JP4877910B2 - 近接場発生装置、及び露光装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光が照射されることによって1つ又は複数の近接場を発生させる光学素子及びそれを備えた近接場発生装置並びに露光装置に関するものである。
光が集光される焦点である光スポットが小径化されることによって、レーザー光を用いてデータの記録・再生を行う光メモリー、及びレーザー光を用いて樹脂、ガラス等の加工を行う光加工では光スポットによって記録・再生される情報、及び光加工によって加工されるパターンの高密度化が可能となる。
また、顕微鏡等の測定分野では、光スポットが小径化されることによって分解能が向上する。
よって、従来から、光メモリー、光加工、及び顕微鏡による測定等の光を利用している各分野において、より小さな光スポットが望まれてきた。
しかし、通常の光では光スポットの大きさは光の回折限界によって、光の波長程度に制限されてしまうため、光スポットの小径化は困難であった。
そこで、通常の光で実現可能な光スポットの小径化を超える小さな光スポットの形成法として、局所的に存在する近接場の利用が注目されている。
近接場は、例えば図11の様に、光の波長よりも小さな径の開口に光を入射することによって得られるものであって、上記開口のごく近傍にのみ局在する。そして、上記開口のごく近傍に留まり伝播しないという特徴がある。
開口の径が大きい場合には、光源から出射された光は開口に遮られはするが、そのまま伝搬光として開口を透過するため、近接場は発生しない。
しかし、開口の径が光源から出射される光の波長よりも短くなると、伝搬光は開口をほとんど透過しないようになり、近接場が開口周辺に発生するようになる。
また、近接場は開口の径とほぼ同程度の強度分布を持つため、開口の径を光の波長よりも小さくすれば、光の回折限界を超える小さな光スポットが得られる。
しかし、近接場の強度(光源と反対側の開口面近傍に存在する電磁波の強度)は、開口の径が小さくなるほど、急激に小さくなってしまう。
これは、開口サイズが波長以下である場合、開口に入射する光が開口を透過する割合(透過率)は、開口の直径をd、入射光の波長をλとすると、(d/λ)に比例するため、小さな光スポットを得るためにdを小さくすると、開口に入射する光の透過率は急激に悪化してしまうことによる。
上述の問題を解決するために開口周辺に導電性の薄膜をほどこし、表面プラズモンポラリトンを発生させることによって近接場の強度の増強(光増強)を行う方法が特許文献1に開示されている。
上記光増強は、導電性の薄膜に入射した光が表面プラズモンポラリトンを発生し、開口で発生する近接場と共鳴することによって行われる。そして、上記光増強によって近接場の強度が増強される。
つまり、開口に入射する光の透過率が大幅に向上する。この光の透過率の向上する割合は、導電性の薄膜の厚み、又は表面形状によって大きく変化する。
特許文献1では、開口を周期的な配列で配置すること又は、開口と連係した周期的な微小表面形状を設けることによって、開口での光の透過率を増幅させている。
開口の配列の周期又は、微小表面形状の周期と増幅される波長領域とには一定の関係があるため、特許文献1に開示の方法は、光学フィルターなどへの応用が考えられている。
また、光スポットの小径化とは別に、光スポットの複数化も望まれている。
光メモリーに関して述べると、光スポットを小径化することによって光スポットによって記録・再生される情報の高密度化が可能となる。しかし、情報の処理速度が変わらなければ、光スポットによって記録・再生される情報が高密度になればなるほど、処理時間が膨大になる。
このため、光スポットによって記録・再生される情報の高密度化に伴って、光スポットによって記録・再生される情報の処理速度の向上も望まれている。
光スポットによって記録・再生される情報の処理速度の向上に最も有力な方法の1つが、光スポットの複数化である。複数の光スポットによって同時に記録・再生の処理を行うことによって、増加させる光スポットの数に応じて光スポットによって記録・再生される情報の処理速度を向上させることができる。
特開2000−171763号公報(平成12年6月23日公開)
しかしながら、上記従来の特許文献1に開示の光伝搬装置では、偏光方向がランダムな光源に対して光増強が行われる構成の記載しかなく、レーザー光のような直線偏光を持つ光を効果的に光増強する構成が記載されていない。
また、特許文献1に開示の光伝搬装置では、各々の開口に入る入射光を一様に光増強することは出来るが、各々の開口に入る入射光を個々に光増強することが可能な構成ではない。
光メモリー又は、光加工に一般的に用いられるレーザー光源から出射される高出力かつ狭い箇所に集光可能なレーザー光は、レーザー光の中心の強度が強く外周の強度が弱いというガウス分布を示す。
よって、レーザー光源を光源に用いる場合には、特許文献1に開示の光伝搬装置では、各々の開口に入る入射光の増強はそれぞれの開口で一様なので、各々の開口から出力される光の強度が、上記ガウス分布にしたがってそれぞれ異なることになってしまう。
例えば、複数の微小光スポットを用いて露光を行う場合、各々の開口から出力される光の強度が異なっていては露光条件を統一できず、露光過多又は、露光不足の部分が被露光体に生じてしまう。
よって、近接場光による光スポットを複数化して光メモリー又は、光加工に使用する場合、各々の光スポットから出力される光の強度が一定である必要がある。
例えば、上記ガウス分布を示すレーザー光の中心部分のみを開口への入射光として用いることによって、各々の開口に入る入射光の強度をほぼ一定にすることも可能ではある。
しかし、この場合、レーザー光の外周部分は使用しないことになり、レーザー光の利用効率が大幅に悪化する。
レーザー光を効率よく利用すると共に、複数の開口から発生する近接場の強度を一定にするためには、入射光の強度が弱い開口での増強率を選択的に高くする必要がある。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、直線偏光の光を出射する光源を用いる場合に適した近接場の光増強が可能な光学素子及びそれを備えた近接場発生装置並びに露光装置を提供することにある。
光学系から照射される直線偏光によって、金属膜に形成された光学的開口にて近接場を発生する光学素子であって、上記金属膜には、上記光学的開口から上記直線偏光の偏光方向に凹部又は凸部が設けられていることを特徴としている。
本発明者は、直線偏光を金属膜に入射した場合にもっとも近接場を増強する凹部又は凸部の配置を検討した結果、入射光の偏光方向延長上に凹部または凸部を配置したものが最良であることを、今回初めて見出した。
なお、光学的開口は、金属膜の一方の側に光が照射されることにより、他方の側に近接場が発生するものであれば、物理的に開口している必要はなく、例えば底が非常に薄い凹部でもよい。
上記の構成によれば、表面プラズモンポラリトンは、直線偏光の光の偏光方向延長上に凹部または凸部が設けられている場合に最も干渉が発生しやすくなる傾向をもつため、より金属膜上に表面プラズモンポラリトンの干渉が発生しやすくなる。
つまり、表面プラズモンポラリトンの干渉によって生じる近接場の光増強が起こりやすくなる。
よって、直線偏光の光によって光学的開口に発生する近接場を効果的に光増強することが可能となる。
また、光学的開口から偏光方向に凹部又は凸部を設けるので、凹部又は凸部を設ける領域を狭い範囲に絞ることができる。
よって、近接場の光増強を効果的に行える構成のまま凹部又は凸部が光学素子の金属膜上を占める面積を狭くすることが可能である。
また、金属膜上に複数の光学的開口が設けられていた場合にも、それぞれの光学的開口に対して上述の位置関係になるように凹部または凸部を設けるだけで光学的開口から生じる近接場の光増強を行うことが可能になる。
つまり、上述の位置関係になるような位置に凹部または凸部を設ける光学的開口を任意に選択することによって、任意の光学的開口から生じる近接場に対して選択的に光増強を行うことも可能である。
また、近接場に対して選択的に光増強を行うことが可能であるため、複数の光学的開口から生じる近接場をそれぞれ均一に調整することも可能になる。
その結果、直線偏光の光を出射する光源を用いる場合に適した近接場の光増強が可能になる。
また、本発明の光学素子では、上記凹部又は凸部は、上記光学的開口の中心から上記直線偏光の偏光方向に設けられていることが好ましい。
これにより、表面プラズモンポラリトンは、上記光学的開口の中心から外れた上記直線偏光の偏光方向に凹部又は凸部が設けられている場合よりも、上記光学的開口の中心を通る上記直線偏光の偏光方向に凹部又は凸部が設けられている場合に干渉が発生しやすい性質をもつため、より金属膜上に表面プラズモンポラリトンの干渉が発生しやすくなる。
表面プラズモンポラリトンの干渉は近接場の増強に働くため、表面プラズモンポラリトンの干渉が発生しやすくなることによって近接場の増強率が向上する。
また、本発明の光学素子では、上記凹部又は凸部は、上記照射側の上記金属膜表面に設けられていることが好ましい。
これにより、表面プラズモンポラリトンは、照射側の反対側の金属膜上に凹部又は凸部が設けられている場合よりも、照射側の金属膜上に凹部又は凸部が設けられている場合に干渉が発生しやすい性質をもつため、より金属膜上に表面プラズモンポラリトンの干渉が発生しやすくなる。
表面プラズモンポラリトンの干渉は近接場の増強に働くため、表面プラズモンポラリトンの干渉が発生しやすくなることによって近接場の増強率が向上する。
また、本発明の光学素子では、上記凹部又は凸部は、複数設けられていることが好ましい。
これにより、表面プラズモンポラリトンは、金属膜上に凹部又は凸部が設けられている数が多くなるにつれて干渉が発生しやすくなる傾向をもつため、より金属膜上に表面プラズモンポラリトンの干渉が発生しやすくなる。
表面プラズモンポラリトンの干渉は近接場の増強に働くため、表面プラズモンポラリトンの干渉が発生しやすくなることによって近接場の増強率が向上する。
また、本発明の光学素子では、複数の上記凹部又は凸部は、上記光学的開口を挟んで設けられていることが好ましい。
これにより、表面プラズモンポラリトンは、光学的開口を挟んだ両側のうちの片側のみに凹部又は凸部が設けられている場合よりも、光学的開口を挟んで凹部又は凸部が設けられている場合に干渉が発生しやすい性質をもつため、より金属膜上に表面プラズモンポラリトンが発生しやすくなる。
表面プラズモンポラリトンは近接場の増強に働くため、表面プラズモンポラリトンが発生しやすくなることによって近接場の増強率が向上する。
また、本発明の光学素子では、複数の上記凹部又は凸部は、上記金属膜の両面に、上記金属膜に対して対称の位置にそれぞれ設けられていることが好ましい。
これにより、凹または凸部は、上記金属膜に対して対照の位置に有ることにより、光入射面側と近接場発生側の両面で表面プラズモンポラリトンの干渉を起こすことができる。
表面プラズモンポラリトンの干渉は近接場の増強に働くため、光入射面側と近接場発生側との両面で表面プラズモンポラリトンの干渉を起こすことによって近接場の増強率がさらに向上する。
また、本発明の光学素子では、上記直線偏光の光強度が前記金属膜上で不均一な分布を示す場合に、上記光強度が上記光強度の最大強度の2/3以下となる領域と2/3以上となる領域とに上記光学的開口がそれぞれ設けられており、上記凹部又は凸部は、上記光強度の最大強度の2/3以下となる領域に設けられた光学的開口に対して設けられていることが好ましい。
これにより、上記光強度の最大強度の2/3以下となる領域に設けられた光学的開口から生じる近接場が選択的に光増強によって増強される。
よって、上記光強度の最大強度の2/3以下となる領域と2/3以上となる領域とにそれぞれ設けられた光学的開口から発生する近接場の強度をそろえることが可能となる。
また、被露光体の露光などに近接場を用いる場合に、それぞれの近接場の強度を一定にすることによって、近接場による被露抗体の露光条件をそろえることができ、均一な露光を行うことが可能になる。
さらに、近接場の強度が一定であれば、最も強度の弱い近接場でも露光可能なように光源に電力を供給する必要がなくなる。つまり、強度の高い近接場に対しては過剰であった光源への電力の供給を減少できる。
従って、本発明の光学素子を近接場発生装置に用いた場合、近接場発生装置での電力消費を少なくすることができる。
また、本発明の光学素子では、複数の上記凹部又は凸部は、上記光学的開口から所定の間隔で設けられていることが好ましい。
これにより、表面プラズモンポラリトンは、不規則に凹部又は凸部が設けられている場合よりも、光学的開口に対して複数の凹部又は凸部が所定の間隔をもって設けられている場合に干渉を発生しやすい傾向をもつため、より金属膜上に表面プラズモンポラリトンの干渉が発生しやすくなる。
表面プラズモンポラリトンの干渉は近接場の増強に働くため、表面プラズモンポラリトンの干渉が発生しやすくなることによって近接場の増強率が向上する。
また、本発明の光学素子では、上記間隔の長さは上記直線偏光の波長λの1/10以上かつ1/2以下の長さであることが好ましい。
これにより、表面プラズモンポラリトンは、上記所定の間隔が光源から出射される光の波長λの1/10以上かつ1/2以下の長さである場合に、表面プラズモンポラリトンの干渉が特に発生しやすい性質を持つため、より金属膜上に表面プラズモンポラリトンの干渉が発生しやすくなる。
表面プラズモンポラリトンの干渉は近接場の増強に働くため、表面プラズモンポラリトンの干渉が発生しやすくなることによって近接場の増強率が向上する。
また、近接場の増強率を高めるための間隔の条件は、金属膜の材質、及び光源から出射される光の波長などによって大きく変化するが、一方で、間隔を小さくし、凹部又は凸部の数を増やすことでも増強率を高めることができる。
よって、上記所定の間隔が光源から出射される光の波長λの1/10以上かつ1/2以下の長さであるという条件の中で最小の間隔を選択し、凹部又は凸部を可能な限り多く配置すれば、近接場の増強率を最も高めることも可能となる。
また、本発明の光学素子では、上記金属膜は、銀、金、アルミニウム、白金、および銅の何れか1つの金属、または該金属を含む合金からなることが好ましい。
これにより、銀、金、アルミニウム、白金、及び銅のうち何れか1つの金属、並び該金属を含む合金は、誘電率の実部の符号がマイナスで値が大きく、かつ、誘電率の虚部が小さい材質であって、表面プラズモンポラリトンを発生させやすい特徴があることから、光学的開口周辺に表面プラズモンポラリトンが発生しやすくなる。
表面プラズモンポラリトンの干渉は近接場の増強に働くため、表面プラズモンポラリトンが発生しやすくなることによって近接場の増強が起こりやすくなる。
また、本発明の光学素子では、上記金属膜の表面に誘電体膜が設けられていることが好ましい。
これにより、金属膜の表面を誘電体薄膜が覆うことになる。よって、誘電体薄膜に覆われていることによって、金属膜の酸化を防止することができる。
そして、金属膜の酸化が防止される結果、上記金属膜を構成要素としている近接場発生装置の耐久性も向上する。
また、金属膜の酸化が防止されることによって、金属膜表面の経時変化が少なくなる。
金属膜の表面状態(金属膜表面の粗さ、又は付着物など)によって、近接場及び表面プラズモンポラリトンの発生状態は大きく異なる。
例えば、表面プラズモンポラリトンが発生しやすいAgは、非常に酸化・白濁しやすく、金属膜の表面状態が変化しやすい。このため、時間と共に、近接場及び表面プラズモンポラリトンが生じにくくなりやすい。
つまり、金属膜表面の経時変化が少なくなることによって、近接場及び表面プラズモンポラリトンが生じやすい状態を長期間保つことができる。
また、本発明の近接場発生装置では、前記のいずれかの光学素子と直線偏光を照射する光学系とを備えることが好ましい。
これにより、前記いずれかの光学素子を備えているため、直線偏光の光によって光学的開口に発生する近接場を効果的に光増強することが可能な近接場発生装置が実現できる。
また、光学的開口から偏光方向に凹部又は凸部を設けるので、近接場の光増強を効果的に行える構成のまま凹部又は凸部が光学素子の金属膜上を占める面積を狭くすることが可能な近接場発生装置が実現できる。
また、任意の光学的開口から生じる近接場に対して選択的に光増強を行うことも可能な近接場発生装置が実現できる。
また、本発明の露光装置では、前記の近接場発生装置を備え、被露光体の露光を行うことが好ましい。
これにより、近接場による露光は、通常の光による露光よりも非常に細かいパターンの露光が可能であるので、被露光体に非常に細かなパターンの露光を行うことができる。
また、複数の光学的開口から生じる近接場をそれぞれ均一に調整することも可能である。従って、均一に調整された上記近接場によって、被露光体に非常に細かなパターンの露光を均一に行うことが可能になる。
本発明の光学素子は、上記課題を解決するため、近接場を発生するための複数の光学的開口が金属膜に形成された光学素子であって、上記複数の光学的開口の内、第1の光学的開口の周囲には、凹部又は凸部が少なくとも1つ以上設けられており、上記複数の光学的開口の内、第2の光学的開口の周囲には、第1の光学的開口の周囲に設けられている凹部又は凸部よりも少ない凹部又は凸部が設けられているか、或いは、凹部又は凸部が設けられていないことを特徴としている。
これにより、表面プラズモンポラリトンは、上記光学的開口の周囲により多く凹部又は凸部が設けられている場合に干渉が発生しやすい性質をもつため、周囲により多く凹部又は凸部が設けられている光学的開口の周囲で、より金属膜上に表面プラズモンポラリトンの干渉が発生しやすくなる。
表面プラズモンポラリトンの干渉は近接場の増強に働くため、表面プラズモンポラリトンの干渉が発生しやすくなることによって周囲により多く凹部又は凸部が設けられている光学的開口で選択的に近接場の増強率が向上する。
従って、周囲により多く凹部または凸部を設ける光学的開口を任意に選択することによって、任意の光学的開口から生じる近接場に対して選択的に光増強を行うことも可能である。
また、近接場に対して選択的に光増強を行うことが可能であるため、照射される光の強度分布が不均一であっても、複数の光学的開口から生じる近接場をそれぞれ均一に調整することも可能になる。
その結果、直線偏光の光を出射する光源を用いる場合に適した近接場の光増強が可能になる。
本発明によれば、表面プラズモンポラリトンは、直線偏光の光の偏光方向延長上に凹部または凸部が設けられている場合に最も干渉が発生しやすくなる傾向をもつため、表面プラズモンポラリトンの干渉によって生じる近接場の光増強が起こりやすくなる。
よって、直線偏光の光によって光学的開口に発生する近接場を効果的に光増強することが可能となるという効果を奏する。
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1ないし図10(b)に基づいて説明すれば、以下の通りである。
まず、図1を用いて本発明の近接場発生装置1の構成の説明をする。
本実施の形態における近接場発生装置1は、直線偏光光源(光学系)10、集光機構11、金属遮光膜(金属膜)12、近接場を発生可能な開口である微小開口(光学的開口)13a・13b・13c、及び、微小構造物(凹部及び/又は凸部)14を備えている。
また、金属遮光膜12、微小開口13a・13b・13c、及び、微小構造物14によって光学素子2を形成している。
直線偏光光源10は、偏光方向16の方向に偏光した光ビーム(直線偏光)15を出射するものである。
集光機構11は、直線偏光光源10から出射される光ビーム15を集光し、金属遮光膜12上に集光スポット17を形成するためのものである。
集光スポット17は金属遮光膜12上に集光される光スポットであって、近接場によって微小開口13a・13b・13cから生じる光スポットとは異なるものである。
金属遮光膜12は銀(Ag)、アルミニウム(Al)、金(Au)、白金(Pt)、又は銅(Cu)等の金属膜で構成されている。膜厚は、10〜500nm程度である。
上記の条件を備えた金属薄膜を使用すると、基板表面付近に表面プラズモンポラリトンが生じ、近接場の増強が期待できる。
金属遮光膜12を構成する金属材質によって増強率は異なるが、誘電率の実部の符号がマイナスであって、実部の値が大きく、かつ、誘電率の虚部の値が小さい材質である場合に表面プラズモンポラリトンが生じやすい。上記金属はこの条件を満たしており、金属遮光膜12の材質として適している。
また、表面プラズモンポラリトンとは、金属表面に生じる電子波(plasmon)のことである。
一般に光は電子波とはカップリングしないが、金属表面では近接場とカップリングを起こす電子波のモードが生じる。よって、近接場と表面プラズモンポラリトンとの間に強めあったり弱めあったりといった相互干渉が生じる。
本発明は、この表面プラズモンポラリトンを有効的に利用して近接場の増強を行うものである。
また、文言「近接場」は近接の(電磁)場のことであり、文言「近接場光」は上記近接場に存在する光(電磁波)である。
従って、本明細書において、文言「近接場」と「近接場光」との明確な意味の違いはなく、同義の文言とする。そして、本明細書では、主に文言「近接場」を用いることとする。
微小開口13a・13b・13cは金属遮光膜12を貫通する複数の開口部であって、金属遮光膜12上の集光スポット17の範囲内に形成されている。
近接場発生装置1から出力される近接場の光スポットの面積の大きさは、微小開口13a・13b・13cの開口部の面積と同程度の大きさである。
また、近接場の形状も微小開口13の形状によって異なってくることが知られている。
近接場発生装置1は、主に光の回折限界を越えた光スポットを得るために用いられるため、微小開口13a・13b・13cの直径は、直線偏光光源10の波長以下(より具体的には1/2波長以下、又は1/4波長以下)であることが一般的である。
例えば、直線偏光光源10が赤色レーザーであれば、その波長である約600nmよりも微小開口13a・13b・13cの直径が小さくなるように設定される。一方、青色レーザーであれば、その波長である約400nmよりも微小開口13a・13b・13cの直径が小さくなるように設定される。
例えば、直線偏光光源10が赤色レーザーであれば、その波長である約600nmよりも微小開口13a・13b・13cの直径が小さくなるように設定される。一方、青色レーザーであれば、その波長である約400nmよりも微小開口13a・13b・13cの直径が小さくなるように設定される。又は、金属遮光膜12に金(Au)を用いた場合、Auに対する表面プラズモンポラリトンの発生しやすい光源波長が800nmから1000nm程度であるため、微小開口13a・13b・13cの直径は、約800nmより小さくなるように設定すればよい。
ここで、近接場の発生する過程の説明をする。
まず、直線偏光光源10から出射される光ビーム15は、集光機構11によって集光される。
続いて、集光された光ビーム15が金属遮光膜12に照射され、集光スポット17を形成する。
そして、集光スポット17の光が微小開口13に入射することによって、直線偏光光源10と向かい合っている金属遮光膜12の面と反対側の面の微小開口13a・13b・13cの周辺に近接場が発生する。
つまり、微小開口13a・13b・13cが、近接場の発生源といえる。
微小構造物14は、金属遮光膜12上に形成される凹部及び/又は凸部であって、微小開口13の周辺に形成されている。
また、微小開口13a・13b・13cに対する微小構造物14の数、及び/又は配置を工夫することによって、微小開口13a・13b・13cから発生する近接場の強度をそれぞれでほぼ一定になるように調整している。
なお、本実施の形態においては、微小開口13a・13b・13cは円形の形状をしているが、必ずしもこの形状に限定されない。
例えば、微小開口13a・13b・13cは多角形、又は円形及び多角形の組み合わせ形状等の形状であっても構わない。
次に、近接場の強度を調整する原理について、図2(a)〜図3(b)を用いて説明する。
図2(a)は金属遮光膜12を直線偏光光源10側から見た図である。
説明を簡便にするため、例えば2つの微小開口13a・13bを備えるものとする。そして、集光スポット17の中心には微小開口13bを配置し、集光スポット17の中心から離れた位置には微小開口13aを配置している。
また、図2(a)に示す金属遮光膜12上には、微小構造物14は形成されていないものとする。
図2(b)は微小開口13a・13bから発生する近接場の強度を表した図である。
横軸に図2(a)のX方向の座標をとり、縦軸に近接場の強度をとる。
その結果、集光スポット17上の近接場の強度分布は入射光強度分布20に示すようなガウス分布となる。
近接場の強度は入射光の強度に比例するため、金属遮光膜12の直線偏光光源10側の反対面での近接場の強度分布は近接場強度分布21のような分布となる。そして、微小開口13aでの近接場の強度は微小開口13bでの近接場の強度よりも小さくなってしまうことになる。
続いて、図3(a)に示すような図2(a)の状態に微小構造物14を加えた場合の近接場の強度分布を図3(b)に示す。
2つの微小構造物14は、微小開口(第1の光学的開口)13aに対して直線偏光光源10から出射される光ビーム15の偏光方向16と平行な方向(図3(a)中のY方向)に、微小開口13aからdの距離だけ離れた位置にそれぞれ設けられている。
一方、微小開口(第2の光学的開口)13bに対して直線偏光光源10から出射される光ビーム15の偏光方向16と平行な方向には微小構造物14は設けられない。
上述したような微小構造物14の配置を行うことによって、図3(b)に示すように、微小開口13aから発生する近接場の強度を選択的に増強することができる。
dは、直線偏光光源10から出射される光ビーム15の波長によって最適な長さが変化するものである。
また、微小構造物14の数を増やすと、近接場をさらに増強することも可能になる。
図3(b)で示した近接場の強度の増強(光増強)が生じる理由は以下のように推測されている。
微小開口13aで生じた近接場は、表面プラズモンポラリトンとカップリングし、金属遮光膜12表面を伝播する。そして、金属遮光膜12表面に微小構造物14が存在すると、表面を伝播する波が反射・散乱する。
微小構造物14が一定の周期で配置されていた場合には、各微小構造物14で反射・散乱した波がお互いに干渉を起こす。
微小構造物14の配置の周期が波を強める条件であるとき、微小開口13aで発生する近接場の強度は増強される。つまり、近接場の光増強には表面プラズモンポラリトンが重要な役割を担っており、表面プラズモンポラリトンの伝播範囲内に微小構造物14が存在しないと、近接場の光増強は生じない。
例えば、金属遮光膜12の材質を表面プラズモンポラリトンが生じにくいと共に、伝搬しにくい材質のTaなどに変更すると、近接場はほとんど光増強されない。
次に、図4及び図5を用いてFDTD(Finit-Different Time-Domain)シミュレーションによって求められる微小開口13a・13b・13c・13dから発生する近接場の強度の分布を示す。FDTDシミュレーションは近接場の計算に一般的に用いられている計算方法である。
図4は近接場の強度の計算に用いたモデルを示しており、金属遮光膜12上に4つの微小開口13a・13b・13c・13dと12個の微小構造物14とを設けたモデルとなっている。
金属遮光膜12の膜厚は100nmであって、材質はAg(誘電率の実部ε’=−6.53、誘電率の虚部ε’’=0.737)を用いている。
微小開口13a・13b・13c・13dは100nm×100nmの正方形で、図4中のX方向(入射光の偏光方向16と垂直方向)にP1=100nmの間隔で配置した。
入射光は、金属遮光膜12の表面に対して垂直方向から照射し、4つの微小開口13a・13b・13c・13dが並んだ列の真中の部分が集光スポット17の中心となるように照射した。入射光は波長が458nmであって、その強度分布は金属遮光膜12の表面上に半値幅1000nmのガウス分布を持つように設定した。入射光の偏光方向16は図4中のY方向と同一の方向である。
微小構造物14は、170nm×100nmの長方形であって、深さが50nmの溝とする。微小構造物14同士の間隔P2は170nmであって、近接場の強度の弱くなる外側2つの微小開口13a・13dの周辺に配置する。また、微小構造物14の配置方向は、入射光の偏光方向16と同一の方向(Y方向)とする。
微小構造物14を配置する場合と配置しない場合とのそれぞれの場合について、微小開口13a・13b・13c・13dから抜けた光(近接場)の強度を計算した。
図5に上記の計算の結果を示す。
破線は、微小構造物14を配置しなかった場合(構造物無し)の近接場の強度の分布状態を表すものであって、4つ並んだ微小開口13a・13b・13c・13dのうちの真中2つの微小開口13b・13cから発生した近接場の強度(真中の2つの山)が高く、両端の微小開口13a・13dから発生した近接場の強度(両端の山)は低いことが分かる。
これは、ガウス分布を示す入射光の強度分布をそのまま反映している。
実線は微小構造物14を配置した場合(構造物あり)の近接場の強度の分布状態を示すものであって、両端の微小開口13a・13dから発生した近接場の強度が微小構造物14を配置しなかった場合に比べて増強されていることがわかる。
さらに、真中2つの微小開口13c・13dから発生した近接場の強度も若干ではあるが増強されている。
微小構造物14を配置した場合には、各微小開口13a・13b・13c・13dから発生した近接場の強度がほぼ一定となっている。
よって、微小構造物14による近接場への光増強の効果が現れていることがわかる。
本実施の形態では、微小構造物14は両端の微小開口13a・13dの1つあたりに対して、片側に3個ずつの両側で計6個の微小構造物14が配置されているが、微小構造物14の数を増やすほど近接場の光増強の効果はより大きくなる。
また、金属遮光膜12の材質をAgから表面プラズモンポラリトンが生じにくいと共に、伝搬しにくいTaに変更した場合、微小構造物14の配置の有無によって強度分布の差を生じにくい。よって、各微小開口13a・13b・13c・13dから発生する近接場の強度を一定にすることが困難となる。
また、金属遮光膜12上に誘電体薄膜のAlN(窒化アルミニウム)を5nm設けた場合、微小構造物14による近接場の光増強の効果は若干悪化する。しかし、微小構造物14の数を増やし、近接場の光増強の効果を高めることによって、微小開口13a・13b・13c・13dから発生する近接場の強度をそれぞれほぼ一定にすることができる。
金属遮光膜12上に誘電体薄膜を追加することによって、金属遮光膜12の表面酸化を防止することが可能となり、金属遮光膜12の経時変化が生じにくくなる。
特に、表面プラズモンポラリトンが最も生じやすいAgは酸化しやすく、Ag表面が酸化して金属遮光膜12の表面形状が荒れてしまうと近接場の光増強の効果が急激に悪化してしまう。
よって、金属遮光膜12上に誘電体薄膜を設けることによって、近接場の光増強の効果が若干悪化したとしても、金属遮光膜12の酸化防止のためには誘電体薄膜を設けたほうが良い場合もある。
例えば、表面プラズモンポラリトンが発生しやすいAgは、非常に酸化・白濁しやすく、金属膜の表面状態が変化しやすい。このため、時間と共に、近接場の光増強及び表面プラズモンポラリトンが生じにくくなりやすい。
よって、AlN又はSiNなどの誘電体を5nm程度、Ag薄膜上に形成し誘電体薄膜とすることによって金属膜表面の酸化防止を行い、金属膜表面の経時変化を少なくできる。
そして、その結果、近接場の光増強及び表面プラズモンポラリトンが生じる頻度の低下を防ぐことができる。
次に、図6(a)〜図9(b)を用いて近接場の光増強効果と微小構造物14の配置との関係を説明する。
図6(a)〜図7は、微小構造物14の配置例を表したA−B切断面での断面図である。
図6(a)のように金属遮光膜12の光ビーム15の入射面側と近接場発生面側との両面の同じ位置に微小構造物14を設けると、最も近接場の光増強の効果が高くなる。
図6(b)の例は、図4の例と同様に金属遮光膜12の上記入射面側のみに微小構造物14を設けた配置であるが、近接場の光増強の効果は図6(a)よりも低くなる。
図6(c)の例は金属遮光膜12の近接場発生面側のみに微小構造物14を設けた例であるが、近接場の光増強の効果は図6(b)の入射面側のみに設けている場合よりも低くなる。
また、図6(a)〜図6(c)に示す、どの微小構造物14の配置の場合にも、微小構造物14の形状は溝形状(凹形状)であっても、凸形状のものであっても同等に近接場の光増強の効果がある。
さらに、金属遮光膜12の両面に微小構造物14が配置されている場合、図6(a)に示した両面とも凹形状、又は凸形状の場合以外にも、片面が凹形状で他面が凸形状の場合であっても、両面とも凹形状、又は凸形状の場合と同等に近接場の光増強の効果がある。
また、微小構造物14が凹形状である場合、上記凹形状は金属遮光膜12を光学的に貫通しない深さであることが望ましい。
凹形状をした微小構造物14から光ビーム15が透過してしまうと、図7に示すように、上記凹形状をした微小構造物14の光ビーム15の入射面の反対側に近接場が発生してしまう。
よって、微小開口13a・13b・13c以外の箇所で近接場を発生させたくない場合には、微小構造物14の深さをあまり深くしないほうが良い。
例えば、金属薄膜の膜厚が50nm程度あれば、9割以上の透過光を遮光できる。従って、金属遮光膜12の膜厚と微小構造物14の深さとの差は、50nm以上であることが望ましい。
続いて、図8(a)〜図9(b)に近接場の光増強の効果が得られる微小構造物14の配置例を示す。
図8(a)に示すように、微小開口13aの片側のみに微小構造物14を配置した場合であっても近接場の光増強の効果が生じる。ただし、微小構造物14を微小開口13aの両側に配置した場合よりも近接場の光増強の効果は弱い。
また、図8(b)に示すように、偏光方向16に平行な方向(Y方向)だけでなく、偏光方向16に垂直な方向(X方向)にも微小構造物14を配置することによって、偏光方向16に平行な方向(Y方向)だけに微小構造物14を配置した場合よりも近接場の光増強の効果が大きくなる。
図9(a)に示すように、微小開口13bの周辺にも微小構造物14を設置すれば、微小開口13aだけでなく、微小開口13bの近接場も光増強することができる。
また、微小構造物14の形状は丸型や長方形に限らず、周期が一定の繰返しパターンとなっていれば良い。従って、図9(b)に示すようなU字型の溝が形成されていても、近接場の光増強が可能となる。
図8(a)〜図9(b)の微小構造物14の配置例では、集光スポット17の外周部に形成された微小開口13aの近接場の光増強の効果が選択的に高くなるように微小構造物14を配置している。しかし、微小構造物14の配置の仕方によって、全ての微小開口13a・13bに任意の近接場の光増強の効果を設定することが可能である。
例えば、集光スポット17の中心部にある微小開口13bの近接場の光増強の効果が高くなるようにするには、微小開口13bの中心を通ると共に、偏光方向16に平行な直線状に微小構造物14を多く配置すればよい。
ただし、上述の配置例は一例であって、それ以外の配置を否定するものではない。
また、微小構造物14の配置位置は集光スポット17内にある必要は無く、表面プラズモンポラリトンの伝播長内(金属遮光膜12の材質、厚み、表面状態等により大きく異なるが、例えば最適な条件のAg膜上であれば20μm程度)にあれば近接場の光増強の効果がある。
表面プラズモンポラリトンの伝播長内に微小構造物14を配置する場合には、微小構造物14を配置する数が多いほど近接場の光増強の効果は高くなる。
金属遮光膜12の材質によって、表面プラズモンポラリトンの伝播長は異なる。よって、Agなどの伝播長の長い金属を用いると共に、微小構造物14の数を多く配置すれば、より近接場の光増強の効果が高くなる。そして、近接場発生装置1の光メモリー又は光加工を行う近接場光源としての利用価値が高まる。
図10(a)及び図10(b)に微小構造物14の間隔と近接場の光増強の効果との相関性についての計算結果を示す。図10(a)は上記計算に用いたモデルであって、厚み100nmの金属遮光膜12を光ビーム15の入射方向と偏光方向16とに対して垂直方向にあたる方向から見た図となっている。
金属遮光膜12には、幅100nmの微小開口13aが真中に開いている。
また、微小開口13aの周りを一定の間隔P2にて4つの微小構造物14が配置されている。微小構造物14の幅はP2であって、微小構造物14の溝の深さは50nmである。
直線偏光光源10によって、波長λの光ビーム15を微小構造物14の設けられた金属遮光膜12に照射する。すると、微小開口13aの金属遮光膜12に対して直線偏光光源10側と反対側から近接場30が発生する。
微小構造物14の幅であって、間隔でもあるP2を変更したときの、近接場の光増強の効果(増強率)について計算を行った。
金属遮光膜12の材質には、表面プラズモンポラリトンが生じやすい金属の中から、Ag(誘電率の実部ε’=−6.53、誘電率の虚部ε’’=0.74、波長λ=459nm)、Al(誘電率の実部ε’=−30.7、誘電率の虚部ε’’=7.18、波長λ=459nm)、及びAu(誘電率の実部ε’=−14.4、誘電率の虚部ε’’=1.21、波長λ=688nm)を選んだ。
金属の誘電率は光ビーム15の波長λによって大きく異なるため、選んだ金属ごとに表面プラズモンポラリトンが生じやすい入射光波長を選んだ。
図10(b)に計算結果を示す。
金属遮光膜12の材質をAg又はAlにした場合ではP2=100nm〜150nmのとき増強率が高くなっている。
また、金属遮光膜12の材質をAuにした場合ではP2=150nm〜250nmのとき、増強率が高くなっている。
このように、微小構造物14の配置と近接場の光増強の効果(増強率)とには相関があり、効率的に近接場を光増強するためには微小構造物14の適正な配置が必要なことがわかる。
また、直線偏光光源10から出射される光ビーム15の波長λ、又は金属遮光膜12の材質が異なれば、最適なP2も異なる。
このため、光ビーム15の波長λ、及び金属遮光膜12の材質ごとに最適なP2を選択しなくてはならない。さらに、図10(b)に示す計算例では、金属遮光膜12の膜厚、微小開口13aの幅、及び微小構造物14の溝の深さの値を固定しているが、これらの値が変化しても近接場の増強率は増減する。
図10(b)に示す計算例では、微小構造物14の数を4つに固定しているが、微小構造物14の数が多いほど近接場の増強率は向上する。ただし、微小構造物14による近接場の増強は、表面プラズモンポラリトンを利用したものである。
よって、微小開口13aを中心とした表面プラズモンポラリトンの伝播長の外にある微小構造物14は近接場の増強に寄与できない。つまり、表面プラズモンポラリトンの伝播長内に可能な限り多くの微小構造物14を配置するほうが近接場の増強率は高くなる。従って、狭い範囲内に微小構造物14を多数配置できるように、P2は可能なかぎり短いほうが良い。
以上の結果から、近接場の増強率を高めるためには、P2は光ビーム15の波長λ、及び金属遮光膜12の材質に適した値のうち最小のものを選ぶと良いことがわかる。
図10(b)により、金属遮光膜12の材質による差はあるが、光ビーム15の波長λに対して、P2がλ/10以上かつλ/2以下の値の時に、より近接場の光増強の効果が高いことがわかる。
よって、λ/10以上かつλ/2以下の範囲内で最小のP2を選び、表面プラズモンポラリトンの伝播長内に可能な限り微小構造物14を多く配置すれば、もっとも近接場の増強率を高くすることができる。
なお、本実施の形態の近接場発生装置では、集光機構11を用いて光ビーム15を集光しているが、集光機構11を設けずに光ビーム15を平行光や発散光としても本発明の効果は変わらない。
光ビーム15の集光を行うことによって、集光スポット17内のエネルギー密度が高まるため、集光を行ったほうが近接場の強度を高めることが可能である。しかし、全ての微小開口13a・13b・13c・13dが集光スポット17内に存在するように照射を行う限りにおいて、どのような光を入射しても構わない。
以上の構成によれば、微小構造物14が近接場発生装置1の金属遮光膜12上を占める面積を狭くすることが可能であるため、任意の微小開口13a・13b・13c・13dに対して配置可能な微小構造物14の数の上限を増やすことが可能となる。よって、微小構造物14による光増強によって強度のより高い近接場を発生させることが可能になる。
さらに、任意の微小開口13a・13b・13c・13dに対して配置可能な微小構造物14の数の上限を増やすことが可能であるので、近接場の増強率の設定範囲を大きくとることができる。従って、近接場の出力分布を自由に調整することが可能となる。
また、近接場発生装置1は、ハードディスク用に研究開発が行われているパターンドメディアの作製に用いることができる。
パターンドメディアは、非磁性材料の中に磁性粒子を等間隔で規則正しく並べた記録媒体であって、上記磁性粒子の1粒子を1ビットして記録を行うものである。
上述のパターンドメディアの構成によれば、粒子間の磁気的な相互作用が少なくなるため、媒体雑音が低減し記録密度の大幅な向上が見込める。よって、パターンドメディアは次世代の記録媒体として期待されている。
パターンドメディアの作製方法には、露光、ナノインプリント、又は自己組織化といった、細かなパターンを規則的に大量に作製する方法が検討されている。
本実施の形態の近接場発生装置1を用いて露光を行う場合、非常に細かなパターンを同時に作製することができるため、効率良くパターンドメディアのパターンを作製することが可能となる。
すなわち、例えば、図1に示す近接場発生装置1をパターンドメディアのナノアレイパターンの作製に用いる場合、ナノアレイパターンを作製する予定のパターンドメディアのディスクにレジストを塗布した後、近接場発生装置1の微小開口13a・13b・13cをレジスト表面より100nm以下の距離を保ちつつ近接場発生装置1を走査する。
そして、直線偏光光源10を高速で点滅させることによって、一度に微小開口13a・13b・13cの数に応じた複数の破線パターンを露光することが可能である。
本発明の近接場発生装置1は各微小開口13a・13b・13cから発生する近接場のそれぞれの強度を一定に調整できるため、レジストへの露光条件を均一化でき、効率良くレジストを露光することが可能である。
一度に露光できる破線パターンの数を増やすには、微小開口13a・13b・13cの数を可能な限り増やすと良い。
また、レジストの露光スピードを高めるには、近接場の強度を可能な限り高くすれば良い。つまり、微小開口13a・13b・13cの数を増やし、微小開口13a・13b・13cの周辺に配置する微小構造物14の数も増やせば良い。
さらに、レジストの露光条件を一定にするためには、近接場の強度の弱くなる集光スポット17の外周部にある微小開口13a・13cの近接場の増強率を微小開口13bの近接場の増強率よりも高めれば良い。
微小開口13a・13b・13c同士の間隔(ピッチ)はできる限り短いほうが望ましい。各々の近接場の発生範囲を小さくすることも重要であるが、各近接場同士のピッチを短くしなくては近接場発生装置1によって露光されるパターンの密度は上がらない。
微小開口13a・13b・13cのピッチを光ビーム15の波長よりも短くすることによって露光されるパターンの密度が向上し、パターンドメディアに適した非常に細かなパターンの露光を行うことができる。
レジスト表面と微小開口13a・13b・13cとの距離の制御は、例えばハードディスクに用いられるフライングヘッドを用いれば良い。
フライングヘッドは100nm以下のギャップでハードディスク上を高速移動可能なものである。ただし、レジストの露光を行う露光ヘッドの部分は軽量でなくてはいけない。
よって、例えば、金属遮光膜12をフライングヘッドに搭載し、直線偏光光源10、及び集光機構11をフライングヘッドの外部に設置することによって、近接場発生装置1にフライングヘッドを適用してレジストの露光を行うことが可能となる。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以上のように、本発明の近接場発生装置は、直線偏光を持つ光源に適した近接場の光増強が可能なものである。
例えば、カッティングに応用すれば、非常に細かなパターンを同時に露光可能なマルチビームカッティングが可能となり、ハードディスク等で用いられるパターンドメディアの作成が容易に行えるようになる。
したがって、本発明は、光加工や光情報記録・再生に関連する産業分野に好適に用いることができる。
本発明における近接場発生装置の実施の一形態の概略的構成を示す図である。 (a)は本発明における金属遮光膜上にある2つの微小開口と集光スポットとの位置関係を示す、金属遮光膜を直線偏光光源側から見た図であって、(b)は微小構造物を配置しない場合における、金属遮光膜の直線偏光光源側表面における入射光の強度分布と、金属遮光膜の直線偏光光源側に対して反対側の表面に発生する近接場(出射光)の強度分布とを示した図である。 (a)は本発明における金属遮光膜上にある2つの微小開口と集光スポットとの位置関係を示す、金属遮光膜を直線偏光光源側から見た図であり、(b)は微小構造物を配置した場合における、金属遮光膜の直線偏光光源側表面における入射光の強度分布と、金属遮光膜の直線偏光光源側に対して反対側の表面に発生する近接場(出射光)との強度分布を示した図である。 本発明における近接場発生装置のFDTDシミュレーションを行う微小開口の配置を示す図である。 本発明における近接場発生装置のFDTDシミュレーション結果を示す図である。 (a)〜(c)は、本発明における近接場発生装置の金属遮光膜上の微小開口と微小構造物との配置例を示す断面図である。 金属遮光膜上の凹形状の微小構造物の配置例を示す断面図である。 (a)及び(b)は、本発明における近接場発生装置の微小開口と微小構造物との配置を示す平面図である。 (a)及び(b)は、本発明における近接場発生装置の微小開口と微小構造物との配置を示す平面図である。 (a)は本発明における近接場発生装置の金属遮光膜上の微小開口と微小構造物との配置を表す断面図であって、(b)は本発明における近接場発生装置の微小構造物の配置の間隔と近接場の増強率との関係を表すグラフである。 従来技術を示すものであり、近接場発生素子の構造を模式的に示す図である。
符号の説明
1 近接場発生装置
2 光学素子
10 直線偏光光源(光学系)
11 集光機構
12 金属遮光膜(金属膜)
13a 微小開口(光学的開口、第1の光学的開口)
13b 微小開口(光学的開口、第2の光学的開口)
13c 微小開口(光学的開口)
13d 微小開口(光学的開口)
14 微小構造物(凹部又は凸部)
15 光ビーム(直線偏光)
16 偏光方向
17 集光スポット
20 入射光強度分布
21 近接場強度分布
30 近接場

Claims (12)

  1. 直線偏光を照射する光学系と、
    上記光学系から照射される直線偏光によって近接場を発生するための複数の光学的開口が金属膜に形成された光学素子であって、
    上記複数の光学的開口は、上記直線偏光の偏光方向とは異なる直線上に並んでおり、
    上記複数の光学的開口の内、第1の光学的開口の中心から上記直線偏光の偏光方向に、凹部又は凸部が少なくとも1つ以上設けられ、
    上記複数の光学的開口の内、第2の光学的開口の中心から上記直線偏光の偏光方向に、上記第1の光学的開口の中心から上記直線偏光の偏光方向に設けられている凹部又は凸部よりも少ない凹部又は凸部が設けられている光学素子と、を備えることを特徴とする近接場発生装置
  2. 上記凹部又は凸部は、上記照射側の上記金属膜表面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の近接場発生装置
  3. 上記凹部又は凸部は、複数設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の近接場発生装置
  4. 複数の上記凹部又は凸部は、上記光学的開口を挟んで設けられていることを特徴とする請求項3に記載の近接場発生装置
  5. 複数の上記凹部又は凸部は、上記金属膜の両面に、上記金属膜に対して対称の位置にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項3または4に記載の近接場発生装置
  6. 複数の上記凹部又は凸部は、上記光学的開口から所定の間隔で設けられていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の近接場発生装置
  7. 上記間隔の長さは上記直線偏光の波長λの1/10以上かつ1/2以下の長さであることを特徴とする請求項6に記載の近接場発生装置
  8. 上記複数の光学的開口は、上記直線偏光の偏光方向と直交する方向に並んで設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の近接場発生装置
  9. 上記金属膜は、銀、金、アルミニウム、白金、及び銅の何れか1つの金属、または該金属を含む合金からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の近接場発生装置
  10. 上記金属膜の表面に誘電体膜が設けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の近接場発生装置
  11. 上記光学系が照射する直線偏光は、上記金属膜に対する入射光の強度がガウス分布となる強度分布を持ち、上記第1の光学的開口よりも上記第2の光学的開口に照射する強度が強いこと特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の近接場発生装置。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の近接場発生装置を備え、被露光体の露光を行うことを特徴とする露光装置。
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