JP4876132B2 - 航空機の腹部流線型構造体用の仕切り壁と腹部流線型構造体を備えた航空機 - Google Patents

航空機の腹部流線型構造体用の仕切り壁と腹部流線型構造体を備えた航空機 Download PDF

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Description

本発明は、腹部流線型構造体の内部容積、あるいは、航空機の軟性腹部を垂直に仕切るための仕切り壁に関するものである。さらに詳細には、本発明は仕切り壁の固定装置に関するものであり、この固定装置は、前記仕切り壁を腹部流線型構造体とその航空機とにつなぐことができるものである。本発明は、また、本発明の少なくとも一つの垂直な仕切り壁によって内部容積が仕切られた腹部流線型構造体を備える航空機に関するものでもある。
航空機産業の分野において、航空機に腹部流線型構造体を備えることは知られている。一般的に、その腹部流線型構造体は、ゆりかごのような形をしており、一つの基礎と、その腹部流線型構造体に対して取り付けられている航空機の胴体の両側の側面に上げられている二枚の縦のパネルを備えている。両方のパネルは、それぞれ、航空機の主翼の一枚を通すようになるくり抜き部分を備えている。腹部流線型構造体は、胴体の下部に、前記胴体が航空機の主翼と交差する部分に、場合によっては容積を下方へ広げて着陸装置の箱を閉鎖するために固定されている。そのような腹部流線型構造体は、その胴体とその着陸装置の箱との間の交差部位の空気力学的適性を補完するものであり、そしてその特殊な形状は、その腹部流線型構造体から生じる空気抵抗を最小にすることを可能にする。
腹部流線型構造体は、一般的に垂直な壁で、腹部流線型構造体の内部容積に複数の区画を設けるようにして仕切られている。この仕切りは、主に三つの機能を有する。
まず第一に、腹部流線型構造体の内部容積を複数の小容積に区画分けすることは、腹部流線型構造体の外皮のパネルが一枚失われるようなことがあった際に、外皮のパネルの他のパネルの圧力が異なっているために、他の外皮のパネルを失うことにつながりかねない負担の増大のを避けることを可能にするものである。事実、腹部流線型構造体の外皮のパネルが一つまたは複数失われることにより、腹部流線型構造体の内部容積に空気が流入する可能性がある。腹部流線型構造体の内部容積に仕切り壁による仕切りがなければ、その腹部流線型構造体の内部容積全体に過大な圧力がかかるおそれがある。
腹部流線型構造体の内部容積の区画分けの第二の機能は、前記腹部流線型構造体の複数の容積に分離することにより、煙や燃料の蒸気が発生した場合に、そのようなものを、腹部流線型構造体の内部容積の全体に広がらせないことである。
最後の第三に、仕切り壁による腹部流線型構造体の内部容積の区画分けは、腹部流線型構造体の空気力学的形状の機械的堅牢性を確保するものである。
航空機の飛行中は、腹部流線型構造体の仕切り壁を形成する複数のパネルは、航空機の柔軟性に由来する移動に耐えることができるものでなければならない。特によく知られているのは、横断方向中心線Yに沿った航空機の撓みにつながる胴体への影響、そしてつまりは、航空機の長手方向中心線Xに沿った方向での仕切り壁のパネルの圧縮である。
また、飛行の際には、主翼の撓みは、主翼の下面の最も外側のパネルの位置で伸びが生じる。逆に、腹部流線型構造体は主翼の下面に結び付けられており、その腹部流線型構造体は、その空気力学的形状を維持するために、一切変形してはならない。
現行技術の仕切り壁は、固定されたり、浮動したりする、一連のパネルでああり、これらのパネルは、互いに平行に配置され、かつ、航空機の中心線Xに対して直交するように配置され、また、気密性の継ぎ手で互いにつながれている。
しかしながら、胴体の長さが80メートルを超える、翼の全幅が大きい航空機の場合には、上向き、あるいは下向きの、主翼の撓みは、10〜15mmに達しうる主翼の下面の伸びを引き起こす。この伸びは、主に、その航空機の主翼と胴体との間の接合部に配置された箱型構造翼のところに、腹部流線型構造体より上方に、位置している。さらに、胴体の長さが長大であるため、腹部流線型構造体で圧縮が生ずるリスクは、長手方向で垂直の仕切り壁、つまり、航空機の長手方向中心線Xに対して垂直に、そして平行に延びる仕切り壁を使うのが難しくなる程である。
翼の全幅が大きい航空機の腹部流線型構造体の、箱型構造翼の伸びが生じている部位の下に位置している仕切り壁は、航空機にそのまま固定されていなければならない腹部流線型構造体と、航空機が飛行中には、10〜15mmの伸びが生じることもある主翼の下面との間の動きの差動を受け入れられなければならない。仕切り壁は、また、区画間の圧力の違いを吸収するようになるのに適したものでなければならない。
本発明では、長大な、つまりは50メートルを超えるような、例えば、約80メートルの長さの胴体を有する航空機で使用可能な腹部流線型構造体を提供することを目指している。本発明のもう一つの目的は、仕切り壁が固定されている箱型構造翼が横断方向に伸びるのを受け入れるようになるのに適した腹部流線型構造体用の仕切り壁を提供することである。ここで、横断方向に伸びるというのは、航空機の長手方向中心線Xに直交し、しかも、その航空機を含む平面に平行な平面での伸び、つまり、横断方向中心線Yに沿った伸びのことを言うものである。
そのために、本発明は、前記仕切りが固定されている胴体の下部構造体が移動できるようにしつつ、航空機の腹部流線型構造体を仕切り、そして機械的堅牢性を確保するようになるのに適した区画分け用の仕切りを用いることを提案する。本発明の区画分け用の仕切りは、腹部流線型構造体の内部容積を横断方向に仕切るため、つまり、航空機の長手方向中心線Xに直交して伸びる区画を作るためのものである。したがって、本発明に係る区画分け用の仕切りは、そのような仕切りが連結された胴体の下部構造体が伸びていく可能性のある方向に、延びることになる。区画分け用の仕切りは、腹部流線型構造体の構成を保つために、剛直であり、腹部流線型構造体に固定されている。これに反して、区画分け用の仕切りと、胴体の下部構造体との間の連結は、その下部構造体が伸びることができるように、伸縮自在である。本発明に係る区画分け用の仕切りは、複数のパネルで構成されており、それらのパネルは、腹部流線型構造体の床、すなわち底板を起点としてそこから胴体の下部表面に至るまで、垂直に延びるようになっている。仕切りを形成するパネルは、互いに延長部分を延びていき、腹部流線型構造体をその幅の方向に仕切るようにしている。ここで、腹部流線型構造体の幅とは、航空機の横断方向中心線Yに沿って延びる腹部流線型構造体の寸法のことを意味するものである。
胴体の下部構造体の伸びが、主に、腹部流線型構造体の長手方向の外縁のところに位置する部位で生じる限りは、本発明に係る区画分け用の仕切りは、前記長手方向の外縁のところに位置している外側の両パネルを想定しており、これら両パネルと胴体の下部構造体との連結は、横断方向に軸支回動をするようになっている。ここで、横断方向の軸支回動とは、連結が、長手方向中心線Xと直交して、前記中心線Xの右と左にシーソー運動することができるということを意味するものである。腹部流線型構造体の底板に固定して取り付けられている区画分け用の仕切りの外側のパネルは、前記底板に対して不動である。逆に、区画分け用の仕切りの外側のパネルにつながれている胴体の下部構造体は、横断方向に動くことができ、特に、横断方向中心線Yに沿って伸びることができるものであり、その移動の際に、その最初の位置に対して横断方向あるいは右または左に軸支回動する連結を生じさせる。
区画分け用の仕切りの他のパネルは、胴体の下部構造体の伸びが主に外側のパネルのところに位置しているため、このような遊びを可能にする胴体の下部構造体との連結をもつ必要がない。例えば、外側のパネルと区画分け用の仕切りの中央のパネルとの間に位置する内部のパネルの連結には、横断方向中心線Yに沿った軽い遊びを可能にするだけで十分なのである。中央のパネルは、航空機の中心線Xに位置するために伸びの影響を一切受けない胴体の下部構造体の一部に位置しているため、胴体の下部構造体と完全に固定した連結をもたせることもできる。
それゆえ、本発明は、複数の垂直のパネルを備える航空機の腹部流線型構造体用の垂直な仕切り壁を対象とするものであり、各パネルはそれぞれ垂直杭によって隣接するパネルにつながれており、該仕切り壁の一端部に位置する外側のパネルの少なくとも一枚が、結合された少なくとも一つの垂直杭に取り付けられて固定されており、結合された前記垂直杭の高い端部が、航空機の構造体に固定されるようになっている横断方向回転自在での固定手段を備えており、横断方向回転自在での固定手段は、航空機の構造体が、固定された仕切り壁に対して変位を行うのを許容するようになることを特徴とするものである。
ここで、横断方向回転とは、航空機の長手方向中心線Xに平行に、仕切り壁に直交するように延びる中心線に沿った回転のことを意味するものである。
本発明の複数の実施例によると、以下の補足的特徴のすべてまたは一部を用意することが可能である。
−外側のパネルに結合された少なくとも一つの垂直杭は、外側のパネルに加えられる長手方向中心線方向の応力を吸収するように、航空機の構造体につながれるようになっている平行移動自在での固定手段を備えていること。
ここで、平行移動自在での固定手段とは、固定手段が、長手方向中心線Xに平行な直線運動をすることができることを意味するものである。
−外側のパネルと中央のパネルとの間に配置された少なくとも一枚の中間のパネルは、結合された少なくとも一つの垂直杭に、隣接するパネルに平行にも直角にも遊びができるようにして、浮動するような状態で取り付けられていること。
ここで、浮動するような状態とは、中間のパネルが、結合された垂直杭に、固定して、そして凝固してつながれてはおらず、逆に、結合された前記垂直杭により所定の位置に維持されてはいるものの、中間のパネルは、自身が結合されている垂直杭に左右される限度内において、前から後ろへ、そして右から左へと、揺れ動くことができることを意味するものである。
−中間のパネルに結合された少なくとも一つの垂直杭の上端と下端は、航空機の構造体と腹部流線型構造体にそれぞれ固定されるようになっている横断方向中心線方向の回転自在での固定手段を備えていること。
ここで、横断方向中心線方向の回転とは、航空機の横断方向中心線Yに平行に延びる中心線に沿った回転で、長手方向中心線Xに対して前から後ろへとシーソー運動することできることを意味するものである。
−仕切り壁が、結合された二つの垂直杭によって囲まれている、固定して取り付けられた中央のパネルを備えていること。
本発明は、また、本発明に係る少なくとも一枚の仕切り壁を備え、そして、航空機の主翼と胴体との間の、仕切り壁の垂直のパネルが腹部流線型構造体の底板に取り付けて固定されている接合部、航空機の箱型構造翼の下方に位置する、腹部流線型構造体を備える航空機に関するものである。
航空機の製作の複数の実施例よると、以下の補足的特徴のすべてまたは一部を用意することが可能である.
−仕切り壁の外側のパネルに結合された少なくとも一つの垂直杭の高端部は、箱型構造翼が航空機の長手方向中心線に直交する伸延ができるよう、航空機の前記箱型構造翼に対して横断方向回転自在に取り付けられていること。
−垂直な仕切り壁の外側のパネルに結合された少なくとも一つの垂直杭は、前記外側のパネルに加えられている中心線方向の応力を吸収するよう、箱型構造翼に平行移動するようにしてつながれていること。
−垂直な仕切り壁の中間のパネルに結合された少なくとも一つの垂直杭の上端と下端は、前記中間のパネルに加えられている中心線方向の応力を吸収するよう、箱型構造翼と腹部流線型構造体の底板のそれぞれに対して、長手方向中心線方向の回転をするように取り付けられていること。
−仕切り壁は、航空機の長手方向中心線と平行に延びる長手方向の梁により、箱型構造翼につながれている。さらに詳細には、梁の下に配置されている金具は、仕切り壁のパネルと箱型構造翼の下面の梁との間の連結を確保すること。
−腹部流線型構造体が、本発明の二枚の垂直な仕切り壁を備えており、前記仕切り壁が、航空機の箱型構造翼の両側に、航空機の長手方向中心線に直交するように、そして、航空機の横断方向中心線に平行に延びること。
本発明は、以下の説明を読み、添付の図面を検討することにより、さらによく理解することができる。このような説明と図面は、あくまで参考用であり、本発明を限定する趣旨のものではない。以下、図面を説明する。
−図1:腹部流線型構造体を備えた航空機;
−図2:本発明の仕切り壁の位置での、腹部流線型構造体の横断面;
−図3:図2の仕切り壁の部分的拡大図;
−図4:本発明の仕切り壁の外側のパネルの概略図;
−図5:その仕切り壁の外側のパネルを、一方では航空機の腹部流線型構造体に他方では箱型構造翼につなぐ垂直杭を示す図;
−図6:外側のパネルに結合された垂直杭と箱型構造翼の梁との間のつながりを概略的に示す断面図;
−図7:中間のパネルと仕切り壁の中央のパネルとに結合される、二つの機能を兼ねる垂直杭の概略図;
−図8:仕切り壁の二枚の中間のパネルに結合された垂直杭の概略図;
−図9:中間のパネルに結合された垂直杭と箱型構造翼の梁との間のつながりの拡大図。
図1の航空機1は、胴体2と主翼3、3’を備える。腹部流線型構造体4は、胴体2と主翼3、3’との間の接合部の位置で、胴体2の下部に固定されている。腹部流線型構造体4は、胴体2の長さに沿って延びている。ここで、胴体の長さとは、航空機1の長手方向の中心線Xと平行に延びる胴体の寸法のことを意味するものである。腹部流線型構造体4の長さLは、中心線Xと平行に延びる、前記腹部流線型構造体4の寸法である。腹部流線型構造体4の幅Iは、前記腹部流線型構造体4の長さLと直交する、主翼の二つの翼3、3’の間に延びる、前記腹部流線型構造体4の寸法である。腹部流線型構造体4の幅Iは、横断方向中心線Yと平行に延びる(図2参照)。
腹部流線型構造体4の長さLと幅Iは、固定されているものであり、つまり、航空機1の使用中に次第に変わっていくということはない。
これとは反対に、航空機1の箱型構造翼(図1では見えず)は、二つの翼3、3’の間で、腹部流線型構造体4の内部容積に位置しており、主翼3、3’の撓みゆえに、長手方向中心線Xと直交する方向で横断方向中心線Yに平行な両方向に伸びることがあり得るのである。
それゆえ、腹部流線型構造体4と箱型構造翼との間の連結部位は、このような双方の動きの差動を許容するようなものでなければならないのである。腹部流線型構造体4と箱型構造翼との間の連結は、腹部流線型構造体4の内部容積を垂直に仕切る一つまたは複数の仕切り壁(図1には見えず)によって行われている。この一つまたは複数の仕切り壁と箱型構造翼との間の連結は、前記箱型構造翼の伸びを許容することができるよう、柔軟なものでなければならない。
図2に示すのは、航空機1の腹部流線型構造体4の横断方向中心線Yに沿った横断面である。この横断面は、本発明に係る仕切り壁10に位置しており、この仕切り壁は、航空機1の箱型構造翼の下に位置している。図3に示すのは、図2に示されたような仕切り壁10の左部分の拡大図である。
図2に見られるように、仕切り壁10は、九枚の垂直のパネル11、12、12’、13、13’を備えるものである。さらに詳細には、仕切り壁10は、左右のそれぞれに、二つの中間のパネル12および12’と二つの外側のパネル13および13’とに縁取られている中央のパネル11を備えている。したがって、仕切り壁のパネル11、12、12’、13、13’は、航空機1の長手方向中心線Xに対して対称に配置されることになる。パネル11、12、12’、13、13’は、腹部流線型構造体4の底板5を起点としてそこから、腹部流線型構造体4の上方に位置する箱型構造翼の下面6に至るまで、腹部流線型構造体4の高さHに沿って延びている。
仕切り壁10の中央のパネル11は、固定手段7(図7参照)を介して、腹部流線型構造体4の底板5と、結合されてそれを囲んでいる二つの機能を兼ねる二本の垂直杭16とに、固定して取り付けられている。同様に、中央のパネル11と、前記中央のパネル11の上方に位置する箱型構造翼の梁8との間の連結も固定されている。したがって、中央のパネル11は、腹部流線型構造体4に対し、そして航空機の箱型構造翼に対し不動となるのである。中央のパネル11は、長手方向中心線X、横断方向中心線Yそして垂直軸Zに沿って応力を吸収する。ここで、垂直軸Zとは、腹部流線型構造体4の高さHに沿って、垂直に延びる軸のことを意味するものである。
中央のパネル11の二つの垂直な縁のそれぞれが、第一の中間のパネル12によって縁取られている。中央のパネル11に結合されたそれぞれの垂直な杭16は、第一の中間のパネル12に結合されている。第一の中間のパネル12のそれぞれは、一方を中央のパネル11に、他方を第二の中間のパネル12’に縁取られている。垂直杭15は、第一の中間のパネル12と第二の中間のパネル12’との間に配置されている。二つの中間のパネル12、12’に結合された垂直杭15は、前記パネルを仕切り壁10の他の部分と一体となるように維持する。また、中間のパネル12、12’のそれぞれの下の縁は、固定手段7(図7参照)により、腹部流線型構造体4の底板5に固定されている。
第二の中間のパネル12’は、第一の外側のパネル13により、その二つの垂直の縁のうちの一つで縁取られ、二枚のパネル12’、13は、二つの機能を兼ねる垂直杭16により、共に、そして、仕切り壁10の他の部分と共に維持される。
第一の外側のパネル13は、特殊な垂直杭14によって連結されている第二の外側のパネル13’によって、その第二の垂直の縁の位置で縁取られる。第二の外側のパネル13’の第二の垂直の縁は自由であり、つまり、いかなる垂直杭にもパネルにも連結されていない。また、外側のパネル13、13’のそれぞれは、その下の縁で、固定手段7(図4参照)により、腹部流線型構造体4の底板5に固定されている。
仕切り壁10は、腹部流線型構造体4の幅Iの全幅を延びている。仕切り壁10の寸法は、航空機1の使用中に変わっていかないような観点から、固定されている。
仕切り壁10の様々なパネル11、12、12’、13、13’に結合された垂直杭14、15、16は、前記パネル11、12、12’、13、13’の間の連結に加え、仕切り壁10と航空機1の箱型構造翼の下面6との間の連結を確保している。仕切り壁10が腹部流線型構造体4と一体である限りにおいて、その場合は、前記仕切り壁10は、腹部流線型構造体4と航空機1との間の連結を確保する。垂直杭14、15、16は、腹部流線型構造体4の機械的構造を維持するために仕切り壁10の剛性を確保しなくてはならず、さらには、箱型構造翼の下面6の中心線Yに沿って横断方向に伸びることができるようにもしなくてはならない。
図4に示されるように、外側のパネル13および13’は、固定手段7により、腹部流線型構造体4の底板5に固定されている。第一の外側のパネル13は、結合された二つの垂直杭14、16に囲まれている。第一の外側のパネル13は、結合された前記垂直杭14、16の高さ全体にわたって、結合された垂直杭14、16に固定して取り付けられている。
第一の外側のパネル13に結合された垂直杭14、16の下端15は、腹部流線型構造体4の底板5に対して固定して取り付けられている。
第一の外側のパネル13に結合された垂直杭14、16の上端20は、航空機1の箱型構造翼の下面の一部である横断方向の梁8につながれている。横断方向の梁8は、長手方向中心線Xには平行に、そして、仕切り壁10に直角に延びている。仕切り壁10の第一の外側のパネル13に結合された垂直杭14、16の上端20との間の連結は、連結具17によって確保される。連結具17は、図5に示されているように、全体としての形状がH型であり、そのH型の形状は、二つの連結点18、19を提供するものである。第一の連結点18は、垂直杭14に位置しており、第二の連結点19は、梁8に位置している。連結具17の二重連結18、19は、連結具17を長手方向中心線Xについて右と左にシーソー運動させることを可能にする、横断方向の回転での連結である。
したがって、横断方向中心線Yに平行に、連結具17が横断方向の梁8の変位Dyを行うのを許容する一方で、垂直杭14、16と、その垂直杭が結合されている外側のパネル13、13’は、腹部流線型構造体4の底板5に対して固定されたままとなるのである。梁8に結合された箱型構造翼の下面は、したがって、仕切り壁10を破損することなく、横断方向中心線Yに平行に伸びることができる。このようにして、伸びに最も影響される箱型構造翼の下面の部位の位置で、長手方向の梁8が、前記伸びを許容し、そしてその伸びに沿うようにして変位することを許容することになる。外側のパネル13、13’は固定されたままであり、つまりは、伸びの影響は一切受けることなく、仕切り壁10の構造的堅牢性が維持される。
仕切り壁10の第二外側のパネル13’は、第一の外側仕切り壁13だけに垂直に縁取られており、第二の垂直の縁は空いている。さらに詳細には、第二外側のパネル13’の第二の垂直の縁は、箱型構造翼の外皮に沿って延びている。第二外側のパネル13’の第二の垂直の縁に、気密性の継ぎ手9を備えさせ、箱型構造翼が伸びる際に、腹部流線型構造体4の内部容積の気密性を維持する用意をすることは可能である。
図7および図8に示されているように、仕切り壁10の中間のパネル12および12’は、結合された垂直杭15、16に、浮動するような状態で、取り付けられている。そのために、中間のパネル12および12’に結合された垂直杭15、16は、前記パネルとの連結部の位置にU字型の輪郭を有しており、そのU字型の両分枝の間に、中間のパネル12、12’の垂直の縁を滑り込まされている。さらに詳細には、U字型の輪郭の基部は、垂直杭15、16の高さ方向を上下を貫いて延び、U字型の輪郭の分枝は、それらの分枝が囲んでいる中間のパネルの方向に、直交して延びる。それゆえ、垂直杭15、16と、それら垂直杭が結合された中間のパネル12、12’との間の連結は、U字型の輪郭の二つの分枝の間で、航空機1の進行方向に対して前から後ろへの遊びを許容するとともに、左から右への遊びも許容する。
二種類の垂直杭15、16が、中間のパネル12、12’に結合されている。事実、隣接する二つの中間のパネル12、12’を維持するの必要な三つの垂直杭のうち、一つだけが二つの中間のパネル12、12’につながれている。結合された他の垂直杭16は、性質の異なる二つのパネル12、12’、11、13につながれているという意味で、二つ機能を兼ねるものである。それゆえ、二つの機能を兼ねる垂直杭16は、中間のパネル12、12’に向けられた、一つだけの垂直の縁に沿ってU字型の輪郭を有しており、二つの機能を兼ねる前記垂直杭16の第二の垂直な縁には空きはない(図7参照)。図8に示されるように、二つの中間のパネル12、12’に結合された垂直杭15は、中間のパネル12、12’の右と左とに囲まれるよう、それぞれの二つの垂直な縁に沿ってU字型の輪郭を有している。
仕切り壁10の中間のパネル12、12’は、固定手段7により、腹部流線型構造体4の底板5に対して、固定されて取り付けられる。
中間のパネル12、12’に加えられる可能性のあるX方向の応力は、結合された垂直杭15、16によって、より詳細には、前記垂直杭15、16のU字型の輪郭の分枝によって、抱き込まれ、またそれゆえに、吸収される。
図8に示されるように、中間のパネル12、12’に結合された垂直杭15の下端23は、下の膝蓋骨状の連結部22により、腹部流線型構造体4の底板5につながれている。同様に、中間のパネル12、12’に結合された垂直杭15の上端21は、上の膝蓋骨状の連結部24により、航空機1の長手方向中心線Xに平行に延びる箱型構造翼の下面の梁8につながれている。例えば、膝蓋骨状の連結部22、24は、航空機1の横断方向中心線Yに平行に延び、そして航空機1の長手方向中心線Xに平行にシーソー運動する回転軸心を備える。したがって、仕切り壁10の中間のパネル12、12’に加えられるX方向の応力もまた、垂直杭15の膝蓋骨状の連結部22、24のおかげで、結合された垂直杭15によって吸収されることになる。
仕切り壁の外側のパネル13および13’の場合では、そして図6に示されているように、X方向の応力は、外側のパネル13、13’に結合された垂直杭14を、二つの外側のパネル13、13’の間を通る箱型構造翼の下面の梁8につなぐコネクティングロッド25のおかげで、吸収することができる。
したがって、梁8の外側のパネル13、13’に対する変位Dyが、連結具17のおかげで可能となる場合には、外側のパネル13、13’のX方向の応力は、前記応力を受け留めるシャフト24によって吸収される。それゆえ、外側のパネル13、13’に結合された垂直杭14と、航空機1の箱型構造翼の下面6に結合された梁8との間で、リンク機構の三角形が存在する。
仕切り壁10は、また、垂直に、つまり、腹部流線型構造体4の高さHに沿って延びる圧縮応力を加えられる可能性がある。仕切り壁10のパネル11、12、12’、13、13’に結合された垂直杭14、15、16は、このような圧縮応力を吸収するようになる。
本発明の仕切り壁10は、圧縮応力と、前記仕切り壁10に加えられる可能性のあるX方向の応力とを吸収しつつ、前記仕切り壁10の下に位置する箱型構造翼の下面6がY方向に伸びることを許容する。したがって、仕切り壁10は、航空機1の胴体2の長さが長大であるということから来る特異な必要性に対応しつつ、内部容積の区画分けの機能と、腹部流線型構造体4の空気力学的形状を機械的に維持するという両方の機能を果たすようになる。
有利には、本発明に係る腹部流線型構造体4は、本発明に係る仕切り壁10を二つ備えており、これら仕切り壁は、航空機1の箱型構造翼の両側に配置され、これらの二つの仕切り壁10の間には、他の仕切り壁は一切、配置されていないことが好ましい。したがって、箱型構造翼の両端において、航空機の腹部流線型構造体4と胴体2との間の連結は、前記箱型構造翼の伸びと両立するものである。また、箱型構造翼の上流か下流に、第三の仕切り壁を用意することも可能であるが、箱型構造翼の上流や下流に伸びが生じることは一切ないため、その第三の仕切り壁のために特別な連結手段は不要である。
腹部流線型構造体を備えた航空機の概略図 本発明の仕切り壁の位置での、腹部流線型構造体の横断面図 図2の部分的拡大図 本発明に係る仕切り壁の外側のパネルの概略図 外側のパネルと、それをつなぐ垂直杭を示す図 垂直杭と箱型構造翼の梁との間のつながりを概略的に示す断面図 中間のパネルと中央のパネルとを結合する垂直杭の概略図 二枚の中間のパネルに結合された垂直杭を概略的に示す断面図 垂直杭と箱型構造翼の梁との間のつながりを示す部分拡大図
符号の説明
1 航空機
2 胴体
3、3’ 主翼
4 腹部流線型構造体
5 底板
6 箱型構造翼の下面
7 固定手段
8 梁
9 気密性の継手
10 仕切り壁
11、12、12’、13、13’ パネル
14、15、16 垂直杭
17、18、19 横回転固定手段

Claims (11)

  1. 複数の垂直のパネル(11、12、12’、13、13’)を備える航空機(1)の腹部流線型構造体(4)用の垂直な仕切り壁(10)であり、各パネルはそれぞれ垂直杭 (14、15、16)によって隣接するパネルにつながれており、
    該仕切り壁の一端部に位置する外側のパネル(13、13’)の少なくとも一枚が、結合された少なくとも一つの垂直杭(14、16)に対して取り付けられて固定されており、結合された前記垂直杭の高い端部(20)が、航空機の構造体(8)に固定されるようになっている横断方向回転自在での固定手段(17、18、19)を備えており、横断方向回転自在での固定手段は、航空機の構造体が、固定された仕切り壁に対して変位(Dy)を行うのを許容するようになることを特徴とする、航空機の腹部流線型構造体用の垂直な仕切り壁。
  2. 前記外側のパネルに結合された少なくとも一つの垂直杭(14、16)は、外側のパネルに加えられる長手方向中心線方向の応力を吸収するように、航空機の構造体につながれるようになっている平行移動自在での固定手段(25)を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の航空機の腹部流線型構造体用の垂直な仕切り壁。
  3. 前記外側のパネル(13、13’)と中央のパネル(11)との間に配置された少なくとも一枚の中間のパネル(12、12’)は、結合された少なくとも一つの垂直杭(15、16)に、隣接するパネルに平行にも直角にも遊びができるようにして、浮動するような状態で取り付けられていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の航空機の腹部流線型構造体用の垂直な仕切り壁。
  4. 前記中間のパネル(12、12’)に結合された少なくとも一つの垂直杭(15)の上端(21)と下端(23)は、航空機の構造体と腹部流線型構造体にそれぞれ固定されるようになっている横断方向中心線方向の回転自在での固定手段(22、24)を備えていることを特徴とする、請求項3に記載の航空機の腹部流線型構造体用の垂直な仕切り壁。
  5. 前記仕切り壁が、結合された二つの垂直杭(16)によって囲まれている、固定して取り付けられた中央のパネル(11)を備えていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載の航空機の腹部流線型構造体用の垂直な仕切り壁。
  6. 航空機の主翼(3)と胴体(2)との間の、仕切り壁の垂直のパネル(11、12、12’、13、13’)が腹部流線型構造体の底板(5)に対して取り付けて固定されている接合部、航空機の箱型構造翼の下方に位置する、請求項1〜5のいずれか一つに記載の少なくとも一つの仕切り壁(10)を備える腹部流線構造体(4)を備える航空機(1)。
  7. 仕切り壁の外側のパネル(13、13’)に結合された少なくとも一つの垂直杭(14、16)の高端部(20)は、箱型構造翼が航空機の横断方向中心線(Y)に平行な伸延(Dy)ができるよう、航空機の前記箱型構造翼に対して横断方向回転(17、19)自在に取り付けられていることを特徴とする、請求項6に記載の航空機。
  8. 垂直な仕切り壁の外側のパネル(13、13’)に結合された少なくとも一つの垂直杭(14、16)は、前記外側のパネルに加えられている中心線方向の応力を吸収するよう、箱型構造翼に平行移動(25)するようにしてつながれていることを特徴とする、請求項6又は請求項7に記載の航空機。
  9. 垂直な仕切り壁の中間のパネル(12、12’)に結合された少なくとも一つの垂直杭(15)の上端(21)と下端(23)は、前記中間のパネルに加えられている中心線方向の応力を吸収するよう、箱型構造翼と腹部流線型構造体の底板(5)のそれぞれに対して、長手方向中心線方向の回転(22、24)をするように取り付けられていることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか一つに記載の航空機。
  10. 前記仕切り壁が、航空機の長手方向中心線Xと平行に延びる長手方向の梁(8)により、箱型構造翼につながれていることを特徴とする、請求項6〜9のいずれか一つに記載の航空機。
  11. 前記流線型構造体が、請求項1〜5のいずれか一つに記載の二枚の垂直な仕切り壁(10)を備えており、前記仕切り壁が、航空機の箱型構造翼の両側に、そして航空機の横断方向中心線Yに平行に配置されていることを特徴とする、請求項6〜10のいずれか一つに記載の航空機。
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