JP4882713B2 - 電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の作製方法及び透過電子顕微鏡 - Google Patents

電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の作製方法及び透過電子顕微鏡 Download PDF

Info

Publication number
JP4882713B2
JP4882713B2 JP2006331373A JP2006331373A JP4882713B2 JP 4882713 B2 JP4882713 B2 JP 4882713B2 JP 2006331373 A JP2006331373 A JP 2006331373A JP 2006331373 A JP2006331373 A JP 2006331373A JP 4882713 B2 JP4882713 B2 JP 4882713B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electron beam
electrode
sample
electron microscope
filament
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006331373A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008146958A (ja
Inventor
弘紀 渡辺
進 祖父江
敏之 森下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp filed Critical Denso Corp
Priority to JP2006331373A priority Critical patent/JP4882713B2/ja
Publication of JP2008146958A publication Critical patent/JP2008146958A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4882713B2 publication Critical patent/JP4882713B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

この発明は、電子線ホログラフィーを行うことができる透過電子顕微鏡と、電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の作製方法に関する。
従来、透過電子顕微鏡(TEM)に、電子線バイプリズムを取り付けることにより、電子線ホログラフィーを行い、材料の磁場、電場、内部ポテンシャル等の電子状態が観察を行う方法が提案されている。例えば、特許文献1では、図5(A)に示すように、試料M10を傾斜させて各角度における電子線ホログラムを撮影する3次元磁場分布及び3次元電流分布計測装置110が開示されている。3次元磁場分布及び3次元電流分布計測装置110は、回転機構を有する試料ホルダ113、対物電子光学系114、電子線バイプリズム115及びイメージセンサ116を備えている。試料M10に照射された電子線E10は、一部が試料を透過した物体波E11となり、残りは試料に照射されずに空間を通過した参照波E12となる。この物体波E11と参照波E12とを、電子線バイプリズム115に電圧を印加して曲折させることにより重ね合わせて、電子線ホログラムH10を形成し、イメージセンサ116上に結像する。
特開2001-228784号公報
ここで、試料の内部構造の観察を行うために、電子線ホログラムH10から透過電子顕微鏡像T10に切り替える場合には、電子線バイプリズム115に印加された電位をオフにするため、透過電子顕微鏡像T10のイメージセンサ116上での結像位置が、電子線ホログラムH10に対して試料M10から離れる方向に移動する。つまり、電子線ホログラムH10と透過電子顕微鏡像T10との位置ずれが生じる。
そのため、電子線ホログラムH10と透過電子顕微鏡像T10とを比較する場合には、いずれかの位置補正が必要になり、撮像に時間がかかるので、電子線ダメージの大きい試料は観察が困難になるという問題があった。また、透過電子顕微鏡像T10と電子線ホログラムH10を逐次切り替えて材料の構造及び電子状態変化をその場観察する場合にも、切り替えに時間がかかり、時間分解能が低下するため、材料の構造、電子状態変化を見逃してしまうおそれがあるという問題があった。
そこで、本発明は、電子線ホログラムと透過電子顕微鏡像との位置ずれを防止することができる電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の作製方法及び透過電子顕微鏡を実現することを目的とする。
この発明は、上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、試料に電子線を照射する電子線照射手段と、電子線の通過領域を挟んで対向して設けられた第1の電極及び第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置され、電圧を印加可能なフィラメントとを有し、電子線を曲折することができる電子線バイプリズムとを備え、前記第1の電極と前記フィラメントとの間に電圧を印加して試料を透過した電子線である物体波を曲折するとともに、前記第2の電極と前記フィラメントとの間に電圧を印加して試料を透過していない電子線である参照波を曲折し、前記物体波と前記参照波とを重ね合わせることにより干渉させて電子線ホログラムを作製することが可能な透過電子顕微鏡であって、前記物体波が前記第1の電極と前記フィラメントとの間を通過するように前記試料を配置する試料ホルダと、前記電子線バイプリズムを、前記第1の電極と前記第2の電極とを接地し、前記フィラメントに正の第1の電位を印加し、前記物体波と前記参照波とを干渉させる状態と、前記第1の電極を接地し、前記フィラメントに前記第1の電位を印加するとともに、前記第2の電極に前記フィラメントに印加した電位よりも高い正の第2の電位を印加し、前記参照波が前記物体波と重ならないようにする状態とに切り替える電子線バイプリズム制御手段と、前記電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像を記録する画像記録手段と、を備えた、という技術的手段を用いる。
請求項1に記載の発明によれば、透過電子顕微鏡が上述の構成を備えているため、電子線バイプリズム制御手段により、電子線バイプリズムを、第1の電極と第2の電極とを接地し、フィラメントに正の第1の電位を印加し、物体波と参照波とを干渉させる状態にすることにより、電子状態に対応した干渉縞が生じた電子線ホログラムを形成し、形成された電子線ホログラムを画像記録装置により記録することができる。
また、電子線バイプリズム制御手段により、電子線バイプリズムを、第1の電極を接地し、フィラメントに第1の電位を印加するとともに、第2の電極にフィラメントに印加した電位よりも高い正の第2の電位を印加し、参照波が物体波と重ならないようにする状態に切り替えることにより、干渉縞が形成されないようにすることができる。ここで、物体波は、電子線ホログラムを形成する場合と同様に曲折するため、電子線ホログラムから位置ずれすることなく、透過電子顕微鏡像を形成することができ、形成された透過電子顕微鏡像を画像記録装置により記録することができる。
これにより、電子線ホログラムと透過電子顕微鏡像との位置ずれを防止することができる。また、位置ずれを補正する必要がないため、観察時間を短縮することができるとともに、時間分解能を向上することができる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の透過電子顕微鏡において、前記試料ホルダは、前記試料を電子線の照射方向に対して傾斜または回転させる回動手段を備えている、という技術的手段を用いる。
請求項2に記載の発明によれば、試料ホルダは、試料を電子線の照射方向に対して傾斜または回転させる回動手段を備えているため、複数の傾斜角度において、電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像を記録することができる。これにより、各傾斜角ごとに記録した複数の電子線ホログラムと透過電子顕微鏡像とを基に3次元再構成処理を行い、材料の内部構造及び電子状態の3次元情報を関連づけて可視化して観察することができる。
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の透過電子顕微鏡において、前記画像記録手段は、前記電子線バイプリズム制御手段による前記電子線バイプリズムの状態の切替に連動して、前記電子線ホログラムと前記透過電子顕微鏡像とを交互に記録する、という技術的手段を用いる。
請求項3に記載の発明によれば、画像記録手段は、電子線バイプリズム制御手段による電子線バイプリズムの状態の切替に連動して、電子線ホログラムと透過電子顕微鏡像とを交互に記録するため、電子線ホログラム及び前記透過電子顕微鏡像の記録を短時間で行うことができる。更に、自動記録させることもできる。
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の透過電子顕微鏡において、前記電子線バイプリズム制御手段により前記電子線バイプリズムの状態を切り替える間隔は、前記画像記録手段のフレームレートに等しい、という技術的手段を用いる。
請求項4に記載の発明によれば、電子線バイプリズム制御手段により電子線バイプリズムの状態を切り替える間隔は、画像記録手段のフレームレートに等しいため、電子線ホログラムと透過電子顕微鏡像との記録を画像記録手段のフレームレートに対応した時間間隔で切り替えることができるので、時間分解能が高い状態で材料の構造及び電子状態変化をその場観察することができる。
請求項5に記載の発明では、請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の透過電子顕微鏡において、前記画像記録手段は、TVカメラである、という技術的手段を用いる。
請求項5に記載の発明によれば、画像記録手段は、TVカメラであるため、フレームレートが早いので、その場観察を行う際に好適に適用することができる。
請求項6に記載の発明では、電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の作製方法において、試料に電子線を照射する電子線照射手段と、電子線の通過領域を挟んで対向して設けられた第1の電極及び第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置され、電圧を印加可能なフィラメントとを有し、電子線を曲折することができる電子線バイプリズムとを備え、前記第1の電極と前記フィラメントとの間に電圧を印加して試料を透過した電子線である物体波を曲折するとともに、前記第2の電極と前記フィラメントとの間に電圧を印加して試料を透過していない電子線である参照波を曲折し、前記物体波と前記参照波とを重ね合わせることにより干渉させて電子線ホログラムを作製することが可能な透過電子顕微鏡を用い、前記物体波が前記第1の電極と前記フィラメントとの間を通過するように前記試料を配置し、前記電子線バイプリズムを、前記第1の電極と前記第2の電極とを接地し、前記フィラメントに正の第1の電位を印加することにより、前記物体波と前記参照波とを干渉させて電子線ホログラムを作製及び記録し、前記第1の電極を接地し、前記フィラメントに前記第1の電位を印加するとともに、前記第2の電極に前記フィラメントに印加した電位よりも高い正の第2の電位を印加し、前記参照波が前記物体波と重ならないようにして、透過電子顕微鏡像を作製及び記録する、という技術的手段を用いる。
請求項6に記載の発明によれば、上述の構成により電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像を作製するため、電子線バイプリズム制御手段により、電子線バイプリズムを、第1の電極と第2の電極とを接地し、フィラメントに正の第1の電位を印加し、物体波と参照波とを干渉させる状態にすることにより、電子状態に対応した干渉縞が生じた電子線ホログラムを作製及び記録することができる。
また、電子線バイプリズム制御手段により、電子線バイプリズムを、第1の電極を接地し、フィラメントに第1の電位を印加するとともに、第2の電極にフィラメントに印加した電位よりも高い正の第2の電位を印加し、参照波が物体波と重ならないようにする状態に切り替えることにより、干渉縞が形成されないようにすることができる。ここで、物体波は、電子線ホログラムを形成する場合と同様に曲折するため、電子線ホログラムから位置ずれすることなく、透過電子顕微鏡像を作製及び記録することができる。
これにより、電子線ホログラムと透過電子顕微鏡像との位置ずれを防止することができる。また、位置ずれを補正する必要がないため、観察時間を短縮することができるとともに、時間分解能を向上することができる。
請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の作製方法において、前記試料を電子線の照射方向に対して所望の角度だけ傾斜させ、各角度に応じた前記電子線ホログラム及び前記透過電子顕微鏡像を作製及び記録する、という技術的手段を用いる。
請求項7に記載の発明によれば、試料を電子線の照射方向に対して所望の角度だけ傾斜させ、各角度に応じた電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像を作製及び記録するため、複数の傾斜角度において、電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像を記録することができる。これにより、各傾斜角ごとに記録した複数の電子線ホログラムと透過電子顕微鏡像とを基に3次元再構成処理を行い、材料の内部構造及び電子状態の3次元情報を関連づけて可視化して観察することができる。
請求項8に記載の発明では、請求項7に記載の電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の作製方法において、前記試料として柱状に形成された柱状試料を用い、前記柱状試料の軸が電子線の照射方向に対して略垂直になるように配置する、という技術的手段を用いる。
請求項8に記載の発明によれば、試料として柱状に形成された柱状試料を用い、柱状試料の軸が電子線の照射方向に対して略垂直になるように配置するため、電子線照射方向の断面のアスペクト比を、板状試料に比べて小さくすることができる。これによれば、電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の視野の大きさが安定しているとともに、電子線の透過能に大きな変化がないため、電子線の照射条件を変動させることなく、観察を行うことができる。
請求項9に記載の発明では、試料に電子線を照射する電子線照射手段と、電子線の通過領域を挟んで対向して設けられた第1の電極及び第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置され、電圧を印加可能なフィラメントとを有し、電子線を曲折することができる電子線バイプリズムとを備え、前記第1の電極と前記フィラメントとの間に電圧を印加して試料を透過した電子線である物体波を曲折するとともに、前記第2の電極と前記フィラメントとの間に電圧を印加して試料を透過していない電子線である参照波を曲折し、前記物体波と前記参照波とを重ね合わせることにより干渉させて電子線ホログラムを作製することが可能な透過電子顕微鏡を用い、前記物体波が前記第1の電極と前記フィラメントとの間を通過するように前記試料を配置し、前記電子線バイプリズムを、前記第1の電極と前記第2の電極とを接地し、前記フィラメントに正の第1の電位を印加することにより、前記物体波と前記参照波とを干渉させて電子線ホログラムを作製及び記録し、前記第1の電極を接地し、前記フィラメントに前記第1の電位を印加するとともに、前記第2の電極に前記フィラメントに印加した電位よりも高い正の第2の電位を印加し、前記参照波が前記物体波と重ならないようにして、透過電子顕微鏡像を作製及び記録し、前記試料として柱状に形成された柱状試料を用い、前記柱状試料の軸が電子線の照射方向に対して略垂直になるように配置し、前記試料を電子線の照射方向に対して所望の角度だけ傾斜させ、各角度に応じた前記電子線ホログラム及び前記透過電子顕微鏡像を作製及び記録する、という技術的手段を用いる。
請求項10に記載の発明では、請求項6ないし請求項9のいずれか1つに記載の電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の作製方法において、前記透過電子顕微鏡は、前記電子線ホログラム及び前記透過電子顕微鏡像を記録する画像記録手段を備えており、前記画像記録手段のフレームレートに等しい時間間隔で前記電子線ホログラムと前記透過電子顕微鏡像とを交互に記録する、という技術的手段を用いる。
請求項9に記載の発明によれば、請求項6〜9に記載の発明と同様の作用・効果が得られる。
請求項10に記載の発明によれば、透過電子顕微鏡は、電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像を記録する画像記録手段を備えており、画像記録手段のフレームレートに等しい時間間隔で電子線ホログラムと透過電子顕微鏡像とを交互に記録するため、電子線ホログラムと透過電子顕微鏡像との記録を画像記録手段のフレームレートに対応した時間間隔で切り替えることができるので、時間分解能が高い状態で材料の構造及び電子状態変化をその場観察することができる。
請求項11に記載の発明では、請求項6ないし請求項10のいずれか1つに記載の電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の作製方法において、前記透過電子顕微鏡像の作製及び記録を行うときと、前記電子線ホログラムの作製及び記録を行うときとで、前記試料に照射する電子線の照射条件を切り替える、という技術的手段を用いる。
請求項11に記載の発明によれば、前記透過電子顕微鏡像の作製及び記録を行うときと、前記電子線ホログラムの作製及び記録を行うときとで、前記試料に照射する電子線の照射条件を切り替えるため、透過電子顕微鏡像の作製及び記録を行うときには、内部構造を観察しやすい電子線の照射条件とし、電子線ホログラムの作製及び記録を行うときには、干渉性を良くする電子線の照射条件とすることができる。
請求項12に記載の発明では、請求項11に記載の電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の作製方法において、前記透過電子顕微鏡像の作製及び記録を行うときには、前記試料に照射する電子線を絞り、前記電子線ホログラムの作製及び記録を行うときには、前記試料に照射する電子線を拡げる、という技術的手段を用いる。
特に、請求項12に記載の発明のように、透過電子顕微鏡像の作製及び記録を行うときには、試料に照射する電子線を絞ることにより、電子線を明るくすることができるので、内部構造を観察しやすくすることができる。
また、電子線ホログラムの作製及び記録を行うときには、試料に照射する電子線を拡げることにより、干渉性を良くすることができるので、干渉縞がより鮮明に表れた電子線ホログラムを得ることができる。
[第1実施形態]
第1実施形態に係る透過電子顕微鏡と、電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の作製方法とについて、図を参照して説明する。図1は、第1実施形態における透過電子顕微鏡の構成を示す説明図である。図2は、電子線バイプリズムの回路図である。図2(A)は、電子線ホログラムを作製する場合の電子線バイプリズムの回路図であり、図2(B)は、透過電子顕微鏡像を作製する場合の電子線バイプリズムの回路図である。図3は、電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の作製方法を示す説明図である。図3(A)は、電子線ホログラムの作製方法を示す説明図であり、図3(B)は、透過電子顕微鏡像の作製方法を示す説明図である。
図1に示すように、透過電子顕微鏡10は、例えば電界放出型の電子銃11、電子銃11から照射される電子線を収束し、試料Mに照射するコンデンサレンズ12、試料Mを保持する試料ホルダ13、試料Mに照射された電子線を収束する対物レンズ14、対物レンズ14により収束された後に広がった電子線を曲折させる電子線バイプリズム15及び画像を記録する画像記録装置16を備え、この順に配置されて構成されている。
試料ホルダ13は、試料を回動させる回動装置13aを備えており、電子線の照射方向に対して垂直な軸を中心に試料Mを傾斜もしくは回転させることができる。
試料ホルダ13、電子線バイプリズム15及び画像記録装置16は、制御装置17に接続されている。制御装置17は、試料ホルダ13により試料を回転させるなど姿勢を変化させる制御、電子線バイプリズム15の電圧印加状態の制御、画像記録装置16から出力される画像データの記憶、演算処理などを行う。
電子線バイプリズム15は、電子線の通過領域を挟んで対向して設けられた物体波側電極15a及び参照波側電極15bと、物体波側電極15a及び参照波側電極15bの中央に、電子線に垂直になるように配置され、電圧を印加可能なフィラメント15cとから構成されている。
ここで、試料Mは、電子銃11とフィラメント15cとを結ぶ線を境界として、参照波側電極15b側に配置されている。
図2(A)及び(B)に示すように、電子線バイプリズム15の制御回路は、物体波側電極15aとフィラメント15cとの間に設けられ、電圧V1を印加することができる物体波側電源15dと、参照波側電極15bとフィラメント15cとの間に設けられ、電圧V2を印加することができる参照波側電源15eと、参照波側電極15bとフィラメント15cとの間に設けられたスイッチS1と、参照波側電極15bとグランドGとの間に設けられたスイッチS2とから構成されている。
スイッチS1、S2の切り替え及び電圧V1、V2の制御は制御装置17により行われる。ここで、電圧V1は例えば0〜100Vで可変であり、電圧V2は電圧V1より大きい値に設定されている。
電子線ホログラムを作製する場合には、図2(A)に示すように、スイッチS1をオフにするとともに、スイッチS2をオンにする。これにより、フィラメント15cに電圧V1が印加され、物体波側電極15a及び参照波側電極15bとの電位差はそれぞれV1となる。
図3(A)を参照して、電子線ホログラムの作製方法について説明する。まず、電子銃11から照射された電子線Eは、コンデンサレンズ12により干渉性の高い平面電子波となった後に、例えば厚さ0.1μmの薄片状に形成された試料Mに照射される。電子線Eの一部は、試料Mを透過した物体波E1となり、残りの電子線Eは、試料Mに照射されずに空間を通過した参照波E2となる。
物体波E1及び参照波E2は、対物レンズ14を経由し、電子線バイプリズム15を通過する。ここで、フィラメント15cに正の電位V1が印加されているため、物体波E1及び参照波E2は中央に向かって曲折される。そして、物体波E1と参照波E2とが重ね合わされることにより、電子状態に対応した干渉縞が生じた電子線ホログラムHが形成され、画像記録装置16により記録される。
透過電子顕微鏡像を観察する場合には、図2(B)に示すように、スイッチS1をオンにするとともに、スイッチS2をオフにする。これにより、フィラメント15cに電圧V1が印加され、参照波側電極15bには電圧V2が印加される。
このとき、フィラメント15cと物体波側電極15aとの電位差はV1であり、電子線ホログラムを作製する場合と同じ状態であるため、図3(B)に示すように、物体波E1は、電子線ホログラムHを作製する場合と同様に曲折し、電子線ホログラムHから位置ずれすることなく、同じ位置に透過電子顕微鏡像Tとして結像される。
一方、フィラメント15cと参照波側電極15bとの電位差はV2−V1であり、参照波側電極15bの方が電位が高いので、参照波E2は参照波側電極15bの方に曲折し、電子線ホログラムHを作製する場合に比べて、試料M側に移動する。ここで、電圧V2の値を制御することにより、参照波E2が物体波E1と重ならず、干渉縞が形成されないようにすることができる。
これにより、フィラメント15cに電圧V1を印加したままの状態で、参照波E2のみ外方に曲げられることで透過電子顕微鏡像Tを得ることができるので、電子線ホログラムHと透過電子顕微鏡像Tとの位置ずれを防止することができる。また、位置ずれを補正する必要がないため、観察時間を短縮することができるとともに、時間分解能を向上することができる。
電子線ホログラムHと透過電子顕微鏡像Tとは、上述した電子線バイプリズム15の切替に連動して、交互に画像記録装置16により記録される。
ここで、電子線バイプリズム15の切替間隔は、画像記録装置16が画像を記録するために必要な時間とすればよく、例えば、0.1〜10秒間隔にすることができる。
画像記録装置16により検出された電子線ホログラムHの画像データは、制御装置17において、2次元フーリエ変換などの演算処理が行われる。これにより、位相の傾きを濃淡で表す位相分布像や同じ位相値を等位相線として結ぶ干渉顕微鏡像などを得ることができる。
これらと透過電子顕微鏡像とを比較することにより、材料の内部構造と磁場、電場、内部ポテンシャル等の電子状態とを関連づけて可視化して観察することができる。これにより、例えば、半導体内部のp−n接合電位分布の解析などを行うことができる。
更に、上記の観察は、試料ホルダ13の回動装置13aにより、試料Mを電子線照射方向に対して傾斜または回転させて行うことができる。
回動装置13aは、試料Mの回転軸が電子線Eの照射方向に対して垂直方向になるように構成されており、制御装置17の制御信号により回動装置13aが試料Mを回転させることにより、試料Mと電子線Eとのなす角度を自由に設定することができる。
この構成によれば、試料Mを電子線Eに対して傾斜させたときの各角度における電子線ホログラムHと透過電子顕微鏡像Tを、切替時の位置補正なく、短時間で記録することができる。これにより、各傾斜角ごとに記録した複数の電子線ホログラムHと透過電子顕微鏡像Tとを基に3次元再構成処理を行うことにより、材料の内部構造及び磁場、電場、内部ポテンシャル等の電子状態の3次元情報を関連づけて可視化して観察することができる。
ここで、3次元観察を行う場合には、試料Mを円柱や四角柱などの柱状に作製することが好ましい。例えば、外径0.5μmの円柱状に形成することができる。柱状の試料を用いる場合には、回動装置13aは、試料Mの軸が電子線Eの照射方向に対して垂直方向になるように構成される。
柱状の試料では、電子線照射方向の断面のアスペクト比が、板状試料に比べて小さいため、電子線ホログラムH及び透過電子顕微鏡像Tの視野の大きさが安定しているとともに、電子線の透過能に大きな変化がないため、電子線の照射条件を変動させることなく、観察を行うことができる。
また、柱状試料を用いて電子線ホログラムHを作製する場合、干渉縞が試料の軸と平行になるように試料Mを配置すると、干渉縞の中に物体の像を収めることが容易となる。
[第1実施形態の効果]
(1)本実施形態の透過電子顕微鏡は上述の構成を備えているため、制御装置17により、電子線バイプリズム15を、物体波側電極15aと参照波側電極15bとを接地し、フィラメント15cに正の電位V1を印加し、物体波E1と参照波E2とを干渉させる状態にすることにより、電子状態に対応した干渉縞が生じた電子線ホログラムHを形成し、形成された電子線ホログラムHを画像記録装置16により記録することができる。
また、制御装置17により、電子線バイプリズム15を、物体波側電極15aを接地し、フィラメント15cに正の電位V1を印加するとともに、参照波側電極15bにフィラメント15cに印加した電位V1よりも高い正の電位V2を印加し、参照波E2が物体波E1と重ならないようにする状態に切り替えることにより、干渉縞が形成されないようにすることができる。ここで、物体波E1は、電子線ホログラムを形成する場合と同様に曲折するため、電子線ホログラムHから位置ずれすることなく、透過電子顕微鏡像Tを形成することができ、形成された透過電子顕微鏡像Tを画像記録装置16により記録することができる。
これにより、電子線ホログラムHと透過電子顕微鏡像Tとの位置ずれを防止することができる。また、位置ずれを補正する必要がないため、観察時間を短縮することができるとともに、時間分解能を向上することができる。
(2)試料ホルダ13は、試料Mを電子線Eの照射方向に対して傾斜または回転させる回動装置13aを備えているため、複数の傾斜角度において、電子線ホログラムH及び透過電子顕微鏡像Tを記録することができる。これにより、各傾斜角ごとに記録した複数の電子線ホログラムHと透過電子顕微鏡像Eとを基に3次元再構成処理を行い、材料の内部構造及び電子状態の3次元情報を関連づけて可視化して観察することができる。
(3)画像記録装置は、制御装置17による電子線バイプリズム15の状態の切替に連動して、電子線ホログラムHと透過電子顕微鏡像Tとを交互に記録するため、電子線ホログラムH及び前記透過電子顕微鏡像Tの記録を短時間で行うことができる。更に、自動記録させることもできる。
(4)3次元観察を行う場合には、柱状に形成された柱状の試料Mを用い、試料Mの軸が電子線の照射方向に対して略垂直になるように配置することができる。
柱状の試料では、電子線照射方向の断面のアスペクト比が、板状試料に比べて小さいため、電子線ホログラムH及び透過電子顕微鏡像Tの視野の大きさが安定しているとともに、電子線の透過能に大きな変化がないため、電子線の照射条件を変動させることなく、観察を行うことができる。
[第2実施形態]
第2実施形態に係る透過電子顕微鏡と、電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の作製方法とについて、図を参照して説明する。図4は、電子線バイプリズムによる電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の切替タイミングを示す説明図である。
なお、第1実施形態と共通する構成については、説明を省略する。
本実施形態の透過電子顕微鏡10は、画像記録装置16として、TVカメラを備えている。
TVカメラはフレームレートが早いので、電子線バイプリズム15の電位の切替とTVカメラによる記録を連動させて、電子線ホログラムHと透過電子顕微鏡像Tとの記録をTVカメラのフレームレートに対応した時間間隔で切り替えることにより、時間分解能が高い状態で材料の構造及び電子状態変化をその場観察することができる。
例えば、図4に示すように、電子線バイプリズムにより電子線ホログラムと透過電子顕微鏡像との記録の切替を、本実施形態のTVカメラのフレームレートである1/30秒間隔(30fps)で行うことにより、電子線ホログラムH及び透過電子顕微鏡像Tをそれぞれ1/15秒の時間分解能で観察することができる。
電子線ホログラムHと透過電子顕微鏡像Tとは、上述した電子線バイプリズム15の切替に連動して、交互に画像記録装置16により記録される。
なお、電子線バイプリズム15による電子線ホログラムHと透過電子顕微鏡像Tとの切替の間隔は、使用する画像記録装置16のフレームレートと同期させればよい。
[第2実施形態の効果]
本実施形態の透過電子顕微鏡10によれば、電子線バイプリズム15の電位の切替とTVカメラによる記録を連動させて、電子線ホログラムHと透過電子顕微鏡像Tとの記録をTVカメラのフレームレートに対応した時間間隔で切り替えることにより、時間分解能が高い状態で材料の構造及び電子状態変化をその場観察することができる。
特に、TVカメラはフレームレートが早いので、その場観察に好適に用いることができる。
[その他の実施形態]
(1)透過電子顕微鏡像Tの作製及び記録を行うときと、電子線ホログラムHの作製及び記録を行うときとで、試料Mに照射する電子線の照射条件、例えば、電子線Eの絞りをコンデンサレンズ12により切り替える構成を用いることもできる。これによれば、透過電子顕微鏡像Tの作製及び記録を行うときには、試料Mに照射する電子線Eを絞ることにより、電子線Eを明るくすることができるので、内部構造を観察しやすくすることができる。
また、電子線ホログラムHの作製及び記録を行うときには、試料Mに照射する電子線Eを拡げることにより、干渉性を良くすることができるので、干渉縞がより鮮明に表れた電子線ホログラムHを得ることができる。
(2)画像記録装置16として、電子線の半導体2次元検出器を用いることができる。また、蛍光板スクリーンに映し出された電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像をCCD等の光学カメラで撮影する構成を用いることもできる。
(3)試料ホルダ13に試料Mを加熱する加熱装置や電圧印加装置など試料の状態を変化させる装置を設けることにより、試料Mの状態を変化させて、材料の構造及び電子状態の3次元情報の取得やその場観察を行うことができる。
また、透過電子顕微鏡の試料室の雰囲気を変化させる雰囲気制御装置を設けることにより、雰囲気制御下における材料の構造及び電子状態の3次元情報の取得やその場観察を行うことができる。
第1実施形態における透過電子顕微鏡の構成を示す説明図である。 電子線バイプリズムの回路図である。図2(A)は、電子線ホログラムを作製する場合の電子線バイプリズムの回路図であり、図2(B)は、透過電子顕微鏡像を作製する場合の電子線バイプリズムの回路図である。 電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の作製方法を示す説明図である。図3(A)は、電子線ホログラムの作製方法を示す説明図であり、図3(B)は、電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の作製方法を示す説明図である。 電子線バイプリズムによる電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の切替タイミングを示す説明図である。 従来の電子線ホログラフィーを行うことができる透過電子顕微鏡の構成及び電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の作製方法を示す説明図である。図5(A)は、電子線ホログラムの作製方法を示す説明図であり、図5(B)は、電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の作製方法を示す説明図である。
符号の説明
10 透過電子顕微鏡
11 電子銃(電子線照射手段)
12 コンデンサレンズ(電子線照射手段)
13 試料ホルダ
13a 回動装置(傾斜手段)
15 電子線バイプリズム
15a 物体波側電極(第1の電極)
15b 参照波側電極(第2の電極)
15c フィラメント
15d 物体波側電源
15e 参照波側電源
16 画像記録装置(画像記録手段)
17 制御装置(電子線バイプリズム制御手段)
E 電子線
E1 物体波
E2 参照波
H 電子線ホログラム
S1,S2 スイッチ
T 透過電子顕微鏡像
V1 第1の電圧
V2 第2の電圧

Claims (12)

  1. 試料に電子線を照射する電子線照射手段と、
    電子線の通過領域を挟んで対向して設けられた第1の電極及び第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置され、電圧を印加可能なフィラメントとを有し、電子線を曲折することができる電子線バイプリズムとを備え、
    前記第1の電極と前記フィラメントとの間に電圧を印加して試料を透過した電子線である物体波を曲折するとともに、前記第2の電極と前記フィラメントとの間に電圧を印加して試料を透過していない電子線である参照波を曲折し、前記物体波と前記参照波とを重ね合わせることにより干渉させて電子線ホログラムを作製することが可能な透過電子顕微鏡であって、
    前記物体波が前記第1の電極と前記フィラメントとの間を通過するように前記試料を配置する試料ホルダと、
    前記電子線バイプリズムを、前記第1の電極と前記第2の電極とを接地し、前記フィラメントに正の第1の電位を印加し、前記物体波と前記参照波とを干渉させる状態と、前記第1の電極を接地し、前記フィラメントに前記第1の電位を印加するとともに、前記第2の電極に前記フィラメントに印加した電位よりも高い正の第2の電位を印加し、前記参照波が前記物体波と重ならないようにする状態とに切り替える電子線バイプリズム制御手段と、
    前記電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像を記録する画像記録手段と、
    を備えたことを特徴とする透過電子顕微鏡。
  2. 前記試料ホルダは、前記試料を電子線の照射方向に対して傾斜または回転させる回動手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の透過電子顕微鏡。
  3. 前記画像記録手段は、前記電子線バイプリズム制御手段による前記電子線バイプリズムの状態の切替に連動して、前記電子線ホログラムと前記透過電子顕微鏡像とを交互に記録することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の透過電子顕微鏡。
  4. 前記電子線バイプリズム制御手段により前記電子線バイプリズムの状態を切り替える間隔は、前記画像記録手段のフレームレートに等しいことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の透過電子顕微鏡。
  5. 前記画像記録手段は、TVカメラであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の透過電子顕微鏡。
  6. 試料に電子線を照射する電子線照射手段と、
    電子線の通過領域を挟んで対向して設けられた第1の電極及び第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置され、電圧を印加可能なフィラメントとを有し、電子線を曲折することができる電子線バイプリズムとを備え、
    前記第1の電極と前記フィラメントとの間に電圧を印加して試料を透過した電子線である物体波を曲折するとともに、前記第2の電極と前記フィラメントとの間に電圧を印加して試料を透過していない電子線である参照波を曲折し、前記物体波と前記参照波とを重ね合わせることにより干渉させて電子線ホログラムを作製することが可能な透過電子顕微鏡を用い、
    前記物体波が前記第1の電極と前記フィラメントとの間を通過するように前記試料を配置し、
    前記電子線バイプリズムを、前記第1の電極と前記第2の電極とを接地し、前記フィラメントに正の第1の電位を印加することにより、前記物体波と前記参照波とを干渉させて電子線ホログラムを作製及び記録し、
    前記第1の電極を接地し、前記フィラメントに前記第1の電位を印加するとともに、前記第2の電極に前記フィラメントに印加した電位よりも高い正の第2の電位を印加し、前記参照波が前記物体波と重ならないようにして、透過電子顕微鏡像を作製及び記録することを特徴とする電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の作製方法。
  7. 前記試料を電子線の照射方向に対して所望の角度だけ傾斜させ、各角度に応じた前記電子線ホログラム及び前記透過電子顕微鏡像を作製及び記録することを特徴とする請求項6に記載の電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の作製方法。
  8. 前記試料として柱状に形成された柱状試料を用い、前記柱状試料の軸が電子線の照射方向に対して略垂直になるように配置することを特徴とする請求項7に記載の電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の作製方法。
  9. 試料に電子線を照射する電子線照射手段と、
    電子線の通過領域を挟んで対向して設けられた第1の電極及び第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置され、電圧を印加可能なフィラメントとを有し、電子線を曲折することができる電子線バイプリズムとを備え、
    前記第1の電極と前記フィラメントとの間に電圧を印加して試料を透過した電子線である物体波を曲折するとともに、前記第2の電極と前記フィラメントとの間に電圧を印加して試料を透過していない電子線である参照波を曲折し、前記物体波と前記参照波とを重ね合わせることにより干渉させて電子線ホログラムを作製することが可能な透過電子顕微鏡を用い、
    前記物体波が前記第1の電極と前記フィラメントとの間を通過するように前記試料を配置し、
    前記電子線バイプリズムを、前記第1の電極と前記第2の電極とを接地し、前記フィラメントに正の第1の電位を印加することにより、前記物体波と前記参照波とを干渉させて電子線ホログラムを作製及び記録し、
    前記第1の電極を接地し、前記フィラメントに前記第1の電位を印加するとともに、前記第2の電極に前記フィラメントに印加した電位よりも高い正の第2の電位を印加し、前記参照波が前記物体波と重ならないようにして、透過電子顕微鏡像を作製及び記録し、
    前記試料として柱状に形成された柱状試料を用い、前記柱状試料の軸が電子線の照射方向に対して略垂直になるように配置し、
    前記試料を電子線の照射方向に対して所望の角度だけ傾斜させ、各角度に応じた前記電子線ホログラム及び前記透過電子顕微鏡像を作製及び記録することを特徴とする電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の作製方法。
  10. 前記透過電子顕微鏡は、前記電子線ホログラム及び前記透過電子顕微鏡像を記録する画像記録手段を備えており、前記画像記録手段のフレームレートに等しい時間間隔で前記電子線ホログラムと前記透過電子顕微鏡像とを交互に記録することを特徴とする請求項6ないし請求項9のいずれか1つに記載の電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の作製方法。
  11. 前記透過電子顕微鏡像の作製及び記録を行うときと、前記電子線ホログラムの作製及び記録を行うときとで、前記試料に照射する電子線の照射条件を切り替えることを特徴とする請求項6ないし請求項10のいずれか1つに記載の電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の作製方法。
  12. 前記透過電子顕微鏡像の作製及び記録を行うときには、前記試料に照射する電子線を絞り、前記電子線ホログラムの作製及び記録を行うときには、前記試料に照射する電子線を拡げることを特徴とする請求項11に記載の電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の作製方法。
JP2006331373A 2006-12-08 2006-12-08 電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の作製方法及び透過電子顕微鏡 Expired - Fee Related JP4882713B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006331373A JP4882713B2 (ja) 2006-12-08 2006-12-08 電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の作製方法及び透過電子顕微鏡

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006331373A JP4882713B2 (ja) 2006-12-08 2006-12-08 電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の作製方法及び透過電子顕微鏡

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008146958A JP2008146958A (ja) 2008-06-26
JP4882713B2 true JP4882713B2 (ja) 2012-02-22

Family

ID=39606889

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006331373A Expired - Fee Related JP4882713B2 (ja) 2006-12-08 2006-12-08 電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の作製方法及び透過電子顕微鏡

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4882713B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5075801B2 (ja) * 2008-12-02 2012-11-21 株式会社日立ハイテクノロジーズ 観察試料作製方法
JP5644119B2 (ja) * 2010-01-26 2014-12-24 日本電気株式会社 電子線ホログラム形成装置及び電子線ホログラム形成方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3482588B2 (ja) * 1997-06-26 2003-12-22 科学技術振興事業団 バイプリズム・シフトによる電子線干渉計測システム
JP2001228784A (ja) * 2000-02-16 2001-08-24 Kansai Tlo Kk 3次元磁場分布および3次元電流分布の計測方法並びに計測装置
JP2002117800A (ja) * 2000-10-05 2002-04-19 Jeol Ltd 電子線バイプリズム装置を備えた電子顕微鏡
JP2003257352A (ja) * 2002-03-04 2003-09-12 Jeol Ltd 荷電粒子ビーム装置における信号処理方法および走査型荷電粒子ビーム装置
JP4512180B2 (ja) * 2004-01-09 2010-07-28 独立行政法人理化学研究所 干渉装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008146958A (ja) 2008-06-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5405937B2 (ja) 透過型電子顕微鏡およびそれを用いた試料像の観察方法
US7816648B2 (en) Electron interferometer or electron microscope
JP4852758B2 (ja) 電子顕微方法およびそれを用いた電子顕微鏡
JP2011523057A (ja) 構造化された照射および均一な照射の両方を用いて光学的に切片化された画像を生成するためのシステムおよび方法
US8772715B2 (en) Electron beam device including a first electron biprism to split an electron beam into two beams and a second electron biprism in the image forming lens system to superpose the two beams
US8022365B2 (en) Charged particle beam equipments, and charged particle beam microscope
Gatel et al. Unlimited acquisition time in electron holography by automated feedback control of transmission electron microscope
JP5736461B2 (ja) 電子顕微鏡および試料観察方法
CN104224216A (zh) 用于电子断层成像术的方法
WO2013108711A1 (ja) 荷電粒子線顕微鏡、荷電粒子線顕微鏡用試料ホルダ及び荷電粒子線顕微方法
JP7431016B2 (ja) 電子顕微鏡を使用して試料を画像化する方法
JP5380366B2 (ja) 透過型干渉顕微鏡
KR102149947B1 (ko) 투과 전자 현미경 샘플 정렬 시스템 및 방법
JP4882713B2 (ja) 電子線ホログラム及び透過電子顕微鏡像の作製方法及び透過電子顕微鏡
JP2006012795A (ja) 透過型電子顕微鏡
US11011344B2 (en) Interferometric electron microscope
EP2433293A1 (en) Scan method
JP2006331901A (ja) 位相回復方式の電子顕微鏡による観察方法
JP5970648B2 (ja) 透過型電子顕微鏡及び電子線干渉法
JP3482588B2 (ja) バイプリズム・シフトによる電子線干渉計測システム
JP2007101458A (ja) 磁性電子顕微鏡
JP7304098B2 (ja) 立体像観察方法及びこれに用いる試料グリッド
CN108802994A (zh) 一种图像记录系统及方法
JP2001289754A (ja) 3次元原子配列観察用試料の作成方法
JPH0432392B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20080608

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20081215

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110502

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110726

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110920

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111108

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111121

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141216

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141216

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees