JP4877258B2 - 波長変換素子 - Google Patents

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Description

この発明は、基本波長光と変換光の群速度を一致させることにより、広帯域で波長変換を行うことができる波長変換素子に関する。
波長変換素子の材料としては、LiNbOやLiTaOなどの非線形光学結晶が用いられる。一般にこれらの非線形光学結晶には、屈折率の波長分散が存在するために、それぞれ波長の異なる基本波長光、変換光との間で伝搬定数に差が生じる。これにより、基本波長光と変換光との間の位相差が伝搬距離とともに変化してしまい、変換効率を上げることができない。この位相差の変化を解決する手法として擬似位相整合(QPM:Quasi−Phase Matching)が盛んに研究されている。
QPM構造とは、非線形光学結晶の分極方向を、コヒーレント長を周期として反転した構造である。QPM構造は、(1)最大の非線形光学定数d33を用いることができるため、変換効率が高いこと、(2)基本波長光と変換光の伝搬方向が同一であるため、変換効率が高いこと、などの利点を有している。
ところが、QPM構造は、分極方向の反転周期に対応した波長においては、変換効率が高いものの、その波長からずれると急激に変換効率が低下するという問題点を有している。
この変換効率の低下は、基本波長光と変換光との波長が異なること、及び、非線形光学結晶の屈折率の波長分散により生じる基本波長光と変換光の群速度差などに由来している。
この問題に対して、第1の従来技術として、QPM構造に入射する入射光とQPM構造から発生する変換光との偏光方向を異ならせることで、両者の群速度を一致させるものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、第2の従来技術として、波長ごとに異なる伝搬経路を取らせることにより、両者の群速度を一致させるものが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、第3の従来技術として、フォトニック結晶導波路を用いて、両者の群速度を一致させるものが開示されている(例えば、非特許文献1参照)。
最近、大きな屈折率差を有した層状構造の光導波路を用いて、上述した群速度差の問題を解決する方法が提案されている(例えば、非特許文献2参照)。
特開2002−372731号公報(第1頁、図1) 米国特許第6,687,042号明細書 富田 勲、外4名、「1次元フォトニック結晶を用いた分散制御によるQPM−LNでの広帯域第2高周波発生」、第65回応用物理学会学術講演会 講演予稿集、2004年9月、p.1060 Payam Rabiei et.al.,"Dispersion−shifted LiNbO3 Waveguides for Wide−Band Parametric Amplifiers",IEEE PHOTONICS TECHNOLOGY LETEERS,VOL.17,NO.1,JANUARY 2005,pp133−135
しかし、非特許文献2に開示された技術では、光導波路を挟み込む基板とクラッドとに特殊な屈折率を有する材料を使用する必要があるという問題点が存在する。また、非特許文献2には、チャネル形導波路などの3次元導波路の作成方法が開示されていない。
この発明は、非特許文献2に開示された技術の問題点に鑑みなされたものである。従って、この発明の目的は、基本波長光と変換光との群速度を一致させることで、広い波長範囲にわたって高い変換効率で波長変換を行うことができ、かつ、作成容易な3次元導波路形の波長変換素子を提供することにある。
発明者は、波長変換素子の構造、及び波長変換素子を構成する部品の屈折率を所定の関係式に従わせることにより上述した目的を達成できることに相当した。
従って、この発明の波長変換素子は、基板上に、周期的分極反転構造が形成された非線形光学結晶からなるチャネル形導波路が形成されており、チャネル形導波路に入力された周波数ωの基本波長光を、ωの2倍の周波数ωの変換光に波長変換して出力する。
ここで、基板の屈折率をnとし、チャネル形導波路の屈折率をnとし、基本波長光の伝搬定数を、nとnの差で規格化した規格化伝搬定数をbとし、及び変換光の伝搬定数を、nとnの差で規格化した規格化伝搬定数をbとするとき、下記式(1)が成り立つことを特徴とする。
ωdn/dω|+{(n−n)/b}{ωdb/dω|−(ω/2)db/dω|+b−b}=0・・・(1)
上述の波長変換素子において、波長変換素子の周囲の雰囲気の屈折率をnとするとき、n、n及びnの間に、n>n>nなる関係が成り立つことが好ましい。
上述の波長変換素子において、チャネル形導波路が、リッジ構造であることが好ましい。
上述の波長変換素子において、チャネル形導波路が、リブ構造であることが好ましい。
この発明の波長変換素子は、波長変換素子の構造、及び波長変換素子を構成する部品の屈折率を上述のような所定の関係式を満足させるという技術的特徴を有している。これにより、基本波長光と変換光との群速度を一致させることで、広い波長範囲にわたって高い変換効率で波長変換を行うことができ、かつ、作成容易な3次元導波路形の波長変換素子が得られる。
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。なお、各図は、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係について、この発明が理解できる程度に概略的に示したものにすぎない。また、以下、この発明の好適な構成例について説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は、以下の実施の形態に何ら限定されない。また、各図において、共通する構成要素には同符号を付し、その説明を省略することもある。
図1〜図7を参照して、この実施の形態の波長変換素子について説明する。図1は、この実施の形態の波長変換素子の構造を概略的に示す斜視図である。
(構造)
まず、図1を参照して、この波長変換素子の構造について説明する。波長変換素子10は、基板12と、チャネル形導波路14とを備えている。この波長変換素子10に周波数ωの基本波長光が入力されると、周波数がω(=2ω)の第2次高調波としての変換光Cが出力される。
基板12は、図1に示す構成例では、好ましくは、例えば平行平板状の直方体構造として構成してあり、平坦な第1主面12aを備えている。なお、基板12の形状は、平坦な第1主面12aを有していれば、平行平板状に限らず、設計に応じて好適な形状を選択することができる。
基板12の材質は、好ましくは、例えば石英とする。また、基板12の屈折率をnとする。なお、基板12の材質は、屈折率nが、図5又は0071〜0084段落で後述する条件を満たしていれば、何ら石英に限定されるものではなく、設計に応じた任意好適な材料を選択してもよい。
チャネル形導波路14は、基板12の第1主面12a上に配置されている。チャネル形導波路14は、光伝搬方向Aに垂直に切断した切断端面の形状が長方形状であり、光伝搬方向Aに沿って延在する長尺な直方体である。
このチャネル形導波路14の材質は、好ましくは、例えば、非線形光学結晶であるLiNbOとする。なお、チャネル形導波路14の材質は、非線形光学結晶であれば、何らLiNbOには限定されるものでなく設計に応じて、例えば、LiTaOなどの材料を、好適に選択して用いてもよい。
チャネル形導波路14には、周期的分極反転構造16(以下、「QPM構造16」とも称する。)が形成されている。より詳細には、LiNbOの自然分極の方向が反転したドメイン16a及び16bが、光伝搬方向Aに沿って一定の周期で交互に配置されて、QPM構造16が構成されている。ここで、各ドメイン16a及び16bの光伝搬方向Aに沿った長さは互いに等しい。また、QPM構造16の周期、すなわち、隣接する一対のドメイン16a及び16bの光伝搬方向Aに沿って測った長さを周期Λとする。
基本波長光Fを波長変換して変換光Cを得るためには、周期Λが所定の擬似位相整合条件をみたす必要がある。基本波長光Fの波長変換素子10中における伝搬定数をβとし、及び変換光Cの波長変換素子10中における伝搬定数をβとするとき、擬似位相整合条件は、周知の通り、下記式(2)で与えられる。
2π/Λ=β−2β・・・(2)
QPM構造16の周期Λは、式(2)を満たすように設計されている。
なお、QPM構造16は、従来周知のプロトン交換法や、Ti拡散法で作成する。しかし、QPM構造の作成方法は本発明の要旨とは直接関係しないので、これ以上の説明は省略する。
ここで、チャネル形導波路14の屈折率をnとする。なお、当然ながら、チャネル形導波路14の屈折率nと、基板12の屈折率nとの間には、n>nという関係が成り立っている。
チャネル形導波路14の光伝搬方向Aに垂直な一方の端面を、基本波長光Fが入力される入力面14aとする。また、チャネル形導波路14の光伝搬方向Aに垂直で、上述の一方の端面に対向する他方の端面を、変換光Cが出力される出力面14bとする。
すなわち、チャネル形導波路14に入力された周波数ωの基本波長光Fは、チャネル形導波路14中を光伝搬方向Aに沿って伝搬する過程で、周波数が2倍の変換光Cへと変換されて出力される。
波長変換素子10の周囲を覆うものは、好ましくは、例えば大気とする。しかし、波長変換素子10の周囲を覆うものは、その屈折率nが、基板12の屈折率n及びチャネル形導波路14の屈折率nの両者よりも小さいことを条件として、設計に応じて任意好適な材料、例えばポリイミド(屈折率=1.5〜1.6)等を用いることができる。
(波長変換の広帯域化を図る原理)
次に、図2を参照して、この実施の形態の波長変換素子10が、波長変換の広帯域化を図る原理について説明する。
図2は、この実施の形態の波長変換素子10における伝搬定数βの周波数依存性を示す図である。図2において、縦軸は伝搬定数β(単位μmの逆数)を示し、及び横軸は周波数ω(単位THz)を示す。
原理の説明に先立ち、まず、図2中に描かれた3本の曲線について詳細に説明する。
図2中には、3本の曲線が描かれており、実線で示す曲線Iが、波長変換素子10を伝搬する光の伝搬定数βの周波数依存性を模式的に表わしている。なお、曲線Iの挙動については後述する。
ところで、従来周知のように、光の群速度Vは、1/V=dβ/dωで表わすことができる。つまり、チャネル形導波路14を伝搬する光の群速度の逆数(1/V)は、曲線Iの各点における接線の傾きで与えられる。
破線で示す曲線II及び曲線IIIは、言わば補助線であり、曲線Iの挙動の説明に供するためのものである。
曲線IIは、チャネル形導波路14の材料となる非線形光学結晶における伝搬定数βの周波数依存性を模式的に表わしている。曲線IIは、チャネル形導波路14の屈折率nと光の速度cとを用いて、従来周知のようにβ=(ω/c)nと定式化される。曲線IIは、周波数ωが大きくなるにつれて傾きが大きくなる挙動を示す。
また、曲線IIIは、基板12を構成する材料を伝搬する光の伝搬定数βの周波数依存性を模式的に示している。曲線IIIは、基板12を構成する材料の屈折率nと光の速度cとを用いて、従来周知のようにβ=(ω/c)nと定式化される。曲線IIIは、曲線IIと同様に、周波数ωが大きくなるにつれて傾きが大きくなる挙動を示す。ただし、同じ周波数ω(0<ω)で比較した場合、常に、「曲線IIIの傾き<曲線IIの傾き」という関係が成り立っている。つまり、同じ周波数ωで比較した場合、共通するωの領域内では、曲線IIの方が曲線IIIよりも常に傾きが大きいことが理解できる。
ここで、曲線Iの挙動について、詳細に説明する。曲線Iは、(1)低周波数領域(ω≦ω≦ω)、(2)遷移領域(ω<ω≦ω)、及び(3)高周波数領域(ω>ω)の3領域に分けられる。
(1)低周波数領域、すなわち光の波長が短い領域においては、曲線Iは曲線IIIにほぼ一致した挙動を示す。
(2)遷移領域においては、曲線Iは、曲線IIIからずれて、傾きが大きくなり、曲線IIに向かう挙動を示す。
(3)高周波数領域、すなわち光の波長が長い領域においては、曲線Iは曲線IIにほぼ一致した挙動を示す。
曲線Iが上述したような挙動を示す理由について以下に説明する。
低周波数領域、すなわち波長が長い領域においては、チャネル形導波路14を伝搬する光の、導波路14への閉じ込めが弱い。つまり、この領域においては、光は、チャネル形導波路14の屈折率nよりも、周囲の基板12の屈折率nをより強く感じる。その結果、低周波数領域においては、曲線Iは曲線IIIにほぼ一致する。
遷移領域においては、チャネル形導波路14を伝搬する光の波長が徐々に短くなっていく。これにつれて、チャネル形導波路14への光の閉じ込めが徐々に強くなっていく。その結果、光は、導波路14への閉じ込めの程度に応じて、チャネル形導波路14の屈折率nをより大きく感じる。よって、遷移領域においては、曲線Iの傾きは曲線IIIより大きくなって、曲線Iは曲線IIに向かってずれていく。
高周波数領域、すなわち波長が短い領域においては、チャネル形導波路14を伝搬する光の、導波路14への閉じ込めが強い。つまり、この領域においては、チャネル形導波路14を伝搬する光は、実質的に、チャネル形導波路14のみの屈折率nを感じる。その結果、高周波数領域においては、曲線Iは曲線IIにほぼ一致する。
なお、遷移領域において曲線Iが曲線IIIからずれ始める周波数、遷移領域における曲線Iの傾きの大きさ、及び曲線Iが曲線IIに一致する周波数は、チャネル形導波路14の構造(寸法)、基板12の屈折率n、及び雰囲気の屈折率nにより、設計に応じて好適に変更することができる。
次に、波長変換素子10が、波長変換の広帯域化を図る原理について詳細に説明する。
この実施の形態の波長変換素子10は、チャネル形導波路14中を伝搬する基本波長光Fと変換光Cの群速度を一致させることで、波長変換効率を広い波長範囲において高めている。
既に説明したように、図2において、チャネル形導波路14を伝搬する光の群速度は、曲線Iの各点における接線の傾きで与えられる。よって、「基本波長光Fと変換光Cの群速度を一致させる」とは、図2の曲線Iにおいて、基本波長光Fの周波数ωにおける接線の傾きと、変換光Cの周波数ω(=2ω)における接線の傾きとを実質的に等しくすることを意味する。
つまり、曲線I上の基本波長光Fに対応する点Pにおける接線Tの傾きΔと、曲線I上の変換光Cに対応する点Pにおける接線Tの傾きΔとを実質的に等しくすることを意味する。以下、ΔとΔとが実質的に等しくなることを、「最適条件を満たす」とも称する。
なお、この場合における「実質的」とは、傾きの差の絶対値(|Δ−Δ|)が0(ゼロ)、又は(β−β)の30%以下となることを示す。
図2を参照すると、曲線Iの遷移領域(ω<ω≦ω)を利用することにより、上述の最適条件を満足させられることが分かる。すなわち、遷移領域においては、曲線Iは、伝搬定数βが大きくなる方向に曲線IIIから徐々にずれ始める。これにより、遷移領域での曲線Iの傾きは、同領域での曲線II及びIIIの傾きよりも大きくなる。
その結果、遷移領域(ω<ω≦ω)における曲線Iの傾きを、より周波数の高い高周波領域(ω>ω)の曲線Iの接線の傾きと等しくすることができる。よって、図2に示したように、基本波長光Fの周波数を遷移領域内の値ωとし、かつ、変換光Cの周波数を高周波領域内の値ω(=2ω)とするように、波長変換素子10を設計することにより、基本波長光Fと変換光Cの群速度を一致させることができる。
さらに、図2より、点P及びP近傍で、曲線Iの傾きは、非常になだらかに変化していることが分かる。このことより、たとえ、基本波長光F及び変換光Cの周波数が、最適値ω及びωから僅かにズレたとしても、基本波長光Fと変換光Cの群速度が実質的に等しい状態は保たれる。つまり、波長変換素子10は、従来よりも広い波長帯域において、波長変換効率を高めることができる。
なお、群速度を等しくする必要があることに加えて、さらに、独立して、基本波長光Fと変換光Cとは、上述した位相整合条件を満たす必要がある。すなわち、2π/Λ=β−2β(式(2))を満足する必要がある。このことを図2に示した曲線Iを利用して説明すると、点P’(=2β)と、点Pとの間の縦軸に沿って測った距離が2π/Λであることを意味している。なお、点P’は、周波数ωがωであり、及び伝搬定数が2βである点である。すなわち、点P’は、点Pを縦軸(伝搬定数軸)に関して2倍した値を持つ点である。
この位相整合条件は、基本波長光F及び変換光Cの周波数が、最適値ω及びωから僅かにズレたとしても、常に満足される。以下、この理由を説明する。
ここで、曲線Iにおいて、基本波長光Fの点Pからの周波数ズレをΔωとし、及び、伝搬定数βの点PからのズレをΔβとする。このとき、点P’における伝搬定数のズレは、2Δβと置くことができる。
また、曲線Iにおいて、変換光Cの点Pからの周波数ズレをΔωとし、及び、伝搬定数βの点PからのズレをΔβとする。
ところで、上述のようにω=2ωなる関係が成り立つことを考慮すると、点Pにおける周波数ズレΔωは、Δω=2Δωと表わすことができる。また、点Pと点Pとでは、曲線Iの接線の傾きが等しいことから、点Pにおける伝搬定数のズレΔβは、Δβ=2Δβと表わすことができる。
つまり、点Pにおける伝搬定数のズレΔβ(=2Δβ)と、点P’における伝搬定数のズレ2Δβとは、常に等しくなる。よって、2π/Λ=β−2βという位相整合条件は、常に満足されることとなる。
(基本波長光と変換光の群速度を等しくするための条件)
図2より明らかなように、基本波長光Fと変換光Cの群速度を等しくする、つまり、周波数ωとωとで曲線Iの接線の傾きを等しくするためには、遷移領域における曲線Iの接線の傾きが十分に大きい必要がある。
より詳細には、β=(ω/c)nで表わされる曲線IIIと、β=(ω/c)nで表わされる曲線IIとが十分に離れている必要がある。このことは、基板12の屈折率nよりもチャネル形導波路14の屈折率nの方が十分に大きい必要があることを意味している。
この条件が満たされない場合、つまり基板12の屈折率nとチャネル形導波路14の屈折率nとの差が十分大きくない場合には、遷移領域において、曲線Iの接線の傾きが小さくなってしまう。その結果、点P(基本波長光F)と、点P(変換光C)とで、接線の傾きを等しくすることが不可能になってしまう。つまり、基本波長光Fと変換光Cとで群速度を等しくすることができなくなってしまう。
これらのことより、定性的には、基本波長光Fと変換光Cとで群速度を等しくするための条件は、「基板12の屈折率nと、チャネル形導波路14の屈折率nとの差が十分大きいこと」であると言うことができる。
次に、この条件をより定量的に検討する。つまり、上述した「基板12の屈折率nと、チャネル形導波路14の屈折率nとの差が十分大きいこと」の意義を定量的に検討する。基本波長光Fと変換光Cとで群速度を等しくすることは、下記式(3)のように定式化できる。
dβ/dω|−dβ/dω|=0・・・(3)
ところで、式(3)は、下記式(4)のように変形することができる。
dβ/dω|−dβ/dω|=(ω/c)(1−b)dn/dω|−(ω/c)(1−b)dn/dω|+(ω/c)bdn/dω|−(ω/c)bdn/dω|+(n−ndb/dω|(ω/c)−(n−ndb/dω|(ω/c)+(1/c){nsC−nsF+(n−n−(n−n}=0・・・(4)
なお、式(4)において、bは変換光Cの伝搬定数をnとnの差で規格化した規格化伝搬定数とする。同様に、bは基本波長光Fの伝搬定数をnとnの差で規格化した規格化伝搬定数とする。また、各項に添えられた「|」及び「(・・・)」なる記号は、変換光Cの周波数における値であることを示している。同様に、「|」及び「(・・・)」なる記号は、基本波長光Fの周波数における値であることを示している。また、nsCは、基板12の変換光Cの周波数における屈折率を示す。同様に、nsFは、基板の基本波長光Fの周波数における屈折率を示している。
式(4)において、基板12の波長分散は、チャネル形導波路14に比べて十分に小さいと近似すると、nsC=nsFと置くことができる。さらに、b及びbの波長依存性が、n−nよりも十分に大きいと近似すると、式(4)は、下記式(5)のように変形できる。
(ω/c)bdn/dω|+(n−n){db/dω|(ω/c)−db/dω|(ω/c)}+(1/c)(n−n)(b−b)=0・・・(5)
式(5)をまとめると下記式(6)が得られる。
ωdn/dω|+{(n−n)/b}{ωdb/dω|−(ω/2)db/dω|+b−b}=0・・・(6)
さらに、式(6)を変形すると下記式(7)が得られる。
−λdn/dλ|+(n−n){(V/b)(2db/dV|−db/dV|)+1−b/b}=0・・・(7)
なお、式(7)において、Vは基本波長光Fの周波数ωを、チャネル形導波路14の幅と、周波数ωと、チャネル形導波路14及び基板12の屈折率差(n−n)とで規格化した、規格化周波数である。また、λは、波長であり、及びλは、変換光Cの波長を示す。
式(7)において、1項目の(−λdn/dλ|)は、材料に依らず正の値(>0)を取る。
よって、式(7)を成立させるためには、V,db/dV|,(n−n)が大きく、かつ、(1−b/b)の値を0.5程度であることが好ましいことが分かる。
(シミュレーション)
次に、発明者が行ったシミュレーションの結果を参照して、波長変換素子10の設計条件などについて、より具体的に説明する。
まず、図3を参照して、この実施の形態の波長変換素子10では、上述した非特許文献2の波長変換素子(以下、「従来型変換素子」と称する。)に比較して、より広い波長範囲で高い変換効率が得られることについて説明する。
図3は、波長変換素子10と従来型変換素子とにおいて、導波路の寸法と、基本波長光Fの群屈折率及び変換光Cの群屈折率の間の差Δnとの関係を説明するためのシミュレーション結果を示す図である。図3において、実線で表わされる曲線Iが波長変換素子10に対応し、及び曲線IIが従来型変換素子に対応している。
図3において、縦軸は、群屈折率差Δn(無次元)を示す。また、横軸は、チャネル形導波路14及び従来型変換素子の平面導波路の厚み(μm)を表わす。ここで、厚みとは、基板12の12aに垂直に測ったチャネル形導波路14の長さである。
ここで、群屈折率nは、群速度Vを用いてn=c/Vと表わされる量である。すなわち、基本波長光Fと変換光Cとの間で群速度が等しくなれば、Δnは0となる。つまり、Δnが0に近ければ近いほど、波長変換効率が広帯域に渡って高いことを表わす。
なお、このシミュレーションは、チャネル形導波路14の幅(光伝搬方向Aに垂直かつ基板12の第1主面12aに平行に測ったチャネル形導波路14の長さ)を3μmと設定している。また、基本波長光Fは波長1.55μmと設定し、及び変換光Cは波長0.775μmと設定している。また、基板12の屈折率nを1.46と設定している。
また、非特許文献2に詳細に記載されているが、従来型変換素子とは、非線形光学結晶からなる平面型導波路の上下をクラッドでサンドイッチした構造を有している。
図3を参照すると、曲線Iで表わされる波長変換素子10は、曲線IIで表わされる従来型変換素子に比べて、厚み0.5〜1.2μmの範囲内に渡って、全体的にΔnの値が小さいことが分かる。このことより、波長変換素子10は、従来型変換素子に比較して、より広帯域で、高い波長変換効率を得ることができる。
また、曲線IIは、Δnの値が0となることは無いのに対し、曲線Iは、チャネル形導波路14の高さが、約0.55μm及び約0.9μmの辺りでΔnが0となる。つまり、波長変換素子10は、これらの高さにおいて、基本波長光Fと変換光Cの群速度が一致する。
続いて、図4及び図5を参照して、この実施の形態の波長変換素子10の寸法上の設計条件についてより詳細に説明する。
図4は、この実施の形態の波長変換素子10において、チャネル形導波路14の幅と高さとを変化させたときのΔnの値を説明するためのシミュレーション結果を示す図である。図4において、縦軸はΔn(無次元)を取って示してある。横軸は、チャネル形導波路14の幅(μm)を取って示してある。
図4中には、チャネル形導波路14の高さを変えた4本の曲線が描かれている。曲線Iは、チャネル形導波路14の高さが0.8μmの場合を示す。曲線IIは、チャネル形導波路14の高さが1μmの場合を示す。曲線IIIは、チャネル形導波路14の高さが0.5μmの場合を示す。曲線IVは、チャネル形導波路14の高さが1.5μmの場合を示す。
なお、このシミュレーションにおいては、基板12の屈折率nを1.46と設定している。
曲線IIより、チャネル形導波路14の高さが1μmであれば、導波路幅が2μm前後の広い範囲(幅約1.5〜2.5μm)にわたり、Δnを0に近い値とすることが可能であることが分かる。つまり、チャネル形導波路14をこの寸法とすることにより、広帯域つまりより広い波長範囲で、高い波長変換効率を得ることができる。
また、図4より、チャネル形導波路14の高さが0.7〜1μmの範囲を超えると、群屈折率差Δnを0とする条件は得られないことが分かる。
図5は、この実施の形態の波長変換素子10において、基板12の屈折率nを変化させた場合に、Δn=0となるチャネル形導波路14の幅と高さとの関係を説明するためのシミュレーション結果を示す図である。
図5において、縦軸は、チャネル形導波路14の高さ(μm)を取って示してあり、及び横軸は、チャネル形導波路14の幅(μm)を取って示してある。
また、図5には、基板12の屈折率nに応じて5本の曲線が描かれている。曲線Iは、基板12の屈折率nが1.0の場合を示す。曲線IIは、基板12の屈折率nが1.3の場合を示す。曲線IIIは、基板12の屈折率nが1.46の場合を示す。曲線IVは、基板12の屈折率nが1.6の場合を示す。曲線Vは、基板12の屈折率nが1.65の場合を示す。また、各曲線に共通して、チャネル形導波路14の屈折率nは波長に応じてLiNbOの2.1〜2.3の値を取るものとしている。
図5の曲線I〜Vは、基板12の屈折率nが1.0〜1.6を取る場合に、Δn=0となるチャネル形導波路14の幅と高さとの関係を示している。
上述のようにチャネル形導波路14の屈折率nは波長に応じてLiNbOの2.1〜2.3の値であるので、図5より、チャネル形導波路14と基板12の屈折率差(n−n)が大きいほど、Δn=0とすることができるチャネル形導波路の寸法の自由度が増すことが分かる。また、非特許文献2にある対称構造で図5に対応するものを計算すると、設計条件は、非対称構造の本発明に比べて小さい高さを必要とすることが分かった。
続いて、図6を参照して、この実施の形態の波長変換素子10の奏する効果について説明する。図6において、縦軸は、波長変換効率(無次元)を取って示してあり、横軸は得られる変換光Cの波長(μm)を取って示してある。
図6には、2本の曲線が描かれている。実線で示された曲線Iは、波長変換素子10における波長変換効率を示している。破線で示された曲線IIは、従来の波長変換素子の波長変換効率を示している。
なお、曲線I及びIIともに、基本波長光Fの波長は1.55μmとし、及び、波長変換素子10と従来の波長変換素子の光伝搬方向に沿った長さを5cmとする。また、曲線Iを得るに当って、チャネル形導波路14の寸法は、幅3μm及び高さ0.9μmに設定する。
図6より明らかなように、この実施の形態の波長変換素子10は、従来の波長変換素子に比べて、より広い波長範囲にわたり、高い波長変換効率を示すことが分かる。より詳細には、曲線I及び曲線IIで半値幅を比較すると、曲線Iの半値幅は曲線IIの半値幅の約20倍である。このことより、この実施の形態の波長変換素子10は、従来の波長変換素子よりも約20倍広い波長範囲で、高い変換効率を得ることができることが分かる。
(変形例)
この実施の形態においては、チャネル形導波路14が、リッジ構造の場合について説明した。しかし、チャネル形導波路14は、図7に示すように、リブ構造であっても良い。ここで、リブ構造とは、光伝搬方向Aに垂直な切断面の端面形状が凸型であり、該凸型の凸部が光導波路20となるような構造のことを示す。
波長変換素子の概略構造を示す斜視図である。 波長変換素子における伝搬定数の周波数依存性を示す図である。 波長変換素子と従来型変換素子とにおいて、導波路の寸法と、基本波長光の群屈折率及び変換光の群屈折率の間の差との関係を示す図である。 波長変換素子において、チャネル形導波路14の幅と高さとを変化させたときの値を示す図である。 波長変換素子において、基板の屈折率を変化させた場合に、Δn=0となるチャネル形導波路の幅と高さとの関係を示す図である。 波長変換素子の効果の説明に供する図である。 波長変換素子の変形例を示す図である。
符号の説明
10 波長変換素子
12 基板
12a 第1主面
14 チャネル形導波路
16 周期的分極反転構造
16a,16b ドメイン

Claims (4)

  1. 基板上に、周期的分極反転構造が形成された非線形光学結晶からなるチャネル形導波路が形成されており、該チャネル形導波路に入力された周波数ωの基本波長光を、ωの2倍の周波数ωの変換光に波長変換して出力する波長変換素子であって、
    前記基板の屈折率をnとし、前記チャネル形導波路の屈折率をnとし、前記基本波長光の伝搬定数を、前記nと前記nの差で規格化した規格化伝搬定数をbとし、及び前記変換光の伝搬定数を、前記nと前記nの差で規格化した規格化伝搬定数をbとするとき、下記式が成り立つことを特徴とする波長変換素子。
    ωdn/dω|+{(n−n)/b}{ωdb/dω|−(ω/2)db/dω|+b−b}=0
  2. 前記波長変換素子の周囲の雰囲気の屈折率をnとするとき、該n、前記n及び前記nの間に、n>n>nなる関係が成り立つことを特徴とする請求項1に記載の波長変換素子。
  3. 前記チャネル形導波路が、リッジ構造であることを特徴とする請求項1又は2に記載の波長変換素子。
  4. 前記チャネル形導波路が、リブ構造であることを特徴とする請求項1又は2に記載の波長変換素子。
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