JP4883047B2 - 気体燃料噴射装置 - Google Patents
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Description
非特許文献1等には、気体噴流に関する解析が示されている。図11に示すように、単噴孔ノズルISから噴射圧力PINJの高圧気体が雰囲気圧力PAMBの低圧雰囲気内に噴射され、噴射圧力PINJと雰囲気圧力PAMBとの圧力比PINJ/PAMBが4倍以上の場合、噴孔出口近傍では、噴孔から噴射された気体が雰囲気圧力PAMBまで完全に膨張できず、不足膨張噴流となる。このような不足膨張噴流では、外側に向かって膨張する膨張波ExWが生じ、この時の流速は超音速(M>1)となり、噴流と雰囲気気体との境界面JBにおいて圧縮波CmWとして反射され、再び噴流境界面JBにおいて反射し膨張波ExWとなり、再び圧縮波CmWと膨張波ExWとが繰り返し発生する。特に、圧力比PINJ/PAMBが大きい時には、噴流FJの中心軸上で衝撃は正常交差できなくなり、膨張波ExWと圧縮波CmWと反射波RSとの合体と干渉によって樽型衝撃波BSを形成し、噴射方向に直交する円盤状のマッハディスクMDが形成され、マッハディスクMDを境に、超音速(M>1)の膨張波域と亜音速(M<1)の圧縮波域とが形成されていることが知られている(非特許文献1等)。
PINJ/PAMB≧4・・・式1
LP<Lm(max)・・・式2
インジェクタ基部110には、高圧気体燃料を導入する高圧気体燃料導入流路103、導入された高圧気体燃料の圧力を蓄圧する蓄圧室102、ノズル部100内に形成された燃料室10に気体燃料を導入する気体燃料供給流路101が形成されている。
さらに、インジェクタ基部には、ニードル200の上昇方向と下降方向とのいずれか若しくは両方に作用する圧力を伝達するとともに、ニードル200の摺動部を潤滑すべく、作動液体を導入する公知の作動液体流路120が適宜形成されている。
ニードル200の先端側には、径小となるニードル軸部20が形成され、ニードル軸部20の周囲には、燃料室10が区画され、燃料室10の先端に設けられた噴孔14、15の開閉を離着座によって行う弁体2がニードル軸部20の先端に形成されている。
インジェクタ基部100の内部には軸方向に摺動可能に保持された長軸状のニードル200が収納され、ニードル200の基端側には、EDU41に接続されたアクチュエータ120が設けられ、アクチュエータ120によってニードル200は軸方向の昇降が制御されている。アクチュエータ120には、通電により励磁する電磁ソレノイドを用いた電磁アクチュエータや通電により伸長する圧電素子を用いた圧電アクチュエータ等、公知の駆動制御手段を適宜用いることができる。
本実施形態において、弁体2は、略円錐状に形成されている。ノズル基体1の内側には、燃料室10に練通する略摺り鉢状に形成されたシート面11、12と先端が閉塞するサック室13が形成され、第1の噴孔14と第2の噴孔とが穿設されている。
第1の噴孔14は、ノズル部の中心軸に対して第1の噴孔穿設角度θ1の角度で設けられ、第2の噴孔15は、ノズル部の中心軸に対して第2の噴孔穿設角度θ2の角度で設けられている。第1の噴孔穿設角度θ1は第2の噴孔穿設角度θ2よりも大きく設定され、第1の噴孔14の中心軸と第2の噴孔15の中軸とは交点Pで交差している。
第1の噴孔14の出口端部から交点Pまでの交点距離LPは、マッハディスク形成領域Lm(max)よりも短い距離に設定されている。
また、第1の噴孔14と第2の噴孔15とは、噴孔出口において噴孔間距離DPだけ離して設けられ、DPは、6mm以下に設定されている。 さらに、噴孔14及び噴孔15は、出口開口径φDeは0.01mm以上に設定されている。
閉弁時には、弁体2が下降し、ノズル部1の内側に形成された第1のシート面11、第2のシート面12と、弁体2の第1の弁座部21、第2の弁座部22とがそれぞれ当接し、第1の噴孔14と第2の噴孔15とが閉鎖された状態となっている。
開弁時には、弁体2が上昇し、ノズル部1の内側に形成された第1のシート面11、第2のシート面12と、弁体2の第1の弁座部21、第2の弁座部22とが離れ、第1の噴孔14と第2の噴孔15とが燃料室10と練通した状態となっている。
図5(a)に示すように、本発明の第1の実施形態において、第1の噴孔14と第2の噴孔15とを第1の噴孔穿設角度θ1と第2の噴孔穿設角度θ2とが、θ1>θ2の関係を満たし、かつ、LP<Lm(max)となるように穿設した場合において、第1の噴孔14の開口出口から中心軸線上のL1、L2、L3、L4の距離における燃料気体の濃度の測定結果P1、P2、P3、P4を実施例1とし、図5(b)に示すように、本発明の第1の実施形態において、第1の噴孔14と第2の噴孔15とを第1の噴孔穿設角度θ1と第2の噴孔穿設角度θ2とが、θ1>θ2の関係を満たし、かつ、LP≧Lm(max)となるように穿設した場合において、第1の噴孔14の開口出口から中心軸線上のL1、L2、L3、L4の距離における燃料気体の濃度の測定結果P1、P2、P3、P4を実施例2とし、図6(a)に示すように、第1の噴孔14と第2の噴孔15とを第1の噴孔穿設角度θ1と第2の噴孔穿設角度θ2とが、θ1=θ2の関係、即ち、平行となるように穿設した場合における、第1の噴孔14の開口出口から中心軸線上のL1、L2、L3、L4の距離における燃料気体の濃度の測定結果P1、P2、P3、P4を比較例1とし、図6(b)に示すように、第1の噴孔14と第2の噴孔15とを第1の噴孔穿設角度θ1と第2の噴孔穿設角度θ2とが、θ1<θ2の関係となるように穿設した場合において、第1の噴孔14の開口出口から中心軸線上のL1、L2、L3、L4の距離における燃料気体の濃度の測定結果P1、P2、P3、P4を比較例2として、その結果を図7に示す。
このことから、本発明によれば、第1の噴孔14と第2の噴孔15とから噴射された高圧気体噴流がマッハディスク形成領域内で衝突することのよって、高い運動エネルギを持った状態で衝突した噴流に大きな乱れが生じ、周囲の圧縮空気との混合が活発になり、速やかに濃度の低下が起こったものと推察される。
なお、気体濃度均一度は、測定距離を30mm、40mm、50mmとしたときの3点の気体燃料濃度の平均値である。
本図に示すように、交点距離LPを6mm以下で気体燃料濃度の均一度が高くなることが判明した。
本試験結果からも、第1の噴孔14と第2の噴孔15とをマッハディスク形成領域Lm(max)の範囲内で衝突させることにより、速やかに気体燃料濃度を均一化できることが判明した。
本図(a)に示すように、第1の噴孔14aをサック室13に穿設して、第2の噴孔15aをシート部に穿設しても良いし、本図(b)に示すように、第1の噴孔14bと第2の噴孔15bとの両方をサック室13bに穿設しても良い。いずれの場合にも、本発明の交点Pがマッハディスク形成領域Lm(max)内に設ける限りにおいて同様の効果が得られる。
例えば、上記実施形態の説明において、具体的なニードル駆動方法について明記していないが、ニードルの開弁方向と閉弁方向とに圧力流体の圧力を作用せしめ、駆動用アクチュエータによって作動する制御弁によって開弁方向の圧力と閉弁方向の圧力とのバランスを変化させて、ニードルの昇降を行う公知の駆動方法が適宜採用可能である。
また、上記実施形態において、燃料噴射圧PINJと筒内雰囲気圧PAMBとの圧力比PINJ/PAMBとが所定圧以上であれば、いずれの噴射時期においても本発明の効果が発揮される。しかし、筒内雰囲気圧PAMBの低い状態において燃料噴射を行えば、本発明の効果に加え、シリンダピストンの上昇したときに筒内に発生するタンブル渦によって、さらに、気体燃料と圧縮空気との混合を促進することも期待できる。
さらに、上記実施形態においては、点火装置を設けた内燃機関について本発明を適用した例を説明したが、気体燃料に軽油等の自着火性液体燃料を少量混合する等、点火装置を具備しない自着火機関にも適用できる。
1 ノズル先端部
10 燃料室
11、12シート部
13 サック室
14 第1の噴孔
15 第2の噴孔
2 弁体
21、22 弁体着座部
PINJ 燃料噴射圧
PAMB 筒内雰囲気圧
Lm(max) マッハディスク形成領域
DP 噴孔間距離
φDe 噴孔出口開口径
P 噴孔中心軸交点
LP 交点距離
θ1 第1の噴孔穿設角度
θ2 第2の噴孔穿設角度
Claims (6)
- 少なくとも第1の噴孔と第2の噴孔とからなる2以上の噴孔を設けた燃料噴射弁を具備し、該燃料噴射弁内に導入した高圧の気体燃料を、上記噴孔から内燃機関の燃焼室内への噴射を行う気体燃料噴射装置であって、
上記気体燃料の噴射圧力をPINJとし、上記燃焼室内の雰囲気圧力をPAMBとしたとき、下記式1の関係を満たす条件下で上記気体燃料を噴射する気体燃料噴射装置において、
上記第1の噴孔の開口端面から上記第1の噴孔の中心軸と上記第2の噴孔の中心軸との交点Pまでの距離を交点距離LPとし、上記噴孔から噴射した気体噴流にマッハディスクが形成されるマッハディスク生成領域をLm(max)としたとき、下記式2の関係を満たすことを特徴とする気体燃料噴射装置。
PINJ/PAMB≧4・・・式1
LP<Lm(max)・・・式2 - 上記交点距離LPを6mm以下の範囲に設定した請求項1に記載の気体燃料噴射装置。
- 上記交点距離LPを0.01mm以上の範囲に設定した請求項1又は2に記載の気体燃料噴射装置。
- 上記式2の関係を満たすべく、上記第1の噴孔の中心軸と上記噴射弁の中心軸とのなす第1の噴射角度θ1と上記第2の噴孔の中心軸と上記噴射弁の中心軸とのなす第2の噴射角度θ2とをθ1>θ2となるように設定した請求項1ないし3のいずれか1項に記載の気体燃料噴射装置。
- 上記複数の噴孔間の距離Dpは、6mm以下に設定した請求項1ないし4のいずれか1項に記載の気体燃料噴射装置。
- 上記噴孔の開口径Deは、φ0.01mm以上に穿設した請求項1ないし5のいずれか1項に記載の気体燃料噴射装置。
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