JP4415756B2 - 光学素子並びにその製造方法 - Google Patents

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本発明は金属膜を用いた光部品に関し、とくに一つまたは複数の微小開口を利用した高い光透過率と高い空間分解能を合わせ有する光学素子並びにその製造方法に関する。
一般に光学侵入長(入射光による電磁界が、電界強度が1/eに低下するまで金属中に侵入する深さ、スキンデプスと呼ばれる)よりも十分に厚い金属膜は、バルクプラズマ振動数より低い振動数の光に対して不透明である。このような金属膜に膜を貫通する開口を設けた場合、その開口径dが光の波長λよりも小さければ、この開口を透過する光のパワーは非常に小さなものとなる。H. A. Bethe著 「微小孔による回折理論(Theory of Diffraction by Small Hall)」、Physical Review、第66巻、第163−182頁(1944年)によれば、このような微小な開口(直径d)を透過する波長λの光のパワーは、(d/λ)の4乗に比例して著しく減衰することが知られている。
これに対し近年、光の波長未満の径を有する開口列をもった金属膜を使用して、開口列を透過する光の透過率を著しく高めた光伝送技術が開示されている。これはEbbesenらの「波長未満口径の孔列による驚くべき光伝送(Extraordinary optical transmission through sub-wavelength hole arrays)」、Nature、巻391、頁667-669(1988年)、Ebbesenらの米国特許第5,973,316号明細書(特開平11-72607号公報)、Kimらの米国特許第6,040,936号明細書(特開2000-111851号公報)、Ebbesenらの米国特許出願公開第09/208,116号(特開2000-171763号公報)、及びKimらの米国特許出願公開第09/435,132号に詳細に説明してある。これらの文献によれば以下のことが示されている。導電性膜に照射された光が導電性膜に設けた波長以下の直径を有する1つ以上の開口を透過するときに、開口を周期的に配列することにより、透過する光強度が周期的な開口がない場合に比べて大幅に増加する。また開口と連携して前記導電性膜上に周期的な表面形状を設けることにより、透過する光強度が周期的な表面形状がない場合に比べて大幅に増加する。これらの透過光強度の増加は、導電性膜に入射する光が導電性膜に励起される表面プラズモンモードと共鳴的に相互作用するときに起こると考えられている。
このような光の波長以下の微細なスポットが形成可能で、かつ高い光透過率を有する特異な光学素子を応用した例として、特許文献1には、非常に高い透過光パワー密度と分解能を有する、光記録装置用の読み出し/書き込みヘッドが開示されている。この光ヘッドでは、金属膜の表面の少なくとも一方の面に設けられた周期的な表面形状により、金属膜の表面の一方に入射する光が金属膜の表面の少なくとも一方での表面プラズモンモードと相互作用し、その結果金属膜を貫通する開口を通る透過光の強度が増加することが示されている。
また特許文献2においては、この光と表面プラズモンモードとの相互作用を利用した、1つまたは複数個の微小な開口を有する光学素子、及びこの技術を適用したフォトリソグラフィ用のマスクを開示している。このフォトリソグラフィマスクは短波長の強度の高いUV源やX線源を使用することなく、従来の感光性材料上に波長よりも大きさの小さい点あるいは線を描くことができる。
上記のような光学素子の実用的な利用の見地からすると、光学素子が同じ分解能を有していれば、より大きな光透過率を得ることが重要な検討課題となる。この点に関して、特許文献3は、従来の光透過率に比べ、より強化された光透過率を得ることができる光伝送装置(光学素子)を開示している。この光伝送装置は、導電性膜の両表面に実質的に隣接し、かつ実質的に屈折率の等しい2つの誘電体層を有し、この構成によって両表面間の光伝送効率を強化することができることを示している。これは導電性膜の2つの表面プラズモンモード間の結合が起こるためと考えられている。
特開2001−291265号公報(第8−9頁、図1) 特開2000−171763号公報(第6−12頁、図1、26) 特開2001−133618号公報(第5−6頁、図2)
しかしながら、上記の特許文献3に開示された光伝送装置(光学素子)では、実際のアプリケーションを念頭においた場合、状況によってはその効果を有効に発揮できない場合が生じる。以下にその例を示す。
導電性膜の両表面の誘電体層の一方が導電性膜を保持する誘電体支持部材(一般に基板とよばれるもの)であり、もう一方が導電性膜の表面に薄膜プロセス等で堆積した誘電体膜である場合、開口を通じた光のスループットを強化するためには、堆積する誘電体膜の厚みを導電性膜表面上の表面プラズモンのエバネッセント波が誘電体膜へ浸み出す距離と少なくとも同等にする必要がある。この厚みは導電性膜の誘電率、あるいは光の波長によって変化するが、一般に100nmから数100nm程度となることが多い。仮にこのような構造の光学素子を、先に特許文献1に関して述べた光記録装置用の読み出し/書き込みヘッドに適用した場合、記録媒体と導電性膜の開口端との距離(一般にヘッド/媒体間距離と呼ばれる)が、誘電体膜が在ることによって大きく離間することになる。このため分解能や感度など記録再生特性が大きく劣化するということが明らかとなった。導電性膜を同一誘電体でサンドイッチする特許文献3に開示されたような構成を採らなくても、光学素子の光透過率を高めることができる方策が求められる。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、第1の表面から第2の表面へ貫通する少なくとも一つの開口と周期的に設けられた表面形状を少なくとも一つの表面に備える導電性膜を有し、どちらか一つの表面に入射し開口を通じて伝送される光の強度が、前記表面形状がない場合に比べて増強される光学素子であって、とくに従来とは別の方法で、しかも簡便な方法によって、開口を通じて伝送される光の透過率を向上させる方策とその方策を施した光学素子並びにその製造方法を提供することにある。
[発明の特徴]
本発明の光学素子は、第1および第2の表面を有し、第1の表面から第2の表面に連通する少なくとも一つの開口と第1および第2の表面の少なくともどちらかの表面に周期的な表面形状を有する導電性膜を備え、表面形状は、表面に対して凸の形状または凹の形状を有し、表面形状の周期方向に沿った断面において、凸部または凹部の幅は40nm以上で上記周期長未満であり、高さは60nm以上でプラズモン反射率を飽和させる高さ以下であることを特徴とする。
また、本発明の光学素子の製造方法は、第1および第2の表面を有し、第1の表面から第2の表面に連通する少なくとも一つの開口と第1および第2の表面の少なくともどちらかの表面に周期的な表面形状を有する導電性膜を備え、表面形状は、表面に対して凸の形状または凹の形状を有し、表面形状の周期方向に沿った断面において、凸部または凹部の幅は40nm以上で上記周期長未満であり、高さは60nm以上でプラズモン反射率を飽和させる高さ以下である光学素子の製造方法であって、基板上のフォトレジストに表面形状を画定する工程と、エッチング法によってフォトレジストの表面形状パターンを基板に転写する工程と、さらにエッチングを追加して基板に転写された表面形状パターンの基板に垂直な断面形状を制御する工程と、追加エッチングを施した表面形状パターン上に導電性膜を成膜する工程と、導電性膜に開口を形成する工程を含むこと特徴とする。
また、導電性膜を伝播する電磁表面波が有限の伝播長を有し、表面形状は、開口からみて少なくとも伝播長の範囲と同程度の範囲に形成されていてもよい。
開口の径は、入射する光の波長よりも短い径を含んでいてもよい。
開口は、単一の開口であり、表面形状は開口の周囲に同心円状に形成されていてもよい。
開口は、単一の開口であり、表面形状は開口を中心にして一次元格子状に形成されていてもよい。
開口は、単一の開口であり、表面形状は開口を中心にして二次元格子状に形成されていてもよい。
また、表面形状の周期方向に沿った断面形状において、凸部または凹部の側面の最大傾斜角度が60度以上90度以下であってもよい。
表面形状は、導電性膜の両方の表面に形成され、2つの表面形状の周期方向に沿った断面の輪郭形状は、導電性膜の厚さの中心軸に対して鏡映対称を成すかまたは並進対称を成してもよい。

[作用]
光スループットを強化するためには、導電性膜に入射する光が導電性膜に励起される表面プラズモンモードと共鳴的に相互作用する際に、より強い共鳴状態を形成することが重要である。表面プラズモンは特に近赤外から可視の波長帯において、本質的に抵抗性損失が大きい。発明者はこのような抵抗性損失の大きな波長帯において、光スループットと表面形状の断面プロファイル、周期数の関係について詳細に調べた結果、上記の従来技術では開示されていない条件において、大きな光スループットが得られることを見出した。本発明の光学素子はこのような知見に基づくものである。その知見に関する詳細は発明の実施の形態の欄の冒頭に、実験結果を示して説明する。
本発明は、表面形状をプラズモン反射率を高めるのに好適な形にすることによって、高い光スループットを実現した光学素子を提供することができる。
また、プラズモン反射率を高めるのに好適な表面形状の許容範囲を明確にすることによって、デバイス製造工程に過度の負担をかけることなく、低コストに製造できる光学素子の製造方法を提供することができる。
本発明の実施例を述べる前に、貫通する開口と表面形状を有する導電性膜を備え、導電性膜上の表面プラズモンを利用した光学素子において、導電膜のもつ抵抗性損失と表面プラズモンを介して開口を透過する光のスループットと表面形状の断面プロファイル及び表面形状の周期数の関係について、発明者が詳細に調べた結果とその結果から得られた知見について述べる。
図1に示すような、単一の開口とその周囲に同心円状に所定の周期で形成された表面形状を有する銀薄膜について、透過光強度を測定した。このとき表面形状の断面プロファイルが異なるA、Bの2種類の試料群を準備した。試料の作製法については、後述する実施例で詳細に述べる。
図2(A)に示すように、試料A群は表面形状が正弦波状のなだらかな凹凸が周期的に配列された構造であるのに対し、試料B群は図2(B)に示すように、表面形状は突起状であり、突起の斜面の傾斜角が試料Aに比べ大きなことが特徴である。それぞれ周期数を変えた試料(開口から外側に向かって輪帯状の表面形状の数を増やした試料)について、透過光強度が最大となる波長と、そのときの光透過率の増幅率を示した実験結果を図3の表1に示す。ここで光透過率の増幅率とは、以下の関係式により算出したものである。
光透過率の増幅率=(周期的な表面形状を有する試料の開口から出射される光強度)/(周期的な表面形状がない試料の開口から出射される光強度)
表1を参照すると、試料B群の場合、光透過率の増幅率は表面形状の数(周期数)が3から5程度で飽和することがわかる。一方、試料A群の場合、試料B群に比べると、表面形状の数に対する光透過率の増幅率の増大がゆるやかで、表面形状の数(周期数)が7から10程度で飽和していることがわかる。またその飽和値は試料A群のそれ比べ1/3〜1/4の小さな値にとどまっている。
見出された知見の第一は、表面プラズモンが金属表面を伝播する際の抵抗性損失と、表面プラズモンが表面形状により反射される割合(以下、プラズモン反射率と呼ぶ)と、表面形状の数との間の相関を分析することによって、この一連の実験結果をよく説明できることである。
図4は透過光強度と表面形状の数の関係についてプロットした結果である。プラズモン反射率の異なるいくつかの場合についてまとめた。このとき表面プラズモンの抵抗性損失を考慮した場合としない場合の2つの場合を考えた。
まず、表面プラズモンの抵抗性損失を考慮しない場合、個々の表面形状におけるプラズモン反射率が小さくても、表面形状の数を増やせばプラズモン反射率が大きな場合の透過光強度に漸近することがわかる。このような周期数を増やす手法は、光学の分野の周期多層膜の概念によく似ている。
一方、表面プラズモンの抵抗性損失を考慮すると、プラズモン反射率が小さい場合にはいくら表面形状の数を増加させても、プラズモン反射率が大きな場合と比べると小さな透過光強度で飽和してしまうことがわかる。これはたくさんの表面形状を周期的に作製したとしても、表面プラズモンの伝播長は長くはないため、開口から遠くの表面形状は、伝播時の抵抗性損失のため近くの表面形状と同じ反射の寄与を生み出すことができないことを示している。この場合、透過光強度を増大させる有効な方法は、表面形状の周期数を増やさず、開口近くの表面形状の形をプラズモン反射率を高めるのに好適な形状に作製することである。
第二の知見は、プラズモン反射率を高めるのに好適な表面形状の形を見出したことである。この知見により、実際のデバイス作製で出現する様々な表面形状のばらつきに対し、その許容範囲を明確にすることも可能になる。その結果として、デバイス製造工程に過度の負担をかけることなく、製造コスト面でも有利となる。
以下、図5から図8を用いて、詳細に説明する。
表面形状を特徴づける指標として、表面形状の断面における幅W、高さH、側面の傾斜角度θを考慮した。図5から図8は平滑な金属表面上に様々な形状の表面形状を配置した場合の、プラズモン反射率(相対値)を示したものである。プラズモン反射率は、有限差分時間領域法による計算機シミュレーションにより求めた。理想的な矩形の表面形状を考えた場合、図5および図6に示すようにその幅が40nm以上、高さが60nm程度あれば、プラズモン反射率はほぼ一定の数値に収束することを見出した。
また図7は傾斜角度θとプラズモン反射率の関係を示したものである。傾斜角度が大きくなるにつれ、プラズモン反射率は単調に増加していることがわかる。90度の場合に反射率が低下しているのは、幅20nmの矩形の表面形状と同義となるためである。すなわち高プラズモン反射率の表面形状を記述する上で、傾斜角度のみでは不十分であり、その幅(これを記述するには半値幅が適当である)についても考慮すべきであることがわかる。
図8は表面形状断面の側面が指数関数的に裾をひく形状で近似できる場合に、スロープの最大傾斜角度とプラズモン反射率の関係を調べた結果である。この結果は図7と類似の結果となった。以上の結果から、高プラズモン反射率に寄与する好適な表面形状の形は、側壁の最大傾斜角ができるだけ大きく、好ましくは60度以上とし、また表面形状の幅は少なくとも40nmより大きく(この大きさはスキンデプスの2倍程度の値である)、またその高さは少なくとも60nmとすればよいことが判る。
[構造]
次に、本発明の光学素子の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1を参照すると、図1(A)は、本発明の第1の実施の形態として単一の開口と、同心円状の所定の周期で形成された表面形状を有する光学素子の上面図が示されている。図1(B)は、図1(A)のA−A‘線に沿った断面図である。
光学素子10は単一の開口20と、第1の表面50aと第2の表面50bには、開口20の周囲に同心円状に形成された表面形状30を有する。光学素子10は主に導電性膜40からなり、実際には金属、あるいは高濃度のドーピングを処した半導体材料からなる。金属の場合、アルミニウム、銀、金が特に望ましい。光学素子10の一部は非導電性であってもかまわない。例えば導電性膜40の一部に非導電性膜を挟み込んだような積層膜でもかまわない。表面形状30は導電性膜40に、イオンエッチング等の手法により直接形成しても良いし、先に任意の基体上に表面形状30を形成し、その上に導電性膜40を形成することで、導電性膜40に表面形状30を転写しても良い。また表面形状30とは周期的に隆起したあるいは沈下した反復パターンであり、ここでは開口20の周囲に同心円状に凹凸を設けた例を示したが、この凹凸が一次元格子状あるいは二次元格子状に並んだものであっても良い。表面形状を転写によって作製した場合には、第1の表面50aの表面形状と第2の表面50bの表面形状は、導電性膜の厚さ方向に並進対称の関係を成している。
図1では、支持されていない導電性膜40が示されているが、適当な支持部材、すなわち基板上に固定されていてもよい。図9には導電性膜140に単一の開口120と、第1の表面150aと第2の表面150b上の開口120の周囲に表面形状130を形成した光学素子110が基板160に固定されている例を示している。
さらに、図1では開口の形状が円形である場合を示したが、これは本発明の範囲から逸脱することなく、他の形、例えば楕円形、長方形等にすることができる。本発明の主旨から言って、波長以下の高分解能特性を得る上で、開口は波長より小さな直径をもつことが好ましい。開口が楕円や長方形である場合には、少なくともその短軸方向の長さが波長よりも小さいことが望ましい。
導電性膜の厚みについては光学的に不透明、すなわち開口以外の部分で少なくとも入射光の導電性膜内への侵入長より厚くする必要がある。ただし必要以上に厚くするとアスペクト比の高い開口の形成が必要となり、製造上の困難さを伴うため、実際にはある最適な厚みが存在する。
[製法]
次に、図10を参照し、具体的な数値例に基づいて、第1の実施の形態の製造方法を説明する。
初めに、合成石英母材をウェハ形状に切り出し、これを両面研磨により平滑表面に仕上げ、厚み0.5mmの基板200とした。この基板200は本光学素子の用途に応じて、最適なものを使用すればよい。例えば光記録装置用の読み出し/書き込みヘッドに適用する場合に、基板200の最終的な形態は記録媒体上を一定の距離をもって走行するスライダとなる。
この上にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィの手法により表面形状を画定するフォトレジストパターン201を形成した(図10(A))。レジストパターンの高さは0.5μm、レジストパターンの間隔は0.6μmとした。
フォトレジストパターン201形成後に、130度の窒素雰囲気中でポストベークを行い、レジストパターンだらし工程を行った(図10(B))。
この後イオンエッチングによりフォトレジストパターン形状を基板に転写した。イオンビームの入射角度は5度、加速電圧は300Vとした。フォトレジストパターンをアッシング処理で剥離すると表面形状202が作製される(図10(C))。
基板全面にさらにイオンエッチング処理を追加することで、表面形状202の形を任意の形に変化させた(図10(D))。ここではイオンビームの入射角度は0度、加速電圧は300Vとした。
この上に導電性膜203となる、厚み200nmの銀膜をイオンビームスパッタ法で成膜した。このとき銀膜の表面(空気側)には、前工程で基板に設けた表面形状と同じ周期と同じ形状の表面形状204が正確に転写された。この後表面形状204の中央にFIB加工により、直径50−200nmの微小な開口205を形成することで、本発明の光学素子が完成した(図10(E))。
[特性評価]
作製した光学素子の表面形状を、その断面プロファイルから調べた。その結果、側壁の最大傾斜角は65度、半値幅は150nm、高さは180nmであった。このときの表面形状断面は図2(B)に示した試料B群と類似の形状であった。作製した試料の透過光強度を調べた結果を図3の表1に示す。比較のために追加イオンエッチング処理を行わない試料を作製し、両者の結果を比較した。なお追加エッチング処理を行わない試料の表面形状断面は図2(A)に示した試料A群と類似の形状であった。
追加エッチング処理を行わない試料A群に比べ、追加エッチング処理を行った試料B群は、より強化された光スループットを、少ない表面形状数において示した。注目すべきは、表面プラズモンの抵抗性損失を勘案し、プラズモン反射率の大きな表面形状を作製した結果、周期数の少なくできることによって共鳴構造の小型化が実現した点である。
本発明の光学素子は、従来の表面プラズモンを利用した光学素子に比べ、そのサイズを半分以下に小型化することが可能となり、光学素子を多数集積化する際の集積密度の向上、あるいは光の利用効率の向上が期待できる。
[発明の光学素子の他の実施形態]
図1に示した第1の実施の形態において、導電性膜203のそれぞれの表面に形成された表面形状204は同一周期・同一位相で形成されているが、これを異なる形態で形成することができる。その形態を以下、順に説明する。
図11に示す本第2の実施の形態では、導電性膜40のそれぞれの表面50a、50bに形成された凸状の表面形状30は導電性膜の表裏に厚さに対して鏡映対称の関係で形成されている。
更に図12に示す本第3の実施の形態では、導電性膜40の表面50aにのみ凸状の表面形状30が形成されている。
更に図13に示す本第4の実施の形態では、導電性膜40のそれぞれの表面50a、50bに形成された凹状の表面形状30は導電性膜の表裏に厚さに対して鏡映対称の関係で形成されている。
更に図14に示す本第5の実施の形態では、導電性膜40の表面50aにのみ凹状の表面形状30が形成されている。
これら、光学素子の第2〜4の実施形態についても、図1の第1の実施形態と同様の性能および効果が得られる。
また、これら第2〜4の実施形態の光学素子についても図10に準じた製法によって作製することができる。
本発明の光学素子は、従来技術における活用例と同様に、光記録/再生ヘッドや光学フィルターなどの光伝送素子に適用することによって、従来の光学素子を用いた場合より格段に高い光透過率が得られる。
本発明の光学素子の第1の実施の形態を示す正面図及び断面図である。 作製した光学素子の表面形状の断面図である。 輪帯状の表面形状の数と、透過光強度が最大となる波長と、そのときの光透過率の増幅率を示す表である。 透過光強度と、表面形状の数の関係を、プラズモン反射率、及び伝播損失をパラメータに整理した図である。 プラズモン反射率と表面形状の幅の関係を示す図である。 プラズモン反射率と表面形状の高さの関係を示す図である。 プラズモン反射率と表面形状の側面の角度の関係を示す図である。 プラズモン反射率と表面形状の側面の角度の関係を示す別の図である。 本発明の光学素子の第1の実施の形態を示す別の断面図である。 本発明の第1の実施の形態の光学素子の製法を示す工程図である。 本発明の光学素子の第2の実施の形態を示す断面図である。 本発明の光学素子の第3の実施の形態を示す断面図である。 本発明の光学素子の第4の実施の形態を示す断面図である。 本発明の光学素子の第5の実施の形態を示す断面図である。
符号の説明
10 光学素子
20 開口
30 表面形状
40 導電性膜
50a 第1の表面
50b 第2の表面
110 光学素子
120 開口
130 表面形状
140 導電性膜
150a 第1の表面
150b 第2の表面
160 基板
200 基板
201 フォトレジストパターン
202 表面形状
203 導電性膜
204 表面形状
205 開口

Claims (16)

  1. 第1および第2の表面を有し、前記第1の表面から前記第2の表面に連通する少なくとも一つの開口と
    前記第1および前記第2の表面の少なくともどちらかの表面に周期的な表面形状を有する導電性膜を備え、
    前記表面形状は、前記表面に対して凸の形状または凹の形状を有し、
    前記表面形状の周期方向に沿った断面において、前記凸部または凹部の幅は40nm以上で前記周期長未満であり、高さは60nm以上でプラズモン反射率を飽和させる高さ以下である、
    ことを特徴とする光学素子。
  2. 前記導電性膜を伝播する電磁表面波が有限の伝播長を有し、前記表面形状は、前記開口からみて少なくとも前記伝播長の範囲と同程度の範囲に形成されることを特徴とする請求項に記載の光学素子。
  3. 前記開口の径は、前記入射する光の波長よりも短い径を含むことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の光学素子。
  4. 前記開口が単一の開口であり、前記表面形状は前記開口の周囲に同心円状に形成されていることを特徴とする請求項に記載の光学素子。
  5. 前記開口が単一の開口であり、前記表面形状は前記開口を中心にして一次元格子状に形成されていることを特徴とする請求項に記載の光学素子。
  6. 前記開口が単一の開口であり、前記表面形状は前記開口を中心にして二次元格子状に形成されていることを特徴とする請求項に記載の光学素子。
  7. 前記表面形状の周期方向に沿った断面形状において、前記凸部または凹部の側面の最大傾斜角度が60度以上90度以下であることを特徴とする請求項3から6のいずれかに記載の光学素子。
  8. 前記表面形状は、前記導電性膜の両方の表面に形成され、前記2つの表面形状の周期方向に沿った断面の輪郭形状は、前記導電性膜の厚さの中心に対して鏡映対称を成すかまたは並進対称を成すことを特徴とする請求項3から6のいずれかに記載の光学素子。
  9. 第1および第2の表面を有し、前記第1の表面から前記第2の表面に連通する少なくとも一つの開口と
    前記第1および前記第2の表面の少なくともどちらかの表面に周期的な表面形状を有する導電性膜を備え、
    前記表面形状は、前記表面に対して凸の形状または凹の形状を有し、
    前記表面形状の周期方向に沿った断面において、前記凸部または凹部の幅は40nm以上で前記周期長未満であり、高さは60nm以上でプラズモン反射率を飽和させる高さ以下である、
    光学素子の製造方法であって、
    基板上のフォトレジストに前記表面形状を画定する工程と、
    エッチング法によって前記フォトレジストの表面形状パターンを前記基板に転写する工程と、
    さらにエッチングを追加して前記基板に転写された表面形状パターンの前記基板に垂直な断面形状を制御する工程と、
    前記追加エッチングを施した前記表面形状パターン上に前記導電性膜を成膜する工程と、
    前記導電性膜に前記開口を形成する工程
    を含むこと特徴とする光学素子の製造方法。
  10. 前記導電性膜を伝播する電磁表面波が有限の伝播長を有し、前記表面形状は、前記開口からみて少なくとも前記伝播長の範囲と同程度の範囲に形成されることを特徴とする請求項に記載の光学素子の製造方法。
  11. 前記開口の径は、前記入射する光の波長よりも短い径を含むことを特徴とする請求項9または10のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
  12. 前記開口が単一の開口であり、前記表面形状は前記開口の周囲に同心円状に形成されていることを特徴とする請求項11に記載の光学素子の製造方法。
  13. 前記開口が単一の開口であり、前記表面形状は前記開口を中心にして一次元格子状に形成されていることを特徴とする請求項11に記載の光学素子の製造方法。
  14. 前記開口が単一の開口であり、前記表面形状は前記開口を中心にして二次元格子状に形成されていることを特徴とする請求項11に記載の光学素子の製造方法。
  15. 前記表面形状の周期方向に沿った断面形状において、前記凸部または凹部の側面の最大傾斜角度が60度以上90度以下であることを特徴とする請求項11から14のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
  16. 前記表面形状は、前記導電性膜の両方の表面に形成され、前記2つの表面形状の周期方向に沿った断面の輪郭形状は、前記導電性膜の厚さの中心に対して鏡映対称を成すかまたは並進対称を成すことを特徴とする請求項11から14のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
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