JP4879672B2 - 車両用変速装置のシフトドラム駆動装置 - Google Patents

車両用変速装置のシフトドラム駆動装置 Download PDF

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本発明は、変速制御用電動モータと、シフトドラムとの間に、前記変速制御用電動モータで回転駆動されるとともに駆動ピンが設けられる駆動ロータならびに前記駆動ピンを選択的に係合可能な複数の係合溝を有する従動ロータを備えるゼネバストップ機構が設けられる車両用変速装置のシフトドラム駆動装置に関する。
このようなシフトドラム駆動装置は、特許文献1で既に知られており、このものでは、ゼネバストップ機構が備える従動ロータがシフトドラムに同軸に連結されている。
特許第3044498号公報
ところが、上記特許文献1で開示されたもののように、従動ロータがシフトドラムに同軸に連結される構成では、シフトドラムのシフトポジションを多く設定すると、従動ロータが大径化してしまう。すなわち従動ロータおよびシフトドラムの角変位量が同一であるので、多くのシフトポジションに合わせて従動ロータに設けられる係合溝数を増やすと、従動ロータが大径となってしまう。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、ゼネバストップ機構の従動ロータの大径化を回避しつつ多くのシフトポジションを設定することを可能とした車両用変速装置のシフトドラム駆動装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、変速制御用電動モータと、シフトドラムとの間に、前記変速制御用電動モータで回転駆動されるとともに駆動ピンが設けられる駆動ロータならびに前記駆動ピンを選択的に係合可能な複数の係合溝を有する従動ロータを備えるゼネバストップ機構が設けられる車両用変速装置のシフトドラム駆動装置において、前記従動ロータに同軸に設けられた従動ロータ軸の外周に、前記従動ロータと軸方向に間隔をおいて対向する駆動歯車が相対回転可能に支承されると共に、その駆動歯車と前記シフトドラムに同軸に設けられる被動歯車とで、前記駆動歯車に伝達された回転動力を減速して前記シフトドラムに伝達する減速歯車機構が構成され、前記駆動歯車は、前記従動ロータ側に延びて前記従動ロータ軸の外周に回転自在に嵌合、支持される円筒状の支持筒部を備え、前記従動ロータおよび前記駆動歯車間には、その間に配置されて前記支持筒部の外周を同軸に囲繞するコイル状のロストモーションばねをして前記従動ロータの回転動力を前記駆動歯車に伝達するロストモーション機構が設けられ、前記従動ロータの前記係合溝の数が前記シフトドラムのシフトポジションの数よりも少なく設定されると共に、その設定に応じた減速比に前記減速歯車機構の減速比が設定されることを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、前記ゼネバストップ機構および前記減速歯車機構を共通に収納する収納室が、エンジン本体に形成され、前記収納室の両側側壁に、前記ゼネバストップ機構および前記減速歯車機構が備える複数の軸の両端が支持されることを特徴とする。
さらに請求項記載の発明は、請求項記載の発明の構成に加えて、前記従動ロータ軸と平行な軸線を有する駆動ロータ軸が前記駆動ロータに同軸に固設され、該駆動ロータ軸の側面のうちその回動範囲で前記ロストモーション機構に臨む部分に、前記ロストモーション機構との干渉を回避する逃げ凹部が形成されることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、ゼネバストップ機構の従動ロータからの回転動力が、ゼネバストップ機構の従動ロータの係合溝の数とシフトドラムのシフトポジションの数とに対応して減速比が設定された減速歯車機構で減速されてシフトドラムに伝達されるので、全てのシフトポジションを得るにあたって従動ロータの回転数を1回転以上に設定することが可能であり、シフトポジション数が多くなっても従動ロータの角変位量を増加することで対処し得るので、従動ロータの大径化を回避しつつ多数のシフトポジションを得ることができる。
また、ロストモーション機構が従動ロータと減速歯車機構の駆動歯車との間に配置されることで、従動ロータの1回の角変位量を比較的大きく設定することが可能であるので、ロストモーションばねのねじり量を比較的大きくすることができ、ロストモーションばねのセット荷重を小さくすることが可能であり、ロストモーション機構の小型化を図ることができる。
請求項記載の発明によれば、ゼネバストップ機構が備える軸ならびに減速歯車機構が備える軸を両持ち支持として、ゼネバストップ機構および減速歯車機構の作動性を高めることができ、作動トルク低減および小型化を図ることができる。
さらに請求項記載の発明によれば、ゼネバストップ機構の駆動ロータ軸および従動ロータ軸の軸線を近接させてシフト駆動装置の小型化を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
図1〜図7は本発明の一実施例を示すものであり、図1は変速装置の一部を示す縦断面図、図2は図1の右半部の拡大図、図3は図1の左半部の拡大図、図4はシフトドラム駆動装置の構成を示す縦断面図、図5はシフトドラムの外周面の展開図、図6はゼネバストップ機構の作動状態を図4の6−6線に沿って切断して順次示す図、図7は駆動ロータの角変位位置の変化に応じた回転位置検出手段による検出状態を図4の7−7線に沿って切断して順次示す図である。
先ず図1において、たとえば自動二輪車に搭載されるエンジンのクランク軸(図示せず)からの回転動力は、一次減速装置11およびダンパばね12…を介してツインクラッチ装置13に入力される。一方、エンジン本体10の一部を構成するクランクケース14内には、選択的に確立可能な第1〜第5速用歯車列G1〜G5が収納されており、前記クランク軸から一次減速装置11およびダンパばね12…を介して伝達される動力の第1〜第5速用歯車列G1〜G5への伝達および伝達遮断が前記ツインクラッチ装置13で切換えられる。
前記クランクケース14は、自動二輪車の進行方向前方を向いた状態で右側および左側に位置する右側壁14aおよび左側壁14bと、右および左側壁14a,14b間の中間部に配置される中間壁14cとを有しており、該クランクケース14に、前記クランク軸と平行な軸線を有する円筒状の第1メインシャフト15と、軸方向相対位置を一定としつつ相対回転を可能として第1メインシャフト15を同軸に貫通する第2メインシャフト16と、第1および第2メインシャフト15,16と平行な軸線を有するカウンタシャフト17とが回転自在に支承される。
第2メインシャフト16は、その一端部をクランクケース14の右側壁14aから外方に突出させるとともに他端部を左側壁14bから外方に突出させるようにしてクランクケース14の右側壁14a、中間壁14cおよび左側壁14bを回転自在に貫通する。また第1メインシャフト15に同軸にかつ相対回転不能に結合されて第2メインシャフト16を同軸に囲繞する伝動筒18がクランクケース14の右側壁14aを回転自在に貫通し、この伝動筒18および右側壁14a間にボールベアリング19が介装され、伝動筒18および第2メインシャフト16間にはニードルベアリング20…が介装され、左側壁14bおよび第2メインシャフト16間にボールベアリング21が介装される。第1メインシャフト15は、クランクケース14の中間壁14cを回転自在に貫通し、中間壁14cおよび第1メインシャフト15間にはボールベアリング22が介装され、第1および第2メインシャフト15,16間にはニードルベアリング23…が介装される。
カウンタシャフト17の一端部はクランクケース14の中間壁14cにボールベアリング24を介して回転自在に支承されており、カウンタシャフト17の他端部はクランクケース14の左側壁14bを回転自在に貫通し、左側壁14bおよびカウンタシャフト17間にはボールベアリング25が介装される。
図2を併せて参照して、ツインクラッチ装置13は、前記一次減速装置11から伝達される動力の第1メインシャフト15への動力伝達および遮断を切換える多板式の第1クラッチ28と、前記一次減速装置11から伝達される動力の第2メインシャフト16への動力伝達および遮断を切換える多板式の第2クラッチ29とを備える。
一次減速装置11は、前記クランク軸に設けられる駆動歯車30と、該駆動歯車30に噛合する被動歯車31とから成り、被動歯車31は、伝動筒18を同軸に囲繞するとともに第1メインシャフト15に相対回転不能に結合される円筒状の第1ボス32にローラベアリング33を介して相対回転自在に支承される。
第1および第2クラッチ28,29は共通な入力部材34を備えており、この入力部材34は、第2メインシャフト16の軸線に沿う方向で一次減速装置11の外方側に隣接配置される環状板部34aと、一次減速装置11と反対側で前記環状板部34aの内周寄りの部分に基端が直角にかつ一体に連設される円筒状の内筒部34bと、該内筒部34bを同軸に囲繞するようにして前記環状板部34aの外周に基端が直角にかつ一体に連設される外筒部34cとから成る。この入力部材34における環状板部34aの周方向複数箇所には、前記内筒部34bおよび前記外筒部34cとは反対側に延びる連結ボス34d…が一体に設けられており、それらの連結ボス34d…は周方向に長く延びるようにして被動歯車31に設けられた長孔35…に挿通される。また入力部材34と反対側で被動歯車31に対向する保持板36が前記連結ボス34d…に当接しており、各連結ボス34d…を貫通するリベット37…で保持板36が連結ボス34d…の端面に結合される。しかも保持板36および被動歯車31間には、被動歯車31を前記入力部材34の環状板部34aに当接させるばね力を発揮する板ばね38が設けられる。
前記各長孔35…と周方向にずれた複数箇所で被動歯車31には周方向に長く延びる保持孔39…が設けられており、各保持孔39…には、被動歯車31と、前記入力部材34および保持板36との間に介在するようにしてダンパばね12が収容、保持される。
第1クラッチ28は、上述の入力部材34の内筒部34bと、該内筒部34bを同軸に囲繞する第1円筒部40aを有して前記第1ボス32に固着される第1出力部材40と、第1円筒部40aに相対回転不能に係合される複数枚の第1クラッチディスク41…と、入力部材34の前記内筒部34bに相対回転不能に係合されるとともに第1クラッチディスク41…と交互に重なって配置される複数枚の第1クラッチプレート42…と、交互に重なって配置される第1クラッチディスク41…および第1クラッチプレート42…に前記環状板部34a側から対向する環状の第1受圧板43と、交互に重なって配置される第1クラッチディスク41…および第1クラッチプレート42…に前記環状板部34aと反対側から対向する環状の第1押圧板部44aを有する第1クラッチピストン44と、第1押圧板部44aを第1受圧板43から離間せしめる側に付勢するばね力を発揮する第1クラッチスプリング45とを備える。
環状の第1押圧板部44aを外周に有する第1クラッチピストン44の内周部は、第1ボス32の外周に液密に摺接するものであり、また第1出力部材40は、前記第1ボス32に内周部が溶接されて第1クラッチピストン44に外方から対向する皿状の連結板部40bの外周に第1円筒部40aの一端が一体に連設されて成るものであり、第1クラッチピストン44における第1押圧板部44aの外周は前記連結板部40bの外周部内面に液密にかつ摺動可能に嵌合される。而して第1クラッチピストン44および第1出力部材40間には第1液圧室46が形成され、第1クラッチスプリング45は、第1液圧室46の容積を収縮せしめる側に第1クラッチピストン44を付勢するようにして、第1ボス32の外周に装着される第1リテーナ47および第1クラッチピストン44間に設けられる。また第1受圧板43の外周に第1押圧板部44aとは反対側から当接する止め輪48が、第1円筒部40aの開放端寄り内面に装着される。
このような第1クラッチ28では、第1液圧室46の液圧増大に応じて第1押圧板部44aおよび第1受圧板43間に、交互に重なった第1クラッチディスク41…および第1クラッチプレート42…が挟圧されて摩擦係合し、入力部材34の内筒部34bから第1出力部材40に動力が伝達されるものであり、クランク軸からの動力が第1ボス32から伝動筒18を介して第1メインシャフト15に伝達される。
第2クラッチ29は、入力部材34の外筒部34cと、該外筒部34cの内方で第1クラッチ28の第1円筒部40aを同軸に囲繞する第2円筒部50aを有する第2出力部材50と、前記外筒部34cに相対回転不能に係合される複数枚の第2クラッチディスク51…と、第2円筒部50aに相対回転不能に係合されるとともに第2クラッチディスク51…と交互に重なって配置される複数枚の第2クラッチプレート52…と、交互に重なって配置される第2クラッチディスク51…および第2クラッチプレート52…に前記環状板部34a側から対向する環状の第2受圧板53と、交互に重なって配置される第2クラッチディスク51…および第2クラッチプレート52…に前記環状板部34aと反対側から対向する環状の第2押圧板部54aを有する第2クラッチピストン54と、第2押圧板部54aを第2受圧板53から離間せしめる側に付勢するばね力を発揮する第2クラッチスプリング55とを備える。
第2メインシャフト16の一端部には、第2メインシャフト16を同軸に囲繞する円筒状の第2ボス59が相対回転不能に結合されており、第2出力部材50は、第1クラッチ28における第1出力部材40の連結板部40bに外方から対向するとともに前記第2ボス59に内周部が溶接される皿状の連結板部50bの外周に第2円筒部50aの一端が一体に連設されて成るものである。また環状の第2押圧板部54aを外周に有して第2出力部材50の連結板部50bに外方から対向する第2クラッチピストン54の内周部は、第2ボス59の外周に液密に摺接する。さらに第2クラッチピストン54における第2押圧板部54aの外周を液密にかつ摺動可能に嵌合せしめる第3円筒部60aを外周に有して皿状に形成されるとともに第2クラッチピストン54との間に第2液圧室56を形成するケース部材60の内周が、第2ボス59に液密に固着される。第2クラッチスプリング55は、第2液圧室56の容積を収縮せしめる側に第2クラッチピストン54を付勢するようにして、第2出力部材50の連結板部50bに装着された第2リテーナ57および第2クラッチピストン54間に設けられる。また第2受圧板53の外周に第2押圧板部54aとは反対側から当接する止め輪58が、第2円筒部50aの開放端寄り内面に装着される。
このような第2クラッチ29では、第2液圧室56の液圧増大に応じて第2押圧板部54aおよび第2受圧板53間に、交互に重なった第2クラッチディスク51…および第2クラッチプレート52…が挟圧されて摩擦係合し、入力部材34の外筒部34cから第2出力部材50に動力が伝達されるものであり、クランク軸からの動力が第2ボス59から第2メインシャフト16に伝達される。
再び図1において、クランクケース14の左側壁14bはエンジン本体10の一部を構成する左クランクケースカバー63で覆われており、この左クランクケースカバー63には、端壁64を内端に有する通路孔65が第1および第2メインシャフト15,16と同軸に設けられており、該通路孔65の外端はキャップ66で液密に閉じられる。
前記通路孔65内には壁部材67が液密に嵌合されており、この壁部材67および端壁64間には第1液圧供給室68が形成され、前記壁部材67および前記キャップ66間には第2液圧供給室69が形成される。しかも第2メインシャフト16には、その一端側を閉じるとともに他端側を開放した有底の中心孔70が同軸に設けられており、一端部を中心孔70の閉塞端近傍に配置して中心孔70に同軸に挿入される内側供給筒71の他端部が前記端壁64を貫通して前記壁部材67に液密に保持され、内側供給筒71の一端部および中心孔70の内面間には環状のシール部材72(図2参照)が介装される。また内側供給筒71の一端部付近まで延びるようにして中心孔70に同軸に挿入されて内側供給筒71を同軸に囲繞する外側供給筒73の一端部および中心孔70の内面間には環状のシール部材74(図2参照)が介装され、外側供給筒73の他端部は、クランクケース14の左側壁14bを液密に貫通するとともに前記通路孔65の端壁64に液密に嵌入、保持される。
図2に注目して、第1クラッチ28の第1液圧室46に通じる複数の第1連通路75…が、第1ボス32、伝動筒18および第2メインシャフト16にわたって放射状に設けられており、これらの第1連通路75…を第1液圧供給室68に通じさせる環状の第1液圧路76が、内側供給筒71および外側供給筒73間に形成される。また第2クラッチ29の第2液圧室56に通じる複数の第2連通路77…が、第2ボス59に放射状に設けられており、これらの第2連通路77…を第2液圧供給室69に通じさせる第2液圧路78が、内側供給筒71内および中心孔70の内端部で形成される。
第1および第2液圧供給室68,69内の液圧増圧および液圧解放は図示しない制御弁によって制御されるものであり、第1および第2液圧供給室68,69の液圧制御により、第1および第2クラッチ28,29の断・接が切換え制御される。
図3を併せて参照して、第2および第4速用歯車列G2,G4は第1メインシャフト15およびカウンタシャフト17間に設けられ、第1、第3および第5速用歯車列G1,G3,G5は第2メインシャフト16およびカウンタシャフト17間に設けられる。またクランクケース14の左側壁14bから突出した前記カウンタシャフト17の他端部から出力される動力は、ダンパばね81および二次減速装置82を介して出力され、図示しないチェーンを介して後輪に伝達される。
第2速用歯車列G2は、第1メインシャフト15に一体に設けられる第2速用駆動歯車83と、前記カウンタシャフト17に相対回転自在に支承されて第2速用駆動歯車83に噛合する第2速用被動歯車84とから成り、第4速用歯車列G4は、第1メインシャフト15に固定される第4速用駆動歯車85と、前記カウンタシャフト17に相対回転自在に支承されて第4速用駆動歯車85に噛合する第4速用被動歯車86とから成る。
また第2および第4速用被動歯車84,86間でカウンタシャフト17には、第2および第4速用被動歯車84,86のいずれかに係合する状態ならびに第2および第4速用被動歯車84,86のいずれにも係合しない状態を切換え可能として第1シフタ87がスプライン結合されており、第1シフタ87の軸方向移動により、第2および第4速用被動歯車84,86をカウンタシャフト17に対して自由に回転させる状態(ニュートラル状態)と、第2および第4速用被動歯車84,86のいずれかをカウンタシャフト17に相対回転不能に結合して第2速用歯車列G2および第4速用歯車列G4のいずれかを確立する状態とを切換可能である。
第1速用歯車列G1は、第2メインシャフト16に一体に設けられる第1速用駆動歯車88と、前記カウンタシャフト17に相対回転自在に支承されて第1速用駆動歯車88に噛合する第1速用被動歯車89とから成り、第3速用歯車列G3は、第2メインシャフト16に軸方向のスライドを可能としつつ相対回転不能にスプライイン結合される第3速用駆動歯車90と、前記カウンタシャフト17に相対回転自在に支承されて第3速用駆動歯車90に噛合する第3速用被動歯車91とから成り、第5速用歯車列G5は、第2メインシャフト16に相対回転自在に支承される第5速用駆動歯車92と、カウンタシャフト17に軸方向のスライドを可能としつつ相対回転自在に支承されて第5速用駆動歯車92に噛合する第5速用被動歯車93とから成る。
また第3速用駆動歯車90は、第2メインシャフト16に相対回転自在に支承されている第5速用駆動歯車92との係合および係合解除を切換え可能として第2メインシャフト16にスプライン結合された第2シフタ94に一体に設けられ、第5速用被動歯車93は、カウンタシャフト17にそれぞれ相対回転自在に支承されている第1および第3速用被動歯車89,91のいずれかに係合する状態ならびに第1および第3速用被動歯車89,91のいずれにも係合しない状態を切換え可能としてカウンタシャフト17にスプライン結合された第3シフタ95に一体に設けられている。
而して第2および第3シフタ94,95の軸方向移動によって、第5速用駆動歯車92を第2メインシャフト16に対して自由に回転させるとともに第1および第3速用被動歯車89,91をカウンタシャフト17に対して自由に回転させる状態(ニュートラル状態)と、第1速用被動歯車89をカウンタシャフト17に相対回転不能に結合して第1速用歯車列G1を確立する状態と、第3速用駆動歯車90を第2メインシャフト16に相対回転不能に結合するとともに第3速用被動歯車91をカウンタシャフト17に相対回転不能に結合して第3速用歯車列G3を確立する状態と、第5速用駆動歯車92を第2メインシャフト16に相対回転不能に結合して第5速用歯車列G5を確立する状態とを切換可能である。
図4において、前記第1、第2および第3シフタ87,94,95に一端側をそれぞれぞれ係合する第1、第2および第3シフトフォーク96,97,98は、第1メインシャフト15、第2メインシャフト16およびカウンタシャフト17の軸線と平行な軸線を有するシフトフォーク軸99にスライド可能に支承されており、このシフトフォーク軸99の両端部は、クランクケース14の左側壁14bおよび中間壁14cで支持される。
また前記各シフトフォーク96〜98の他端は、前記シフトフォーク軸99の軸線と平行な回転軸線を有するシフトドラム100の外周に設けられる第1,第2および第3カム溝101,102,103にそれぞれスライド可能に係合されており、シフトドラム100の回動によって、前記各シフトフォーク96〜98が対応するカム溝101〜103の形状に応じてスライド作動することになる。
ところで、この実施例では、第1〜第5速までの変速にあたって非作動側のシフタの移動を一時的にニュートラル状態としてシフト音を軽減させるために、第1〜第5速間に非作動シフタをニュートラル状態とするシフトポジションが設定されており、前記カム溝101〜103は、シフトドラム100の外周を展開したときに図5で示すように形成され、シフトドラム100は、第1〜第10シフトポジションをとるようにして回動駆動される。
すなわちニュートラル状態から第5速までのシフトアップ側へのシフトドラム100の回動時に、該シフトドラム100は、第1〜第3シフタ87,94,95のいずれをもニュートラル位置とする第1シフトポジション(N−N)と、第3シフタ95を第1速用被動歯車89に係合して第1速用歯車列G1を確立するものの第1および第2シフタ87,94をニュートラル位置とする第2シフトポジション(L−N)と、第1速用歯車列G1の確立状態を保持しつつ第1シフタ87を第2速用被動歯車84に係合して第2速用歯車列G2を確立するとともに第2シフタ94をニュートラル位置とする第3シフトポジション(L−2)と、第2速用歯車列G2の確立状態を保持しつつ第2および第3シフタ94,95をニュートラル位置とする第4シフトポジション(N−2)と、第2速用歯車列G2の確立状態を保持しつつ第3シフタ95を第3速用被動歯車91に係合して第3速用歯車列g3を確立するとともに第2シフタ94をニュートラル位置とする第5シフトポジション(3−2)と、第3速用歯車列g3の確立状態を保持しつつ第1および第2シフタ87,94をニュートラル位置とする第6シフトポジション(3−N)と、第3速用歯車列G3の確立状態を保持しつつ第1シフタ87を第4速用被動歯車86に係合して第4速用歯車列G4を確立するとともに第2シフタ94をニュートラル位置とする第7シフトポジション(3−4)と、第4速用歯車列G4の確立状態を保持しつつ第2および第3シフタ94,95をニュートラル位置とする第8シフトポジション(N−4)と、第4速用歯車列G4の確立状態を保持しつつ第2シフタ94を第5速用駆動歯車92に係合して第5速用歯車列G5を確立するとともに第3シフタ95をニュートラル位置とする第9シフトポジション(5−4)と、第5速用歯車列G5の確立状態を保持しつつ第1および第3シフタ87,95をニュートラル位置とする第10シフトポジション(5−N)とを順次経過することになる。
而して第1〜第10シフトポジション相互の間隔は等間隔であり、シフトドラム100は36度ずつ回転して第1〜第10シフトポジションを順次経過することになる。
前記シフトドラム100の一端はクランクケース14の中間壁14cに嵌合して回転自在に支承され、中間壁14cおよびシフトドラム100の一端部間にはリング板状のスラスト軸受板105が介装される。またシフトドラム100の他端部はクランクケース14の左側壁14bにボールベアリング106を介して回転自在に支承される。
このシフトドラム100を回転駆動するために、シフトドラム100と平行な回転軸線を有する変速制御用電動モータ107が左クランクケースカバー63の外面に取付けられており、該変速制御用電動モータ107およびシフトドラム100間に、第1の減速歯車機構109、ゼネバストップ機構108、ロストモーション機構125および第2の減速歯車機構126が設けられる。
ゼネバストップ機構108は、前記変速制御用電動モータ107から第1の減速歯車機構109を介して伝達される動力で回動されるとともに駆動ピン111が設けられる駆動ロータ110と、前記駆動ピン111を選択的に係合可能な複数の係合溝113…を有する従動ロータ112とを備える。
駆動ロータ110はシフトドラム100と平行な軸線を有する駆動ロータ軸114に一体に形成されており、駆動ロータ軸114の一端はクランクケース14の左側壁14bに嵌合して回転自在に支承され、駆動ロータ軸114の一端部および前記左側壁14b間にはリング板状のスラスト軸受板115が介装される。また駆動ロータ軸114の他端部は左クランクケースカバー63にニードルベアリング116を介して回転自在に支承される。
第1の減速歯車機構109は、変速制御用電動モータ107の出力軸に設けられた駆動歯車117と、該駆動歯車117に噛合する被動歯車118とから成り、被動歯車118は、駆動ロータ110および左クランクケースカバー63間に配置されて駆動ロータ軸114に固定される。
図6を併せて参照して、前記駆動ロータ軸114の軸線から偏心した位置で前記駆動ロータ110に駆動ピン111が設けられ、駆動ロータ軸114の軸線に関して駆動ピン111とは反対側で駆動ロータ110の外周には円弧状の位置決め突部119が形成される。一方、従動ロータ112は、前記シフトドラム100のシフトポジション数よりも少ない複数たとえば6個の係合溝113…を周方向に等間隔をあけて有するものであり、その外周の一部を前記被動歯車118と反対側から駆動ロータ110に対向させるように配置されており、前記駆動ロータ軸114と平行な軸線を有する従動ロータ軸120に同軸に固定される。前記各係合溝113…は、従動ロータ112の半径方向に延びて該従動ロータ112の外周面に開放するように形成されており、それらの係合溝113…に前記駆動ピン111が選択的に係合可能である。また前記各係合溝113…間で従動ロータ112の外周には、前記位置決め突部119を選択的に係合する円弧状の位置決め凹部121…がそれぞれ形成される。
前記従動ロータ軸120の一端はクランクケース14の左側壁14bに嵌合して回転自在に支承され、従動ロータ軸120の一端部および前記左側壁14b間にはリング板状のスラスト軸受板122が介装される。また従動ロータ軸120の他端部は左クランクケースカバー63にニードルベアリング123を介して回転自在に支承される。
このようなゼネバストップ機構108によれば、図6(a)で示すように1つの係合溝113に駆動ピン111を係合させている状態から駆動ロータ110が矢印で示す方向に回転すると、従動ロータ112が回動駆動され、図6(b)で示すように駆動ピン111が係合溝113から離脱するとともに位置決め突部119が位置決め凹部121に嵌合した状態ならびに図6(c)で示すように位置決め突部119を位置決め凹部121に摺接させたままの状態を経て、駆動ロータ110が1回転することによって駆動ピン111が次に係合溝113に係合して再び図6(a)で示すようになる。すなわち駆動ロータ110の1回転で従動ロータ112が60度回動することになり、駆動ロータ110の非作動時には、該駆動ロータ110の位置決め突部119が従動ロータ112の位置決め凹部121…の1つに係合し、従動ロータ112が所定位置に位置決めされる。
再び図4において、前記従動ロータ112および前記シフトドラム100間には、ロストモーション機構125および第2の減速歯車機構126が設けられるものであり、第2の減速歯車機構126は、従動ロータ軸120の外周に相対回転可能に支承され、従動ロータ112と軸方向に間隔をおいて対向する駆動歯車127と、該駆動歯車127に噛合する被動歯車128とから成る。第2の減速歯車機構126の減速比は、従動ロータ112の係合溝113の数およびシフトドラム100のシフトポジションの数に対応して設定される。駆動歯車127は、前記従動ロータ112に軸方向で隣接するようにして従動ロータ軸120に一体に形成される腕部131および前記スラスト軸受板122間で従動ロータ軸120側に延び、従動ロータ軸120の外周に回転自在に嵌合、支持される円筒状の支持筒部127aを一体に有して、従動ロータ軸120に相対回転可能に支承される。また被動歯車128は、シフトドラム100の他端に一端が同軸に結合されてクランクケース14の左側壁14bを回転自在に貫通するシフトドラム軸129に一体に形成され、シフトドラム軸129および前記左側壁14b間にはボールベアリング124が介装され、シフトドラム軸129の他端部は左クランクケースカバー63にボールベアリング130を介して回転自在に支承される。
ロストモーション機構125は、前記従動ロータ軸120に一体に形成される前記腕部131に植設されたピン132と、該ピン132と隣接した位置に平行に配置される突起133aを有して前記被動歯車128に固着される従動部材133と、前記駆動歯車127の支持筒部127aの外周同軸に囲繞して従動ロータ112と駆動歯車127との間に配置されるとともに、前記ピン132および前記突起133aを両側から挟む一対の係合部134a,134bを両端に有するコイル状のロストモーションばね134とから成る。
而してゼネバストップ機構108の従動ロータ112および従動ロータ軸120が60度回動すると、その動きがロストモーション機構125を介して第2の減速歯車機構126に伝達され、第2の減速歯車機構126で減速された動力がシフトドラム軸129およびシフトドラム100に伝達され、従動ロータ112が60度回動する毎にシフトドラム100が36度回動することになり、シフトドラム100が第1〜第10のシフトポジションの1つで停止して、第1〜第5速用歯車列G1〜G5が選択的に確立される。
ところで、何らかの理由でシフトチェンジが円滑に遂行されず、シフトドラム100が瞬間的にストップ状態になる可能性があるが、その場合、ロストモーション機構125の作用によって変速制御用電動モータ107に過剰な負荷が加わることが防止される。すなわち第2の減速歯車機構126を介してシフトドラム100に連結された状態にある従動部材133が一時的にストップ状態にあるときに従動ロータ112とともにピン132が回動すると、そのピン132および従動部材133の突起133aが相対回動し、ロストモーションばね134をその両端の係合部134a,134bを離間させるように弾性変形させる。その結果、シフトドラム100がストップしても変速制御用電動モータ107は回転することができ、該変速制御用電動モータ107に過負荷が加わることが回避される。しかもシフトドラム100には、弾性変形した前記ロストモーションばね134の弾発力が作用しているので、シフトドラム100のストップ状態が解除されたときに、シフトドラム100がロストモーションばね134の弾発力によって所定のシフトポジションまで回動することになる。
前記変速制御用電動モータ107およびシフトドラム100間に設けられる第1の減速歯車機構109、ゼネバストップ機構108、ロストモーション機構125および第2の減速歯車機構126が、エンジン本体10においてクランクケース14の左側壁14bおよび左クランクケースカバー63間に形成されている収納室135に共通に収納されており、収納室135の両側側壁である前記左側壁14bおよび左クランクケースカバー63に、ゼネバストップ機構108および減速歯車機構126が備える複数の軸、すなわち駆動ロータ軸114、従動ロータ軸120およびシフトドラム軸129の両端がそれぞれ支持されている。しかも前記駆動ロータ軸114の側面のうちその回動範囲でロストモーション機構125に臨む部分には、ロストモーション機構125との干渉を回避する逃げ凹部114aが形成されている。
図7において、第1の減速歯車機構109の被動歯車118は、前記左クランクケースカバー63に対向して前記駆動ロータ110に同軸に固設されているのであるが、この被動歯車118の一端面と、前記左クランクケースカバー63のうち前記被動歯車118の一端面に対向した固定位置との間に、駆動ロータ110に設けられている駆動ピン111の位置を検出する回転位置検出手段136が設けられる。
この回転位置検出手段136は、前記被動歯車118の前記一端面に突設された複数たとえば二条の突部137,138と、それらの突部137,138を検出してスイッチング態様を変化させるようにして前記左クランクケースカバー36に配設される一対のスイッチ139,140とで構成されるものである。
しかも前記両突部137,138は、駆動ロータ軸114の軸線を中心とする円弧状に形成されるものであり、半径方向かつ周方向に相互にずれて被動歯車118の前記一端面に設けられ、一方のスイッチ139は、一方の前記突部137に検出子139aが当接することでオン状態になるように左クランクケースカバー63に取付けられるオン・オフスイッチであり、他方のスイッチ140は、他方の突部138に検出子140aが当接することでオン状態となるようにして左クランクケースカバー63に取付けられるオン・オフスイッチである。
而して前記両突部137,138および前記両スイッチ139,140の相対位置は、両スイッチ139,140のスイッチング態様の組み合わせによって、前記駆動ロータ110の停止時に駆動ピン111が所定の基準範囲内にあるかどうか、基準範囲内になければ左右いずれの側にずれているのかを検出し得るように設定される。
たとえば第1の減速歯車機構109における駆動歯車117および被動歯車118の軸線を結ぶ直線を基準位置Lとして左右に所定角度ずつの範囲を基準範囲と設定したときに、図7(a)で示すように、基準範囲内で前記基準位置Lから右側に角度αだけ駆動ピン111がずれているときには両スイッチ139,140はそれぞれ対応の突部137,138を検出してオン状態となり、図7(b)で示すように、基準範囲内で前記基準位置Lから左側に角度βだけ駆動ピン111がずれているときには一方のスイッチ139がオン状態となるのに対して他方のスイッチ140はオフ状態となり、図7(c)で示すように、基準範囲を外れて前記基準位置Lから左側に角度γだけ駆動ピン111がずれているときには両スイッチ139,140がともにオフ状態となり、さらに図7(d)で示すように、基準範囲を外れて前記基準位置Lから右側に角度δだけ駆動ピン111がずれているときには一方のスイッチ139がオフ状態なるのに対して他方のスイッチ140はオン状態となるものである。
再び図4において、シフトドラム100に同軸に連なるシフトドラム軸129に対応して前記左クランクケースカバー63の外面には回転角度センサ141が取付けられており、この回転角度センサ141の検出子141aは、前記シフトドラム軸129の他端部に連結される。
次にこの実施例の作用について説明すると、変速制御用電動モータ107およびシフトドラム100間にゼネバストップ機構108が設けられるのであるが、そのゼネバストップ機構108の従動ロータ112およびシフトドラム100間に、減速比を従動ロータ112の係合溝113の数とシフトドラム100のシフトポジションの数に対応して設定した第2の減速歯車機構126が設けられている。したがってゼネバストップ機構108の従動ロータ112からの回転動力は第2の減速歯車機構126で減速されてシフトドラム100に伝達されることになり、シフトドラム100の全てのシフトポジションを得るにあたって従動ロータ112の回転数を1回転以上に設定することが可能であり、シフトポジション数が多くなっても従動ロータ112の角変位量を増加することで対処し得るので、従動ロータ112の大径化を回避しつつ多数のシフトポジションを得ることができる。
また従動ロータ112および第2の減速歯車機構126間に、従動ロータ112に同軸に設けられた従動ロータ軸114を囲繞するコイル状のロストモーションばね134を備えるロストモーション機構125が設けられるので、ロストモーション機構125の小型化を図ることができる。すなわち従動ロータ112の1回の角変位量を比較的大きく設定することが可能であるので、ロストモーションばね134のねじり量を比較的大きくすることができ、ロストモーションばね134のセット荷重を小さくすることが可能であるのでロストモーションばね134ひいてはロストモーション機構125の小型化を図ることができるのである。
しかもゼネバストップ機構108および第2の減速歯車機構126を共通に収納する収納室135が、エンジン本体10に形成され、収納室135の両側側壁にゼネバストップ機構108および第2の減速歯車機構126が備える駆動ロータ軸114、従動ロータ軸120およびシフトドラム軸129の両端がそれぞれ支持されので、それらの軸114,120,129を両持ち支持として、ゼネバストップ機構108および第2の減速歯車機構126の作動性を高めることができ、作動トルク低減および小型化を図ることができる。
さらにロストモーション機構125が装着された従動ロータ軸120と平行な軸線を有する駆動ロータ軸114が駆動ロータ110に同軸に固設されており、この駆動ロータ軸114の側面のうちその回動範囲で前記ロストモーション機構125に臨む部分に、前記ロストモーション機構125との干渉を回避する逃げ凹部114aが形成されるので、ゼネバストップ機構108の駆動ロータ軸114および従動ロータ軸120の軸線を近接させてシフト駆動装置の小型化を図ることができる。
また駆動ロータ110に固設されるとともに第1の減速歯車機構109の一部を構成する被動歯車118の一端面と、左クランクケースカバー63のうち前記被動歯車118の一端面に対向した固定位置との間に、駆動ピン111の位置を検出する回転位置検出手段136が設けられるので、駆動ピン111の位置を正確に検出することができる。すなわち前記被動歯車118の軸方向一端面は比的広いスペースを有するものであり、その一端面を利用して駆動ロータ110に設けられた駆動ピン111の位置を検出するようにしているので、駆動ピン111の位置を正確に検出し、変速動作にばらつきが生じないようにすることができる。
また回転位置検出手段136が、被動歯車118の前記一端面に突設された複数たとえば一対の突部137,138と、それらの突部137,138を検出してスイッチング態様を変化させるようにして左クランクケースカバー63に配設されるスイッチ139,140とを有して簡単に構成されるものであり、そのような簡単の構成の回転位置検出手段136によって駆動ピン111の位置を正確に検出し、変速制御精度を高めることができる。
また前記突部137,138は、駆動ロータ軸114の軸線を中心とする円弧状に形成されるとともに半径方向かつ周方向に相互にずれて被動歯車118に設けられ、それらの突部137,138は一対のスイッチ139,140で個別に検出されるものであるので、相互の干渉を回避しつつ近づけてコンパクトに両スイッチ139,140を配置することを可能とし、回転位置検出手段136のコンパクト化を図ることができる。
さらにシフトドラム100に同軸に連なるシフトドラム軸129に回転角度センサ141が連結されているので、駆動ピン111の位置を回転位置検出手段136で検出し、シフトドラム100の回転角度を回転角度センサ141で検出するようにして両検出値を用いることで変速制御精度をより高めることができる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
変速装置の一部を示す縦断面図である。 図1の右半部の拡大図である。 図1の左半部の拡大図である。 シフトドラム駆動装置の構成を示す縦断面図である。 シフトドラムの外周面の展開図である。 ゼネバストップ機構の作動状態を図4の6−6線に沿って切断して順次示す図である。 駆動ロータの角変位位置の変化に応じた回転位置検出手段による検出状態を図4の7−7線に沿って切断して順次示す図である。
10・・・エンジン本体
14b・・・左側壁
63・・・側壁としての左クランクケースカバー
100・・・シフトドラム
107・・・変速制御用電動モータ
108・・・ゼネバストップ機構
110・・・駆動ロータ
111・・・駆動ピン
112・・・従動ロータ
113・・・係合溝
114・・・軸としての駆動ロータ軸
114a・・・逃げ凹部
120・・・従動ロータ軸
125・・・ロストモーション機構
126・・・減速歯車機構
127・・・駆動歯車
127a・・・支持筒部
128・・・被動歯車
134・・・ロストモーションばね
135・・・収納室
129・・・軸としてのシフトドラム軸

Claims (3)

  1. 変速制御用電動モータ(107)と、シフトドラム(100)との間に、前記変速制御用電動モータ(107)で回転駆動されるとともに駆動ピン(111)が設けられる駆動ロータ(110)ならびに前記駆動ピン(111)を選択的に係合可能な複数の係合溝(113)を有する従動ロータ(112)を備えるゼネバストップ機構(108)が設けられる車両用変速装置のシフトドラム駆動装置において、
    前記従動ロータ(112)に同軸に設けられた従動ロータ軸(120)の外周に、前記従動ロータ(112)と軸方向に間隔をおいて対向する駆動歯車(127)が相対回転可能に支承されると共に、その駆動歯車(127)と前記シフトドラム(100)に同軸に設けられる被動歯車(128)とで、前記駆動歯車(127)に伝達された回転動力を減速して前記シフトドラム(100)に伝達する減速歯車機構(126)が構成され、
    前記駆動歯車(127)は、前記従動ロータ(112)側に延びて前記従動ロータ軸(120)の外周に回転自在に嵌合、支持される円筒状の支持筒部(127a)を備え、
    前記従動ロータ(112)および前記駆動歯車(127)間には、その間に配置されて前記支持筒部(127a)の外周を同軸に囲繞するコイル状のロストモーションばね(134)をして前記従動ロータ(112)の回転動力を前記駆動歯車(127)に伝達するロストモーション機構(125)が設けられ、
    前記従動ロータ(112)の前記係合溝(113)の数が前記シフトドラム(100)のシフトポジションの数よりも少なく設定されると共に、その設定に応じた減速比に前記減速歯車機構(126)の減速比が設定されることを特徴とする車両用変速装置のシフトドラム駆動装置。
  2. 記ゼネバストップ機構(108)および前記減速歯車機構(126)を共通に収納する収納室(135)が、エンジン本体(10)に形成され、前記収納室(135)の両側側壁(14b,63)に、前記ゼネバストップ機構(108)および前記減速歯車機構(126)が備える複数の軸(114,120,129)の両端が支持されることを特徴とする請求項1記載の車両用変速装置のシフトドラム駆動装置。
  3. 記従動ロータ軸(120)と平行な軸線を有する駆動ロータ軸(114)が前記駆動ロータ(110)に同軸に固設され、該駆動ロータ軸(114)の側面のうちその回動範囲で前記ロストモーション機構(125)に臨む部分に、前記ロストモーション機構(125)との干渉を回避する逃げ凹部(114a)が形成されることを特徴とする請求項記載の車両用変速装置のシフトドラム駆動装置。
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