以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1乃至図9は、第1実施形態である電子部材の搬送装置20A及びこれを用いた電子部品の製造方法を説明するための図である。尚、以下の説明においては、電子部材としてプリント配線基板を用い、これを製造するラインに電子部材の搬送装置20Aを適用した例について説明するが、本発明の適用はプリント配線基板に限定されるものではなく、板状の各種電子部材の搬送に適用できるものである。
図5は、搬送装置20Aの平面図である。同図に示すように、搬送装置20Aは、大略すると固定側搬送レール30Aと可動側レール40Aとにより構成されている。この一対の搬送レール30A,40Aは対向離間するよう配置されており、後述するようにプリント配線基板6Aはこの一対の搬送レール30A,40A間で挟み込まれた状態で搬送される構成とされている。
固定側搬送レール30Aは、これが設けられる基板製造ラインのベース(床等)に固定されている。この固定側搬送レール30Aは、図6A〜6Cに拡大して示すように、固定側レール本体31内に搬送駆動部となるベルトコンベア32Aを有した構成とされている。
固定側レール本体31は、プリント配線基板6Aの搬送方向(各図において、矢印X1で示す方向が搬送方向となる)に沿って直線状に形成されている。この固定側レール本体31は、プリント配線基板6Aが挿入される開口側の端部に内側に向けて突出する凸部33が形成されている。ベルトコンベア32Aは、この固定側レール本体31内に配設されている。
ベルトコンベア32Aは、複数のベルト車34とこれに掛けられた環状のベルト35とにより構成されている。ベルト車34は、鉛直方向に延在する回転中心軸を有している。また、複数のベルト車34の内、少なくとも1つのベルト車34はモータ等の駆動源に接続されている(このベルト車34を特に駆動車34aという)。よって、駆動車34aがモータにより駆動されることにより、ベルト35はプリント配線基板6Aを搬送する方向に回転する。
ベルト35は、ゴム材により形成されている。ベルト35をゴムのような柔軟性のある材料とすることにより、搬送されるプリント配線基板6Aに傷が付くことを防止することができる。またベルト35は、図6Cに示されるように、厚さ方向(Z1,Z2方向)に対する中央部が窪んだV字状面35aを有した形状とされている。
可動側レール40Aは、図7A〜7Cに拡大して示すように、大略すると可動側レール本体41、支軸43、コイルばね45、及び係止機構46A等により構成されている。
可動側レール本体41は、プリント配線基板6Aの搬送方向(矢印X1方向)に沿って直線状に形成されている。よって、固定側レール本体31と可動側レール本体41とは、平行に配置された構成とされている。以下、この固定側レール本体31と可動側レール本体41との離間距離(図中、矢印W2で示す)をレール幅というものとする。
また、可動側レール本体41は、プリント配線基板6Aが挿入される開口側の端部に内側に向けて突出する凸部49が形成されている。この可動側レール本体41の内部には、搬送方向に沿って複数の搬送用ローラ42が配設されている。
この搬送用ローラ42はプリント配線基板6Aの搬送時にプリント配線基板6Aと係合するローラであり、その回転中心軸は鉛直方向に延在するよう構成されている。また、搬送用ローラ42は、ゴム材により形成されている。搬送用ローラ42をゴムのような柔軟性のある材料とすることにより、搬送されるプリント配線基板6Aに傷が付くことを防止することができる。更に、搬送用ローラ42は、図7Cに示されるように、厚さ方向(Z1,Z2方向)に対する中央部が窪んだV字状面42aを有した形状とされている。
上記構成とされた可動側レール本体41は、複数(本実施形態では4本)の支軸43により支持された構成とされている。この複数の支軸43は、保持機構46Aにより保持された構成とされている。
保持機構46Aは、固定側搬送レール30Aと同様に、基板製造ラインのベース(床等)に固定されている。この保持機構46Aは、内側板47、外側板48、及び中間保持部材50とにより構成されており、各支軸43を図中矢印Y1,Y2方向に移動可能に保持した構成とされている。よって、可動側レール本体41は、プリント配線基板6Aの搬送方向(X1,X2方向)に対し略直角方向に移動可能な構成とされている。
コイルばね45は、可動側レール本体41と内側板47との間に配設されている。このコイルばね45は、可動側レール本体41と内側板47を離間させる方向にばね力を付勢する構成とされている。また、各支軸43の矢印Y1方向側の端部には、ストッパ44が配設されている。そして、このストッパ44が外側板48と当接することにより、支軸43の保持機構46Aからの離脱が防止される構成とされている。
上記構成とされた可動側レール40Aは、コイルばね45のばね力によりプリント配線基板6Aが搬送されていない状態(以下、この状態を未搬送時という)では、コイルばね45は伸長してストッパ44が外側板48と当接する位置まで移動している。この時における固定側レール本体31と可動側レール本体41との離間距離、即ちレール幅W2は、最小の幅となる。
続いて、主に図5を参照して上記構成とされた搬送装置20Aの動作について説明する。尚、以下の説明では、プリント配線基板6Aが矢印X1方向に搬送される例について説明する。
先ず説明の便宜上、搬送装置20Aの動作説明に先立ち、プリント配線基板6Aの構造について説明する。本実施形態で使用するプリント配線基板6Aは、予め搬送方向の前方部に所定の角度を有する面11(以下、傾斜面という)が形成されている。プリント配線基板6Aの下縁部6aから傾斜面11の開始される位置までの寸法(図5に矢印W3で示す寸法)は、未搬送時におけるレール幅W2よりも小さくなるよう設定されている(W3<W2)。
上記の構造とされたプリント配線基板6Aが搬送装置20Aに進入すると、上記のようにプリント配線基板6Aには傾斜面11が形成されているため、先ず下縁部6aが固定側搬送レール30Aのベルトコンベア32Aに係合する。下縁部6aがベルトコンベア32Aと係合することにより、プリント配線基板6Aは搬送方向(X1方向)に向け移動付勢される。
このプリント配線基板6Aの搬送方向(X1方向)への移動に従い、やがて傾斜面11は可動側レール本体41に形成された搬送用ローラ42(図中、最右端部に設けられた搬送用ローラ42)と係合する。更にプリント配線基板6Aが搬送方向に移動すると、搬送用ローラ42は傾斜面11上を移動し、これに伴い可動側レール本体41はコイルばね45のばね力に抗して矢印Y1方向に移動を開始する。即ち、固定側レール本体31に対して可動側レール本体41は、レール幅W2(固定側レール本体31と可動側レール本体41との間隔)が押し広げられるように移動する。
そして、搬送用ローラ42が傾斜面11上を移動し、上縁部6bと係合すると、レール幅W2はプリント配線基板6Aの基板幅W1に対応した幅となる。このため、それ以後におけるプリント配線基板6Aの搬送方向への搬送においては、搬送用ローラ42は上縁部6bと係合することとなる。
前記のように、ベルト車34及びベルト車54の回転中心軸は鉛直方向とされているため、本実施形態における搬送装置20Bでは、プリント配線基板6Aはベルトコンベア32A(ベルト35)と搬送用ローラ42との間で挟持された状態となる。そして、この一対の搬送レール30A,40Aに挟持された状態で、プリント配線基板6Aは搬送方向(X1方向)に搬送される。
このように、本実施形態ではベルトコンベア32A及び搬送用ローラ42をいわゆる横置きとしたことにより、挟み込みによりプリント配線基板6Aに対して常に幅方向に力が印加された状態で搬送を行うことが可能となる。これにより、プリント配線基板6Aの搬送を円滑に行うことができる。
即ち、従来のようにプリント配線基板6がベルトコンベア9に載置された状態で搬送される方法(図3B参照)では、プリント配線基板6Aがベルトコンベア9上で幅方向に変位して安定した搬送ができなくなる。また、本実施形態の搬送装置20Aにおいて、仮にベルトコンベア32Aを従来と同様な構成とし、搬送用ローラ42を本実施形態と同様に横置きとした場合には、ベルトコンベア32Aにおいてはプリント配線基板6AはV字状面35aの窪み部分ではなく両側の突出した部分と当接する。これに対し、搬送用ローラ42においては、プリント配線基板6Aは上縁部6bがV字状面42aの窪んだ位置に当接する。このため、プリント配線基板6Aの搬送スピードが幅方向の両端において異なってしまい、円滑な搬送を行うことができなくなる。これに対し、本実施形態のように一対の搬送レール30A,40Aの間、換言するとベルトコンベア32Aと搬送用ローラ42との間に挟持された状態でプリント配線基板6Aを搬送することにより、プリント配線基板6Aの搬送を安定化させることができる。
一方、上記のプリント配線基板6Aの搬送の際、前記のように固定側レール本体31には凸部33が、可動側レール本体41には凸部49が形成されている。このため、プリント配線基板6Aがベルト35と可動側レール本体41との間、及び搬送用ローラ42と可動側レール本体41との間に挟まって搬送不能となることを防止できる。
即ち、図8Bに拡大して示すように、仮に固定側レール本体31に凸部33が設けられていない構成を想定すると、プリント配線基板6Aは固定側レール本体31の内壁に沿って移動することが考えられ、この場合にはベルト35と固定側レール本体31との離間部分(この離間部分は、ベルト35を移動させるために必須)に入り込むおそれがある。
しかしながら、図8Aに示すように、固定側レール本体31のプリント配線基板6Aが挿入される開口部の縁部に内側に向け突出する凸部33を形成することにより、固定側レール本体31の内壁に対してプリント配線基板6Aの搬送位置を浮かせることができ、よってプリント配線基板6Aが上記の離間部分に入り込むことを防止できる。この作用は、可動側レール本体41に形成された凸部49においても同様である。
また図9に示す如く、ベルト35にはV字状面35aが形成され、搬送用ローラ42にはV字状面42aが形成されている。かつ、可動側レール本体41は、コイルばね45のばね力によりプリント配線基板6Aを固定側レール本体31に向け付勢している。このため、プリント配線基板6Aの搬送される位置は、V字状面35a,42aの中央位置(最も窪んだ位置)となる。
よって、プリント配線基板6Aが搬送される際にプリント配線基板6Aを平行に搬送することができ、プリント配線基板6Aに予め電子部品等が搭載されているような場合であっても、これがプリント配線基板6Aから離脱してしまうことを防止できる。また、この構成とすることにより、プリント配線基板6Aの搬送位置は、前記した離間部分からも離間するため、当該離間部分にプリント配線基板6Aが挟み込まれることを防止できる。
また、上記のように搬送装置20Aは、先ず搬送されるプリント配線基板6Aの搬送力(ベルトコンベア32Aによる搬送力)によりレール幅W2がプリント配線基板6Aの基板幅W1に対応した幅となるよう固定側レール本体31に対して可動側レール本体41をプリント配線基板6Aにより押し広げ、その後に固定側搬送レール30Aと可動側レール40Aとの間でプリント配線基板6Aを搬送方向に搬送することとしている。
このように本実施形態の搬送装置20Aは、搬送されるプリント配線基板6Aにより直接的に可動側レール40B(可動側レール本体41)が移動付勢され、自動的にプリント配線基板6Aの基板幅W1に対応したレール幅W2となるまで可動側レール本体41を移動させることができる。よって搬送装置20Aは、従来必要とされた制御装置や可動側レール40Bを移動させるための駆動源(モータ等)を不用とすることができ、部品点数の削減及び低コスト化を図ることができる。また、可動側レール本体41を移動させる際、人手による作業も不要となり、作業工数の低減を図ることができる。
尚、本実施形態では、プリント配線基板6Aの搬送方向の先方位置に、大きな形状の傾斜面11を形成する必要が生じる。しかしながら、通常プリント配線基板6Aは矩形状で用いられるものであり、傾斜面11の形成位置がいわゆるデッドスペースとなる可能性もある。
このため、矩形状のプリント配線基板6Bを使用したい場合は、図10に示すように、傾斜面11を有する治具12に矩形状のプリント配線基板6Bを装着する構成としてもよい、また図11A,11Bに示すように、傾斜面11を有するトレー13を用意し、このトレー13にプリント配線基板6Bを固定した状態で搬送装置20Aに搬送させる構成としてもよい。このように、治具12及びトレー13を用いることにより、傾斜面11を有さない矩形のプリント配線基板6Bであっても、搬送装置20Aに適用することができる。
次に、第2実施形態である搬送装置について説明する。図12は、第2実施形態である搬送装置20Bを示している。尚、以下説明する各実施形態の説明、及び各実施形態の説明に用いる図面において、図5乃至図9に示した構成と対応する構成については、同一符号を付してその説明を省略するものとする。
前記した第1実施形態に係る搬送装置20Aは、固定側搬送レール30Aにのみベルトコンベア32Aを設けた構成としていた。これに対して第2実施形態に係る搬送装置20Bは、可動側レール40Bにもベルトコンベア51を設けたことを特徴としている。
ベルトコンベア51は、ベルトコンベア32Aと同様に、複数のベルト車54とこれに掛けられた環状のベルト52とにより構成されている。ベルト車54は、鉛直方向に延在する回転中心軸を有している。
また、複数のベルト車54の内、少なくとも1つのベルト車54はモータ等の駆動源に接続されている(このベルト車54を特に駆動車54aという)。よって、駆動車54aがモータにより駆動されることにより、ベルト52はプリント配線基板6Aを搬送する方向に回転する。この際、駆動車34aと駆動車54aは同期して回転するよう構成されており、よってプリント配線基板6Aの搬送の安定性は確保されている。
また、可動側レール本体41のベルトコンベア51の配設位置に対して図中矢印X2方向に若干離間した位置には、案内ローラ53が配設されている。この案内ローラ53は自由に回転するローラであり、ベルト車54の列設方向上に配置されている。この案内ローラ53は、前記したように傾斜面11が設けられたプリント配線基板6A(治具12及びトレー13に配設されたプリント配線基板6Bを含む)が搬送された際、この傾斜面11と係合す機能を奏するものである。
ベルトコンベア32Aのベルト35とベルトコンベア51のベルト52が同期して回転している場合、ベルト52が傾斜面11と係合すると、傾斜面11は傾斜面であるため、プリント配線基板6Aの下縁部6aの移動速度と、傾斜面11の移動速度が異なってしまい、安定した可動側レール本体41の押し広げ、及びプリント配線基板6Aの搬送ができなくなる。しかしながら、案内ローラ53を設けることにより、可動側レール本体41がプリント配線基板6Aの基板幅W1に対応するレール幅W2まで移動するまではプリント配線基板6Aは案内ローラ53のみと係合し、ベルトコンベア51とは係合しない構成とすることができる。
また、プリント配線基板6Aの上縁部6bがベルトコンベア51と係合した後は、プリント配線基板6Aはベルトコンベア32Aとベルトコンベア51の双方により搬送付勢されるため、これによっても安定した搬送を行うことができる。
次に、第1実施形態に用いたベルトコンベア32Aの変形例について説明する。
本変形例に係るベルトコンベア32Bは、図13A〜図13Cに示すように、ベルト35に係止突起36及び支持片37を設けたものである。この係止突起36及び支持片37は、ゴム製であるベルト35に一体的に形成してもよく、またベルト35に別箇に固定した構成としてもよい。
係止突起36は、水平状態のベルト35に対して直角方向に延出するよう形成されており、少なくともプリント配線基板6Aと係合してこれを確実に搬送しうる長さ及び強度を有した構成とされている。よって、ベルト35に係止突起36を設けることにより、プリント配線基板6Aはベルト35と下縁部6aとの係合力に加え、係止突起36がプリント配線基板6AのX2方向端部と係合することにより搬送される。このため、ベルト35とプリント配線基板6Aとの間に滑りが発生することを防止でき、プリント配線基板6Aを正確に搬送することが可能となる。
また、係止突起36によりプリント配線基板6Aを確実に搬送するためには、係止突起36のベルト35の表面からの突出量を高くする必要がある。しかしながら、この係止突起36が高くなると強度が低下し、プリント配線基板6Aを確実に移動付勢することができないおそれがある。このため、本変形例では係止突起36を支持する支持片37を設けた構成としている。これにより、係止突起36によるプリント配線基板6Aの搬送処理を確実に行うことができる。
また、ベルト35はベルトコンベア32Bの両端部に配設された駆動車34a及びベルト車34の位置で180度にわたり移動方向が大きく変換される。このため、ベルト35は大きく屈曲されるが、本変形例では係止突起36と支持片37とがベルト35の曲がりに応じて離間可能な構成としている。これにより、ベルトコンベア32Bのコンベア端における駆動車34a及びベルト車34に対して追従性が良くなり、ベルトコンベア32Aに印加されるストレスを緩和し、ベルトコンベア32Aを円滑に駆動させることができる。
次に、第1実施形態である搬送装置20Aに用いた可動側レール40Aの第1変形例について説明する。図14A,14B及び図15A,15Bは、第1変形例である可動側レール40Cを示している。
第1実施形態で適用した可動側レール40Aは、可動側レール本体41を支持する複数の支軸43は、保持機構46Aに矢印Y1,Y2方向に移動可能に保持された構成とされていた。従って、第1実施形態の可動側レール40Aでは、可動側レール本体41がプリント配線基板6Aの基板幅W1に対応したレール幅W2となる位置まで移動した後も、外力の印加等により可動側レール本体41の位置が変位する可能性があった。
そこで本変形例では、可動側レール本体41がプリント配線基板6Aの基板幅W1に対応したレール幅W2となる位置まで移動した後、支軸43の移動(即ち、可動側レール本体41の移動)を係止する係止機構55を設けた構成としている。この係止機構55は、図14Bに示すように、支軸43を挟んで配設された一対のクランプ部材55aにより構成されている。
この一対のクランプ部材55aは、図示しない駆動手段により支軸43をクランプし、またクランプ解除できる構成とされている。また本変形例では、支軸43を移動可能に保持する保持機構46Bは、内側板47と外側板48とにより構成されている。
図14A,14Bは、クランプ解除状態の可動側レール40Cを示している。同図に示すように、クランプ解除状態では一対のクランプ部材55aは支軸43から離間しており、よって支軸43は保持機構46Bに移動可能に保持された状態となっている。このように、クランプ部材55aは支軸43から離間した状態では、第1実施形態における中間保持部材50と同様に、係止機構55は支軸43を保持する機能を奏する。
一方、図15A,15Bは、クランプ状態の可動側レール40Cを示している。クランプ状態では、一対のクランプ部材55aは支軸43を挟持し、これにより支軸43の矢印Y1,Y2方向の移動は係止される。よって、可動側レール本体41は固定され、外力が印加されたとしても可動側レール本体41は基板幅W1に対応したレール幅W2の位置に固定される。
このように、可動側レール40Cに係止機構55を設けることにより、同一の基板幅W1を有した複数のプリント配線基板6Aを連続的に搬送する場合の効率化を図ることができる。
即ち、同一の基板幅W1を有したプリント配線基板6Aを複数連続で搬送する場合、最初に流すプリント配線基板6A,6Bの基板幅W1で可動側レール本体41のレール幅W2を設定し、その時点で係止機構55により支軸43をクランプして可動側レール本体41を固定する。これにより、2枚目以降のプリント配線基板6A,6Bに対しては可動側レール本体41を移動させる必要が無くなり、個々のプリント配線基板6A,6Bに対して可動側レール本体41を移動させる構成に比べ、搬送効率を高めることができる。
また、図10及び図11A,11Bを用いて説明したように、治具12及びトレー13を用いる場合には、最初に流すプリント配線基板6Bに対してのみ治具12及びトレー13に装着すればよく、それ以降のプリント配線基板6Bに対しては装着する必要がないため、これによっても搬送効率を高めることができる。更に、個々のプリント配線基板6A,6Bに対して可動側レール本体41を移動させる構成では、個々のプリント配線基板6A,6Bに対し、可動側レール本体41を押し広げるのに要する力(コイルばね45のばね力)が印加されるが、本変形例の構成では2枚目以降のプリント配線基板6A,6Bに対してはこの力は印加されず、よってプリント配線基板6A,6Bに印加されるストレスを軽減することができる。
次に、第1実施形態である搬送装置20Aに用いた可動側レール40Aの第2変形例について説明する。図16A,16Bは、第2変形例である可動側レールの係止機構55の近傍を示している。
本変形例は、前記した第1変形例に係る可動側レール40Cに設けた係止機構55と基本的に同一構成であるが、クランプ部材55aの支軸43と対向する面に凹凸部56を形成すると共に、支軸43の表面にもこの凹凸部56と係合する凹凸部57を形成している。
本変形例では、凹凸部56,57は鋸歯状形状とされている。そして、係止機構55に対して支軸43が矢印Y1方向(レール幅W2が広がる方向)に対しては移動するが、矢印Y2方向(レール幅W2が狭まる方向)に対しては移動しないよう鋸歯が設定されている。
本変形例を適用することにより、同一の基板幅W1を有する複数のプリント配線基板6A,6Bを搬送する場合、前記のように基板幅W1を広げる方向(Y1方向)に対しては可動側レール本体41は傾斜面11に付勢されて容易に移動するが、狭める方向(Y2方向)には移動しない。また、係止機構55による支軸43の係止は、凹凸部56,57が噛合することによる係止であるためその係止力は強い。このため、一端レール幅W2に位置決めされた後は、可動側レール本体41の移動を確実に規制することができる。尚、この係止を解除するには、クランプ部材55aを離間する方向に移動し、凹凸部56と凹凸部57の噛合を解除させればよい。
次に、第1実施形態である搬送装置20Aに用いた可動側レール40Aの第3変形例について説明する。図17は、第3変形例である可動側レール40Dを示している。
第1実施形態に適用した可動側レール40Aは、可動側レール本体41が連続した1本の直方体形状体とされ、その内部に複数の搬送用ローラ42が配設された構成とされていた。これに対して本変形例に係る可動側レール40Dは、第1実施形態で用いられていた可動側レール本体41を各搬送用ローラ42に対応して複数に分割して分割可動側レール体58とした構成としている。
また、分割可動側レール体58は、各々に支軸43及びコイルばね45が設けられており、よって各分割可動側レール体58は独立してY1,Y2方向に移動可能な構成とされている。前記した第1実施形態に適用された可動側レール40Aでは、プリント配線基板6Aの搬送に伴い傾斜面11が搬送用ローラ42に係合すると、プリント配線基板6Aは形状の大きい可動側レール本体41を移動させる必要があり、プリント配線基板6Aに印加される負荷が大きかった。
これに対して本変形例では分割可動側レール体58とされているため、プリント配線基板6A,6Bの搬送に伴い傾斜面11が各分割可動側レール体58の搬送用ローラ42と係合する際、各分割可動側レール体58は第1変形例に比べて低負荷で移動させることができる。これにより、プリント配線基板6A,6Bの外形に対する分割可動側レール体58の移動の追従性を高めることが可能となり、よって配線基板6A,6Bの搬送をより確実に行うことができる。
次に、第1実施形態である搬送装置20Aに用いた可動側レール40Aの第4変形例について説明する。図18A〜18Cは、第4変形例である可動側レール40Eを示している。
本変形例も前記した第3変形例と同様に、第1実施形態で用いられていた可動側レール本体41を各搬送用ローラ42に対応して複数に分割して分割可動側レール体58とし、夫々に支軸43及びコイルばね45を設けることにより独立して移動可能な構成としている。この各支軸43は保持機構46Aにより保持されているため、個々の分割可動側レール体58の矢印X1,X2方向の移動は規制されている。
しかしながら、プリント配線基板6A,6Bの搬送時に傾斜面11が搬送用ローラ42と係合すると、各分割可動側レール体58には矢印X1,X2方向の力が作用し、隣接する分割可動側レール体58間で干渉(当接)が発生するおそれがある。
本変形例に係る可動側レール40Eは、この隣接する分割可動側レール体58間で干渉が発生しないよう、各分割可動側レール体58を移動可能に連結するリンク機構60を設けた構成としている。
リンク機構60は、複数のリンク部材61を組み合わせた構成とされている。個々のリンク部材61は、図18Aに示すように、第1の延出片61aと第2の延出片61bを有した略コ字形状の板状部材である。
ここで、図18Aの右側端部の分割可動側レール体58を特に分割可動側レール体58Aとし、この分割可動側レール体58Aの1個左に配設されたものを分割可動側レール体58Bとし、更に分割可動側レール体58Bの1個左に配設されたものを分割可動側レール体58Cとする。また、分割可動側レール体58Aと分割可動側レール体58Bに跨って配設されたリンク部材61をリンク部材61Aとし、このリンク部材61Aの1個左に配設されたものをリンク部材61Bとする
リンク部材61Aの第1の延出片61aは固定ピン64により分割可動側レール体58Aに固定されている。また、第2の延出片61bはY1,Y2方向に延在する長孔62が形成されており、分割可動側レール体58Bに設けられた搬送用ローラ42の支軸63はこの長孔62に係合した構成とされている。従って、分割可動側レール体58Bは、分割可動側レール体58Aに対して長孔62の形成範囲にわたり相対的に移動可能な構成となっている。
同様に、リンク部材61Bの第1の延出片61a(この第1の延出片61aは図18Aではリンク部材61Aの第2の延出片61bの背面側に位置するため、同図に現れず)は分割可動側レール体58Bに固定されており、また第2の延出片61bに設けられた長孔62には分割可動側レール体58Cの支軸63が係合している。よって、分割可動側レール体58Cは、分割可動側レール体58Bに対して長孔62の形成範囲にわたり相対的に移動可能な構成となっている。また、分割可動側レール体58Cよりも図中左側(X1方向側)に配設された分割可動側レール体58及びリンク部材61においても、同様の構成となっている。
上記構成とされたリンク機構60を設けることにより、プリント配線基板6A,6Bの搬送時に隣接する分割可動側レール体58間で干渉が発生することを防止でき、よって各分割可動側レール体58をプリント配線基板6A,6Bの形状(傾斜面11の形状)に応じて円滑に移動させることができる。これにより、プリント配線基板6A,6Bを円滑に搬送することが可能となる。また、仮に傾斜面11やプリント配線基板6A,6Bの縁部に若干の凹凸等が発生していたとしても、各分割可動側レール体58はこの凹凸に追従して円滑に移動するため、プリント配線基板6A,6Bの搬送性を高めることができる。
次に、第1実施形態である搬送装置20Aに用いた可動側レール40Aの第5変形例について説明する。図19A〜19Cは、第5変形例である可動側レール40Fを示している。
本変形例も前記した第3及び第4変形例と同様に、第1実施形態で用いられていた可動側レール本体41を各搬送用ローラ42に対応して複数に分割した構成としている。しかしながら、前記した第3及び第4変形例で用いた分割可動側レール体58は側面視で略コ字状とされ、その内部に搬送用ローラ42を設け構成とされていた。このように、第3及び第4変形例は、分割可動側レール体58とその内部に配設された搬送用ローラ42により、プリント配線基板6A,6Bの搬送を案内する構成とされていた。
これに対して本変形例では、第3及び第4変形例における搬送用ローラ42と分割可動側レール体58とを一体化した構成のガイド付き搬送用ローラ65を設けたことを特徴とするものである。
このガイド付き搬送用ローラ65は、ローラ部66とガイド部67とにより構成されており、ホルダ68に回動自在に設けられている。また、各ホルダ68には支軸43とコイルばね45が設けられおり、従ってガイド付き搬送用ローラ65は、それぞれ独立してY1,Y2方向に移動可能な構成とされている。
ローラ部66は、搬送用ローラ42と同様にV字状面66aが形成されている(図19B参照)。よって本変形例とした場合も、プリント配線基板6A,6Bの搬送に際し、これを平行に搬送することができる。また、ガイド部67は、ローラ部66の両側部に配設されている。このガイド部67は、ローラ部66よりも大径とされており、よってガイド部67に対して鍔状に延在する構成とされている。
このため、ガイド部67は、プリント配線基板6A,6Bの搬送に対し、特にこれが鉛直方向(Z1,Z2方向)に離脱することを防止する機能を奏する。よって、本変形例によれば、プリント配線基板6A,6Bがガイド付き搬送用ローラ65から離脱することを防止できるため、ガイド付き搬送用ローラ65とホルダ68との間にプリント配線基板6A,6Bが挟まってしまうことを防止することができる。
次に、本発明の第3実施形態である搬送装置について説明する。図20A,20Bは、第3実施形態である搬送装置20Cを示している。
搬送装置20Cは、大略すると固定側搬送レール30Aと可動側レール40Fとにより構成されている。また、可動側レール40Fは、第1可動部70、第2可動部72、及び支軸43とにより構成されている。
第1可動部70は、支軸43、コイルばね45、保持機構46A,及び接触板74等により構成されている。本実施形態では、支軸43の矢印Y2方向端部に可動側レール本体は設けられておらず、接触板74が配設された構成とされている。この接触板74は平板状の部材であり、保持機構46Aに対して図中矢印Y1,Y2方向に移動可能な構成とされている。しかしながら、コイルばね45のばね力により、プリント配線基板6A,6Bの未搬送時においては、コイルばね45は矢印Y2方向に移動した状態となっている。
第2可動部72は、分割可動側レール体58、個別接触板75、保持部76、及びコイルばね77等により構成されている。分割可動側レール体58は前記した各変形例と同一のものであり、複数配設された各分割可動側レール体58には支軸78が設けられている。この支軸78は、保持部76により図中矢印Y1,Y2方向に移動可能に保持された構成とされている。
また、支軸78の保持部76を介して分割可動側レール体58の形成側と反対側の端部には、夫々個別に個別接触板75が設けられている。また、個別接触板75と保持部76(保持板76a)との間には、コイルばね77が配設されている。このコイルばね77は、各支軸78を矢印Y1方向に向け付勢している。また、コイルばね77のばね力は、コイルばね45のばね力に比べて小さく設定されている。
液体充填体73は、延展性が低くかつ変形可能な材料よりなる容器73aに安定性オイル(例えば、非圧縮性を有したオイル)を充填した構成とされている。この液体充填体73は、接触板74と個別接触板75との間に介装された構成とされている。従って液体充填体73は、コイルばね45のばね力により接触板74により押圧されると共に、コイルばね77のばね力により個別接触板75により押圧される構成とされている。
また、上記した保持部76は一対の保持板76a,76bより構成され、各保持板76a,76bは基板製造ラインのベース(床等)に固定されている。また、保持機構46Aも基板製造ラインのベース(床等)に固定されている。そして、液体充填体73を構成する容器73aは接触板74に接着された構成とされている。従って、液体充填体73は、第1可動部70と第2可動部72との間に介装された状態を維持する。
続いて、上記構成とされた搬送装置20Cの動作について説明する。図20Aは、プリント配線基板6Aが搬送されない未搬送状態を示している。前記したように、コイルばね77のばね力はコイルばね45のばね力に比べて小さいため、このバネ力差に応じた力(以下、ばね差力という)により液体充填体73は矢印Y2方向に移動した状態となっている。このため、液体充填体73と接触している各個別接触板75もY2方向に移動した状態となっている。また、各個別接触板75に対して等しいばね差力が作用するため、分割可動側レール体58はX1,X2方向に一列に並んだ状態となっている。
続いて、上記構成とされた搬送装置20Cの動作に対説明する。図20Bは、搬送装置20Cがプリント配線基板6Aを搬送している途中の状態を示している。プリント配線基板6Aが固定側搬送レール30Aに設けられたベルトコンベア32Aに付勢されて搬送されると、プリント配線基板6Aの上縁部6bの形状に対応して分割可動側レール体58がY1方向に移動する。これにより、支軸78を介して個別接触板75は液体充填体73を押圧する。
そして、個別接触板75に押圧された位置の液体充填体73は、容器73aを変形させつつ個別接触板75が移動付勢されていない部位に向け流動する(図20Bに示す例では、液体充填体73は左側に向け流動する)。このように、本実施形態に係る搬送装置20Cでは、流動性を有する液体充填体73を第1可動部70と第2可動部72との間に設けたことにより、分割可動側レール体58をプリント配線基板6Aの上縁部6bの形状により追従させて移動させることが可能となる。
また、プリント配線基板6Aの上縁部6bの形状変化が大きく、よって分割可動側レール体58(個別接触板75)の移動を液体充填体73で吸収しきれなくなると、ばね力が大きいコイルばね45が弾性変形することにより接触板74が全体的にY1方向に移動する。よって、例えば傾斜面11の傾斜角を大きくしたような場合であっても、分割可動側レール体58をこれに追従して移動させることができる。
このように本実施形態によれば、プリント配線基板6Aの上縁部6bの形状変化が大きく変化する場合であっても、分割可動側レール体58をこれに追従して移動させることができる。また、液体充填体73を設けることにより、各コイルばね77に印加されるばね力は均一化され、プリント配線基板6Aに印加される負荷を低減することができる。
次に、本発明の第4実施形態である搬送装置について説明する。図21Aは、第4実施形態である搬送装置20Dを示している。
搬送装置20Dは、大略すると固定側搬送レール30Cと可動側レール40Gとにより構成されている。固定側搬送レール30Cは、基板製造ラインのベース(床等)に固定されている。この固定側搬送レール30Cは、固定側レール本体31に複数の搬送用ローラ38が配設された構成とされている。この搬送用ローラ38も回転中心軸が鉛直方向となるよう構成されており、また図示しないがV字状面が設けられた構成とされている。
可動側レール40Bは、可動側レール本体41、支軸43、コイルばね45、及び保持機構46Aを有した構成とされている。また、図22に拡大して示すように、可動側レール本体41にはベルトコンベア80が配設された構成とされている。このベルトコンベア80は、可動側レール本体41に設けられた複数のベルト車84と、このベルト車84に掛けられたベルト86とにより構成されている。
ベルト車84は、鉛直方向に延在する回転中心軸を有している。また、複数のベルト車84の内、少なくとも1つのベルト車84はモータ等の駆動源に接続されている(このベルト車84を特に駆動車84aという)。よって、駆動車84aがモータにより駆動されることにより、ベルト86はプリント配線基板6Bを搬送する方向に回転する。
ベルト86は、ゴム材により形成されている。このベルト86は、図21Bに拡大して示すように、その表面に鋸歯状係合部85がその全周にわたり形成されている。この鋸歯状係合部85は、平面視で直角二等辺三角形状とされている。
また、ベルトコンベア80は、プリント配線基板6Bを搬送方向(X1方向)に搬送する搬送部81と、プリント配線基板6Bのコーナ部と係合し可動側レール本体41を固定側搬送レール30Cに対して押し広げる方向に移動させるレール幅調整部82とにより構成されている。具体的には、搬送部81がプリント配線基板6Bの搬送方向(X1方向)に延在するよう配設されているのに対し、レール幅調整部82はこの搬送方向に対して所定角度θだけ傾斜した構成とされている。この角度θは、例えば45°に設定することが望ましい。
尚、このようにベルトコンベア80に延在方向が異なる搬送部81とレール幅調整部82を設けても、ベルト86は前記のようにゴム製であるため走行方向を容易に変更できる。本実施形態では、案内ローラ83を設けることにより、ベルト86の走行方向を変更する構成としている。このように、1本のベルト86により搬送部81とレール幅調整部82を形成することができる。
続いて、上記構成とされた搬送装置20Dの動作について説明する。本実施形態に係る搬送装置20Dは、治具12やトレー13(図10,図11A,11B参照)を用いることなく、矩形状とされたプリント配線基板6Bを直接搬送する。
未搬送状態において、可動側レール本体41は、予めプリント配線基板6Bの基板幅W1よりも狭いレール幅W2となる位置まで移動されている。この状態でプリント配線基板6Bが搬送装置20Dに送り込まれると、先ずプリント配線基板6Bのコーナ部(図21Bに矢印Aで示す)が、一対の鋸歯状係合部85の間に係合する。
前記したように、レール幅調整部82はプリント配線基板6Bの移動方向に対して45°傾斜した構成とされており、かつベルト86に形成された鋸歯状係合部85は直角二等辺三角形状とされている。このため、プリント配線基板6Bの直角を有するコーナ部Aは、図21Bに示されるように、一対の鋸歯状係合部85に確実に係合した状態となる。
このようにベルト86に形成された鋸歯状係合部85にプリント配線基板6Bのコーナ部Aが係合した状態で、ベルトコンベア80が駆動してベルト86が図21Aに矢印Bで示す方向に移動すると、可動側レール本体41は相対的に矢印Y1方向に移動付勢される。このため、可動側レール本体41は、プリント配線基板6BのX1方向の搬送に伴いY1方向に押し広げられる。そして、レール幅W2がプリント配線基板6Bの基板幅W1に対応した位置まで押し広げられると、可動側レール本体41のY1方向への移動は停止される。そして、プリント配線基板6Aは搬送部81により搬送方向(X1方向)に搬送される。
上記のように本実施形態に係る搬送装置20Dは、プリント配線基板に傾斜面11を形成する必要がなく、また矩形のプリント配線基板6Bを直接搬送できるために治具12及びトレー13を用いる必要もない。このため、搬送するプリント配線基板の基板形状の自由度を高めることができる。
次に、本発明の第5実施形態である搬送装置について説明する。図23A,23Bは、第5実施形態である搬送装置20Eを示している。
搬送装置20Eは、基本構成は図5を用いて説明した搬送装置20Aと同一であるが、可動側レール本体41の図中X2方向端部(プリント配線基板6Bの搬送方向と反対側の端部)にレール幅調整装置90を設けたことを特徴としている。
レール幅調整装置90は、送り込まれるプリント配線基板6Aと係合し、レール幅W2がプリント配線基板6Bの基板幅W1と対応する位置まで可動側レール本体41を移動させる機能を奏するものである。このレール幅調整装置90は、本体部91内にベルトコンベア92を設けた構成とされている。
このベルトコンベア92は、複数のベルト車94とこれに掛けられた環状のベルト95とにより構成されている。ベルト車94は、プリント配線基板6Bの搬送方向(X1方向)と平行となる方向に延在する回転中心軸を有している。また、複数のベルト車94の内、少なくとも1つのベルト車94はモータ等の駆動源に接続されている(このベルト車94を特に駆動車94aという)。よって、駆動車94aがモータにより駆動されることにより、ベルト95は図23Bに矢印Dで示す方向に回転する。
また、ベルトコンベア92は、先に図13A,13Bを用いて説明したベルトコンベア32Bと同様に、係止突起36及び支持片37を有した構成とされている。この係止突起36は、後述するようにプリント配線基板6Bの上縁部6bと係合するよう構成されている。
続いて、上記構成とされた搬送装置20Eの動作について説明する。本実施形態に係る搬送装置20Eも第4実施形態に係る搬送装置20Dと同様に、治具12やトレー13(図10,図11A,11B参照)を用いることなく、矩形状とされたプリント配線基板6Bを直接搬送する。
未搬送状態において、可動側レール本体41は、予めプリント配線基板6Bの基板幅W1よりも狭いレール幅W2となる位置まで移動されている。
この状態でプリント配線基板6Bが搬送装置20Eに送り込まれると、先ずプリント配線基板6Bがレール幅調整装置90内に挿入される。
レール幅調整装置90内にプリント配線基板6Bが挿入されると、ベルトコンベア92は駆動してベルト95が回転し、これに伴い係止突起36がプリント配線基板6Bの上縁部6bに当接する。この状態で更にベルト95が回転することにより、可動側レール本体41は矢印Y1方向に移動付勢される。これにより可動側レール本体41はY1方向に押し広げられ、そしてレール幅W2がプリント配線基板6Bの基板幅W1に対応した位置まで押し広げられると、プリント配線基板6Bは可動側レール本体41に送り込まれる。これにより、プリント配線基板6Aは、ベルトコンベア32Aの駆動力により搬送方向(X1方向)に搬送される。
上記のように本実施形態に係る搬送装置20Eもプリント配線基板に傾斜面11を形成する必要がなく、また矩形のプリント配線基板6Bを直接搬送できるために治具12及びトレー13を用いる必要もない。このため、搬送するプリント配線基板の基板形状の自由度を高めることができる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能なものである。