JP4883672B2 - 強誘電体記憶素子及び強誘電体記憶装置 - Google Patents

強誘電体記憶素子及び強誘電体記憶装置 Download PDF

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本発明は、強誘電体を用いた強誘電体記憶素子及び強誘電体記憶装置に関する。
従来、データを記憶する様々な構造の記憶素子及び複数の記憶素子を備える記憶装置が開発されているが、その1つに、強誘電体を用いた強誘電体記憶素子及び複数の強誘電体記憶素子を備える強誘電体記憶装置が知られている(例えば、特許文献1乃至特許文献4)。
図7は、背景技術の強誘電体記憶素子に用いられる強誘電体素子を説明するための図である。図7(A)は、背景技術に係る強誘電体素子の構造を示す断面図であり、図7(B)は、背景技術に係る強誘電体素子における分極特性のヒステリシス・ループを示す。図7(B)の横軸は、[V]単位の電圧Vccであり、その縦軸は、[pC]単位の電荷Qであり、極性を示している。
図7(A)において、背景技術に係る強誘電体素子100は、互いに対向する第1及び第2電極101、103間に、強誘電体から成る強誘電体層102が挟まれた構造である。強誘電体層102を形成する強誘電体は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)やタンタル酸ビスマスストロンチウム(SBT)等の酸化物強誘電体、及び、フッ化ビニリデンポリマーやフッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンとのコポリマー等の有機強誘電体等である。
図7(B)において、このような構造の強誘電体素子100では、強誘電体層102の双極子モーメントが方向の揃っていない無秩序な状態であって強誘電体層102が分極していない状態(初期状態I)から、第1電極101を接地すると共に第2電極103に電圧Vccを印加し、その電圧Vccをプラス方向に増加すると、強誘電体層102は、双極子のプラス側を第1電極101に向けて全体として双極子モーメントが第2電極103から第1電極101の方向に揃うことによって分極が進み、電圧Vで飽和し、飽和状態IIとなる。ここで、双極子のマイナス側からプラス側へ向く方向を双極子モーメントの向きとし、強誘電体層102における全体の双極子モーメントの向きをベクトル的に加算して得られたベクトルの向きを分極方向とする。この飽和状態IIから電圧Vccを減少して電圧0[V]としても、強誘電体層102は、分極が残った状態III(残留分極)となる。この状態IIIにおける残留分極の分極方向は、第2電極103から第1電極101に向かう方向となる。そして、更に電圧Vccを減少する(電圧Vccをマイナス方向に増加する)と、強誘電体層102は、双極子のプラス側を第2電極103に向けて全体として双極子モーメントが第1電極101から第2電極103の方向に揃うことによって逆方向に分極が進み、電圧Vで飽和し、飽和状態IVとなる。この状態IIIから飽和状態IVに移行するまでの間に急激に立ち下がる状態Ydが存在し、このときに電流Iが流れる。この飽和状態IVから電圧Vccを増加して電圧0[V]としても、強誘電体層102は、逆方向の分極が残った状態V(残留分極)となる。この状態Vにおける残留分極の分極方向は、第1電極101から第2電極103に向かう方向となる。そして、更に電圧Vccをプラス方向に増加すると、強誘電体層102は、分極が進み、電圧Vで再び飽和状態IIとなる。この状態Vから飽和状態IIに移行するまでの間に急激に立ち上がる状態Yuが存在し、このときに電流Iが流れる。
このように強誘電体素子100は、分極特性が大略菱型のヒステリシス・ループを示し、電圧Vccが電圧0[V]で状態III及び状態Vの2個の状態を取るので、例えば、状態IIIにデータ“1”を与え、状態Vにデータ“0”を与えることによって、データを記憶することができる。
図8は、背景技術に係る強誘電体記憶素子を説明するための図である。図8(A)は、背景技術に係る第1態様の強誘電体記憶素子の回路図であり、図8(B)は、背景技術に係る第2態様の強誘電体記憶素子の構造を示す平面図である。
図8(A)において、図7(B)に示すヒステリシス・ループの分極特性を持つ強誘電体素子100を用いた第1態様の強誘電体記憶素子200Aは、例えば特許文献1及び特許文献2に開示されているように、スイッチング素子としてのMOSトランジスタTrと、容量素子Cmと、ワード線WLと、ビット線BLと、プレート線PLとを備え、MOSトランジスタTrのソースがビット線BLに接続され、MOSトランジスタTrのゲートがワード線WLに接続され、MOSトランジスタTrのドレインが容量素子Cmを介してプレート線PLに接続されて構成されている。この容量素子Cmに図7に示す強誘電体素子100が用いられる。そして、このようなMOSトランジスタTr及び容量素子Cmから成るメモリセルをマトリクス状に複数備えることで強誘電体記憶装置が構成されている。
そして、第1態様の強誘電体記憶素子200Aでは、データの書込みは、MOSトランジスタTrをオンして容量素子Cmを所定の分極方向に分極することによって実行され、データの読込みは、MOSトランジスタTrをオンして容量素子Cmの分極方向を検出することによって実行される。
また、図8(B)において、図7(B)に示すヒステリシス・ループの分極特性を持つ強誘電体素子100を用いた第2態様の強誘電体記憶素子200Bは、例えば特許文献3及び特許文献4に開示されているように、線状の第1電極201と、第1電極201に対向すると共に第1電極201と交差する線状の第2電極203と、第1電極201と第2電極203とが交差する部分204における第1及び第2電極201、203間に挟まれた有機強誘電体層202(図8(B)に不図示)とを備えて構成されている。即ち、第2態様の強誘電体記憶素子200Bは、第1及び第2電極201、203が第1及び第2電極101、103にそれぞれ相当し、有機強誘電体層202が強誘電体層102に相当し、図7(A)と同様の構造であり、強誘電体素子100自体である。そして、このような有機強誘電体層202を備える交差部分をマトリクス状に複数備えることで強誘電体記憶装置が構成されている。
そして、第2態様の強誘電体記憶素子200B(強誘電体素子100)では、データの書込みは、強誘電体層202(102)を所定の分極方向に分極することによって実行される。一方、例えばデータの書込みで電圧V以上の電圧Vccが印加され、強誘電体記憶素子200Bが状態IIIである場合では、強誘電体層202(102)における双極子モーメントの方向が反転しないため、第1及び第2電極201、203(101、103)間にほとんど電流が流れないが、強誘電体記憶素子200Bが状態Vである場合では、強誘電体層202における双極子モーメントの方向が反転するため、第1及び第2電極201、203間に過渡電流パルスが流れる。このため、この電流の有無によって強誘電体記憶素子200Bが状態Vであるか状態IIIであるかを判定し、データの読出しが実行されている。
特開2001−320029号公報 特開2002−334575号公報 特表2001−515256号公報 特表2005−546352号公報
ところで、特許文献1及び特許文献2の強誘電体記憶素子及び強誘電体記憶装置では、データの書込み及び読出しを行うために、ワード線、ビット線及びプレート線の3線が必要であり、また、スイッチング素子のMOSトランジスタTrも必要である。このため、構造が複雑であり、高集積化の妨げになるという不都合がある。
この点、特許文献3及び特許文献4の強誘電体素子及び強誘電体記憶装置では、データの書込み及び読出しを行うためには、線状の第1及び第2電極の2線でよく、また、スイッチング素子も不要である。このため、構造が簡素であり、高集積化に向くという有利な点を有する。
しかしながら、特許文献3及び特許文献4の強誘電体素子及び強誘電体記憶装置では、データの読出しは、上述の場合、状態Vであると判定される場合では状態IVから状態IIへ移行することから、強誘電体層における双極子モーメントの方向が反転する破壊読み出しとなる。このため、データを保持するためには、読出し後にこの反転した強誘電体層における双極子モーメントの方向を元に戻すことによって再びデータを書込むリフレッシュが必要であるという不都合がある。
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、簡素な構造で高集積化に向くだけでなく、データを破壊することなくデータを読み出すことができる強誘電体記憶素子及び強誘電体記憶装置を提供することを目的とする。
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。即ち、本発明の一態様に係る強誘電体記憶素子は、互いに対向する第1及び第2電極間に、有機強誘電体から成る有機強誘電体層と該有機強誘電体層の少なくとも一方面に有機半導体から成る有機半導体層とが積層され、互いに逆極性の第1及び第2電圧値の第1及び第2電圧を前記第1及び第2電極間に印加することによって前記有機強誘電体層における残留分極の分極方向を設定し、前記第1及び第2電圧値の間における電圧値を前記第1及び第2電極間に印加した場合に前記第1及び第2電極間に流れる電流の有無を検知することによって前記残留分極の分極方向を検知することを特徴とする。
そして、このような強誘電体記憶素子において、前記有機強誘電体は、フッ化ビニリデンオリゴマー又はフッ化ビニリデンとトリフルオロエチレン(CH)とのコポリマーであることを特徴とする。
また、これら上述の強誘電体記憶素子において、前記有機半導体は、ペンタセン、フタロシアニン及びオリゴチオフェンのうちの何れか1つであることを特徴とする。
そして、本発明の他の一態様に係る強誘電体記憶装置は、互いに対向する第1及び第2電極間に、有機強誘電体から成る有機強誘電体層と該有機強誘電体層の少なくとも一方面に有機半導体から成る有機半導体層とが積層され、前記有機強誘電体層における残留分極の分極方向をそれぞれ設定する、前記第1及び第2電極間に印加される互いに逆極性の第1及び第2電圧に、データの書込み電圧及び消去電圧、又は、データの消去電圧及び書込み電圧をそれぞれ割り当てることを特徴とする。
また、本発明の他の一態様に係る強誘電体記憶装置は、互いに対向する第1及び第2電極間に、有機強誘電体から成る有機強誘電体層と該有機強誘電体層の両面に有機半導体から成る有機半導体層とが積層され、互いに逆極性の第1及び第2電圧値の第1及び第2電圧を前記第1及び第2電極間に印加することによって前記有機強誘電体層における残留分極の分極方向を設定し、前記第1及び第2電圧の間における互いに逆極性の第3及び第4電圧値の第3及び第4電圧を前記第1及び第2電極間に印加した場合に前記第1及び第2電極間に流れる互いに逆極性の電流のそれぞれに、データ1及び0、又は、データ0及び1をそれぞれ割り当てることを特徴とする。
そして、本発明の他の一態様に係る強誘電体記憶装置は、複数の線状の第1電極と、前記複数の第1電極のそれぞれに対向すると共に前記複数の第1電極のそれぞれと交差する複数の線状の第2電極とを備え、前記複数の第1電極と前記複数の第2電極とがそれぞれ交差する各部分には、これら上述の強誘電体記憶素子の何れかがそれぞれ形成されていることを特徴とする。
このような強誘電体記憶素子及び強誘電体記憶装置は、データの書込み及び読出しを行うためには、第1及び第2電極の2個でよく、また、スイッチング素子も不要である。このため、構造が簡素であり、高集積化に向く。そして、このような強誘電体記憶素子及び強誘電体記憶装置は、後述の図3(B)又は図6(B)に示すような電圧電流特性を示すので、データを破壊することなくデータを読み出すことができる。
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る強誘電体記憶素子の構成を示す図である。図1(A)は、平面図であり、図1(B)は、(A)に示すAA線における断面図である。
図1おいて、強誘電体記憶素子1Aは、例えばシリコン(Si)等の基板SBの一方面上に形成された第1電極11と、第1電極11上に形成された有機強誘電体層12と、有機強誘電体層12上に形成された有機半導体層13と、有機半導体層13上に形成された第2電極14とを備えて構成される。
第1及び第2電極11、14は、互いに対向しており、導電性材料、例えば本実施形態ではアルミニウム(Al)から成る薄膜である。有機強誘電体層12は、有機強誘電体、例えば本実施形態ではフッ化ビニリデンオリゴマーから成る薄膜である。ここで、本明細書において、フッ化ビニリデンオリゴマー(以下、「VDFオリゴマー」と略記する。)とは、CF−(CHCF−CH及びこの末端のCH基若しくはCF基の一方をハロゲン原子で置換した物質の総称である。有機半導体層13は、有機半導体、例えば本実施形態ではp型半導体であるペンタセン(2,3,6,7−ジベンゾアントラセン)から成る薄膜である。
このように強誘電体記憶素子1Aは、互いに対向する第1及び第2電極11、14間に、有機強誘電体層12とこの有機強誘電体層12の一方面に有機半導体層13とが積層されている構造をしている。
ここで、本実施形態では、第1及び第2電極11、14は、平面視にて略長方形形状をしており、有機強誘電体層12及び有機半導体層13は、平面視にて略正方形形状をしているけれども、強誘電体記憶素子1Aは、互いに対向する第1及び第2電極11、14間に、積層された有機強誘電体層12と有機半導体層13とが挟まれている構造であれば、これら第1及び第2電極11、14、有機強誘電体層12並びに有機半導体層13は、任意の大きさであって任意の形状でよい。そして、第1電極11と第2電極14とは、本実施形態ではその長尺方向が約90度で交差しているけれども、第1電極11と第2電極14とが導通しなければよいので、積層された有機強誘電体層12と有機半導体層13とを挟んで任意の所定の角度で交差していればよい。あるいは、積層された有機強誘電体層12と有機半導体層13とを挟む第1及び第2電極11、14間を除き、第1及び第2電極11、14間が絶縁体を挟む構造でもよい。
このような構成の強誘電体記憶素子1Aの製造方法について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る強誘電体記憶素子の製造工程を説明するための工程断面図である。まず、蒸着材料のアルミニウム、VDFオリゴマー及びペンタセン、第1電極11用、有機強誘電体層12用、有機半導体13用及び第2電極14用の各マスク並びに基板SBを真空蒸着装置にセットし、真空蒸着装置内が約10−5Paの真空状態となるまで排気を行って真空蒸着の準備を行う。
次に、基板SBに第1電極11用のマスクをセットし、アルミニウムをセットした坩堝を加熱することによってアルミニウムを蒸発させ、第1電極11用のマスクを介してアルミニウムを基板SBに蒸着する。これによって基板SBの一方面上にアルミニウムの第1電極11が形成される(図2(A))。
次に、第1電極11用のマスクに代えて有機強誘電体層12用のマスクをセットする。次に、基板SBを約−150℃〜−140℃に冷却し、VDFオリゴマーをセットした坩堝を加熱することによってVDFオリゴマーを約100℃〜150℃に加熱して蒸発させ、有機強誘電体層12用のマスクを介してVDFオリゴマーを蒸着する。これによって基板SBの第1電極11上にVDFオリゴマーの有機強誘電体層12が形成される(図2(B))。VDFオリゴマーは、その構造から分かるように、主鎖を形成する炭素Cに結合したフッ素Fと水素Hとから双極子を形成しており、主鎖が第1電極11の表面に沿って寝るように第1電極11上に形成される。そして、VDFオリゴマーの有機強誘電体層12における膜厚は、強誘電性を示すための厚さであり、約100nm以上に形成される。
次に、基板SBの冷却を中止し、自然に室温まで昇温するまで待ち、有機強誘電体層12用のマスクに代えて有機半導体層13用のマスクをセットする。次に、ペンタセンをセットした坩堝を加熱することによってペンタセンを約230℃〜260℃に加熱して蒸発させ、有機半導体層13用のマスクを介してペンタセンを蒸着する。これによって基板SBの強誘電体層12上にペンタセンの有機半導体層13が形成される(図2(C))。ペンタセンの有機半導体層13における膜厚は、次工程の第2電極14の蒸着工程において第2電極14の蒸着材料がこの有機半導体層13を貫通することによって第2電極14が有機強誘電体層12と少なくとも導通しないための厚さであり、例えば、約50nm〜100nmである。
次に、有機半導体層13用のマスクに代えて第2電極14用のマスクをセットする。次に、アルミニウムをセットした坩堝を加熱することによってアルミニウムを蒸発させ、第2電極14用のマスクを介してアルミニウムを蒸着する。これによって有機半導体層13上にアルミニウムの第2電極11が形成され、強誘電体記憶素子1Aが製造される(図1(A)、(B))。
次に、このような構成の強誘電体記憶素子1Aの特性について説明する。
図3は、実施形態に係る強誘電体記憶素子における電圧電流特性を示す図である。図3(A)は、実験結果を示し、図3(B)は、電圧電流特性の特徴をより明瞭とするために、実験結果の概略を示している。図3(A)及び(B)の横軸は、電圧Vccであり、その縦軸は電流Iであり、図3(A)では電圧Vcc及び電流Iは、それぞれ[V]単位及び[μA]単位で表されている。
電圧電流特性は、電圧の変化に対する電流の変化であり、第1電極11を接地して第2電極14に電圧VCCを印加することによって得ている。
電圧0[V]からマイナス方向に電圧Vccを増加した場合(電圧0[V]から電圧Vccを減少した場合)、初めは電圧Vccをマイナス方向に増加しても電流Iは、ほとんど流れないが、やがてマイナスの電圧Vwでパルス状に電流Iwが流れる。その後、電圧Vccをさらにマイナス方向に増加しても電流Iは、流れない。このとき、有機強誘電体層12は、双極子のプラス側を第1電極11に向けて全体として双極子モーメントが第2電極14から第1電極11の方向に揃って分極し、飽和状態となっている。この飽和状態における分極方向は、第2電極103から第1電極101に向かう方向であり、残留分極の分極方向のこの方向となる。なお、双極子のマイナス側からプラス側へ向く方向を双極子モーメントの向きとし、強誘電体層102における全体の双極子モーメントの向きをベクトル的に加算して得られたベクトルの向きを分極方向とする。
そして、この状態からプラス方向に電圧Vccを増加した場合、初めは電圧Vccをプラス方向に増加し電圧0[V]を超えても電流Iは、ほとんど流れないが、やがてプラスの電圧Vrでパルス状に電流Irが流れる。その後、電圧Vccをさらにプラス方向に増加した場合、初めは電圧Vccをさらにプラス方向に増加しても電流Iは、ほとんど流れないが、やがてプラスの電圧Veでパルス状に電流Ieが再び流れる。その後、電圧Vccをさらにプラス方向に増加しても電流Iは、流れない。このとき、有機強誘電体層12は、双極子のプラス側を第2電極14に向けて全体として双極子モーメントが第1電極11から第2電極14の方向に揃って分極し、飽和状態となっている。この飽和状態における分極方向は、第1電極101から第2電極103に向かう方向であり、残留分極の分極方向のこの方向となる。電圧Vr<電圧Veであり、電流Ir<電流Ieである。
そして、この状態から電圧0[V]までマイナス方向に電圧Vccを増加した場合(電圧0[V]まで電圧Vccを減少した場合)、電流Iは、ほとんど流れない。
強誘電体記憶素子1Aは、互いに逆極性の第1電圧Vw及び第2電圧Veを第1及び第2電極101、103間に印加した場合に互いに逆極性の第1電流Iw及び第2電流Ieがそれぞれ流れると共に、第1電圧Vwを第1及び第2電極101、103間に印加した後に第1及び第2電圧101、103間の所定電圧Vrを第1及び第2電極101、103間に印加すると第1及び第2電極101、103間に電流Irが流れる一方、第2電圧Veを第1及び第2電極101、103間に印加した後に所定電圧Vrを第1及び第2電極101、103間に印加すると第1及び第2電極101、103間に電流Iが流れないというプロファイルのヒステリシス・ループを持つ電圧電流特性を示す。
このような電圧電流特性を持つため、強誘電体記憶素子1Aに電圧Vw以下の電圧Vccを印加した後に、電圧Vrを印加すると電流Irが検出される。一方、強誘電体記憶素子1Aに電圧Ve以上の電圧Vccを印加した後に、電圧Vrを印加すると電流Iは検出されない。従って、強誘電体記憶素子1Aに電圧Vrを印加した場合における電流Iの有無を観察することによって、強誘電体記憶素子1Aに電圧Vw以下の電圧を印加した後の状態であるか、強誘電体記憶素子1Aに電圧Ve以上の電圧を印加した後の状態であるかの別を判別することができる。さらに、強誘電体記憶素子1Aに電圧Vw以下の電圧Vccを印加した後に電圧Vrで検出される電流Irは、強誘電体記憶素子1Aに電圧Ve以上の電圧Vccが印加されるまで、複数回検出可能である。従って、データを破壊することなくデータが読出され得る。
よって、電圧Vw以下の電圧は、強誘電体記憶素子1Aにデータを書き込む書込み電圧と見ることができ、電圧Ve以上の電圧は、強誘電体記憶素子1Aからデータを消去する消去電圧と見ることができ、電圧Vrは、データを読み出す読出し電圧と見ることができる。このように強誘電体記憶素子1Aは、例えばデータの書込み有りをデータ“1”に当て、データの書込み無し(データの消去)をデータ“0”に当てることにより、データの書込みの有無でデータを記憶することができる。
上述のように、強誘電体記憶素子1Aは、電圧Vw、Veで全体として双極子モーメントが一方向に揃って分極して飽和状態となる際にパルス状に電流Iw、Ieが流れるだけでなく、一旦電圧Vwで飽和状態とした後に電圧0[V]から電圧Veの間の電圧Vrでもパルス状に電流Irが流れる。この電流Irが流れるメカニズムは、明らかではないが、発明者らは、次のように推測している。即ち、電圧Vwで双極子のプラス側を第1電極11に向けて全体として双極子モーメントが第2電極14から第1電極11の方向に揃って分極して飽和状態となると、有機半導体層13がp型半導体であるために、有機半導体層13内における有機強誘電体層12と有機半導体層13との界面側では正孔(ホール)が蓄積される。この状態で電圧Vrになると、この正孔が消失するのでパルス状に電流Irが流れる。一方、電圧Veで双極子のプラス側を第2電極14に向けて全体として双極子モーメントが第1電極11から第2電極14の方向に揃って分極して飽和状態となっている場合では、このような正孔が有機半導体層13内における有機強誘電体層12と有機半導体層13との界面側に蓄積されないので、電圧Vrになっても電流Irは流れない。このように発明者らは、推測している。
以上のように、本実施形態の強誘電体記憶素子1Aでは、データの書込み及び読出しは、第1及び第2電極11、14の2個でよく、スイッチング素子のトランジスタを必要としない。このため、本実施形態の強誘電体記憶素子1Aは、簡素な構造であり、高集積化に向く。さらに、データの読出しは、非破壊であるので、データを読出した後にリフレッシュを必要としない。
ここで、本実施形態に係る強誘電体記憶素子1Aと背景技術に係る強誘電体記憶素子200B(強誘電体素子100)との相違を明瞭とするために、強誘電体記憶素子1Aの分極特性について説明する。
図4は、実施形態に係る強誘電体記憶素子における分極特性のヒステリシス・ループを示す図である。図4の横軸は、[V]単位の電圧であり、その縦軸は、[pC]単位の電荷であり、極性を示している。
強誘電体記憶素子1Aの分極特性は、上述した電圧電流特性を示すので、図4に示すようなプロファイルのヒステリシス・ループとなる。即ち、双極子のプラス側を第1電極11に向けて全体として双極子モーメントが第2電極14から第1電極11の方向に揃って分極し、飽和している飽和状態ST1から電圧Vccを増加して電圧0[V]としても、有機強誘電体層12は、分極が残った状態ST2(残留分極)となる。そして、更に電圧Vccをプラス方向に増加すると、有機強誘電体層12は、逆方向に分極が進み、電圧Ve’で飽和状態ST3となる。この状態ST2から飽和状態ST3に移行するまでの間に、急激に立ち上がる第1の状態Xu1と、急激に立ち上がる第2の状態Xu2が存在し、第1の状態Xu1で電流Irが流れ、第2の状態Xu2で電流Ieが流れる。飽和状態ST3となるまでに電流Ieが流れるので、電圧Ve<電圧Ve’である。なお、状態ST2でヒステリシス・ループが不連続となっているのは、有機強誘電体層12の残留分極している分子数等が電圧印加開始と電圧印加終了とで必ずしも一致しないためであり、理想的にはヒステリシス・ループは、連続となる。この飽和状態ST3から電圧Vccを減少して0[V]としても、有機強誘電体層12は、分極が残った状態ST4(残留分極)となる。そして、更に電圧Vccを減少する(電圧Vccをマイナス方向に増加する)と、有機強誘電体層12は、分極が進み、電圧Vw’で飽和し、再び飽和状態ST1となる。この状態ST4から飽和状態ST1に移行するまでの間に急激に立ち下がる状態Xdが存在し、このときに電流Iwが流れる。飽和状態ST1となるまでに電流Iwが流れるので、電圧Vw’<電圧Vwである。
図4に示す本発明に係る強誘電体記憶素子1Aの分極特性と、図7(B)に示す背景技術に係る強誘電体記憶素子200B(強誘電体素子100)の分極特性とを比較すると分かるように、背景技術に係る強誘電体記憶素子200Bの分極特性では、状態Vから状態IIに移行するまでの間に急激に立ち上がる状態は、状態Yuの1個であるが、本発明に係る強誘電体記憶素子1Aの分極特性では、有機半導体層13を備えることによって、状態ST2から状態ST3に移行するまでの間に急激に立ち上がる状態は、第1の状態Xu1及び第2の状態Xu2の2個である。
次に、別の実施形態について説明する。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、本発明に係る強誘電体記憶素子をマトリックス状に複数備える強誘電体記憶装置である。
図5は、第2の実施形態に係る強誘電体記憶装置の構成を示す図である。図5(A)は、全体構成を示す平面図であり、図5(B)は、(A)に示すBB線における断面図であり、x電極とy電極の交差部分の断面を示している。
図5(A)に示すように、強誘電体記憶装置2Aは、複数のy電極21(この例ではy電極21−1〜21−5の5本)と、複数のx電極24(この例ではx電極24−1〜24−5の5本)と、y電極制御回路25と、x電極制御回路26とを備え、複数のy電極21と複数のx電極24とがそれぞれ交差する各交差部分27A(この例では交差部分27A−11〜27A−55の25個)には、図5(B)に示すように、y電極21とx電極24との間に、積層された有機強誘電体層22と有機半導体層23とを備える。図5(B)は、y電極21−3とx電極24−5との交差部分27A−35の断面を示している。
なお、本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。また、交差部分27Aの第1及び第2の添え字は、第1の添え字がy電極21の添え字を表し、第2の添え字がx電極24の添え字を表し、何れのy電極21とx電極24との交差であるがを表している。例えば、交差部分27A−24は、y電極21−2とx電極24−4との交差によって生じた部分である。
y電極21及びx電極24は、導電性材料、例えば本実施形態ではアルミニウム(Al)から成る線状の薄膜である。複数のy電極21のそれぞれは、複数のx電極24のそれぞれと所定の角度、例えば本実施形態では略90度で交差している。そして、その交差部分27Aでy電極21とx電極24とは、互いに対向している。
有機強誘電体層22は、y電極上に形成されており、有機強誘電体、例えば本実施形態ではフッ化ビニリデンオリゴマーから成る薄膜である。有機半導体層23は、有機強誘電体層22上に形成されており、有機半導体、例えば本実施形態ではp型半導体のペンタセンから成る薄膜である。ここで、各交差部分27Aにおける有機強誘電体層22及び有機半導体層23とは、互いに絶縁されている。そして、この有機半導体層23上にx電極24が形成されている。
このように第2の実施形態に係る強誘電体記憶装置2Aでは、複数のy電極21と複数のx電極24とによって各交差部分27Aが2次元xyマトリクス状に形成され、これら各交差部分27Aにおいて、第1の実施形態に係る強誘電体記憶素子1Aと同様に、互いに対向するy電極21及びx電極24間に有機強誘電体層12とこの有機強誘電体層12の一方面に有機半導体層13とが積層されている構造をしており、これら各交差部分27Aに強誘電体記憶素子が形成されている。
y電極制御回路25は、複数のy電極21の中から1つのy電極21を選択しこの選択されたy電極21を接地すると共に、この選択されたy電極21に流れる電流Iを検出するための回路である。x電極制御回路26は、複数のx電極24の中から1つのx電極24を選択しこの選択されたx電極24に所定の電圧Vccを印加するための回路である。
このような構成の強誘電体記憶装置2Aでは、各交差部分27Aは、第1の実施形態における強誘電体記憶素子1Aと同様の構造であり、図3に示す電圧電流特性を示し、図4に示す分極特性を示す。このため、各交差部分27Aは、例えばデータの書込み有りをデータ“1”に当て、データの書込み無し(データの消去)をデータ“0”に当てることにより、データの書込みの有無でデータを記憶することができる。
即ち、まず、データの書込みは、データを書込む交差部分27Aが指定されるように、y電極制御回路25が1つのy電極21を選択すると共にx電極制御回路26が1つのx電極24を選択し、y電極制御回路25がこの選択したy電極21を接地してx電極制御回路26がこの選択したx電極24に電圧Vw以下の電圧Vccを印加することによって、実行される。
一方、データの消去は、データを消去する交差部分27Aが指定されるように、y電極制御回路25が1つのy電極21を選択すると共にx電極制御回路26が1つのx電極24を選択し、y電極制御回路25がこの選択したy電極21を接地してx電極制御回路26がこの選択したx電極24に電圧Ve以上の電圧Vccを印加することによって、実行される。
そして、データの書込みの有無は、データの書込みの有無を検出する交差部分27Aが指定されるように、y電極制御回路25が1つのy電極21を選択すると共にx電極制御回路26が1つのx電極24を選択し、y電極制御回路25がこの選択したy電極21を接地してx電極制御回路26がこの選択したx電極24に電圧Vrを印加し、y電極制御回路25がこの選択したy電極21に流れる電流Iを検出することによって、実行される。この検出された電流Iが電流Irである場合にはデータの書込みがあった場合であり、この検出によって電流Iがほとんど流れない場合にはデータの消去があった場合である。あるいは、電流Irと電流0との間の閾値Ithを設定し、この検出された電流Iが電流Ith以上である場合にはデータの書込みがあった場合であり、この検出によって電流Iが電流Ith未満である場合にはデータの消去があった場合である。
このように動作することによって強誘電体記憶装置2Aは、データの書込みの有無によって交差部分27Aに1ビットのデータを記憶することができ、交差部分27Aを複数備えることによって、複数のビットのデータを記憶することができる。
そして、本実施形態の強誘電体記憶装置2Aでは、データの書込み及び読出しは、y電極21及びx電極24の2線でよく、スイッチング素子のトランジスタを必要としない。このため、本実施形態の強誘電体記憶装置2Aは、簡素な構造であり、高密度に複数の交差部分27Aを形成することができるから、高集積化することができる。さらに、データの読出しは、非破壊であるので、データを読出した後にリフレッシュを必要としない。そのため、リフレッシュの時間だけ短縮されて次々と各交差部分27Aに記憶されているデータを読出すことができる。
ここで、上述の第1及び第2の実施形態において、強誘電体記憶素子1A及び交差部分27Aは、有機強誘電体層12、22の一方面上に有機半導体層13、23を備えるだけでなく、他方面上にも備える構造でもよい。
図6は、強誘電体記憶素子及び強誘電体記憶装置の交差部分における他の形態を示す図である。図6(A)は、その構造を示す断面図であり、図6(B)は、その構造の電圧電流特性を示す図である。図6(B)の横軸は、電圧Vccであり、その縦軸は、電流Iである。
第1の実施形態に係る強誘電体記憶素子1Aの他の形態である強誘電体記憶素子1Bは、図6(A)に示すように、互いに対向する第1及び第2電極11、14間に、有機強誘電体から成る有機強誘電体層12とこの有機強誘電体層12の両面に有機半導体から成る第1及び第2有機半導体層13−1、13−2とが積層されている。そして、第2の実施形態に係る強誘電体記憶装置2Aにおける交差部分27Aの他の形態である交差部分27Bは、図6(A)に示すように、互いに対向する、y電極21及びx電極24間に、有機強誘電体から成る有機強誘電体層22とこの有機強誘電体層22の両面に有機半導体から成る第1及び第2有機半導体層23−1、23−2とが積層されている。なお、以下の説明において、説明を簡略するために、y電極21は、第1電極11に相当するので、第1電極21と記載し、x電極24は、第2電極14に相当するので、第2電極24と記載することとする。
このような構成の強誘電体記憶素子1B及び交差部分27Bにおける電圧電流特性は、第1電極11、21を接地して第2電極14、24に電圧VCCを印加した場合、図6(B)に示すプロファイルのヒステリシス・ループとなる。
即ち、まず、マイナスの電圧Vw以下の電圧Vccを第2電極14、24に印加することによって、有機強誘電体層12の双極子モーメントがそのプラス側を第1電極11、21に向けて全体として第2電極14、24から第1電極11、21の方向に揃って分極して飽和状態とした後に、この状態からプラス方向に電圧Vccを増加した場合、初めは電圧Vccをプラス方向に増加し電圧0[V]を超えても電流Iは、ほとんど流れないが、やがてプラスの電圧Vr1でパルス状に電流Ir1が流れる。その後、電圧Vccをさらにプラス方向に増加した場合、初めは電圧Vccをさらにプラス方向に増加しても電流Iは、ほとんど流れないが、やがてプラスの電圧Veでパルス状に電流Ieが流れる。その後、電圧Vccをさらにプラス方向に増加しても電流Iは、流れない。このとき、有機強誘電体層12は、双極子のプラス側を第2電極14に向けて全体として双極子モーメントが第1電極11から第2電極14の方向に揃って分極し、飽和状態となっている。電圧Vr1<電圧Veであり、電流Ir1<電流Ieである。
そして、この状態から電圧Vccを減少した場合、初めは電圧Vccをマイナス方向に増加し電圧0[V]を超えても電流Iは、ほとんど流れないが、やがてマイナスの電圧Vr2でパルス状に電流Ir2が流れる。その後、電圧Vccをさらにマイナス方向に増加した場合、初めは電圧Vccをさらにマイナス方向に増加しても電流Iは、ほとんど流れないが、やがてマイナスの電圧Vwでパルス状に電流Iwが流れる。その後、電圧Vccをさらにマイナス方向に増加しても電流Iは、流れない。このとき、有機強誘電体層12は、双極子のプラス側を第1電極11、21に向けて全体として双極子モーメントが第1電極11、21から第2電極14、24の方向に揃って分極し、飽和状態となっている。電圧Vr2<電圧Veであり、電流Ir2<電流Ieである。
強誘電体記憶素子1B及び交差部分27Bは、互いに逆極性の第1電圧Vw及び第2電圧Veを第1及び第2電極101、103間に印加した場合に互いに逆極性の第1電流Iw及び第2電流Ieがそれぞれ流れると共に、第1電圧Vwを第1及び第2電極101、103間に印加した後に第1及び第2電圧101、103間の所定電圧Vr1を第1及び第2電極101、103間に印加すると第1及び第2電極101、103間に電流Ir1が流れる一方、第2電圧Veを第1及び第2電極101、103間に印加した後に前記所定電圧Vr1と逆極性である第1及び第2電圧101、103間の所定電圧Vr2を第1及び第2電極101、103間に印加すると第1及び第2電極101、103間に前記電流Ir1と逆極性の電流Ir2が流れるというプロファイルのヒステリシス・ループを持つ電圧電流特性を示す。
このような電圧電流特性を持つため、強誘電体記憶素子1B及び交差部分27Bに電圧Vw以下の電圧Vccを印加した後に、電圧Vr2を印加しても電流Iは検出されないが、電圧Vr1を印加すると電流Ir1が検出される。一方、強誘電体記憶素子1B及び交差部分27Bに電圧Ve以上の電圧Vccを印加した後に、電圧Vr1を印加しても電流Iは検出されないが、電圧Vr2を印加すると電流Ir1が検出される。従って、強誘電体記憶素子1B及び交差部分27Bに電圧Vr1及び電圧Vr2を印加した場合における電流Iを観察することによって、強誘電体記憶素子1B及び交差部分27Bに電圧Vw以下の電圧を印加した後の状態であるか、強誘電体記憶素子1B及び交差部分27Bに電圧Ve以上の電圧を印加した後の状態であるかの別を判別することができる。
電圧Vw以下の電圧Vcc及び電圧Ve以上の電圧Vccは、強誘電体記憶素子1B及び交差部分27Bにデータを書き込む書込み電圧と見ることができ、電圧Vr1、Vr2は、データを読み出す読出し電圧とみることができる。このような強誘電体記憶素子1B及び交差部分27Bは、例えば電流Ir1にデータ“1”を割り当て、電流Ir2にデータ“0”に当てることにより、データを記憶することができる。なお、電流Ir1にデータ“0”を割り当て、電流Ir2にデータ“1”に当ててもよい。
このように強誘電体記憶素子1B及び交差部分27Bは、電圧Vr2を印加した場合に流れる電流Ir2を検出することによって、電圧Ve以上の電圧を印加した後の状態であることを判別するので、強誘電体記憶素子1A及び交差部分27Aのように、電圧Vr1を印加した場合に電流Iが流れないことを検出することによって、電圧Ve以上の電圧を印加した後の状態であることを判別する場合に較べて、より明確に、電圧Ve以上の電圧を印加した後の状態であることを判別することができる。
もちろん、図6(A)に示す上述の構成においても、電圧Vr1及び電圧Vr2の一方を用いて、第1及び第2の実施形態と同様に用いてもよい。即ち、強誘電体記憶素子1B及び交差部分27Bに電圧Vr1を印加した場合における電流Iの有無を観察することによって、強誘電体記憶素子1B及び交差部分27Bに電圧Vw以下の電圧を印加した後の状態であるか、強誘電体記憶素子1B及び交差部分27Bに電圧Ve以上の電圧を印加した後の状態であるかの別を判別してもよい。あるいは、強誘電体記憶素子1B及び交差部分27Bに電圧Vr2を印加した場合における電流Iの有無を観察することによって、強誘電体記憶素子1B及び交差部分27Bに電圧Ve以上の電圧を印加した後の状態であるか、強誘電体記憶素子1B及び交差部分27Bに電圧Vw以下の電圧を印加した後の状態であるかの別を判別することができる。
そして、上述の第1及び第2の実施形態において、有機強誘電体層12、22は、VDFオリゴマーで形成されたが、フッ化ビニリデンとトリフルオロエチレン(CH)とのコポロマーで形成されてもよい。フッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンとのコポリマーは、双極子モーメントの反転速度(スイッチング特性)が電界強度(電圧Vcc)に依存し、電界強度が高くなればなるほど反転に要する時間(スイッチング時間)が短くなる利点がある。
また、上述の第1及び第2の実施形態において、有機半導体層13、23は、ペンタセンで形成されたが、p型半導体である、フタロシアニン又はオリゴチオフェンで形成されてもよい。フタロシアニンには、フタロシアニン及びその錯体物質も含まれる。錯体物質は、例えば、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)及び鉛(Pb)等の金属イオンを相手とした金属−フタロシアニン錯体である。オリゴチオフェンは、例えば5量体や6量体のものが用いられる。
第1の実施形態に係る強誘電体記憶素子の構成を示す図である。 第1の実施形態に係る強誘電体記憶素子の製造工程を説明するための工程断面図である。 実施形態に係る強誘電体記憶素子における電圧電流特性を示す図である。 実施形態に係る強誘電体記憶素子における分極特性のヒステリシス・ループを示す図である。 第2の実施形態に係る強誘電体記憶装置の構成を示す図である。 強誘電体記憶素子及び強誘電体記憶装置の交差部分における他の形態を示す図である。 背景技術の強誘電体記憶素子に用いられる強誘電体素子を説明するための図である。 背景技術に係る強誘電体記憶素子を説明するための図である。
符号の説明
1A、1B 強誘電体記憶素子
2A、2B 強誘電体記憶装置
11 第1電極
12、22 有機強誘電体層
13、23 有機半導体層
14 第2電極
21 y電極
24 x電極
25 y電極制御回路
26 x電極制御回路
27A、27B 交差部分
SB 基板

Claims (6)

  1. 互いに対向する第1及び第2電極間に、有機強誘電体から成る有機強誘電体層と該有機強誘電体層の少なくとも一方面に有機半導体から成る有機半導体層とが積層され、
    互いに逆極性の第1及び第2電圧値の第1及び第2電圧を前記第1及び第2電極間に印加することによって前記有機強誘電体層における残留分極の分極方向を設定し、前記第1及び第2電圧値の間における電圧値を前記第1及び第2電極間に印加した場合に前記第1及び第2電極間に流れる電流の有無を検知することによって前記残留分極の分極方向を検知すること
    を特徴とする強誘電体記憶素子。
  2. 前記有機強誘電体は、フッ化ビニリデンオリゴマー又はフッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンとのコポリマーであること
    を特徴とする請求項1に記載の強誘電体記憶素子。
  3. 前記有機半導体は、ペンタセン、フタロシアニン及びオリゴチオフェンのうちの何れか1つであること
    を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の強誘電体記憶素子。
  4. 互いに対向する第1及び第2電極間に、有機強誘電体から成る有機強誘電体層と該有機強誘電体層の少なくとも一方面に有機半導体から成る有機半導体層とが積層され
    前記有機強誘電体層における残留分極の分極方向をそれぞれ設定する、前記第1及び第2電極間に印加される互いに逆極性の第1及び第2電圧に、データの書込み電圧及び消去電圧、又は、データの消去電圧及び書込み電圧をそれぞれ割り当てること
    を特徴とする強誘電体記憶素子。
  5. 互いに対向する第1及び第2電極間に、有機強誘電体から成る有機強誘電体層と該有機強誘電体層の両面に有機半導体から成る有機半導体層とが積層され、
    互いに逆極性の第1及び第2電圧値の第1及び第2電圧を前記第1及び第2電極間に印加することによって前記有機強誘電体層における残留分極の分極方向を設定し、前記第1及び第2電圧の間における互いに逆極性の第3及び第4電圧値の第3及び第4電圧を前記第1及び第2電極間に印加した場合に前記第1及び第2電極間に流れる互いに逆極性の電流のそれぞれに、データ1及び0、又は、データ0及び1をそれぞれ割り当てること
    を特徴とする強誘電体記憶素子。
  6. 複数の線状の第1電極と、
    前記複数の第1電極のそれぞれに対向すると共に前記複数の第1電極のそれぞれと交差する複数の線状の第2電極とを備え、
    前記複数の第1電極と前記複数の第2電極とがそれぞれ交差する各部分には、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の強誘電体記憶素子がそれぞれ形成されていること
    を特徴とする強誘電体記憶装置。
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