JP4884017B2 - 水道メータおよび水道メータの製造方法 - Google Patents
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Description
図7(a)は、ピボットの側面図であり、(b)はその断面図である。ピボット51は、金属製のピボット軸52の先端部分に嵌合穴53が設けられ、この嵌合穴53に先端が砲弾形である樹脂製の先端部54を圧入して形成されている。
ピボット51の先端部54の形状や、ピボット軸52と先端部54の同心度の良否は水道メータの性能に大きく影響し、同心度が悪いと羽根車の回転が円滑さを欠き、メータ性能に悪影響を及ぼすため、精度の良い加工が必要となる。
このような問題点を解決することを目的とした技術の一例が、特許文献1、特許文献2に記載されている。
この構造によると、ピボットの先端部と軸部を一体として成形しているため、両者の同心度は確保される。しかし、軸部の外周が金属によって覆われているため、錆びやすいという問題が生じる。水道メータは定期的に交換がなされているが、ピボットの耐久性が低下すると交換の間隔を短くせざるを得ず、保守に要する手間と費用が増大する。また、ピボットの外径となる金属製のパイプの外径は、羽根車を精度良く回転させるために寸法精度を良くする必要があり、その結果、材料のコストが高くなる。
下インナーケースは、水道水の流量に応じて回転する羽根車の周りを覆う円柱状の側面と、前記側面の一端を閉じた底面とを備え、前記側面には、水道水が流れ込むための流入ノズルと、水道水を排出するための流出ノズルが設けられ、
前記外周部における前記ピボット軸が露出している側の一部の周囲に凹部若しくは凸状が設けられ、
前記下インナーケースの前記底面に対して前記ピボットが直立するように、インサート成形により、前記凹部若しくは凸状と、前記ピボット軸の露出している側と、が前記下インナーケースの前記底面と一体として形成されていることを特徴とする。
ピボット軸の先端部分に嵌合穴を設けて、この嵌合穴に先端部を圧入する場合には、精度を上げるために嵌合穴の加工を高精度で行う必要があったが、本発明では、芯材を樹脂より高硬度の材料である金属で形成すれば良く、その具体例として、通常使用される規格化されたピアノ線またはステンレス材を用いることによって、高精度な加工を必要とせずに、安価な材料でピボットを形成することができる。
この製造方法により、錆の発生を防止することができるピボットを用いた水道メータを、製造工数を低減して製造することが可能となる。
図1に、本発明の実施形態に係る水道メータの断面を示し、図2に本発明の実施形態に係るピボットを示す。
図1は、水道メータ10が水道の流路に取り付けられた状態の断面を示しており、水道水は図中の矢印で示すように、流入口1から流入して流出口2を経て流出し、水道メータ10内では、水道水は、流入ノズル11から流れ込み、流出ノズル12を経て流出する。この水道水の流量を測定するために、水道メータ10には羽根車13が設けられており、この羽根車13は下インナーケース14内に収納されている。下インナーケース14の底面に対して直立するように、ピボット15がインサート成形により一体として形成されている。羽根車13の回転によって計測された水道水の使用量は、レジスタボックス16に伝達され図示しない歯車機構を介し、図示しない数字車に最終的な値が、図1の矢印Y方向に表示される。これらの各構成部品は、本体ケース17内に収納されている。
本発明の実施形態に係るピボットは、図4(b)に示すように、先端部15aとピボット軸15cの外周部15bとが一体として樹脂によって形成され、ピボット軸15cが樹脂より硬度の高い芯材によって形成されている。また、ピボット15が下インナーケース14の底面に直立するように、インサート成形により一体として形成される際、ピボット15の凹部15dによって下インナーケース14からピボット15が抜けないようになっている。なお、ピボット15の凹部15dについては、他の形状であってもよく、例えば、凸状であってもよい。
下インナーケースの製造装置は、金型として固定型31と可動型32とを有しており、固定型31にはピボット15が嵌合するための嵌合穴33が設けられ、樹脂を注入するためのゲート34が嵌合穴33の周囲に3箇所設けられている。なお、ゲート34の個数はこれに限定されるものではなく、状況に応じて適切な個数を選択できる。嵌合穴33は、金型が閉じた際に、可動型32に固定されたピボット15を直立して固定するために、精度良く形成されている。
可動型32の底面32cには、成形後に製品を取り出すためのエジェクトピン35が設けられている。また、可動型32の底面32cの中央部には嵌合穴36が設けられ、この嵌合穴36にピボット軸15cの保持部37が嵌合されて、保持される。
図6(a)、(b)に、ピボットの製造装置における金型の開閉の状況を示し、図6(c)、(d)に、下インナーケースの製造装置における金型の開閉の状況を示す。
図6(a)は、ピボットの製造装置において金型が開いた状態を示しており、ピボットの製造装置は上述したように、固定型21と可動型22とを有しており、2つのスライダ29a、29bがスライドして、図6(b)に示すように、閉じた状態となる。閉じた状態においては、固定部25a、25bによって、ゲート26a、26bの付近でピボット軸15cが固定され、図3に示す射出口41から射出された樹脂が、ランナー42を経て、ゲート26a、26bより注入されることで、ピボット15が形成される。
なお、上述したピボット15と下インナーケース14の成形においては、ピボット15を一次成形で成形し、下インナーケース14を二次成形で成形する、いわゆる2色成形によって成形を自動化することも可能であり、これにより生産効率が向上する。
2 流出口
10 水道メータ
11 流入ノズル
12 流出ノズル
13 羽根車
14 下インナーケース
15 ピボット
15a 先端部
15b 外周部
15c ピボット軸
15d 凹部
16 レジスタボックス
17 本体ケース
21 固定型
22 可動型
23 嵌合穴
24 保持部
25a、25b 固定部
26a、26b ゲート
27 エジェクトピン
28 凹曲部
29a、29b スライダ
30a、30b スライダ部
31 固定型
32 可動型
32a、32b 側面
32c 底面
33 嵌合穴
34 ゲート
35 エジェクトピン
36 嵌合穴
37 保持部
38a、38b スライダ
39 成形部
41 射出口
42 ランナー
43 ベース金型
44 保持ピン
45 保持ピン
Claims (3)
- 羽根車の荷重を受ける先端部と、ピボット軸の外周部とが一体として樹脂によって形成され、前記ピボット軸が樹脂より硬度の高い芯材である金属によって形成されたピボットを有し、
下インナーケースは、水道水の流量に応じて回転する羽根車の周りを覆う円柱状の側面と、前記側面の一端を閉じた底面とを備え、前記側面には、水道水が流れ込むための流入ノズルと、水道水を排出するための流出ノズルが設けられ、
前記外周部における前記ピボット軸が露出している側の一部の周囲に凹部若しくは凸状が設けられ、
前記下インナーケースの前記底面に対して前記ピボットが直立するように、インサート成形により、前記凹部若しくは凸状と、前記ピボット軸の露出している側と、が前記下インナーケースの前記底面と一体として形成されていることを特徴とする水道メータ。 - 前記芯材は、ピアノ線またはステンレス材から選択されることを特徴とする請求項1記載の水道メータ。
- ピボット軸の一端を金型内で保持し、前記ピボット軸の他端を軸心に向かって垂直方向から少なくとも2箇所で固定し、樹脂を注入するゲートを、ピボット軸の中心に向かって少なくとも2箇所設けることにより、羽根車の荷重を受ける先端部と、ピボット軸の外周部とが、インサート成形により一体として樹脂によって形成され、前記外周部における前記ピボット軸が露出している側の一部の周囲に凹部若しくは凸状が設けられ、前記ピボット軸が樹脂より硬度の高い芯材である金属によって形成されたピボットが、下インナーケースの底面に対して直立するように、前記ピボット軸の露出している側の一端に位置する保持部を金型内の底面に設けた嵌合穴に嵌合させることにより前記ピボットを金型内で保持し、インサート成形により、前記凹部若しくは凸状と、前記ピボット軸の露出している側と、を前記下インナーケースの前記底面と一体として形成することを特徴とする水道メータの製造方法。
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