることを特徴とする請求項1に記載の車載機器遠隔制御システム。
  4. 前記携帯機の受信手段は、受信磁界の強度を検出する磁界強度検出手段を備え、該磁界強度検出手段出力が所定値以上である場合に、前記遅延時間修正手段が前記所定遅延時間を修正することを特徴とする請求項1に記載の車載機器遠隔制御システム。
  5. 前記携帯機の受信手段は、受信磁界の強度を検出する磁界強度検出手段を備え、該磁界強度検出手段出力が所定値以下の場合の前記パルス信号のマーク部またはスペース部の時間幅を基準時間幅として記憶すると共に、この記憶された基準時間幅と前記パルス信号のマーク部またはスペース部の時間幅の差が所定値以上であった場合、前記遅延時間修正手段が前記所定遅延時間を修正することを特徴とする請求項1に記載の車載機器遠隔制御システム。
  6. 複数の携帯機に対して認証用および存否確認用の質問信号をASK(Amplitude Shift Keying)信号で送信する車載機の送信手段と、前記質問信号を受信する前記携帯機の受信手段と、該携帯機の受信手段が前記質問信号を受信するとスペクトラム拡散変調された応答信号応答信号を前記車載機に返送する前記携帯機の送信手段と、前記携帯機の送信手段により返送される前記応答信号を受信する車載機の受信手段と、前記車載機に返送された前記応答信号の応答コードのコード照合がなされたとき車載機器の作動状態を制御する作
    動制御手段を備え、前記携帯機の受信手段は、ASK信号で送信される前記質問信号を受信し、受信したASK信号から前記質問信号に対応したパルス信号を生成する車載機器遠隔制御方法であって、
    前記携帯機の受信に関しては、前記受信ASK信号が所定値より大きい場合に前記受信ASK信号の振幅を制限する振幅制限ステップと、前記振幅制限ステップにおいて通過した受信信号を一定振幅に増幅する自動利得制御ステップと、該自動利得制御ステップにおいて増幅された受信信号を包絡線検波する検波ステップと、該検波ステップから出力される検波信号を、前記質問信号に対応したパルス信号として出力する波形整形ステップを有し、前記携帯機の送信に関しては、前記波形整形ステップにおいて出力する前記パルス信号の特定パルスを基準時刻として各携帯機で異なる所定遅延時間後に送信開始する遅延多重通信ステップと、前記振幅制限ステップにおいて振幅制限したことを検知する振幅制限検知ステップと、前記振幅制限検知ステップにおいて振幅制限したことを検知した場合に前記所定遅延時間を修正する遅延時間修正ステップを有していることを特徴とする車載機器遠隔制御方法。
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