JP4880822B2 - 放熱装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子やレーザー発器等の発熱体から生じる熱を放熱する放熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器に搭載される半導体素子や電子装置の放熱装置には、発熱体の熱を輸送するヒートパイプを備えるものがある。ヒートパイプとは、パイプ内の密閉空間を真空に引いた後に、水やブタン、アルコール等の作動流体を封入したものである。発熱体の熱はヒートパイプの受熱部に伝えられ、ヒートパイプ内の作動流体を蒸発させる。この蒸気はヒートパイプ内を、受熱部から離れた部分へ移動して、そこで放熱する。放熱に伴い蒸気は液体に戻る。この密閉空間内の作動流体の相変化や移動により、発熱体の熱が拡散する。ヒートパイプの放熱部には、フィン列等が設けられており、熱を有効に拡散させている。
【0003】
特に、発熱体がレーザー発器の場合は、被冷却物の発熱量が大きいため、十分な冷却能力を有する放熱装置が必要になる。
【0004】
図4は、従来のレーザー発器用放熱装置を示す斜視図である。この例の放熱装置31は、レーザー発器33が取り付けられるベース板35と、防振台37から構成されている。ベース板35は、厚さが約60mmのアルミブロックで作製される。レーザー発器33からの発熱量は、熱容量の大きいアルミブロックに伝えられて、同アルミブロックから放熱する。なお、放熱装置の冷却能力を高めるために、放熱部を強制風冷するファンを設けるのが一般的であるが、レーザー発器を冷却する場合にこのようなファンを設けると、ファンの振動により発信されるレーザーの方向が乱れるおそれがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述の例の放熱装置は、厚さ60mmのアルミブロックを使用するため、装置全体が大型化し、重量が重くなる。したがって、レーザー発器が搭載される装置そのものが大型化してしまう。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、小型・軽量で、高い冷却能力を有する放熱装置を提供する目的とする
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の放熱装置は、 発熱体に熱的に接続されている受熱部、及び、該受熱部から前記発熱体の側方に延びる放熱部を有する第一のプレート型ヒートパイプと、 該第一のプレート型ヒートパイプの放熱部に熱的に接続された第二のプレート型ヒートパイプと、を具備し、 前記第一のプレート型ヒートパイプは、蛇行細孔ヒートパイプであって、長手方向にL字型に折り曲げられていて、前記受熱部としての水平面、及び、該水平面に連続して直角に延びる、前記放熱部としての直立面を有し、 前記第二のプレート型ヒートパイプは、蛇行細孔ヒートパイプであって、平面部、及び、該平面部から立ち上がってコルゲート状に折り曲げられながら前記平面部上に折り返されたフィン状のコルゲート部を有し、 前記第一のプレート型ヒートパイプの前記直立面に、前記第二のプレート型ヒートパイプの前記平面部が高熱伝導性接着剤又はロウ付けにより接合されているとともに、 前記第一のプレート型ヒートパイプ直立面内の蛇行細孔が延びる方向と、第二のプレート型ヒートパイプ平面部内の蛇行細孔の延びる方向が交差しており、両ヒートパイプの接合部において前記発熱体からの熱を2方向に輸送しつつ、該熱を前記コルゲート部に送って放熱することを特徴とする。
発熱体からの熱量を2方向に輸送するため、放熱量が増えて効率的に発熱体を冷却できる。
【0008】
本発明においては、 前記第二のプレート型ヒートパイプの放熱部そのものがフィン状に形成されているので、放熱面積を広くとることができ、さらに放熱効率が向上する。
【0009】
本発明においては、 前記第二のプレート型ヒートパイプの放熱部が重力方向に延びる面を有し、該面に重力方向に延びる放熱フィンが取り付けられていることが好ましい。放熱フィンが重力方向に沿っているので、自然対流によりフィン表面に空気流が生じ空冷の効果が上がる。この場合、ファンを使用する必要がなく、レーザー発器等の振動を嫌う発熱体の冷却に適している。
【0010】
本発明の具体的な態様の放熱装置は、 箱状の外形を有するレーザー発器を冷却するための放熱装置であって、 該レーザー発器の一面に熱的に接続された受熱部、及び、該受熱部から前記レーザー発振器の側方に延びる放熱部を有する第一のプレート型ヒートパイプと、 該第一のプレート型ヒートパイプの放熱部に熱的に接続された第二のプレート型ヒートパイプと、を具備し、 前記第一のプレート型ヒートパイプは、蛇行細孔ヒートパイプであって、長手方向にL字型に折り曲げられていて、前記受熱部としての水平面、及び、該水平面に連続して直角に延びる、前記放熱部としての直立面を有し、 前記第二のプレート型ヒートパイプは、蛇行細孔ヒートパイプであって、平面部、及び、該平面部から立ち上がってコルゲート状に折り曲げられながら前記平面部上に折り返されたフィン状のコルゲート部を有し、 前記第一のプレート型ヒートパイプの前記直立面に、前記第二のプレート型ヒートパイプの前記平面部が高熱伝導性接着剤又はロウ付けにより接合されているとともに、 前記第一のプレート型ヒートパイプ直立面内の蛇行細孔が延びる方向と、第二のプレート型ヒートパイプ平面部内の蛇行細孔の延びる方向が交差しており、両ヒートパイプの接合部において前記発熱体からの熱を2方向に輸送しつつ、該熱を前記コルゲート部に送って放熱することを特徴とする。
レーザー発器のような発熱量が大きく、さらに、振動を嫌う発熱体を十分に冷却することができる。
【0011】
本発明に関連する他の放熱装置は、 発熱体に熱的に接続されている受熱部、及び、該受熱部から前記発熱体の側方に延びる放熱部を有するプレート型ヒートパイプを有する放熱装置であって、 前記放熱部において、前記プレート型ヒートパイプがコルゲート状に折り曲げられていることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る放熱装置を示す図であり、(A)は側面図、(B)は平面図である。図2は、図1の放熱装置をレーザー発器の冷却に使用した状態を示す斜視図である。放熱装置1は、発熱体が取り付けられるベース板3と、同ベース板3に熱的に接続した5枚の第一プレート型ヒートパイプ5と、同第一プレート型ヒートパイプ5に熱的に接続した第二プレート型ヒートパイプ7とから構成される。
【0013】
ベース板3は、アルミニウム等の熱伝導性の高い材料で作製される。ベース板3の大きさは、この例においては、縦180mm、横370mm、厚さ11.5mmである。このベース板3の上面は発熱体が取り付けられる受熱面となる。ベース板3の下面には、この例では3個の浅いくぼみ9a、9b、9cが形成されている。ベース板3の中央に形成されたくぼみ9bの幅は60mm、同中央くぼみ9bの左右に形成されたくぼみ9a、9cの幅はそれぞれ122mm、各くぼみ9の深さは約3mmである。これらのくぼみ9には、後述する第一プレート型ヒートパイプ5がはめ込まれる。ベース板3をなくして、第一プレート型ヒートパイプ5に直接発熱体を取り付けることもありうるが、発熱体の取り付け面の平坦性を求められる場合や、発熱体のネジ止めの設計自由度が求められる場合などはベース板を用いる。
【0014】
この例では、プレート型ヒートパイプとして、蛇行細孔が比較的薄い平板の中に作り込まれたプレート型蛇行細孔ヒートパイプ等が使用される。蛇行細孔ヒートパイプとは、以下の特性を有するヒートパイプのことである(特開平4−190090号、特許第2714883号、特公平2−35239号参照)。
(1)受熱部と放熱部が交互に配置されており、両部の間を細孔が蛇行している。
(2)細孔内には2相凝縮性流体が封入されている。
(3)細孔の内壁は、上記作動流体が循環または移動することができる最大直径以下の径をもつ。
【0015】
各第一プレート型ヒートパイプ5は長手方向にL字型に折り曲げられており、水平面5aと、この水平面5aに連続して直角に延びる直立面5bを有する。このとき第一プレート型ヒートパイプ5内の細孔は、同プレート型ヒートパイプ5の長手方向(図1(A)の上下及び左右方向)に沿って延びる。この第一プレート型ヒートパイプ5の水平面5aは、ベース板3下面のくぼみ9にはめ込まれて、高熱伝導性接着剤あるいはロウ付けなどの熱伝導性の高い方法によって固定される。したがって、L字型に折り曲げられた第一プレート型ヒートパイプは、水平面5aがベース板3に平行な方向に延び、この面に連続する直立面5bが、ベース板3に直角な方向に立ち上がって延びている。この場合、本発明にいう「発熱体の側方(X方向)」とは、前記ベース板3に平行な方向及びベース板3に直角な方向の双方をいう。このとき、第一プレート型ヒートパイプ5内の細孔の方向もL字型の辺に沿って延びている。
【0016】
この例では長さ313mm、幅60mm、厚さ1.9mmの標準サイズのプレート型ヒートパイプを5枚使用した。したがって、ベース板3の下面の中央のくぼみ9bに1枚のプレート型ヒートパイプ5−3、左のくぼみ9aに2枚のプレート型ヒートパイプ5−1及び5−2、右のくぼみ9cに2枚のプレート型ヒートパイプ5−4及び5−5が配置される。このように、標準サイズのプレート型ヒートパイプを複数枚使用することにより、被冷却物が大きい場合でも、サイズの大きいプレート型ヒートパイプを新たに作製することなく、被冷却物の大きさに合わせた放熱装置を作製することができる。
【0017】
第二プレート型ヒートパイプ7も、第一プレート型ヒートパイプ5と同様に蛇行細孔型プレート型ヒートパイプが使用される。第二プレート型ヒートパイプ7は、平面部7aと、この平面部7aから直角に立ち上がって、コルゲート状に折り曲げられながら平面部7a上に折り返されるコルゲート部7bとを有する。このとき、第二プレート型ヒートパイプ7内の蛇行細孔は、同プレート型ヒートパイプの長手方向に延びる。第二プレート型ヒートパイプ7の平面部7aの長手方向(図1(B)の左右方向)をY方向という。この例では、第二プレート型ヒートパイプ7の幅は60mmで、平面部の長さは約396mm、コルゲート部の高さは60mmである。
【0018】
第二プレート型ヒートパイプ7の平面部7aは、5枚の第一プレート型ヒートパイプ5の直立面5bの外側に、各第一プレート型ヒートパイプ5をつなぐように、高熱伝導性接着剤やロウ付けなどの熱伝導性の高い方法で取り付けられる。したがって、第二プレート型ヒートパイプ7のコルゲート部7bは、第一プレート型ヒートパイプ5の直立面5bの外側に突き出るように配列される。
【0019】
第一プレート型ヒートパイプ5の直立面5bと、第二プレート型ヒートパイプ7の平面部7aの接合部において、第一プレート型ヒートパイプ5内の細孔の方向と、第二プレート型ヒートパイプ7の細孔の方向は交差している。すなわち、この放熱装置1を平面的に見た場合、接合部では、第一プレート型ヒートパイプ内5の細孔は図のX方向に延びており、第二プレート型ヒートパイプ7内の細孔はX方向に直角なY方向に延びている。したがって、発熱体からの熱量を2方向に輸送するため、放熱量が増えて、効率的に発熱体を冷却できる。
【0020】
図2を参照して、図1の放熱装置を用いてレーザー発器を冷却する場合の作用について説明する。レーザー発器11は、放熱装置1のベース板3の上面に載置されて固定される。このとき、ベース板3の上面は、レーザー発器11の底面と密着に接するようにフラットである。レーザー発器11が載置されたベース板3は、防振台13上に載置される。
【0021】
レーザー発器11から発せられる熱量は、まずベース板3に伝えられる。そして、ベース板3から、同ベース板3に固定されている第一プレート型ヒートパイプ5の水平面5aに伝えられる。この水平面5aで第一プレート型ヒートパイプ5内の細孔は、ベース板3の側方(X方向)に延びているので、熱量はベース板3の側方(X方向)に移動する。そして、水平面5aから連続する直立面5bに移動する。
【0022】
熱量は、第一プレート型ヒートパイプ5の直立面5bから、同直立面5bに接続している第二プレート型ヒートパイプ7の平面部7aに移動する。この接合部は、2枚のプレート型ヒートパイプ内の蛇行細孔の方向が交差している。そして、第二プレート型ヒートパイプ7の長手方向(Y方向)に移動して、コルゲート部7bから放熱する。また、平面部7aは重力方向に沿っているので、自然対流により同部の表面に空気流が生じ空冷の効果が上がる。さらに、コルゲート部7bは表面積が大きくフィンの作用を有するため、効率よく放熱することができる。また、さらに放熱能力を高めたい場合は、第二プレート型ヒートパイプ7をY方向に延ばして放熱部の表面積を大きくすることもできる。
【0023】
このように、発熱体の熱量を、同発熱体が取り付けられているベース板の側方に移動させて、その後、この方向に交差する方向に移動させることにより、ファンを使用しなくとも熱量を効率的に拡散させることができる。また、アルミブロックやアルミの押し出し成形で作製されたフィンを使用する場合に比べて、放熱装置を小型化及び軽量化できる。
【0024】
図3は、本発明に関連する他の放熱装置を示す斜視図である。この例の放熱装置21は、発熱体31が取り付けられるベース板23と、このベース板23に熱的に接続されるプレート型ヒートパイプ25から構成される。レーザー発器などの発熱体31は、ベース板23に、熱伝導性の高い方法で取り付けられる。
【0025】
プレート型ヒートパイプ25は、図1のプレート型ヒートパイプと同様にプレート型蛇行細孔ヒートパイプが使用される。この例では、プレート型ヒートパイプ25は、ベース板23の側方に延びる平面部25aと、この平面部25aから直立に立ち上がって、コルゲート状に折り曲げられながら平面部25a上に折り返されるコルゲート部25bを有する。蛇行細孔の方向は、プレート型ヒートパイプ25の長手方向に延びている。
【0026】
発熱体31からベース板23に伝えられた熱は、プレート型ヒートパイプ25の平面部25aに沿ってベース板23の側方に移動し、平面部25aからコルゲート部25bに移動して放熱される。この例は、特に、半導体レーザー等を機器内部に設置する際に、軽量でかつ効率的に機器外部に熱を輸送できるという利点ある。
【0027】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、発熱体の側方(X方向)に延びる放熱部を有する第一のプレート型ヒートパイプと、第一のプレート型ヒートパイプに熱的に接続されてX方向と交差する方向(Y方向)に熱輸送する第二のプレート型ヒートパイプと、を具備することにより、放熱装置の放熱効率が向上する。このため、ファンを設けなくとも十分に冷却することができ、振動を嫌うレーザー発器等の装置の冷却に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る放熱装置を示す図であり、(A)は側面図、(B)は平面図である。
【図2】図1の放熱装置をレーザー発器の冷却に使用した状態を示す斜視図である。
【図3】本発明に関連する他の放熱装置を示す斜視図である。
【図4】従来のレーザー発器用放熱装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 放熱装置 3 ベース板
5 第一プレート型ヒートパイプ 7 第二プレート型ヒートパイプ
9 くぼみ 11 レーザー発
13 防振台 21 放熱装置
23 ベース板 31 発熱体

Claims (2)

  1. 発熱体に熱的に接続されている受熱部、及び、該受熱部から前記発熱体の側方に延びる放熱部を有する第一のプレート型ヒートパイプと、
    該第一のプレート型ヒートパイプの放熱部に熱的に接続された第二のプレート型ヒートパイプと、を具備し、
    前記第一のプレート型ヒートパイプは、蛇行細孔ヒートパイプであって、長手方向にL字型に折り曲げられていて、前記受熱部としての水平面、及び、該水平面に連続して直角に延びる、前記放熱部としての直立面を有し、
    前記第二のプレート型ヒートパイプは、蛇行細孔ヒートパイプであって、平面部、及び、該平面部から立ち上がってコルゲート状に折り曲げられながら前記平面部上に折り返されたフィン状のコルゲート部を有し、
    前記第一のプレート型ヒートパイプの前記直立面に、前記第二のプレート型ヒートパイプの前記平面部が高熱伝導性接着剤又はロウ付けにより接合されているとともに、
    前記第一のプレート型ヒートパイプ直立面内の蛇行細孔が延びる方向と、第二のプレート型ヒートパイプ平面部内の蛇行細孔の延びる方向が交差しており、両ヒートパイプの接合部において前記発熱体からの熱を2方向に輸送しつつ、該熱を前記コルゲート部に送って放熱することを特徴とする放熱装置。
  2. 箱状の外形を有するレーザー発振器を冷却するための放熱装置であって、
    該レーザー発振器の一面に熱的に接続された受熱部、及び、該受熱部から前記レーザー発振器の側方に延びる放熱部を有する第一のプレート型ヒートパイプと、
    該第一のプレート型ヒートパイプの放熱部に熱的に接続された第二のプレート型ヒートパイプと、を具備し、
    前記第一のプレート型ヒートパイプは、蛇行細孔ヒートパイプであって、長手方向にL字型に折り曲げられていて、前記受熱部としての水平面、及び、該水平面に連続して直角に延びる、前記放熱部としての直立面を有し、
    前記第二のプレート型ヒートパイプは、蛇行細孔ヒートパイプであって、平面部、及び、該平面部から立ち上がってコルゲート状に折り曲げられながら前記平面部上に折り返されたフィン状のコルゲート部を有し、
    前記第一のプレート型ヒートパイプの前記直立面に、前記第二のプレート型ヒートパイプの前記平面部が高熱伝導性接着剤又はロウ付けにより接合されているとともに、
    前記第一のプレート型ヒートパイプ直立面内の蛇行細孔が延びる方向と、第二のプレート型ヒートパイプ平面部内の蛇行細孔の延びる方向が交差しており、両ヒートパイプの接合部において前記発熱体からの熱を2方向に輸送しつつ、該熱を前記コルゲート部に送って放熱することを特徴とする放熱装置。
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