JP4880393B2 - 音響装置 - Google Patents

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Description

本発明は、接続されたイヤホンが耳孔に装着されている状態か否かを検出可能な音響装置に関する。
イヤホンが音響装置に電気的に接続されていても、耳孔に装着されていない状態がある。この状態で音響を出力しても、利用者に出力した音響を聞かせることができず、音響装置の電力が浪費される。従来の技術では、イヤホンが耳孔に装着された装着状態か、装着されていない非装着状態かをイヤホンに検出機構を具備することで検出し、この検出結果に基づいて音響を出力している。
従来の技術の音響再生装置は、装着状態か非装着状態かを検出するための装着検出手段を有するイヤホンから与えられる装着状態情報に基づいて、装着状態か非装着状態かを検出している。装着検出手段は、具体的にはイヤホンの耳に当接する部位に設けられる接点スイッチによって実現される(たとえば特許文献1参照)。また従来の技術の情報再生装置は、ヘッドホンの所望の個所に設けられたスイッチなどの装着検出部から与えられる検出信号に基づいて装着状態か非装着状態かを検出している(たとえば特許文献2参照)。
特開2004−153350号公報 特開2003−317455号公報
従来の技術では、装着状態か非装着状態かを判定することができるのは、装着状態か非装着状態かを検出するための特別な検出手段を備えたイヤホンまたはヘッドホンに限られる。したがって検出手段を備えないイヤホンを装置に接続した場合には、装着状態か非装着状態かを判定することができず、汎用品のイヤホンを利用することができないという問題がある。
したがって本発明の目的は、イヤホンに特別な検出手段を設けることなく、イヤホンの耳への装着状態を検出する音響装置を提供することである。
本発明は、磁界を発生する磁界発生部と、磁界発生部が発生する磁界中に設けられ、電流を流すことによって磁界を発生し駆動するコイル部を有する導線部と、コイル部に支持されてコイル部の駆動によって振動する振動板とを含むイヤホンが接続される音響装置であって、
音響情報に応じて、音響を発生させるための電流を前記導線部に与える電力供給手段と、
可聴周波数の下限値である20Hzよりも低い周波数の音響を表す判定用音響情報を生成する判定用音響情報生成手段と、
音響情報のうちの予め定める音量以下の音量を表す低音量部分を検出する低音量部分検出手段と、
前記低音量部分検出手段によって検出された低音量部分に、前記判定用音響情報を重畳する重畳手段と、
前記音響情報のうち判定用音響情報が重畳された部分に応じて音響を発生させるための電流を前記電力供給手段が前記導線部に与えているときに、前記導線部に流れる電流の大きさを求める電気特性検知手段と、
前記電気特性検知手段によって求めた電流の大きさに基づいて振動板の振動を妨げる負荷の大きさを算出する負荷算出手段と、
前記負荷算出手段の算出した負荷の大きさと予め定める判定基準値とを比較して、イヤホンが耳孔に装着されている装着状態か、装着されていない非装着状態かを判定し、判定結果を出力する判定手段とを含むことを特徴とする音響装置である。
また本発明は、磁界を発生する磁界発生部と、磁界発生部が発生する磁界中に設けられ、電流を流すことによって磁界を発生し駆動するコイル部を有する導線部と、コイル部に支持されてコイル部の駆動によって振動する振動板とを含むイヤホンが接続される音響装置であって、
音響情報に応じて、音響を発生させるための電流を前記導線部に与える電力供給手段と、
可聴周波数の下限値である20Hzよりも低い周波数の音響を表す判定用音響情報を生成する判定用音響情報生成手段と、
音響情報のうちの予め定める音量以下の音量を表す低音量部分を検出する低音量部分検出手段と、
前記低音量部分検出手段によって検出された低音量部分を、前記判定用音響情報に置換する置換手段と、
前記音響情報のうち判定用音響情報の部分に応じて音響を発生させるための電流を前記電力供給手段が前記導線部に与えているときに、前記導線部に流れる電流の大きさを求める電気特性検知手段と、
前記電気特性検知手段によって求めた電流の大きさに基づいて振動板の振動を妨げる負荷の大きさを算出する負荷算出手段と、
前記負荷算出手段の算出した負荷の大きさと予め定める判定基準値とを比較して、イヤホンが耳孔に装着されている装着状態か、装着されていない非装着状態かを判定し、判定結果を出力する判定手段とを含むことを特徴とする音響装置である。
また本発明は、磁界を発生する磁界発生部と、磁界発生部が発生する磁界中に設けられ、電流を流すことによって磁界を発生し駆動するコイル部を有する導線部と、コイル部に支持されてコイル部の駆動によって振動する振動板とを含むイヤホンが接続される音響装置であって、
音響情報に応じて、音響を発生させるための電流を前記導線部に与える電力供給手段と、
可聴周波数の下限値である20Hzよりも低い周波数の音響を表す判定用音響情報を生成する判定用音響情報生成手段と、
音響情報のうちの無音を表す無音部分を検出する無音部分検出手段と、
前記無音部分検出手段によって検出された無音部分を、前記判定用音響情報に置換する置換手段と、
前記音響情報のうち判定用音響情報の部分に応じて音響を発生させるための電流を前記電力供給手段が前記導線部に与えているときに、前記導線部に流れる電流の大きさを求める電気特性検知手段と、
前記電気特性検知手段によって求めた電流の大きさに基づいて振動板の振動を妨げる負荷の大きさを算出する負荷算出手段と、
前記負荷算出手段の算出した負荷の大きさと予め定める判定基準値とを比較して、イヤホンが耳孔に装着されている装着状態か、装着されていない非装着状態かを判定し、判定結果を出力する判定手段とを含むことを特徴とする音響装置である。
本発明によれば、電力供給手段が音響情報に応じて導線部に電流を与えることによって、コイル部に電流が流れる。磁界中に設けられたコイル部に電流が流れると、アンペールの力によってコイル部および振動板が振動し、音響が発生する。
イヤホンが装着されている装着状態では、外耳道と鼓膜と振動板とによって閉塞空間が形成される。振動板が変位すると、閉塞空間の体積が変化する。閉塞空間の体積が小さくなる向きに振動板が変位すると、閉塞空間の圧力が高くなるので、振動板には閉塞空間の体積が大きくなる向きの力が働く。また閉塞空間の体積が大きくなる向きに振動板が変位すると、閉塞空間の圧力が低くなるので、振動板には閉塞空間の体積が小さくなる向きの力が働く。つまり装着状態では、振動板の変位する向きと逆向きの力が働く。したがって、装着状態と非装着状態とでは、振動板の振動を妨げる負荷の大きさが異なる。
導線部の電気的特性は前記負荷の大きさによって変化するので、負荷の大きさの変化は、導線部に印加される電圧と電流との関係に影響する。したがって、導線部に印加される電圧と電流との関係に基づいて、前記負荷の大きさを求めることができる。導線部に印加される電圧は、電力供給手段が導線部に与える電流から予め求められている。負荷算出手段は、導線部に印加される電圧と電流との関係に基づいて、振動板の振動を妨げる負荷の大きさを算出する。
低音量部分検出手段は、音響情報のうちの予め定める音量以下の音量を表す低音量部分を検出する。重畳手段は、低音量部分検出手段によって検出された低音量部分に、判定用音響情報を重畳して、新たな音響情報を生成する。電力供給手段は、判定用音響情報が重畳された音響情報に応じて、導線部に電流を与える。したがって低音量部分の音響情報を出力しているときには、振動板の振動の周波数に、判定用音響情報が表す周波数成分が含まれる。
振動板の振動数は、変位の速さと振幅とによって定まるが、主に振幅によって調整される。具体的には振動数が高いほど振幅が小さく、振動数が低いほど振幅が大きい。振動板の振動数が低いほど振動板の振幅が大きいので、前述した閉塞空間の体積の変化量も大きくなる。したがって振動板の振動数が低いほど、装着状態における負荷の大きさが大きくなる。つまり、振動板の振動数が低いほど、装着状態と非装着状態とにおける負荷の大きさの差が大きくなる。低音量部分の音響情報を出力しているときには、振動板は、低い周波数成分を含む周波数で振動しているので、装着状態と非装着状態とにおける負荷の差が大きい。
判定手段は、装着状態と非装着状態とにおける負荷の差が大きいときの負荷の大きさと予め定める判定基準値とを比較して、装着状態か非装着状態かを判定するので、精度の高い判定を行うことができる。
また本発明によれば、低音量部分検出手段は、音響情報のうちの予め定める音量以下の音量を表す低音量部分を検出する。置換手段は、低音量部分検出手段によって検出された低音量部分を、前記判定用音響情報に置換して、新たな音響情報を生成する。電力供給手段は、判定用音響情報が置換された音響情報に応じて、導線部に電流を与える。したがって低音量部分の音響情報を出力しているときには、振動板は、判定用音響情報が表す低周波数で振動する。前述したように、振動板が判定用音響情報が表す低周波数で振動しているときには、装着状態と非装着状態とにおける負荷の差が大きい。
判定手段は、装着状態と非装着状態とにおける負荷の差が大きいときの負荷の大きさと予め定める判定基準値とを比較して、装着状態か非装着状態かを判定するので、精度の高い判定を行うことができる。
また本発明によれば、無音部分検出手段は、音響情報のうちの無音を表す無音部分を検出する。置換手段は、無音部分検出手段によって検出された無音部分を、前記判定用音響情報に置換して、新たな音響情報を生成する。電力供給手段は、無音部分が置換された音響情報に応じて、導線部に電流を与える。したがって無音部分の音響情報を出力しているときには、振動板は、判定用音響情報が表す低周波数で振動する。前述したように、振動板が判定用音響情報が表す低周波数で振動しているときには、装着状態と非装着状態とにおける負荷の差が大きい。
判定手段は、装着状態と非装着状態とにおける負荷の差が大きいときの負荷の大きさと予め定める判定基準値とを比較して、装着状態か非装着状態かを判定するので、精度の高い判定を行うことができる。
図1は、本発明の実施の一形態の音響装置1の構成を示すブロック図である。音響装置1は、この音響装置1に電気的に接続されたイヤホン2に音響データに基づく電圧および電流を印加し、イヤホン2から音響データを音響として出力させる。音響装置1は、制御部3と、読込み部4と、記憶部5と、電源制御部6と、コーデック(CODEC)7と、操作部8と、表示部9と、電圧検出部10と、増幅部11と、電流検出部12とを含んで構成される。図1では、音響装置1に加えて、音響装置1に接続されたイヤホン2も図示している。音響装置1は、携帯型および固定型のいずれであってもよい。また音響装置1は、音響データを音響として出力させる機能以外の機能を有していてもよく、たとえばパーソナルコンピュータによって実現されてもよい。
制御部3は、記憶部5に記憶されたプログラムを読込んで実行し、音響装置1の各部およびCODEC7を制御するとともに演算処理を行う。制御部3は、中央処理装置(
Central Processing Unit:略称CPU)によって実現される。制御部3は、電気特性検知手段と、負荷算出手段と、判定手段と、基準値設定手段と、判定用音響情報生成手段と、重畳手段と、置換手段とに相当する。
読込み部4は、音響データが記録された記録媒体から音響データを読込んで制御部3に与える。記録媒体は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)、MD(Mini Disc)および半導体メモリなどを含む。
記憶部5は、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)によって実現される。記憶部5は、制御部3が読込むプログラムを記憶するプログラムメモリ、制御部3が演算処理を行うときに一時的にデータを記憶する動作メモリ、およびデータを記憶するデータメモリを含んで構成される。記録媒体から読込んだ音響データ、この音響データを加工した音響データ、および制御部3が演算した演算結果などは、一時的に動作メモリに記憶される。
電源制御部6は、制御部3の指令に基づいて電源部を制御し、電力を音響装置1の各部およびCODEC7に供給させる。
操作部8は、複数の操作ボタンを含んで構成される。操作部8は、利用者の操作ボタンの操作に応じた情報を制御部3に与える。表示部9は、制御部3の制御に基づいて、画像情報を可視表示する。表示部9は、たとえば予め定めるメッセージを可視表示する。表示部9は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:略称LCD)によって実現される。
CODEC7は、アナログデータをデジタルデータに変換したり、デジタルデータをアナログデータに変換するIC(Integrated Circuit)によって実現される。本実施の形態ではCODEC7は、音響装置に用いられる汎用のICから成る。CODEC7は、制御部3から与えられるデジタルデータの音響データをアナログの電気信号に変換するデコーダ(DECODER)13と、電圧検出部10および電流検出部12から入力される電気信号をデジタルデータに変換するA/Dコンバータ14とを含んで構成される。
DECODER13は、符号化された音響データを復号化して電気信号に変換し、増幅部11に与える。増幅部11は、DECODER13から与えられる電気信号を増幅してイヤホン2に与える。音響を発生させるための電圧および電流をイヤホン2に与える電力供給手段は、制御部3と、DECODER13と、増幅部11とに相当する。
電圧検出部10は、イヤホン2の導線部に相当する信号線15の2つの終端15a,15bの間に印加される電圧(以後、イヤホン2に印加される電圧という)を表す電気信号を検出してA/Dコンバータ14に与える。電流検出部12は、イヤホン2の信号線15に流れる電流(以後、イヤホン2に流れる電流という)を表す電気信号を検出してA/Dコンバータ14に与える。A/Dコンバータ14は、電圧検出部10および電流検出部12から与えられる電気信号をサンプリングしてデジタルデータに変換し、制御部3に与える。
イヤホン2は、増幅部11から与えられる復号化された音響データを表す電気信号を音響に変換して出力する。
図2は、CODEC7と電圧検出部10と増幅部11と電流検出部12とイヤホン2とを模式的に示す回路図である。
CODEC7は、復号化した電気信号を出力する音響データ出力(Audio output)端子16と、電圧検出部10からの電気信号が入力される電圧信号入力(LINE input)端子17と、電流検出部12からの電気信号が入力される電流信号入力(MIC input)端子18とを含む。
増幅部11の一端は、音響データ出力端子16に接続され、増幅部11の他端は、イヤホン2に接続される。増幅部11は、音量調整用の可変抵抗器21と、電気信号の直流成分を除去するコンデンサ22と、反転増幅器23と、アブソーバ24と、フィルタ25とを含んで構成される。
可変抵抗器21は、音響データ出力端子16とグランドとの間に直列に接続され、復号化した電気信号を分圧する。反転増幅器23の入力は、コンデンサ22を介して可変抵抗器21に接続される。可変抵抗器21によって分圧された電気信号は、コンデンサ22によって直流成分が除去されて反転増幅器23に入力される。反転増幅器23の出力は、コンデンサ22を介してイヤホン2に接続される。反転増幅器23に入力された電気信号は、電圧が増幅され、コンデンサ22によって直流成分が除去されてイヤホン2に与えられる。反転増幅器23は、演算増幅器30と、増幅率を決定する2つの抵抗器36とを含んで構成される。反転増幅器23には、コンデンサ26と抵抗器27とが直列に接続されて構成されるフィルタ25が接続される。またイヤホン2には、コンデンサ28と抵抗器29とが直列に接続されて構成されるアブソーバ24が、直列に接続される。
電圧検出部10は、イヤホン2の信号線15の一端15aとグランドとの間に、コンデンサ31と、2つの抵抗器32,33とが直列に接続されて構成される。電圧信号入力端子17は、この2つの抵抗器32,33の接続点に電気的に接続される。電圧検出部10のコンデンサ31は、イヤホン2に入力される電気信号の直流成分を除去する。2つの抵抗器32,33は、イヤホン2の信号線15の一方の終端15aの電圧を分圧する。すなわち電圧信号入力端子17からCODEC7に入力される電気信号は、イヤホン2に印加される電圧を表す。
電流検出部12は、電流検出用抵抗器34と、コンデンサ35とを含んで構成される。電流検出用抵抗器34は、イヤホン2の信号線15の他端15bとグランドとの間に直列に接続される。電流検出用抵抗器34のイヤホン2の信号線15の他端15bに接続される側の一端は、コンデンサ35を介して電流信号入力端子18に接続される。電流検出用抵抗器34は、流れる電流を電圧に変換する。具体的には電流検出用抵抗器34のイヤホン2の信号線15の他端15bに接続される側の一端の電圧は、イヤホン2に流れる電流に比例し、イヤホン2に流れる電流を表す。したがって電流信号入力端子18に与えられる電気信号の電圧は、イヤホン2に流れる電流を表す。電流検出用抵抗器34の抵抗値は、電流を検出するために消費される電力を抑制するために、イヤホン2の信号線15の抵抗値よりも十分小さい値に設定される。
図3は、音響装置1に接続されるイヤホン2の断面図である。図4は、イヤホン2が耳40に装着された状態におけるイヤホン2と顔の一部とを模式的に示す図である。図5は、イヤホン2が耳40に装着された状態における振動板38の動作を説明するための図である。
イヤホン2は、音響装置1に着脱可能である。イヤホン2は、いわゆるダイナミック型のイヤホンであって、音響装置1から供給される電流が流れる信号線15と振動板38と、磁界発生部に相当する磁石39とを含んで構成される。信号線15は、コイル部に相当するボイスコイル37を含む。イヤホン2は、耳40への装着状態において外耳道41を塞ぐ。イヤホン2は、たとえばインナーイヤー型であって、特にカナル型のイヤホンである。
磁石39は、磁界を発生する。ボイスコイル37は、一方向Xに変位可能であって、磁石39によって発生する磁界中に配置される。振動板38は、一部がボイスコイル37に固定され、ボイスコイル37の変位にともなって変位する。
ボイスコイル37に電流が流れると、磁界を発生するとともに磁界中に配置されたボイスコイル37にはアンペールの力が作用し、前記一方向Xに変位駆動する。制御部3は、ボイスコイル37に流れる電流の向きおよび大きさを制御することによってボイスコイル37の変位の向きおよび大きさを制御することができる。またボイスコイル37に交流電流が流れると、ボイスコイル37は一方向Xに振動する。振動板38は、ボイスコイル37の変位にともなって変位するので、ボイスコイル37に流れる電流を制御部3が制御することによって、振動板38の変位を制御することができる。
イヤホン2が耳孔に装着された状態では、外耳道41をイヤホン2が塞ぐので、振動板38と、鼓膜42と、外耳道41とによって閉塞された閉塞空間43が形成される。
外耳道41を通して空気の疎密波が鼓膜42に伝わると、人は、空気の疎密波を音として認識する。イヤホン2は、音響データを音響として人に認識させるために、振動板38を一方向Xに振動させて空気の疎密波を発生する。
イヤホン2の装着状態では、閉塞空間43が形成された状態で振動板38が一方向Xに振動する。装着状態において振動板38が鼓膜42に近接する向きに変位するときには、閉塞空間43の圧力が高くなるので、振動板38を押し返す力が働く。また振動板38が鼓膜42から離反する向きに変位するときには、閉塞空間43の圧力が小さくなるので振動板38を鼓膜42側に引きつける力が働く。したがって装着状態では、非装着状態に比べて振動板38が振動する向きと逆向きの力が負荷として働く。図5では、振動板38の振動する方向を矢印44で示している。
図6は、イヤホン2に印加する電圧と、流れる電流との関係を模式的に示すグラフである。図6の横軸は、時間を表し、縦軸は、電圧または電流値を表す。図6においてイヤホン2に印加する電圧の時間変化を実線で表す。また図6において実線で示す電圧をイヤホン2に印加したときの装着状態におけるイヤホン2に流れる電流の時間変化を破線で表し、非装着状態におけるイヤホン2に流れる電流の時間変化を一点鎖線で表す。図6において、破線と一点鎖線との縦軸のスケールは同じである。イヤホン2のインピーダンスは、純抵抗ではないので、電流と電圧との間に位相差が生じる。
装着状態では、振動板38に対して負荷がかかり、制動力が働くので、非装着状態のときと同じ電圧をイヤホン2に印加したとしても、振動板38の変位量が非装着状態のときよりも小さくなる。ボイスコイル37は、磁石39による磁界中を変位するので、逆起電力が生じる。装着状態では、振動板38と同様に変位するボイスコイル37の変位量が非装着状態に比べて小さくなるので、逆起電力も小さくなる。この逆起電力は、イヤホン2に流す電流の向きと逆向きの電流を発生する。したがって、装着状態では、逆起電力に起因してイヤホン2に流す電流の向きと逆向きに生じる電流が、非装着状態のときに比べて小さくなる。結果として、装着状態において、非装着状態のときと同じ電圧をイヤホン2に印加したとすると、イヤホン2に流れる電流が非装着状態のときに比べて大きくなる。すなわち装着状態の方が非装着状態に比べてイヤホン2のインピーダンスが小さくなる。図6では、装着状態の電流の振幅が非装着状態の電流の振幅よりも小さく、装着状態の方が非装着状態に比べてイヤホン2のインピーダンスが小さくなることを示している。
振動板38の振動数は、主に振動板38の変位する速さではなく振幅によって調整される。具体的には振動数が高いほど振幅が小さく、振動数が低いほど振幅が大きい。振動板38の振動数が低いほど振幅が大きいので、前述した閉塞空間43の体積の変化量も大きくなる。したがって振動板38の振動数が低いほど、負荷の大きさが大きくなる。振動板38に対する負荷が大きくなると、この負荷による抵抗成分ZReへの影響が大きくなる。したがって振動板38の振動数が低いときほど、装着状態と非装着状態とのイヤホン2のインピーダンスの差が大きくなる。
装着状態と非装着状態とのイヤホン2のインピーダンスが異なることから、イヤホン2のインピーダンスを測定することによって、装着状態か非装着状態かを判定することができる。イヤホン2のインピーダンスは、交流のオームの法則に基づいて算出することができるが、電流および電圧の瞬時値では、電圧と電流との位相の関係を求めることができず、また平均値では、オフセットの値となってしまうので、イヤホン2のインピーダンスを求めることができない。したがって本実施の形態では、実効値を求めることによってイヤホン2のインピーダンスを算出する。
時刻tにおける電圧の瞬時値をv(t)とし、電流の瞬時値をi(t)とすると、電圧の実効値Vrmsは、式(1)で表され、電流の実効値Irmsは、式(2)で表され、電力の実効値Prmsは、式(3)で表される。
図7は、インピーダンスをフェーザ表示した図である。図8は、電流をフェーザ表示した図である。インピーダンスの実数の成分は、抵抗成分を表し、インピーダンスの虚数成分は、インダクタンス成分を表す。図8では、実軸をイヤホン2に印加する電圧と同じ位相に設定している。皮相電流は、イヤホン2を流れる電流である。無効電流は、イヤホン2で電力が消費されない電流である。実効電流I(Re)rmsは、イヤホン2で電力が消費される電流である。実効電流I(Re)rmsのうちの大部分は、イヤホン2で電気信号が音響に変換されるときに消費される電流である。イヤホン2は、純抵抗でなくインダクタンス成分を含むので無効電流が生じ、電力の実効値Prmsが、電圧の実効値Vrmsと電流の実効値Irmsとの積とはならない(Prms≠Vrms×Irms)。
イヤホン2が装着状態か非装着状態かの判定は、イヤホン2のインピーダンスの抵抗成分の値に基づいて行うことができる。実行電流I(Re)rmsは、式(4)で表され、イヤホン2のインピーダンスの抵抗成分ZRe(以後、イヤホン2のインピーダンスの抵抗成分ZReを抵抗成分ZReという)は、式(5)で表される。
[数2]
(Re)rms=Prms/Vrms …(4)
ReVrms/I(Re)rms …(5)
式(4)を式(5)に代入すると、インピーダンスの抵抗成分ZReは、次式(6)
に示すように、電力の実効値Prmsと電圧の実効値Vrmsとによって表される。
ここで、Vrmsは、次式(7)で表される。
本実施の形態では、A/Dコンバータ14を用いて電圧および電流の検出を行うので、電圧および電流を連続関数として扱うことができず、式(6)で示すインピーダンスの抵抗成分ZReを、A/Dコンバータ14によってサンプリングした離散データに基づいて算出する。CODEC7が処理するデータが音響データなので、A/Dコンバータ14は、8kHz以上のサンプリングレートで電圧検出部10および電流検出部12から与えられる電気信号を読込む必要がある。
サンプリングレートをFs(sampling/sec)とし、サンプリング個数をN(個)とすると、サンプリング時間T(sec)は、次式(8)で表される。
T=N/Fs …(8)
時刻tにおける電圧v(t)および電流i(t)を、n個目(記号「n」は、自然数を表す)のサンプル値v(n)およびi(n)にそれぞれ置き換えると、式(1)で示される電圧の実効値Vrmsは、式(9)に置き換えられ、式(3)で示される電力の実効値Prmsは、式(10)に置き換えられる。
したがって、式(6)で示されるインピーダンスの抵抗成分ZReは、次式(11)に置き換えられる。
サンプリング時間Tは、音響データの周期に比べて長い時間に設定される。仮にサンプリング時間Tが短く、音響データの周期程度であれば、電圧および電力の実効値を正確に求めることができず、インピーダンスの抵抗成分ZReを正確に検出することができない。またサンプリング時間Tは、音響データの周期に比べて長すぎない時間に設定される。仮にサンプリング時間Tが音響データの周期に比べて長すぎると、音響データのうちの低周波成分に対する応答が悪くなったり、サンプリング数が多くなりすぎて制御部3の負荷が大きくなりすぎる。以上のことを考慮すると、音響データを扱う本実施の形態では、サンプリング時間Tは、数十msec(ミリ秒)〜数百msecに選ばれる。具体的には、サンプリングレートが8kHzの場合、サンプリング時間Tは、128msec程度に設定される。このときのサンプリング数は、1024ポイントとなる。サンプリングレートが44.1kHzの場合、サンプリング時間Tは、約91.9msecに選ばれる。このときのサンプリング数は、4096ポイントとなる。
図9は、ZRe検出処理を表すフローチャートである。前述したように振動板38の振動数が低いほど、装着状態と非装着状態とのイヤホン2のインピーダンスの差が大きくなるので、制御部3は、検出用の予め定める周波数よりも低い周波数の音響を表す判定用音響情報(以後、判定用音響信号という)をイヤホン2から音響として出力させているときの抵抗成分ZReを検出する。制御部3は、イヤホン2から低周波数の音響を出力させるために、低周波数の音響を表す判定用音響信号を生成する。判定用音響信号は、周波数部分において所定の幅を有していても、特定の周波数成分のみを有していてもよい。制御部3は、生成した判定用音響信号をCODEC7に与える。判定用音響信号は、CODEC7によって復号化され、増幅部11によって増幅されてイヤホン2から音響として出力される。前記予め定める周波数は、可聴周波数の下限値に選ばれ、たとえば20Hzに選ばれる。すなわち判定用音響信号の周波数は、可聴周波数の下限値以下に選ばれる。
本実施の形態では、抵抗成分ZReを式(11)に基づいて算出する。抵抗成分ZReを検出するZRe検出処理を開始すると、ステップa0からステップa1に移行する。ステップa1では、制御部3は、記憶部5に記憶される変数V,P,nに数値「0」を代入して変数を初期化する。変数Vは、電圧の二乗の積算値を表し、変数Pは、電圧と電流との乗算の積算値を表す。次にステップa2に移行する。ステップa2では、変数nのインクリメントを行う。すなわち変数nに数値「1」を加算した値を新たな変数nとして設定する。次にステップa3に移行する。
ステップa3では、制御部3は、変数nがサンプリング個数Nよりも大きいか否かを判定し、小さい場合にステップa4に移行する。ステップa4では、制御部3は、A/Dコンバータ14が電圧検出部10および電流検出部12から与えられる電気信号をサンプリングしたサンプリング値を読込む。ステップa4において読込んだサンプリング値は、イヤホン2に印加される電圧v(n)および電流i(n)を表す。次にステップa5に移行する。
ステップa5では、制御部3は、電圧の二乗の積算値と、電圧と電流との乗算値の積算値とを算出する。まず制御部3は、電圧v(n)を二乗した値に変数Vを加算した値を新たな変数Vとして設定する。次に電圧v(n)と電流i(n)とを乗算した値に変数Pを加算した値を新たな変数Pとして設定する。次にステップa2に移行し、変数nがサンプリング個数Nを超えるまでステップa2〜ステップa5までの処理を繰返す。これによってサンプリング個数Nの電圧の二乗の積算値と電圧と電流との乗算の積算値とが求められる。
ステップa3において、変数nがサンプリング個数Nよりも大きいと制御部3が判定すると、ステップa6に移行する。ステップa6では、制御部3は、式(11)に基づいて、変数Vを変数Pおよびサンプリング時間Tで除算することによって抵抗成分ZReを算出する。ここでサンプリング時間Tは、サンプリングレートおよびサンプリング個数Nから、式(8)に基づいて予め算出されている。次にステップa7に移行してZRe検出処理を終了する。
以上説明したZRe検出処理を行うことによって、抵抗成分ZReを算出することができる。制御部3は、算出した抵抗成分ZReに基づいて、装着状態か非装着状態かを判定する。次に抵抗成分ZReに基づいて装着状態か非装着状態かを判定するための判定基準値に相当する判定レベルを設定する処理について説明する。
図10は、制御部3が判定レベルを設定する処理を表すフローチャートである。利用者が操作部8を操作することによって音響装置1の電源が入り、制御部3に電力が供給され始めると、ステップb0からステップb1に移行する。ステップb1では、制御部3は、イヤホン2が音響装置1に接続されているか否かを、イヤホン2のインピーダンスの測定結果に基づいて判定する。イヤホン2が音響装置1に接続されていないと判定すると、ステップb3に移行する。ステップb3では、制御部3は、イヤホン2の接続を促すメッセージを表示させる指令を表示部9に与える。これによって利用者にイヤホン2が音響装置1に接続されていないことを認識させることができる。次にステップb1に移行して、イヤホン2が音響装置1に接続されるまでステップb1〜ステップb3までの処理を繰返す。
ステップb2において、イヤホン2が音響装置1に接続されていると制御部3が判定するとステップb4に移行する。ステップb4では、音響装置1に接続されたイヤホン2が、既に判定レベルが設定されているイヤホン2かつ設定で使用されたものか否かを判定する。この判定は、イヤホン2の種類に応じてインピーダンスの値が異なるので、たとえばイヤホン2のインピーダンスの大きさに基づいて行われる。既に判定レベルが設定されているイヤホン2が音響装置1に接続されていると制御部3が判定すると、判定レベルを再度設定する必要がないので、ステップb19に移行して判定レベルを設定する処理を終了する。音響装置1に接続されたイヤホン2に対して、判定レベルが設定されていないと制御部3が判定すると、ステップb5に移行する。
ステップb5では、制御部3は、判定レベル設定モードに移行し、表示部9に対して判定レベルを設定するか否かを利用者に選択させるためのメッセージを表示させる指示を与える。次にステップb6に移行する。ステップb6では、制御部3は、利用者の操作部8の操作に基づいて判定レベルの設定を行うか否かを判定する。操作部8から判定レベルの設定を行わないことを表す情報が入力されたと制御部3が判定すると、ステップb19に移行して判定レベルを設定する処理を終了する。操作部8から判定レベルの設定を行うことを表す情報が入力されたと制御部3が判定すると、ステップb7に移行する。
ステップb7では、制御部3は、表示部9に対して「再生音量を適切に設定し、装着状態で操作部8の設定ボタンを押し下げる」ことを促すメッセージを表示する指示を与える。ここで適切な再生音量とは、たとえば利用者が音響装置1を通常使用するときに設定される音量である。次にステップb8に移行する。ステップb8では、制御部3は、利用者が操作部8の設定ボタンを押し下げたか否かを判定する。操作部8の設定ボタンが押し下げられていないと制御部3が判定すると、設定ボタンが押下げられるまでステップb7の処理を繰返す。ステップb8において、操作部8の設定ボタンが押下げられたと制御部3が判定すると、再生音量が最適に設定されて、かつ装着状態であると判定してステップb9に移行する。ステップb9では、制御部3は、判定用音響信号をCODEC7に与えることによってイヤホン2から判定用音響信号を音響として出力させる。次にステップb10に移行する。
ステップb10では、制御部3は、図9に示すイヤホン2のインピーダンスの抵抗成分ZReを検出するZRe検出処理を行う。これによって適切に設定された再生音量で判定用音響信号が音響として出力されているときの装着状態の抵抗成分ZReが算出される。次にステップb11に移行する。ステップb11では、制御部3は、ステップb10において算出された抵抗成分ZReを、装着時インピーダンスZ1として記憶部5に記憶させ、ステップb12に移行する。ステップb12では、制御部3は、ステップb10のZRe検出処理において再生された判定用音響信号の音量の平均レベルを表すVrmsを、参照レベルVrefとして記憶部5に記憶させる。次にステップb13に移行する。
ステップb13では、制御部3は、表示部9に対して非装着状態で操作部8の設定ボタンを押し下げることを促すメッセージを表示する指示を与えてステップb14に移行する。ステップb14では、制御部3は、利用者が操作部8の設定ボタンを押し下げたか否かを判定する。操作部8の設定ボタンが押し下げられていないと制御部3が判定すると、設定ボタンが押下げられるまでステップb13の処理を繰返す。ステップb14において、操作部8の設定ボタンが押下げられたと制御部3が判定すると、非装着状態であると判定してステップb15に移行する。ステップb15では、制御部3は、判定用音響信号をCODEC7に与えることによってイヤホン2から判定用音響信号を音響として出力させる。次にステップb16に移行する。
ステップb16では、制御部3は、図9に示すイヤホン2のインピーダンスの抵抗成分ZReを検出するZRe検出処理を行う。これによって適切に設定された再生音量で判定用音響信号が音響として出力されているときの非装着状態の抵抗成分ZReが算出される。次にステップb17に移行する。
ステップb17では、制御部3は、ステップb16において算出された抵抗成分ZReを、非装着時インピーダンスZ2として記憶部5に記憶させ、ステップb18に移行する。ステップb18では、制御部3は、装着時インピーダンスZ1と非装着時インピーダンスZ2とに基づいて、イヤホン装着判定レベルZ3とイヤホン非装着判定レベルZ4とを設定して記憶部5に記憶させる。Z3およびZ4の具体的な求め方は、図11に示すフローチャートを用いて後述する。次にステップb19に移行して判定レベルの設定処理を終了する。
図11は、イヤホン装着判定レベルZ3と、イヤホン非装着判定レベルZ4とを設定する処理を表すフローチャートである。図10に示すフローにおいてステップb18に移行すると、イヤホン装着判定レベルZ3と、イヤホン非装着判定レベルZ4とを設定する処理を開始してステップc0からステップc1に移行する。
ステップc1では、制御部3は、装着時インピーダンスZ1および非装着時インピーダンスZ2を記憶部5から読込んでステップc2に移行する。ステップc2では、制御部3は、非装着時インピーダンスZ2から装着時インピーダンスZ1を減算(Z2−Z1)して、変数DZに代入する。次に制御部3は、非装着時インピーダンスZ2から変数DZの3分の1を減算(Z2−DZ/3)して、変数Z4に代入する。次に制御部3は、装着時インピーダンスZ1に変数DZの3分の1を加算(Z1+DZ/3)して、変数Z3に代入する。次にステップc3に移行する。
ステップc3では、制御部3は、変数Z3をイヤホン装着判定レベルZ3として設定するとともに、変数Z4をイヤホン非装着判定レベルZ4として設定する。次にステップc4に移行して、イヤホン装着判定レベルZ3と、イヤホン非装着判定レベルZ4とを設定する処理を終了する。
図12は、装着時インピーダンスZ1と、非装着時インピーダンスZ2と、イヤホン装着判定レベルZ3と、イヤホン非装着判定レベルZ4との関係を説明するための図である。図12において、縦軸はインピーダンスを表し、紙面の上方ほどインピーダンスが高い。制御部3は、測定したイヤホン2のインピーダンスの抵抗成分ZReが、イヤホン非装着判定レベルZ4以上であれば非装着状態と判定する。また制御部3は、測定したイヤホン2のインピーダンスの抵抗成分ZReが、イヤホン装着判定レベルZ3未満であれば装着状態と判定する。またイヤホン装着判定レベルZ3以上かつイヤホン非装着判定レベルZ4未満を装着/非装着のグレーゾーンとして設定する。制御部3は、測定したイヤホン2のインピーダンスの抵抗成分ZReが、グレーゾーンであれば装着状態か非装着状態かを判定せずに、前回の判定結果をそのまま採用する。
次に装着状態か非装着状態かを判定する処理について説明する。図13は、装着/非装着の判定処理を表すフローチャートである。装着状態か非装着状態かを判定する装着/非装着の判定処理は、制御部3に電力が供給され始めると行われる。装着/非装着の判定処理が開始すると、ステップd0からステップd1に移行する。ステップd1では、制御部3は、読込み部4が読込んだ音響データを再生中か否かを判定し、再生中と判断するとステップd2に移行する。ステップd2では、制御部3は、再生している音響データが無音部分か否かを判定する。具体的には音響データのうちの曲と曲との間に挿入されるプレギャップ領域またはポストギャップ領域の無音部分かを制御部3が判定し、無音部分であればステップd3に移行する。またステップd1において読込み部4が読込んだ音響データを再生中ではないと制御部3が判定すると、ステップd3に移行する。すなわちスピーカ5から音響が出力されていないときにステップd3の処理が行われる。
ステップd3では、制御部3は、判定用音響信号の発生を開始して、スピーカ5から検出用の低周波の音響を発生させ、ステップd4に移行する。ステップd4では、制御部3は、図9に示すイヤホン2のインピーダンスを検出するZRe検出処理を行う。これによって抵抗成分ZReが求められる。次にステップd5に移行する。
ステップd5では、制御部3は、抵抗成分ZReがイヤホン非装着判定レベルZ4以上か否かを判定する。抵抗成分ZReがイヤホン非装着判定レベルZ4以上、すなわち非装着状態と判定すると、ステップd6に移行する。ステップd6では、制御部3は、イヤホン2の装着/非装着状態を表す状態フラグを、イヤホン非装着状態に設定する。状態フラグを設定するとステップd1に移行して装着/非装着の判定処理を繰返す。
ステップd5において、抵抗成分ZReがイヤホン非装着判定レベルZ4未満であると制御部3が判定すると、ステップd7に移行する。ステップd7では、制御部3は、抵抗成分ZReがイヤホン装着判定レベルZ3未満か否かを判定する。抵抗成分ZReがイヤホン装着判定レベルZ3未満、すなわち装着状態と判定すると、ステップd8に移行する。ステップd8では、制御部3は、イヤホン2の装着/非装着状態を表す状態フラグを、イヤホン装着状態に設定する。状態フラグを設定するとステップd1に移行して装着/非装着の判定処理を繰返す。
ステップd7において、抵抗成分ZReがイヤホン装着判定レベルZ3以上と制御部3が判定すると、グレーゾーンであると判定して、状態フラグを設定することなくステップd1に移行し、装着/非装着の判定処理を繰返す。抵抗成分ZReがイヤホン装着判定レベルZ3以上かつイヤホン非装着判定レベルZ4未満のグレーゾーンであれば、装着/非装着の判定処理を行っても、装着/非装着状態を表す状態フラグは、変わらない。したがって、抵抗成分ZReがイヤホン非装着判定レベルZ4以上からグレーゾーンに変化しても、状態フラグはイヤホン非装着状態を維持する。また抵抗成分ZReがイヤホン装着判定レベルZ3未満からグレーゾーンに変化しても、状態フラグはイヤホン装着状態を維持する。人為的にイヤホン2の着脱を行うと、イヤホン2の装着状態と非装着状態とが完全に入れ替わるが、イヤホン2が完全に装着されていない不安定な状態では、装着状態と非装着状態とが不安定に入れ替わる。このように装着/非装着状態の判定においてヒステリシスを持たせると、装着状態から完全に非装着状態に遷移したときに非装着状態と判定し、非装着状態から完全に装着状態に遷移したときに装着状態と判定することができる。本実施の形態では、状態フラグは初期設定としてイヤホン装着状態に設定されるので、初めて装着/非装着の判定処理を行ったときに抵抗成分ZReがグレーゾーンであっても、装着状態と判定される。
ステップd2において、再生している音響データが無音部分ではないと判定すると、ステップd9に移行する。ステップd9では、制御部3は、判定用音響信号の発生を停止する。判定用音響信号を発生していない状態では、判定用音響信号を発生していない状態を維持する。判定用音響信号の発生を停止すると、ステップd1に移行して装着/非装着の判定処理を繰返す。
装着/非装着の判定処理は、利用者が音響装置1の電源を切る操作を操作部8に施すと終了する。
以上説明したように、装着/非装着の判定処理においては、イヤホン2から音響が出力されていないときに可聴範囲外の判定用音響信号を音響として出力し、このときの抵抗成分ZReに基づいて装着状態か非装着状態かを判定する。判定用音響信号の周波数は、可聴範囲よりも低い周波数なので、人間の耳には音響として聞き取れないが、振動板38の振幅が大きいので、音響データに重畳させると音響データに基づく振動板38の振動に歪みが生じる。特に判定用音響信号に基づく振動板38の振動の振幅の最大値付近において音響データの音響の歪みが大きくなる。したがって判定用音響信号による音響が人間の耳に聞き取れないといえども、イヤホン2から出力される音響に影響を与える。本実施の形態では、イヤホン2から音響が出力されていないときを利用して、可聴範囲外の低周波の音響を発生させて装着状態と非装着状態とを判定するので、利用者に知覚させることなく判定処理を実行することができる。
制御部3は、状態フラグに基づいて種々の制御を行う。たとえば非装着状態のときには、イヤホン2への電力の供給を停止して、イヤホン2から音響を出力しないようにする。制御部3は、状態フラグがイヤホン装着状態からイヤホン非装着状態に変化すると、CODEC7に音響データを与えることを停止して、イヤホン2への電力の供給を停止する。この状態で状態フラグがイヤホン非装着状態からイヤホン装着状態に変化すると、CODEC7に音響データを与えて、イヤホン2への電力の供給を再開する。これによって無駄な電力の消費を抑制することができる。
またたとえば音響を再生しているときにイヤホン2が取り外されると、取り外されたときに再生した音響データの位置を記憶しておき、次にイヤホン2が装着されると、記憶した音響データの位置から音響の再生を再開する。これによって、利用者がイヤホン2を取り外すときに音楽の再生を一時停止したりするなどの処理を行うことなく、イヤホン2を取り外した位置から音響の再生を再開することができ、利用者の利便性が向上する。
本実施の形態の増幅器11は、アブソーバ24およびフィルタ25を備えるとしたけれども、アブソーバ24およびフィルタ25を備えなくてもよい。
以上説明した本実施の形態の音響装置1によれば、イヤホン2の抵抗成分ZReに基づいてイヤホン2が装着状態か非装着状態かを判定することができる。この抵抗成分ZReは、イヤホン2の電圧および電流から求めることができるので、特別な検出器を備えない汎用のイヤホンであっても、装着状態と非装着状態とを判定することができる。
また本実施の形態の音響装置1は、従来の音響装置のハード的な構成に電流検出用抵抗器34を加え、かつ制御部3が実行するプログラムを従来の音響装置のプログラムから変更するだけで、抵抗成分ZReを算出し、装着状態と非装着状態とを判定することができる。このように従来の音響装置から装置の構成を複雑にすることなくイヤホン2の装着状態と非装着状態とを判定する音響装置を実現することができる。
また本実施の形態の音響装置1は、図10に示すフローの処理を行うことによって、装着状態および非装着状態における抵抗成分ZReの大きさに基づいて判定レベルを設定する。制御部3は、このように実際の装着状態と非装着状態との抵抗成分ZReに則して設定された判定レベルに基づいて装着状態か非装着状態かを判定するので、精度の高い判定を行うことができる。
また本実施の形態の音響装置1は、判定用音響信号による音響を発生させるための電圧および電流がイヤホン2に流れているときの電圧および電流に基づいて算出された抵抗成分ZReを用いて、装着状態か非装着状態かを判定する。前述したように振動板38の振動数が低いほど、装着状態と非装着状態との抵抗成分ZReの差が大きくなる。制御部3は、装着状態と非装着状態との抵抗成分ZReの差が大きいときの抵抗成分ZReに基づいて装着状態か非装着状態かを判定するので、精度の高い判定を行うことができる。
本実施の形態ではグレーゾーンの幅を、非装着時インピーダンスZ2から装着時インピーダンスZ1を減算(Z2−Z1)した値の3分の1としたけれども、この幅に限られずにイヤホン2の装着状態と非装着状態とを判定することができる精度などに応じて設定される。
本発明の他の実施の形態の音響装置1は、前述の実施の形態のシングルエンディッドアンプ回路を用いた増幅部11を、BTL(Bridged Transformer Less)アンプ回路を用いた増幅部53に置換した構成である。アンプ回路の置換にともなって、本実施の形態の音響装置1における電圧検出部52および電流検出部54の構成は、前述の実施の形態の音響装置1における電圧検出部10および電流検出部12の構成とそれぞれ異なる。本実施の形態の音響装置1は、前述の実施の形態の音響装置1と同様の構成であるので、対応する部分については同一の参照符号を付して重複する説明を省略する。
図14は、CODEC51と電圧検出部52と増幅部53と電流検出部54とイヤホン2とを模式的に示す回路図である。
CODEC51は、復号化した電気信号を出力する音響データ出力(Audio output)端子55と、電圧検出部52からの電気信号が入力される電圧信号入力(LINE input A)端子56と、電流検出部54からの電気信号が入力される電流信号入力(LINE input B)端子57とを含む。
増幅部53の入力は、音響データ出力端子16に接続され、増幅部53の出力は、イヤホン2の信号線15の一方の終端15aに接続される。増幅部53は、音量調整用の可変抵抗器21と、電気信号の直流成分を除去するコンデンサ22と、BLT増幅器58と、アブソーバ24とを含んで構成される。
可変抵抗器21は、音響データ出力端子55とグランドとの間に直列に接続され、復号化した電気信号を分圧する。BLT増幅器58の入力は、コンデンサ22を介して可変抵抗器21に接続される。可変抵抗器21によって分圧された電気信号は、コンデンサ22によって直流成分が除去されてBLT増幅器58に入力される。
BLT増幅器58は、入力された電気信号の電圧を増幅して2つの電気信号を出力する。BLT増幅器58から出力される2つの電気信号のうちの一方の電気信号の位相は、入力された電気信号の位相と同じであり、他方の電気信号は、入力された電気信号の位相を反転したものである。BLT増幅器58から出力される2つの電気信号の振幅は、それぞれ互いに等しい。したがってBLT増幅器58から出力される2つの電気信号の差分の波形は、入力された電気信号の波形の振幅を大きくしたものである。BLT増幅器58の電気信号が出力される2つの端子の一方は、信号線15の一方の終端15aに接続される。BLT増幅器58の電気信号が出力される2つの端子の他方は、後述する電流検出用抵抗器61を介して信号線15の他方の終端15bに接続される。イヤホン2には、コンデンサ28と抵抗器29とが直列に接続されて構成されるアブソーバ24が、直列に接続される。
電圧検出部52は、演算増幅器62、4つの抵抗器63および2つのコンデンサ64を含んで構成される差動増幅回路によって実現される。2つのコンデンサ64は、差動増幅回路の2つの入力の端部に設けられ、直流の電気信号を除去する。電圧検出部52には、BLT増幅器58から出力される2つの電気信号が入力される。電圧検出部52は、BLT増幅器58から入力される2つの電気信号の差分を電気信号として出力する。したがって電圧検出部52から出力される電気信号は、イヤホン2の信号線15に印加される電圧を表す。電圧検出部52の出力は、電圧信号入力端子56に接続される。したがって、電圧信号入力端子17からCODEC51に入力される電気信号は、イヤホン2に印加される電圧を表す。
電流検出部54は、演算増幅器66、4つの抵抗器67および2つのコンデンサ68を含んで構成される差動増幅回路と、電流検出用抵抗器61によって実現される。2つのコンデンサ64は、差動増幅回路の2つの入力の端部に設けられ、直流の電気信号を除去する。差動増幅回路の2つの入力の一方は、信号線15の他方の終端15bに接続され、2つの入力の他方は、前述したようにBLT増幅器58の電気信号が出力される2つの端子の他方に接続される。電流検出用抵抗器61は、差動増幅回路の2つの入力の間に接続される。電流検出用抵抗器61には、イヤホン2の信号線15を流れる電流が流れる。したがって電流検出用抵抗器61に生じる電圧降下は、イヤホン2の信号線15を流れる電流の大きさを表す。差動増幅回路は、電流検出用抵抗器61に生じる電圧降下を増幅して出力し、電流信号入力端子58に与える。したがって、電流信号入力端子57からCODEC51に入力される電気信号の電圧は、イヤホン2に流れる電流を表す。
シングルエンディッドアンプ回路を用いた増幅部11から、BTLアンプ回路を用いた増幅部53に置換した構成であっても、イヤホン2に印加される電圧および電流を表す電気信号をCODEC51に入力することができる。これによって前述の実施の形態の音響装置1と同様に、制御部3は、抵抗成分ZReを算出することができ、この抵抗成分ZReを用いて装着状態と非装着状態とを判定することができる。
本実施の形態の音響装置1の増幅部53は、アブソーバ24を備えるとしたけれども、アブソーバ24を備えなくてもよい。
本発明の他の実施の形態の音響装置1は、音響情報のうちの予め定める音量以下の音量を表す低音量部分に、判定用音響信号を重畳して、イヤホン2から出力し、このときの抵抗成分ZReを検出することによって装着状態か非装着状態かを判定する。
図15は、制御部3が音響データを再生するときの再生処理を表すフローチャートである。図16は、音響データ71に判定用音響信号を重畳する処理を説明するための図である。利用者が記録媒体に記録された音響データを再生するための再生ボタンを押下ると、ステップe0からステップe1に移行する。
ステップe1では、制御部3は、読込み部4を制御して、次に再生する音響データ71の位置から予め定める時間分の音響データ71を読込み、読込んだ音響データ71を予め定める時間毎に分割して複数のフレームから成るフレーム群72を生成し、記憶部5に記憶させる。図16では、読込んだ音響データ71を10個のフレームに分割したときのフレーム群72を示し、時系列順に各フレームに対して1〜10までの番号を付している。各フレームが表す音響の時間は、数十msec〜数百msec程度に選ばれる。次にステップe2に移行する。
ステップe2では、制御部3は、まず各フレームのデータに基づいて、各フレームを音響として再生するときの音量を算出するとともに、算出した音響の音量の平均値を算出する。次に制御部3は、音量の平均値に対して−20dB以下の音量の低音量部分に相当するフレームにフラグを付与する。このフラグは、後述するように判定用音響信号を合成すべきフレームであることを表す。なおステップe2における音量とは、イヤホン2から実際に音響として出力される音響の音量ではなく、音響データに基づく音量であって、音響データ出力端子16から出力される電気信号の大きさに相当する。すなわち利用者の設定する音量に依存しない音量である。図16では、フラグを付与したフレームを記号「○」で表し、フラグを付与していないフレームを記号「×」で示している。すなわち2,3,7,8,9番目のフレームに対してフラグを付与し、1,4,5,6,10番目のフレームに対してフラグを付与していない。次にステップe3に移行する。
ステップe3では、制御部3は、ステップe1で生成したフレームの少なくとも1つにフラグが付与されたか否かを判定し、フラグが付与されていればステップe4に移行する。ステップe4では、制御部3は、フラグが付与されたフレームのデータに、判定用音響信号を重畳して、ステップe5に移行する。図16に示すフレーム群72に対しては、フラグを付与した2,3,7,8,9番目のフレームに対して判定用音響信号を重畳して新たなフレームを生成する。
ステップe3において、ステップe1で生成したフレームにフラグを付与していないと制御部3が判定すると、ステップe1で生成したフレームを修正することなくステップe5に移行する。
ステップe5では、制御部3は、フレームをCODEC7に与えることによってスピーカ5から音響データを再生させ、ステップe6に移行する。ステップe6では、制御部3は、再生すべき音響データの全てを再生したか否かを判定し、まだ再生していない音響データが残っていればステップe1に移行する。全ての音響データを再生したと制御部3が判定すると、ステップe7に移行して再生処理を終了する。
制御部3は、フラグの付与されたフレームが表す音響をイヤホン2から出力しているときのイヤホン2に印加される電圧および電流に基づいて、図13のフローのステップd4〜ステップd8の処理を行う。フラグが付与されたフレームには、判定用音響信号が重畳されているので、制御部3は、装着状態と非装着状態とにおける抵抗成分ZReの差が大きいときの抵抗成分ZReに基づいて装着状態か非装着状態かを判定を行う。これによって、制御部3は、精度の高い判定を行うことができる。
本発明の他の実施の形態の音響装置1の制御部3は、前述の実施の形態のイヤホン2のインピーダンスを検出するZRe検出処理において、判定用音響信号によってイヤホン2に印加された電圧および電流に基づいて、抵抗成分ZReを算出する。
具体的には、ZRe検出処理を行う前に、まず制御部3は、CODEC51から与えられるイヤホン2の電圧および電流を表す電気信号を記憶部5に記憶させる。次に、制御部3は、記憶部5に記憶された電圧および電流を表す電気信号のうちの予め定める周波数以下の周波数成分を残して、予め定める周波数よりも高い周波数成分を除去する。すなわち制御部3は、低域通過フィルタとして機能する。制御部3は、FIR(Finite Impulse
Response)デジタルフィルタおよびIIR(Infinite Impulse Response)デジタルフィルタなどによって低域通過フィルタを実現する。制御部3は、予め定める周波数よりも高い周波数成分を除去したイヤホン2に印加された電圧および電流に基づいて、抵抗成分ZReを算出する。前記予め定める周波数、すなわちカットオフ周波数は、判定用音響信号の周波数よりも高い値に選ばれ、たとえば50Hz〜500Hz程度に選ばれる。より好ましくは、カットオフ周波数は、300Hzに選ばれる。
以上説明した本実施の形態の音響装置1によれば、イヤホン2の電圧および電流から音響データによる周波数成分を除去するので、判定用音響信号によるイヤホン2の電圧および電流に基づいて抵抗成分ZReが算出される。これによって抵抗成分ZReから音響データの影響を除去することができ、高精度に装着状態か非装着状態かを判定することができる。
本実施の形態の音響装置1は、制御部3が低域通過フィルタとして機能するとしたけれども、制御部3が低域通過フィルタとして機能せずに、低域通過フィルタを実現する専用のハードウエアであるDSP(Digital Signal Processor)をさらに備えてもよい。DSPを備えることによって制御部3の演算の負荷が低減する。
また本発明の他の実施の形態の音響装置1は、制御部3が高速フーリエ変換(Fast
Fourier Transform;略称FFT)を行い、判定用音響信号の周波数成分のイヤホン2の電圧および電流に基づいてZRe検出処理を行う。音響データは、音源に応じて周波数成分が異なるが、判定用音響信号の周波数成分を用いて抵抗成分ZReを算出するので、音響データの種類に依存しない抵抗成分ZReを算出することができる。これによって制御部3は、音響データの種類に依存せずに装着状態と非装着状態とを判定することができ、判定精度が向上する。
本発明の他の実施の形態の音響装置1は、音響情報のうちの予め定める音量以下の音量を表す低音量部分を、前記判定用音響信号に置換して、イヤホン2から出力し、このときの抵抗成分ZReを検出することによって装着状態か非装着状態かを判定する。本実施の形態の音響装置1の再生処理は、前述の実施の形態の音響装置1の再生処理のステップe4の処理が異なるのみなので、重複する説明を省略して異なる処理についてのみ説明する。
図17は、制御部3が音響データを再生するときの再生処理を表すフローチャートである。ステップf0〜ステップf3の処理は、ステップe0〜ステップe3の処理とそれぞれ同じであり、ステップf5〜ステップf7の処理は、ステップe5〜ステップe7の処理と同じなので、重複する説明を省略する。
ステップf3において、ステップf1で生成したフレームの少なくとも1つにフラグが付与されたと制御部3が判定すると、ステップf4に移行する。ステップf4では、制御部3は、フラグが付与されたフレームのデータを、判定用音響信号に置換して、ステップf5に移行する。図16に示すフレーム群72に対しては、フラグを付与した2,3,7,8,9番目のフレームを判定用音響信号に置換して新たなフレームを生成する。
制御部3は、フラグの付与されたフレームが表す音響をイヤホン2から出力しているときのイヤホン2に印加される電圧および電流に基づいて、図13のフローのステップd4〜ステップd8の処理を行う。フラグが付与されたフレームは、判定用音響信号に置換されているので、制御部3は、装着状態と非装着状態とにおける抵抗成分ZReの差が大きいときの抵抗成分ZReに基づいて装着状態か非装着状態かを判定を行う。これによって、制御部3は、精度の高い判定を行うことができる。
本発明の他の実施の形態の音響装置1は、イヤホン2のインピーダンスの抵抗成分ZReを検出するZRe検出処理を複数回行って、抵抗成分ZReの平均値を抵抗成分ZReとして利用する。具体的には、図13のフローのステップd0〜ステップd4までの処理を複数回繰返し、抵抗成分ZReの相加平均を算出して、この相加平均に基づいてステップd5〜ステップd8までの処理を行う。
以上説明した本実施の形態の音響装置1によれば、抵抗成分ZReの相加平均を用いることによって、抵抗成分ZReの誤差を除去することができ、高精度の抵抗成分ZReを算出することができる。制御部3は、高精度の抵抗成分ZReに基づいて装着状態か非装着状態かを判定するので、精度の高い判定結果を得ることができる。
本発明の実施の一形態の音響装置1の構成を示すブロック図である。 CODEC7と電圧検出部10と増幅部11と電流検出部12とイヤホン2とを模式的に示す回路図である。 音響装置1に接続されるイヤホン2の断面図である。 イヤホン2が耳40に装着された状態におけるイヤホン2と顔の一部とを模式的に示す図である。 イヤホン2が耳40に装着された状態における振動板38の動作を説明するための図である。 イヤホン2に印加する電圧と、流れる電流との関係を模式的に示すグラフである。 インピーダンスをフェーザ表示した図である。 電流をフェーザ表示した図である。 ZRe検出処理を表すフローチャートである。 制御部3が判定レベルを設定する処理を表すフローチャートである。 イヤホン装着判定レベルZ3と、イヤホン非装着判定レベルZ4とを設定する処理を表すフローチャートである。 装着時インピーダンスZ1と、非装着時インピーダンスZ2と、イヤホン装着判定レベルZ3と、イヤホン非装着判定レベルZ4との関係を説明するための図である。 装着/非装着の判定処理を表すフローチャートである。 CODEC51と電圧検出部52と増幅部53と電流検出部54とイヤホン2とを模式的に示す回路図である。 制御部3が音響データを再生するときの再生処理を表すフローチャートである。 音響データ71に判定用音響信号を重畳する処理を説明するための図である。 制御部3が音響データを再生するときの再生処理を表すフローチャートである。
符号の説明
1 音響装置
2 イヤホン
3 制御部
4 読込み部
5 記憶部
7,51 CODEC
10,52 電圧検出部
11,53 増幅部
12,54 電流検出部
13 DECODER
14 A/Dコンバータ
34,61 電流検出用抵抗器
37 ボイスコイル
38 振動板
39 磁石

Claims (3)

  1. 磁界を発生する磁界発生部と、磁界発生部が発生する磁界中に設けられ、電流を流すことによって磁界を発生し駆動するコイル部を有する導線部と、コイル部に支持されてコイル部の駆動によって振動する振動板とを含むイヤホンが接続される音響装置であって、
    音響情報に応じて、音響を発生させるための電流を前記導線部に与える電力供給手段と、
    可聴周波数の下限値である20Hzよりも低い周波数の音響を表す判定用音響情報を生成する判定用音響情報生成手段と、
    音響情報のうちの予め定める音量以下の音量を表す低音量部分を検出する低音量部分検出手段と、
    前記低音量部分検出手段によって検出された低音量部分に、前記判定用音響情報を重畳する重畳手段と、
    前記音響情報のうち判定用音響情報が重畳された部分に応じて音響を発生させるための電流を前記電力供給手段が前記導線部に与えているときに、前記導線部に流れる電流の大きさを求める電気特性検知手段と、
    前記電気特性検知手段によって求めた電流の大きさに基づいて振動板の振動を妨げる負荷の大きさを算出する負荷算出手段と、
    前記負荷算出手段の算出した負荷の大きさと予め定める判定基準値とを比較して、イヤホンが耳孔に装着されている装着状態か、装着されていない非装着状態かを判定し、判定結果を出力する判定手段とを含むことを特徴とする音響装置。
  2. 磁界を発生する磁界発生部と、磁界発生部が発生する磁界中に設けられ、電流を流すことによって磁界を発生し駆動するコイル部を有する導線部と、コイル部に支持されてコイル部の駆動によって振動する振動板とを含むイヤホンが接続される音響装置であって、
    音響情報に応じて、音響を発生させるための電流を前記導線部に与える電力供給手段と、
    可聴周波数の下限値である20Hzよりも低い周波数の音響を表す判定用音響情報を生成する判定用音響情報生成手段と、
    音響情報のうちの予め定める音量以下の音量を表す低音量部分を検出する低音量部分検出手段と、
    前記低音量部分検出手段によって検出された低音量部分を、前記判定用音響情報に置換する置換手段と、
    前記音響情報のうち判定用音響情報の部分に応じて音響を発生させるための電流を前記電力供給手段が前記導線部に与えているときに、前記導線部に流れる電流の大きさを求める電気特性検知手段と、
    前記電気特性検知手段によって求めた電流の大きさに基づいて振動板の振動を妨げる負荷の大きさを算出する負荷算出手段と、
    前記負荷算出手段の算出した負荷の大きさと予め定める判定基準値とを比較して、イヤホンが耳孔に装着されている装着状態か、装着されていない非装着状態かを判定し、判定結果を出力する判定手段とを含むことを特徴とする音響装置。
  3. 磁界を発生する磁界発生部と、磁界発生部が発生する磁界中に設けられ、電流を流すことによって磁界を発生し駆動するコイル部を有する導線部と、コイル部に支持されてコイル部の駆動によって振動する振動板とを含むイヤホンが接続される音響装置であって、
    音響情報に応じて、音響を発生させるための電流を前記導線部に与える電力供給手段と、
    可聴周波数の下限値である20Hzよりも低い周波数の音響を表す判定用音響情報を生成する判定用音響情報生成手段と、
    音響情報のうちの無音を表す無音部分を検出する無音部分検出手段と、
    前記無音部分検出手段によって検出された無音部分を、前記判定用音響情報に置換する置換手段と、
    前記音響情報のうち判定用音響情報の部分に応じて音響を発生させるための電流を前記電力供給手段が前記導線部に与えているときに、前記導線部に流れる電流の大きさを求める電気特性検知手段と、
    前記電気特性検知手段によって求めた電流の大きさに基づいて振動板の振動を妨げる負荷の大きさを算出する負荷算出手段と、
    前記負荷算出手段の算出した負荷の大きさと予め定める判定基準値とを比較して、イヤホンが耳孔に装着されている装着状態か、装着されていない非装着状態かを判定し、判定結果を出力する判定手段とを含むことを特徴とする音響装置。
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