JP4881571B2 - ポンプおよびその防食方法 - Google Patents

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Description

本発明は、海水などの腐食性を有する液体を取り扱うポンプおよびこの防食方法に関する。具体的には、ポンプの電気防食法であり、回転体の隙間腐食防止を目的とした回転体と固定体の電気伝導方法、および装置に関するものである。
従来より、発電所や製鉄所において、ボイラの復水器などの冷却水として、大量の海水が用いられる。具体的には、海水ポンプにより復水器に海水が圧送される。このような海水ポンプとしては、以下の構成が知られている。
図6は、従来例に係る海水ポンプの縦断面図である。
海水ポンプ100は、筒状のケーシング110と、このケーシング110内部に設けられ所定方向に回転する回転軸120と、この回転軸の先端に設けられたインペラ130と、を備える(特許文献1参照)。
ところで、海水は中性水であるが、塩素イオンが18000ppm程度、溶存酸素量が10ppm程度含むため、腐食性を有している。そのため、この海水ポンプ100においては、例えば、以下の3箇所で隙間腐食が起こりやすい。
第1番目は、回転軸の継手部分である。すなわち、回転軸120は、下部軸121と、この下部軸121の上部に接続された上部軸122と、を備える。これら下部軸121および上部軸122は、中間軸継手123によって連結されている。中間軸継手123は筒状であり、下部軸121の上端および上部軸122の下端を覆う構造である。中間軸継手123には、キー溝が形成され、このキー溝に固定ねじが挿入されて、回転軸の緩みが抑制されているが、このキー溝と固定ねじとの間に隙間腐食が生じやすい。この箇所で隙間腐食が進行すると、回転軸120の動力がインペラ130に安定して伝達されなくなり、回転振動の原因ともなる。
第2番目は、ケーシング110の継手部分である。ケーシング110は、下から順に、吸込ベルマウス111、揚水管112、113、114、および吐き出しエルボ115、が接続されて構成される。これら揚水管112〜114および吐き出しエルボ115の端部には、フランジ116が形成され、このフランジ同士でゴムシーリングを挟んで、ボルトで締め付けることにより、揚水管同士を連結する。この箇所で隙間腐食が発生すると、シールが不完全となって、海水が揚水管内部に流入して、ポンプの効率が低下する。
第3は、回転軸120とインペラ130との接続部分である。インペラ130には、キー溝が形成され、このキー溝に固定ねじが挿入されて、回転軸120の緩みが抑制されているが、このキー溝と固定ねじとの間に隙間腐食が生じやすい。回転軸120の固定ねじが隙間腐食により局部的に腐食すると、腐食した箇所に応力が集中し、折損することがある。
以上のような隙間腐食を防止するため、例えば、海水ポンプの構成部品に塗装を施す方法や、構成部品を耐食性の良いオーステナイト系ステンレス鋼で形成する方法が考えられる。
しかしながら、海水ポンプの構成部品に塗装を施した場合、塗膜自体が海水中で時間の経過とともに劣化するうえに、水温の上昇、流速の変化、あるいは異物の衝突などにより、局部的に塗膜が破壊されるおそれがある。すると、塗膜が剥離して下地金属が露出し、この下地金属が腐食する。
また、海水ポンプの構成部品をオーステナイト系ステンレス鋼で形成した場合、構成部品とゴムシール材やボルトとの隙間部分では、海水の流速が低くなり、淀みが生じて、ステンレス鋼特有の隙間腐食が発生することがある。
すなわち、海水中のステンレス鋼は、ほとんどの部分では腐食が生じないにもかかわらず、隙間部分においては、表裏を貫通する腐食溝が発生して、水漏れが生じやすくなる。この場合、腐食溝だけを溶接により補修しても、この溶接部分の周囲のうち溶接熱の影響が大きい部分がアノード極となり、溶接熱の影響が少ない部分がカソード極となって、局部的に溶解することが多い。このため、こうした溶接による補修が難しく、構成部品を交換しなければならなくなる。
以上より、隙間腐食を防止するため、現状では、構成部品に極めて高価なステンレス鋼素材を用いる方法か、電気防食法に頼らざるを得ない。このうち、電気防食法とは、特許文献1に示すように、海水ポンプのケーシングの内表面に、犠牲陽極または外部電源の陽極を設け、この犠牲陽極から海水ポンプ全体に電流を流したり、外部電源から電流を海水ポンプ全体に流したりすることで、海水ポンプ全体を防食する方法である。
特開2004−27992号公報
しかしながら、電気防食法で防食した場合、上述した海水ポンプでは、犠牲陽極とケーシングとを導通できるので、ケーシングを防食することはできるものの、犠牲陽極と回転軸とを確実に導通できず、回転軸を防食することが難しかった。
すなわち、回転軸は、ケーシングの上方に設けられた軸受で支持されるが、この軸受は、玉軸受や滑り軸受が用いられることが多い。この場合、転動部分や摺動部分にグリースや水などの絶縁物が塗布されるため、回転軸とケーシングとが電気的に絶縁されやすい。よって、回転軸やインペラなどの隙間部に隙間腐食が発生するおそれがあった。
そこで、本発明は、回転軸およびインペラの隙間腐食を抑制できるポンプおよびその防食方法を提供することを目的とする。
本発明のポンプは、吸込ベルマウスと揚水管と吐き出しエルボとが継手接続されたケーシングと、大気中に一部露出している上部軸と、当該上部軸に中間軸継手により連結されるとともに前記ケーシング内部に設けられ所定方向に回転する下部軸と、当該下部軸の先端に設けられたインペラとを備えるポンプであって、前記上部軸の大気中に一部露出している外周面に導電装置を、前記インペラ近傍に陽極および照合電極をそれぞれ設け、前記導電装置は前記上部軸の外周面に沿い90度以上の間隔で2ないし4個配置された導電機構と、前記上部軸の外周面に取り付けられた導電リングとを有し、それぞれの前記導電機構は、前記ケーシングに設けられ前記導電リングに対して進退する導電接触端子と、この導電接触端子を前記導電リングに半径方向外側から付勢する付勢機構とを有しており、前記陽極および照合電極は前記下部軸と前記インペラの出口側と前記インペラの下流側に配置されるディフューザとで形成される空間内に配置し、前記陽極と前記照合電極と前記導電装置とに接続された制御装置とこの制御装置に給電する電源とを設け、前記照合電極が測定した電位が防食電位以下になるように前記制御装置が前記導電接触端子に給電することを特徴とする。
またポンプが、大気中に一部露出している回転軸の大気中に一部露出している外周面に90度以上の間隔で2ないし4個の導電機構を取り付けるとともに、陽極および照合電極を前記回転軸と前記回転軸の下端部に取り付けたインペラの出口側と前記インペラの下流側に配置されるディフューザとで形成される場所に配置し、それぞれの前記導電機構ではこの導電機構が有する導電接触端子を前記回転軸に取り付けた導電リングへばねにより半径方向に押圧されており、前記照合電極が電位を測定し、この照合電極が測定した電位が防食電位以下になるように前記陽極および各前記導電接触端子に給電することを特徴とする。
この発明によれば、導電接触端子を付勢機構で導電部に付勢したので、犠牲陽極法や外部電源法により導電接触端子にカソード電流を供給することで、導電部および導電接触端子を介して、回転軸やインペラの隙間部にカソード電流を供給できる。したがって、隙間部の電位を防食可能な電位まで低下させて、回転軸およびこの回転軸に取り付けられたインペラの隙間腐食を抑制できる。
本発明のポンプでは、好ましくは、前記陽極に代えて犠牲陽極を配置し、当該犠牲陽極と前記導電接触端子とを電気的に接続されている
回転軸が回転すると、回転軸が振動し、導電接触端子が導電部から離れてしまい、接触電気抵抗が著しく増加するおそれがある。
そこで、導電接触端子を回転軸の外周面に沿って角度90度以上の間隔で配置し、回転軸を回転させることにより、回転軸が振動して、いずれかの導電接触端子が回転軸の導電部から離れてしまっても、残る導電接触端子が導電部に接触するので、接触電気抵抗が急上昇するのを抑制でき、確実に防食できる。
特に、回転軸の回転数が高く、回転軸の振動が大きい場合は、導電接触端子の数を増やして、少なくとも1個の導電接触端子を常に導電部に接触させることが好ましい。
本発明のポンプでは、前記導電接触端子は、銀−黒鉛焼結合金、銀−錫合金、銀−銅合金、および銀−ニッケル合金のうちのいずれかで形成するとよい。
導電接触端子は、導電部上を摺動する。そのため、摩擦熱による酸化作用によって接触面の電気抵抗が上昇したり、導電接触端子の先端が磨耗したりする。このため、導電接触端子は、摺動による電気抵抗が低く、この電気抵抗が長期間変動しないこと、また、摺動による磨耗量が少ないといった特性を有する材料で形成することが好ましい。
そこで、この発明によれば、酸化しにくく磨耗しにくい上記合金で導電接触端子を形成することで、導電接触端子の摺動による電気抵抗を低くでき、しかもこの電気抵抗を長期間に亘って維持できる。そのうえ、導電接触端子の摺動による磨耗量を少なくできる。
導電性を有する物質としては、一般的には銀や銅が挙げられるが、銀や銅の純粋金属では摺動による磨耗量が多くなり実用的でない。
そこで、銀−黒鉛焼結合金や、銅−黒鉛焼結合金が挙げられる。黒鉛は、電気伝導性が良好で、銀や銅の耐磨耗性を向上させる。黒鉛粉末との焼結合金は、黒鉛微粒子の直径の大きさにも影響されるが、実用的には、黒鉛量を30wt%以下にすることが望ましい。また、海水環境などの腐食性環境においては、銅の耐食性が劣るため、銅−黒鉛焼結合金よりも銀−黒鉛焼結合金の方が望ましい。
また、銀−錫合金が挙げられる。この銀−錫合金は、錫が全率固溶の合金であり、銀の耐磨耗性を補強しつつ耐食性を向上できる。
また、銀−銅合金が挙げられる。銀−銅合金は、銅を10〜80wt%の範囲で固溶することで、銀の含有量を節約できる経済的効果がある。海水環境などの腐食性環境では、銅の腐食性を考慮しつつ銀の耐磨耗性を補強するため、銅を15wt%以下にすることが望ましい。
また、銀−ニッケル合金が挙げられる。この銀−ニッケル合金は、ニッケルが全率固溶の合金であり、銀の耐磨耗性を補強する。電気伝導性および耐磨耗性の観点から、ニッケルを10wt%以下にすることが望ましい。
本発明のポンプでは、好ましくは、前記導電接触端子および前記導電部のうち少なくとも一方は、電気伝導性油脂に含浸されていることを特徴とする。
本発明のポンプでは、導電接触端子が導電部上を摺動するため、導電接触端子および導電部が磨耗する。そのため、導電接触端子および導電部を定期的に交換する必要がある。
この発明によれば、電気伝導性を有しながら撥水性を有する油脂に含浸することで、導電接触端子および導電部の磨耗を電気伝導性を損わずに抑制できるから、導電接触端子および導電部の耐久性を向上できる。この電気伝導性油脂は、例えば、直鎖状の炭化水素化合物に1000m/g程度の表面積を有する超微細炭素微粒子を分散させたもので、電気抵抗が0.01Ω/cm以下のものである。
本発明のポンプにおいては、前記ケーシングには、前記回転軸および前記インペラの隙間部の電位を測定するための照合電極を設けるとよい。
犠牲陽極法で防食を長期間行うと、犠牲陽極が消耗したり、犠牲陽極に異物が付着したりして、カソード電流が減少し、回転軸およびインペラの電位が上昇して、防食が不十分になる。
一方、外部電源法による防食を長期間行うと、犠牲陽極法と同様に、陽極の消耗や異物の付着によって、防食が不十分になる場合がある。また、回転軸やインペラの表面に異物が付着すると、表面積が低下し、カソード電流が多く流れるおそれがある。すると、回転軸およびインペラの電位が必要以上に低下し、水素が発生して塗装の剥がれなどが発生するほか、防食に必要以上の電流が流れるため、消費電力が過大になる。
これに加え、取扱液の電気伝導度などの水質が変化すると、防食に必要な電流は変化するので、カソード電流を適宜調整する必要がある。
この発明によれば、例えば、回転軸およびインペラの隙間部の近傍に照合電極を設けることで、回転軸およびインペラの隙間部の電位を正確に測定して、電位の変化に適切に対処することができる。例えば、犠牲陽極法を採用した場合は、適切な時期に犠牲陽極を交換すればよいし、外部電源法を採用した場合は、電流制御装置でカソード電流を制御し、隙間部の電位を維持すればよい。
本発明のポンプでは、前記ケーシングには、好ましくは、前記導電接触端子に接続される犠牲陽極が設けられることを特徴とする。
このようにすると、犠牲陽極法により、導電接触端子に電流を供給できる。すなわち、犠牲陽極法とは、亜鉛合金などの犠牲陽極をケーシングに設け、この犠牲陽極を導電接触端子に接続する方法である。
本発明のポンプでは、前記導電接触端子は、外部の電源装置から電流が供給されるようにすることができる。
このようにすれば、外部電源法により、導電接触端子に電流を供給できる。外部電源法とは、陽極を外部電源に接続し、この外部電源により導電接触端子に電流を供給する方法である。この外部電源法における陽極は、白金、カーボン等の不溶性陽極である。
本発明のポンプにおいて、前記回転軸および前記インペラの隙間部の電位を測定し、この測定した電位に基づいて電流を制御する制御装置を設けるとよい。
制御装置は、隙間部の電位に応じて、カソード電流の電流値を制御する。具体的には、例えば、隙間部の電位を定期的に測定し、隙間部の電位が防食電位になるように、導電接触端子に電流を供給する。したがって、回転軸およびインペラの隙間部の電位が変化しても、この変化に自動的に対応できるから、長期間に亘って回転軸およびインペラを防食できる。
本発明のポンプおよびその防食方法によれば、次の効果が得られる。
導電接触端子を付勢機構で導電部に付勢したので、犠牲陽極法や外部電源法により導電接触端子にカソード電流を供給することで、導電部および導電接触端子を介して、回転軸やインペラの隙間部にカソード電流を供給できる。したがって、隙間部の電位を防食可能な電位まで低下させて、回転軸およびこの回転軸に取り付けられたインペラの隙間腐食を抑制できる。
[第1実施形態]
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る海水ポンプ1の縦断面図である。
海水ポンプ1は、筒状のケーシング10と、このケーシング10内部に設けられ所定方向に回転する回転軸20と、この回転軸の先端に設けられたインペラ30と、これらケーシング10、回転軸20、およびインペラ30に電流を供給する外部電源装置60と、を備える。すなわち、この海水ポンプ1は、インペラ30および回転軸20からなる回転体が、ケーシング10からなる固定体に対して回転する構造であり、外部電源法により防食される。
回転軸20は、下部軸21と、この下部軸21の上部に接続された上部軸22と、を備える。これら下部軸21および上部軸22は、中間軸継手23によって連結されている。
ケーシング10は、下から順に、吸込ベルマウス11、第1の揚水管12、第2の揚水管13、第3の揚水管14、および吐き出しエルボ15、が接続されて構成される。
吸込ベルマウス11は、第1の揚水管12にボルトで固定されている。第1の揚水管12、第2の揚水管13、第3の揚水管14、および吐き出しエルボ15は、フランジ形管継手16により接続されている。
海水ポンプ1の上部で大気中に露出している部分には、導電装置40が設けられている。また、ケーシング10のインペラ近傍には、陽極44および照合電極46が設けられている。
図2は、導電装置40の横断面図である。
導電装置40は、2個以上4個以下、本実施形態では、2個の導電機構45で構成される。
各導電機構45は、回転軸20の外周面に設けられた導電部としての導電リング41と、ケーシング10に設けられて導電リング41に対して進退する導電接触端子42と、この導電接触端子42を導電リング41に付勢する付勢機構43と、を有する。
導電機構45の導電接触端子42は、回転軸20の外周面に沿って角度90度以上の間隔、ここでは略90度で配置されている。
導電リング41は、回転軸20の外周に金属板を巻き付けて形成される。導電接触端子42は、銀−黒鉛焼結合金、銀−錫合金、銀−銅合金、および銀−ニッケル合金などで形成されている。これら導電接触端子42および導電リング41は、電気伝導性油脂に含浸されている。
付勢機構43は、導電接触端子42を付勢するコイルばね431と、このコイルばね431および導電接触端子42を収容する案内具432と、この案内具432を支持する支持具433と、を備える。
コイルばね431は、回転軸20の導電リング41に、導電接触端子42を所定の圧力で接触させる。この圧力は、例えば0.049MPa(0.5kgf/cm)程度である。
案内具432は、導電接触端子42を回転軸20に対して進退可能な状態で収納する。この案内具432には、導電線434が接続されており、この導電線434は、外部電源装置60に接続される。
支持具433は、ケーシング10に取り付けられ、絶縁板435を介して、案内具432を支持する。
図1に戻って、外部電源装置60は、カソード電流を供給する電源61と、この電源から供給されたカソード電流の電流値を調整する制御装置62と、で構成される。
制御装置62は、陽極44、照合電極46、および、導電装置40の案内具432に接続されている。
制御装置62には、インペラ30と回転軸20の隙間部において、防食を達成できる電位(以下、防食電位とする)が設定されている。この制御装置62は、隙間部の電位に応じて、カソード電流の電流値を制御する。具体的には、回転軸20およびインペラ30の隙間部の近傍に設けられた照合電極46により、回転軸20およびインペラ30の隙間部の電位を定期的に測定し、この照合電極46で測定される隙間部の電位が常時防食電位になるように、導電装置40に電流を供給する。
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)導電接触端子42を付勢機構43で導電リング41に付勢したので、外部電源装置60により導電接触端子42にカソード電流を供給することで、導電リング41および導電接触端子42を介して、回転軸20やインペラ30の隙間部にカソード電流を供給できる。したがって、隙間部の電位を防食可能な電位まで低下させて、回転軸20およびこの回転軸20に取り付けられたインペラ30の隙間腐食を抑制できる。
(2)2個の導電接触端子42を回転軸20の外周面に沿って略90度の間隔で配置した。よって、回転軸20を回転させることにより、回転軸20が振動して、一方の導電接触端子42が回転軸20の導電リング41から離れてしまっても、他方の導電接触端子42が導電リング41に接触するので、接触電気抵抗が急上昇するのを抑制でき、確実に防食できる。
(3)導電接触端子42を、銀−黒鉛焼結合金、銀−錫合金、銀−銅合金、および銀−ニッケル合金のうちのいずれかで形成した。このように、酸化しにくく磨耗しにくい合金で導電接触端子を形成したので、導電接触端子42の摺動による電気抵抗を低くでき、しかもこの電気抵抗を長期間に亘って維持できる。また、導電接触端子42の摺動による磨耗量を少なくできる。
(4)導電接触端子42および導電リング41を電気伝導性油脂に含浸したので、導電接触端子42および導電リング41の磨耗を電気伝導性を損わずに抑制できるから、導電接触端子42および導電リング41の耐久性を向上できる。
(5)ケーシング10に回転軸20およびインペラ30の隙間部の電位を測定するための照合電極46を設けたので、回転軸20およびインペラ30の隙間部の電位を正確に測定して、電位の変化に適切に対処することができる。具体的には、外部電源装置60でカソード電流を制御し、隙間部の電位を維持する。
(6)制御装置62を設け、回転軸20およびインペラ30隙間部の電位を定期的に測定し、隙間部の電位が防食電位になるように、導電接触端子42に電流を供給する。したがって、回転軸20およびインペラ30の隙間部の電位が変化しても、この変化に自動的に対応できるから、長期間に亘って回転軸20およびインペラ30を防食できる。
[第2実施形態]
図3は、導電機構45Aの横断面図である。
本実施形態では、導電機構45Aの構造が第1実施形態と異なる。
すなわち、導電機構45Aは、回転軸20の外周面に設けられた導電部としての導電リング41Aと、ケーシング10に設けられて導電リング41Aに対して進退する導電接触端子42Aと、この導電接触端子42Aを導電リング41Aに付勢する付勢機構43Aと、を有する。
導電リング41Aは、回転軸20の外周に巻き付けられた銀合金からなる金属板であり、締め付けクランプ411で締め付けられて回転軸20上に固定される。
導電接触端子42Aは、銀−黒鉛焼結合金、銀−錫合金、銀−銅合金、および銀−ニッケル合金などで形成されている。これら導電接触端子42Aおよび導電リング41Aは、電気伝導性油脂に含浸されている。
付勢機構43Aは、導電接触端子42Aを付勢するばね機構431Aと、導電接触端子42Aを収容する案内具432Aと、この案内具432Aを支持する支持具433Aと、を備える。
ばね機構431Aは、案内具432Aに取り付けられたねじりばね435と、このねじりばね435に支持されて導電接触端子42Aの基端側を押圧する押圧片436とで構成される。案内具432Aと導電接触端子42Aの基端側とは、導電線437で接続される。
案内具432Aは、導電接触端子42Aを回転軸20に対して進退可能な状態で収納する。この案内具432Aには、導電線434Aが接続されており、この導電線434Aは、外部電源装置60に接続される。
支持具433Aは、図示しないケーシングに取り付けられたアングル438と、このアングル438に取り付けられて案内具432Aを支持する支持棒439と、で構成される。
本実施形態によれば、上述した第1実施形態の(1)〜(6)と同様の効果がある。
[比較例]
図4は、本発明の比較例に係る回転試験装置の概略構成図である。
モータ51に回転軸52を接続し、この回転軸52の両端側の2箇所に導電装置53を設けた。各導電装置53は、上述の導電装置40と同様の構成であるが、導電接触端子は1個となっている。これら2つの導電装置53に直流電源54を接続し、導電装置53と直流電源54との間には、電流計55、電圧計56を設けた。
回転軸52の径を150mmとし、導電リングを50μm程度偏芯させた。この状態で、回転軸52をモータ51で730回転/分で回転させるとともに、直流電源54により直流で1A流し、2つの導電装置40の電位差を測定して、接触電気抵抗を測定した。
[実施例]
本実施例では、第1実施形態と同様に、導電装置53を構成する導電接触端子を2個とし、この2個の導電接触端子を回転軸52の外周面に沿って略90度の間隔で配置した。その他の回転試験装置の構成および条件は、比較例と同様である。
[試験結果]
図5は、実施例および比較例の試験結果を示す図である。
比較例では、接触電気抵抗は、0.03〜0.2Ωの範囲で著しく変化するとともに、周期的に大きなばらつきあることが分かる。これは、回転時の導電リングの偏芯により、導電接触端子が案内具内で激しく進退し、導電リングに対して接触および離隔を繰り返すことで、接触電気抵抗が著しく変化したものと考えられる。
これに対し、実施例では、接触電気抵抗は0.001程度であり、比較例の約1/100以下に抑制できることが分かる。これは、導電接触端子を2個にすることにより、導電リングから一方の導電接触端子が離れても、他方の導電接触端子が離れていないためと考えられる。
また、導電接触端子が3個の場合も、導電接触端子が2個の場合とほとんど同様の効果が認められた。さらに、導電接触端子を4個にすれば、接触電気抵抗をさらに低下させられるが、不経済となる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記各実施形態では、外部電源装置60を設けて外部電源法を採用したが、これに限らず、犠牲陽極法を採用してもよい。すなわち、陽極44の代わりに亜鉛合金などの犠牲陽極を配置し、この犠牲陽極を導電装置に接続する。この犠牲陽極法によれば、インペラと回転軸の隙間部の電位が防食電位よりも高くなる時期を予測して、この時期に犠牲陽極を交換することで、隙間部の電位を防食電位以下に維持できる。
本発明の第1実施形態に係るポンプの断面図である。 前記実施形態に係るポンプを構成する導電装置の断面図である。 本発明の第2実施形態に係るポンプを構成する導電機構の断面図である。 本発明の比較例に係る回転試験装置の概略構成図である。 本発明の実施例および比較例の試験結果を示す図である。 本発明の従来例に係るポンプの断面図である。
符号の説明
1…海水ポンプ(ポンプ)、10…ケーシング、20…回転軸、30…インペラ、41、41A…導電リング(導電部)、42、42A…導電接触端子、43、43A…付勢機構、45、45A…導電機構、46…照合電極、60…外部電源装置(電源装置)、62…制御装置。

Claims (3)

  1. 吸込ベルマウスと揚水管と吐き出しエルボとが継手接続されたケーシングと、大気中に一部露出している上部軸と、当該上部軸に中間軸継手により連結されるとともに前記ケーシング内部に設けられ所定方向に回転する下部軸と、当該下部軸の先端に設けられたインペラとを備えるポンプであって、
    前記上部軸の大気中に一部露出している外周面に導電装置を、前記インペラ近傍に陽極および照合電極をそれぞれ設け、前記導電装置は前記上部軸の外周面に沿い90度以上の間隔で2ないし4個配置された導電機構と、前記上部軸の外周面に取り付けられた導電リングとを有し、それぞれの前記導電機構は、前記ケーシングに設けられ前記導電リングに対して進退する導電接触端子と、この導電接触端子を前記導電リングに半径方向外側から付勢する付勢機構とを有しており、前記陽極および照合電極は前記下部軸と前記インペラの出口側と前記インペラの下流側に配置されるディフューザとで形成される場所に配置し、前記陽極と前記照合電極と前記導電装置とに接続された制御装置とこの制御装置に給電する電源とを設け、前記照合電極が測定した電位が防食電位以下になるように前記制御装置が前記導電接触端子に給電することを特徴とするポンプ。
  2. 請求項1に記載のポンプにおいて、前記陽極に代えて犠牲陽極を配置し、当該犠牲陽極と前記導電接触端子とを電気的に接続したポンプ。
  3. 大気中に一部露出している回転軸の大気中に一部露出している外周面に90度以上の間隔で2ないし4個の導電機構を取り付けるとともに、陽極および照合電極を前記回転軸と前記回転軸の下端部に取り付けたインペラの出口側と前記インペラの下流側に配置されるディフューザとで形成される空間内に配置し、それぞれの前記導電機構ではこの導電機構が有する導電接触端子を前記回転軸に取り付けた導電リングへばねにより半径方向に押圧されており、前記照合電極が電位を測定し、この照合電極が測定した電位が防食電位以下になるように前記陽極および各前記導電接触端子に給電することを特徴とするポンプの防食方法。
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