この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、この発明による電源装置を備えた電気集塵機の一実施形態を示す概略的構成図、図2は概略的ブロック図、図3は電源装置の要部のブロック図である。
図1に示すように、この電気集塵機1は、大別して、集塵セット10と、電源装置20とで構成される。
集塵セット10は、空気中に漂う微細な塵埃などの空気中の微粒子に電荷を与える荷電部11と、荷電した微粒子が電界中を通過する間に静電力により荷電微粒子を捕集する集塵部14とを備え、これらの荷電部11および集塵部14がフレーム(シャーシ)17内に設置されたものである。
このような集塵セット10は、電気集塵機1の図示しない本体フレームに着脱可能に取り付けられ、本体フレームから取り外すことで、荷電部11および集塵部14の清掃やメンテナンスを容易に行えるようになっている。
荷電部11は、高電圧(例えば7kVの高電圧)が印加される高圧電極としてのイオン化線(荷電電極)12と、イオン化線12を両側から挟むように配置された対向電極13とで構成される。イオン化線12から対向電極13に向けてコロナ放電が発生することで、コロナ放電により生じたプラスの電荷を、イオン化線12の付近を流れる空気中の微粒子に荷電する。
集塵部14は、高電圧(例えば2.5kVの高電圧)が印加される集塵電極15と、集塵電極15を両側から挟むように配置された対向電極16とで構成される。荷電部11を通過するときに荷電された帯電微粒子が集塵電極15と対向電極16の電界中を通過する間に、静電力により帯電微粒子を捕集する。
そして、イオン化線12と集塵電極15は、絶縁碍子18によって、フレーム(シャーシ)17に対して電気的に絶縁した状態で取り付けられる。また、対向電極13と対向電極16は、フレーム(シャーシ)17を介して電気的に接地した状態で取り付けられる。
図2に示すように、電源装置20は、電源トランス21と、集塵セット10のイオン化線(荷電電極)12および集塵電極15に電気集塵機1の稼動用電力を供給するメイン電源30と、集塵セット10のイオン化線12にモニタ用電力を供給するモニタ電源40と、制御装置50とを備えている。
電源トランス21は、AC100Vの商用電源に接続されて、メイン電源30およびモニタ電源40に対して電源用の電力(高圧用電力)を供給する一方、制御装置50に対して制御用の電力(低圧用電力)を供給するものである。
メイン電源30は、電源トランス21から供給される高圧用電力を、制御装置50からの指令にしたがって、イオン化線12に供給する稼動用電力(例えば定格7kVの電力)に変換して出力し、また、集塵電極15に供給する稼動用電力(例えば定格2.5kVの電力)に変換して出力するものである。
以下では、集塵電極15への電力供給についての説明は省略し、イオン化線12への電力供給についてのみ説明する。
モニタ電源40は、電源トランス21から供給される高圧用電力を、制御装置50からの指令にしたがって、イオン化線12に供給するモニタ用電力(例えば定格4kVの電力)に変換して出力するものである。
メイン電源30からイオン化線12への電力供給ライン31と、モニタ電源40からイオン化線12への電力供給ライン41は、途中で1本になってイオン化線12に接続される。そのため、メイン電源30側の電力供給ライン31と、モニタ電源40側の電力供給ライン41には、カソード同士が相互に接続されたダイオード32、42がそれぞれ設けられている。
これにより、メイン電源30から電力供給ライン31を通してイオン化線12へ供給される電力が、モニタ電源40側へ供給されることがダイオード42によって防止され、また、モニタ電源40から電力供給ライン41を通してイオン化線12へ供給される電力が、メイン電源30側へ供給されることがダイオード32によって防止される。
制御装置50は、電源トランス21から供給される低圧用電力に基づいて、メイン電源30およびモニタ電源40を制御するものである。そのため、制御装置50は、メイン電源30を制御するためのメイン用制御部60と、モニタ電源40を制御するためのモニタ用制御部80とで構成される。
メイン用制御部60は、電気集塵機1の稼動中にメイン電源30の出力電圧に基づいて、イオン化線12の電圧低下を検出する電圧低下検出部70を備えている。
モニタ用制御部80は、モニタ用電力の供給中にモニタ電源40の出力電圧に基づいて、イオン化線12の絶縁抵抗を検出する絶縁抵抗検出部90を備えている。
図3に示すように、制御装置50のメイン用制御部60は、メイン用マイコン61を備えている。メイン用マイコン61は、リモ−トオン/オフ回路62をオン/オフ制御することで、メイン電源30のオン/オフを切り換えるようになっている。
同様に、制御装置50のモニタ用制御部80は、モニタ用マイコン81を備えている。モニタ用マイコン81は、リモ−トオン/オフ回路82をオン/オフ制御することで、モニタ電源40のオン/オフを切り換えるようになっている。
また、制御装置50は、メイン用マイコン61とモニタ用マイコン81との間で、メイン電源30をオンするときはモニタ電源40をオフし、モニタ電源40をオンするときはメイン電源30をオフすることで、メイン電源30とモニタ電源40とを切り換えるようになっている。
メイン電源30は、高圧制御回路33、定電圧制御回路34および定電流制御回路35と、高圧トランス36とを備えている。
高圧制御回路33は、高圧トランス36からイオン化線12への出力として、所定の高圧直流電圧を発生させるものである。
定電圧制御回路34は、高圧トランス36から出力される高圧直流電圧の出力電圧レベルを、所定の定電圧(すなわち一定レベルの電圧)に制御するものである。
定電流制御回路35は、高圧トランス36から出力される高圧直流電圧の出力電流レベルを、所定の定電流(すなわち一定レベルの電流)に制御するものである。
すなわち、メイン電源30は、電源トランス21からの高圧用電力を、定電圧定電流特性を有する所定の稼動用電力(例えば定格電圧7kV、最大電流4.4mAの電力)に変換して、高圧トランス36から出力する。このメイン電源30の定電圧定電流特性を、図4にグラフg1で示す。
図4のグラフg1に示すように、メイン電源30は、出力電流が0μA〜4400μAの範囲では、定格7kVの出力電圧を維持し、出力電流が4400μAになると、出力電流が一定値(4400μA)のままで出力電圧が低下するという定電圧定電流特性を示す。そのため、メイン電源30の最大出力は、7kV×4.4mA=30.8Wである。
一方、モニタ電源40は、高圧制御回路43、定電圧制御回路44および定電流制御回路45と、高圧トランス46とを備えている。
高圧制御回路43は、高圧トランス46からイオン化線12への出力として、所定の高圧直流電圧を発生させるものである。
定電圧制御回路44は、高圧トランス46から出力される高圧直流電圧の出力電圧レベルを、所定の定電圧(すなわち一定レベルの電圧)に制御するものである。
定電流制御回路45は、高圧トランス46から出力される高圧直流電圧の出力電流レベルを、所定の定電流(すなわち一定レベルの電流)に制御するものである。
すなわち、モニタ電源40は、電源トランス21からの高圧用電力を、定電圧定電流特性を有する所定のモニタ用電力(例えば定格電圧4kV、最大電流80μAの電力)に変換して、高圧トランス46から出力する。このモニタ電源40の定電圧定電流特性を、図4にグラフg2で示す。
図4のグラフg2に示すように、モニタ電源40は、出力電流が0μA〜80μAの範囲では、定格4kVの出力電圧を維持し、出力電流が80μAになると、出力電流が一定値(80μA)のままで出力電圧が低下するという定電圧定電流特性を示す。そのため、モニタ電源40の最大出力は、4kV×80μA=0.32Wである。
つまり、図4のグラフg1に示すメイン電源30の最大出力(30.8W)に比べて、図4のグラフg2に示すモニタ電源40の最大出力(0.32W)は、きわめて小さいものである。
図3に示すように、メイン電源30は、電気集塵機1の稼動中にイオン化線12にかかる電圧を検出する検出回路37を備えている。検出回路37は、電気集塵機1の稼動中にイオン化線12にかかる電圧を常時検出し、その電圧値に基づく電圧信号をメイン用マイコン61へ出力する。
これにより、メイン用マイコン61は、電気集塵機1の稼動中検出回路37から入力される電圧信号を常時監視することで、電気集塵機1の稼動中イオン化線12にかかる電圧を常時監視している。
そして、この電圧信号があらかじめ決められた設定値以下になったとき、メイン用マイコン61は、イオン化線12にかかる電圧が所定の設定値以下に低下したことを検出する。すなわち、メイン用マイコン61が備えたこの電圧常時監視機能および電圧低下検出機能が、図2に示す電圧低下検出部70を構成している。
一方、モニタ電源40は、イオン化線12へのモニタ用電力供給中にイオン化線12にかかる電圧および流れる電流を検出する検出回路47を備えている。検出回路47は、電圧モニタ回路48と、電流モニタ回路49とで構成される。
電圧モニタ回路48は、イオン化線12へのモニタ用電力供給中にイオン化線12にかかる電圧を検出し、その電圧値に基づく電圧モニタ信号を出力する。
電流モニタ回路49は、イオン化線12へのモニタ用電力供給中にイオン化線12に流れる電流を検出し、その電流値に基づく電流モニタ信号を出力する。
モニタ用制御部80は、サーチ電圧発生回路83と、比較器85とを備えている。
サーチ電圧発生回路83は、モニタ用マイコン81から出力されるPWM出力信号に基づいて、サーチ電圧(直流可変電圧)を発生させる。
比較器85は、モニタ電源40の電圧モニタ回路48から出力される電圧モニタ信号と、サーチ電圧発生回路83から出力されるサーチ電圧とを比較し、その結果をモニタ用マイコン81へ入力する。
図5に示すように、サーチ電圧発生回路83から出力されるサーチ電圧は、所定の傾きをもって増加する電圧である。一方、モニタ電源40の電圧モニタ回路48から出力される電圧モニタ信号は、或る電圧レベルをもった電圧信号である。すなわち、例えば、モニタ電圧1で示すような電圧レベルをもった電圧信号、または、モニタ電圧2で示すような電圧レベルをもった電圧信号、あるいは、モニタ電圧3で示すような電圧レベルをもった電圧信号、等である。
比較器85は、電圧モニタ回路48から出力される電圧モニタ信号と、サーチ電圧発生回路83から出力されるサーチ電圧とが交差したタイミングで、出力が反転する。
すなわち、電圧モニタ回路48から出力される電圧モニタ信号が、例えば、モニタ電圧1で示すような電圧レベルをもった電圧信号の場合、その電圧モニタ信号と、サーチ電圧発生回路83から出力されるサーチ電圧とが交差したタイミングc1で、比較器85の出力が反転する。
同様に、電圧モニタ回路48から出力される電圧モニタ信号が、例えば、モニタ電圧2で示すような電圧レベルをもった電圧信号の場合、その電圧モニタ信号と、サーチ電圧発生回路83から出力されるサーチ電圧とが交差したタイミングc2で、比較器85の出力が反転する。
同様に、電圧モニタ回路48から出力される電圧モニタ信号が、例えば、モニタ電圧3で示すような電圧レベルをもった電圧信号の場合、その電圧モニタ信号と、サーチ電圧発生回路83から出力されるサーチ電圧とが交差したタイミングc3で、比較器85の出力が反転する。
このようにして、比較器85の出力が反転するタイミングでのサーチ電圧のレベル(電圧値)が、モニタ電源40の電圧モニタ回路48から出力される電圧モニタ信号のレベル(電圧値)を表す。
すなわち、モニタ用マイコン81は、PWM出力信号をサーチ電圧発生回路83に入力して図5に示すようなサーチ電圧を発生させ、このサーチ電圧と、モニタ電源40の電圧モニタ回路48から出力される電圧モニタ信号とが交差したタイミングで、出力が反転したときの比較器85の出力を監視することで、比較器85の出力に基づいて、イオン化線12へのモニタ用電力供給中にイオン化線12にかかる電圧を検出することができる。
そして、モニタ用マイコン81は、比較器85の出力反転に基づいて得られた検出電圧(イオン化線12へのモニタ用電力供給中にイオン化線12にかかる電圧)を、定電圧定電流特性を有するモニタ電源40の最大電流(80μA)で除算することによって、イオン化線12の絶縁抵抗を算出することができる。
つまり、モニタ用マイコン81(モニタ用制御部80)が備えたこのサーチ電圧発生機能(サーチ電圧発生回路83を含む)、サーチ電圧・モニタ電圧比較機能(比較器85を含む)、および電圧・電流除算機能が、図2に示す絶縁抵抗検出部90を構成している。
次に、上記のように構成された電気集塵機1および電源装置20の作用について説明する。
図6は電気集塵機1の断続運転フローチャートを示し、この断続運転フローチャートについて説明する。
電気集塵機1の稼動中は、メイン用制御部60の電圧低下検出部70が、メイン電源30の電圧を常時監視している。すなわち、メイン用マイコン61が、検出回路37から入力される電圧信号を常時監視することで、電気集塵機1の稼動中イオン化線12にかかる電圧を常時監視している(ステップS100のNO)。
検出回路37から入力される電圧信号が、あらかじめ決められた設定値以下になったとき、メイン用マイコン61は、イオン化線12にかかる電圧が所定の設定値以下に低下したことを検出する(ステップS100のYES)。
このとき、つまりメイン電源30で電圧が低下したことを検出したとき、メイン用マイコン61が、メイン電源30に指令を出して、メイン電源30の出力(例えば定格7kVの稼動用電力)を停止させる(ステップS150)。
続いて、モニタ用制御部80の絶縁抵抗検出部90が、絶縁抵抗測定フローの処理を行う(ステップS200)。モニタ用制御部80の絶縁抵抗検出部90による絶縁抵抗測定フローを図7に示す。
図7に示すように、まず、モニタ用マイコン81が、PWM出力信号のデューティを0に設定したうえ(ステップS201)、モニタ電源40に指令を出して、モニタ電源40に出力(例えば定格4kVのモニタ用電力)を発生させる(ステップS202)。
続いて、モニタ用マイコン81が、比較器85の信号変化があるか否かを判定する(ステップS203)。すなわち、モニタ用マイコン81は、PWM出力信号をサーチ電圧発生回路83に入力して発生させたサーチ電圧と、モニタ電源40の電圧モニタ回路48から出力される電圧モニタ信号とが交差したタイミングで出力が反転する比較器85の信号変化(出力反転)を監視する。
最初は、PWM出力信号のデューティが0に設定してあるから、サーチ電圧は実質的に0Vに保たれ、サーチ電圧と電圧モニタ信号とが交差することはなく、比較器85の信号変化は発生しない。
このように、比較器85の信号変化がない場合は(ステップS203のNO)、モニタ用マイコン81が、PWM出力信号のデューティの設定値を所定値だけ加算する(ステップS204)。つまり、PWM出力信号のデューティを所定値だけ上げて設定し直す。そして再びステップS203に戻る。
今度は、PWM出力信号のデューティが所定値に設定してあるから、サーチ電圧は実質的に所定の電圧値まで可変上昇し、サーチ電圧と電圧モニタ信号とが交差する場合が生じる。それでも比較器85の信号変化がない場合は(ステップS203のNO)、モニタ用マイコン81が、PWM出力信号のデューティの設定値をさらに所定値だけ加算する(ステップS204)。つまり、PWM出力信号のデューティをさらに所定値だけ上げて設定し直す。そして再びステップS203に戻る。
このようにPWM出力信号のデューティを徐々に上げていって、比較器85の信号変化が発生したとき(ステップS203のYES)、モニタ用マイコン81は、その信号変化(出力反転)時のPWM出力信号の電圧値から、電圧モニタ回路48からの電圧モニタ信号の電圧値を得る。
モニタ用マイコン81は、この電圧モニタ信号の電圧値に基づいて、モニタ電源40の出力電圧(イオン化線12へのモニタ用電力供給中にイオン化線12にかかる電圧)を検出し、この電圧を、定電圧定電流特性を有するモニタ電源40の最大電流(80μA)で除算することによって、イオン化線12の絶縁抵抗を算出する(ステップS205)。
そして、モニタ用マイコン81が指令して、モニタ電源40の出力を停止させる(ステップS206)。これにより、絶縁抵抗測定フローの処理を終える。
再び図6の断続運転フローチャートに戻って説明を続ける。
絶縁抵抗検出部90による絶縁抵抗測定が終わったら、モニタ用マイコン81が、その絶縁抵抗値をメモリに記憶する(ステップS250)。すなわち、比較器85の信号変化が発生したときの電圧モニタ信号の電圧値に基づいて、検出し、算出したイオン化線12の絶縁抵抗値が、モニタ用マイコン81のメモリに記憶される。
つぎに、モニタ用マイコン81が、この絶縁抵抗値(1回目の絶縁抵抗値)が基準値以上であるか否かを判定する(ステップS300)。
1回目の絶縁抵抗値が基準値以上であると判定したとき(ステップS300のYES)、モニタ用マイコン81は、それをメイン用マイコン61に伝えて、メイン電源30の出力を復帰させる(ステップS350)。すなわち、メイン電源30に出力(例えば定格7kVの稼動用電力)を発生させる。
続いて、メイン用制御部60の電圧低下検出部70が、メイン電源30の電圧低下の有無を判定する(ステップS400)。
このときメイン電源30で電圧低下が無ければ(ステップS400のNO)、メイン用マイコン61は、ステップS100でのメイン電源30の電圧低下が偶発的なものであると判断する。これにより、フローはステップS100へ戻る。
ステップS400で電圧低下検出部70が、メイン電源30の電圧低下が有ると判定した場合は(ステップS400のYES)、高圧停止点検状態となる(ステップS450)。この場合は、メイン電源30の出力(例えば定格7kVの稼動用電力)を停止させるとともに、モニタ電源40に出力を発生させず、作業者による点検作業を待つ。
一方、ステップS300でモニタ用マイコン81が、1回目の絶縁抵抗値が基準値未満であると判定した場合は(ステップS300のNO)、モニタ用マイコン81が、タイマにセットしてある設定時間が経過するのを待つ(ステップS500)。
タイマの設定時間が経過したら(ステップS500のYES)、モニタ用マイコン81が、モニタ電源40を出力(例えば定格4kVのモニタ用電力)を発生させる(ステップS550)。
続いて、モニタ用制御部80の絶縁抵抗検出部90が、ジュール熱による絶縁抵抗測定フローの処理を行う(ステップS600)。ジュール熱による絶縁抵抗測定フローを図8に示す。
図8に示すように、まず、モニタ用マイコン81が、PWM出力信号のデューティを0に設定したうえ(ステップS601)、モニタ電源40に指令を出して、ジュール熱発生により絶縁碍子18を乾燥させる(ステップS602)。
モニタ用マイコン81は、このジュール熱発生による絶縁碍子18の乾燥を、あらかじめ決められた設定時間が経過するまで継続して行う(ステップS603のNO)。
設定時間が経過したら(ステップS603のYES)、モニタ用マイコン81が、比較器85の信号変化があるか否かを判定する(ステップS604)。すなわち、モニタ用マイコン81は、PWM出力信号をサーチ電圧発生回路83に入力して発生させたサーチ電圧と、モニタ電源40の電圧モニタ回路48から出力される電圧モニタ信号とが交差したタイミングで出力が反転する比較器85の信号変化(出力反転)を監視する。
最初は、PWM出力信号のデューティが0に設定してあるから、サーチ電圧は実質的に0Vに保たれ、サーチ電圧と電圧モニタ信号とが交差することはなく、比較器85の信号変化は発生しない。
このように、比較器85の信号変化がない場合は(ステップS604のNO)、モニタ用マイコン81が、PWM出力信号のデューティの設定値を所定値だけ加算する(ステップS605)。つまり、PWM出力信号のデューティを所定値だけ上げて設定し直す。そして再びステップS604に戻る。
今度は、PWM出力信号のデューティが所定値に設定してあるから、サーチ電圧は実質的に所定の電圧値まで可変上昇し、サーチ電圧と電圧モニタ信号とが交差する場合が生じる。それでも比較器85の信号変化がない場合は(ステップS604のNO)、モニタ用マイコン81が、PWM出力信号のデューティの設定値をさらに所定値だけ加算する(ステップS605)。つまり、PWM出力信号のデューティをさらに所定値だけ上げて設定し直す。そして再びステップS604に戻る。
このようにPWM出力信号のデューティを徐々に上げていって、比較器85の信号変化が発生したとき(ステップS604のYES)、モニタ用マイコン81は、その信号変化(出力反転)時のPWM出力信号の電圧値から、電圧モニタ回路48からの電圧モニタ信号の電圧値を得る。
モニタ用マイコン81は、この電圧モニタ信号の電圧値に基づいて、モニタ電源40の出力電圧(イオン化線12へのモニタ用電力供給中にイオン化線12にかかる電圧)を検出し、この電圧を、定電圧定電流特性を有するモニタ電源40の最大電流(80μA)で除算することによって、イオン化線12の絶縁抵抗を算出する(ステップS606)。
つぎに、モニタ用マイコン81が、電極(イオン化線12)の絶縁抵抗が基準値以上であるか否かを判定する(ステップS607)。
イオン化線12の絶縁抵抗が基準値以上である場合は(ステップS607のYES)、モニタ用マイコン81が、ジュール熱により絶縁が回復したと設定する(ステップS608)。
一方、イオン化線12の絶縁抵抗が基準値未満の場合は(ステップS607のNO)、モニタ用マイコン81が、ジュール熱により絶縁が回復せずと設定する(ステップS609)。これにより、ジュール熱による絶縁抵抗測定フローの処理を終える。
再び図6の断続運転フローチャートに戻って説明を続ける。
ジュール熱による絶縁抵抗測定が終わったら、モニタ用マイコン81が、絶縁抵抗値が改善したか否かを判定する(ステップS650)。
モニタ用マイコン81が、絶縁抵抗値が改善したと判定した場合、すなわち、ジュール熱による絶縁抵抗測定フローの処理で、ジュール熱により絶縁が回復したと設定された場合(ステップS650のYES)、モニタ用マイコン81が、それをメイン用マイコン61に伝えて、メイン電源30の出力を復帰させる(ステップS700)。すなわち、メイン電源30に出力(例えば定格7kVの稼動用電力)を発生させる。
モニタ用マイコン81が、絶縁抵抗値が改善しないと判定した場合、すなわち、ジュール熱による絶縁抵抗測定フローの処理で、ジュール熱により絶縁が回復せずと設定された場合(ステップS650のNO)、モニタ用マイコン81が、連続48時間または通算(積算)100時間が経過したか否かを判定する(ステップS750)。
連続48時間または/通算(積算)100時間が経過しない間は(ステップS750のNO)、モニタ用マイコン81が、モニタ電源40の出力(高圧出力)を停止させ(ステップS800)、ステップS500へ戻る。
一方、連続48時間または通算(積算)100時間が経過した場合は(ステップS650のYES)、高圧停止点検状態となる(ステップS850)。この場合は、メイン電源30の出力(例えば定格7kVの稼動用電力)を停止させるとともに、モニタ電源40に出力を発生させず、作業者による点検作業を待つ。
図9は電気集塵機1の連続運転フローチャートを示し、この連続運転フローチャートについて説明する。
電気集塵機1の稼動中は、メイン用制御部60の電圧低下検出部70が、メイン電源30の電圧を常時監視している。すなわち、メイン用マイコン61が、検出回路37から入力される電圧信号を常時監視することで、電気集塵機1の稼動中イオン化線12にかかる電圧を常時監視している(ステップS100のNO)。
検出回路37から入力される電圧信号が、あらかじめ決められた設定値以下になったとき、メイン用マイコン61は、イオン化線12にかかる電圧が所定の設定値以下に低下したことを検出する(ステップS100のYES)。
このとき、つまりメイン電源30で電圧が低下したことを検出したとき、メイン用マイコン61が、メイン電源30に指令を出して、メイン電源30の出力(例えば定格7kVの稼動用電力)を停止させる(ステップS150)。
続いて、モニタ用制御部80の絶縁抵抗検出部90が、絶縁抵抗測定フローの処理を行う(ステップS200)。絶縁抵抗測定フローの処理については、図7を参照して既に説明したので、ここではその説明を省略する。
絶縁抵抗検出部90による絶縁抵抗測定が終わったら、モニタ用マイコン81が、その絶縁抵抗値をメモリに記憶する(ステップS250)。すなわち、比較器85の信号変化が発生したときの電圧モニタ信号の電圧値に基づいて、検出し、算出したイオン化線12の絶縁抵抗値が、モニタ用マイコン81のメモリに記憶される。
つぎに、モニタ用マイコン81が、この絶縁抵抗値(1回目の絶縁抵抗値)が基準値以上であるか否かを判定する(ステップS300)。
1回目の絶縁抵抗値が基準値以上であると判定したとき(ステップS300のYES)、モニタ用マイコン81は、それをメイン用マイコン61に伝えて、メイン電源30の出力を復帰させる(ステップS350)。すなわち、メイン電源30に出力(例えば定格7kVの稼動用電力)を発生させる。
続いて、メイン用制御部60の電圧低下検出部70が、メイン電源30の電圧低下の有無を判定する(ステップS400)。
このときメイン電源30で電圧低下が無ければ(ステップS400のNO)、メイン用マイコン61は、ステップS100でのメイン電源30の電圧低下が偶発的なものであると判断する。これにより、フローはステップS100へ戻る。
ステップS400で電圧低下検出部70が、メイン電源30の電圧低下が有ると判定した場合は(ステップS400のYES)、高圧停止点検状態となる(ステップS450)。この場合は、メイン電源30の出力(例えば定格7kVの稼動用電力)を停止させるとともに、モニタ電源40に出力を発生させず、作業者による点検作業を待つ。
一方、ステップS300でモニタ用マイコン81が、1回目の絶縁抵抗値が基準値未満であると判定した場合は(ステップS300のNO)、モニタ用マイコン81が、モニタ電源40を出力(例えば定格4kVのモニタ用電力)を発生させる(ステップS550)。
続いて、モニタ用制御部80の絶縁抵抗検出部90が、ジュール熱による絶縁抵抗測定フローの処理を行う(ステップS600)。ジュール熱による絶縁抵抗測定フローの処理については、図8を参照して既に説明したので、ここではその説明を省略する。
ジュール熱による絶縁抵抗測定が終わったら、モニタ用マイコン81が、絶縁抵抗値が改善したか否かを判定する(ステップS650)。
モニタ用マイコン81が、絶縁抵抗値が改善したと判定した場合、すなわち、ジュール熱による絶縁抵抗測定フローの処理で、ジュール熱により絶縁が回復したと設定された場合(ステップS650のYES)、モニタ用マイコン81が、それをメイン用マイコン61に伝えて、メイン電源30の出力を復帰させる(ステップS700)。すなわち、メイン電源30に出力(例えば定格7kVの稼動用電力)を発生させる。
モニタ用マイコン81が、絶縁抵抗値が改善しないと判定した場合、すなわち、ジュール熱による絶縁抵抗測定フローの処理で、ジュール熱により絶縁が回復せずと設定された場合(ステップS650のNO)、モニタ用マイコン81が、連続48時間または通算(積算)100時間が経過したか否かを判定する(ステップS750)。
連続48時間または/通算(積算)100時間が経過しない間は(ステップS750のNO)、ステップS600へ戻る。
一方、連続48時間または通算(積算)100時間が経過した場合は(ステップS650のYES)、高圧停止点検状態となる(ステップS850)。この場合は、メイン電源30の出力(例えば定格7kVの稼動用電力)を停止させるとともに、モニタ電源40に出力を発生させず、作業者による点検作業を待つ。
なお、図6に示す電気集塵機1の断続運転フローでも、図9に示す電気集塵機1の連続運転フローでも、絶縁抵抗測定フローの処理(ステップS200)の後、ジュール熱による絶縁抵抗測定フローの処理(ステップS600)を行うようにしたが、これに限定するものでない。
必要に応じて、例えば、ジュール熱による絶縁抵抗測定フローの処理(ステップS600)を省略しても、電気集塵機1の断続運転フロー、または、電気集塵機1の連続運転フローを実現することができる。
ここで、図10の絶縁抵抗測定図に示すような装置を用いて、絶縁性粉塵が付着した碍子について絶縁抵抗の電圧依存性を調べた結果(図11参照)を説明する。
図11に示すように、湿度が低下(乾燥)するに従い、絶縁抵抗値が高くなる傾向があることがわかる。
また、電圧依存性は、70%RH以下の環境下において、10V、30Vで低い抵抗値を示し、2000V、3000V近辺では急激に抵抗値の上昇が見られ、電圧をさらに高くすると、一旦高くなった抵抗値が再び低下することがわかる。
その理由は、2000V程度の電圧を印加すると、碍子表面に漏れ電流が流れ、漏れ電流と碍子の表面抵抗とでジュール熱が発生し、このジュール熱により碍子表面が乾燥し、これにより抵抗値が急速に復帰(増大)するからである。
さらに電圧を高くすると、電圧を加えたことによる絶縁性能の低下現象が見られる。電気集塵機の絶縁性能としては、電圧が印加された状態で10MΩ程度の絶縁が維持できれば、安全面、性能面で問題となることはない。
そこで、パターンAの場合は、高電圧を印加し碍子表面をジュール熱で乾燥させ、絶縁抵抗値が10MΩ以上維持できることが確認できれば、高湿度環境下で復帰させることができるといえる。
一方、パターンBの場合は、高湿度環境では電圧に関係なく絶縁が確保できないので、復帰させることはできない。
定電圧定電流電源の利点については、つぎのように説明することができる。
定電圧定電流電源であれば、碍子の絶縁抵抗が短絡に近い状態になっても、過大な電流を流すことなく、漏れ電流によるジュール熱を利用して碍子表面を乾燥させることができる。
これに対し、定電圧電源の場合は、電流を抑制する機能がないため、過大電流が流れる可能性があり好ましくない。また、負荷が短絡状態になると、保護回路が働くか、または故障することにより、電圧が印加されなくなるので、ジュール熱による乾燥効果は期待できない。
碍子表面に漏れ電流が流れると、漏れ電流と碍子の表面抵抗から電圧が発生し、その漏れ電流と電圧を掛けた大きさのジュール熱の発生により碍子表面が乾燥することについて更に詳しく説明する。
まず、湿気により碍子の絶縁が低下している場合について考える。図12の碍子表面抵抗負荷線(1)の絶縁状態をいう。この状態で電源を動作させると、定電圧電源(b)の場合は、碍子表面抵抗負荷線(1)は電源の出力特性と交わらないため、大電流が流れて2次損傷が発生してしまう。
定電圧定電流電源(a)の場合は、碍子表面抵抗負荷線(1)と電源の出力特性との交点Aで示される電圧と電流が碍子表面に加えられる。碍子表面では、このとき加えられた電圧と電流と碍子表面抵抗によりジュール熱が発生する。このとき発生した熱により、碍子表面が乾燥するので、碍子表面の絶縁抵抗値が上昇し、図12の碍子表面抵抗負荷線(2)の絶縁状態となる。
この場合、碍子表面抵抗負荷線(2)と電源の出力特性との交点Bで示される電圧と電流と碍子表面抵抗により発生するジュール熱が碍子表面に加えられる。このとき発生するジュール熱は、碍子表面抵抗負荷線(1)の場合と比べ電圧上昇した分だけ大きくなる。よって電源を印加すると、発生するジュール熱により、碍子表面が乾燥するため徐々に電圧が高くなる。それにより電圧が高くなると、更に碍子表面が乾燥し易くなっていく。この効果は電圧が高くなればなるほど期待でき、碍子の絶縁状態は碍子表面抵抗負荷線(3)の方向に向かう。
上記理由により、電源の電圧や電流値が定格値より低い場合、ジュール熱による碍子表面の乾燥効果も低くなる。
また、電源の電圧や電流値が定格値より高い場合、碍子が十分に乾燥している時は、定格電圧・定格電流以上の値を碍子に与えることになるため電気特性上好ましくない。
以上の理由により、電源の特性を定電圧定電流とすることにより、出力電力を制御できるので、安全かつ確実に碍子表面を乾燥させながら絶縁を復帰させることが可能になる。
以上の説明から明らかなように、この発明による電源装置20を備えた電気集塵機1は、電気集塵機1の稼動中に高圧電極12にかかる電圧が低下したとき、モニタ電源40のモニタ用電力により高圧電極12の絶縁抵抗を検出して、絶縁低下が検出されたとき、その後に高圧電極12の絶縁抵抗を検出してその絶縁抵抗が回復するのに応じて、高圧電極12へのメイン電源30による稼動用電力の供給を再開することができるものである。
また、この発明による電源装置20を備えた電気集塵機1は、電気集塵機1の高圧電極12に稼動用電力を供給するメイン電源30と、高圧電極12にモニタ用電力を供給するモニタ電源40と、電気集塵機1の稼動中にメイン電源30の出力電圧に基づいて高圧電極12の電圧低下を検出する電圧低下検出部70および、モニタ用電力供給中にモニタ電源40の出力電圧に基づいて高圧電極12の絶縁抵抗を検出する絶縁抵抗検出部70を備えた制御装置50とを備えたものである。
そして、制御装置50は、電圧低下検出部70が高圧電極12の電圧低下を検出したとき、メイン電源30からモニタ電源40に切り換え、絶縁抵抗検出部90が高圧電極12の絶縁抵抗を検出して絶縁が低下していたとき、その後に絶縁抵抗検出部90が高圧電極12の絶縁抵抗を検出してその絶縁抵抗が回復するのに応じて、モニタ電源40からメイン電源30に切り換えることができるものである。
また、モニタ電源40は、モニタ電力用の定電圧定電流電源で構成されることができるものである。
また、電圧低下検出部70は、電気集塵機1の稼動中にメイン電源30の出力電圧を監視し、その出力電圧の低下に基づいて高圧電極12の電圧低下を検出することができるものである。
また、絶縁抵抗検出部90は、モニタ電源40の出力電圧から得られる電圧モニタ信号に基づいて、高圧電極12の絶縁抵抗を検出することができるものである。
また、絶縁抵抗検出部90は、電圧低下検出部70による電圧低下検出に続いて高圧電極12の絶縁抵抗を検出する際、高圧電極12の絶縁抵抗値があらかじめ決められた絶縁抵抗値以下であるとき、高圧電極12の絶縁が低下している絶縁低下を検出することができるものである。
また、絶縁抵抗検出部90は、絶縁低下を検出してから所定時間経過後に、高圧電極12の絶縁抵抗を検出して、その絶縁抵抗が、最初に絶縁低下を検出したときの絶縁抵抗値に比べて向上したとき、高圧電極12の絶縁抵抗が回復したと判定することができるものである。
また、絶縁抵抗検出部90は、絶縁抵抗が最初の絶縁抵抗値に比べて向上しないとき、あらかじめ決められた期間に亘り所定時間間隔で繰り返し高圧電極12の絶縁抵抗を検出することができるものである。
また、制御装置50は、絶縁抵抗が向上するまでの所定時間の少なくとも一部の時間中は、モニタ電源40によるモニタ用電力の供給を継続して、高圧電極12の絶縁碍子18表面に流れる漏れ電流のジュール熱によって、絶縁碍子18表面を乾燥させることができるものである。
また、絶縁抵抗検出部90は、絶縁低下を検出した後、高圧電極12の絶縁抵抗が、絶縁低下を検出したときの絶縁抵抗値に比べて向上するまで、あらかじめ決められた期間に亘り繰り返し高圧電極12の絶縁抵抗を検出して、その絶縁抵抗が最初の絶縁抵抗値に比べて向上したとき、高圧電極12の絶縁抵抗が回復したと判定することができるものである。
また、制御装置50は、高圧電極12の絶縁抵抗を繰り返し検出する都度、その繰り返しに要する時間の少なくとも一部の時間中は、モニタ電源40によるモニタ用電力の供給を継続して、高圧電極12の絶縁碍子18表面に流れる漏れ電流のジュール熱によって、絶縁碍子18表面を乾燥させることができるものである。
また、絶縁抵抗検出部90が、あらかじめ決められた期間に亘り繰り返し高圧電極12の絶縁抵抗を検出しても、その絶縁抵抗が最初の絶縁抵抗値に比べて向上しないとき、御装置50は、高圧電極12への電力供給を停止することができるものである。
また、絶縁抵抗検出部90は、電圧低下検出部70による電圧低下検出に続いて高圧電極12の絶縁抵抗を検出し、高圧電極12の絶縁抵抗値があらかじめ決められた絶縁抵抗値を上回るとき、高圧電極12の絶縁が低下していない絶縁正常を検出することができるものである。
また、電圧低下検出部70による電圧低下検出に続いて、絶縁抵抗検出部90が絶縁正常を検出したとき、制御装置50は、モニタ電源40からメイン電源30に切り換え、続いて電圧低下検出部70が電圧低下を再検出したとき、高圧電極12への電力供給を停止することができるものである。
また、メイン電源30は、荷電電極としての高圧電極12と集塵電極15に稼動用電力を供給する稼動電力用の定電圧定電流電源で構成されることができるものである。
また、モニタ電源40は、メイン電源30が荷電電極としての高圧電極12に供給する稼動用電力に比べて、電圧が40%〜100%、電流が1%〜30%の電力を供給することができるものである。
そして、この発明による電気集塵機1の電源装置20によれば、メイン電源30が供給する稼動用電力に比べて、電圧が40%〜100%、電流が1%〜30%の電力を供給するモニタ電源40のモニタ用電力によって、高圧電極12の絶縁抵抗を検出することができるので、電気集塵機1の過熱等による二次損傷を防ぎつつ、高圧電極12の吸湿による絶縁抵抗の低下を確実に検知することができる。
すなわち、短絡等により高圧電極12の絶縁抵抗が極端に低下した場合は、モニタ電源40から供給される電力が小さいので、過熱等の二次損傷を防止することができる。
一方、吸湿により高圧電極12が絶縁不良の場合は、モニタ電源40から供給される電圧が、高圧電極12の定格電圧の40%〜100%という従来に比べてかなり高い電圧であるので、高圧電極12の絶縁抵抗を誤差が少ない状態で的確に検出することができる。これにより、絶縁抵抗の低下の要因が吸湿によるものか否かがわかる。そして、集塵セット10の掃除等の無駄なメンテナンス工数が発生することを防止することができる。
また、この発明による電気集塵機1の電源装置20によれば、メイン電源30による電力の供給の停止後、高圧電極12にモニタ電源40で電力を供給したときの高圧電極12の電圧を検出し、この検出値を記憶手段に記憶し、次の検出値と比較するので、高圧電極12の絶縁不良が吸湿によるものか否かをより正確に判断することができる。
すなわち、吸湿によって高圧電極12に絶縁不良が発生するときの高圧電極12の絶縁抵抗は、高圧電極12、絶縁碍子18の汚れ具合、電気集塵機1の設置場所等の要因によって変動する。したがって、メイン電源30による電力の供給の停止後、高圧電極12にモニタ電源40で電力を供給したときの高圧電極12の電圧値(絶縁抵抗値)は、変動するのである。
このように変動する高圧電極12の電圧値(絶縁抵抗値)を基準電圧(基準抵抗)として、所定時間経過後に、高圧電極12にモニタ電源40で電力を供給して電圧値(絶縁抵抗値)を検出し、この検出した電圧値(絶縁抵抗値)を基準電圧(基準抵抗)と比較するので、高圧電極12や絶縁碍子18の汚れ具合等にかかわらず、高圧電極12の絶縁不良が吸湿によるものか否かを的確に判断することができる。