JP4879814B2 - 閉空間内の状態推定方法、及びその方法を用いて恒温槽の温度状態を監視する装置 - Google Patents

閉空間内の状態推定方法、及びその方法を用いて恒温槽の温度状態を監視する装置 Download PDF

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本発明は、例えば材料試験に用いられる恒温槽の内部のような閉空間において温度等、所定の状態を表す物理量を推定する方法に関し、さらにその推定方法を用いて槽内の状態を監視する装置に係る。
従来より、例えば材料の試験に用いられる恒温槽や恒温恒湿槽のように、槽内の閉空間における温度や湿度等を予め設定した状態に安定的に維持するようにしたものが知られている(例えば特許文献1を参照)。このような恒温恒湿槽では、一般的に、断熱壁で囲まれた槽内に温度センサや湿度センサ等を設け、これらの計測値に基づいて冷凍機、加湿機及び加温機を制御して、槽内に調和空気を供給するようになっている。
また、恒温恒湿槽には槽内の温度や湿度の状態を監視するためのモニター(監視装置)が付加されていることが多く、前記センサによる槽内の温度や湿度(以下、まとめて温湿度と略称することもある)の計測値をディスプレーにリアルタイムで表示するようになっている。
ところで、恒温恒湿槽では槽内全体の温湿度ができるだけ設定値に近づくように、即ち温湿度分布ができる限り均一になるようにするのが好ましく、そのためには、まず槽内全体の実際の温湿度状態を知ることが重要であるが、通常、槽内に温湿度のセンサは1つだけしか設けられておらず、このセンサ付近の温湿度を計測しているに過ぎない。
このため、特に槽内に物品が収容されている場合のように、温湿度の空間的なばらつきが大きくなりやすい条件下では、前記1つだけのセンサによる計測値が槽内全体の温湿度状態を代表する値とは言えず、当然ながら、その計測値のみに基づいて空調制御を行っても、槽内の温湿度分布を均一化することはできない。
この点、センサを槽内の複数箇所に設けることは考えられ、例えば特許文献2には安眠カプセルのような寝室の空調システムにおいて、寝床の複数箇所に温度センサを配設し、それらの計測結果から寝床の温度分布を導いて、空調機を制御するようにしたものが開示されている。
特開平07−140061号公報 特開2006−29669号公報
しかしながら、前記後者の従来例(特許文献2)には、単に、複数の温度センサからの信号の出力パターンに基づいて、就寝者が仰向きか横向きか或いは掛け布団を掛けているか否かといった簡単な判定をすることが開示されているに過ぎず、この文献に記載の技術的事項を恒温恒湿槽に適用して、槽内の複数箇所にセンサを設けたとしても、それだけでは槽内全体の温湿度状態を精度よく推定することはできない。
斯かる点に鑑みて本発明の目的は、例えば恒温槽の内部のような閉ざされた空間の複数箇所においてそれぞれ所定回数、温度等の物理量を計測するとともに、この計測値データを統計的手法により処理することで、限られた数のデータから槽内全体の状態を精度良く推定できるようにすることにある。
前記の目的を達成すべく本発明は、複数のセンサによる計測値のデータを、閉空間全体の仮想の計測値の集合(母集団)からランダムに抜き出した標本とみなし、そのデータを分散分析の手法により処理して、所謂95%信頼区間のような信頼度の高い数値区間でもって、閉空間内の状態を表す(即ち所定の物理量の分布を推定する)ようにした。
具体的に請求項1の発明は、閉空間内の状態を表す所定の物理量を統計的手法によって推定する方法であって、その閉空間内の複数aの箇所に設けたセンサによりそれぞれ所定回数n、前記物理量を計測し、それらa箇所のセンサのうち、i(iは1からaまでの整数)番目のセンサによるj(jは1からnまでの整数)回目の計測値をyijとして、計測値を整理した上で、この計測値のデータに基づいて前記閉空間内の前記物理量の分布区間を、それが所定の信頼度で含まれる数値区間である以下の式(A)によって表すようにした。
Figure 0004879814
ここで、前記式(A)の第1項は、計測値yijの全ての相加平均である。また、第2項のtα,νは所謂t分布(スチューデント分布とも呼ばれる)の確率変数であって、前記の所定物理量が前記数値区間に含まれる確率(1−2α)と、計測値の個数に対応する自由度νとによって求められる。尚、一般にt分布の確率密度関数は、ガンマ関数Γと自由度νとを用いて以下の式(F)によって表されるが、この式を解く必要はなく、t値は、所謂t分布表から読み取って求めることができる。
Figure 0004879814
また、前記式(A)の第2項のs2 Tは、センサ各々の計測値群の間の計測値のばらつきを表す群間変動(Between Treatment Sum of Squares:因子変動、群間平方和ともいう)を自由度で除したものであり、一方、s2 Eは、センサ各々の計測値の群内における計測値のばらつきを表す群内変動(Sum of Squares of Experimental Error:誤差変動、群内平方和ともいう)を自由度で除したものであって、それぞれ、以下の式(B)、式(C)によって求められる。
Figure 0004879814
そして、前記式(A)は、詳しくは後述するが、閉空間内全体に所定物理量が正規分布していると仮定した場合に、その真値(例えば総平均値)が90%、95%、99%等、任意に設定した信頼度(確率)で含まれるはずの数値区間を表しており、これを用いれば前記閉空間内全体に分布する前記物理量の分布区間、即ちこの物理量で表される閉空間内の状態を、精度良く推定することができる。
前記の推定方法を用いれば、例えば恒温槽内の温度分布を推定したり(請求項2)、恒温恒湿槽内の温度及び湿度分布を推定したりすることができ、特に、医薬品の安定性試験に用いられる恒温恒湿槽のように高い精度を要求されるものに好適である。
ところで、一般に計測にはセンサ或いはその出力信号を処理する機器(記録計や回路装置等)の分解能や精度に起因する不確かさ(計測の結果に付随した、合理的に計測量に結びつけられ得る値のばらつきを特徴づけるパラメータ)が含まれており、これらは上述した推定の精度を低下させる要因となっている。
そこで好ましいのは、センサ及びその出力信号を処理する機器の合成不確かさ(複数の不確かさの成分がある場合に、それらを二乗和として合成した二乗平均値)をuとして、この合成不確かさuを組み込んだ以下の式(D)によって、閉空間内の状態を推定することである(請求項3)。
Figure 0004879814
こうすれば、計測に付随する不確かさを閉空間内の状態の時間的な変動と同様に取り扱って、それを適切に組み込んだ態様で推定を行えるので、閉空間内の状態をより高い精度で推定することができる。
以上のような推定方法を用いて、請求項4の発明は、槽内の温度状態を設定値に維持する恒温槽に付設されて、該槽内の少なくとも温度状態を監視するための監視装置を対象とし、その槽内の複数aの箇所にそれぞれ温度センサを設けるとともに、これらa個の温度センサのそれぞれによる所定回数nの計測値を、i(iは1からaまでの整数)番目のセンサによるj(jは1からnまでの整数)回目の計測値をyijとして、整理して記憶する温度データ記憶手段と、該温度データ記憶手段に記憶された温度の計測値データに基づいて槽内温度の分布区間を、それが所定の信頼度で含まれる数値区間である上述の式(A)によって表す推定手段と、を備えるものとする。
前記の監視装置によると、恒温槽内の複数箇所における温度の計測値データに基づいて、前記請求項1の発明の推定方法により槽内全体の温度分布を例えば90%、95%、99%等、任意に設定した信頼度の数値区間として推定することができ、槽内の実際の温度状態を正確に監視することができる。また、その推定結果に基づいて適切な空調制御を行うようにすれば、槽内の温度分布を従来よりも均一化することも可能になる。
ここで、推定手段は、前記したように、温度センサ及びその出力信号を処理する機器の合成不確かさuを組み込んで、槽内温度の分布区間を上述の式(D)によって表すものとするのが好ましい(請求項5)。
また、好ましいのは恒温恒湿槽に適用することであり、この場合に前記恒温槽は、槽内の湿度状態も設定値に維持するものとなる。そして、槽内の複数a箇所にはそれぞれ露点温度センサも設けるとともに、これらの各露点温度センサによる露点温度の計測値と温度センサによる温度の計測値とから相対湿度を計算する湿度計算手段と、該湿度計算手段による計算値を、i番目のセンサによるj回目の計測値に対応するもの(計算値)をyijとして、整理して記憶する湿度データ記憶手段と、を備える。
その上で、推定手段は、前記湿度データ記憶手段に記憶された相対湿度の計算値データに基づいて、槽内の相対湿度の分布区間を、それが所定の信頼度で含まれる数値区間である上述の式(A)によって表すものとすればよい(請求項6)。
そうした場合にも、前記槽内温度の推定と同様に不確かさを組み込むことが好ましく、例えば温度センサ、露点温度センサ及びそれらの出力信号をそれぞれ処理する機器の不確かさを各々ucL(Lは、センサ及び機器の数:1,2,…)とし、温度及び相対湿度の単位の変換に係る感度係数をCLとして、槽内湿度の分布区間を以下の式(E)によって表すようにすればよい(請求項7)。
Figure 0004879814
ところで、前記のようにa×n個の計測値データに基づいて槽内の温度状態等を推定するためには、これに先立って例えば数分から十数分以上の時間に亘り温度等の計測を行う必要があり、その分、槽内の状態推定及び監視の結果が出るのが遅れてしまうという問題がある。
そこで、好ましいのは、温度や湿度のセンサによるn+1回目の計測値が得られたときに、該各センサによる1回目の計測値をデータから削除して、2回目からn+1回目までの計測値をそれぞれ1回目からn回目までの計測値とする新たなデータに更新する、データ更新手段を備えることである(請求項8)。
こうして計測値データを比較的短い間隔で更新するようにすれば、推定に係る時間遅れが小さくなり、概ね現在の温度状態等を表す推定結果が得られるから、槽内の監視の精度が高まり、さらには推定結果を温湿度等の制御に利用することも可能になる。
さらに、前記のような監視装置において好ましいのは、推定手段によって推定した槽内の温湿度の推定結果を表示する表示手段を備えることであり(請求項9)、特に好ましいのは、推定した数値区間を、予め設定した許容範囲と共に表示することである(請求項10)。こうすれば、表示を見たオペレータは、槽内の実際の温湿度状態がどのくらいの精度で設定値に制御、維持されているかを容易に且つ的確に理解することができる。
また、好ましいのは、推定手段によって推定した槽内の温湿度の推定結果に基づいて、温度、湿度の何れかの数値区間が予め設定した許容範囲から逸脱したときに警報を発する警報手段を備えることである(請求項11)。こうすれば、万一、槽内の温湿度状態が許容範囲外になったときにも直ちに対処できるので、安全性が高い。
尚、前記のように警報を発するか否かの判定基準となる許容範囲は、前記表示手段によってオペレータに表示する許容範囲とは異なるものであってもよいし、両者は同じものであってもよい。
また、好ましいのは、オペレータの操作による入力を受けて、推定手段における槽内の温度乃至湿度が数値区間に含まれる信頼度(例えば90%、95%、99%等であり、上述の式(A)におけるtα,νの値に反映されて、同式によって表される数値区間を変化させる)を変更設定する信頼度設定手段を備えることである(請求項12)。こうすれば温湿度分布の推定の信頼度を容易に変更設定することができ、利便性が高い。
以上のように、本発明に係る閉空間内の状態推定方法によると、例えば恒温槽の内部のような閉空間に分布する温度等、所定の状態を、複数箇所にてそれぞれセンサにより計測したデータに基づき、これを分散分析の手法により処理して所謂区間推定を行うことによって、限られた計測値データから閉空間内全体の状態を精度良く推定することができる。
また、前記の方法を用いて恒温槽の温度状態を監視する装置によると、例えば槽内に物品が収容されている場合のように空間的な温度ばらつきが大きくなりやすい条件下であっても、その温度分布を精度良く推定して正確な監視が行えるとともに、適切な空調制御によって温度分布を従来よりも均一化することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1には、本発明の実施形態に係る監視装置A(図2参照)を搭載した恒温恒湿槽1の一例を示し、同図(a)は恒温恒湿槽1の外観を、また(b)は扉2を開けて、槽内の閉空間Sを示す。この恒温恒湿槽1は、一例として医薬品の安定性試験に使用されるものであり、そのために槽内の温度や湿度(以下、まとめて温湿度と略称することもある)を予め設定した範囲内に安定的に維持するものである。
すなわち、同図(b)に示すように槽内背面の最上部には格子状の空気吹出口3が開口され、図示は省略するが、冷凍機、加湿機、加温機等を有する空気調和装置によって温度及び湿度を調整した調和空気Airが供給されるようになっている。図の例では槽内には棚板4,4が2枚、配設されていて、それぞれに医薬品のような物品が上載されるとともに、温度計及び露点温度計が一体化されたデジタル温湿度センサ5,5,…が5箇所に配設されている。
尚、前記センサ5,5,…は最低2箇所以上とする必要があり、3箇所以上に配設することが好ましい。また、センサ5,5,…は前記のように槽内壁面に配設する必要はなく、例えば天井面から垂らしたり、天井面或いは壁面にステーを介して取り付けたりすることもでき、さらには棚板4の格子状の部位に配設することもできる。
前記センサ5,5,…からの信号は、恒温恒湿槽1の下部に配設されているコントローラ6へ送られ、このコントローラ6は、槽内の温湿度が予め設定した状態になるように、センサ5,5,…の計測値に応じて空気調和装置を制御する。すなわち、図2に概略を示すように、センサ5,5,…からの信号(温度及び露点温度の計測値のデジタル信号)はそれぞれ増幅されて、コントローラ6のデータ記憶部6a(メモリ等を備える温度データ記憶手段)に記憶、即ち電子的に格納されるとともに、偏差演算部6bにも送られ、ここでは温湿度の計測値と予め設定した目標値との偏差が演算される。
そうして演算した偏差に応じて、制御調節量演算部6cでは偏差が小さくなるよう温湿度を調節するための空気調和装置への制御調節量が演算され、この制御調節量の情報を含んだ制御信号が空気調和装置へ出力される。これに応じて空気調和装置が作動し、空気吹出口3を経て槽内に供給する調和空気の温度、湿度、流量等が適切に調節される。尚、温湿度の制御目標値は、図の例では恒温恒湿槽1の扉2に配置されている操作盤7に入力されて、設定される。
また、コントローラ6は、データ記憶部6aに格納した温湿度の計測値データに基づいて、槽内の温湿度状態を推定する推定演算部6d(推定手段、表示手段)を備えており、その推定結果を恒温恒湿槽1の扉2に配置されているディスプレー8に表示するようになっている。この推定結果は、詳しくは後述するが、槽内全体の温湿度分布に係る例えば95%の信頼度の数値区間として表示される(図4、5参照)。
さらに、コントローラ6は、前記の推定結果から槽内の温湿度が許容範囲から逸脱したかどうかを判定する判定部6eを備えており、温湿度の何れかが許容範囲から逸脱すれば判定部6eからシグナル9に作動信号が出力され、これを点滅させるようになっている。この判定部6e及びシグナル9が警報手段に相当する。また、コントローラ6には操作盤7への入力に応じて温湿度の推定の信頼度を設定する信頼度設定部6f(信頼度設定手段)も備わっている。
尚、前記偏差演算部6b、制御調節量演算部6c、推定演算部6d、判定部6e及び信頼度設定部6fの機能は、いずれもコントローラ6において所定の制御・演算プログラムが実行されることによって実現されるものであり、言い換えると、前記各部6b〜6fはソフトウエアプログラムの形態で備わっている。また、前記センサ5,5,…、コントローラ6、操作盤7、ディスプレー8、シグナル9等によって、恒温恒湿槽1の槽内の温湿度状態を監視する監視装置Aが構成されている。
−温湿度状態の推定−
次に、本発明の主たる特徴部分として、前記コントローラ6の推定演算部6dにおける温湿度分布の推定について説明する。これは、前記のようにセンサ5,5,…によって計測した温湿度のデータを分散分析の手法により処理して、槽内の温湿度状態を所謂信頼区間と呼ばれる所定の信頼度の数値区間で表すようにしたものである。しかも、この実施形態では、そうして信頼区間を求める際に、計測値データに含まれる誤差ばらつきの中に計測系の不確かさも組み込むようにしている。
以下、具体的に槽内温度の推定について詳細に説明する。まず、コントローラ6のデータ記憶部6aに格納される計測値データの構造は、以下の表1に示すようになり、槽内の複数aの箇所(図1の例では5箇所、a=5)に配設されたセンサ5,5,…のそれぞれによる所定回数nの計測値が、i(i=1〜a)番目のセンサによるj(j=1〜n)回目の計測値をyijとして、整理して記憶される。
Figure 0004879814
前記表1において計測値y11は、1番目のセンサ5による1回目の計測値であり、y12は同2回目、…y1jは同j(j=1〜n)回目の計測値である。同様に計測値yi1は、i番目のセンサ5による1回目の計測値であり、yi2は同2回目、…yijは同j(j=1〜n)回目の計測値である。
こうしてデータ記憶部6aにはセンサの個数aと各々の計測回数nとの積であるa×n個の計測値が格納されており、これを統計的に処理することによって、例えば表の最右列に示すように、センサ5各々の計測値の群内における平均値ave_y1●、ave_y2●、…が得られる。尚、表の枠外に示すように、添字の● は、i、jのそれぞれについての総和としたことを表し、「ave_」は平均値であることを表す。
ここで、前記のようにa×n個の計測値yijのデータを得るためには、例えば1分間隔で計測を行って10分〜30分くらいの時間が必要になり、その間、推定を行わないとすれば、槽内温度の推定に係る時間遅れがかなり大きなものとなってしまう。この点、この実施形態では、センサ5,5,…によるn+1回目の計測値が得られたときに、1回目の計測値をデータから削除し、2回目からn+1回目までの計測値をそれぞれシフトして、1回目からn回目までの計測値とすることで、表1の計測値データを更新するようにしている(このとき、データ記憶部6aは、データ更新手段として機能する)。
ところで、前記のようにして表1に格納される計測値データは、仮想的に槽内全体の無数の点において計測した値全体の集合(母集団)の中からランダムに抜き出した標本とみなすことができるから、この標本の統計的性質から母集団の状態を推定するために、変量模型(Random Effects Model)を適用して計測値yijを、 yij=μ+τi+εij と表す。すなわち、
ij=μ+(μi−μ)+(yij−μi)≡μ+τi+εij …(1) である。
この式(1)においてギリシャ文字μ、τ、εは母集団の特性を表し、μは真値(この場合は母集団=槽内の任意の点の温度の総平均値)である。また、τiは、センサ5の各々の設置個所等の影響によるセンサ間の計測値のばらつきを表し、εijは、センサ5各々の計測値の群内における計測値のばらつき(誤差ばらつき、random error)を表す。両者は互いに独立で且つそれぞれ正規分布するものと仮定する。
そうすると、 E(τi)=E(εij)=0 …(2)
であり、また、 V(εij)=σe 2 、V(τi)=σT 2 …(3)
であるから、(1)(3)式よりyijの分散は、次式(4)のように分解されて、
V(yij)=V(τi)+V(εij)=σT 2+σe 2 …(4) となる。
ここで、E()は期待値を、V()は分散を表す。式(1)で表される母集団の特性を計測値から推測するので、この場合、式(1)は次式(5)に書き換えられ、これを変形すると式(6)が得られる。尚、「est_」は推定量であることを表す。
Figure 0004879814
前記表1について説明したように、ave_y●●は、a×n個の計測値の総平均値である。式(5)のest_τi、est_εijはいずれも推定量なので、それぞれの自由度のt分布(スチューデント分布)に従う。式(6)の両辺を二乗して総和をとると、以下の式(7)が得られ、これから式(8)、(9)が導出される。
Figure 0004879814
式(9)の左辺は、計測値の全平均からの偏差の平方和SS(Sum of Squares)であり、全体的なばらつきを表すことから総変動と呼ばれる。右辺の第1項は、センサ5各々の計測値群の間のばらつきを表す群間変動SST(Between Treatment Sum of Squares:因子変動、群間平方和ともいう)であり、同第2項は、センサ5各々の計測値の群内におけるばらつきを表す群内変動SSE(Sum of Squares of Experimental Error:誤差変動、群内平方和ともいう)である。
前記総変動、群間変動及び群内変動をそれぞれの自由度で除したものは平均変動MS(Mean Square:平均平方和ともいう)と呼ばれ、式(4)、(9)の比較から分かるように、それぞれの分散の指標となるものである。群間変動SSTの自由度νTは(a−1)であり、群内変動SSEの自由度νEはa(n−1)である。各々の平均変動MSをs2 T、s2 Eと書くと、次式(10)、(11)のようになる。
Figure 0004879814
式(11)は、n個の計測値からなるa種類のデータ群の分散の合併推定量(pooled estimate)になっている。従って、s2 Eの期待値はσe 2である。また、s2 Tの期待値として次式(12)を導出できる。
E(s2 E)=σe 2 、 E(s2 T)=σe 2+n・σT 2 …(12)
ここで、以下の式(13)から(13')となり、(s2 T−s2 E)/n がσT 2の最良不偏推定量になっていることが分かる。以上の内容をまとめると、図3の分散分析表のようになる。
Figure 0004879814
そして、yijの分散をσyとおくと、式(4)式から σy 2 =σT 2+σe 2 …(14) となり、式(12)式より以下の式(15)、(16)が得られる。
Figure 0004879814
前記式(16)のest_σy 2 を用いて、母集団の値μが所定の確率(1−2α)で含まれる数値区間(例えばα=0.025であれば、確率0.95で所謂95%信頼区間)を求めると、次式(17)が得られる。
Figure 0004879814
ここで、tα,νはt分布の確率変数であり、μが数値区間に含まれる確率(1−2α)と計測値の個数に対応する自由度νeff(effective degree of freedom:有効自由度)とによって、周知のt分布表から読み取ることができる。ここで求めているのは計測値のばらつきであり、その平均値のばらつきではないので、式(16)を計測数nで除することはしない。尚、有効自由度νeffについては後述するようにWelch-Satterthwaiteの公式を用いて求められる。
以上のように導出された式(17)は、恒温恒湿槽1内の閉空間Sにおける温度が正規分布していると仮定して、その温度値が例えば95%等、任意に設定した信頼度(確率)で含まれるはずの数値区間を表しているから、この数値区間によって槽内温度の分布区間、言い換えると槽内全体の温度状態を精度良く推定できるものである。
尚、詳しい説明は省略するが、以上と全く同様にして、露点温度(以下、単に露点と略称する)についても槽内全体の状態を推定することができる。また、後述するが、相対湿度については温度及び露点の計測値データに基づいて推定演算部6d(ここでは湿度計算手段として機能する)により計算され、この計算値のデータが温度や露点の計測値データと同様に整理されてデータ記憶部6a(ここでは湿度データ記憶手段として機能する)に記憶される。そして、この計算値データに基づいて、前記温度についてと同様に槽内全体の状態を精度良く推定することができる。
−計測系の不確かさの組み込み−
次に、上述の如き温湿度状態の推定に、さらにセンサ5,5,…等の不確かさを組み込む手法について説明する。一般に計測値には、センサ個々の分解能や精度のばらつきによる不確かさ、或いはその出力信号を処理する機器、例えば記録計や回路装置等の不確かさが含まれており、それらの不確かさが重畳されて上述したような温湿度の推定精度を低下させることになる。
ここで、通常、センサ等の機器の不確かさは、包含計数kの拡張不確かさとしてメーカーから提供される。包含計数kは、式(17)のt値(tα,ν)に相当するものであり、以下のように取り扱うことによって、計測値に包含される計測系の不確かさを、その計測値の分散に組み込むことができる。
すなわち、センサやその信号を処理する機器の個々の不確かさは、それぞれの拡張不確かさをUL(L=1,2,3,…)として、 ucL = UL/k …(18)
と表すことができる。また、そうして複数の不確かさの成分がある場合に、それらの合成不確かさは、個々の不確かさを二乗和として合成して、二乗平均値として表されるから、例えば温度センサ5の不確かさを uc1 = U1/k とし、その信号を処理する機器の不確かさを uc3 = U3/k とすれば、それらの合成不確かさは、(U1/k)2+(U3/k)2 と表される。
前記式(18)では、L=1が温度計の不確かさ、L=2が露点温度計の不確かさ、L=3、4は、記録計等の機器の分解能や精度のばらつき等による不確かさ(複数の場合もある)を示す。この式(18)を式(16)に組み入れれば、計測系の不確かさを組み込んだ分散として次式(19)、(20)が得られる。温度については式(19)であり、露点については式(20)である。
Figure 0004879814
そして、式(17)、(18)、(19)、(20)により、温湿度に対する計測系の不確かさを組み込んだ態様で、前記した式(17)に相当する式(21)、(22)が得られる。
Figure 0004879814
続いて相対湿度について説明する。相対湿度は、上述したように温度及び露点の計測値に基づいて周知のSonntagの式により求められるから、これには温度の計測の不確かさと露点の計測の不確かさとを組み込む必要がある。また、温度の単位°Cを湿度の単位%RHに変換するので、感度計数を導入する。感度計数は、通常は変換式の偏微分係数で与えられるが、Sonntagの式は温度、露点ともに非線形の関数になっており、解析的に偏微分係数を算出することは難しいので、例えば、温度或いは露点が1°C変化した場合に変動する相対湿度の値を感度係数とすればよい。
但し、相対湿度と温度及び露点との関係は非線形なので、感度係数の値は温度及び露点の条件により異なるものとなる。そこで、温度及び露点の計測値の総平均ave_y●●を中心に±0.5°Cの間の相対湿度の変動を感度係数とする。尚、Sonntagの式そのものの不確かさがあるが、温度が0°C以上であれば無視することができる。よって、相対湿度の分散として次式(23)が得られる。
Figure 0004879814
式(23)においてc1は、温度の相対湿度への感度係数(%RH/°C)であり、c2は、露点の相対湿度への感度係数(%RH/°C)であって、それぞれ前記のようにSonntagの式により算出される。前記式(17)、(18)、(23)より、相対湿度に関しても、それを計測系の不確かさも組み込んだ態様で推定する式(24)が得られる。
Figure 0004879814
以上、述べたように、恒温恒湿槽1内の温湿度分布は、計測系の不確かさも組み込んだ態様で、前記式(21)、(22)、(24)により表される数値区間として推定される。一例として温度について推定の信頼度を95%とした場合の数値区間、即ち式(21)によって表される95%信頼区間を概念図である図4に示す。
同図に太線で示すのは温度の信頼度95%の推定区間であり、5点の黒丸が各々センサ5,5,…による温度計測値の群内平均値を概念的に示す。図示の如く、センサ5,5,…各々の計測値の群内におけるばらつき(誤差ばらつき)には計測系の不確かさが組み込まれており、また、計測値全体のばらつきには、さらに実際の温度状態の空間的なばらつきが含まれることになる。
ここで、恒温恒湿槽1内の任意の点における温湿度が95%の信頼度で許容範囲(例えば医薬品の安定性試験の許容範囲)に入っているためには、図示の例1のように、式(21)で表される数値区間R1(95%信頼区間)が許容範囲A内にある必要がある。図の例では99%信頼区間R2も許容範囲Aに入っており、この場合には槽内温度が99%の信頼度で許容範囲に入るということができる。
一方、図示の例2のように95%信頼区間R3の一部が許容範囲Aから逸脱しているときには、槽内の全ての点の温度が許容範囲に入る確率は相対的に低くなり、信頼性が低くなるといえる。
この実施形態の監視装置Aでは前記図4のような推定結果を、より分かりやすい態様で恒温恒湿槽1の扉2のディスプレー8に表示するようにしている。具体的な表示画面の一例は図5に示すようになり、推定した温度及び湿度の数値区間(図の例では95%信頼区間)をそれぞれ黒と白の棒グラフによって表示し、これと共に設定値及び許容範囲(図例では25±2°C、40±5%RH)を表示する。
そして、例えば同図(a)のように温度及び湿度の推定分布区間がいずれも設定値許容範囲の中央寄りにあって、そのばらつきや偏りが小さいことが好ましく、この場合には温湿度の制御も旨くいっていると考えられる。一方で同図(b)のように例えば湿度の分布区間が広く、そのばらつきが大きい上に、区間全体が低湿渡側(図の下側)に偏っていれば、湿度については制御パラメータを調節するのが好ましいということができ、このように画面の表示を見ただけで槽内の状態を直観的に理解することができる。
また、この実施形態の監視装置Aでは、前記のように推定する温湿度の分布区間の信頼度、即ち、槽内の温湿度が推定した数値区間に含まれる確率を、容易に変更設定できるようになっている。すなわち、例えば操作盤7に所望の信頼度の数値を入力すれば、これに応じてコントローラの信頼度設定部6fにより、前記入力された信頼度に対応するt値(tα,νの値)がt分布表から読み出されて、推定演算部6dにおける演算式(17)に設定され、これにより、同式によって表される数値区間の大きさが変化するのである。
−有効自由度の計算−
以下、参考までに自由度(有効自由度νeff)を求める手法について説明する。式(15)で表されるest_σT 2の有効自由度νeffは、近似的に次式(25)で求められる。
Figure 0004879814
また、式(16)で表されるest_σy 2の有効自由度νeffは、近似的に次式(26)で求められる。
Figure 0004879814
同様に、式(19)、(20)で表されるest_σ2 y,Temp、est_σ2 y,DPの有効自由度νeffは、次式(27)で求められる。この式(27)においてest_σ2 y,Tempの場合は、L=1,3であり、est_σ2 y,DPの場合は、L=2,4である。
Figure 0004879814
さらに、式(23)で表されるest_σ2 yRHの有効自由度νeffは次式(28)で求められる。
Figure 0004879814
尚、センサの不確かさは通常、包含係数k=2 として正規分布を仮定しているので、前記式(27)、(28)においてνL=∞と考えてよい。また、矩形分布の標準不確かさについてもνL=∞と仮定できる。
−効果−
したがって、この実施形態に係る温湿度状態の推定方法によると、恒温恒湿槽1の内部に配設した複数のセンサ5,5,…による各々所定回数の計測値データに基づいて、この計測値データを分散分析の手法により処理し、95%信頼区間のような信頼度の高い数値区間で温湿度分布を推定するようにしたから、例えば恒温恒湿槽1の温度分布は95%の信頼度で25±0.8°Cであるというように、槽内の温湿度状態を精度良く推定することができる。
しかも、前記の計測値データは、最も新しい計測値を追加しつつ最も古い計測値を削除するという手法で、比較的短間隔で更新するようにしているので、この計測値データに基づく推定の時間遅れが小さくなり、概ね現在の温湿度状態を推定することができる。この意味でも推定の精度は高く、その結果を温湿度等の制御に利用することも可能になる。
また、そうして温湿度分布を推定する際に、計測に付随する不確かさを槽内の温湿度の時間的な変動と同様に取り扱い、計測値に含まれる誤差ばらつきに計測系の不確かさを適切に組み込んだ態様で推定するようにしており、このことによっても推定の精度を高めることができる。
そうして高い精度の推定によって、この実施形態に係る監視装置Aでは、槽内に物品が収容されていて温湿度の空間的なばらつきが大きくなりやすい条件下においても、実際の温湿度状態を正確に監視することができる。また、その推定結果に基づいて適切な空調制御を行うようにすれば、槽内の温度分布を従来よりも均一化できる。よって、医薬品の安定性試験に用いる恒温恒湿槽1のように高い精度を要求されるものに好適である。
さらに、この実施形態の監視装置Aは、前記の推定結果を予め設定した許容範囲と共に棒グラフ等、直観的に理解しやすい画像で表示するようにしているので、オペレータは、槽内の実際の温湿度状態がどの程度の精度で設定値近傍に制御、維持されているかを的確且つ容易に理解することができる。
また、前記推定した温湿度分布が許容範囲から逸脱すれば、シグナル9により警報を発することで、万一、槽内の状態が許容範囲外になったとしてもオペレータが直ちに対処することができ、安全性が高い。そうして警報を発するか否かの判定基準は、前記のようにディスプレー8に表示するものと同じとしても、また、異なるものとしてもよい。
尚、本発明に係る推定方法は、前記実施形態のように恒温恒湿槽内の温湿度分布を推定する場合に限定されることなく、例えば材料試験に用いられる恒温槽内の温度分布の推定にも適用可能であることは勿論、それ以外にも例えば空調装置の制御のための空調空間の状態推定等、種々の用途に適用することができる。
また、前記の実施形態では推定の精度を高めるために、計測系の不確かさを計測値の誤差ばらつきに組み込んで推定するようにしているが、このような不確かさの取り扱いは省略して推定することも可能である。
また、前記の実施形態の監視装置Aでは、センサ5,5,…によって計測した温度及び露点から相対湿度を求めているが、これに限らず、湿度センサによって直接、湿度を計測するようにしてもよい。
以上、説明したように、本発明の状態推定方法は、限られた個数の計測値データを分散分析の手法によって適切に処理することで、閉空間内全体の正確な状態推定が可能なものであり、これを利用した監視装置は例えば医薬品の安定性試験を行う恒温恒湿槽に用いて好適である。
実施形態に係る恒温恒湿槽の(a)外観及び(b)槽内を示す斜視図である。 監視装置の概略構成を示す機能ブロック図である。 分散分析表の一例を示す説明図である。 恒温恒湿槽内の温度分布を推定した数値区間の一例を示す概念図である。 監視装置による推定温湿度分布の表示画面の一例を示す説明図である。
符号の説明
A 監視装置
S 槽内空間(閉空間)
1 恒温恒湿槽
5 デジタル温湿度センサ(センサ)
6 コントローラ
6a データ記憶部(温度データ記憶手段、湿度データ記憶手段、データ更新手段)
6d 推定演算部(推定手段、表示手段、湿度計算手段)
6e 判定部(警報手段)
6f 信頼度設定部(信頼度設定手段)
8 ディスプレー(表示手段)
9 シグナル(警報手段)

Claims (12)

  1. 閉空間内の状態を表す所定の物理量を統計的手法によって推定する方法であって、
    前記閉空間内の複数aの箇所に設けたセンサによってそれぞれ所定回数n、前記物理量を計測し、
    前記a箇所のセンサのうち、i(iは1からaまでの整数)番目のセンサによるj(jは1からnまでの整数)回目の計測値をyijとして整理した計測値データに基づいて、前記閉空間内の前記物理量の分布区間を、それが所定の信頼度で含まれる数値区間である以下の式(A)によって表す
    Figure 0004879814
    但し、
    tα,νは、t分布の確率変数であって、前記物理量が前記数値区間に含まれる確率と、計測値の個数に対応する自由度とに基づいて求められ、
    2 T、s2 Eは、それぞれ以下の式(B)、式(C)によって求められる
    Figure 0004879814
    ことを特徴とする閉空間内の状態の推定方法。
  2. 閉空間は恒温槽の内部であり、推定する物理量は温度であることを特徴とする請求項1の推定方法。
  3. センサ及びその出力信号を処理する機器の合成不確かさuを組み込んで、閉空間内の物理量の分布区間を以下の式(D)で表す
    Figure 0004879814
    ことを特徴とする請求項1又は2の何れかの推定方法。
  4. 槽内の温度状態を設定値に維持する恒温槽に付設されて、該槽内の少なくとも温度状態を監視するための装置であって、
    前記槽内の複数aの箇所にそれぞれ設けられた温度センサと、
    前記a箇所の温度センサのそれぞれによる所定回数nの計測値を、i(iは1からaまでの整数)番目のセンサによるj(jは1からnまでの整数)回目の計測値をyijとして整理して記憶する温度データ記憶手段と、
    前記温度データ記憶手段に記憶された温度の計測値データに基づいて槽内温度の分布区間を、それが所定の信頼度で含まれる数値区間である以下の式(A)によって表す推定手段と、を備える、
    Figure 0004879814
    但し、
    tα,νは、t分布の確率変数であって、槽内温度が前記数値区間に含まれる確率と、計測値の個数に対応する自由度とに基づいて求められ、
    2 T、s2 Eは、それぞれ以下の式(B)、式(C)によって求められる
    Figure 0004879814
    ことを特徴とする槽内温度の監視装置。
  5. 推定手段は、温度センサ及びその出力信号を処理する機器の合成不確かさuを組み込んで、槽内温度の分布区間を以下の式(D)によって表す
    Figure 0004879814
    ことを特徴とする請求項4の監視装置。
  6. 恒温槽は、槽内の湿度状態も設定値に維持する恒温恒湿槽であり、
    前記槽内の複数a箇所にはそれぞれ露点温度センサも設けられ、
    前記各露点温度センサによる露点温度の計測値と温度センサによる温度の計測値とから相対湿度を計算する湿度計算手段と、
    前記湿度計算手段による計算値を、i番目のセンサによるj回目の計測値に対応する計算値をyijとして、整理して記憶する湿度データ記憶手段と、を備え、
    推定手段は、前記湿度データ記憶手段に記憶された相対湿度の計算値データに基づいて槽内の相対湿度の分布区間を、それが所定の信頼度で含まれる数値区間である式(A)によって表すように構成されている
    ことを特徴とする請求項4又は5の何れかの監視装置。
  7. 推定手段は、温度センサ、露点温度センサ及びそれらの出力信号をそれぞれ処理する機器の各々の不確かさをucL(Lは、センサ及び機器の数:1,2,…)とし、温度及び相対湿度の単位の変換に伴う感度係数をCLとして、槽内湿度の分布区間を以下の式(E)によって表す
    Figure 0004879814
    ことを特徴とする請求項4〜6の何れか1つの監視装置。
  8. 各センサによるn+1回目の計測値が得られたときに、該各センサによる1回目の計測値をデータから削除して、2回目からn+1回目までの計測値をそれぞれ1回目からn回目までの計測値とする新たなデータに更新するデータ更新手段を備える
    ことを特徴とする請求項4〜7の何れか1つの監視装置。
  9. 推定手段によって推定された槽内の温度乃至湿度の推定結果を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項4〜8の何れか1つの監視装置。
  10. 表示手段は、推定結果の数値区間を、予め設定した許容範囲と共に表示することを特徴とする請求項9の監視装置。
  11. 推定手段によって推定された槽内の温度乃至湿度の推定結果に基づいて、推定した何れかの数値区間が予め設定した許容範囲から逸脱したときに警報を発する警報手段を備えることを特徴とする請求項4〜10の何れか1つの監視装置。
  12. オペレータの操作による入力を受けて、推定手段における槽内の温度乃至湿度が数値区間に含まれる信頼度を変更設定する信頼度設定手段を備えることを特徴とする請求項4〜11の何れか1つの監視装置。
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