本発明に係るロータ製造装置について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して以下詳細に説明する。
先ず、この実施形態に係るロータ製造装置を説明する前に、該ロータ製造装置により製造されるロータ10について、図1及び図2を参照しながら説明する。
ロータ10は、モータ及び発電機等の回転電機に用いられるインナロータであって、円筒状のロータコア(リング状のヨーク)12と、該ロータコア12の内径側に設けられた有底筒状のボス部(回転軸)14と、該ボス部14の底部16の中心部に形成された孔18とを備える。該底部16には、孔18からボス部14の径方向に離間して6つの筒状のカラー20が装着されている。各カラー20にボルトがそれぞれ挿通することにより図示しないシャフトがボス部14に固定される。なお、図1及び図2に示すように、ロータコア12及びボス部14は略同軸に配置されているので、ロータコア12の軸方向とボス部14の軸方向とは略一致する。
ロータコア12は、その軸方向(図1、図7及び図8の上下方向)に薄板鋼板28を積層して構成され、積層された薄板鋼板28は、リング状の上抑え板(端面板)34及び下抑え板(端面板)36で狭持された状態でボス部14の外周側に装着される。すなわち、ロータコア12は、ボス部14の下端部側の突出部32と、ボス部14の上端部側の突出部26との間のボス部14の外周側に装着され、ロータコア12を構成する前記積層された薄板鋼板28及び上抑え板34は、ボス部14の外周面に対して、しめ代を有し、突出部32側に配置された下抑え板36の上方で該ボス部14の外周側に圧入保持される。なお、上抑え板34及び下抑え板36は、積層された薄板鋼板28を上下方向から略覆うようにロータ10にそれぞれ配設されている。また、上抑え板34及び下抑え板36は、例えば、ステンレス鋼板により構成される。
ロータコア12の外周側には、所定角度間隔で、凹部44が前記軸方向に沿って形成され、ロータコア12における2つの凹部44間には、2つの収納孔38が前記軸方向に沿って形成されている。収納孔38は、図2の平面視で、長方形状に形成されている。
そして、各収納孔38内には、磁石40がそれぞれ収納され、各収納孔38及び磁石40により形成される空間にはシリコーン樹脂等の樹脂42が充填されている。
なお、このロータ10を回転電機に適用する場合には、その外周にステータが配置されるので、磁石40と前記ステータとの間の距離をできる限り小さくして磁力を有効に利用するために、該磁石40は、収納孔38の前記外周側に寄せて固定されている。この場合、収納孔38の内径方向には、平面視で、円弧状の凹部50が形成され、一方で、上抑え板34には、収納孔38の円弧状の凹部50に対向して24個の注入孔48が形成されているので、注入孔48を介して凹部50に樹脂42を加圧注入(圧送充填)することにより、収納孔38内において、磁石40は、ロータコア12の外周側に寄せられるように固定される。また、上抑え板34には、ロータコア12の凹部44に対応して12個の凹部46がさらに形成されている。
以上のように構成されるロータ10の製造装置(ロータ製造装置)60について、図3〜図8を参照しながら説明する。
ロータ製造装置60は、樹脂注入装置120(図3〜図7参照)と、高周波加熱装置(図8参照)と、容積算出機構100(図14参照)とを有する。
先ず、樹脂注入装置120について、図3〜図7を参照しながら説明する。
樹脂注入装置120は、図3及び図4に示すように、ベース122上に配設された立設部124に取り付けられ且つ樹脂注入ノズル126を移動可能な樹脂注入ノズル移動機構128と、水平方向に配置されたコンベア(搬送機構)130と、コンベア130により搬送され且つロータ10を載置するパレット132と、コンベア130の途中に配置されたテーブル134と、該テーブル134直下のベース142上に配置された受台移動手段140と、受台移動手段140から上方に延在する回転軸138の先端部に装着された受台136と、テーブル134の天板上に配置された2つの爪部材進退手段148と、各爪部材進退手段148に装着された一対の爪部材144、146とを有する。
ここで、樹脂注入ノズル移動機構128は、下記のように構成されている。
立設部124の上端に配設された支持板150上に駆動モータ152が配設されている。駆動モータ152から垂下する駆動軸153は、カップリング154を介してボールねじ160と連結されている。該ボールねじ160は、立設部124の側面に設けられた支持部材156、158により上下方向に支持されている。
ボールねじ160には、軸受ブロック162を介してテーブル164が配設されており、駆動モータ152の駆動作用下に駆動軸153及びカップリング154を介してボールねじ160が回転すると、軸受ブロック162及びテーブル164は、ボールねじ160の案内作用下に、支持部材156、158間の距離の範囲内で昇降可能である。
テーブル164には、略三角形状の支持板166を介して水平方向(図4の左右方向)に延在するテーブル168が取り付けられ、このテーブル168には、駆動モータ170が装着されている。この駆動モータ170から前記水平方向に延在する駆動軸171は、カップリング172を介してボールねじ178に連結されている。該ボールねじ178は、テーブル168の底面に装着された支持部材174、176により前記水平方向に支持されている。
ボールねじ178には、軸受ブロック180を介してテーブル182が配設されており、駆動モータ170の駆動作用下に駆動軸171及びカップリング172を介してボールねじ178が回転すると、軸受ブロック180及びテーブル182は、ボールねじ178の案内作用下に、支持部材174、176間の距離の範囲内で前記水平方向に移動可能である。
テーブル182の底面に配設された略台形状の支持板184及び該テーブル182に対してテーブル186が上下方向に装着されている。テーブル186における樹脂注入ノズル126側の表面には水平方向(図3の左右方向)に延在する一対のスライドレール204が該テーブル186の上端側及び下端側にそれぞれ設けられ、駆動モータ188がさらに配置されている。該駆動モータ188から前記水平方向に延在する駆動軸189は、カップリング190を介してボールねじ198に連結されている。各スライドレール204間で前記水平方向に延在するボールねじ198は、テーブル186の前記表面に装着された支持部材192、196により前記水平方向に支持されている。
なお、ボールねじ198は、図3に示すように、支持部材192側(基端部側)と、支持部材196側(先端部側)とにねじ部分がそれぞれ形成され、中央部分には形成されていない。また、前記先端部側のねじ部分は、前記基端部側のねじ部分に対して逆ねじとなっている。
ボールねじ198には、一対の軸受ブロック200(図4では1つのスライドブロック200のみ図示)を介してテーブル202が配設されている。各テーブル202のテーブル186側の底面には、一対のスライドブロック206が一対のスライドレール204に配置されている。従って、駆動モータ188の駆動作用下に駆動軸189及びカップリング190を介してボールねじ198が回転すると、軸受ブロック200、スライドブロック206及びテーブル202は、各スライドレール204の案内作用下に前記水平方向に移動可能である。
上述したように、ボールねじ198の先端部側のねじ部分は、基端部側のねじ部分に対して逆ねじとなっているので、該ボールねじ198が回転したときに、図3の右側のテーブル202と、左側のテーブル202とは、前記水平方向に沿って互いに接近するように移動するか、あるいは、前記水平方向に沿って互いに離間するように移動する。
また、図3に示すように、ロータ10及び回転軸138を中心として、左右対称にテーブル202が配置され、各テーブル202には樹脂注入ノズル126がそれぞれ取り付けられている。前述したように、前記水平方向(左右方向)に沿って互いに接近又は離間するように各テーブル202を移動可能とすることで、外径寸法の異なるロータ10が図3及び図4の位置に配置されても、前記外径寸法の異なるロータ10に応じた所定位置に、各樹脂注入ノズル126を短時間で移動させることが可能となる。
すなわち、図3に示すように、ロータ製造装置60は、2つの樹脂注入ノズル126を採用し、且つ、各樹脂注入ノズル126は、左右方向に所定距離離間して配置されており、樹脂注入ノズル移動機構128は、各樹脂注入ノズル126を支持するために、左右対称に下記の構成要素を具備している。
テーブル202の上端部には支持部材230が取り付けられ、下端部には当接板226が取り付けられている。また、テーブル202の樹脂注入ノズル126側の表面には、支持部材208、210が上下方向に沿って装着され、これらの支持部材208、210は、ボールねじ214を上下方向に支持する。なお、ボールねじ214は、駆動モータ212の駆動軸であり、該駆動モータ212は、ボールねじ214の基端側(下端部側)に連結されている。駆動モータ212は、上下方向に延在するテーブル216に装着されている。
ここで、前述した支持部材230の上面にはナット232が装着され、底面には円筒部材222が装着されている。そして、円筒部材222、支持部材230及びナット232には、ロッド220が上下方向に貫通しており、このロッド220の上端部にはナット224が取り付けられて、下端部には支持部材234を介してテーブル216が取り付けられている。また、ロッド220における円筒部材222と支持部材234との間には、バネ部材228が装着されている。従って、駆動モータ212の駆動作用下にボールねじ214が回転すると、テーブル216は、支持部材210と当接板226との間の距離の範囲内で昇降可能となる。
すなわち、後述するように、受台136を回転させながら、樹脂注入ノズル126を用いて複数の収納孔38に樹脂42を注入する際に、樹脂注入ノズル移動機構128は、テーブル164を全体的に昇降させるのではなく、テーブル216の部分のみを昇降させることで、樹脂注入ノズル126の位置を上下方向に調整することが可能である。
テーブル216の樹脂注入ノズル126側の表面には、上端部から下端部に向かって支持部材234、236、238が所定距離離間して順に配設され、これらの支持部材234、236、238により樹脂注入ノズル126が上下方向に支持されている。
樹脂注入ノズル126は、樹脂供給路242に接続されたミキサ部240と、ミキサ部240に連結され且つ支持部材236、238により支持されるノズル本体244と、ノズル本体244の噴射部であるノズル先端部246と、樹脂供給路252に接続された樹脂貯留部248と、樹脂貯留部248とミキサ部240とを連結する管路250とから構成される。この樹脂注入ノズル126は、2種類の液状の樹脂を混合し、混合した樹脂42(例えば、シリコーン樹脂)をノズル先端部246から外部に噴射(ロータ10の収納孔38に注入)するノズルであり、具体的には、樹脂供給路242からミキサ部240に供給された一方の樹脂と、樹脂供給路252から樹脂貯留部248及び管路250を介してミキサ部240に供給された他方の樹脂とを、ミキサ部240にて混合し、混合した樹脂42をノズル本体244の孔320(図7参照)からノズル先端部246の孔322を介して外部に噴射する(収納孔38に注入する)。
コンベア130は、図3に示すように、水平方向に配置されており、ロータ10が載置されたパレット132を右方向から左方向に搬送する。また、パレット132には、受台136に対応する部分が開口して開口部133が形成され、一方で、テーブル134の天板には、該開口部133に対応して受台136よりもやや大きな開口部139が形成されている。さらに、受台136の上面には、ボス部14のカラー20に対応してピン324(図7参照)が突出形成されている。なお、受台136が配置される箇所においては、受台移動手段140の駆動作用下に該受台136が昇降するので、この箇所にコンベア130は設けられていない(図3参照)。
ここで、受台136がコンベア130よりも下方に退避しているときに、受台移動手段140の駆動作用下に、回転軸138を上方向に進行させると、受台136が開口部133を通過して上昇することでカラー20とピン324とが嵌合し、該受台136は、ボス部14の底面に接触する。これにより、ボス部14(ロータ10)は、受台136上に載置された状態となる(図7参照)。その状態で、受台移動手段140の駆動作用下に、回転軸138をさらに上方向に進行させると、受台136は、ロータ10を載置した状態で上昇して開口部139を通過し、テーブル134上方における各樹脂注入ノズル126及び各爪部材144、146近傍の所定位置にまで上昇する。また、受台移動手段140の駆動作用下に、回転軸138を回転させると、受台136は、ロータ10を載置した状態で該回転軸138を中心に回転可能である。さらに、受台移動手段140の駆動作用下に、回転軸138を下方向に退動させると、受台136は、ロータ10を載置した状態で下降する。
爪部材進退手段148は、図3に示すように、テーブル134上において、前記所定位置(上昇したロータ10の位置)に対し左右対称に配置されており、下記のように構成されている。
ベース260から上方に延在する支持部材262、264間にロッド268が水平方向に固定され、このロッド268に略L字状のテーブル270が前記水平方向に移動可能に取り付けられている。テーブル270上に配置されたシリンダ272のシリンダロッド274は、その先端が支持部材262の上端部に取り付けられた支持部材276に固定されている。また、図5に示すように、テーブル270には、一対の支持部材280が装着され、該テーブル270及び支持部材280のロータ10側にテーブル278が上下方向に固定されている(図3参照)。
テーブル278には、一対のスライドレール282が所定距離離間して上下方向に沿って配置されている(図3、図5及び図6参照)。各スライドレール282には、スライドブロック284、288がそれぞれ配置され、各スライドレール282の上側にそれぞれ配置された各スライドブロック284にはテーブル286が取り付けられ、一方で、各スライドレール282の下側にそれぞれ配置された各スライドブロック288にはテーブル290が取り付けられている。
この場合、テーブル286の両端部にシリンダ292がそれぞれ取り付けられ、各シリンダ292から下方にそれぞれ延在するシリンダロッド294の先端は、支持部材296に固定されている。また、テーブル290の中央部にシリンダ298が取り付けられ、各シリンダ298から上方に延在するシリンダロッド300の先端は、支持部材301に固定されている。
そして、テーブル286のロータ10側の表面には、爪部材144が取り付けられ、一方で、テーブル290のロータ10側の表面には、爪部材146が取り付けられている(図3及び図5参照)。
爪部材144は、テーブル286からロータ10側に突出する爪部302と、爪部302を上方から支持する支持部材306と、該支持部材306をテーブル286に固定するための固定部材307とから構成される。爪部302は、図5に示すように、テーブル286からロータ10側に向かって先細りする形状とされており、その先端部316は、ロータ10の突出部26の形状に沿った円弧状とされている。そして、該先端部316には、所定距離(2つの注入孔48の間隔)離間して2つの孔部304がそれぞれ形成されている。すなわち、各孔部304は、2つの注入孔48の位置に対応して先端部316に形成されている(図5参照)。
一方、爪部材146は、テーブル290からロータ10側に突出する爪部310と、爪部310を上方から支持する支持部材314と、該支持部材314をテーブル290に固定するための固定部材308とから構成される(図3、図5及び図7参照)。爪部310は、爪部302と同様に、テーブル290からロータ10側に向かって先細りする形状とされており、その先端部312は、ロータ10の突出部32の形状に沿った円弧状とされている。
そして、シリンダ272の駆動作用下にシリンダロッド274が進退すると、テーブル270は、ロッド268の案内作用下に支持部材262、264間の距離の範囲内で水平方向(図3の左右方向)に移動する。この場合、テーブル270には、テーブル278、スライドレール282、スライドブロック284及びテーブル286を介して爪部材144が配設されると共に、テーブル278、スライドレール282、スライドブロック288及びテーブル290を介して爪部材146が配設されているので、各爪部材144、146は、シリンダ272の駆動作用下に前記水平方向に移動可能、すなわち、ロータ10に対して前記水平方向に進退可能となる。
また、シリンダ292の駆動作用下にシリンダロッド294が進退すると、テーブル286は、スライドレール282の案内作用下にテーブル290に対して上下方向に移動し、一方で、シリンダ298の駆動作用下にシリンダロッド300が進退すると、テーブル290は、スライドレール282の案内作用下にテーブル286に対して上下方向に移動する。
この場合、テーブル286には爪部材144が配設され、テーブル290には爪部材146が配設されているので、各爪部材144、146は、シリンダ292、298の駆動作用下に前記上下方向に移動可能、すなわち、ロータ10に対して前記上下方向に進退可能となる。
従って、シリンダ272、292、298の駆動作用下にロータ10に対して爪部材144、146を進行させると、図3、図5及び図7に示すように、ロータ10の突出部26と爪部材144の先端部316とが接触し、ロータ10の突出部32と爪部材146の先端部312とが接触し、且つ、爪部材144の各孔部304が上抑え板34の注入孔48に略同軸となった状態で、上抑え板34、ロータコア12及び下抑え板36は、爪部材144、146により上下方向で把持される(爪部材144、146により上下方向に閉じられる)。一方、シリンダ272、292、298の駆動作用下にロータ10に対して爪部材144、146を離間させると、爪部材144、146による上抑え板34、ロータコア12及び下抑え板36の把持状態は解除される(爪部材144、146はロータコア12に対して上下方向に開く)。
そして、爪部材144、146により上抑え板34、ロータコア12及び下抑え板36が上下方向で把持された状態で、駆動モータ152、170、188、212の駆動作用下に樹脂注入ノズル126をロータ10に向けて進行させ、孔部304にノズル先端部246を挿通させると、該ノズル先端部246の孔322と注入孔48とが略同軸となった状態で、ノズル先端部246が上抑え板34に当接する(図7参照)。従って、樹脂注入ノズル126の孔322から注入孔48を介して収納孔38に、所定量の樹脂42を注入すると、該収納孔38に該樹脂42が充填される。
次に、高周波加熱装置330について、図8を参照しながら説明する。
高周波加熱装置330は、樹脂42が充填されたロータ10の周囲に配置された高周波加熱コイル(加熱手段)332と、前述した受台136、回転軸138及びピン324と同一構成の受台336、回転軸334及びピン338とを有する。
高周波加熱装置330は、ピン338とカラー20とを嵌合し且つ受台336上にロータ10を載置した状態で、高周波加熱コイル332に高周波通電してロータ10を加熱することにより樹脂42を硬化させる。
なお、高周波加熱装置330は、受台移動手段140、回転軸138の中心軸上、例えば、コンベア130と爪部材進退手段148との間に配設してもよい。そうすれば、ロータ10の移動距離が短くなり、樹脂42の注入から硬化までの時間を短縮化することができる。
次に、容積算出機構100について、図14を参照しながら説明する。
容積算出機構100は、エアボリュームテスタとしてのエアリークテスタ(容積算出手段)62、容積マスタ64及び容積測定ノズル66から構成される。この場合、ロータ10は、受台136上に載置され、1つのカラー20には、受台136から上方に突出するピン324が挿通している。従って、ロータ10は、受台136上で位置決め固定されている。
容積測定ノズル66は、筒状のノズル本体76と、該ノズル本体76の先端側に装着されたパッキン80と、該ノズル本体76の基端側に配設された押圧部材82と、該押圧部材82とノズル本体76の径方向に形成された突出部86との間に装着されたバネ部材84と、該ノズル本体76の先端側に配設された押圧部材88と、各押圧部材82、88間に取り付けられた2つのねじ90とを有する。
ここで、容積算出機構100により収納孔38の容積を測定する場合には、先ず、エアリークテスタ62に接続されたノズル本体76のエア通過孔78と、1つの注入孔48とが略同軸となるように、爪部302の先端部316に形成された孔部304及び上抑え板34の注入孔48に対する容積測定ノズル66の位置合わせを行った後に、図示しない駆動機構により押圧部材82を下方に押圧する。
この場合、2つのねじ90の先端側は、押圧部材88にねじ止めされているので、ねじ90に沿って押圧部材82が下方に移動すると、バネ部材84を介してノズル本体76が押圧され、該ノズル本体76の先端部と上抑え板34の上面との間は、パッキン80により外部へのエア漏れが確実に阻止される。
この状態で、エアリークテスタ62は、エア通過孔78及び注入孔48を介して収納孔38にエアを注入すると共に、容積マスタ64にも前記エアを注入し、図示しない差圧センサを用いて、収納孔38に注入されたエアと、容積マスタ64に注入されたエアとの圧力差を検出し、検出した圧力差(収納孔38内の圧力変化)に基づいて磁石40が収納された収納孔38内の空間の容積を求める。
以上のように構成されるロータ製造装置60でのロータ10の製造工程について、図9〜図13を参照しながら説明する。
図9は、ロータ10の製造工程を示すフローチャートである。
先ず、ステップS1において、ロータコア12を形成する。ロータコア12の形成方法は、例えば、板部材(例えば、珪素鋼板)からプレス加工により中空状の薄板を切り取り、切り取った薄板を一枚ずつかしめながら積層して、ロータコア12を形成する。また、前記プレス加工においては、収納孔38及び凹部44、50となる箇所の加工も併せて行うことが望ましいことは勿論である。
次に、ステップS2において、ボス部14の突出部32上に下抑え板36を配置した後に、下抑え板36の上方で薄板鋼板28をボス部14の外周側に圧入し、薄板鋼板28を該ボス部14に保持する。その後、収納孔38内に磁石40を収納し、該磁石40を収納した状態で上抑え板34をボス部14の外周側に圧入して、該薄板鋼板28をボス部14に保持する。
次に、ステップS3において、上抑え板34、収納孔38、磁石40及び下抑え板36により形成される収納孔38内の空間の容積(容量)を算出する。
この場合、エアリークテスタ62に接続されたノズル本体76のエア通過孔78と、1つの注入孔48とが略同軸となるように、上抑え板34に対して容積測定ノズル66の位置合わせを行い、その後、容積測定ノズル66を上抑え板34上面に押し付ける(図14参照)。
この状態で、エアリークテスタ62からエア通過孔78及び注入孔48を介して収納孔38に所定圧力のエアを注入すると共に、同一圧力のエアを容積マスタ64に注入する。そして、差圧センサを用いて、収納孔38に注入されたエアと、容積マスタ64に注入されたエアとの圧力差を検出し、検出した圧力差(収納孔38内の圧力変化)に基づいて磁石40が収納された収納孔38内の空間の容積を求める。
そして、1つの収納孔38についての上記の算出処理が完了すると、容積算出機構100では、該収納孔38に対するエア抜きを行った後に、押圧部材82に対する押圧状態を解除する。これにより、容積測定ノズル66は、ロータコア12から離間可能となる。
なお、上抑え板34には、24個の注入孔48が形成されているので、容積算出機構100は、各注入孔48に対してステップS3の処理を実行する。この場合、受台移動手段140の駆動作用下に、回転軸138を中心として受台136を回転させることで、各注入孔48に対して上記のステップS3の処理が可能となる。
次に、ステップS4において、樹脂注入装置120は、収納孔38に前記容積に応じた所定量(前記容積と同量)の樹脂42を樹脂注入ノズル126から注入孔48を介して収納孔38に注入し、該収納孔38内に樹脂42を充填する。
図10A〜図13は、ステップS4における樹脂注入装置120の動作を説明するための要部構成図又は要部断面図である。なお、図10A〜図13では、説明の容易化のために、樹脂注入ノズル移動機構128及び爪部材進退手段148の詳細な構成については図示を省略している。
先ず、コンベア130によりロータ10を載置したパレット132が図10Aの右側から受台移動手段140の上方にまで搬送されたときに、該受台移動手段140は、回転軸138を上方向に進行させる。これにより、受台136は、コンベア130及び開口部133を通過するので、カラー20とピン324とが嵌合し、受台136は、ボス部14の底面に接触する。これにより、ボス部14(ロータ10)は、受台136上に載置(受容)された状態となる。
この状態で、受台移動手段140が回転軸138をさらに上方向に進行させると、受台136は、ロータ10を載置した状態で上昇し、開口部139を通過して、テーブル134上方の各樹脂注入ノズル126及び各爪部材144、146近傍の所定位置にまで上昇する(図10B参照)。
次に、前記所定位置にまで上昇したロータ10に対して、シリンダ272、292、298の駆動作用下に爪部材144、146を進行させる。ロータ10の突出部26と爪部材144の先端部316とが接触し、且つロータ10の突出部32と爪部材146の先端部312とが接触し、さらに、爪部材144の各孔部304が上抑え板34の注入孔48に略同軸となることで、上抑え板34、ロータコア12及び下抑え板36は、爪部材144、146により上下方向で把持される。すなわち、上抑え板34、ロータコア12及び下抑え板36は、爪部材144、146により上下方向に閉じられた状態となる(図11A参照)。
この状態で、駆動モータ152、170、188、212の駆動作用下に樹脂注入ノズル126をロータ10に進行(下降)させて、孔部304にノズル先端部246を挿通させる。これにより、ノズル先端部246の孔322と注入孔48とが略同軸となって、ノズル先端部246が上抑え板34に当接するに至る(図11B参照)。
次に、樹脂注入ノズル126の孔322から注入孔48を介して収納孔38に、磁石40が収納された収納孔38の空間の容積に応じた所定量の樹脂42を注入し、該収納孔38に該樹脂42を充填する。
樹脂42の充填後、駆動モータ152、170、188、212の駆動作用下に樹脂注入ノズル126を上昇(ロータ10から退避)させる(図12A参照)。そして、シリンダ272、292、298の駆動作用下にロータ10に対して爪部材144、146を離間させる。これにより、爪部材144、146による上抑え板34、ロータコア12及び下抑え板36の把持状態は解除され、爪部材144、146は、上抑え板34、ロータコア12及び下抑え板36に対して上下方向に開く(図12B参照)。
以上により、2つの注入孔48を介して2つの収納孔38に樹脂42を充填する工程が完了するが、ロータ10の上抑え板34には24個の注入孔48が形成され、これらの注入孔48に対応してロータコア12には24個の収納孔38が形成されている。
そこで、樹脂注入装置120は、図13に示す状態において、樹脂42がまだ注入されていない収納孔38に樹脂42が注入されるように、該収納孔38に連通する注入孔48と樹脂注入ノズル126とが対向するように、受台移動手段140によって回転軸138及び受台136を回転させる。これにより、樹脂42が注入されていない収納孔38に対して、上述した動作により樹脂42を注入することが可能となり、従って、全ての収納孔38に対して樹脂42を注入することが可能となる。
そして、全ての収納孔38に対する樹脂42の充填が完了した段階で、受台移動手段140は、図10B〜図13に示す所定位置から図10Aに示す位置にまでロータ10、受台136及び回転軸138を下方に退避させる。これにより、樹脂42の充填が完了したロータ10がパレット132に載置され、該ロータ10を載置したパレット132をコンベア130の搬送作用下に次の工程に搬送することが可能となる。
次に、ステップS5において、高周波加熱装置330は、樹脂42が充填されたロータ10に対して、ピン338とカラー20とを嵌合し且つ受台336上にロータ10を載置した状態で、高周波加熱コイル332に高周波通電してロータ10を加熱する。これにより、樹脂42が硬化されてロータ10が製造される。
以上説明したように、本実施形態に係るロータ製造装置60によれば、先ず、受台移動手段140は、パレット132に載置されたロータ10のボス部14の位置にまで受台136を上昇させる。ロータ10が受台136に載置されると、受台移動手段140は、受台136をテーブル134上方の所定位置にまで移動させる。受台136が前記所定位置にまで到達したら、爪部材進退手段148は、ロータ10に対して一対の爪部材144、146を進行させて、爪部材144の孔部304と注入孔48とが略同軸となるように位置合わせを行い、該位置合わせが完了した状態(孔部304と注入孔48とが略同軸となった状態)で一対の爪部材144、146により上抑え板34、ロータコア12及び下抑え板36を把持させる。その後、孔部304に樹脂注入ノズル126のノズル先端部246を挿通し、ノズル先端部246から注入孔48を介して収納孔38に樹脂42を注入する。
従って、前記所定位置にまで受台136を移動させたときに、一対の爪部材144、146により上抑え板34、ロータコア12及び下抑え板36が把持され、この状態で収納孔38に樹脂42が注入される。これにより、パレット132に載置されたロータ10を前記所定位置にまで移動させて収納孔38に樹脂42を注入するまでの時間を短縮化することが可能となるので、該ロータ10の生産効率を大幅に向上させることができる。
また、パレット132に載置されたロータ10(ロータコア12)に対して加圧把持を行うことが不要となるので、パレット132やコンベア130を軽量化することが可能となり、この結果、ロータ製造装置60全体の生産設備を簡素化することができる。
また、ロータ10(ボス部14)及び回転軸138を中心として軸対称に一対の爪部材144、146が配置されているので、ロータコア12全体を略均一に加圧保持することができ、ロータ10を良好なバランスで把持することが可能となる。
また、容積算出機構100により磁石40が収納された収納孔38内の空間の容積(容量)を予め測定し、測定した前記容積に応じた量の樹脂42を樹脂注入装置120にて収納孔38に注入することにより、樹脂42の注入量が不足したり、あるいは、ロータコア12から樹脂42が漏出することを確実に防止することができる。
さらに、受台移動手段140により受台136及び回転軸138が回転可能であるため、ロータコア12に複数の収納孔38が形成され且つ上抑え板34に複数の注入孔48が形成されている場合であっても、各収納孔38に対して効率よく樹脂42を充填することができる。また、受台136を回転させることが可能であるため、孔部304と各注入孔48との位置合わせが一層容易となる。
さらにまた、爪部材進退手段148は、一対の爪部材144、146をロータ10の径方向(水平方向)に進退させ且つ軸方向(上下方向)に進退させることができるので、一対の爪部材144、146による上抑え板34、ロータコア12及び下抑え板36の把持状態の設定及び解除(上抑え板34、ロータコア12及び下抑え板36に対する一対の爪部材144、146の開閉)を容易に行うことができる。また、一対の爪部材144、146による前記径方向及び前記軸方向への進退と、受台136の昇降及び回転とによって、孔部304と注入孔48との位置合わせや、収納孔38及び注入孔48が複数形成されている場合での樹脂42の注入を、効率よく行うことが可能となる。
また、高周波加熱装置330により収納孔38に樹脂42が充填されたロータ10を加熱して、該樹脂42を硬化させることにより、短時間でロータ10を製造することができる。
本実施形態は、上述した説明に限定されるものではなく、種々の構成に変更することが可能である。例えば、図14に示すように、一対の爪部材144、146のうち孔部304が形成された爪部材144を、樹脂注入ノズル126のノズル先端部246が挿通する爪部材とし、他の一対の爪部材144、146のうち、爪部材144の孔部304は、容積測定ノズル66が挿通する孔部としてもよい。これにより、前記所定位置において、磁石40が収納された収納孔38内の空間の容積の測定と、樹脂42の注入とを連続して行うことが可能となるので、ロータ10の生産効率をさらに向上させることができる。
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。