<本発明について>
本発明は、波長領域800〜2500nmまで撮影可能な近赤外カメラによって被写体の顔や手、腕、足、又は毛髪に至るまで、所望する被写体の各部の画像を高精度に取得するための照明装置及びその照明方法に関する。具体的には、1460nm付近の水の吸収特性に加えて1750nm付近の油の吸収特性、1920nm付近の水の強い吸収特性、及び2230〜2400nm付近にある複数の油の強い吸収特性に対する被写体の画像を取得する。また、取得した画像に対して肌等の解析や評価等を行う。
ここで、図1は、近赤外領域における皮膚の吸収特性の一例を示す図である。ここで、図1に示すグラフの横軸は測定波長(nm)を示し、縦軸は吸光度(Absorbance,A/W)を示している。
図1では、水、パルチミン酸、グリセリンにおける撮影される波長に対する吸収特性を図1(a)〜(d)にそれぞれ示している。なお、図1(a)は、水の吸収特性を示し、図1(b)は、パルチミン酸の吸収特性を示し、図1(c)は、グリセリンの吸収特性を示し、図1(d)は、肌の吸収特性を示している。
また、図1(i)に示す特性範囲は、市販のカメラ(例えば、「FLIR SYSTEMS社製、ALPHA NIRカメラ」や、「XenlCs社製 XEVAシリーズ InGaAs近赤外線カメラ」等)で撮影可能な近赤外領域を示しており、図1(ii)は、本発明において使用されるカメラ(例えば、住友電気工業(株)社製等)で撮影可能な近赤外領域を示している。なお、住友電気工業(株)社製のカメラは、1000nm〜2500nm程度の近赤外領域の画像を取得することができる。
図1に示すように、市販のカメラにて撮影される領域においては、上述した従来技術にも示すように1460nm付近で水の強い吸収がある(図1(d)における領域A)。しかしながら、その領域Aの帯域には、油(パルチミン酸)や保湿剤(グリセリン)の特性のピークと重なるため、例えば化粧品を塗布した場合には、それら成分の影響を受け易くなり、その領域における画像を用いただけでは、正確な肌解析等を行うことができない。
ここで、図1(d)のグラフに示すように、肌の吸収特性では、約1460nm付近の他にも約1920nm付近に水による強い吸収特性が存在することがわかる。また、図1(b)に示すように、油の吸収特性では、約1700〜1800nm付近に吸収特性が存在し、更に約2230〜2400nm付近にも強い吸収特性が存在することがわかる。
したがって、本実施形態では、水に対して約1460nm付近の画像の他にも、約1920nm付近の方が水だけの画像を検出できるため、この近赤外領域の画像も取得する。また、本実施形態では、油に対して約1700〜1800nm付近及び約2230〜2400nm付近の近赤外領域の画像を取得する。
このようにして、水(OH基)と油(CH基)の両方の画像を取得し、その画像を1又は複数用いて画像解析をすることで、例えば化粧水や乳液等の皮膚外用剤を塗布した肌等の状態を画像上に示し、塗りむら評価等に用いることができる。
以下に、本発明における照明装置及び画像解析装置を好適に実施した形態について、図面を用いて説明する。
<照明システム:概略構成例>
まず、本実施形態において取得される画像を撮影する照明装置の概略構成例について図を用いて説明する。なお、以下の例では、皮膚の一例として顔の肌を撮影する例を示すが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、例えば、手や腕の他、代用皮膚(例えば、ブタ皮膚、人工皮膚、ウレタン)や毛髪、爪等、水分や油分を評価するためのあらゆるものについて適用可能である。
図2は、本実施形態における照明システムの概略構成の一例を示す図である。図2に示す照明システム10は、大略すると、照明装置11と、画像解析装置12とを有するよう構成されており、照明装置11と、画像解析装置12とは、ケーブル13等を有して、データ及び制御信号の送受信が可能な状態で接続されている。
照明装置11は、解析対象である被写体の顔をセットし、球体内に照射される所定の光源により顔の所定部位に照明を当てて、その画像をカメラ等により取得する。このとき、本実施形態では、複数の異なる近赤外領域において撮影された被写体の顔画像を取得するため、予め設定されるバンドパスフィルタによりフィルタリングを行い所定の近赤外領域における画像データを取得する。
また、本実施形態では、照明装置11により被写体の顔画像を撮影する際、顔画像と共に色票を撮影する。なお、色票は、照明装置11に着脱可能に取り付けることができる。つまり、本実施形態では、撮影される画像に被写体の顔だけでなく色票も写るように撮影する。これにより、撮影された画像に対して色票を用いて画像補正を行うことができるため精度を向上させることができる。なお、色票は、1又は複数有することができ、複数有する場合には、例えば撮影時に用いられる光源の波長に対応する色票を選択して用いることができる。
また、照明装置11は、撮影するカメラのレンズに対して偏光フィルタ等を設置してノイズを低減させることができる。なお、照明装置11の具体例については、後述する。
画像解析装置12は、照明装置11により撮影された所定の近赤外領域画像を複数取得し、取得した画像に基づいて被写体の肌の水、油に関する画像の解析・評価を行う。これにより、化粧水や保湿剤等の皮膚外用剤を塗布したときの肌の状態や、塗りむらを画像で可視化して出力することにより、高精度な解析や評価、或いはその結果の表示を行うことができる。なお、皮膚解析装置12は、汎用的なパーソナルコンピュータ等を用いて本実施形態における解析処理を実現することができる。
ここで、本発明における皮膚外用剤としては、例えば水溶液系や可溶化系、乳化系、粉末分散系、水−油の2層系、水−油−粉末の3層系等の全般で本発明を適用することが可能であり、その用途も、化粧水や乳液だけでなく、クリームやパック等の基礎化粧品、口紅やファンデーション等のメーキャップ化粧料、シャンプーやリンス,染毛剤等の頭髪用製品、日焼け止め等の特殊化粧品等、広い分野に及ぶ。
<照明装置11:具体例>
次に、本実施形態における照明装置11について具体的に説明する。図3は、図2に示す照明装置の具体的な構成例を示す図である。なお、図3(A)〜(C)は、図2に示す照明装置11の矢印A,B,Cの各方向から見た図を示している。
図2に示す照明装置11は、土台20の上に略球状のドーム(筐体)21と、少なくとも1つの光源22と、顎乗せ部材23と、撮像装置としてのカメラ24と、スライド機構としてスライドレール25と、カメラ用土台26が構成の一部として示されている。
図2及び図3に示す照明装置11において、ドーム21は、略球状の形状をしており球状内が空洞となっている。また、ドーム21は、例えば被写体である人物の顔が入るように例えば直径が40cm〜90cm程度の形状となっている。このようにドーム21の形状を球状にすることで、内部の光源から照射された光が拡散して効率的に被写体の顔に均一(フラット)に光を照射させることができる。また、本実施形態では、積分球のドーム形状にすることで、被写体の皮膚表面での正反射光(てかり)を抑えることができ、高精度な画像を撮影することができる。
ドーム21の材質としては、発泡スチロールや樹脂等により形成することができるが、本発明については特に限定されるものではなく、ドーム21内部で光が拡散して被写体の顔に効率的で且つ均一に照射させることができる。
また、ドーム21の内面(反射面、拡散面)としては、例えば、銀面、アルミ特殊合金電解研磨面、ガラス鏡面(アルミ合金)、水銀、金、白金、銅等の正反射性材料や、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化アルミ、白色ペイント、エナメル、白紙、白色タイル等を使用することができる。更に、本実施形態では、反射率を向上させるために同じ塗料で数回重ね塗りしている。
なお、ドーム21の内面を塗装する際には、例えばスプレータイプやペンタイプ等のものを使用する。また、塗料は、アクリル系、ラッカー系、エナメル系等を用いることができるが、例えば5種類程、組成の異なる塗料を用いて、近赤外領域の分光反射率を測定し、近赤外領域全てにわたって、分光反射率の変化が少なく、高い反射率を持つ塗料等を選択することができる。
また、ドーム21の内面は、分光特性が少なくとも1000nm〜2500nmの計測波長領域において分光反射率が約80〜100%の間で推移するように形成されているのが好ましい。
更に、図3(C)に示すように、ドーム21内には、光源22−1,22−2からの光が直接被写体に照射されて、顔に照射される光のばらつきがないようにするため、本実施形態では、図3(C)に示すように、光源前遮光板30−1,30−2が設けられている。なお、図3(C)に示す光源前遮光板30−1,30−2は、光源22−1,22−2に対して両側についているが本実施形態においてはこれに限定されず、被写体側のみに遮光板を設けていてもよい。なお、遮光板30は、ドーム21の内面上に設置され、L字型若しくは三ケ月状、半円状等の形状からなり、カメラ24から撮影される被写体が隠れないように設置される。
更に、図3(A)〜(C)に示すように、ドーム21には、レンズ前遮光板31が設けられている。レンズ前遮光板31は、円筒形の筒であり、筒内部は近赤外領域吸収素材で形成されている。このように、レンズ前遮光板31を設けることにより、迷光を除去することができる。なお、レンズ前遮光板31は、例えば、内側が近赤外領域吸収素材で形成されている。なお、吸収素材の具体例としては、例えばネオプレンゴムスポンジ等も用いることができるが、他の素材でもよい。
また、ドーム21は、動かないように、例えば強力磁石により固定されている。また、光源22は、土台20上に設置されたドーム21内部に対して直接光源を照射する。なお、光源22の数は、少なくとも1つ有していればよい(図2及び3の場合は、顔の左右に2つ)。なお、光源の設置位置については、照射による被写体の顔の影の位置等により異なるため、調整する必要がある。なお、ドーム21内における光源22の配置については後述する。
また、光源22−1,22−2は、近赤外領域を測定するため光を照射する。したがって、光源22−1,22−2としては、例えばハロゲンランプ等を用いることができ、例えば岩崎電気(株)社製JD110V50W/P/M等を使用することができるが、本発明においてはこれに限定されるものではない。
なお、光源22は、例えばハロゲンランプを使用することができるが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、例えば、白熱電球・ハロゲン電球等の温度照射光源や、高圧水銀ランプ、セルフバラスト水銀ランプ、メタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプ等の高圧放電ランプ(放電発光光源)、蛍光ランプ、低圧ナトリウムランプ等の定圧放電ランプ(放電発光光源)、EL(Electroluminescence)、LED(Light Emitting Diode)等の電界発光光源等を用いることができる。
また、ハロゲンについては、例えばハロゲンランプや、両口金型ハロゲン、PARランプ、ダイクロイックミラー等を代用することができる。また、蛍光ランプについては、一般照明用ランプやレフランプ、クリプトンランプ、水銀ランプ、バラストレス水銀ランプ(チョークレス)、高圧ナトリウムランプ、メタルハライドランプ、HQIランプ等に代用することができる。
なお、本実施形態では、例えば近赤外領域を撮影するために、例えば、ハロゲン光源又はLEDを用いるのが好ましい。なお、上記の2つの光源は、それぞれ同じ帯域を出すことができるが、その材質の性質等により違いがある。具体的には、ハロゲン光源とLEDとは、光の広がり方が異なり、LEDの方がハロゲン光源よりも直線性がある。また、LEDは、ハロゲン光源より熱量の放出が少ない。そのため、本実施形態では、ハロゲン光源とLEDのどちらの光源を使用するかは、撮影対象や撮影する目的、撮影環境等に応じて適宜設定される。
なお、照明装置11では、光源22の設置位置が上下左右に汎用的に変更できるように、例えばスライド部材やアーム部材等が取り付けられていればよい。これにより、縦横自由に、光源を移動することができ、更にカメラと横方向にもスライドさせることで所望する位置にネジ等の固定部材で光源を固定することができる。
顎乗せ部材23は、被写体がドーム21内部で進入させ、所定の位置で保持固定させるための保持部材である。なお、顎乗せ部材23は、例えば図3(A)、(B)に示すような台座32等を設けて顎を台座32の上に乗せて保持させることができる。また、顎乗せ部材23は、額を所定の位置で保持する額保持部材33を有していてもよい。
また、顎乗せ部材23は、台座32の高さ調節や左右の位置を調整する機構を設けており、例えばカメラ24等から撮影された画像を画像解析装置12のディスプレイ上で表示し、カメラの中心と顔の上下左右の位置の調整可能となるスケール等を有することもできる。また、顎乗せ部材23は、被写体の正面画像ではなく、斜め、横、或いは後を向かせて側面画像や頭髪画像を取得できるような構成又は移動機構を有する。
なお、図3(A)に示す顔の挿入する開口部34については、被写体が顔を開口部34からドーム21内に入れたあと、開口部34と頭の隙間から光が内部に入らないように、スポンジ、クッション等の弾性部材で周囲を覆うことで、ドーム21内部の光源22による光が外部に出ないようにすることができる。
カメラ24は、撮像装置としてのカメラ24−1,24−2を有している。なお、カメラ24−1は、近赤外カメラ(例えば、住友電気工業(株)社製等)を用いることができ、カメラ24−2は、可視カメラ(例えば、Nikon社製 D50,60mmレンズ等)を使用することができる。なお、カメラ24−1及びカメラ24−2は、スライド機構としてのスライドレール25が設けられており、各カメラ24−1,24−2に装着したレンズから被写体が見える位置にスライドさせて撮影することができる。したがって、本実施形態では、撮影する目的の波長帯域に応じて複数のカメラを選択して撮影することができる。更に、カメラ24−1,24−1は、カメラ用土台26に設けられたスライド機構によりドーム21に対する位置を調整することができる。
ここで、カメラ24−1は、上述した所定の近赤外領域の画像を取得する。具体的には、約800〜2500nm付近の波長帯域における画像を取得可能な近赤外カメラ(例えば、住友電気工業(株)社製等)を使用することができる。また、カメラ24に取り付けられるレンズは、例えばフジノン(株)社製25mmレンズ等を使用することができる。なお、本実施形態においては、撮影される被写体の顔画像の表面反射等のノイズを消して、表面のぎらつきを抑えてクリアな画像を取得するために偏光フィルタを設けてもよい。なお、偏光フィルタの具体例については、後述する。
また、カメラ24−2は、例えばカメラ24−1で被写体を撮影する前又は後に、同一の被写体の同一領域を撮影するための可視カメラである。これにより、カメラ24−1で撮影された水分や油分画像を、カメラ24−2で得られる画像に重ねて表示することができる。
なお、本実施形態では、所定の近赤外領域の画像を取得するため、例えば光源の前やレンズの前にバンドパスフィルタを設置して、所定の近赤外領域の画像を取得する。また、本実施形態は、複数の異なる近赤外領域からの画像を撮影するために、例えばフィルタをスライドさせて自動で切り換えられる機構が設けられていてもよく、撮影毎にユーザがスライドを移動してフィルタの切り換えを行ってもよい。
ここで、本実施形態におけるフィルタは、光源22−1,22−2と被写体の間の光を通過させる第1のフィルタ35−1,35−2と、被写体により反射された光とカメラ(レンズ)の間の光を通過させる第2のフィルタ36及び第3のフィルタ37とを有する。ここで、第1のフィルタ35は、例えばUVAカット、赤外線減衰フィルタを用いることができ、例えばSCHOTT社製のGG395(例えば、厚さ約3mm,約100×100mm)等を使用することができる。
更に、第2のフィルタ36は、例えば後述するバンドパスフィルタ(第3のフィルタ37)と重ねて使用するNDフィルタである。NDフィルタは、レンズに入る光量を調整するためのフィルタであり、バンドパスフィルタの種類によって異なる光量を調整するためのものである。なお、第2のフィルタ36と第3のフィルタ37は、予め設定された複数の異なる近赤外領域等の画像を取得するためにそれぞれのフィルタをスライドにより変更できるようにフィルタスライド機構38を有している(図3(C))。図3(C)に示すフィルタスライド機構38を設けることにより、レンズの前の第2のフィルタ36及び第3のフィルタの種類及びフィルタの有無を容易に変更することができる。
ここで、図4は、本実施形態におけるフィルタのスライド例について説明するための図である。図4に示す例では、第2のフィルタ36,第3のフィルタ37が重ねられた状態で、フィルタスライド機構にセットされている。なお、フィルタスライド機構38は、5つの開口部39−1〜39−6が設けられており、そこに所定の複数の異なる近赤外領域の波長の画像を取得するための第2のフィルタ36及び第3のフィルタ37が重ねられてセットされている。
ここで、開口部39−1では、約1300nm付近の画像を取得するためのフィルタが設置されており、開口部39−2では、約1460nm付近の画像を取得するためのフィルタが設置されており、開口部39−3では、約1750nm付近の画像を取得するためのフィルタが設置されており、開口部39−4では、約1920nm付近の画像を取得するためのフィルタが設置されており、開口部39−5では、2300nm付近の画像を取得するためのフィルタが設置されている。
なお、開口部39−6は、何もセットされておらず、これはフィルタがない状態で撮影するときに用いられる。したがって、予め設定された近赤外領域の画像を取得するために、スライド機構38を図4に示す左右に移動させることにより、レンズ前のフィルタを変更し、その変更したフィルタを用いて帯域の異なる複数の画像を容易に取得することができる。なお、スライド動作は、予めスライド制御機構も設けておき自動で行ってもよく、ユーザ等が図4に示すようにスライド機構に記載された基準となる波長帯域(例えば、図4の例では1300,1500,1700,1900,2300)を参照しながら手動でスライドにより変更させてもよい。
ここで、フィルタの種類や数、フィルタスライド機構38における開口部39の位置やスライドの方向、第2のフィルタ36における調整される光量、第3のフィルタ37における設置位置、バンドパスの条件等については、本発明においてはこれに限定されるものではない。したがって、例えば、スライド機構を円型にして、所定の軸を基準にした回転によりフィルタを変更させるような機構にしてもよい。
本実施形態では、複数のバンドパスフィルタを使用して所定の近赤外領域の画像を取得するが、その波長により透過光量が異なるため、レンズの調整等、カメラ設定をなるべく変えずに測定できることが好ましい。したがって、上述したNDフィルタ(第2のフィルタ)を複数のバンドパスフィルタ(第3のフィルタ)に対応させて複数用意し、適宜切り換えて用いることで光量の減衰等を行い、光量を調整することができる。なお、NDフィルタとしては、例えばSCHOTT社製NG5(例えば、直径25.4mmの円、厚さ1mm)等を用いることができる。
ここで、複数のバンドパスフィルタを用いて所定の近赤外帯域の画像を取得するための第3のフィルタ37は、例えばSpectrogon社製のフィルタを使用することができる。また、第3のフィルタ37の領域は、例えば、ベースとなる画像を取得する場合は、例えば約1100〜1360nm程度の帯域から得られる画像を取得することができ、例えば中心波長を約1300nm±40nm程度の画像を取得する。
また、水の吸収特性の強い画像を取得する場合は、例えば、図1(d)における領域Aに対する画像を取得する際には、例えば約1300〜1640nm程度の帯域から得られる画像を取得することができ、好ましくは中心波長を約1460nm±45nm程度の画像を取得する。また同様に、より感度のよい水の吸収特性の強い画像を取得する場合は、例えば、図1(d)における領域Bに対する画像を取得する際には、例えば約1860〜2200nm程度の帯域から得られる画像を取得することができ、好ましくは中心波長を約1920nm±55nm程度、約1950nm±56nm程度の画像を取得する。
また、図1(b)における領域Cに示すような油の吸収特性の強い画像を取得する場合は、例えば1700〜1860nm程度の帯域から得られる画像を取得することができ、好ましくは中心波長を1775nm±50nm、或いは、1755nm±20nm程度の画像を取得する。更に、図1(b)における領域Dに示すような油の吸収特性の強い画像を取得する場合は、例えば約2230〜2400nm程度の帯域から得られる画像を取得することができ、好ましくは、中心波長を2345nm±50nm程度の画像を取得する。なお、領域Dには、複数のピークが存在するため、そのうちの1つの波長を用いた画像を取得してもよく、ピークとなる複数の波長から画像を取得してもよい。また、約2230〜2400nmの帯域では、図1(a)に示すように水の吸収特性の差が大きいため、本実施形態では、撮影対象の条件(乾燥、湿度等)に応じて帯域を適宜設定することができる。
なお、これらの近赤外帯域の画像を取得するために用いられるフィルタは、1つのフィルタにおいて実現してもよく、複数のフィルタを組み合わせてもよい。
更に、本実施形態では、例えば、図3(A),(B)に示すように台座32の前(カメラ側)に色票40をカメラ24側に向けて設置してもよい。これにより、カメラ24により撮影される画像に、被写体の顔画像と色票40とを含めることができ、色票40を用いて、複数の画像間の補正を行って精度の向上を図ることができる。なお、色票の具体例については、後述する。
上述した構成等を用いた照明装置11を用いてカメラ24から撮影された被写体の顔画像は、図1に示すケーブル13等を介して画像解析装置12に出力される。なお、照明装置11と画像解析装置12との通信は、例えば赤外線等を用いた無線通信でもよく、LANケーブル等を介した有線通信でもよい。更に、インターネット等の通信ネットワークを用いて遠隔地にある画像解析装置12に撮影画像を送信してもよい。
ここで、本実施形態において撮影される画像は、例えば、化粧水や乳液等の皮膚外用剤を被写体に塗布する前、塗布直後、塗布した後、塗布後の所定時間経過後の画像等である。
また、本実施形態において照明装置11により撮影される画像は、ユーザの指示により撮影された画像でもよく、連続的に撮影されたリアルタイム映像であってもよい。更に、照明装置11により撮影される画像は、顔に含まれる被写体の肌(頬や額等)、瞼、目、目の下、目の周り、鼻、口、口元、耳、眉、顎等に限定されず、例えば首や頭髪等も含み、更には、腕や手、足等も含まれる。したがって、画像解析装置12により解析される内容は、上述した照明装置11にて得られる画像全てに対応することができる。
<偏光フィルタについて>
次に、上述した本実施形態における偏光フィルタの具体例について説明する。通常、画像の撮影では、光源に起因する観察対象物表面での解析に不要な反射光(ぎらつき等)が生じる場合がある。また、不要な反射光は取得画像の輝度値に影響をし、画像解析による定量評価を行うときに誤差が生じてしまう可能性があり問題となる。
そこで、本実施形態では、カメラ24−1,24−2のレンズ前部、後部、或いは両方に偏光フィルタを設置する。また、本実施形態は、レンズ付近ではなく、光源の前部への偏光フィルタを設置してもよい。更に、本実施形態では、レンズ及び光源の両方に偏光フィルタを設置する。なお、偏光フィルタは、1又は複数設置することができる。
これにより、本実施形態では、観察対象物表面で生じる解析に不要な反射光を除去することができる。また、本実施形態では、これらフィルタの設置によりノイズを減らし、精度の高い解析が可能となる。
<色票について>
次に、上述した本実施形態における色票40の具体例について説明する。通常、画像解析による定量評価を用いて画像間の比較を行う場合、撮影条件により若干の差異が出ることが解析上の問題となる。そこで、本実施形態では、白から黒の反射率が特定できる任意の色票40を用いて取得画像の輝度値を補正することにより、画像取得の時期の違いにかかわらず画像間の比較が可能となり、精度良く解析することができる。
ここで、本実施形態の照明装置11に設けられる色票40について図を用いて説明する。図5は、本実施形態における照明装置に設置される色票の一例を示す図である。なお、図5(a)は、色票が配置された色票ボードを上から見た図を示し、図5(b)は、色票ボードをカメラ24側から見た図を示している。
図5(a),(b)に示す色票40は、一例として反射率の異なる3つの色票がボード上に並列に配置されている。なお、図5に示す各色票は、例えば被写体を撮影するときに用いられる光源の波長に応じて色票を選択することができる。このように色票40を用いることで、撮影される画像間の輝度を補正することができる。
また、図5に示す色票40は、カメラ24での被写体の撮影時に、被写体と一緒に撮影される位置に設置される。本実施形態では、例えば被写体の台座32の前に色票40をカメラ側に向けて設置する。具体的には、例えば図5に示す色票ボードの下部を、予め照明装置11の顎乗せ部材23側に設けられた凹凸に嵌め込むようにして設置する。これにより、色票40の着脱が容易になり、カメラの性能や精度、光源の種類や波長等、必要に応じて色票40を切り替えることができる。
なお、本発明において、色票の数や大きさ、形状、及び、色票それぞれの輝度、配置については、図5に示す例に限定されるものではなく、少なくとも1色の色票が設置されていればよい。
<画像解析装置12:機能構成例>
次に、本実施形態における画像解析装置12における実施形態について図を用いて説明する。図6は、本実施形態における画像解析装置の機能構成の一例を示す図である。図6に示す画像解析装置12は、入力手段41と、出力手段42と、蓄積手段43と、撮影画像取得手段44と、画像解析手段45と、画像生成手段46と、制御手段47とを有するよう構成されている。
入力手段41は、使用者等からの画像取得指示や画像解析指示、評価指示等の各種指示の開始/終了等の入力を受け付ける。なお、入力手段41は、例えばキーボードや、マウス等のポインティングデバイス等からなる。また、入力手段11は、デジタルカメラ等の撮像手段等により撮影された被写体の撮像部分を含む画像を入力する機能も有する。
また、出力手段42は、入力手段41により入力された内容や、入力内容に基づいて実行された内容等の表示・出力を行う。なお、出力手段42は、ディスプレイやスピーカ等からなる。更に、出力手段42としてプリンタ等の機能を有していてもよく、その場合には、画像解析結果等を紙等の印刷媒体に印刷して、使用者や被写体等に提供することもできる。
なお、入力手段41と出力手段42とは、例えばタッチパネル等のように一体型の入出力手段であってもよく、この場合には使用者の指やペン型の入力装置等を用いて所定の位置をタッチして入力を行うことができる。
また、蓄積手段43は、撮影画像取得手段44により得られる撮影画像、画像解析手段45により画像解析結果、画像生成手段46により生成された評価結果等による各画像情報等の各種データを蓄積する。また、蓄積手段43は、必要に応じて蓄積されている各種データを読み出すことができる。
また、撮影画像取得手段44は、照明装置11においてカメラ24により撮影された被写体の顔画像を取得する。なお、撮影画像取得手段44は、照明装置11により被写体の顔を撮影する際に、撮影する画像の内容に応じて、例えば使用する光源の種類や位置、数等を設定することができる。更に、撮影画像取得手段44は、照明装置11のカメラ24に対し、上述した第1〜第3のフィルタ35〜37を組み合わせて使用することで、所定のバンドパスフィルタによりフィルタリングされた所定の近赤外領域の画像を取得するために、その撮影条件を示す指示情報を生成し、照明装置11に出力する。なお、撮影画像取得手段44により取得された画像は、蓄積手段43に蓄積される。
画像解析手段45は、撮影画像取得手段44により得られた画像に対して輝度補正や平均輝度値の算出、化粧水や乳液等の皮膚外用剤の塗布前後の輝度変化の解析、輝度変化値の算出、ユーザから選択された領域に対する輝度差に対応した擬似カラーの設定等の解析を行う。なお、画像解析手段45は、塗布前、塗布直後、塗布後の画像を用いて、それらの画像から皮膚の解析を行い、その結果を評価することができる。また、画像解析手段45は、画像解析を行う部分を撮影した顔の肌全体に対して行ってもよく、また入力手段41等を用いてユーザ等により指定された領域に対してのみ画像解析を行ってもよい。なお、指定される領域は、1つでもよく、複数でもよい。
更に、本実施形態において、画像解析手段45で解析される画像は、照明装置11から取り込みながらその都度リアルタイムで解析してもよく、また予め蓄積手段43に蓄積された画像を用いて解析してもよい。
また、画像解析手段45により解析される画像は、例えば、頬や額等の肌画像であり、また、腕や手、足等の画像でも肌画像解析を行うことができる。更に画像解析手段45は、頭髪についても解析を行うことができる。なお、画像解析手段45における処理の具体例については、後述する。
画像生成手段46は、画像解析手段47により解析された結果に基づいてユーザに提示するための画像を生成する。具体的には、画像生成手段46は、画像解析手段45により解析された輝度差に対応した擬似カラーを合成し、合成した画像を画面に表示する。
なお、画像生成手段46は、合成画像を画面に表示する際、ユーザに見やすく表示するために、例えば、所定領域に対する輝度領域の拡大や差分画像の算出、輝度反転等の処理を行った後、表示させることもできる。
また、画像生成手段46は、画像のうち、ユーザにより設定された領域に対する擬似カラー生成等の処理を行う。なお、画像生成手段46における具体的な処理については後述する。
また、制御手段47は、画像解析装置12の各構成部全体の制御を行う。具体的には、制御手段47は、例えばユーザ等による入力手段41からの指示等に基づいて、画像解析処理や画像生成処理等の各制御を行う。
<画像解析装置12:ハードウェア構成>
ここで、上述した画像解析装置12においては、各機能をコンピュータに実行させることができる実行プログラム(画像解析プログラム)を生成し、例えば汎用のパーソナルコンピュータ、サーバ等にその実行プログラムをインストールすることにより、本発明における皮膚外用剤の塗布前後、及び塗布後所定時間経過後において撮影した所定の近赤外領域における画像を用いて解析することができる。
ここで、本実施形態における画像解析処理が実現可能なコンピュータのハードウェア構成例について図を用いて説明する。
図7は、本実施形態における画像解析処理が実現可能なハードウェア構成の一例を示す図である。図7におけるコンピュータ本体には、入力装置51と、出力装置52と、ドライブ装置53と、補助記憶装置54と、メモリ装置55と、各種制御を行うCPU(Central Processing Unit)56と、ネットワーク接続装置57とを有するよう構成されており、これらはシステムバスBで相互に接続されている。
入力装置51は、ユーザ等が操作するキーボード及びマウス等のポインティングデバイスを有しており、ユーザ等からのプログラムの実行等、各種操作信号を入力する。また、入力装置51は、ネットワーク接続装置57等に接続された外部装置から通信ネットワークを介して得られる既に測定された評価対象部位における皮膚外用剤の塗布後又は近赤外線曝露後に撮影された被写体の顔画像等の各種データを入力することもできる。
出力装置52は、本発明における処理を行うためのコンピュータ本体を操作するのに必要な各種ウィンドウやデータ等を表示するディスプレイを有し、CPU56が有する制御プログラムによりプログラムの実行経過や結果等を表示することができる。また、出力装置52は、上述の処理結果等を紙等の印刷媒体に印刷して、ユーザ等に提示することができる。
ここで、本発明においてコンピュータ本体にインストールされる実行プログラムは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやCD−ROM、DVD等の可搬型の記録媒体58等により提供される。プログラムを記録した記録媒体58は、ドライブ装置53にセット可能であり、記録媒体58に含まれる実行プログラムが、記録媒体58からドライブ装置53を介して補助記憶装置54にインストールされる。
補助記憶装置54は、ハードディスク等のストレージ手段であり、本発明における実行プログラムや、コンピュータに設けられた制御プログラム等を蓄積し必要に応じて入出力を行うことができる。
メモリ装置55は、CPU56により補助記憶装置54から読み出された実行プログラム等を格納する。なお、メモリ装置55は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等からなる。
CPU56は、OS(Operating System)等の制御プログラム、及びメモリ装置55に格納されている実行プログラムに基づいて、各種演算や各ハードウェア構成部とのデータの入出力等、コンピュータ全体の処理を制御して各処理を実現することができる。なお、プログラムの実行中に必要な各種情報等は、補助記憶装置54から取得することができ、また実行結果等を格納することもできる。
ネットワーク接続装置57は、通信ネットワーク等と接続することにより、実行プログラムを通信ネットワークに接続されている他の端末等から取得したり、プログラムを実行することで得られた実行結果又は本発明における実行プログラム自体を他の端末等に提供することができる。
また、ネットワーク接続装置57は、通信ネットワークに接続された外部装置により既に測定された評価対象部位における皮膚外用剤の塗布後又は紫外線曝露後に撮影された被写体の肌画像等の各種データを取得することもできる。
上述したようなハードウェア構成により、本発明における画像解析処理を実行することができる。また、プログラムをインストールすることにより、汎用のパーソナルコンピュータ等で本発明における画像解析処理を容易に実現することができる。
<画像解析処理手順>
次に、本実施形態における画像解析処理手順について説明する。図8は、本実施形態における画像解析処理手順の一例を示すフローチャートである。
図8に示す画像解析処理は、まず、ベースである皮膚外用剤塗布前の被写体の顔画像を取得し(S01)、更に皮膚外用剤塗布後の被写体の顔画像を取得する(S02)。なお、S01及びS02の処理において取得される画像は、上述した照明装置11等において、ハロゲンランプ等の光源を用い、上述したフィルタ等によりフィルタリングされた所定の近赤外領域における被写体の画像を取得する。
また、S01の処理においては、予めベース画像を取得しておき、蓄積手段等に蓄積しておいてもよい。
また、皮膚外用剤を塗布した後は、その効果が見られる程度に所定時間経過させるのが好ましい。経過させる時間は、皮膚外用剤や塗布量、塗布した部位等により異なる。したがって、S02の処理において取得される画像は、例えば、皮膚外用剤の塗布直後の画像でもよく、更には、塗布してから所定時間経過後(例えば、10分後や30分後等)の画像を継続的に取得してもよい。また、これらの画像は、所定時間毎の画像を経時的に複数取得してもよい。また、S02の処理にて取得した画像は、後段にてS01の画像と比較して解析や評価等を行う。
次に、S01及びS02の処理で得られた画像の輝度補正を行う(S03)、また、輝度補正された画像を用いて、2つの画像の差分画像を生成する(S04)。なお、S03及びS04の処理は、予め設定された取得した画像全体に対して行ってもよく、ユーザ等により予め設定された画像中の領域(1又は複数)に対して行ってもよい。
次に、S04の処理において、取得した差分画像に対して、領域中における所定画素毎に、その輝度の差分値の大きさにより予め設定された擬似カラーを割り当て(S05)、更にその割り当てた擬似カラーを差分画像に合成して評価画面等を生成し(S06)、生成した画像を画面に表示する(S07)。
ここで、他の画像による解析を行うか否かを判断し(S08)、他の画像による解析を行う場合(S08において、YES)、S03に戻り、S02の処理で取得した他の画像を用いて後述の処理を行い画像の解析、評価を行う。
ここで、画像を解析する際、上述したように予め設定された擬似カラーを指標として用いて評価を行ってもよい。なお、指標の導出は、予め設定された指標を用いてもよく、評価対象部位や皮膚外用剤の成分、既に導出して評価された指標の内容等より任意に設定されてもよい。これにより、皮膚外用剤を使用者に塗布した後の塗りむら等の肌状態を簡便且つ短時間に評価することができる。
<画像取得と画像解析の実施例>
次に、本実施形態における画像取得と画像解析の実施例について、具体的に説明する。
まず、本実施形態における照明装置11により取得される画像例について従来技術の照明装置で撮影した画像と比較して説明する。
図9は、従来の照明装置と本実施形態における照明装置との撮影結果の一例を示す図である。なお、図9(a)は、従来の照明装置で撮影した「ベース」、「水1」、「油」、「水2」の画像の一例を示し、図9(b)は、本実施形態における照明装置11で撮影した「ベース」、「水1」、「油」、「水2」の画像の一例を示している。
ここで、「ベース」は、中心波長を1300nm±40nm程度で取得した画像を示し、「水1」は、中心波長を1500nm±45nm程度で取得した画像を示し、「油」は、中心波長を1775nm±50nm程度で取得した画像を示し、「水2」は、中心波長を1920nm±55nm程度で取得した画像を示している。
図9(a)に示す従来例では、「ベース」、「水1」、「油」、「水2」の何れにおいても頬骨、瞼等、凹凸部で正反射光が白く写ってしまう。しかしながら、図9(b)に示す本実施例では、テカリのない高精度な画像を取得することができる。
なお、油の画像の取得については、上述した中心波長に限定されず、例えば、約2230〜2400nm程度の帯域(好ましくは中心波長を2345nm±50nm程度の帯域)を用いても同様の画像を取得することができる。これは、以下の説明においても同様である。
次に、解析画像の実施例について説明する。本実施例では、「(1)左頬にしっとり化粧水をコットンで塗布し、塗布前、塗布直後において解析した例」と、「(2)左頬にしっとり乳液をコットンで塗布し、塗布前、塗布直後、及び塗布10分後において解析した例」と、「(3)左毛髪に寝ぐせ直し用ヘアトリートメントを噴霧し、塗布前、塗布直後において解析した例」について説明する。
<(1)化粧水の塗布前後>
図10は、化粧水塗布前後の肌画像の一例を示す図である。図10に示す例では、塗布前と塗布直後における「ベース」、「水1」、「水2」のそれぞれの画像が示されている。ここで、図10に示す塗布直後の領域61−1〜61−3は、皮膚外用剤(図10の例では化粧水)を塗布した部分を示している。
また、図10に示されている画像は、全て本実施形態における輝度補正が行われている。輝度補正とは、例えば画像中のある所定の画素単位(例えば、20×20ピクセル)における平均値を算出し、算出した画像に対して黒を輝度30とし、グレーを輝度120として2点で画像全体を補正する。これにより、画像上のノイズを低減して画像を平滑化させることができる。
図10によれば、水があると黒く表示され、特に本実施形態における「水2」の近赤外領域に対しては、塗布した領域61−3において、その部分が黒くなっているのがわかる。
<解析例>
次に、皮膚外用剤(化粧水、乳液)を塗布した場合の本実施形態における具体的な解析例について、図を用いて説明する。
<化粧水塗布:実施例1>
図11は、「水1」における化粧水塗布前後の輝度変化を示す図である。図11に示す例では、塗布前、塗布直後におけるベース画像との差を画像化した例と、その差について選択範囲内において擬似カラー表示した例を示している。また、図11の例では、皮膚表面での反射をある程度補正するために、輝度補正した後、「水1」画像からベース画像を引いた差画像を算出した。この画像では、水を塗布した部分は、白く表示される。
図11の例では、塗布領域62に対して化粧水を塗布すると共に、ユーザによりマウス等の入力手段41を用いてドラック等させて所定の選択範囲63を選択させ、その選択範囲の中で画像解析手段45により擬似カラーが設定され、画像生成手段46によりその結果が表示されている。
また、本実施形態において、擬似カラーは輝度差に応じて予め設定した色又は模様の表記を行う。つまり、変化した輝度の大きさによって擬似カラー表示し、顔画像に合成して重ねている。したがって、どの程度の差がある領域がどこにあるかを正確に把握することができる。
図11の例では、塗布前の選択範囲63−1における擬似カラー表示と、塗布直後の選択範囲63−2における擬似カラー表示とを比較すると、塗布直後の選択範囲63−2の方が、輝度変化量が多いことが示されている。なお、画像解析手段45における画像解析は、予め設定された画素単位(例えば、1×1、2×2等の正方形ピクセル等)で輝度変化値に対応した所定の色による擬似カラーを割り当ててもよい。
更に、図11の例では、画像解析手段45により輝度変化値が取得されている。図11の例では、ユーザにより入力手段41等を用いて設定された1又は複数の輝度変化値測定領域(図11の例では、輝度変化値測定領域64−1,64−2)が設定され、設定された領域に対して、例えば「平均輝度±標準偏差」からなる輝度変化値が表示される。
図11の例では、輝度変化値測定領域64−1の輝度変化値は、93.1±6.1であり、輝度変化値測定領域64−2の輝度変化値は、71.0±5.7であることがわかる。
<化粧水塗布:実施例2>
図12は、「水2」における化粧水塗布前後の輝度変化を示す図である。図12に示す例では、図11と同様に、塗布前、塗布直後におけるベース画像との差を画像化した例と、その差について選択範囲内において擬似カラー表示した例を示している。また、図12の例では、皮膚表面での反射をある程度補正するために、輝度補正した後、「水2」画像からベース画像を引いた差画像を算出した。この画像では、水を塗布した部分は、白く表示される。
図12の例では、塗布領域62に対して化粧水を塗布すると共に、ユーザによりマウス等の入力手段41を用いてドラック等させて所定の選択範囲63を選択させ、その選択範囲の中で画像解析手段45により擬似カラーが設定され、画像生成手段46によりその結果が表示されている。
図12の例では、塗布前の選択範囲63−1における擬似カラー表示と、塗布直後の選択範囲63−2における擬似カラー表示とを比較すると、塗布直後の選択範囲63−2の方が、輝度変化量が特に多いことが示されている。
更に、図12の例では、画像解析手段45により輝度変化値(図12の例では、輝度変化値測定領域64−1,64−2)が設定され、設定された領域に対して、例えば「平均輝度±標準偏差」からなる輝度変化値が表示される。図12の例では、輝度変化値測定領域64−1の輝度変化値は、195.4±7.9であり、輝度変化値測定領域64−2の輝度変化値は、153.6±6.0であることがわかる。つまり、「水1」のときより「水2」の方がベース画像との輝度差が大きいことがわかる。
なお、上述では、化粧水塗布前後での、選択領域の水の輝度変化を、幾つかの処理をした後に算出した。また、変化した輝度の大きさによって擬似カラー表示し、顔画像に重ねて表示している。化粧水塗布部分では、「水1」、「水2」の輝度値は大きく変化した。「水1」と「水2」では、変化パターンが若干異なった。これは、波長による水の検出感度、或いは、水の波長により検出している皮膚内の深さが異なることも一因であると考えられる。(参考論文:M Egawa,H Arimoto,T Hirao,M Takahashi, and Y Ozaki,Regional Difference of Water Content in Human Skin Studied by Diffuse−reflectance Near−infrared Spectroscopy−Consideration of Measurement Depth−,Appl Spectrosc,60(1),24−28(2006).
<(2)乳液の塗布前後とその後>
次に、乳液の塗布前後の肌画像について図用いて説明する。図13は、乳液の塗布前後の肌画像の一例を示す図である。なお、図13に示す例では、塗布前と塗布直後、及び塗布後10分経過後における「ベース」、「水1」、「油」、「水2」のそれぞれの画像が示されている。
ここで、「ベース」は、中心波長を1300nm±40nm程度で取得した画像を示し、「水1」は、中心波長を1500nm±45nm程度で取得した画像を示し、「油」は、1775nm±50nm程度で取得した画像をし、「水2」は、中心波長を1920nm±55nm程度で取得した画像を示している。また、図13に示す塗布直後の領域61−1〜61−4は、皮膚外用剤(図13の例では乳液)を塗布した部分を示している。また、図13では、取得した全ての図面に対して上述した輝度補正が行われている。
図13に示すように、取得される画像の領域62−1〜62−4は、それぞれ「ベース」、「水1」、「油」、「水2」における塗布領域を示しているが、塗布領域62−1〜62−4に示すように水や油があると黒くなる。なお、図13の例では、乳液であるため、水と油が共に変化している。塗布直後に比べて、10分後では、黒さ度合いは低下しているのがわかる。
<乳液:実施例1>
次に、乳液における実施例について説明する。図14は、「水1」における乳液塗布前後の輝度変化を示す図である。図14に示す例では、塗布前、塗布直後、10分後におけるベース画像との差を画像化した例と、その差について選択範囲内において擬似カラー表示した例を示している。また、図14の例では、皮膚表面での反射をある程度補正するために、輝度補正した後、「水1」画像からベース画像を引いた差画像を算出した。この画像では、水を塗布した部分は、白く表示される。
図14の例では、塗布領域62に対して化粧水を塗布すると共に、ユーザによりマウス等の入力手段41を用いてドラック等させて所定の選択範囲63を選択させ、その選択範囲の中で画像解析手段45により擬似カラーが設定され、画像生成手段46によりその結果が表示されている。
また、本実施形態において、擬似カラーは輝度差に応じて予め設定した色又は模様の表記を行う。つまり、変化した輝度の大きさによって擬似カラー表示し、顔画像に合成して重ねている。したがって、どの程度の差がある領域がどこにあるかを正確に把握することができる。
図14の例では、塗布前の選択範囲63−1における擬似カラー表示と、塗布直後の選択範囲63−2における擬似カラー表示とを比較すると、塗布直後の選択範囲63−2の方が、輝度変化量が多いことが示されている。更に、塗布直後の選択範囲63−2における擬似カラー表示と、塗布10分後の選択範囲63−3における擬似カラー表示とを比較すると、塗布10分後の選択範囲63−3の方が、輝度変化量が減っていることが示されている。
つまり、図14によれば、皮膚表面での反射をある程度補正するために、輝度補正した後、水や油画像からベース画像を引いた差画像を算出しており、この画像では、水や油を塗布した部分は、白く表示される。また、乳液のため、「水1」は10分後でも保たれている。つまり、肌に残っていることがわかる。
また、化粧水塗布前後での、選択領域の「水1」の輝度変化を、上述の化粧水の例と同じように幾つかの処理をした後に算出すると、塗布直後における輝度変化値測定領域64−1の輝度変化値は、119.0±10.5であり、輝度変化値測定領域64−2の輝度変化値は、72.7±4.9である。また、塗布10分後における輝度変化値測定領域64−3の輝度変化値は、103.6±8.0であり、輝度変化値測定領域64−4の輝度変化値は、75.2±4.5であることがわかる。
<乳液:実施例2>
次に、乳液における実施例について説明する。図15は、「油」における乳液塗布前後の輝度変化を示す図である。図15に示す例では、塗布前、塗布直後、10分後におけるベース画像との差を画像化した例と、その差について選択範囲内において擬似カラー表示した例を示している。また、図15の例では、皮膚表面での反射をある程度補正するために、輝度補正した後、「油」画像からベース画像を引いた差画像を算出した。この画像では、油を塗布した部分は、白く表示される。
図15の例では、塗布領域62に対して化粧水を塗布すると共に、ユーザによりマウス等の入力手段41を用いてドラック等させて所定の選択範囲63を選択させ、その選択範囲の中で画像解析手段45により擬似カラーが設定され、画像生成手段46によりその結果が表示されている。
また、本実施形態において、擬似カラーは輝度差に応じて予め設定した色又は模様の表記を行う。つまり、変化した輝度の大きさによって擬似カラー表示し、顔画像に合成して重ねている。したがって、どの程度の差がある領域がどこにあるかを正確に把握することができる。
図15の例では、塗布前の選択範囲63−1における擬似カラー表示と、塗布直後の選択範囲63−2における擬似カラー表示とを比較すると、塗布直後の選択範囲63−2の方が、輝度変化量が多いことが示されている。更に、塗布直後の選択範囲63−2における擬似カラー表示と、塗布10分後の選択範囲63−3における擬似カラー表示とを比較すると、塗布10分後の選択範囲63−3の方が、輝度変化量が減っていることが示されている。
つまり、図15によれば、皮膚表面での反射をある程度補正するために、輝度補正した後、水や油画像からベース画像を引いた差画像を算出しており、この画像では、水や油を塗布した部分は、白く表示される。また、乳液のため、「油」は10分後でも保たれている。つまり、肌に残っていることがわかる。
また、化粧水塗布前後での、選択領域の「油」の輝度変化を、上述の化粧水の例と同じように幾つかの処理をした後に算出すると、塗布直後における輝度変化値測定領域64−1の輝度変化値は、146.8±10.4であり、輝度変化値測定領域64−2の輝度変化値は、109.9±5.8である。また、塗布10分後における輝度変化値測定領域64−3の輝度変化値は、132.5±5.8であり、輝度変化値測定領域64−4の輝度変化値は、103.2±5.0であることがわかる。
<乳液:実施例3>
次に、乳液における実施例について説明する。図16は、「水2」における乳液塗布前後の輝度変化を示す図である。図16に示す例では、塗布前、塗布直後、10分後におけるベース画像との差を画像化した例と、その差について選択範囲内において擬似カラー表示した例を示している。また、図16の例では、皮膚表面での反射をある程度補正するために、輝度補正した後、「水2」画像からベース画像を引いた差画像を
図16の例では、塗布領域62に対して化粧水を塗布すると共に、ユーザによりマウス等の入力手段41を用いてドラック等させて所定の選択範囲63を選択させ、その選択範囲の中で画像解析手段45により擬似カラーが設定され、画像生成手段46によりその結果が表示されている。
また、本実施形態において、擬似カラーは輝度差に応じて予め設定した色又は模様の表記を行う。つまり、変化した輝度の大きさによって擬似カラー表示し、顔画像に合成して重ねている。したがって、どの程度の差がある領域がどこにあるかを正確に把握することができる。
図16の例では、塗布前の選択範囲63−1における擬似カラー表示と、塗布直後の選択範囲63−2における擬似カラー表示とを比較すると、塗布直後の選択範囲63−2の方が、輝度変化量が多いことが示されている。更に、塗布直後の選択範囲63−2における擬似カラー表示と、塗布10分後の選択範囲63−3における擬似カラー表示とを比較すると、塗布10分後の選択範囲63−3の方が、輝度変化量が減っていることが示されている。
つまり、図16によれば、皮膚表面での反射をある程度補正するために、輝度補正した後、水や油画像からベース画像を引いた差画像を算出しており、この画像では、水や油を塗布した部分は、白く表示される。また、乳液のため、「水2」は10分後でも保たれている。つまり、肌に残っていることがわかる。
また、化粧水塗布前後での、選択領域の「水2」の輝度変化を、上述の化粧水の例と同じように幾つかの処理をした後に算出すると、塗布直後における輝度変化値測定領域64−1の輝度変化値は、194.3±14.8であり、輝度変化値測定領域64−2の輝度変化値は、139.0±4.9である。また、塗布10分後における輝度変化値測定領域64−3の輝度変化値は、184.5±10.6であり、輝度変化値測定領域64−4の輝度変化値は、139.2±5.0であることがわかる。
塗布直後では、「油」、「水1」、「水2」が共に塗布した部分が変化している。また、その変化は、「水2」>「水1」であったが、この要因は、前述のように撮影感度、及び、撮影深さの可能性がある。また、塗布10分後では、「水1」、「水2」、「油」が共に直後よりも減少しているが、まだ充分存在していることがわかる。
また、塗布部位以外を見ると、「油」では変化がほぼないのに対して、「水2」では、塗布前に比べて、10分後の方が、輝度値が変化すると水が増加している。これは、塗布は、洗顔10分後に行ったが、その後、元々もっている肌の機能で、洗顔によって消失した水分量が回復してきた過程を検出している可能性がある。
上述したように、複数の近赤外領域でおの画像を組み合わせると、乳液のように水と油の両方の変化を追いたいサンプルに対して、同時解析が可能になる。
<(3)ヘアトリートメントの塗布前後>
次に、ヘアトリートメントの塗布前後の肌画像について図用いて説明する。図17は、ヘアトリートメントの塗布前後の頭髪の一例を示す図である。なお、図17の例では、塗布前と塗布直後、及び塗布後10分経過後における「ベース」、「水1」、「油」、「水2」のそれぞれの画像が示されている。
ここで、「ベース」は、中心波長を1300nm±40nm程度で取得した画像を示し、「水1」は、中心波長を1500nm±45nm程度で取得した画像を示し、「水2」は、中心波長を1920nm±55nm程度で取得した画像を示している。また、図17に示す塗布直後の領域61−1〜61−3は、皮膚外用剤(図17の例ではヘアートリートメント)を塗布した部分を示している。また、図17では、取得した全ての図面に対して上述した輝度補正が行われている。
図17に示すように、取得される画像の領域62−1〜62−3は、それぞれ「ベース」、「水1」、「水2」における塗布領域を示しているが、塗布領域62−1〜62−3に示すように水があると黒くなる。
つまり、図17では、上述した照明装置11に、後頭部をむけて撮影した。図17の例では、水があると黒くなる。ここで、毛髪は、皮膚と違って、もともとの水分量は非常に少ないため、白く写る。ベース画像の塗布直後で黒い部分がある理由は、水系のトリートメントを噴霧すると、しっとりして、噴霧した部分が束になったため、髪の毛が束になって浮いたようになっている。
図17に示す「水1」、「水2」画像では、噴霧した部分が、水の吸収で黒く写っている。「水1」と「水2」では、写り方が異なるが、これは、波長による水の検出感度、或いは、撮影深さの違いがあると考えられる。
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、上述した実施形態で示した内容について、ユーザに提示する画面をよりユーザにわかり易く示したものである。
ここで、図18は、他の実施形態における化粧水塗布前後の輝度変化の一例を示す図である。また、図19は、図18に対応する選択範囲擬似カラー表示の一例を示す図である。
なお、図18及び図19は、塗布直後における塗布前からの変化(「水1」−「ベース」)、(「油」−「ベース」)、(「水2」−「ベース」)を示している。なお、化粧水は、皮膚外用剤の塗布領域71にそれぞれ示している。また、「水1」、「水2」の場合と、「油」の場合とで輝度変化の差分画像の色を変えて示している。図18では、何れも塗布領域71では、色が濃く表示され、差分値が大きかったことを示している。
図19では、上述した擬似カラーを割り当てる選択範囲72と、各条件における輝度変化値測定領域73−1〜73−3が示されている。塗布直後における塗布前からの変化において、「水1」−「ベース」の場合、輝度変化値測定領域73−1の輝度変化値は、185.6±22.7であり、輝度変化値測定領域73−2の輝度変化値は、205.7±17.9であり、輝度変化値測定領域73−3の輝度変化値は、238.7±16.0であることがわかる。また、「油」−「ベース」の場合、輝度変化値測定領域73−1の輝度変化値は、213.7±22.4であり、輝度変化値測定領域73−2の輝度変化値は、234.8±16.5であり、輝度変化値測定領域73−3の輝度変化値は、254.0±5.2であることがわかる。更に、「水2」−「ベース」の場合、輝度変化値測定領域73−1の輝度変化値は、138.4±21.2であり、輝度変化値測定領域73−2の輝度変化値は、193.0±21.5であり、輝度変化値測定領域73−3の輝度変化値は、254.9±1.6であることがわかる。
図19では、塗布前からの変化においては、「油」の方は変化が少なく、「水1」、「水2」の方は変化が大きいことが分かる。更に、「水1」よりも「水2」の方が、変化が大きいことが分かる。
ここで、図20は、他の実施形態における乳液塗布前後の輝度変化の一例を示す図である。また、図21は、図20に対応する選択範囲擬似カラー表示の一例を示す図である。
なお、図20及び図21は、塗布直後及び塗布10分後における塗布前からの変化(「水1」−「ベース」)、(「油」−「ベース」)、(「水2」−「ベース」)を示している。なお、化粧水は、皮膚外用剤の塗布領域71にそれぞれ示している。また、「水1」、「水2」の場合と、「油」の場合とで輝度変化の差分画像の色を変えて示している。図20では、何れも塗布領域71では、色が濃く表示され、差分値が大きかったことを示している。更に、塗布10分後でも塗布領域には、同様の輝度変化が見られる。
図21では、上述した擬似カラー選択範囲72と、各条件における輝度変化値測定領域73−4,73−5が示されている。塗布直後における塗布前からの変化において、「水1」−「ベース」の場合、輝度変化値測定領域73−4の輝度変化値は、134.0±19.4であり、輝度変化値測定領域73−5の輝度変化値は、247.4±9.0であることがわかる。また、塗布10分後における塗布前からの変化においては、輝度変化値測定領域73−4の輝度変化値は、128.4±30.3であり、輝度変化値測定領域73−5の輝度変化値は、233.1±12.1であることがわかる。
また、塗布直後における塗布前からの変化において、「油」−「ベース」の場合、輝度変化値測定領域73−4の輝度変化値は、153.1±24.9であり、輝度変化値測定領域73−5の輝度変化値は、229.4±15.9であることがわかる。また、塗布10分後における塗布前からの変化においては、輝度変化値測定領域73−4の輝度変化値は、143.6±27.3であり、輝度変化値測定領域73−5の輝度変化値は、226.5±15.9であることがわかる。
更に、塗布直後における塗布前からの変化において、「水2」−「ベース」の場合、輝度変化値測定領域73−4の輝度変化値は、69.5±31.2であり、輝度変化値測定領域73−5の輝度変化値は、222.8±15.3であることがわかる。また、塗布10分後における塗布前からの変化においては、輝度変化値測定領域73−4の輝度変化値は、79.8±27.1であり、輝度変化値測定領域73−5の輝度変化値は、179.2±17.0であることがわかる。
上述したように、ユーザが指定した輝度変化値測定領域に対する輝度変化値を提示することで、任意の場所に対する変化値を容易に提示することができ、輝度差を数値により明確にすることで容易に把握することができる。
なお、上述した画像は、リアルタイムに被写体やユーザに見せることもできるため、皮膚外用剤を塗布しながら化粧カウンセリングを行うといったこともできる。
更に、取得した画像を被写体毎に管理して蓄積しておき、ある纏まったデータを用いて統計処理的を行い、経時的な評価を行うこともできる。また、4波長使って肌や毛髪等を解析することができる。
上述したように、本発明によれば、近赤外領域の画像を高精度に撮影することができる。したがって、近赤外領域の画像を用いて皮膚の解析を高精度に行うことができる。また、本発明によれば、基剤中の水の存在状態の検討や、処方による水の状態の違いのイメージング、皮膚拡大画像(皮丘皮溝での水の塗布状態)、毛髪拡大画像、爪の水分のイメージング等の解析も可能である。
また、本発明によれば、化粧を塗る位置毎或いは使用者毎に、塗り方についてカウンセラーによるカウンセリングを実施することができ、その他、広く美容法の評価にも活用することができる。
具体的には、本発明によれば、例えば近赤外画像を用いた水分分布状態解析から肌の露出を評価することによる洗浄料の洗浄効果評価や、近赤外画像を用いた水分分布状態解析から肌の露出を評価することによるファンデーション(FD)付着状態評価法等のメーキャップ化粧料塗布状態評価等に適用することができる。
更に、本発明によれば、近赤外画像を用いた特定成分の分布解析による新たな肌質分類法として、水分及び油分分布を用いたによる肌質評価法や、近赤外画像を用いた分布状態解析による肌質の評価プログラム、洗浄料の保湿効果評価法、近赤外画像を用いた水分分布状態解析による洗浄料の保湿効果評価法等の幅広い分野で適用することができる。
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。