JP4879006B2 - エンジン排気ガスの分析装置、分析方法、及び、分析プログラム - Google Patents
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また、前記圧力の算出は、排気管に設置される圧力センサにて排気ガスの圧力を検出することで行われることとされている。
そして、このようにして算出される温度と圧力を基にして前記理論スペクトルの算出が行われることとしている。
これは、前述のように、理論スペクトルの算出は、排気ガスの温度や圧力に基づくものであるが、これら温度・圧力は刻一刻と変化するものであり、その温度・圧力状態の変化に応じて理論スペクトルを逐一算出することとしているため、この算出時間が排気ガスの分析に要するトータルの時間に影響してしまうのである。
以上のことから解るように、前記理論スペクトルの算出に要する時間が、リアルタイムのより高精度な分析を実現する上でのボトルネックになってしまっているのである。
分析対象となる各ガス成分を含む排気ガスの実際の温度・圧力を認識する手段と、
前記データベースから、分析対象となる各ガス成分を含む排気ガスの実際の温度・圧力との差分が最小となる温度・圧力に対応する理論スペクトルを選定する手段と、
選定された各ガス成分の理論スペクトルと、分析対象となる各ガス成分の実測スペクトルとの比から、各ガス成分の推定濃度を求める手段と、
前記各ガス成分の推定濃度に対し、実際の排気ガスの温度、及び/又は、圧力に関する離散化補正を実施する手段と、
を具備し、
前記離散化補正は、
理論スペクトルの選定の基準となった温度・圧力と、実際の排気ガスの温度・圧力とのずれ量を基準として行う、排気ガスの分析装置とするものである。
前記排気ガスの圧力を求める第二ステップと、
前記排気ガスに含まれる複数のガス成分についての、複数の温度・圧力に対応する理論スペクトルをそれぞれ備えるデータベースから、前記第一・第二ステップで求めた温度・圧力との差分が最小となる温度・圧力に対応する理論スペクトルを選定する第三ステップと、
選定された各ガス成分の理論スペクトルと、分析対象となる各ガス成分の実測スペクトルとの比から各ガス成分の推定濃度を求める第四ステップと、
前記各ガス成分の推定濃度に対し、実際の排気ガスの温度、及び/又は、圧力に関する離散化補正を実施する第五ステップと、を有し、
前記第五ステップにおける離散化補正は、
理論スペクトルの選定の基準となった温度・圧力と、実際の排気ガスの温度・圧力とのずれ量を基準として行う、排気ガスの分析方法とするものである。
排気ガス中の各ガス成分の濃度を分析するために、コンピュータを、
排気ガスに含まれる複数のガス成分についての、複数の温度・圧力に対応する理論スペクトルをそれぞれ備えたデータベースを予め記憶しておく手段、
分析対象となる各ガス成分を含む排気ガスの実際の温度・圧力を得る手段、
前記データベースから、分析対象となる各ガス成分を含む排気ガスの実際の温度・圧力との差分が最小となる温度・圧力に対応する理論スペクトルを選定する手段、
選定された各ガス成分の理論スペクトルと、分析対象となる各ガス成分の実測スペクトルとの比から各ガス成分の推定濃度を求める手段、
前記各ガス成分の推定濃度に対し、実際の排気ガスの温度、及び/又は、圧力に関する離散化補正を実施する手段、
として機能させ、
前記離散化補正を、
理論スペクトルの選定の基準となった温度・圧力と、実際の排気ガスの温度・圧力とのずれ量を基準として行う、排気ガスの分析プログラムとするものである。
次に、発明の実施の形態を、図を用いて説明する。
図1は、実施に際して利用する分析装置1の概要について示すものであり、まず、排気ガスに赤外線レーザ光10を照射するために、エンジンベンチ2に設置されたエンジン3の排気管5Aや、車載されたエンジン4の排気マニホールド4aに接続される排気管5Bに、リング状のセンサベース6を介設し、このセンサベース6に、発光部光ファイバ7、受光部光ファイバ8を設ける構成とする。
また、前記センサベース6には、排気ガスをスムーズに通過させるべく、排気管5と略同一の内径を形成する貫通孔6aが構成されており、この貫通孔6aの表面は、前記発光部光ファイバ7から照射された赤外線レーザ光10を前記受光部光ファイバ8に導くための反射面6bにて構成されている。
また、前記センサベース6には、貫通孔6aを通過する排気ガスの圧力を検出するための圧力センサ9が設けられている。
このレーザ発光・受光コントローラ30の構成は、図2に示すごとくであり、レーザ発光・受光コントローラ30は、複数の波長の赤外線レーザ光を照射する照射装置として、複数のレーザダイオードLD1〜LD5にファンクションジェネレータ等の信号発生器31から複数の周波数の信号を供給し、レーザダイオードLD1〜LD5は各周波数に対応してそれぞれ複数の波長の赤外線レーザ光を照射する。前記信号発生器31から出力される複数の周波数の信号がレーザダイオードLD1〜LD5に供給されて発光される。赤外線レーザ光は、例えば波長が1300〜1700nm程度のものが用いられる。
さらに、他の排気ガス成分のガス濃度を検出する場合は、排気ガス成分の数に合わせて異なる波長の赤外線レーザ光を使用する。この場合、前記レーザダイオードの数は、分析の対象となる排気ガスの成分数に対応することとされる。
そして、各分波器33で分けられた測定用レーザ光は、光ファイバ34Aを通して合波器35を介し、発光部光ファイバ7を通してセンサベース6へと導光される。前記合波器35からは、各分波器33からの出力に対応する測定用レーザ光が、順番に、一定期間ずつ照射される。尚、前記レーザダイオードLD1〜LD5の数は、分析対象となるガス成分の数に応じて設けられるものであり、例えば、5成分のガス成分を分析対象とする場合では、5個のレーザダイオードが、10成分のガス成分を分析対象とする場合では、10個のレーザダイオードが設けられるものである。
一方、前記各分波器33で分けられた参照用レーザ光は、光ファイバ34Bを通して合波器36へ導光される。
また、前記合波器36に入力された参照用レーザ光は、光ファイバ39を通してフォトダイオードPD2に直接的に受光され、フォトダイオードPD2の出力は前記演算処理装置20に入力される。
まず、前記演算処理装置20では、排気ガス中に含まれる或るガス成分(例えばH2O)の透過光強度比(λ2/λI)に基づいて、分析対象となる各ガス成分が含まれる排気ガスの温度が算出される(ステップS1)。
このようにして、演算処理装置20では、分析対象となる各ガス成分を含む排気ガスの温度が認識される。
この濃度推定のステップにおいて、まず、理論スペクトルの選定が行われる(図3;ステップS3a)。この理論スペクトルは、図5に示すごとく、予め演算処理装置20にデータベース50として記憶されているものである。また、この図5に示すように、データベース50は、圧力P1〜P4、温度T1〜T4の各値に対応して、それぞれ、一つずつの理論スペクトルが対応するテーブルにて構成されており、例えば、前記ステップS1・S2において、算出・認識された実際の温度T、圧力Pが、データベース50における温度T2、圧力P2に最も近い場合、即ち、差分の絶対値である|T−T2|及び|P−P2|が、データベース上の他の温度・圧力との差分の絶対値よりも小さい場合では、理論スペクトルRが選定されるようになっている。
即ち、図6に示すごとく、各ガス成分について選定される理論スペクトルY1の強度X1は、その温度T2・圧力P2の時に対応する濃度を示すものであり、各ガス成分の実測スペクトルY2の強度X2の前記強度X1に対する比率を算出することにより(図3;ステップS3b)、実測される排気ガスの推定濃度が算出される(図3;ステップS3c)。
この推定濃度C1の算出は、予め演算処理装置20にデータベースとして記憶された各ガス成分についての理論スペクトルを基に行うものであり、逐一理論スペクトルを計算により求めるものでないことから、短時間にて行うことができるものである。
このため、前記推定濃度C1に対して、離散化補正が行われる(図3;ステップS4)。
この離散化補正は、温度に関する離散化補正(図3;ステップS4a)と、圧力に関する離散化補正(図3;ステップS4b)の二つがあり、それぞれ、前記理論スペクトルの選定において、温度・圧力を離散化したことに対応させるものである。
尚、このように演算処理装置20に記憶される関数Mは、その次数が少なければ、温度の離散化補正に要する演算負荷を少ないものとすることができる。また、この温度の離散化補正については、本実施例に限定されず、例えば、「温度のずれ」に対応する「温度補正量」を予め演算処理装置20に記憶しておき、この「温度補正量」を前記推定濃度C1に加算するという補正を行ってもよい。
尚、このように演算処理装置20に記憶される関数Nは、その次数が少なければ、圧力の離散化補正に要する演算負荷を少ないものとすることができる。また、この圧力の離散化補正については、本実施例に限定されず、例えば、「圧力のずれ」に対応する「圧力補正量」を予め演算処理装置20に記憶しておき、この「圧力補正量」を前記推定濃度C1に加算するという補正を行ってもよい。
尚、前記離散化補正については、温度、又は、圧力のいずれか一方について実施されることとしてもよい。ちなみに、前記ずれ量がゼロの場合は、離散化補正は実質行われないこととなる。
即ち、排気ガスに含まれる複数のガス成分についての、複数の温度・圧力に対応する理論スペクトルがそれぞれ記憶されるデータベース50(図5)と、分析対象となる各ガス成分を含む排気ガスの実際の温度・圧力を認識する手段と、前記データベース50から、分析対象となる各ガス成分を含む排気ガスの実際の温度・圧力との差分が最小となる温度・圧力に対応する理論スペクトルを選定する手段と、選定された各ガス成分の理論スペクトルと、分析対象となる各ガス成分の実測スペクトルとの比から、各ガス成分の推定濃度を求める手段と、前記各ガス成分の推定濃度に対し、実際の排気ガスの温度、及び/又は、圧力に関する離散化補正を実施する手段と、を具備する、排気ガスの分析装置とするものである。
そして、前記データベース50、前記各手段は、パーソナルコンピュータ等の演算処理装置20を用いて実現することができる。
即ち、排気ガス中の各ガス成分の濃度を分析するために、コンピュータを、排気ガスに含まれる複数のガス成分についての、複数の温度・圧力に対応する理論スペクトルをそれぞれ備えたデータベースを予め記憶しておく手段、分析対象となる各ガス成分を含む排気ガスの実際の温度・圧力を得る手段、前記データベースから、分析対象となる各ガス成分を含む排気ガスの実際の温度・圧力との差分が最小となる温度・圧力に対応する理論スペクトルを選定する手段、選定された各ガス成分の理論スペクトルと、分析対象となる各ガス成分の実測スペクトルとの比から各ガス成分の推定濃度を求める手段、前記各ガス成分の推定濃度に対し、実際の排気ガスの温度、及び/又は、圧力に関する離散化補正を実施する手段、として機能させるための排気ガスの分析プログラムとするものである。
そして、この分析プログラムでは高速処理が実現可能となり、高速、且つ、高精度な排気ガスの分析が実現可能となる。
5 排気管
6 センサベース
7 発光部光ファイバ
8 受光部光ファイバ
9 圧力センサ
10 赤外線レーザ光
20 演算処理装置
30 レーザ発光・受光コントローラ
Claims (3)
- 排気ガスに含まれる複数のガス成分についての、複数の温度・圧力に対応する理論スペクトルがそれぞれ記憶されるデータベースと、
分析対象となる各ガス成分を含む排気ガスの実際の温度・圧力を認識する手段と、
前記データベースから、分析対象となる各ガス成分を含む排気ガスの実際の温度・圧力との差分が最小となる温度・圧力に対応する理論スペクトルを選定する手段と、
選定された各ガス成分の理論スペクトルと、分析対象となる各ガス成分の実測スペクトルとの比から、各ガス成分の推定濃度を求める手段と、
前記各ガス成分の推定濃度に対し、実際の排気ガスの温度、及び/又は、圧力に関する離散化補正を実施する手段と、
を具備し、
前記離散化補正は、
理論スペクトルの選定の基準となった温度・圧力と、実際の排気ガスの温度・圧力とのずれ量を基準として行う、
排気ガスの分析装置。 - 排気ガスの温度を求める第一ステップと、
前記排気ガスの圧力を求める第二ステップと、
前記排気ガスに含まれる複数のガス成分についての、複数の温度・圧力に対応する理論スペクトルをそれぞれ備えるデータベースから、前記第一・第二ステップで求めた温度・圧力との差分が最小となる温度・圧力に対応する理論スペクトルを選定する第三ステップと、
選定された各ガス成分の理論スペクトルと、分析対象となる各ガス成分の実測スペクトルとの比から各ガス成分の推定濃度を求める第四ステップと、
前記各ガス成分の推定濃度に対し、実際の排気ガスの温度、及び/又は、圧力に関する離散化補正を実施する第五ステップと、を有し、
前記第五ステップにおける離散化補正は、
理論スペクトルの選定の基準となった温度・圧力と、実際の排気ガスの温度・圧力とのずれ量を基準として行う、
排気ガスの分析方法。 - 排気ガス中の各ガス成分の濃度を分析するために、コンピュータを、
排気ガスに含まれる複数のガス成分についての、複数の温度・圧力に対応する理論スペクトルをそれぞれ備えたデータベースを予め記憶しておく手段、
分析対象となる各ガス成分を含む排気ガスの実際の温度・圧力を得る手段、
前記データベースから、分析対象となる各ガス成分を含む排気ガスの実際の温度・圧力との差分が最小となる温度・圧力に対応する理論スペクトルを選定する手段、
選定された各ガス成分の理論スペクトルと、分析対象となる各ガス成分の実測スペクトルとの比から各ガス成分の推定濃度を求める手段、
前記各ガス成分の推定濃度に対し、実際の排気ガスの温度、及び/又は、圧力に関する離散化補正を実施する手段、
として機能させ、
前記離散化補正を、
理論スペクトルの選定の基準となった温度・圧力と、実際の排気ガスの温度・圧力とのずれ量を基準として行う、
ための排気ガスの分析プログラム。
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