本明細書において、各図面は理解を容易するために、また作図を容易にするため、省略および拡大あるいは縮小した箇所がある。また、同一番号または、記号等を付した箇所は同一もしくは類似の形態もしくは材料あるいは機能もしくは動作を有する。
本明細書では、駆動用トランジスタ11a、スイッチング用トランジスタ11bなどは薄膜トランジスタとして説明するが、これに限定するものではない。薄膜ダイオード(TFD)、リングダイオードなどでも構成することができる。また、薄膜素子に限定するものではない。また、シリコンウエハに形成したトランジスタでもよい。もちろん、トランジスタとは、FET、MOS−FET、MOSトランジスタ、バイポーラトランジスタでもよい。その他、ダイオード、バリスタ、サイリスタ、リングダイオード、ホトダオード、ホトトランジスタ、PLZT素子などでもよいことは言うまでもない。
本発明における定電流Iwとは、所定値に設定した電流あるいは制御した電流の意味であり、必ずしも定電流に限定するものではない。つまり、所定値の電流の意味である。定電流発生回路は、電流階調回路154と兼用してもよいし、別途定電流発生回路を設けてもよい。また、定電流Iwをソース信号線18に流し、前記ソース信号線18の電位を測定あるいは取得し、測定あるいは取得した電位をデータとしてメモリなどの記憶手段に保持させる時は、画像表示には定電流発生回路は必要ない。つまり、EL表示装置の一部ではない。
電圧プログラム方式は、画素のトランジスタの特性補償が不十分であるという欠点を有していた。しかし、本発明は、画素のトランジスタに定電流を印加するという電流プログラム方式を実施し、トランジスタのゲート端子電位を測定することにより、電流プログラム方式の利点であるトランジスタの特性補償能力を発揮させる。
ソースドライバ回路(IC)14は、単なるドライバ機能だけでなく、電源回路(チャージポンプ回路、DCDCコンバータ回路)、バッファ回路(シフトレジスタなどの回路を含む)、レベルシフタ回路、データ変換回路、ラッチ回路、コマンドデコーダ、アドレス変換回路、画像メモリなどを内蔵させてもよい。ソースドライバ回路14は、アレイ基板30にポリシリコン技術で形成してもよい。
アレイ基板30はガラス基板として説明をするが、シリコンウエハで形成してもよい。また、アレイ基板30は、金属基板、シリコンなどの半導体基板、セラミック基板、プラスティックシート(板)などを使用してよい。
本発明の表示パネルなどを構成するトランジスタ11、ゲートドライバ回路12、ソースドライバ回路(IC)14などは、ガラス基板などに形成し、転写技術により他の基板(プラスチックシート)に移し変えて構成または形成したものでもよいことは言うまでもない。
まず、本発明のEL表示装置の画素16の構造と動作、ソースドライバ回路14などについて説明をする。
図1は、本発明のEL表示装置の画素16の構成図である。1画素内に4つのトランジスタ(TFT)11(11a、11b、11c、11d)を有している。駆動用トランジスタ11aのゲート端子は、トランジスタ11bのソース端子に接続されている。トランジスタ11bおよびトランジスタ11cのゲート端子は、ゲート信号線17aに接続されている。トランジスタ11bのドレイン端子は、トランジスタ11cのソース端子ならびにトランジスタ11dのソース端子に接続され、トランジスタ11cのドレイン端子は、ソース信号線18に接続されている。トランジスタ11dのゲート端子はゲート信号線17bに接続され、トランジスタ11dのドレイン端子はEL素子15のアノード電極(端子)に接続されている。
図1の画素構成では、トランジスタ11b、11cのゲート端子は、ゲート信号線17aに接続されている。トランジスタ11b、11cは、ゲート信号線17aに印加されたオンオフ制御信号によりオン(クローズ)、オフ(オープン)制御される。トランジスタ11dのゲート端子は、ゲート信号線17bに接続されている。トランジスタ11dは、ゲート信号線17bに印加されたオンオフ制御信号によりオン(クローズ)、オフ(オープン)制御される。
ゲートドライバ12(図3では、ゲートドライバ回路12a、12b)は、ゲート信号線17a、17bを制御する。図3に図示するように、表示画面34の左端にゲートドライバ回路12aを形成または配置し、右端にゲートドライバ回路12bを形成または配置してもよい。ゲートドライバ回路12aはゲート信号線17aを制御し、ゲートドライバ回路12bはゲート信号線17bを制御する。
図1に図示する有機ELの画素構成では、第1のトランジスタ11bは、画素を選択するためのスイッチング用トランジスタとして機能させる。また、第2のトランジスタ11aは、EL素子15に電流を供給するための駆動用トランジスタとして機能させている。
ゲートドライバ12に印加するクロックCLK信号(CLK1、CLK2)、スタート信号ST(ST1、ST2)などは、コントローラ回路801からソースドライバ回路14に印加される。クロックCLK信号、スタート信号は、ソースドライバ回路14でロジックレベルがレベルシフトされ、ゲートドライバ回路12に印加される。つまり、ゲートドライバ回路12に印加される信号は、ソースドライバ回路14から供給される。
ゲートドライバ回路12aが同時に選択するゲート信号線17aは、1ゲート信号線に限定されるものではない。複数の画素行を同時に選択してもよい。たとえば、2本のゲート信号線17aを同時に選択してもよい。つまり、2画素行を同時に選択する。
表示領域34には、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色の画素がマトリックス状に形成されている。RGBの画素は塗りわけ蒸着により形成する。なお、R、G、Bに限定されるものではない。単色でもよく、また、シアン、イエロー、マゼンダなどでもよく、RGBに加えて、白色(W)の4色などでもよい。R、G、B、Wの場合は、カラーフィルタにより形成する。
表示領域34は複数画面を有してもよい。たとえば、メイン画面とサブ画面である。メイン画面とサブ画面のゲートドライバ回路は独立して形成し、ソース信号線18を共通にする。また、ソースドライバ回路14もメイン画面とサブ画面を共通にする。
トランジスタのオン電流は単結晶で形成されたトランジスタであれば、比較的均一である。形成温度が450〜550度(摂氏)以下の低温ポリシリ技術で形成した低温多結晶トランジスタでは、そのしきい値のバラツキが±0.2V〜±0.5Vの範囲でバラツキがある。そのため、駆動用トランジスタ11aを流れるオン電流がこれに対応してばらつき、表示にムラが発生する。これらのムラは、しきい値電圧のバラツキのみならず、トランジスタの移動度、ゲート絶縁膜の厚みなどでも発生する。また、トランジスタ11の劣化によっても特性は変化する。
トランジスタの特性バラツキは、低温ポリシリコン技術で形成されたトランジスタに限定されるものではなく、プロセス温度が450度(摂氏)以上の高温ポリシリコン技術でも、固相成長(CGS)させた半導体膜を用いて形成したトランジスタでも発生する。その他、有機材料で形成した有機トランジスタでも発生する。アモルファスシリコントランジスタでも発生する。
本発明は、以上のすべての技術で形成されたトランジスタなどからなるEL表示装置あるいは表示パネルの構成もしくは駆動方法に適用できるものである。
図1などで示す本発明の表示パネルの画素16を構成するトランジスタ11は、p−チャンネルポリシリコン薄膜トランジスタに構成される。また、トランジスタ11b、11dは、デュアルゲート以上であるマルチゲート構造としている。
図1において、本発明の表示パネルの画素16を構成するトランジスタ11bは、トランジスタ11aのソース−ドレイン間のスイッチとして作用する。したがって、トランジスタ11bは、できるだけ低リーク電流特性が要求される。トランジスタ11bのゲートの構造をデュアルゲート構造以上のマルチゲート構造とすることにより低リーク電流特性を実現できる。
図1ではすべてのトランジスタはPチャンネルで構成している。PチャンネルはNチャンネルのトランジスタに比較してモビリティが低いが、耐圧が大きくまた劣化も発生しにくい。したがって、EL表示装置に採用することが好ましい。ただし、本発明はEL表示装置の画素、ドライバ回路などをPチャンネルで構成することのみに限定するものではない。これらをNチャンネルのみで構成してもよい。また、NチャンネルとPチャンネルの両方を用いて構成してもよい。
ただし、パネルを低コストで作製するためには、画素を構成するトランジスタ11をすべてPチャンネルで形成し、ゲートドライバ回路12もPチャンネルで形成することが好ましい。このようにアレイをPチャンネルのみのトランジスタで形成することにより、マスク枚数が5枚となり、低コスト化、高歩留まり化を実現できる。
図1のように画素16の駆動用トランジスタ11a、トランジスタ(11b、11c)がPチャンネルトランジスタの場合は、突き抜け電圧が発生する。これは、ゲート信号線17aの電位変動が、トランジスタ(11b、11c)のG−S容量(寄生容量)を介して、コンデンサ19の端子に突き抜けるためである。Pチャンネルトランジスタ11bがオフするときにはVGH電圧(トランジスタのオフ電圧)となる。そのため、コンデンサ19の端子電圧がアノード電圧Vdd側に少しシフトする。そのため、トランジスタ11aのゲート(G)端子電圧は上昇し、トランジスタ11aは電流を流さない方向に変化する。したがって、より黒表示となる、良好な黒表示を実現できる。
コンデンサ19などによる突き抜け電圧のシフト量は一定であり、また、VGH電圧(トランジスタのオフ電圧)、VGL電圧(トランジスタのオン電圧)が一定値であるからである。電流駆動方式(電流プログラム方式)では、低階調ではプログラム電流が小さくなり、ソース信号線18の寄生容量の充放電が困難である。突き抜け電圧の発生効果により、プログラム電流を低減(電流が流れない方向にトランジスタ11aのゲート電圧電位をシフトさせる)させる。したがって、ソース信号線18に印加するプログラム電流を比較的大きくでき、駆動用トランジスタ11aがEL素子15に流す電流はプログラム電流よりも小さくすることができる。結果的に、小さなプログラム電流(低階調領域のプログラム電流)を画素16に書き込むことができる。
突き抜け電圧は、画素16を選択するゲート信号線17aの振幅の大きさVg=VGH−VGLに依存する。電流駆動方式においては、この突き抜け電圧を有効に作用させることが重要である。本発明では、Vgの大きさを6(V)以上としている。また、アノード電圧Vdd、カソード電圧Vssとするとき、アノード電圧とカソード電圧の電位差Ve=Vdd−Vssは、Ve=Vg−0.5(V)以下となるようにしている。
なお、トランジスタがPチャンネルの場合は、VGHはトランジスタをオフ(オープン)させる電圧であり、VGLはトランジスタをオン(クローズ)させる電圧である。トランジスタがNチャンネルの場合は、VGLはトランジスタをオフ(オープン)させる電圧であり、VGHはトランジスタをオン(クローズ)させる電圧である。
本発明は、駆動用トランジスタ11a、トランジスタ11bなどをPチャンネルに限定するものではない。しかし、駆動用トランジスタ11a(カレントミラー回路の場合は、トランジスタ11b(図12などを参照のこと))の極性(PまたはN)とスイッチ用トランジスタ11b、11cの極性を一致させることが本発明の特徴である。もしくは、スイッチ用トランジスタ11b、11cがオフになる時、駆動用トランジスタ11aの電流が流れにくくなる方向に、電位シフトするようにトランジスタの極性、ゲート信号線12bの振幅変化方向が設定されていることが特徴である。
以上のように、本発明は、画素16の駆動用トランジスタ11aおよびスイッチングトランジスタ11bの両方をPチャンネルトランジスタで形成することにより黒表示(黒および低階調範囲)を良好にできるという特徴ある効果を発揮する。なお、画素16の駆動用トランジスタ11aがNチャンネルトランジスタの場合は、スイッチングトランジスタ11bもNチャンネルトランジスタとする。つまり、駆動用トランジスタ11aとスイッチングトランジスタ11bの両方を同一極性のトランジスタで構成することが好ましい。
つぎに、図3を用いて、本発明のEL表示パネルで使用する電源(電圧)について説明をする。ゲートドライバ回路12は、主としてバッファ回路32とシフトレジスタ回路31から構成される。バッファ回路32はオフ電圧(VGH)とオン電圧(VGL)を電源電圧として使用する。一方、シフトレジスタ回路31はシフトレジスタの電源VGDDとグランド(GND)電圧を使用し、また、入力信号(CLK、UD、ST)の反転信号を発生させるためのVREF電圧を使用する。また、ソースドライバ回路(IC)14は、電源電圧Vsとグランド(GND)電圧を使用する。
ゲートドライバ回路12aはゲート信号線17aをオンオフ制御する。ゲートドライバ回路12bはゲート信号線17bをオンオフ制御する。説明を容易にするため、画素構成は図1を例にあげて説明をする。
各シフトレジスタ回路31は、正相と負相のクロック信号CLKx(CLKxP、CLKxN)、スタートパルス(STx)で制御される。なお、xは添え字である。その他、ゲート信号線の出力、非出力を制御するイネーブル(ENBL)信号、シフト方向を上下逆転するアップダウン(UD)信号を付加することが好ましい。他に、スタートパルスがシフトレジスタ回路31にシフトされ、そして出力されていることを確認する出力端子などを設けることが好ましい。
シフトレジスタ回路31のシフトタイミングはコントローラ回路(図示せず)からの制御信号で制御される。また、外部データのレベルシフトを行うレベルシフト回路31を内蔵する。なお、クロック信号は正相のみとしてもよい。正相のみのクロック信号とすることにより信号線数が削減でき、狭額縁化を実現できる。
シフトレジスタ回路31のシフトタイミングはコントロールIC(図示せず)からの制御信号で制御される。また、ゲートドライバ回路12は、外部データのレベルシフトを行うレベルシフト回路を内蔵する。なお、クロック信号は正相のみとしてもよい。正相のみのクロック信号とすることにより信号線数が削減でき、狭額縁化を実現できる。
シフトレジスタ回路31の駆動能力は小さいため、直接にはゲート信号線17を駆動することができない。そのため、シフトレジスタ回路31の出力とゲート信号線17を駆動する出力ゲート間には少なくとも2つ以上のインバータ回路(バッファ回路32に含まれる)が形成されている。
ここで理解を容易にするため、電圧値を規定する。まず、アノード電圧Vddを6(V)とし、カソード電圧Vssを−9(V)とする(図1などを参照のこと)。GND電圧は0(V)とし、ソースドライバ回路14のVs電圧はVdd電圧と同一の6(V)とする。VGH1とVGH2電圧は、Vddより0.5(V)以上3.0(V)以下とすることが好ましい。ここでは、VGH1=VGH2=8(V)とする。
ゲートドライバ回路12のVGL1は、図1のトランジスタ11cのオン抵抗を十分に小さくするため、低くする必要がある。ここでは、回路構成を容易にするため、VGH1と絶対値が逆であるVGL1=−8(V)にする。VGDD電圧はシフトレジスタ回路の電圧である。VGHよりも低く、GND電圧よりも高くする必要がある。ここでは、発生電圧回路を容易にし、回路コストを低減するため、VGH電圧の1/2の4(V)にする。一方で、VGL2電圧は、余り低くすると、トランジスタ11bのリークを発生する危険性があるため、VGDD電圧とVGL1電圧の中間電圧にすることが好ましい。ここでは、電圧回路を容易にし、回路コストを低減するため、VGDD電圧と絶対値が等しく、また反対極性である−4(V)にする。
本発明のEL表示装置の各部の電圧について図4を用いて説明をする。本発明では、カソード電圧Vssをグランド(GND)電圧とする。アノード電圧Vddとソースドライバ回路14の電源電圧Vdは共通にしている。つまり同一電圧とする。もちろん、カソード電圧Vssは、GND以外の電圧に設定することができるが、図4のように構成することにより、電源回路が簡略化でき、効率も向上する。
図4の本発明の電源回路方式では、アノード電圧Vddが上下変動すれば、ソースドライバ回路14の電源電圧Vdも同様に上下変動する。プリチャージ電圧Vpの最高電圧は、アノード電圧Vddと同一(一致)にし、最低電圧は、図4に図示するようにVminとする。したがって、プリチャージ電圧Vpは、アノード電圧Vddを基準としてグランド方向に電位をとる。Vmin電圧は、負のレギュレータで入力電圧をVddとグランド(GND)にすることにより容易に発生できる。なお、Vdd−Vminの値は、2V以上4V以下とすることが好ましい。プリチャージ電圧Vpは、VddとVmin電圧を刻み数(階調数)で分割して電子ボリウムを構成し、入力デジタルデータを前記電子ボリウムでアナログデータに変換して出力する。プリチャージ電圧Vpとは、プリチャージ電圧Vp電圧だけでなく、プログラム電圧も意味する。
ゲートドライバ回路12が出力するゲートオン電圧VGHは、図4に図示するようにアノード電圧Vddを基準(原点)にして正方向にとる。VGH−Vddは、0.5V以上2.5V以下にする。また、ゲートドライバ回路12が出力するゲートオフ電圧VGLは、図4に図示するようにグランド電圧(GND)を基準(原点)にして負方向にとる。GND−VGLは、0.5以上2.5V以下にする。VGLは、Vddを基準として発生してもよい。VGH、VGLはチャージポンプ回路で発生する。
画素16を選択するゲート信号線17aの振幅の大きさVg=VGH−VGLとするとき、本発明では、Vgの大きさを6(V)以上としている。また、アノード電圧Vdd、カソード電圧Vssとするとき、アノード電圧とカソード電圧の電位差Ve=Vdd−Vssは、Vg+2(V)以上としている。また、VGL電圧は、ポリシリコン技術により、アレイ基板30にチャージポンプ回路などを形成して発生させてもよい。また、アノード電圧を発生するDCDC(直流−直流)コンバータ回路には、入力部または出力部に突入電流制限回路を設けることが好ましい。
図4では、VGL1とVGL2(図3を参照のこと)を同一の電圧としたが、これに限定するものではなく、VGL1<VGL2の関係にすることが好ましい。つまり、VGL1の方がVGL2より電圧が低い。ただし、駆動用トランジスタ11aがPチャンネルの場合である。駆動用トランジスタ11aがNチャンネルの場合は、逆の関係にする。なお、VGL1は画素行を選択するゲートドライバ回路12aのオン電圧であり、VGL2は、トランジスタ11dを選択するゲートドライバ12bのオン電圧である。
VGL1をVGL2より小さくすることにより、ゲート信号線17aの振幅動作により、駆動用トランジスタ11aのゲート端子の突き抜け電圧が大きくなり、本発明の駆動方式と組み合わせることにより良好な黒表示を実現できるからである。たとえば、VGL1=−9(V)、VGL2=−3(V)が例示される。
駆動用トランジスタ11aが出力するプログラム電流の大きさを大きくするには、アノード電圧Vddを高くする必要がある。プログラム電流を大きくすれば、EL素子15は高輝度に発光するから、EL表示装置を高輝度表示することができる。高輝度表示はEL表示装置を屋外で使用するときに有効である。しかし、常時、アノード電圧Vddを高くするとEL表示装置で使用する消費電力が増大する。そのため、駆動用トランジスタ11aが大きなプログラム電流を出力する期間あるいは状態を極力少なくしたい。本発明では、高輝度表示が必要な場合に、アノード電圧Vddを高くする。また、低階調表示あるいは低点灯率のように、プログラム電流の書き込み不足が発生する場合に、図4に示すようにアノード電圧を高くする。
図4では、高輝度表示が必要な場合、低階調表示あるいは低点灯率のようにプログラム電流の書き込み不足が発生する場合に、アノード電圧Vddを高くするとして説明した。しかし、駆動方式としては、カソード電圧Vssを低下させる方式も考えられる。つまり、高輝度表示が必要な場合、低階調表示あるいは低点灯率のようにプログラム電流の書き込み不足が発生する場合に、カソード電圧Vssを低くする方式が例示される。また、高輝度表示が必要な場合、低階調表示あるいは低点灯率のようにプログラム電流の書き込み不足が発生する状態をアノード電圧Vddまたはカソード電圧Vssを通常状態とし、通常の輝度時あるいは、書き込み不足が発生してもよい場合に、アノード電圧Vddまたはカソード電圧を低くしてもよい。また、アノード電圧Vddとカソード電圧Vssの両方を変化させてもよい。
また、動画、静止画など表示画像の種類あるいは状態により、アノード電圧Vdd、カソード電圧Vssを変化させてもよい。また、外部照度の高低に対応してアノード電圧Vdd、カソード電圧Vssを変化させてもよい。外部照度が高い時は、アノード電圧Vddなどを高くし、照度が低い時は、アノード電圧Vddなどを低くする。照度の検出は、PINホトダイオードなどにより行う。また、パネル温度より、プログラム電圧またはプログラム電流を印加したときの書き込み状態が変化する場合がある。この場合も、アノード電圧Vddなどを変化すればよい。温度の検出はパネルの裏面あるいは無効領域(表示に有効な光が出射しない領域)に取り付けたサーミスタ、ポジスタで行う。アノード電圧Vdd、カソード電圧Vssの変化あるいは調整は、本発明は、表示輝度、プログラム電流の書き込み状態、表示状態、点灯率、外部照度などに対応させて、アノード電圧Vdd、カソード電圧Vssを変化あるいは調整する方式である。
以上のように表示装置で使用する電源電圧を発生あるいは制御することにより、アノード電圧Vddを変化させた時、同時にソースドライバ回路14の電源電圧、プリチャージ電圧VpのVmin、VGHも変化する。したがって、高輝度表示が必要な時に、アノード電圧Vddなどを変化させても、VGH、プリチャージ電圧Vpの相対値も同時に変化するので良好な画像表示を維持できる。また、図6、図9などで説明するN倍駆動、duty比駆動方式と組み合わせることも有効である。Nが大きいときに、アノード電圧Vddなどを高くする。
本発明では、点灯率に対応して図4で示すアノード電圧Vddなどを変化させる。点灯率が低い時は、アノード電圧Vddを定常値よりも高くし、また、基準電流を大きくすることにより、電流駆動における書き込み不足を改善する。また、図9、図10、図11などで説明するN倍駆動(非点灯領域挿入駆動)を実施し、階調に対する輝度は定常値と略同一に制御している。
図5は図1の動作の説明図である。図5(a)は、ソースドライバ回路14から定電流を供給し、駆動用トランジスタ11aから定電流Iwがソースドライバ回路14に向かって流れている状態を示している。駆動用トランジスタ11aが定電流Iwを流している時は、トランジスタ11b、11cがクローズ(オン)状態である。したがって、駆動用トランジスタ11aのゲート端子電位とソース信号線18の電位は同一である。
図5(b)は、駆動用トランジスタ11aからEL素子15に電流Ieを供給している状態を示している。つまり、EL素子15に電流を供給し、画像表示を行っている状態である。
以上の動作を表示画面34で図示すると、図6に図示するようになる。図6(a)の61は、表示画面34における、ある時刻での電流プログラムされている画素(行)(書き込み画素行)を示している。あるいは、Va、V0電圧を測定している画素行(画素)である。または、目標電圧Vcを書き込んでいる画素行(画素)である。
基本的には、定電流が0(A)の時のソース信号線18の電位をV0とし、定電流Ia(Iaは任意の値)の時のソース信号線18の電位をVaと呼ぶ。しかし、便宜的に、また、説明を容易にするため、映像信号の階調0に対応する電圧をV0とし、映像信号の階調aに対応する電圧をVaの意味で使用する場合もある。
画素(行)61は、非点灯(非表示画素(行))とする。非点灯にするには、ゲートドライバ回路12bを制御し、画素16のトランジスタ11dをオープン状態にすればよい。トランジスタ11dをオープンにするためには、ゲート信号線17bにオフ電圧を印加すればよい。ゲートドライバ回路12がゲート信号線17にオフ電圧を印加する位置は、水平同期信号に同期してシフトさせる。
非点灯(非表示)とは、EL素子15に流れていない状態をいう。もしくは、一定以内の小さな電流が流れている状態をいう。つまり、暗い表示状態である。したがって、非点灯画素行とは、該当画素行のEL素子15に電流が流れていない状態あるいは比較的暗い表示状態を意味する。
表示画面34の非表示(非点灯)の範囲を非表示領域62と呼ぶ。表示画面34の表示(点灯)の範囲を表示(点灯)領域63と呼ぶ。表示領域63の画素16のスイッチング用トランジスタ11dはクローズし、EL素子15に電流が流れている。ただし、黒表示の画像表示ではEL素子15に電流が流れないのは当然である。スイッチング用トランジスタ11dがオープンの領域は、非表示領域62となる。
図6、図9では、表示画面34に非表示領域62と、表示領域63を発生させる。このように表示する駆動方法をduty比駆動方式と呼ぶ。
本発明は、表示領域63と非表示領域62との比を変化させる、あるいは表示画面34の面積に対し非表示領域62の面積を変化させる、あるいは表示状態の画素数を増減することにより、画面の輝度あるいは明るさを調整することを特徴とする。
本発明は、画面34に占める表示領域63を複数に分割できる。また、表示領域63または非表示領域62の分割数を動画表示と静止画表示で異ならせる。画面34に占める非表示領域62または表示領域63が、帯状となって画面の上から下方向または画面の下から上方向に移動することを特徴とする。
通常、NTSCのフレームレートは60Hz(1秒間に60枚、1画面を書き換える時間は1/60秒)、PALは50Hz(1秒間に50枚)である。図6、図9のように、本発明のduty比駆動を実施する場合は、フレームレートを1.2倍以上2.5倍以下に変換して表示する。つまり、入力フレームレートが60Hzの場合は、60×1.2=72Hz以上、60×2.5=150Hz以下にする。好ましくは、1.25倍の75Hz以上2倍の120Hz以下とする。あるいは、1.25倍の75Hz、1.5倍の90Hz、2倍の120Hzのいずれかを選択する。
入力信号は、画像メモリに蓄積し、フレームレート変換を行う。もしくは、入力信号のフレームレートを72Hz以上150Hz以下で本発明の表示装置に入力する。以上のフレームレートに関する事項は、本発明の他の実施例においても適用される。
図1の画素構成の場合は、図5(a)に図示するように、プログラム電流(定電流)Iwがソース信号線18に流れる。このプログラム電流Iwが駆動用トランジスタ11aを流れ、プログラム電流Iwを流す電流が保持されるように、コンデンサ19に電圧設定(プログラム)される。または、駆動用トランジスタ11aのゲート端子にプログラム電流Iwを流す電流が流れるようにコンデンサ19に電圧が保持される。このとき、トランジスタ11dはオープン状態(オフ状態)である。
EL素子15に電流を流す期間は図5(b)のように、トランジスタ11c、11bがオフし、トランジスタ11dが動作する。つまり、ゲート信号線17aにオフ電圧(VGH)が印加され、トランジスタ11b、11cがオフする。一方、ゲート信号線17bにオン電圧(VGL)が印加され、トランジスタ11dがオンする。
タイミングチャートを図7に図示する。図7において、選択された画素行の画素16では、ゲート信号線17aにオン電圧(VGL)が印加されている時(図7(a)を参照)には、ゲート信号線17bにはオフ電圧(VGH)が印加されている(図7(b)を参照)。この期間は、選択された画素行のEL素子15には電流が流れていない(非点灯状態)。選択期間は1水平走査期間(1H)としている。
ゲート信号線17aにオン電圧が印加されていない(選択されていない)画素行で、点灯状態の画素行では、ゲート信号線17bにはオン電圧(VGL)が印加されている。この画素行のEL素子15には電流が流れ、EL素子15が発光している。
ゲート信号線17aにオン電圧が印加されていない(選択されていない)画素行で、非点灯状態の画素行では、ゲート信号線17bにはオフ電圧(VGH)が印加されている。この画素行のEL素子15には電流が流れず、EL素子15は非発光状態である。
以上の動作を図示すると、図6のようになる。図6(a)の61は、表示画面34における、ある時刻での電流プログラムされている画素(行)(書き込み画素行)を示している。画素(行)61は、非点灯(非表示画素(行))とする。また、スイッチング用トランジスタ11dがクローズし、EL素子15に電流が流れている(ただし、黒表示は流れない)領域は、表示領域63となる。また、スイッチング用トランジスタ11dがオープンの領域は、非表示領域62となる。
図1の画素構成の場合は、図5(a)に示すように、電流Iwが駆動用トランジスタ11aを流れ、プログラム電流Iwを流す電流が保持されるように、コンデンサ19に電圧設定(プログラム)される。または、駆動用トランジスタ11aのゲート端子にプログラム電流Iwを流す電流が流れるように電圧が保持される。このとき、トランジスタ11dはオープン状態(オフ状態)である。
次に、EL素子15に電流を流す期間は図5(b)のように、トランジスタ11c、11bがオフし、トランジスタ11dが動作する。つまり、ゲート信号線17aにオフ電圧(VGH)が印加され、トランジスタ11b、11cがオフする。一方、ゲート信号線17bにオン電圧(VGL)が印加され、トランジスタ11dがオンする。
Va電圧を測定あるいは取得する際に、ソース信号線18の充放電を高速に行う場合、また、画像表示に黒挿入(非表示領域挿入)を行い、動画視認性を向上させる場合は、定電流の大きさをN倍にする。定電流の大きさをN倍にすることによりEL素子15に流れる電流もN倍となる。
Vx(xは階調番号)を従来と同様に1倍とする場合は、N倍の定電流を書き込み効果によりソース信号線18の充放電を高速にできるという効果が発揮される。この場合は、基準となるVa電圧がすでにN倍のEL電流となる電圧であるから、加減算するVx電圧もこの点を考慮して設定する必要がある。目標電圧Vcも同様である。
以下、説明を容易にするため、Va電圧を測定する際の定電流IwもN倍(基準となる電圧Vaも駆動用トランジスタ11aがN倍の電流を流すように設定される。)とし、Va、V0に加算されるVxも駆動用トランジスタ11aがEL素子15にN倍の電流を流すように設定されるとする。また、1倍の電流の時にEL表示装置が表示する表示画面34の輝度はBとし、N倍の電流が流れる時は発光部の輝度は、B×Nの輝度で表示されるものとする。なお、説明は、Nは1以上として説明するが、Nが1未満であっても、本発明は適用できることは言うまでもない。
図6、図9では、表示画面34の表示領域63の画素16をN倍の輝度で発光させる。もしくは、N倍の電流を流す。このように、表示する駆動方法をN倍駆動方式と呼ぶ。
EL素子15に流す定電流あるいはプログラム電流Iwは、表示画面34の平均(所定)輝度Bを得るのに必要な電流のN倍とする。したがって、EL素子15は、所定のN倍の輝度(N・B)で点灯する。点灯期間は1F/Nとする。1Fとは1フィールド(フレーム)である。なお、説明を容易にするため、1フィールド(フレーム)にブランキング期間はないとして説明をする。実用上は、ブランキング期間があるため、正確にはN・Bとはならない。つまり、1Fの1/Nの期間、N倍の輝度(N・B)でEL素子15が発光する。したがって、1Fを平均した表示パネルの表示輝度は、(N・B)×(1/N)=B(所定輝度)となる。
なお、Nはいずれの値でもよい。ただし、Nがあまりにも大きいとEL素子15に流れる瞬時電流が大きいため、Nは10以下にすることが好ましい。もちろん、N=1とし、書き込み画素行181以外を表示(点灯)領域63としてもよいことは言うまでもない。この場合は、EL素子15に流す電流Iwは、表示画面34の平均(所定)輝度Bを得るのに必要な電流とする。したがって、EL素子15は、所定の輝度Bで点灯(発光)する。
また、発光輝度N・Bとなるように定電流あるいはプログラム電流Iwを流す理由の1つは、ソース信号線18の寄生容量の影響を小さくするためである。大きな電流を流すことにより、寄生容量の電荷を短期間で充放電することができるようになる。
以上の実施例は、主としてシリコンチップからなるICでソースドライバ回路(IC)14を構成するものであった。しかし、本発明はこれに限定するものではなく、図8などに図示するように、アレイ基板30に直接にポリシリコン技術(CGS技術、低温ポリシリコン技術、高温ポリシリコン技術など)を用いて出力段回路81など(ポリシリコン電流保持回路82)を形成または構成してもよい。
図8は、R、G、Bの出力段回路81(R用は81R、G用は81G、B用は81B)と、RGBの出力段回路81を選択するスイッチSがポリシリコン技術で形成(構成)されている。スイッチSは1水平走査期間(1H期間)を時分割して動作する。基本的には、スイッチSは、1Hの1/3期間がRの出力段回路81Rに接続され、1Hの1/3期間がGの出力段回路81Gに接続され、残りの1Hの1/3期間がBの出力段回路81Bに接続される。
図8に図示するように、シフトレジスタ回路、サンプリング回路などを有するソースドライバ(回路)14は、出力端子83でソース信号線18と接続される。ポリシリコンからなるスイッチSが時分割で切り換えられ、出力段回路81R、81G、81Bに接続される。出力段回路81(81R、81G、81B)はRGBの映像データからなる電流が保持される。なお、図8ではポリシリコン電流保持回路82は1段分しか図示していないが、実際には2段構成されていることは言うまでもない。
図8では、スイッチSは、1Hの1/3期間がRの出力段回路81Rに接続され、1Hの1/3期間がGの出力段回路81Gに接続され、残りの1Hの1/3期間がBの出力段回路81Bに接続されると説明したが本発明はこれに限定するものではない。R、G、Bを選択する期間は異なっていてもよい。これは、R、G、Bのプログラム電流Iwの大きさが異なっているためである。R、G、BでEL素子15の効率が異なるため、R、G、Bでプログラム電流の大きさが異なる。プログラム電流の大きさが小さいと、ソース信号線18の寄生容量の影響を受けやすいため、プログラム電流の印加期間を長くし、十分にソース信号線18の寄生容量の充放電期間を確保する必要がある。一方で、ソース信号線18の寄生容量の大きさは、R、G、Bで同一であることが多い。
図6では表示領域63を1つにした方式である。しかし、本発明はこれに限定するものではない。たとえば、図9に図示するように、表示領域63と非表示領域62とを複数に分散させてもよい。
また、図9に図示するように、間欠する間隔(非表示領域62/表示領域63)は等間隔に限定するものではない。たとえば、ランダムでもよい(全体として、表示期間もしくは非表示期間が所定値(一定割合)となればよい)。また、RGBで異なっていてもよい。つまり、白(ホワイト)バランスが最適になるように、R、G、B表示期間もしくは非表示期間が所定値(一定割合)となるように調整(設定)すればよい。
非表示領域62とは、ある時刻において非点灯EL素子15の画素16領域である。表示領域63とは、ある時刻において点灯EL素子15の画素16領域である。非表示領域62、表示領域63は、水平同期信号に同期して、1画素行ずつ位置がシフトしていく。
本発明の駆動方法では、図10に図示するように間欠表示実施することができる。しかし、間欠表示を実施するにあたり、トランジスタ11dは最大でも1H周期でオンオフ制御するだけでよい。したがって、回路のメインクロックは従来と変わらないため、回路の消費電力が増加することもない。液晶表示パネルでは、間欠表示を実現するために間欠表示の期間、映像データを蓄積するため画像メモリが必要である。本発明は、画像データは各画素16のコンデンサ19に保持されている。そのため、本発明の駆動方法では間欠表示を実施するための画像メモリは不要である。
本発明の駆動方法はスイッチングのトランジスタ11d(図1などを参照のこと)などをオンオフさせるだけでEL素子15に流す電流を制御する。つまり、EL素子15に流れる電流Iwをオフしても、画像データはそのまま画素16のコンデンサ19に保持されている。したがって、次のタイミングでトランジスタ11dなどをオンさせ、EL素子15に電流を流せば、その流れる電流は前に流れていた電流値と同一である。
本発明では黒挿入(黒表示などの間欠表示)を実現する際においても、回路のメインクロックをあげる必要がない。また、時間軸伸張を実施する必要もないための画像メモリも不要である。また、有機EL素子15は電流を印加してから発光するまでの時間が短く、高速に応答する。そのため、動画表示に適し、さらに間欠表示を実施することにより、従来のデータ保持型の表示パネル(液晶表示パネル、EL表示パネルなど)の問題である動画表示の問題を解決できる。
さらに、大型の表示装置でソース信号線18の配線長が長くなり、ソース信号線18の寄生容量が大きくなる場合は、N値(Nは1よりも大きな値)を大きくすることにより対応できる。ソース信号線18に印加するプログラム電流値をN倍にした場合、ゲート信号線17b(トランジスタ11d)の導通期間を1F/Nとすればよい。これによりテレビ、モニターなどの大型表示装置などにも適用が可能である。
1つの本発明は、電流駆動の画素構成のEL表示パネルにおいて、各画素の駆動用トランジスタ11aに定電流を流し、または、定電流(Iw=0)が流れないようにして、Va電圧またはV0電圧を測定あるいは取得する。測定あるいは取得したVa電圧またはV0電圧をA/D変換してメモリなどに格納する。画像表示時に、このVa電圧またはV0電圧を読み出しD/A変換し、プリチャージ電圧Vpとしてソース信号線18に印加する。プリチャージ電圧Vpの印加後に、必要に応じてプログラム電流を印加するものである。
1つの本発明は、各画素の駆動用トランジスタ11aに定電流を印加し、または、電流が流れないようにして、Va電圧またはV0電圧を測定する。測定した電圧はA/D変換してメモリなどに格納する。画像表示時に、このVa電圧またはV0電圧を読み出しD/A変換し、このVa電圧またはV0電圧を基準として階調電圧Vx(xは階調番号)を加算し、目標電圧Vcを発生する方式である。
なお、本発明はこれに限定するものでない。たとえば、電圧Vaを測定あるいは取得する際、印加する定電流Iwを最大階調Iwmに該当する電流としてもよい。
最大階調に該当する定電流Iwmを駆動用トランジスタ11aに印加することにより、駆動用トランジスタ11aは最大階調の電流が流れるように、そのゲート端子に電圧Vamが発生する。このVamを基準にし、階調電圧Vxを減算して目標電圧Vcを発生させる。発生させた電圧Vcmを駆動用トランジスタ11aのゲート端子に印加する。
以上のように、本発明の重要な駆動方式の重要なあるいは特徴ある動作は、電流駆動方式の画素を流れる電流をソース信号線18に取り出す、もしくはソース信号線18の電位を測定することである。駆動用トランジスタ11aもしくは駆動用トランジスタ11aとカレントミラー結合されたトランジスタ11bのドレイン端子またはソース端子が、直流的にソース信号線18に結線されている構成あるいは配置、つまり、駆動用トランジスタ11(11a、11b)である必要がある。EL素子15に電流を流すとは、EL素子15に電流を供給する場合と、EL素子15から前記駆動用トランジスタ11に流れ込む場合の両方を含む。
本発明は、Va、V0、Vamを基準として駆動用トランジスタ11に略1倍の電流Ieを流す実施例であった。しかし、本発明はこれに限定するものではない。たとえば、「1F/Nの期間の間だけ、EL素子15に電流を流し、他の期間(1F(N−1)/N)は電流を流さない」駆動方式では、定電流をN倍に設定してもよいことは言うまでもない。つまり、N倍の定電流(リセット電流)に対応するVa電圧を求め、この電圧Vaを基準にして目標電圧Vcを発生させる。なお、N倍の定電流としたが、これに限定するものではない。Nは1以上であればいずれの値でもよい。
この方式は、ソース信号線18の寄生容量が大きい場合に特に有効である。また、EL表示装置が10インチ以上と大きい場合に有効である。ソース信号線18の寄生容量が大きい場合、リセット電流(プログラム電流Iw)をN倍にすること(少なくも1倍以上とすること)により、定電流Iwの「書き込み不足」を改善することができる。
本発明の駆動方法では、図11に図示するように赤(R)、緑(G)、青(B)ごとに間欠表示実施することができる。しかし、間欠表示を実施するにあたり、トランジスタ11dは最大でも1H周期でオンオフ制御するだけでよい。したがって、回路のメインクロックは間欠表示を行わない駆動方式と同じであるため、回路の消費電力が増加することもない。液晶表示パネルでは、間欠表示を実現するために画像メモリが必要である。
本発明の画素構成は、図1の構成を例示して説明するが、これに限定するものではない。たとえば、図12の画素構成であってもよい。図12の画素構成は、電流プログラム時は、トランジスタ11c、11dがオン(クローズ)する。ソースドライバ回路14がプログラム電流(定電流)Iwを出力する。駆動用トランジスタ11bとカレントミラー回路を構成するトランジスタ11aにプログラム電流(定電流)Iwが流れ、プログラム電流に対応した電圧がコンデンサ19に保持される。なお、トランジスタ11eはゲート信号線17bに印加した制御信号(オンオフ信号)により、オンオフ(クローズオープン)制御されて図11、図9などで説明した間欠制御などを実現する。
図12の実施例は、トランジスタ11aにプログラム電流Iwを流す。図1のようにEL素子15に電流Ieを印加するトランジスタ11bにプログラム電流(定電流)Iwを流す実施例ではない。図12の画素構成は、トランジスタ11aとトランジスタ11bとがカレントミラー回路を構成し、ミラー比が1の場合は、トランジスタ11aを流れる電流Iwとトランジスタ11bを流れる電流Ieが等しい。しかし、トランジスタ11aにプログラム電流Iwを流し、トランジスタ11bの特性補償をするという点では、図1の画素構成と同一である。
本発明の技術的思想は、ソースドライバ回路14などからプログラム電流または定電流Iwなどを流し、直接的に駆動用トランジスタ11aまたは間接的にEL素子15に電流を流す駆動用トランジスタ11bの特性補償を行う点にある。定電流Iwの印加により、駆動用トランジスタ11の特性がゲート端子電位(=ソース信号線18の電位)として出力されるからである。この出力された電圧を変数として用いて、階調電流あるいは階調電圧を求める。したがって、図12の画素構成であっても、本発明の駆動方式を実施することができるから、図12の画素構成は、本発明の技術的範疇である。なお、図12の画素構成では、トランジスタ11eを省略してもよい。Va測定時などに定電流Iwが分流されてEL素子15に流れることがないからである。
図1、図12などの画素構成は、トランジスタ11dによりEL素子15に流す電流をトランジスタ11dにより制御するものであった。本発明はこれに限定するものではない。たとえば、図13に図示する画素構成でも本発明を適用できる。図13は、トランジスタ11dがなくともEL素子15に印加する電流をオンオフ制御することができる。
図13では、ゲートドライバ回路12bは、ゲート信号線17bを制御し、ゲート信号線17bの電位は、Vdd電圧と、それより低い電圧であるEL素子15に電流が流れない電圧Vgで駆動される。つまり、ゲート信号線17bには、Vdd電圧とVg電圧が出力される。ゲート信号線17bにVdd電圧が印加されたときは、EL素子15に電流が流れ、ゲート信号線17bにVg電圧が印加されたときには、EL素子15には電流が流れない。駆動用トランジスタ11aに定電流Iwを印加する点において、図13でも図1と同様である。したがって、図13のように、ゲートドライバ12bを有さない構成も本発明の技術的範疇である。同様に、図1の画素構成の変形である図14にも適用できることはいうまでもない。スイッチング用トランジスタ11dをオンオフ制御する。
駆動用トランジスタ11a、11bは1つのトランジスタに限定するものではなく、複数個で構成してもよい。たとえば、5つのトランジスタ11aを並列あるいは直列に形成する構成が例示される。また、スイッチング用トランジスタ11c、11dなどを複数個並列にあるいは直列に形成してもよい。
以下、ソースドライバ回路14と、定電流あるいはプログラム電流Iwの電流出力回路について説明をする。図15は、本発明のソースドライバ回路14の構成の説明図である。本発明のソースドライバ回路14は、赤(R)、緑(G)、青(B)に対応する基準電流回路153(153R,153G、153B)を有している。
基準電流回路153は、抵抗R1(R1r、R1g、R1b)とオペアンプ151a、トランジスタ167aから構成される。抵抗R1(R1r、R1g、R1b)の値は、R、G、Bの階調電流に対応して独立に設定あるいは調整できるように構成されている。抵抗R1は、ソースドライバ回路14の外部に配置された外付け抵抗である。
オペアンプの+端子cには、電子ボリウム152により、電圧Viが印加されている。電圧Viは、安定した基準電圧Vsを抵抗Rで分圧し、スイッチS(S1、S2、S3、・・・・)で分圧して発生した電圧を選択することにより得られる。
電子ボリウム152は、外部信号でスイッチSの制御することにより出力電圧Viを変化させるものである。したがって、外部からの制御信号により、出力電圧を変化させる電圧出力回路と考えてもよい。また、本発明はこれに限定するものではなく、内部インピーダンスを変化させる電子抵抗であってもよい。また、電圧だけでなく、出力電流を変化させるものであってもよい。たとえば、図15において、外部からの制御信号により、基準電流Icを直接発生あるいは供給するものであってもよい。これらの概念も電子ボリウム152の技術的思想に含まれる。
基準電流Icは(Vs−Vi)/R1となる。RGBの基準電流Ic(Icr、Icg、Icb)は、それぞれ独立した基準電流回路153で調整あるいは可変される。可変は、RGBごとに形成された電子ボリウムで実施される。したがって、電子ボリウム152に印加される制御信号により、電子ボリウム152から出力される電圧Viの値が変化する。電圧ViによりRGBの基準電流の大きさが変化し、端子83から出力される階調電流(プログラム電流)Iwの大きさが比例して変化する。
発生した基準電流Ic(Icr、Icg、Icb)は、トランジスタ167aから167bに印加される。トランジスタ167bとトランジスタ群165cとはカレントミラー回路を構成している。なお、図15において、トランジスタ167b1は、1つのトランジスタで構成しているように図示しているが、実際には、トランジスタ群165cと同様に、単位トランジスタ164の集合(トランジスタ群)として形成している。
ソースドライバ回路14が出力する階調数をKとし、単位トランジスタ164の大きさをSt(平方μm)としたとき、40 ≦ K/√(St) かつ St ≦ 300を満足するように、単位トランジスタ164が形成されている。
トランジスタ群165cからのプログラム電流Iwは出力端子83より出力される。トランジスタ群165cの各単位トランジスタ164のゲート端子およびトランジスタ167bのゲート端子は、ゲート配線163で接続されている。
トランジスタ群165cは、図16に図示するように、単位トランジスタ164の集合として構成される。理解を容易にするため、映像データとプログラム電流は比例あるいは相関の関係で変換されるとして説明する。映像信号によりスイッチ161が選択され、スイッチ161の選択により、単位トランジスタ164の集合としてのプログラム電流Iwが発生する。したがって、映像信号をプログラム電流Iwに変換できる。本発明は単位トランジスタ164の単位電流が、映像データ1の大きさに該当するように構成されている。
各端子83の出力電流Iwがバラツキなく発生するには、複数の単位トランジスタ164を動作させる必要がある。各出力端子83で出力電流Iwのバラツキを少なくするためには、電流を発生する単位トランジスタ164が占める面積を一定以上の大きさにする必要がある。したがって、定電流Iwを各端子83でバラツキなく(精度よく)出力できるようにするには、出力電流源を複数の単位トランジスタ164で形成し、かつ、所定の面積以上に構成する必要がある。本発明では、図15、図16は階調電流回路として、説明しているが、単位トランジスタ164の個数を固定すれば、所定の定電流Iwとなる。したがって、トランジスタ群165は定電流Iwの発生部であり、階調電流回路154である。もちろん、図15の定電流回路153などを使用してもよい。
単位電流とは、基準電流Icの大きさに対応して単位トランジスタ164が出力する1単位のプログラム電流の大きさである。基準電流Icが変化すると、単位トランジスタ164が出力する単位電流も比例して変化する。トランジスタ167bと単位トランジスタ164がカレントミラー回路を構成しているからである。
図15のトランジスタ167b1、図16のトランジスタ167bは、本発明の別のトランジスタの一例にあたる。なお、トランジスタ167bはトランジスタ群165bを構成してもよい。図20にトランジスタ群165bとして図示している。
単位トランジスタ164とは、1単位あるいは最小単位のプログラム電流Iwを出力するトランジスタもしくは電流源である。つまり、単位トランジスタ164=単位電流源である。また、複数の単位トランジスタ164が集合し、階調に対応したプログラム電流を出力する構成あるいは部分をトランジスタ群(電流出力回路)165cと呼ぶ。
単位電流の大きさは基準電流回路153が出力する基準電流Icの大きさあるいは強さを調整することにより可変することができる。基準電流Icの調整は、ソースドライバ回路14内に内蔵した電子ボリウム152などで行う。基準電流Icを発生する基準電流回路153はR、G、B回路ごとに設けられている。
RGBの各トランジスタ群165cは単位トランジスタ164の集合で構成されており、単位トランジスタ164の出力電流(単位プログラム電流)の大きさは、基準電流Icの大きさで調整できる。基準電流Icの大きさを調整すれば、RGBごとに各階調のプログラム電流(定電流)Iwの大きさを変更あるいは可変することができる。したがって、RGBの単位トランジスタ164の特性が同一であるような理想的状態では、RGBの基準電流回路153の基準電流Icの大きさの比率を変化させることにより、EL表示装置の表示画像のホワイトバランスをとることができる。
以下、説明を容易にする、また作図を容易にするため、ソースドライバ回路(IC)14のトランジスタ群165cは6ビットであるとして説明をする。図16において、各単位トランジスタ164は、定電流データ(D0〜D5)ごとに配置される。D0ビットには1個の単位トランジスタ164が配置される。D1ビットには2個の単位トランジスタ164が配置される。D2ビットには4個の単位トランジスタ164が配置され、D3ビットには8個の単位トランジスタ164が配置され、D4ビットには16個の単位トランジスタ164が配置される。同様に、D5ビットには32個の単位トランジスタ164が配置されている。
各ビットの単位トランジスタ164の出力電流が出力端子83に出力されるか否かは、アナログスイッチ161(161a〜161f)によるオンオフ制御で実現される。アナログスイッチ161a〜161fは定電流Iwの制御信号の各ビット(一例として6ビット)に対応する。D0ビットに対応するスイッチ161aが閉じると、1単位電流が出力端子83から出力(入力)される。出力端子83には、ソース信号線18が接続されている。同様に、D1ビットに対応するスイッチ161bが閉じると、2単位電流が出力端子83から出力(入力)される。
同様に、D2ビットに対応するスイッチ161cが閉じると、4単位電流が出力端子83から出力(入力)される。D3ビットに対応するスイッチ161dが閉じると、8単位電流が出力端子83から出力(入力)される。D4ビットに対応するスイッチ161eが閉じると、16単位電流が出力端子83から出力(入力)される。D5ビットに対応するスイッチ161fが閉じると、32単位電流が出力端子83から出力(入力)される。
以上のように、定電流の制御信号のビットに対応して、デジタル的にスイッチ161がクローズまたはオープンし、単位電流の総和(プログラム電流Iw)が出力端子83から出力される。
プログラム電流Iwは内部配線162を流れる。内部配線162の電位Vwは、ソース信号線18の電位となる。ソース信号線18の電位は、定電流Iwをソース信号線18に印加し、定常状態した時は、画素16の駆動用トランジスタ11aのゲート端子の電圧(図1の画素構成の場合)である。
単位トランジスタ164はトランジスタ167bとカレントミラー回路を構成している。なお、図15、図16、図17では、理解を容易にするためトランジスタ167bを1つと図示している。実際は、複数のトランジスタ(トランジスタ群)で構成(形成)される。トランジスタ167bとトランジスタ群165cとは所定のカレントミラー比でカレントミラー回路を構成する。
つまり、トランジスタ167bも多数の単位トランジスタ164を有する群として構成されている。ただし、トランジスタ群165cを構成する単位トランジスタ164とトランジスタ167bを構成する単位トランジスタのサイズ、出力電流特性は異ならせてもよいことは言うまでもない。また、トランジスタ167aも複数のトランジスタで形成あるいは構成してもよいことは言うまでもない。なお、単位トランジスタ164を有する定電流出力回路をトランジスタ群165cと呼ぶ。
以上のように、1つの動作を行うトランジスタ(図15、図16、図17などの167b、167a、168a、168b、165b、165c)を、複数の同一特性の単位トランジスタ164からなるトランジスタ群として形成することにより、出力端子83間、ソースドライバ回路14間で特性バラツキが少なくなり、良好な動作を実現できる。
トランジスタ167bには基準電流Icが流れ、この基準電流Icのカレントミラー比に応じた電流が単位トランジスタ164に流れる。図16の63個の単位トランジスタ164はすべて同一の単位電流を出力する。単位トランジスタ164の単位電流が内部配線162に流れるためには、該当のスイッチ161を閉じ、電流経路を構成する必要がある。
図15で説明したように、基準電流Icはオペアンプ151aと抵抗R1からなる定電流発生回路153で発生する。基準電流Icは基準電圧Vsを安定化かつ高精度化することにより安定化させる。電圧ViとVsが抵抗R1の両端に印加される。したがって、基準電流Ic=(Vs−Vi)/R1となる。基準電流IcはRGBごとに設定することができる。つまり、RGBごとにトランジスタ群165cが構成(形成)されている。前記トランジスタ群165cのトランジスタ167bに流れる電流Icを設定(調整)できる。抵抗R1は、ソースドライバ回路(IC)14外に配置されており、抵抗R1の値をRGBで調整することにより、良好にホワイトバランスを調整あるいは設定できる。
図17(a)は基準電流Icを、Vs電圧を用いて発生する回路構成である。図17(b)はGNDとオペアンプ151aの−端子間に配置(挿入)された抵抗R1を用いて基本的な電流を発生させ、トランジスタ292bとトランジスタ167aからなるカレントミラー回路で折り返し、トランジスタ167bに基準電流Icを流す構成である。図17(b)の方が、基準電流のIcの大きさを調整しやすい。しかし、トランジスタ292bとトランジスタ167aからなるカレントミラー回路で折り返すために、出力電流Iwのバラツキが発生しやすい。したがって、図15、図17(a)のように構成することが好ましい。
本発明は図16(a)に図示するように、各ビットに1個または複数の単位トランジスタ164を形成または配置するとした。たとえば、1ビット目は、1個の単位トランジスタを形成し、2ビット目は2個の単位トランジスタを形成する。
しかし、本発明はこれに限定するものではない。たとえば、各ビットに、各ビットに応じた電流を出力する1つの単位トランジスタ164を形成または配置してもよいことは言うまでもない。たとえば、1ビット目のトランジスタは、0ビット目のトランジスタの2倍の電流を出力するトランジスタを1個形成または配置する。2ビット目のトランジスタは、0ビット目のトランジスタの4倍の電流を出力するトランジスタを1個形成または配置する。その他、2ビット目のトランジスタは、1ビット目のトランジスタの2倍の電流を出力するトランジスタを2個形成または配置してもよい。
図16(a)に図示するように、64階調(RGB各6ビット)の場合は、63個の単位トランジスタ164を形成するとした。したがって、256階調(RGB各8ビット)の場合、255個の単位トランジスタ164が必要になることになる。
トランジスタ群165cが出力する電流は、電流の加算ができるという特徴ある効果がある。また、単位トランジスタ164において、チャンネル長Lを一定にし、チャンネル幅Wを1/2にすれば、単位トランジスタ164が流す電流がおよそ1/2になるという特徴ある性質がある。同様に、チャンネル長Lを一定にし、チャンネル幅Wを1/4にすれば、単位トランジスタ164が流す電流がおよそ1/4になるという特徴ある性質がある。実際には、完全には1/nにはならない。しかし、本明細書では説明を容易にするため、チャンネルWを1/nにするとして説明をする。技術的な主旨は、単位トランジスタの単位電流の1/nの電流を出力する単位トランジスタを形成または配置することである。
図18(a)は、各ビットに対して同一のサイズの単位トランジスタ164を配置したトランジスタ群165cの構成である。説明を容易にするため、図18(a)は63個の単位トランジスタ164が構成され、6ビットのトランジスタ群165cを構成(形成)している。また、図18(b)は8ビットであるとする。
図18(b)では、下位2ビット(Aで示す)は、単位トランジスタ164よりも小さいサイズのトランジスタで構成している。最小ビット目の第0ビット目は、単位トランジスタ164のチャンネル幅Wの1/4で形成している(単位トランジスタ164bで示す)。また、第1ビット目は、単位トランジスタ164のチャンネル幅Wの1/2で形成している(単位トランジスタ164aで示す)。なお、単位トランジスタ164aは、単位トランジスタ164のチャンネル幅Wの1/4である単位トランジスタ164bを2個で形成してもよい。
以上の実施例では、単位トランジスタ164bのWは、単位トランジスタ164のWの1/4であるとした。単位トランジスタ164bの出力電流は、単位トランジスタ164の1/4である。単位トランジスタ164のWが6μmであれば、単位トランジスタ164bのWは1/4の1.5μmとなる。しかし、これは理想的な特性を示す場合である。実際には1.5μmより大きくしている。つまり、2.0μmなど大きくしている。一般的にトランジスタが小さな領域では、出力電流とチャンネル幅は比例関係にない。チャンネル幅を理想値の1/4よりも大きくすることにより、単位トランジスタ164bの4倍の電流が単位トランジスタ164の電流と一致するように構成することができる。以上の事項は後にさらに詳しく説明をする。
図19に図示するように、単位トランジスタ164a(図19(b))、トランジスタ164b(図19(b))、トランジスタ164(図19(a))のゲート端子はゲート配線163に接続される。ゲート配線163はトランジスタ167bのゲート端子と接続されている。
下位2ビットは上位の単位トランジスタ164よりも小さいサイズの単位トランジスタ(164a、164b)で形成している。したがって、単位トランジスタ164a、164bは、単位トランジスタ164の1/2、1/4の単位電流を出力することができる。単位トランジスタ164a、164bが占める面積はわずかである。また、正規の単位トランジスタ164の個数は63個で変化がない。したがって、6ビット(64階調)から8ビット(256階調)に変更しても、トランジスタ群165cの形成面積は図18(a)と図18(b)で大差はない。つまり、プログラム電流方式で用いるソースドライバ回路14のチップサイズは階調数にほとんど依存しない。逆に、プログラム電圧方式で用いるソースドライバ回路14は、階調数に大きく依存する。
図18(b)に図示するように、6ビットから8ビット仕様に変化させても、電流プログラム方式のソースドライバ回路14の出力段のトランジスタ群165cのサイズが大きくならないのは、単位電流(1/nの単位電流も含む)の加算によりプログラム電流(定電流)が発生できるという点、単位トランジスタ164において、チャンネル長Lを一定にし、チャンネル幅Wを1/nにすれば、単位トランジスタ164が流す電流がおよそ1/nになるという点をうまく利用しているからである。
また、図18(b)に図示するように、単位トランジスタ164a、164bのようにトランジスタサイズが小さくなると、出力電流(定電流)バラツキも大きくなる。しかし、いかにバラツキが大きくとも、単位トランジスタ164aまたは164bの出力電流は加算される。つまり、階調の逆転は原理的に発生しない。また、出力されるプログラム電流のバラツキは、最大階調時は、6ビットも8ビットも同一である。出力電流のバラツキは、各出力段の単位トランジスタ群が占める面積に依存しているからである。
実際にはチャンネル幅Wを1/nにしても出力電流は正確には1/nにはならない。多少の補正が必要である。チャンネル幅W1/2にすることに大きな意味を持つものではなく、トランジスタ24aの出力電流を単位トランジスタ164の出力電流を1/2にすることに技術的意味がある。したがって、チャンネル幅Wだけでなく、チャンネル長Lを変化させて出力電流を1/2あるいは1/4のように、略整数分の1に構成すれはよい。また、図18(b)で図示した単位トランジスタ164、164a、164bは同一ゲート電圧で動作させる。これは図16に図示するように、内部配線162にすべての単位トランジスタのゲート端子を接続することにより容易に実現できる。また、すべての単位トランジスタ(164、164a、164b)はトランジスタ167bとカレントミラー回路を構成させればよい。
チャンネル幅Wを1/2にすると、トランジスタのゲート端子電圧を同一とした場合、出力電流は、1/2以下となる。そのため、本発明は、下位ビットを構成するトランジスタと、上位ビットを構成するトランジスタのサイズを変化させる場合、以下のようにトランジスタサイズを設定している。
ソースドライバ回路(IC)14の単位トランジスタ164を2種類のサイズのように、少ない形状の種類で構成する。複数の単位トランジスタ164のチャンネル長Lは同一にする。つまり、チャンネル幅Wのみを変化させる。もしくは、チャンネル幅Wまたはチャンネル長Lの一方のみを変化させて単位トランジスタを形成する。好ましくは、トランジスタ群165cを構成する単位トランジスタ164の大きさ、形状は、3種類以下とする。特に、2種類以下とすることが好ましい。
第1の単位トランジスタの第1の単位出力電流と、第2の単位トランジスタの第2の単位出力電流の比をn(第1の単位出力電流:第2の単位出力電流=1:n、ただし、nは1より小さい値)とするとき、第1の単位トランジスタのチャンネル幅W1 < 第2の単位トランジスタのチャンネル幅W2×n×aの関係となるように構成する。
W1×n×a=W2とした場合、1.05< a <1.3の関係が成り立つようにすることが好ましい。補正係数aは、テストトランジスタを形成し、測定あるいは評価することにより補正係数を容易に把握することができる。
本発明は、下位のビットを作製(構成)するために、上位のビットの単位トランジスタ164に比較して小さい単位トランジスタ164を形成または配置するものである。この小さいという概念は、上位ビットを構成する単位トランジスタ164の出力電流よりも小さいという意味である。したがって、単位トランジスタ164に比較してチャンネル幅Wが小さいだけでなく、同時にチャンネル長Lも小さい場合も含まれる。また、他の形状も含まれる。単位トランジスタ164aの出力電流が単位トランジスタ164の1/2とは精度が要求されるものではない。したがって、各ビットでの出力電流が反転しないように、60%〜140%の範囲で設定できればよい。つまり、略1/2、略1/4であればよい。
図18(b)はトランジスタ群165cを構成する単位トランジスタ164のサイズを複数種類とするものであった。図18(b)では3種類(164、164a、164b)としている。種類の数を限定する理由は、先に説明したように、単位トランジスタ164のサイズが異なると出力電流の大きさが形状に比例しないため、設計が難しくなるからである。したがって、トランジスタ群165cを構成する単位トランジスタ164のサイズは低階調用と高階調用の2種類とすることが好ましい。たとえば、図18(b)において、低階調の単位トランジスタである0ビット目の単位トランジスタ164bを2個用いて、1ビット目を構成すればよい。つまり、高階調用の単位トランジスタ164で2ビット目から7ビット目を形成し、低階調の単位トランジスタ164bを用いて0ビット目と1ビット目を形成する。
図16でも図示しているように、トランジスタ群165cを構成する単位トランジスタ164のゲート端子は、1つの内部配線162で接続されている。内部配線162に印加された電圧により単位トランジスタ164の出力電流が決定される。したがって、トランジスタ群165c内の単位トランジスタ164の形状が同一であれば、各単位トランジスタ164は同一の単位電流を出力する。
本発明は、トランジスタ群165cを構成する単位トランジスタ164の内部配線162を共通にすることには限定されない。たとえば、図19(a)のように構成してもよい。なお、トランジスタ群165bとはトランジスタ167bが対応する。つまり、トランジスタ群165cによりトランジスタ167bが構成されている。図19(a)において、トランジスタ群165b1とカレントミラー回路を構成する単位トランジスタ164と、トランジスタ群165b2とカレントミラー回路を構成する単位トランジスタ164とが配置されている。
トランジスタ群165b1は内部配線162aで接続されている。トランジスタ群165b2は内部配線162bで接続されている。図19(a)の一番上の1個の単位トランジスタ164はLSB(0ビット目)であり、2段目の2個の単位トランジスタ164は1ビット目、3段目の4個の単位トランジスタ164は2ビット目である。また、4段目の組の8個の単位トランジスタ164は3ビット目である。
図19(a)において、内部配線162aと内部配線162bの印加電圧を変化させることにより、各単位トランジスタ164のサイズ、形状が同一であっても、各単位トランジスタ164の出力電流を内部配線162の印加電圧により変化(変更)することができる。
図19(a)において、単位トランジスタ164のサイズなどを同一にして、内部配線162a、162bの電圧を異ならせるとしたが、本発明はこれに限定するものではない。単位トランジスタ164のサイズなどを異ならせ、印加する内部配線162a、162bの電圧を調整することにより、異なる形状の単位トランジスタ164の出力電流を同一となるようにしてもよい。
ソースドライバ回路(IC)14の単位トランジスタ164の最小出力電流は0.5nA以上10nAにしている。特に単位トランジスタ164の最小出力電流は2nA以上20nAにすることがよい。ドライバIC14内のトランジスタ群165cを構成する単位トランジスタ164の精度を確保するためである。
また、図20に図示するように、トランジスタ167bを単位トランジスタ164の集合からなるトランジスタ群165bとして形成してもよい。トランジスタ群165bの単位トランジスタのゲート端子はトランジスタ群165cの単位トランジスタ164のゲート端子と共通にされ、カレントミラー回路を構成している。トランジスタ群165bは複数形成することが好ましい。
また、図20に図示するように、トランジスタ167bまたはトランジスタ群165bは、トランジスタ群165cの左右に形成配置することが好ましい。また、トランジスタ群165b、トランジスタ167bには、基準電流発生回路153から基準電流Icを供給する。
本発明のトランジスタ群165cが電流出力であるとして説明するが、これに限定するものではない。たとえば、トランジスタ群165cが電圧出力であってもよい。つまり、ソースドライバ回路(IC)14が液晶表示パネルのように、トランジスタ群165cが電圧を出力し、電圧駆動を実施する場合が例示される。その他、トランジスタ群165cが電圧出力するオペアンプなどで構成してもよい。本発明は、EL表示パネルが電圧駆動である場合も同様に適用される。また、選択回路222、291は、ソースドライバ回路(IC)14がシリコンチップとして構成され、前記チップ14に内蔵されているとして説明するが、これに限定するものではない。たとえば、トランジスタ群165cを、ポリシリコン技術などでガラスアレイ基板30に直接形成してもよい。また、別チップに形成または構成してもよい。
図21に図示するように、ソースドライバ回路(IC)14は、ソース信号線18の電荷を強制的に放出または充電するプリチャージ回路214を内蔵する。プリチャージ回路は、プリチャージ電圧Vpを出力する。プリチャージ電圧Vpとは、Va電圧、V0電圧が該当する。また、プリチャージ電圧Vpの概念には、ソース信号線18の電荷を強制的に放出する電圧と充電する電圧の両方が含まれる。また、プリチャージ電圧Vpの概念には、プログラム電圧も含まれる。つまり、プリチャージ電圧Vpを印加するとは、電圧を印加する動作である。プリチャージ電圧Vpは、基本的にはソース信号線18に印加する。もちろん、画素16の駆動用トランジスタ11aのゲート端子に直接印加してもよい。たとえば、画素電極に圧接したプローブでプリチャージ電圧Vpを印加する方式が例示される。プリチャージ電圧Vpは、R、G、Bで独立に設定できるように構成することが好ましい。EL素子15の閾値がRGBで異なるからである。
プリチャージ電圧Vpの印加とは、ソース信号線18の電荷を充放電させるため、もしくはソース信号線18に所定の電圧にするために用いる方式である。Va、V0電圧を印加すること、水平走査期間の最初に目標階調電圧またはプログラム電圧を印加すること、過電流印加によりソース信号線電位を変化させることも、プリチャージ電圧Vpの印加の概念に含まれる。
図21はプリチャージ回路部の構成図である。プリチャージ電圧Vpは映像データD0〜D5により出力期間範囲が決定される。プリチャージ電圧Vpは、水平走査期間におよびドットクロックCLKに同期して出力される。プリチャージ電圧Vpを出力する時間は、水平同期信号HDを基点としてカウンタ回路212の設定値で決定される。カウンタ回路212はクロックCLK信号に同期してカウントアップされる。プリチャージ電圧Vpの出力期間は、水平走査期間(1H)の最初から開始される。
カウンタ回路212はカウントしたカウント値と設定値が一致すると、プリチャージ電圧Vpの出力期間が終了する。カウンタ回路342の出力はアンド(AND)回路213のa部入力となる。なお、プリチャージ電圧Vpは、オン(印加する)/オフ(印加しない)を切り替えられるように構成する。オン/オフは、ソース信号線18に印加する映像信号もしくは映像信号に対応するプログラム電流またはプログラム電圧の大きさ、あるいは映像信号の変化(前水平走査期間に印加した映像信号との差)映像信号に対応するプログラム電流またはプログラム電圧の大きさ(前水平走査期間で印加したプログラム電流またはプログラム電圧の変化)で決定される。
図21の構成では、どの電圧範囲までプリチャージするかは、一致回路211で決定される。一致回路211には、映像データD0〜D5が印加される。一致回路はプリチャージ範囲が記憶あるいは設定されている。記憶または設定された値よりも、映像データD0〜D5が小さい時、プリチャージ電圧が端子83から出力される。一致回路211はクロックCLKで同期して動作する。また、イネーブル信号ENがHレベルの時、プリチャージ電圧は出力され、Lレベルの時は映像データの値によらず、プリチャージ電圧は出力されない。一致回路211の出力はAND回路213のb端子入力となる。
AND回路213のa部入力がHで、b端子入力がHの時、スイッチ161aが閉じ、プリチャージ電圧Vpが内部配線162に印加され、かつHI信号がHの時、スイッチ161bが閉じて出力端子83からプリチャージ電圧Vpが出力される。
図22は、ソースドライバ回路(IC)14のプリチャージ回路(プリチャージ電圧を出力する回路構成部)を中心とするブロック図である。プリチャージ回路214は、プリチャージ制御回路からプリチャージ制御信号PC信号(赤(RPC)、緑(GPC)、青(BPC))が出力される。
選択(セレクタ)回路222は、メインクロックに同期して出力段に対応するラッチ回路221に順次ラッチしていく。ラッチ回路221はラッチ回路221aとラッチ回路221bの2段構成である。ラッチ回路221bは水平走査クロック(1H)に同期してプリチャージ回路214にデータを送出する。つまり、セレクタは、1画素行分の画像データおよびPCデータを順次ラッチしていき、水平走査クロック(1H)に同期して、ラッチ回路221bでデータをストアする。
なお、図22では、ラッチ回路221のR、G、BはRGBの画像データ6ビットのラッチ回路であり、Pはプリチャージ電圧(RPC、GPC、BPC)の3ビットを保持するラッチ回路である。
プリチャージ回路214は、ラッチ回路221bの出力がHレベルの時、スイッチ161aをオンさせ、ソース信号線18にプリチャージ電圧Vpを出力する。トランジスタ群165cは画像データに応じて、プログラム電流(定電流)をソース信号線18に出力する。
プリチャージ電圧Vpを印加するか否かは、判断前にソース信号線18に印加されている電圧(保持されている電位)に基づいて判断する。判断前にソース信号線18に印加されている電位と、次に印加する電圧(あるいはプログラム電流の印加による想定されるソース信号線18の電位)との電位差あるいは変化量にもとづいて判断する。たとえば、第N(Nは1以上最大画素行以下の整数)画素行の画素に印加した電圧あるいはプログラム電流の印加による変化電位が、4.0(V)で、次に印加する電圧が、4.1(V)と電位差が小さい時は、第N+1画素行の画素にはプリチャージ電圧Vを印加する。逆に2.0(V)と電位差が大きな時は、第N+1画素行の画素にはプリチャージ電圧Vpを印加しない。
本発明は、画素16の駆動用トランジスタ11aがPチャンネルの時にあっては以下の範囲で、プリチャージ電圧Vpの印加の有無を判断する。説明を容易にするため、アノード電圧をVdd、カソード電圧をVssとし、ソースドライバ回路14の電源電圧をVd、ソースドライバ回路14のグランド電位をGNDとする。また、ソース信号線18に保持されている電位(1H前に印加された電圧)をVn、ソースドライバ回路14から出力される電圧(またはプログラム電流の印加により変化する目標電圧)をVmとする。なお、アノードVdd、カソードVss、Vn、VmはGNDに対する電圧値である。また、図4の電位関係を満足させることが好ましい。
画素16の駆動用トランジスタ11aがPチャンネルの時にあっては少なくとも以下の条件の1つ以上が合致する時に、ソース信号線18または画素16にプリチャージ電圧Vpを印加する。
0.5≦(Vdd−Vm)/Vdd≦0.9
0.5≦(Vd−Vm)/Vdd≦0.9
0.1≦|(Vn−Vm)|/Vn ≦0.3 ただし、0.5≦(Vd−Vm)/Vdd
画素16の駆動用トランジスタ11aがNチャンネルの時にあっては少なくとも以下の条件の1つ以上が合致する時に、ソース信号線18または画素16にプリチャージ電圧Vpを印加する。ただし、Vn、Vmは、Vss側の電圧であり、−極性の電圧である。
0.5≦|(Vss−Vm)|/Vss≦0.9
0.5≦|(Vss−Vn)|/Vss≦0.9
0.1≦|(Vn−Vm)|/Vn ≦0.3 ただし、0.5≦(Vss−Vm)/Vss
以上の実施例は、ソース信号線18に保持されている電位または印加する電圧などに基づき、プリチャージ電圧Vpを印加するか否かを判断するとした。しかし、このことは、画素16に印加する映像信号の階調により判断を行っても同様のことを実現できることは言うまでもない。本発明では、最大の階調数をMとし、各ソース信号線18に対して、1H前に印加した映像信号の階調をN1とし、次に印加する映像信号の階調をN2とした時、少なくとも、以下の条件のうち、1つ以上が該当するときに、プリチャージ電圧Vpを印加する。
1≦N2≦M×0.25
1≦|N2−N1|≦8
1画素のデータについてプリチャージするかしないかを判断することに限定するものではない。たとえば、複数画素行の画像データにもとづいてプリチャージ判断をおこなってもよい。また、プリチャージを行う周辺画素の画像データを勘案して(たとえば、重み付け処理など)プリチャージ判断を行っても良い。また、動画と静止画でプリチャージ判断を変化する方法も例示される。以上事項は、画像データに基づき、コントローラがプリチャージ電圧を発生することにより、良好な汎用性が発揮される点が重要である。
本発明は、1画素のデータについてプリチャージするかしないかを判断することに限定するものではない。たとえば、複数画素行の画像データにもとづいてプリチャージ判断を行ってもよい。また、プリチャージを行う周辺画素の画像データを勘案して(たとえば、重み付け処理など)プリチャージ判断を行っても良い。また、動画と静止画でプリチャージ判断を変化する方法も例示される。以上は、画像データに基づき、コントローラがプリチャージ電圧を発生することにより、良好な汎用性が発揮される点が重要である。以降、このプリチャージ判断とプリチャージモードを中心に説明をする。
プリチャージをするかしないかの判定は、1画素行前の画像データ(あるいは、直前にソース信号線に印加された画像データ)にもとづいて行っても良い。たとえば、あるソース信号線18に印加される画像データが白→黒→黒であれば、白から黒になる時は、プリチャージ電圧を印加する。黒階調は書込みにくいからである。黒から黒の場合は、プリチャージ電圧を印加しない。先に黒表示でソース信号線18の電位が次に書き込む黒表示の電位となっているからである。以上の動作は、コントローラ回路(IC)801に1画素行分(FIFOのため2ラインのメモリが必要)のラインメモリを形成(配置)することにより容易に実現できる。
本発明において、プリチャージ駆動では、プリチャージ電圧Vp(Va、V0)を出力するとして説明をするが、これに限定するものではない。1水平走査期間よりも短く、プログラム電流よりも大きい電流をソース信号線18に書き込む方式でもよい。つまり、プリチャージ電流をソース信号線18に書込み、その後にプログラム電流をソース信号線18に書き込む方式でもよい。プリチャージ電流も物理的には電圧変化を引き起こしていることには差異はない。プリチャージをプリチャージ電流で行う方式も本発明のプリチャージ駆動の技術的範疇である(本発明の範囲内である)。
本発明のプリチャージ駆動では所定電圧をソース信号線18に印加する。また、ソースドライバICはプログラム電流を出力するとした。しかし、本発明は、プリチャージ駆動を階調に応じて出力電圧を変化させてもよい。つまり、ソース信号線18に出力するプリチャージ電圧はプログラム電圧になる。ソースドライバIC内にこのプリチャージ電圧の電圧階調回路231を導入した回路構成が図23である。
電圧階調回路231は、プログラム電圧などの階調電圧を出力する構成あるいは動作として説明するが、本発明はこれに限定するものではない。所定の定電圧あるいはプログラム電圧を出力する回路の意味でも用いる。その他、サンプルホールド回路の意味でも用いる。つまり、多段階で電圧値を出力できる回路である。ただし、プリチャージ電圧Vpが固定値の場合は、1つの電圧を出力する構成でよい。この場合も、電圧階調回路231の概念に含まれる。また、電子ボリウム152も外部入力データにより、出力電圧を変化あるいは調整できるから、電圧階調回路である。また、D/A(デジタルーアナログ変換)回路391も電圧階調回路である。
なお、電圧階調回路231は、デジタル信号入力に対応してアナログ電圧を出力するものに限定するものではなく、アナログ電圧をインピーダンス変換あるいは、増幅もしくは低減して出力するものも含まれる。また、広義には、1つの所定電圧あるいは複数の電圧を選択して出力するものも電圧階調回路231である。つまり、電圧階調回路231とは、定電圧発生源として理解してもよい。
図23は主として1つのソース信号線18に対応する1出力回路のブロック図である。階調に応じてプログラム電流を出力する電流階調回路154と、階調に応じたプリチャージ電圧を出力する電圧階調回路231で構成される。電流階調回路154と電圧階調回路231には映像データが印加される。電圧階調回路231の出力はスイッチ161a、161bがオンすることによりソース信号線18に印加される。スイッチ161aはプリチャージイネーブル(プリチャージENBL)信号と、プリチャージ信号(プリチャージSIG)で制御される。
電流階調回路154は、基本的にはプログラム電流などの階調電流を出力するとして説明するが、本発明はこれに限定しない。所定の定電流を出力する回路(定電流出力回路)としての意味でも使用する。また、定電流源の意味でも使用する。階調電流を出力できる回路構成であれば、1μA、0.5μAなどのように、所定値の定電流を出力できるからである。
当然のことながら、電流階調回路154を簡略化し、定電流Iwを出力する定電流回路として構成してもよいことは言うまでもない。また、Va、V0を測定するためには、定電流Iwを印加するだけで十分であり、この機能を達成するためには、階調電流回路154を用いてもよいし、簡略化された定電流回路を用いてもよいことは言うまでもない。また、階調電流は、プログラム電流Iwを定電流と考えてもよい。
電圧階調回路231は、一例としてサンプルホールド回路で構成される。また、必要に応じてD/A変換回路などで構成される。デジタルの映像データに基づいて、D/A変換回路によりプリチャージ電圧に変換される。この変換されたプリチャージ電圧は、サンプルホールド回路241によりサンプルホールドされ、オペアンプを介してスイッチ161aの一端子に印加される。
D/A変換回路は電圧階調回路231ごとに構成または形成する必要がなく、ソースドライバ回路(IC)14の外部にD/A変換回路を構成し、このD/A変換回路の出力を電圧階調回路231内でサンプルホールドしてもよい。また、ポリシリコン技術で形成してもよい。
図24に図示するように、8ビットの映像信号DATAに対応する電圧(プログラム電圧)が、映像クロックに同期して電子ボリウム152から出力される。プログラム電圧は、駆動用トランジスタ11aにプリチャージ電圧として印加される電圧である。また、プログラム電圧は、この電圧を印加することにより、階調にほぼ対応した電流がEL素子15に印加されるように駆動用トランジスタ11aのゲート端子に保持される電圧である。
プログラム電圧はCc容量に一時的に保持され、バッファアンプ151aから出力される。出力された電圧は、サンプルホールド回路(この実施例では切り換え回路のように図示している)241により、各出力端子83に順次振り分けられる(出力端子83a、83b、83c、83d・・・・・、83n、83a、83b、83c、・・・・・・・83n・・・・・・)。振り分けはクロックCLKに同期して実施される。なお、本発明では、8ビットのアドレス信号PADRSにより、任意の端子にプログラム電圧を振り分けできるように構成されている。このように、アドレス信号PADRSにより任意の出力端子83に振り分け(8ビットであるから256本の端子のいずれかに振り分け可能である)できるように構成することにより、プログラム電圧の書き換えが必要な端子のみ新規のプログラム電圧を印加することができる。また、プログラム電圧の振り分けをランダム化することができる。プログラム電圧は容量Cに保持され(サンプリングされ)、バッファ回路151bの出力は、スイッチSpの制御により出力端子83に印加されたり、遮断されたりする。スイッチSpは、図23ではスイッチ161aが該当する。
電流階調回路154は、具体的には図16の回路構成が該当する。電流階調回路154のプログラム電流出力はスイッチSiにより制御される。以上のように、電流階調回路154と電圧階調回路231の出力はスイッチSi、Spにより制御され、プリチャージ駆動(電圧プログラム)+電流プログラミングが実現される。以上の信号は、出力端子83からソース信号線端子242に印加される。プログラム電圧はソース信号線18の寄生容量Caを短期間で充放電させる。
電圧階調回路231の出力であるプリチャージ電圧Vpは、図25に図示するように、1水平走査期間(1H)の最初に印加される(記号Aで示す)。その後、電流階調回路154によりソース信号線にプログラム電流が供給される(記号Bで示す)。つまり、プリチャージ電圧により概略のソース信号線電位まで電圧設定される。したがって、駆動用トランジスタ11aは目的電流に近い値まで、高速に設定される。その後、電流階調回路154が出力するプログラム電流により駆動用トランジスタ11aの特性バラツキを補償する目的電流(=プログラム電流)まで設定される。
プリチャージ電圧が印加されるA期間は、1水平走査期間(1H)の1/100以上1/2以下の期間が好ましい。または、0.2μsec以上40μsec以下の期間に設定することが好ましい。好ましくは1水平走査期間(1H)の1/100以上1/5以下の期間が好ましい。または、0.2μsec以上10μsec以下の期間に設定することが好ましい。したがって、A期間以外がB期間のプログラム電流の印加期間である。A期間が短いとソース信号線18の電荷の充放電が十分に行われないため、書き込み不足が発生する。一方、長すぎると電流印加期間(B)が短くなり十分にプログラム電流を印加することができない。したがって、駆動用トランジスタ11aの電流補正不足となる。
電圧印加期間(A期間)は、1Hの最初から実施することが好ましいが、これに限定されない。たとえば、1Hの終わりのブランキング期間から開始してもよい。また、1H(水平走査期間)の途中にA期間を実施してもよい。つまり、1Hのいずれかの期間に電圧印加期間を実施すれはよい。しかし、好ましくは、電圧印加期間は、1Hの最初から1/4H(=0.25H)の期間内に実施することが好ましい。
図25の実施例では、電圧プリチャージ(A)の期間後、電流を印加(B期間)するとしたがこれに限定するものではない。たとえば、図26(a)に図示するように、1Hの期間のすべてを(あるいは大半を、あるいは過半数を)プリチャージ電圧Vpを印加する期間(電圧プリチャージ(*Aで示す)期間)としてもよい。
図26(a)でも理解できるように、ソース信号線18の電位がアノード電位(Vdd)に近い場合に、1Hの期間のすべてに(大半に)電圧が印加される。ソース信号線18の電位が0(V)に近くなると、電圧プログラム(A期間)と電流プログラム(B)が1Hの期間内に実施される。なお、ソース信号線18の電位が0(V)に近い場合(高階調領域)では、1Hの期間中のすべての期間にわたり、電流プログラムを実施してもよい。
図26(a)の*A以外の期間は、1Hの一定期間(Aで示す)に電圧プログラムによる電圧をソース信号線18に印加し、その後、Bの期間に電流プログラムによる電流を印加している。以上のようにA期間の電圧の印加により画素16のトランジスタ11aのゲート電位に所定電圧を印加し、概略EL素子15に流す電流が所望値になるようにしている。その後、B期間のプログラム電流により、EL素子15に流れる電流が所定値となるようにしている。*A期間は、1H期間の全般にわたり電圧プログラムが実施されている(電圧が印加されている)。
図26(a)は、画素16のトランジスタ11a(駆動用トランジスタ)がPチャンネルの場合のソース信号線18への印加信号波形である。しかし、本発明はこれに限定するものではない。画素16のトランジスタ11aがNチャンネルであってもよい。この場合は、図26(b)に図示するように、ソース信号線18の電位が0(V)に近い場合に、1Hの期間のすべてに(大半に)電圧が印加される。ソース信号線18の電位がアノード電圧(Vdd)に近くなると、電圧プログラム(A期間)と電流プログラム(B)が1Hの期間に実施される。
なお、ソース信号線18の電位がVddに近い場合(高階調領域)では、1Hの期間中のすべての期間にわたり、電流プログラムを実施してもよい。
本発明では、駆動用トランジスタ11aはPチャンネルとして説明するがこれに限定するものではなく、駆動用トランジスタ11aはNチャンネルであってもよいことはいうまでもない。説明を容易にするために、駆動用トランジスタ11aがPチャンネルトランジスタであるとして説明を行うだけである。
本発明の実施例では、主として低階調領域は電圧プログラムが主で画素に書き込みがされる。中高階調領域は、電流プログラムが主で書き込みが行われる。つまり、電流と電圧駆動の両方のよいところの融合を実現できる。なぜなら、低階調領域は、電圧により所定階調表示される。これは、電流駆動では書き込み電流が微小のため、1Hの最初に印加した電圧(電圧駆動あるいはプリチャージ駆動による。プリチャージ駆動と電圧駆動は概念的には同一である。大きく差別化するならば、プリチャージ駆動は印加する電圧に種類が比較的少なく、電圧駆動は印加する電圧の種類が多いと言うべきである)が支配的となるからである。
中階調領域は、電圧により書き込んだ後、電圧のずれ量を、プログラム電流で補償する。つまり、プログラム電流が支配的となる(電流駆動が支配的である)。高階調領域は、プログラム電流で書き込む。プログラム電圧印加は不要である。印加した電圧がプログラム電流で書き換えられるからである。つまり、電流駆動が圧倒的に支配的である。もちろん、電圧を印加してもよいことは言うまでもない。
電圧階調回路の出力と電流階調回路(プリチャージ回路も含む)の出力とを出力端子83でショートして構成することができるのは、電流階調回路は高インピーダンスであることによる。つまり、電流階調回路は高インピーダンスのため、電圧階調回路からの電圧が電流階調回路に印加されても、回路に問題点(短絡で過電流が流れるなど)が発生することがない。
本発明で電圧出力と電流出力状態とを切り換えるとしたがこれに限定するものではない。電流階調回路154からプログラム電流を出力した状態で、スイッチ161(図23を参照のこと)をオンして、電圧階調回路231の電圧を出力端子83に印加してもよいことは言うまでもない。
スイッチ161を閉じて出力端子83に電圧を印加した状態で、電流階調回路154からプログラム電流を出力してもよい。電流階調回路154は高インピーダンスであるので回路的には問題がない。以上の状態も、本発明は電圧駆動状態と電流駆動状態とを切り換えているという動作の範疇である。本発明は電流回路と電圧回路の性質をうまく利用している。このことは、他のドライバ回路にない特徴ある構成である。
図27に図示するように、1H期間に印加するプログラムを電圧またはプログラム電流の一方にしてもよいことは言うまでもない。図27において、Aの期間は電圧プログラムが実施された1H期間であり、Bの期間は電流プログラムが実施されている1H期間である。主として低階調領域では電圧プログラムが実施され(Aで示す)、中間調以上の領域では電流プログラムが実施される(Bで示す)。以上のように、階調あるいはプログラム電流の大きさに応じて、電圧駆動を選択するか電流駆動を選択するかを切り換えても良い。
図23の本発明の実施例では、電圧階調回路231と電流階調回路154には、同一の映像信号DATAが入力されている。したがって、映像信号DATAのラッチ回路は電圧階調回路231と電流階調回路154と共通でよい。つまり、映像信号DATAのラッチ回路は電圧階調回路231と電流階調回路154とに独立に設ける必要はない。共通の映像信号DATAのラッチ回路からのデータに基づき、電流階調回路154または(および)電圧階調回路231がデータを出力端子83に出力する。
図28は本発明の駆動方法のタイミングチャートである。図28において、(a)のDATAは画像データである。(b)のCLKは回路クロックである。(c)のPcntlは、プリチャージのコントロール信号である。Pcntl信号がHレベルの時は、電圧駆動のみモード状態になり、Lレベルの時、電圧+電流駆動モードになる。(d)のPtcはプリチャージ電圧あるいは電圧階調回路231からの出力の切り換え信号である。Ptc信号がHレベルの時は、プリチャージ電圧などの電圧出力がソース信号線18に印加される。Ptc信号がLレベルの時は、電流階調回路154からのプログラム電流がソース信号線に出力される。
たとえば、映像信号データD(2)、D(3)、D(8)の時は、Pcntl信号がHレベルであるから、ソース信号線18に電圧階調回路231から電圧が出力される(A期間)。PcntlがLレベルの時は、ソース信号線18にはまず、電圧が出力され、その後、プログラム電流が出力される。電圧が出力される期間をAで示し、電流が出力される期間をBで示す。電圧を出力する期間Aは、Ptc信号で制御される。Ptc信号は、図23のスイッチ161のオンオフを制御する信号である。
Pcntl信号がHレベルの時は、電圧駆動のみモード状態になり、Lレベルの時、電圧+電流駆動モードになると説明した。電圧を印加する期間は、点灯率あるいは階調に応じて変化させることが好ましい。低階調の時は、電流駆動では画素にプログラム電流を完全に書き込むことができない。したがって、電圧駆動を実施することが好ましい。電圧を印加する期間を長くすることによって、電圧+電流駆動モードであっても、電圧駆動モードが支配的になり、良好に画素に低階調状態を書き込むことができる。低点灯率の場合は、低階調状態の画素が多い。したがって、低階調状態(低点灯率)の場合も、電圧を印加する期間を長くすることによって、電圧+電流駆動モードであっても、電圧駆動モードが支配的になり、良好に画素に低階調状態を書き込むことができる。
以上のように、電圧+電流駆動モードであっても、点灯率あるいは画素に書き込む階調データ(映像データ)に応じて、電圧駆動状態の期間を変化させることが好ましい。つまり、EL素子15に流す電流を小さくするときは(本発明では低点灯率範囲)、電圧駆動モード期間を長くし、EL素子15に流す電流を大きくするときは(本発明では高点灯率範囲)、電圧駆動モード期間を短くするか、もしくは’なし’にするように制御あるいは調整もしくは装置を構成する。
図28において、電圧出力期間Aと電流出力期間Bとを切り換えるとしたが、これに限定するものではない。プログラム電流の出力した状態で、スイッチ161(図23を参照)をオンして、電圧階調回路231の電圧を出力端子83に印加してもよいことは言うまでもない。また、スイッチ161を閉じて出力端子83に電圧を印加した状態で、電流階調回路154からプログラム電流を出力してもよい。A期間後にスイッチ161をオープンにする。以上のように電流階調回路154は高インピーダンスであるので電圧回路と短絡状態にしても回路的には問題がない。
図29は、図23などの電流階調回路154と電圧階調回路231の構成部分をさらに詳細に記載したブロック図である。シフトレジスタ回路(セレクタ回路)222はスタート信号(ST1)、クロック(CLK1)により順次シフト動作する。シフト動作により、第1のラッチ回路(保持回路)221aに、DATA9ビットの保持位置を指定する。DATA9ビットとは、映像信号8ビットとプリチャージ信号1ビットの計9ビットである。ラッチ回路221aは1水平期間に順次DATAを保持していく。
第1のラッチ回路に保持されたDATAは、ロード信号(LD)により2段目の第2のラッチ回路221bにロードされる。ラッチ回路221bに保持されたDATAは、電圧階調回路231の入力と、電流階調回路154の入力となる。プリチャージ信号の1ビットは、電圧階調回路231のプログラム電圧と、電流階調回路154のプログラム電流の切り換え信号である。プリチャージ信号は、切り換え回路(図23のスイッチ161などが該当する)291を時間的に制御し、出力端子83からプリチャージ信号がオンのときはまずプリチャージ電圧を出力し、その後プログラム電流を出力する。
なお、電圧階調回路のサンプルホールド回路は比較的低速でしか動作しないため、電圧階調回路のサンプルホールド用として1段のラッチ回路を追加し、3段のラッチ回路で構成してもよいことは言うまでもない。また、切り換え回路291はアレイ基板30にポリシリコン技術で形成してもよい。
図30はプリチャージ電圧発生回路からの出力(一例としてVpa、Vpb、Vp)をソースドライバ回路14の内部配線で伝達した構成である。配線は、ICチップの長手方向に形成される(各トランジスタ群165と垂直)。プリチャージ電圧Vp(Vpa、Vpb、Vp、open)を伝達するプリチャージ電圧配線PS(PSa、PSb、PSc、PSd)がソース信号線18に直交するように配線される。プリチャージ電圧配線PSと内部配線162とは直交し、各交点にスイッチSpが配置されている。スイッチSpはSEL信号(プリチャージ電圧の選択信号、openを含む)で切り換えられる。openがスイッチSp0aで選択された場合は、プリチャージ電圧は出力されない。スイッチSpは出力端子83ごとに自由に設定できる。スイッチSpは映像信号の大きさ、変化などにより適切なものが選択され制御される。
図29と図30との差異は、図29が映像信号ごとに対応するプリチャージ電圧をサンプルホールドして発生させる構成である。サンプルホールドしたプリチャージ電圧は、出力端子ごとに、プリチャージビット(プリチャージ電圧を印加するか否かの判断ビット)により判断され印加される。図30は複数のプリチャージ電圧を発生させておき、1つのプリチャージ電圧を選択する構成である。選択するプリチャージ電圧は、プリチャージビット(SEL信号:どのプリチャージ電圧を印加するかの指定ビット。ただし、プリチャージ電圧を印加しない(open)場合もある)により判断され、ソース信号線18に印加される。
以上の実施例は、ソースドライバ回路14内にプリチャージ電圧Vp(Va、V0)を形成し、この回路から、必要に応じてソース信号線18にプリチャージ電圧Vpを印加するものであったが、本発明はこれに限定するものではない。たとえば、アレイ基板30にプリチャージ電圧用トランジスタ素子を形成し、このトランジスタ素子をオンオフ制御することにより、プリチャージ電圧線に印加されたプリチャージ電圧Vpをソース信号線18に印加するように構成してもよいことは言うまでもない。
図30などで、オープン機能(openの選択、つまりプリチャージを実施しない)を設けている。しかし、必ずしもソースドライバ回路14内に構成あるいは形成することに限定するものではない。
以上の実施例では、プリチャージ電圧Vp(Va、V0)はアノード電圧Vddに近い電圧(Vdd以下Vdd−3(V))であるとして説明をした、しかし、画素構成によっては、プリチャージ電圧Vpがカソード電圧に近い(Vss以上Vss+3(V))場合がある。たとえば、駆動用トランジスタ11aがNチャンネルトランジスタで形成している場合、駆動用トランジスタ11aが、Pチャンネルトランジスタで吐き出し電流(図1の画素構成は吸い込み(シンク)電流)で電流プログラムが実施される場合である。この場合は、プリチャージ電圧Vpはカソード電圧に近い電圧とする必要がある。
電流駆動で書き込み不足が発生する原因は、図31に図示するようにソース信号線18の寄生容量Csによる影響が大きい。寄生容量Csはゲート信号線17とソース信号線18との交差部などに発生する。
以下の説明は説明を容易にするために、画素16の駆動用トランジスタ11aがPチャンネルトランジスタで、かつ吸い込み(シンク)電流(ソースドライバ回路(IC)14に吸い込む電流)で電流プログラムを実施する場合であるとして説明をする。
なお、画素16の駆動用トランジスタ11aがNチャンネルトランジスタの場合、あるいは駆動用トランジスタ11aを吐き出し(ソース)電流(ソースドライバ回路14から吐き出す電流)で電流プログラムを実施する場合は逆の関係にする。この場合は、ソースドライバ回路14内に形成された単位トランジスタ164は、Pチャンネルトランジスタで形成する。つまり、本発明は吸い込み(シンク)電流の場合を例示して説明するが、吐き出し(ソース)電流の場合は、画素の構成あるいは動作、ソースドライバ回路14の構成あるいは動作を逆の関係に変更あるいは読み変える。このことは当業者であれば容易であるので説明を省略する。
図31(a)に図示するように、黒表示(低階調表示)から白表示(高階調表示)に変化する時は、ソースドライバ回路(IC)14が出力するシンク電流が主体的に関与する。ソースドライバ回路(IC)14がプログラム電流Id1(Iw)で寄生容量Csの電荷を吸い込む。電流を吸い込むことにより、寄生容量Csの電荷を放電し、ソース信号線18の電位が低下する。したがって、画素16の駆動用トランジスタ11aのゲート端子電位が低下し、プログラム電流Iwを流すように電流プログラムが行われる。
白表示(高階調表示)から黒表示(低階調表示)に変化する時は、画素16の駆動用トランジスタ11aの動作が主体である。ソースドライバ回路(IC)14は黒表示の電流を出力するが、微小であるため実効的に動作しない。駆動用トランジスタ11aが動作し、プログラム電流Id2(Iw)の電位に一致するように寄生容量Csを充電する。寄生容量Csに電荷を充電することにより、ソース信号線18の電位が上昇する。したがって、画素16の駆動用トランジスタ11aのゲート端子電位が上昇し、プログラム電流Iwを流すように電流プログラムが行われる。
しかし、図31(a)の駆動は低階調領域では電流Id1が小さく、また、定電流動作のため、寄生容量Csの電荷の放電に非常に長時間を必要とする。特に白輝度に到達するまでの時間が長いため白ウィンドウ表示で上辺の輝度が所定輝度より低い。ソース信号線18の電位が黒表示電位(アノード電圧Vddに近い)から白表示電位(アノード電圧Vdd−3(V)など)へ、1水平走査期間内に変化できないためである。白ウィンドウ部の下辺の次の画素行の黒表示輝度は、比較的目標の黒表示になりやすい。この変化では、図31(b)に図示するように駆動用トランジスタ11aが主体的に変化する。また、図31(b)では駆動用トランジスタ11aが非線形動作するため、比較的電流Id2が大きい。そのため、Csの充電時間が比較的はやい。したがって、白ウィンドウ部の最終白表示画素部の次に位置する黒表示画素行では、輝度が目標の輝度あるいはその近傍に変化する。
プログラム電流の書き込み不足の課題を解決するために、プリチャージ駆動を実施する。しかし、この方法だけでは、パネルが超大型になれば、図31(b)の白から黒表示の実現が困難になる場合がある(プリチャージ電圧Vpにより、ソース信号線18の電位をアノードVdd側に変化させることにより、黒表示を実現することを想定している)。
この対策として、本発明では、1Hの前半にソースドライバ回路(IC)14からのプログラム電流を増加させる。なお、後半は正規のプログラム電流Iwを出力する。ただし、正規のプログラム電流は、図6、図9などの場合はN倍される。つまり、所定条件の時は、1Hの最初に所定のプログラム電流よりも大きな電流をソース信号線18に流し、後半に正規のプログラム電流をソース信号線18に流す。以下この実施例について説明をする。
以下に説明する駆動方法(駆動装置あるいは駆動方式)を過電流駆動と呼ぶ。また、過電流駆動は本発明の他の駆動方式あるいは駆動装置と組み合すことができることは言うまでもない。たとえば、プリチャージ電圧Vpを印加した後、過電流駆動を実施し、その後、プログラム電流を印加(プログラム電流駆動)することが例示される。また、プリチャージ電圧Vpを印加せず、過電流駆動を実施し、その後、プログラム電流駆動を行う方式が例示される。
なお、過電流駆動は、ソース信号線18の電荷を充放電する方式であるから、技術的思想としては、プリチャージ電圧駆動の概念に含まれる。
なお、過電流は、吐き出し電流と吸い込み電流のいずれでもよい。画素16の駆動用トランジスタ11aのチャンネル極性に対応して実施する。画素16の駆動用トランジスタ11aがPチャンネルの場合は、過電流は、ソースドライバ回路14に流れ込む方向(シンク電流)とし、画素16の駆動用トランジスタ11aがNチャンネルの場合は、過電流は、ソースドライバ回路14から吐き出す方向(ソース電流)とする。また、過電流駆動は、すべての画素16に実施するものではなく、画素16に印加された階調値、ソース信号線18の電位、または、次に印加する階調による電位変化などに対応して印加の有無を判断する。また、過電流の大きさ、印加期間を変化させる。
図32は本発明の過電流駆動方式を実現するソースドライバ回路(IC)14の説明図である。図示を容易とするため、単位トランジスタ164が1個の電流回路は単位トランジスタ群321aとし、’1’で図示している。以下同様に、単位トランジスタ164が2個の電流回路(カレントミラー回路)は単位トランジスタ群321bとし、’2’で図示している。また、単位トランジスタ164が4個の電流回路は単位トランジスタ群321cとし、’4’で図示している。単位トランジスタ164が8個の電流回路は単位トランジスタ群321dとし、’8’で図示している。
以下、同様に、単位トランジスタ164が64個の電流回路は単位トランジスタ群321gとし、’64’で図示し、単位トランジスタ164が128個の電流回路は単位トランジスタ群321hとし、’128’で図示している。ただし、図18(b)で説明したように、各単位トランジスタ群321に、物理的に必要な単位トランジスタ164を形成することに限定しない。各単位トランジスタ群321に必要な単位電流を出力するものであればいずれの構成あるいは方式であってもよい。
これらの単位トランジスタ群321(321a〜321h)の1組がトランジスタ群165cである。なお、作図を容易にするため、また、説明を容易にするため単位トランジスタ群321のビット数は各8ビットとしている。したがって、ビット数は、6ビット、10ビットでもよいことは言うまでもない。
また、単位トランジスタ群321は、RGBごとに形成される。ただし、RGBで、形成するビット数を変化させてもよい。たとえば、RとBを6ビットとし、階調が多く必要なGを8ビットにする構成が例示される。また、過電流の大きさについても、RGBで変化あるいは変更できるように構成することが好ましい。たとえば、R、Bで過電流の大きさを大きくし、Gで過電流の大きさを小さくできるようにする構成、方式が例示される。以上の事項は、本発明の他の実施例に適用される。以上の事項は、トランジスタ群165cにも適用される。また、トランジスタ群165bにも適用される。
図32の構成は、過電流のプログラム電流を流す担当のトランジスタ群は、単位トランジスタ群321hとしている。つまり、階調データの最上位ビットのスイッチD7をオンオフ制御することにより、過電流をソース信号線18に流す。過電流を流すことにより寄生容量Csの電荷を短時間で放電させることができる。たとえば、階調5の場合は、スイッチD0とD2をクローズさせて、5単位のプログラム電流を流すが、プログラム電流印加前に、スイッチD7をオンさせて、128単位の電流(過電流)をソース信号線18に印加する。また、過電流の印加前に、必要に応じてあるいは必須的にソース信号線18にプリチャージ電圧Vpを印加する。
最上位ビットを過電流制御(過電流を発生させる)に使用するのは、以下の理由による。まず、説明を容易にするため、1階調から4階調に変化させるとする。また、階調数は256階調(RGB各8ビット)とする。
1階調から白階調に変化させる場合であっても、1階調から中間調以上(たとえば、128階調以上)に変化させる場合は、プログラム電流の書き込み不足は発生しない。プログラム電流が比較的大きく、寄生容量Csの充放電が比較的早いからである。
しかし、1階調から中間調以下(たとえば、127階調以下)に変化する場合は、プログラム電流が小さく、1H期間に寄生容量Csを十分に充放電させることができない。したがって、1階調から4階調などのように、中間調以下に階調変化させることを改善させる必要がある。この場合に、本発明の過電流駆動を実施する。
以上のように変化する階調が中間調以下であるから、プログラム電流の指定に最上位ビットは使用しない。つまり、1階調から変化させる場合、目標の階調は、’01111111’以下である(最上位ビットのスイッチD7は絶えずオフ状態である。本発明はたえず、オフ状態の最上位ビットを制御して過電流駆動を実施する。
最初の階調(変化前の階調)が1であれば、スイッチD0がオンで単位トランジスタ164が1個動作する。目標の階調が4であれば、スイッチD2が動作し、単位トランジスタ164が4個動作する。しかし、単位トランジスタ164が4個では十分に寄生容量Csの電荷を目標値まで放電させることができない。そこで、スイッチD7を閉じ単位トランジスタ群321hを動作させる。
なお、D7スイッチの動作は、D2スイッチの動作に加えて実施してもよいし(1Hの前半あるいは最初にD7とD2スイッチをオンさせ、後半にD2スイッチのみをオンさせる)、1Hの前半あるいは最初にスイッチD7のみをオンさせ、後半にスイッチD2のみをオンさせてもよい。
スイッチD7がオンすれば、単位トランジスタ164が128個動作する(もしくは128個分に相当する単位電流が出力される)。したがって、D2スイッチのみの動作に比較して128/4=32であるから32倍の速度で寄生容量Csの電荷を放電させることができる。したがって、プログラム電流の書き込み改善が可能である。
スイッチD7をオンさせるか否かは、RGBの映像データごとにコントローラ回路(IC)(図示せず)で判断する。コントローラ回路(IC)からは判断ビットKDATAがソースドライバ回路(IC)14に印加される。KDATAは一例として5ビットである。KDATAは、MSBの1ビットと下位4ビットに分けられる。KDATAのMSBが0(Lレベル)の時は、過電流駆動は実施しない。KDATAのMSBが1(Hレベル)の時は過電流駆動を実施する。つまり、過電流駆動を実施し、その後、目的階調に対応するプログラム電流を印加する。
なお、プリチャージ電圧Vpを印加するか否かは、プリチャージビットで設定する。プリチャージビットが0(Lレベル)の時は、プリチャージ電圧Vpを印加しない。プリチャージビットが1(Hレベル)の時は、プリチャージ電圧Vpを印加し、また、KDATAの設定値に対応して過電流駆動を実施し、その後、目的階調に対応するプログラム電流を印加する。
KDATAの下位4ビットは過電流を印加する期間を15段階で示す。この値に基づき、16段階の期間の過電流駆動を実施する。したがって、KDATAの下位4ビットの大きさは、D5ビットをオンさせる時間を示す。
KDATAはラッチ回路221で1H期間保持される。カウンタ回路212はHD(1Hの同期信号)でリセットされ、クロックCLKでカウントされる。カウンタ回路212とラッチ回路221のデータが比較され、カウンタ回路212のカウント値が、ラッチ回路221のデータ値(KDATAの下位4ビット)よりも小さいとき、AND回路213は内部配線162bにオン電圧を出力しつづけ、スイッチD5のオン状態が維持される。したがって、単位トランジスタ群321hの単位トランジスタ164の電流が内部配線162aおよびソース信号線18に流れる。なお、電流プログラム時はスイッチ161bが閉じ、プリチャージ駆動時は、スイッチ161aが閉じ、スイッチ161bがオープン状態となる。
図33はコントローラIC(回路)の動作の説明図である。ただし、1画素列(RGBの組)の処理の説明図である。映像データDATA(8ビット×RGB)は内部クロックに同期してラッチ回路221aと221bに2段ラッチされる。したがって、ラッチ回路221bには、1H前の映像データが保持され、ラッチ回路221aには現在の映像データが保持される。
比較回路331は1H前の映像データと現在の映像データを比較し、KDATAの値を導出する。導出は、過電流駆動を実施するか否かのMSBの1ビットと、過電流を印加する期間である下位4ビットの値である。また、必要に応じて、プリチャージ電圧Vpを印加するか否かのプリチャージビットの設定も行う。また、過電流駆動において必要に応じて、どのスイッチD0〜D7をオン(クローズ)するかを設定してもよい。また、プリチャージ電圧Vpの大きさを設定してもよい。
映像データDATAはソースドライバ回路(IC)14に転送される。また、コントローラIC(回路)はカウンタ回路212の上限カウント値CNTをソースドライバ回路(IC)14に転送する。
KDATAは比較回路331で決定される。決定は、変化前の映像データ(1H前のデータ)と変化後の映像データ(現在のデータ)から決定される。1H前のデータとは、現在のソース信号線18の電位を示す。現在のデータとは、変化させるソース信号線18の目標電位を示す。また、ソース信号線18の電位は、映像データの階調に対応するから、映像データに基づいて決定してもよい。
図31に図示して説明したように、プログラム電流の書き込みは、ソース信号線18の電位を考慮して行うことが重要である。書き込み時間Tは、T=ACV/I(A:比例定数、C:寄生容量の大きさ、V:変化する電位差、I:プログラム電流)で表すことができる。したがって、変化する電位差Vが大きければ書き込み時間が長くなる。一方、プログラム電流I=Iwが大きくすれば書き込み時間は短くなる。
本発明では、過電流駆動でIを大きくする。しかし、いずれの場合でもIを大きくすると、目標のソース信号線18電位を越える場合が発生する。したがって、過電流駆動を実施する場合には、電位差Vを考慮する必要がある。現在のソース信号線18の電位と、次の映像データ(現在の映像データ(次に印加する映像データ=(変化後:図34の縦方向)))から決定される目標のソース信号線18電位から、KDATAを求める。
KDATAはD7スイッチをオンさせる時間の場合もあるが、過電流駆動での電流の大きさでもよい。また、D7スイッチのオン時間(時間が長いほどソース信号線18に印加する過電流印加時間が長くなり、過電流の実効値が大きくなる)と、過電流の大きさ(大きさが大きいほどソース信号線18に印加する過電流の実効値が大きくなる)の両方を組み合わせてもよい。説明を容易にするため、最初、KDATAはD7スイッチのオン時間であるとして説明をする。
比較回路331は1H前と変化後(図34を参照のこと)の映像データを比較してKDATAの大きさを決定する。KDATAに0以外のデータが設定される場合は以下の条件に合致する場合である。
1H前の映像データが低階調領域である場合(0階調以上全階調の1/8以下の領域であることが好ましい。たとえば、256階調の場合は、0階調以上32階調以下である。)で、かつ、変化後の映像データが中間調領域以下である場合(1階調以上全階調の1/2以下の領域であることが好ましい。たとえば、256階調の場合は、1階調以上128階調以下の領域である。)にKDATAを設定する。設定するデータは、駆動用トランジスタ11aのVI特性カーブを考慮して決定する。ソース信号線18のVdd電圧から、0階調目の電圧であるV0(完全黒表示)までの電位差は大きい。また、V0電圧から、1階調目のV1までの電位差は大きい。次の2階調目であるV2電圧とV1電圧までの電位差は、V0電圧からV1電圧までの電位差よりもかなり小さい。以降、V3とV2、V4とV3になるにつれて電位差は小さくなる。以上のように高階調側になるにしたがって、電位差が小さくなるのは、駆動用トランジスタ11aのVI特性が非線形であることにほかならない。
階調間の電位差は、寄生容量Csの電荷の放電量に比例する。したがって、プログラム電流の印加時間つまり、過電流駆動では過電流Idの印加時間と大きさに連動する。たとえば、1H前のV0(階調0)と変化後のV1(階調1)の階調差が小さいからといって、過電流Idの印加時間を短くすることはできない。電位差が大きいからである。
逆に、階調差が大きくとも過電流を大きくする必要がない場合もある。たとえば、階調10と階調32では、階調10の電位V10と階調32の電位V32の電位差も小さく、階調32のプログラム電流Iwも大きいため、寄生容量Csを短時間で充放電できるからである。
図34は、横軸に1H前(変化前、つまり現在のソース信号線18電位を示す)の映像データの階調番号を示している。また、縦軸に現在の映像データの階調番号(変化後、つまり変化させる目標のソース信号線18電位を示す)を示している。
0階調目(1H前)から0階調目(変化後)に変化させるのは、電位変化がないため、KDATAは0でよい。ソース信号線18の電位変化がないからである。0階調目(1H前)から1階調目(変化後)に変化させるのは、V0電位からV1電位に変化させる必要がある。V1−V0電圧は大きいから、KDATAはMSBを1とし、下位4ビットを最高値の15(一例である)に設定する。ソース信号線18の電位変化が大きいからである。1階調目(1H前)から2階調目(変化後)に変化させるのは、V1電位からV2電位に変化させる必要があり、V2−V1電圧は比較的大きいから、KDATAの下位4ビットは最高値近傍の12(一例である)に設定する。ソース信号線18の電位変化が大きいからである。3階調目(1H前)から4階調目(変化後)に変化させるのは、V3電位からV4電位に変化させる必要がある。しかし、V4−V3電圧は比較的小さいため、KDATAの下位4ビットは小さい値の2に設定する。ソース信号線18の電位変化が小さくてすみ、寄生容量Csの充放電が短時間で実施でき、目標のプログラム電流を画素16に書き込むことができるからである。
変化前が低階調領域であっても、変化後の階調が中間調以上の場合は、KDATAのMSB=0とし、下位4ビットの値は0である。変化後の階調に対応するプログラム電流が大きく、1H期間内にソース信号線18の電位を目標電位または近傍の電位まで変化させることができるからである。たとえば、2階調から38階調目に変化させる場合は、KDATA=0である。
変化後が変化前より低階調の場合において、過電流駆動は実施しない。38階調から2階調目に変化させる場合は、KDATAのMSBを0とし、下位4ビット=0である。この場合は、図31(b)が該当し、主として画素16の駆動用トランジスタからプログラム電流Idが寄生容量Csに供給されるからである。図31(b)の場合は、過電流駆動方式は実施せず、電圧+電流駆動方式あるいはプリチャージ電圧駆動を実施することが好ましい。
本発明の過電流駆動方式において、図6、図9などで説明したN倍駆動方式、duty比を制御する駆動方式と組み合わせることは効果がある。また、過電流を印加する時に基準電流を増加させることは効果がある。基準電流の可変は、図15などで説明した電子ボリウム152などで行う。基準電流の増加により、図32などの構成では過電流も増加させることができるからである。したがって、寄生容量Csの充放電時間も短くなる。基準電流の大きさあるいは基準電流比の制御により、過電流駆動方式の過電流の大きさを制御することができる点も本発明の特徴ある構成である。
以上のように、KDATAがコントロールIC(回路)で決定され、KDATAがソースドライバ回路(IC)14に差動信号で伝送される。伝送されたKDATAは図32のラッチ回路221で保持され、D7スイッチが制御される。なお、制御は、スイッチD7だけでなく、スイッチD7、D6を同時に制御してもよい。また、時分割で制御してもよい。つまり、複数のスイッチを過電流印加時に制御を行ってもよい。
図34の表の関係は、マトリックスROMテーブルまたはルックアップテーブル931を用いてKDATAを設定してもよいが、計算式をプログラムし、マイコンあるいはコントローラIC(回路)の乗算器を用いてKDATAの算出(導出)を行ってもよい。また、コントローラIC(回路)で実施することに限定されるものではなく、ソースドライバ回路(IC)14に内蔵のコントロール回路あるいは演算回路で実施してもよいことは言うまでもない。
本発明は、基準電流の大きさによりプログラム電流Iwの大きさが基準電流に比例して変化する。したがって、図32などの過電流駆動の過電流の大きさも基準電流の大きさに比例して変化する。図34で説明したKDATAの大きさも基準電流の大きさの変化に連動させる必要があることは言うまでもない。つまり、KDATAの大きさは、基準電流の大きさに連動させる、あるいは基準電流の大きさを考慮することが好ましい。基準電流が大きければ過電流の大きさが比例して大きくなり、基準電流の大きさが小さければ過電流の大きさも小さくなるからである。
本発明の過電流駆動方式の技術的思想は、プログラム電流の大きさ、駆動用トランジスタ11aからの出力電流などに対応して過電流の大きさ、印加時間(印加期間)、過電流の実効値を設定するものである。また、過電流駆動とプリチャージ駆動とを組み合わせるものである。
比較回路331または比較手段などではRGBの映像データごとに比較を実施するが、RGBデータから輝度(Y値)を求めて、KDATAを算出してもよいことは言うまでもない。つまり、単に、各RGBで比較するのではなく、色度変化、輝度変化を考慮し、また、階調データの連続性、周期性、変化割合を考慮してKDATAを算出あるいは決定もしくは演算する。また、1画素単位でなく、周辺の画素の映像データもしくは映像データに類するデータを考慮してKDATAを導出してもよいことは言うまでもない。たとえば、表示画面34を複数のブロックに分割し、各ブロック内の映像データなどを考慮してKDATAを決定する方式が例示される。
図32などにおいて、過電流駆動時に過電流を流すために選択するスイッチのクローズ期間(たとえば、D7スイッチが選択される時間)は、1H(1水平走査期間)の3/4期間以下1/32期間以上に設定することが好ましい。さらに好ましくは1H(1水平走査期間)の1/2期間以下1/16期間以上に設定することが好ましい。過電流を印加する期間が長いと、正規のプログラム電流を印加する期間が短くなり、電流補償が良好にならない場合がある。また、寄生容量の温度依存性により過電流を印加しすぎとなるからである。逆に過電流の印加期間が短いとソース信号線18の電位変化を目標値に到達させることができなくなり、目標値の電位に対する偏差も大きくなる。
過電流を印加する期間が短いと、目標のソース信号線18の電位まで到達することができない。過電流駆動では、目標の階調のソース信号線18電位まで行うことが好ましいのは言うまでもない。しかし、過電流駆動のみで完全に目標のソース信号線電位にする必要はない。1Hの前半の過電流駆動後に、正規の電流駆動を実施し、過電流駆動により生じた誤差は、正規の電流駆動によるプログラム電流で補償されるからである。したがって、過電流駆動は、ソース信号線18の電位目標値よりも小さめに設定(未到達)することが好ましい。本発明は、過電流駆動での偏差が発生しても、映像信号に対するプログラム電流で補正できることが1つの特徴ある方式である。
図35は、過電流駆動方式を実施した場合の、ソース信号線18の電位変化を図示している。図35(a)は一例としてD7スイッチを1/(2H)期間オン状態にした場合である。1水平走査期間(1H)の最初であるt1よりD7スイッチをオンし、128個分の単位トランジスタ164の単位電流が出力端子83から吸い込まれる。D7スイッチは1/(2H)のt2期間までの間、オン状態が維持され、過電流Id2がソース信号線18に流れる。したがって、ソース信号線18の電位は目標電位のVn電位近傍のVm電位まで低下する。その後(t2後)、D5スイッチはオフ状態となり、正規のプログラム電流Iwが1Hの終了(t3)まで、ソース信号線18に流れて、ソース信号線18電位は目標のVn電位となる。
ソースドライバ回路(IC)14は定電流動作する。したがって、t2〜t3期間には定電流のプログラム電流Iwが流れる。このプログラム電流Iwにより、寄生容量Csが目標電位になるまで充放電されると、画素16の駆動用トランジスタ11aから電流Iが流れ、ソース信号線18の電位は目標プログラム電流Iwが流れるように保持される。したがって、駆動用トランジスタ11aは所定プログラム電流Iwが流れるように保持される。以上のように、過電流駆動の過電流の精度は必要ない。精度がなくとも、画素16の駆動用トランジスタ11aにより補正される。
図35(b)はD7スイッチを1/(4H)期間オン状態にした場合である。1水平走査期間(1H)の最初であるt1よりD7スイッチをオンし、32個分の単位トランジスタ164の単位電流が出力端子83から吸い込まれる。D7スイッチは1/(4H)のt4期間までの間、オン状態が維持され、過電流Id2がソース信号線18に流れる。したがって、ソース信号線18の電位は目標電位のVn電位近傍のVm電位まで低下する。その後(t4後)、D7スイッチはオフ状態となり、正規のプログラム電流Iwが1Hの終了(t3)まで、ソース信号線18に流れて、ソース信号線18電位は目標のVn電位となる。
ソースドライバ回路(IC)14は定電流動作する。したがって、t4〜t3期間には定電流のプログラム電流Iwが流れる。このプログラム電流Iwにより、寄生容量Csが目標電位になるまで充放電されると、画素16の駆動用トランジスタ11aから電流Iが流れ、ソース信号線18の電位は目標プログラム電流Iwが流れるように保持される。したがって、駆動用トランジスタ11aは所定プログラム電流Iwが流れるように保持される。以上のように、過電流駆動の過電流の精度は必要ない。精度がなくとも、画素16の駆動用トランジスタ11aにより補正される。
図35(c)はD7スイッチを1/(8H)期間オン状態にした場合である。1水平走査期間(1H)の最初であるt1よりD7スイッチをオンし、32個分の単位トランジスタ164の単位電流が出力端子83から吸い込まれる。D7スイッチは1/(8H)のt5期間までの間、オン状態が維持され、過電流Id2がソース信号線18に流れる。したがって、ソース信号線18の電位は目標電位のVn電位近傍のVm電位まで低下する。その後(t5後)、D7スイッチはオフ状態となり、正規のプログラム電流Iwが1Hの終了(t3)まで、ソース信号線18に流れて、ソース信号線18電位は目標のVn電位となる。
以上のように、単位トランジスタ164の動作個数と、1つの単位トランジスタ164の単位電流の大きさが固定値である。したがって、D7スイッチのオン時間により、比例して寄生容量Csの充放電時間を操作することができ、ソース信号線18の電位を操作することができる。なお、説明を容易にするため、寄生容量Csを過電流により充放電させるとしているが、画素16のスイッチトランジスタなどのリークもあるから、Csの充放電に限定されるものではない。
以上のように、過電流の大きさが単位トランジスタ164の動作個数により把握できる点が本発明の特徴ある構成である。書き込み時間tは、T=ACV/I(A:比例定数、C:寄生容量の大きさ、V:変化する電位差、I:プログラム電流)で表すことができるから、KDATAも値も、寄生容量(アレイ設計時に把握できる)、駆動用トランジスタ11aのVI特性(アレイ設計時に把握できる)などから理論値にKDATAの値を決定できる。
図32の実施例は、最上位ビットD7スイッチを操作することにより、過電流駆動の過電流Idの大きさ、印加時間を制御するものであった。本発明はこれに限定するものではない。最上位ビット以外のスイッチを操作あるいは制御してもよいことは言うまでもない。
図36は、ソースドライバ回路(IC)14が各RGB8ビット構成である場合において、最上位ビットのスイッチD7と最上位ビットから2番目のスイッチD6をKDATAにより制御した構成である。なお、説明を容易にするため、D7ビットには128個の単位トランジスタ164が形成または配置されているとし、D6ビットには64個の単位トランジスタ164が形成または配置されているとする。
図36(a1)はD7スイッチの動作を示している。図36(a2)はD6スイッチの動作を示している。図36(a3)はソース信号線18の電位変化を示している。図36(a)ではD7、D6のスイッチが同時に動作するため、単位トランジスタ164は128+64個が同時に動作し、出力端子83からソースドライバ回路(IC)14に流れ込む。したがって、階調0のV0電圧から階調3のV3電圧まで高速にソース信号線18電位を変化させることができる。なお、t2後は、正規のスイッチDが閉じ、正規のプログラム電流Iwが出力端子83からソースドライバ回路(IC)14に吸い込まれる。
同様に、図36(b1)はD7スイッチの動作を示している。図36(b2)はD6スイッチの動作を示している。図36(b3)はソース信号線18の電位変化を示している。図36(b)ではD7スイッチのみが動作するため、単位トランジスタ164は128個が同時に動作し、出力端子83からソースドライバ回路(IC)14に流れ込む。したがって、階調0のV0電圧から階調2のV2電圧まで高速にソース信号線18電位を変化させることができる。図36(a)より変化速度は小さい。しかし、変化する電位がV0からV2であるから、適正である。なお、t2後は、正規のスイッチDが閉じ、正規のプログラム電流Iwが出力端子83からソースドライバ回路(IC)14に吸い込まれる。
なお、以上の実施例は、シンク電流の場合である。駆動用トランジスタ11aがNチャンネルの場合は、ソースドライバ回路14の単位トランジスタ164は、Pチャンネルトランジスタで形成される。したがって、単位トランジスタ164からの出力電流(過電流)は、ソース信号線18に吐き出される。
以上のように、本発明は、ソースドライバ回路14がシンク電流動作する場合を例示して説明しているがこれに限定するものではなく、ソース電流(吐き出し電流)の場合も、実施例の必要箇所を読み替えるだけで適用することができるから、本発明の技術的範疇である。
同様に、図36(c1)はD7スイッチの動作を示している。図36(c2)はD6スイッチの動作を示している。図36(c3)はソース信号線18の電位変化を示している。図36(c)ではD6スイッチのみが動作するため、単位トランジスタ164は64個が同時に動作し、出力端子83からソースドライバ回路(IC)14に流れ込む。したがって、階調0のV0電圧から階調1のV1電圧まで高速にソース信号線18電位を変化させることができる。図36(b)より変化速度は小さい。しかし、変化する電位がV0からV1であるから、適正である。なお、t2後は、正規のスイッチDが閉じ、正規のプログラム電流Iwが出力端子83からソースドライバ回路(IC)14に吸い込まれる。
以上のようにKDATAにより、スイッチのオン期間だけでなく、複数のスイッチを操作あるいは動作させ、動作させる単位トランジスタ164の個数あるいは単位電流の大きさを変化あるいは可変もしくは調整することにより、適正なソース信号線電位に設定あるいは変化させることができる。
図36では、過電流駆動によるスイッチD(D6、D7)をt1からt2の期間に動作させるとしたが、これに限定するものではなく、図28に図示あるいは説明したように、t2、t3、t4などのようにKDATAの値によって変化あるいは変更してもよいことは言うまでもない。また、過電流を印加している期間に基準電流あるいは基準電流の大きさを制御あるいは変更し、過電流の大きさを調整してもよい。なお、この場合であっても、正規のプログラム電流を印加している期間は基準電流あるいは基準電流の大きさは正規の値にする。
操作するスイッチはD7、D6に限定するものではなく、D7など他のスイッチも同時にあるいは選択して動作あるいは制御してもよいことは言うまでもない。a期間の例では、過電流駆動として1/(2H)の期間D7スイッチをオン状態にして、128個の単位電流からなる過電流をソース信号線18に印加している。
b期間の例では、過電流駆動として1/(2H)の期間D7、D6スイッチをオン状態にして、128+64個の単位電流からなる過電流をソース信号線18に印加している。
c期間の例では、過電流駆動として1/(2H)の期間D7、D6、D5スイッチをオン状態にして、128+64+32個の単位電流からなる過電流をソース信号線18に印加している。
d期間の例では、過電流駆動として1/(2H)の期間D7、D6、D5スイッチと前記スイッチに該当しない映像データのスイッチ(たとえば、映像データが4であれば、D2スイッチ)をオン状態にして、128+64+32+α個の単位電流からなる過電流をソース信号線18に印加している。
以上の実施例は、図32などで説明したように、スイッチD7などを制御することにより、所定期間に過電流を発生させる方式であった。他に、図15で説明した基準電流Icを変化させることも例示される。つまり、所定期間に、電子ボリウム152を制御することにより、基準電流Icを大きくし、出力端子83から出力されるプログラム電流Iwを大きくする。大きくしたプログラム電流Iwは図32などで説明した過電流とみなせる。したがって、図32などで説明した効果を享受できる。また、以上に説明した所定期間に基準電流を大きくする方式と、図32などで説明した所定期間にスイッチDを制御する方式を組み合わせてもよいことは言うまでもない。また、duty比制御、N倍駆動方式、プリチャージ駆動などと組み合わせてもよいことは言うまでもない。
本発明では、ソースドライバ回路(IC)14内にトランジスタ群165cを有し、このトランジスタ群165cはスイッチDのオンオフにより、階調の対応した単位電流(プログラム電流)を出力できる。したがって、トランジスタ群165cから所定の階調に該当するプログラム電流を出力し、画素16の駆動用トランジスタ11aを動作させることにより、前記画素16の駆動用トランジスタ11aがプログラム電流を流すことができるように設定あるいは調整することができる。
この動作時、図1に図示する画素構成では、トランジスタ11b、11cがクローズ状態であるから、ソース信号線18の電位と、画素16の駆動用トランジスタ11aのゲート端子の電位は同一電位である。したがって、画素16の駆動用トランジスタ11aがプログラム電流Iwを流している時のソース信号線18の電位は、画素16の駆動用トランジスタ11aがプログラム電流Iwを流すのに必要な電位(電圧)ということになる。この電圧をプリチャージ電圧Vpとすると、プリチャージ電圧Vpをソース信号線18に印加すれば、画素16の駆動用トランジスタ11aがプログラム電流Iwを流すことになる。
ソースドライバ回路14からプリチャージ電圧Vpをソース信号線18に印加し、該当画素行のゲート信号線17aにオン電圧を印加することにより選択する。画素16の駆動用トランジスタ11aのゲート端子にプリチャージ電圧Vpが印加され、駆動用トランジスタ11aがプログラム電流Iwを流すようにプログラム(設定)される。したがって、プリチャージ電圧Vpを該当画素16の駆動用トランジスタ11aの特性に合わせて印加すれば、精度よく駆動用トランジスタ11aはプログラム電流Iwにプログラムされる。プリチャージ電圧Vpは電圧であるから、ソース信号線18に寄生容量があっても、順次のソース信号線18の電位を充放電できる。つまり、プリチャージ駆動の利点を享受できる。
本発明では、映像の階調信号に対応するプログラム電流と、定電流をIwと表現している。これは、定電流Iwはソースドライバ回路14から発生させるため発生素子、その構造が一致していること、階調に対応するプログラム電流を所定の設定にした場合が定電流であるためである。
本発明の明細書において、表示画面34において、表示領域63と全表示画面34の割合をduty比と呼ぶ。つまり、duty比は表示領域63の面積/全表示画面34の面積である。あるいは、duty比はオン電圧が印加されているゲート信号線17bの本数/全ゲート信号線17bの本数でもある。また、ゲート信号線17bにオン電圧が印加され、このゲート信号線17bに接続されている選択画素行数/表示画面34の全画素行数でもある。
本明細書において、点灯率に応じてduty比制御などを変化させるとして説明する。しかし、点灯率とは、一定の意味ではない。たとえば、低点灯率とは、表示画面34に流れる電流が小さいことを意味しているが、画像を構成する低階調表示の画素が多いことも意味する。つまり、表示画面34を構成する映像は、暗い画素(低階調の画素)が多い。
したがって、低点灯率とは、画面を構成する映像データのヒストグラム処理をした時、低階調の映像データが多い状態と言い換えることができる。高点灯率とは、表示画面34に流れる電流が大きいことを意味しているが、画像を構成する高階調表示の画素が多いことも意味する。つまり、表示画面34を構成する映像は、明るい画素(高階調の画素)が多い。高点灯率とは、画面を構成する映像データのヒストグラム処理をした時、高階調の映像データが多い状態と言い換えることができる。つまり、点灯率に対応して制御するとは、画素の階調分布状態あるいはヒストグラム分布に対応して制御することと同義あるいは類似の状態を意味することがある。
以上のことから、点灯率にもとづいて制御するとは、場合に応じて画像の階調分布状態(低点灯率=低階調画素が多い。高点灯率=高階調画素が多い。)にもとづいて制御すると言い換えることができる。たとえば、低点灯率になるにしたがって基準電流比を増加させ、高点灯率になるにしたがってduty比を小さくするとは、低階調の画素数が多くなるにしたがって、基準電流比を増加させ、高階調の画素数が多くなるにしたがってduty比を小さくすると言い換えることができる。または、低点灯率になるにしたがって基準電流比を増加させ、高点灯率になるにしたがってduty比を小さくするとは、低階調の画素数が多くなるにしたがって基準電流比を増加させ、高階調の画素数が多くなるにしたがってduty比を小さくするのと同一あるいは類似の意味あるいは動作もしくは制御である。
また、たとえば、所定の低点灯率以下で基準電流比をN倍し、かつ選択信号線数をN本にするとは、低階調の画素数が一定以上の時に、基準電流比をN倍し、かつ選択信号線数をN本にすることと同一あるいは類似の意味あるいは動作もしくは制御である。
また、たとえば、通常は、duty比1/1で駆動し、所定の高点灯率以上で段階的にあるいはスムーズにduty比を低下させるとは、低階調あるいは高階調の画素数が一定の範囲以内の時に、duty比1/1で駆動し、高階調の画素数が一定以上の数となった時に、段階的にあるいはスムーズにduty比を低下させることと同一あるいは類似の意味あるいは動作もしくは制御である。
図37に図示するように、低点灯率領域(図37では点灯率20%以下)でduty比を低下させ(図37(a))、duty比の低下にあわせて、基準電流比を上昇させ(図37(b))てもよい。以上のようにduty比制御と基準電流比制御を同時に行うことにより、図37(c)で図示するように輝度の変化はなくなる。
低点灯率では低階調領域でのプログラム電流の書き込み不足が顕著に目立つ。しかし、図37(a)、(b)に図示するように低点灯率領域で基準電流を増加させることによりプログラム電流を基準電流に比例して増加させることができるので電流の書き込み不足がなくなる。かつ輝度も一定であるから良好な画像表示を実現できる。つまり、低点灯率あるいは所定の点灯率の範囲で基準電流比×duty比が定数の関係となるように制御する。
図37において、点灯率が高い領域(図37では40%以上)では、duty比は低下させるが、基準電流比は1のまま一定とする。したがって、輝度はduty比の低下にともなって低下するから、パネルの消費電力を制御(基本的には少なく)することができる。
基準電流比、duty比と点灯率との関係は以下に説明するように一定の関係を保つことが好ましい。フリッカの発生の増加またはパネルの自己発熱による劣化が加速されるからである。点灯率が30%以下の領域では、duty比×基準電流比(A)が0.7以上1.4以下にすることが好ましい。さらに好ましくは0.8以上1.2以下にすることが好ましい。また、点灯率が80%以下の領域では、duty比×基準電流比(A)が0.1以上0.8以下になるように制御あるいは設定することが好ましい。また、さらに好ましくは0.2以上0.6以下なるように制御あるいは設定することが好ましい。
あるいは、点灯率50%の時のduty比×基準電流比をAとした時、点灯率が30%以下の領域では、duty比×基準電流比×Aが0.7以上1.4以下に設定あるいは制御することが好ましい。さらに好ましくは0.8以上1.2以下に設定あるいは制御することが好ましい。また、点灯率が80%以下の領域では、duty比×基準電流比×Aが0.1以上0.8以下に設定あるいは制御することが好ましい。さらに好ましくは0.2以上0.6以下に設定あるいは制御することが好ましい。
しかし、基準電流の可変は、過電流駆動で課題となる。過電流の大きさが、基準電流の大きさに比例するからである。したがって、図37(b)に図示するように低点灯率の領域で基準電流の大きさを変化させると、この領域での過電流プリチャージの大きさが変化する。具体的には、基準電流比を2倍にすると過電流も2倍となり、目標の階調値に到達する時間が1/2となる。過電流を印加する期間は、固定であるから、基準電流比が大きくなるなど変化すると目標値からずれてしまう。
この課題に対して、図37(d)に図示するように、過電流(プリチャージ電流)の比(プリチャージ電流比と呼ぶ)も、基準電流比および点灯率に対応して変化させる。図37(d)では、基準電流比が点灯率20%以下で2まで変化するため、点灯率20%以下でプログラム電流比を1から1/2まで変化させる。(過電流)プリチャージ電流比×基準電流比が定数(C)となるように設定する。つまり、C=プリチャージ電流比×基準電流比とする。また、基準電流比がn倍になれば、プリチャージ電流比を1/nにする。なお、Cは完全に固定(定数)値とすることに限定されない。多少の変化があっても、表示には反映されないからである。Cの変動幅は、0.8以上1.2以下となるようにする。
なお、図37(d)において、点灯率に対応させて線形に、プリチャージ電流比を変化させるとした。しかし、本発明はこれに限定するものではない。プリチャージ電流比などをステップで変化させてもよい。たとえば、図37の実施例において、点灯率0%以上5%以下は、プリチャージ電流比を2.0とし、点灯率5%以上10%以下は、プリチャージ電流比を1.75とし、点灯率10%以上15%以下は、プリチャージ電流比を1.50とし、点灯率15%以上20%以下は、プリチャージ電流比を1.25Vとし、点灯率20%以上でプリチャージ電流比を1.0と変化させてもよい。
プリチャージ電流比をステップ的に変化させた場合であっても、プリチャージ電流比の変化に対応して基準電流比を変化させる。また、基準電流比、プリチャージ電流比などの変化スピードは、ローパスフィルタ特性(速い点灯率の変化には追従しない)を持たせることが好ましい。また、ヒステリシス特性(一度、変化すると、再び点灯率が元に復帰しても比が変化しない)を持たせることが好ましい。
また、同様のこと(ステップ的に変化させること、ヒステリシス特性を有すること)は、duty比についても適用される。
以上のように、duty比、基準電流比、プリチャージ電流比は、相関の関係に制御する。duty比×基準電流比は定数の関係とする。基準電流比×プリチャージ電流比も定数の関係にする。したがって、duty比×(1/プリチャージ電流比)も定数の関係にする。あるいは略定数の関係にする。
図38の実施例では、プリチャージ電流としての過電流は最上位ビットのD7スイッチをオン(クローズ)させることにより実施している。過電流の大きさは、D7スイッチがクローズする期間によって制御あるいは調整する。
図38の実施例は、階調は階調スイッチ制御回路381で実施する。つまり、8ビットの映像信号に対応して該当のスイッチD0〜D7がオンオフ制御される。一方プリチャージ電流(過電流)は、の基準電流比に対応して、スイッチS0〜S7を制御して出力される。
図38は、8ビットの映像電流信号の1出力段である。映像データD0〜D7はスイッチD*a(*は0〜7で、ビット位置を示す)がクローズすることにより出力端子83から出力される。スイッチD*aは、映像データに応じて該当スイッチがクローズする。一方、スイッチD*b(*は0〜7で、ビット位置を示す)は、電流プリチャージ期間の間クローズする。スイッチD*bのクローズにより、プリチャージ電流(過電流Id)が出力端子83から出力される。
0階調目に相当するオフセット電圧であるプリチャージ電圧V0はスイッチ161aがクローズすることにより出力端子83から出力される。プリチャージ電流Idおよびプログラム電流Iwはスイッチ161bがクローズすることにより出力端子83から出力される。スイッチ161aとスイッチ161bとは同時にクローズしないようにインバータ384により排他的に制御されている。
インバータ384へのロジックデータは、プリチャージ期間判定部383により印加される。つまり、プリチャージ期間判定部383は、電流プリチャージパルスの長さ設定値によりインバータ383を制御する。
実施例では、基準電流比が1から2まで変化する。したがって、プリチャージ電流の大きさ(比率)も、1から1/2に変化させる。たとえば、基準電流比が1の時は、プリチャージ電流制御回路382によりスイッチS7がクローズすると設定されていれば、基準電流比が2に変化した時は、プリチャージ電流制御回路382によりスイッチS6がクローズするように制御される。スイッチS7がクローズ状態でのプリチャージ電流の大きさと、スイッチS6がクローズ状態でのプリチャージ電流の大きさは、2倍差が発生するからである。基準電流比1から2の間のプリチャージ電流の変化はスイッチS0〜S7を制御することによりリニアに調整することができる。
以上のように実施することにより、プリチャージ電流比×基準電流比が定数(C)となるように設定あるいは制御することができる。つまり、C=プリチャージ電流比×基準電流比とする。また、プリチャージ電流の大きさも、プリチャージ電流期間の調整、スイッチSの選択の組み合わせにより調整することができる。
以上のように、図37に図示するように、低点灯率範囲など点灯率に対応させて基準電流を変化させても、同時に点灯率に対応してプリチャージ電流の大きさの相対値を変化させることにより、プリチャージ電流を良好に実現できる。したがって、階調が変化してもプリチャージ電流により良好に目標階調に到達させることができる。
基準電流を大きくすることは、EL素子15に流れる電流の大きさも大きくなる。また、駆動用トランジスタ11aのチャンネル(S−D)間電圧も高くなる。したがって、基準電流比が大きくなれば、アノード電圧(Vdd)とカソード電圧(Vss)間の絶対値を大きくする必要がある。
アノード電圧(Vdd)とカソード電圧(Vss)間の絶対値を大きくすることは、EL表示装置の消費電力が増大することになる。消費電力の増大は発熱を引き起こし、EL表示装置を劣化させる。本発明は、点灯率にあわせて、特に低点灯率の範囲で書き込み不足を解消する点から基準電流を大きくする。したがって、低点灯率領域で、基準電流が大きくなるため、アノード電圧(Vdd)とカソード電圧(Vss)間の絶対値を大きくする必要がある。しかし、従来の電圧発生回路は点灯率によらず、アノード電圧(Vdd)とカソード電圧(Vss)の電圧値は一定であった。そのため、特に、高点灯率の領域で消費電流も増大するため、EL表示装置が発熱するという問題点があった。
この課題に解決するため、図39に図示するように、低点灯率領域でカソード電圧を低下させている。カソード電圧の低下制御は、基準電流の変化に対応して行う。図37の実施例では、点灯率が20%以下で基準電流を増大させている。したがって、図39の実施例でも点灯率20%以下でカソード電圧を低下させている。
図39でアノード電圧を一定にし、基準電流の変化に対応してカソード電圧を変化させているのは、本発明の実施例における画素16の駆動用トランジスタ11aがPチャンネルであるからである。アノード電位を起点として、電流プログラムを行うからである。したがって、アノード電圧を一定値とした方が、電流プログラムの精度が高く維持でき、また、回路構成も容易だからである。また、本発明のEL表示装置は、カソードにEL素子15の一端子が接続されているため、カソード電圧の変化が発生しても表示に影響を与えないからである。しかし、図41に図示するようにアノード電圧を基準電流に対応して変化させてもよい。
以上のように、本発明は、点灯率に応じてEL表示装置の電源電圧を変化させることに特徴がある。特に、基準電流の変化に対応して電源電圧を変化させる。また、点灯率に対応して電源電圧(アノード電圧Vddとカソード電圧Vssのうち、少なくとも一方)を変化させる駆動方式である。また、プリチャージ電流の大きさに対応して電源電圧を変化させる。もしくは、アノード電圧Vddとカソード電圧Vssの絶対値を大きくする。特に、低点灯率の領域において、電源電圧(アノード電圧Vddとカソード電圧Vss)の絶対値を大きくする。
電源電圧の絶対値を大きくする方法は、容易である。通常、電源ICは、パルス制御が行われている。印加される(電源ICの内部で発生する)パルスの周波数が高くなれば、電圧は上昇する。印加される(電源ICの内部で発生するあるいは発振する)パルスの周波数が低くなれば、電圧は低下する。したがって、電源ICのパルス制御を行うことにより、電源ICから出力される電圧の大きさを容易に制御できる。
逆に、基準電流が大きい領域を基準として考えれば、本発明は点灯率に対応して電源電圧(アノード電圧Vddとカソード電圧Vssのうち、少なくとも一方)を低下させる駆動方式である。つまり、高点灯率領域で電源電圧を低下させる。また、プリチャージ電流の大きさに対応して電源電圧を低下させる。もしくは、アノード電圧Vddとカソード電圧Vssの絶対値を大きくする。つまり、プリチャージ電流が小さくなれば、電源電圧を低下させる。特に、高点灯率の領域において、電源電圧(アノード電圧Vddとカソード電圧Vss)の絶対値を小さくする方式である。
図39はアノード電圧とカソード電圧を発生させる2電源方式の実施例である。図41は、カソード側をグランド(GND)とし、アノード電圧を変化させる方式である。図41でも、図39と同様に、点灯率に応じてEL表示装置の電源電圧を変化させることに特徴がある。特に、基準電流の変化に対応して電源電圧を変化させる。また、点灯率に対応して電源電圧(アノード電圧Vdd)を変化させる駆動方式である。また、プリチャージ電流の大きさに対応して電源電圧を変化させる。もしくは、アノード電圧Vddの絶対値を大きくする。特に、低点灯率の領域において、電源電圧(アノード電圧Vdd)の絶対値を大きくする。
図41の単一電源の場合は、図40に図示するように、パルス制御などを実施するロジック信号レベルVccをレベルシフトしてアノード電圧Vddレベルまで上昇させる。オフセットキャンセル電圧V0などのプリチャージ電圧Vpレベルは、アノード電圧Vddを基準となるようにする。この構成により、Vdd電圧が変化してもプリチャージ電圧には影響を与えない。
なお、図39、図40において、点灯率に対応させて線形に、カソード電圧またはアノード電圧を変化させるとした。しかし、本発明はこれに限定するものではない。カソード電圧などをステップで変化させてもよい。たとえば、図39の実施例において、点灯率0%以上5%以下は、カソード電圧を−9Vとし、点灯率5%以上10%以下は、カソード電圧を−8.5Vとし、点灯率10%以上15%以下は、カソード電圧を−8.0Vとし、点灯率15%以上20%以下は、カソード電圧を−6.5Vとし、点灯率20%以上で−5.5Vと変化させてもよい。
また、カソード電圧とアノード電圧は同時に変化させてもよい。また、カソード電圧とアノード電圧との絶対値を変化させるように制御してもよいことはいうまでもない。
カソード電圧の変化は、電源ICの外付け抵抗の分圧比で調整する。したがって、スイッチ回路により複数の抵抗を切り替え、選択することにより、抵抗値はステップ的に変更あるいは変化させることができる。また、他ステップを有する電子ボリウムなどを用いることにより、点灯率に対してほぼリニアに変化させることができる。
また、カソード電圧値、アノード電圧値などの電圧の変化スピードは、ローパスフィルタ特性(速い点灯率の変化には追従しない)を持たせることが好ましい。また、ヒステリシス特性(一度、カソード電圧値、アノード電圧値が変化すると、再び点灯率が元に復帰しても電圧値が変化しない)を持たせることが好ましい。
本発明の実施例において、ソース信号線18などに定電流を流す、あるいは、ソース信号線18をハイインピーダンス状態に保持してV1、V0電圧などを測定するとした。測定した電圧は、EEPROMや、ROMなどに電圧データ(あるいは電流データ)として保持される。あるいはソースドライバ回路14などに保持される。しかし、すべての電圧データなどを保持すると非常に膨大なデータ量となる。そのため、圧縮技術を用いてROMなどに保持させてもよい。
たとえば、JPEGなどの静止画圧縮技術あるいはフォーマットが例示される。とくに、トランジスタ11aの特性分布はランダムではなく、周辺部の特性と近似している。そのため、画像データの圧縮技術を用いることにより良好な圧縮を実施することができる。また、MPEGなどの動画圧縮技術などを用いてもよいことはいうまでもない。以上の事項は本発明の他の実施例にも適用できることは言うまでもない。
図6、図6などの実施例では、ゲートドライバ回路12aとゲートドライバ回路12bは、水平同期信号に同期して動作するとした。そのため、点灯、非点灯の制御は、1画素行単位(1水平走査期間)であった。
図42の実施例は、点灯、非点灯制御を1水平走査期間以内で実施できる実施例である。ゲートドライバ回路12aのシフトレジスタ回路31aは、水平走査期間信号(水平同期信号)に同期してデータ位置をシフトする。
ゲート信号線17bを選択するゲートドライバ回路12bのシフトレジスタ回路31bは、ゲートドライバ回路12aのシフトレジスタ回路31aの4倍の段数を有している。ゲートドライバ回路12bのシフトレジスタ回路31bは、シフトレジスタ回路31aの4倍の動作クロック(CLK4)でデータをシフトする。
つまり、シフトレジスタ回路31aが1データシフトする期間に、シフトレジスタ回路31bは、4データをシフトする。以上の構成により、1水平走査期間の1/4単位で画素行の点灯、非点灯制御を実現できる。
図43にさらに、シフトレジスタ回路31bの段数と、ゲート信号線17bの接続された位置を示したものである。シフトレジスタ回路31bの出力は4段ごとにゲート信号線17bのロジック出力として出力される。
隣接したシフトレジスタ回路31bの段数を低減するため、また、各段のデータの変化を緩和するためには、図44のように構成するとよい。
図44において、×はゲート信号線17を非選択(オフ電圧を出力する)にするデータであることを、○はゲート信号線17を選択(オン電圧を出力する)にするデータであることを示している。なお、AND回路213の出力にはレベル変換回路が構成されるが説明を容易にするため省略している。
シフトレジスタ回路31bの隣接した各段のデータ出力は、AND回路213でAND(積和)する。また、垂直方向のアウトプットイネーブル(OEV)端子により、ゲート信号線17bの選択を強制的に非選択とするように構成されている。
以上の構成によりシフトレジスタ回路31bの隣接した段の2つが、選択”○”の時、該当のゲート信号線17bから選択電圧(VGL)が出力される。
図45は、シフトレジスタ回路31bの隣接した2つの段数のデータが選択の時で、かつ2つの段数が独立してロジック制御できるように構成した実施例である。隣接した段の2つが、選択”○”の時、該当のゲート信号線17bから選択電圧(VGL)が出力される。
以上の実施例は、シフトレジスタ回路31bの出力にAND回路213を形成した実施例であった。しかし、本発明はこれに限定するものではなく、図46に図示するように、OR回路951を形成してもよい。
また、シフトレジスタ回路31をシフトレジスタ回路31aとシフトレジスタ回路31bの2段で構成し、さらにOEV端子を形成し、シフトレジスタ回路31aとシフトレジスタ回路31bとOEV端子のロジックとをANDすることにより、ゲート信号線17bの選択、非選択を柔軟に実施することができる。このロジック信号の組み合わせ例を図47に示す。
以上のように、図42などの本発明の構成は、ゲートドライバ回路12bのシフトレジスタ回路31bの段数を、ゲートドライバ回路12aのシフトレジスタ回路31aの段数のm倍(mは2以上の整数)とし、また、ゲートドライバ回路12bのシフトレジスタ回路31bの動作クロックを、ゲートドライバ回路12aのシフトレジスタ回路31aの動作クロックのm倍(mは2以上の整数)とすることにより、1水平走査期間以下の点灯制御を実施できるように構成したもの、あるいは方式である。この構成により、輝度制御をフリッカレスでスムーズに行うことができる。
図6などで説明したように、本発明は、主として表示領域63または非表示領域62を帯状にし、画面34を上下または逆に移動させた表示する方式であった。しかし、本発明はこれに限定するものではない。図49に図示するように、画面34を上下に分割し、画像表示をおこなってもよい。
図49(a)は、1フレームの前半の(1/2)フレームの表示状態である。図49(b)は、1フレームの後半の(1/2)フレームの表示状態である。1フレームの前半では、画面34の上半分は非表示領域62(該当領域のゲート信号線17bに選択電圧(VGL)が印加されていない)となっている。上半分の領域では、ゲートドライバ回路12aによりゲート信号線17aに選択電圧が順次印加されている。
図49(b)は、1フレームの後半の(1/2)フレームの表示状態である。1フレームの後半では、画面34の下半分は非表示領域62(該当領域のゲート信号線17bに選択電圧(VGL)が印加されていない)となっている。下半分の領域では、ゲートドライバ回路12aによりゲート信号線17aに選択電圧が順次印加されている。
理解を容易にするため、具体的数値を記載して説明する。画素行を240とする。したがって、上半分の領域とは、1画素行目から120画素行目が該当する。下半分の領域とは、121画素行目から240画素行目が該当する。ゲートドライバ回路12aは、ゲート信号線17aを順次選択し、1フレーム期間で、1画素行目から240画素行目を順次選択し、ソースドライバ回路14のプログラム電流(電圧)を順次画素16に印加する。ゲートドライバ回路12bは、図51に図示するように、画面34の上半分を駆動するゲートドライバ回路12b1と画面34の下半分を駆動するゲートドライバ回路12b2が構成されている。ゲートドライバ回路12b1、ゲートドライバ回路12b2は、それぞれ内部にシフトレジスタ回路31を有し、データをシフトすることにより、任意のゲート信号線17bのオン電圧またはオフ電圧を印加することができる。しかし、図49の実施例では、OEV端子制御を行う。
OEV1端子は、端子にロジックレベルのLを入力することにより、ゲートドライバ回路12b1の全ゲート信号線17bにオフ電圧が出力される。したがって、画面34の上半分が非表示領域62となる。また、OEV1端子にロジックレベルのHを入力することにより、ゲートドライバ回路12b1の全ゲート信号線17bにオン電圧が出力される。したがって、画面34の上半分が表示領域63となる。
OEV2端子は、端子にロジックレベルのLを入力することにより、ゲートドライバ回路12b2の全ゲート信号線17bにオフ電圧が出力される。したがって、画面34の下半分が非表示領域62となる(図49(b))。また、OEV2端子にロジックレベルのHを入力することにより、ゲートドライバ回路12b2の全ゲート信号線17bにオン電圧が出力される。したがって、画面34の下半分が表示領域63となる(図49(a))。
ゲートドライバ回路12aが、画面34の1画素行目から120画素行目を書き換えている期間は、図49(a)の状態に制御される。つまり、OEV1端子にLロジック信号が印加され、ゲートドライバ回路12b1が受け持つゲート信号線17bにはオフ電圧が印加される。また、OEV2端子にHロジック信号が印加され、ゲートドライバ回路12b2が受け持つゲート信号線17bにはオン電圧が印加される。
ゲートドライバ回路12aが、画面34の121画素行目から24画素行目を書き換えている期間は、図49(b)の状態に制御される。つまり、OEV1端子にHロジック信号が印加され、ゲートドライバ回路12b1が受け持つゲート信号線17bにはオン電圧が印加される。また、OEV2端子にLロジック信号が印加され、ゲートドライバ回路12b2が受け持つゲート信号線17bにはオフ電圧が印加される。
図50は、2フレーム期間の画像表示状態を図示している。画面34の上半分とした下半分とが交互に表示される。以上のように表示制御することにより、動画視認性が大幅に向上する。また、ゲートドライバ回路12bにシフトレジスタ回路31を形成する必要がなく、回路構成を簡略化できる。また、狭額縁化が可能である。
以上の実施例は、画面34を上下に2分割にする構成であった。しかし、本発明はこれに限定するものではなく、たとえば、図52に図示するように、画面を4分割してもよい。この実施例の場合は、ゲートドライバ回路12bをゲートドライバ回路12b1、ゲートドライバ回路12b2、ゲートドライバ回路12b3、ゲートドライバ回路12b4に構成し、各ゲートドライバ回路12bにOEV端子(OEV1、OEV2、OEV3、OEV4)を配置すればよい。ゲートドライバ回路12aの動作は図51と同様に画面の上方から下方に向かって順次走査する。
さらに、図57に図示するように、表示領域34を細分化して制御をおこってもよい。図76は1画素行ごとに、表示領域63と非表示領域62の制御を行ったものである。
以上の実施例は、フレームを2分割し、表示領域63と非表示領域62を交互に実施するものであった。しかし、本発明はこれに限定するものではない。たとえば、1フレームを4つの期間に分割し、表示領域63と非表示領域62を交互に実施してもよい。
以上のように、本発明は、1フレーム期間を複数の時間に分割し、また、表示領域を複数に分割して表示領域63、非表示領域62の制御を実施するものである。
なお、本発明は、図49などの画面34を分割する方式に限定するものではない。たとえば、図53に図示するように、実施してもよい。図53は1フレーム期間の駆動方式の説明図である。
図53において、図53(a)((a1)、(a2)、(a3)、(a4))は、ゲートドライバ回路12aによる画像の書き込み位置(矢印で示している)を示している。ゲートドライバ回路12aは、図49などと同様に画面の1画素行目から240画素行目に順次ゲート信号線17aを選択し、ソースドライバ回路14からの映像信号を画素行に書き込む。
図53(b)((b1)、(b2)、(b3)、(b4))は、ゲートドライバ回路12bによる表示領域63、非表示領域62の制御状態を示している。ゲートドライバ回路12bは、画面34全体をOEV端子の制御により、点灯あるいは非点灯状態に制御する。
ゲートドライバ回路12aの画像書き込みは、(1/2)フレーム期間で完了する。つまり、倍速書き込みを行う。その期間は、ゲートドライバ回路12bのOEV端子は、Lロジックが印加され、すべてのゲート信号線17bにはオフ電圧が印加される。1フレームの後半の1/2フレーム期間では、ゲートドライバ回路12aの書き込み動作は停止する。この期間は、ゲートドライバ回路12bのOEV端子にはHロジック信号が印加され、すべてのゲート信号線17bにはオン電圧が印加される。したがって、1フレームの(1/2)フレーム期間では画面34は非点灯状態(非表示)であり、後半の(1/2)フレーム期間では画面34は点灯状態(表示)である。なお、画像の表示時間、非表示期間は、(1/2)フレームに限定するものではない。ゲートドライバ回路12aの書き込みクロック、ゲートドライバ回路12bのOEV端子の制御により自由に設定あるいは調整できる。
図49の実施例は、画面34を2分割した実施例であった。また、図52は画面を4分割し、そのうち、複数の領域を表示領域63とする実施例であった。また、図52は、画面34の画像を書き換えてから画面34を表示状態にする実施例であった。本発明は、以上の実施例に限定されるものではなく、多くの変形例が考えられる。
図58は、画面34を3以上の複数(実施例では4)分割する実施例である。また、画像を書き換えている領域のみを非表示領域62をするものである。
図58において、画像を書き換えている画素行(書き込み位置と図示している)を含む領域を非表示領域62としている。他の領域は表示領域63(画像表示状態の領域)と制御している。書き込み位置は、画面34の上から下方向に順次書き換えられる。書き込み位置の移動にしたがって、書き込み位置を含む領域は非表示領域62に制御される。
非表示領域62と表示領域63の切り換えは、ゲートドライバ回路12bに入力するスタートパルス(ST信号)の制御によって行っても良いが、図58に図示するようにOEV端子による制御で行っても良い。ゲートドライバ回路12bのOEV端子に、Lロジックを入力することにより該当領域は非表示領域62となる。OEV端子に、Hロジック信号を入力することにより該当領域が表示領域63となる。
図59に図示するように、EL素子15に流す電流をオンオフ制御するゲート信号線17bを直接に制御する方法も例示される。図59では、画面34を複数のブロックに分割し、各ブロックのゲート信号線17bを選択信号線591で共通にしている。ゲートドライバ回路12aは、各ブロック(分割された画面34)で共通である。つまり、ゲート信号線17aは、1画素行または隣接した複数の画素行が順次選択される。
選択信号線591aは第1のブロックのゲート信号線17bと接続されている。選択信号線591bは第1のブロックのゲート信号線17bと接続されている。選択信号線591aにオフ電圧VGHを印加することにより、第1のブロックは非表示領域62となる。選択信号線591aにオン電圧VGLを印加することにより、第1のブロックは表示領域63となる。選択信号線591bにオフ電圧VGHを印加することにより、第1のブロックは非表示領域62となる。選択信号線591bにオン電圧VGLを印加することにより、第1のブロックは表示領域63となる。以上のように、選択信号線591にオン電圧またはオフ電圧を印加することにより、画面34をブロックごとに表示、非表示制御を容易に実現できる。
なお、以上の実施例は、ブロック内の隣接したゲート信号線17bを選択信号線591で電気的に共通にするとしたが、本発明はこれに限定するものではない。たとえば、隣接した画素行のゲート信号線17bを、異なる選択信号線591と電気的に接続してのよい。たとえば、図76の構成あるいは方式が例示される。
以上のように画面34の表示を制御することにより動画視認性が向上し、CRTと同等の画像表示を実現できる。
以上の実施例は、本明細書の他の実施例と組み合わせることができることは言うまでもない。また、本実施例を本発明の装置などに適用できることも言うまでもない。
図3、図6、図9、図11、図42などの実施例では、ゲートドライバ12aの動作周波数とゲートドライバ12bの動作周波数とは一致させるとした。もしくは、画素16行を選択するゲート信号線12aと、EL素子15の行を選択するゲート信号線17bとは同期させ、選択画素16行とEL素子15の行とは一定間隔を保持し、選択するとした。
しかし、本発明はこれに限定するものではない。たとえば、図48に図示するように、ゲートドライバ回路12aとゲートドライバ回路12bの動作周波数あるいは選択周波数を異ならせても良い。図48の実施例では、ゲートドライバ回路12aを60Hz周期で動作させ、ゲートドライバ回路12bを1.5倍の75Hz周期で動作させた実施例である。
周期とは、m(mは1以上画素行n以下の整数)番目のゲート信号線12を選択し、次にm番目のゲート信号線12を選択する時間である。たとえば、ゲートドライバ回路12aの60Hz周期とは、1秒間に1番目の画素行のゲート信号線12aを選択する回数が60回である。つまり、それぞれのゲート信号線12aが選択され、次に選択されるまでを1周期とし、1秒間におけるその周期が60回発生するのが60Hzである。ゲートドライバ回路12bの75Hz周期とは、1秒間に1番目の画素行のゲート信号線12aを選択する回数が75回である。
図48の実施例では、ゲートドライバ回路12aは、入力映像信号の周波数60Hz(1秒間に画像が60枚)に同期して画面34を書き換える。つまり、ゲートドライバ回路12aは、水平走査同期信号に同期して表示領域34の1番目の画素行からn(nは画素行の最大値)番目の画素行を順次選択し、ソースドライバ回路14からのプログラム電流(電圧)を選択された画素行に印加する。この書き換えの回数が1秒間に60回である。
ゲートドライバ回路12bは、ゲートドライバ回路12aの水平走査同期信号とは異なる同期信号に同期して表示領域34の1番目の画素行からn(nは画素行の最大値)番目の画素行を順次選択する。このゲートドライバ回路12bが使用する同期信号を点灯制御同期信号と呼ぶ。点灯制御同期信号は、メインクロックから発生させる。ただし、水平走査同期信号もメインクロックから発生させているため、点灯制御同期信号と水平走査同期信号とは同期がとれている。
ゲートドライバ回路12bは、点灯制御同期信号に同期してゲート信号線17bを選択し、ゲート信号線17bのオンオフ制御を行う。ゲートドライバ回路12bは、点灯制御同期信号に同期して表示領域34の1番目の画素行からn(nは画素行の最大値)番目の画素行のゲート信号線17bを順次選択し、EL素子15の発光制御を実施する。m(mは1以上n以下の整数)番目のゲート信号線17bが選択され、つぎにm番目のゲート信号線17bが選択される期間を1周期とし、この周期の回数が1秒間に75回実施される(75Hz動作のとき)。
図6などで説明したように、黒挿入(非表示領域の挿入)あるいは表示領域を間欠にして駆動することにより、動画視認性が大幅に向上する。しかし、帯状の表示領域63の周期が遅いとフリッカが発生する。この課題に対して本発明は、ゲートドライバ回路12bの動作速度(周期=フレームレート)を入力映像信号のフレームレート(通常60フレーム/秒=60Hz)よりも速くする。
本発明のEL表示装置は、図1でも説明したように、映像信号は画素16のコンデンサ19で保持されている。つまり、表示領域の画像メモリを保有するのと等価である。コンデンサ19で保持された画像は、トランジスタ11dをオンさせることによりEL素子15に電流が流れ、画像表示される。したがって、ゲート信号線17bを制御するだけで画像表示を実現できる。
なお、ゲート信号線17bにオン電圧を印加することにより、EL素子15に電流が流れるとして説明するが、駆動トランジスタ11aにプログラムされた映像信号が、黒表示であれば、EL素子15には電流は流れない。本明細書において、EL素子15に電流が流れるとは、映像信号などに応じてEL素子15に流れる電流が制御される意味である場合がある。
表示領域34に画像メモリが有すると言うことは、この画像メモリを用いてフレームレート変換を実現できる。たとえば、入力映像信号のフレームレート(周期)が60Hzであれば、フレームレート=60Hzで表示領域34にマトリックス状に形成されたコンデンサ19に画像を書き込み、保持させる。読み出しは、ゲートドライバ回路12bを操作することにより読み出せる。読み出しとはEL素子15に電流を流し、画像表示を行うことである。
ゲートドライバ回路12bがゲート信号線17bを選択する周期(フレームレート)はゲートドライバ回路12aと独立に行えるから、フレームレート変換を実現できる。つまり、ゲートドライバ回路12bのフレームレート(動作周期)を75Hzとすれば、図6の表示領域63が画面34の上下方向に移動する動作を1秒間に75回実施できる。
液晶表示装置では、フレームレート変換を行うには、外付けの半導体メモリが必要である。また、フレームレート変換にはメモリの読み出し速度を高速に行う必要がある。しかし、本発明のEL表示装置では半導体メモリは不要であり、低コスト化を実現できる。
図48の技術的思想としては、EL素子15行を選択し、EL素子15行を発光させる周期を60Hz以上とすることが重要である。好ましくは、周期は70Hz以上150Hz以下とする。さらに好ましくは、72Hz以上130Hz以下とする。
また、好ましくは、ゲートドライバ回路12bの1周期動作する周波数は、ゲートドライバ回路12bの動作周波数の1.25倍、1.5倍、1.75倍、2.0倍の周波数をする。たとえば、ゲートドライバ回路12aが1画面34を書き換える周期が60Hzであれば、ゲートドライバ回路12bが1画面34を選択する周期は、75Hz、90Hz、105Hz、120Hzとする。ゲートドライバ回路12aが1画面34を書き換える周期が50Hzであれば、ゲートドライバ回路12bが1画面34を選択する周期は、62.5Hz、75Hz、87.5Hz、100Hzとする。
なお、以上の1.25倍、1.5倍などの倍数は、この数値のみに限定されるものではない。回路の構成上、前後してもその効果は有効である。したがって、上記に例示する倍数の±10%の範囲であれば問題ない。以上の事項は以下の実施例においても同様に適用される。
また、ゲート信号線17bの1番目が選択され、次にゲート信号線17bの1番目が選択される周期は、周期は70Hz以上150Hz以下とする。さらに好ましくは、72Hz以上130Hz以下とすることが好ましい。
また、ゲート信号線17bの1番目が選択され次にゲート信号線17bの1番目が選択される周期は、ゲート信号線17aの1番目が選択され次にゲート信号線17aの1番目が選択される周期の1.25倍、1.5倍、1.75倍、2.0倍の周波数をすることが好ましい。
以下、本発明の駆動方法の動作について、図77を参照しながら説明をする。図77において、縦軸は、画素行番号である。画素行は、n画素行あるとする。したがって、ゲートドライバ回路12が選択する画素行は1番目からn番目の画素行である。横軸は、時間である。フレームとも考えることができる。なお、説明を容易にするため、画素行の選択は、画面34の上辺の1画素行から開始されるものとする。また、図77では、ゲートドライバ回路12bは、フレームレート(周期)は入力の60Hz×2=120Hzとしている。また、画素構成は、図1の画素構成を例示して説明をする。
図77において、実線は、ゲートドライバ回路12aの動作を示している。つまり、ゲートドライバ回路12aがシフト動作し、オン電圧(VGL)を出力するゲート信号線17aの位置を示している。ゲートドライバ回路12aは、60Hzの1フレーム(1F)で1画素行からn画素行を選択する。ゲートドライバ回路12bは、120Hzで動作する。したがって、ゲートドライバ回路12aの1Fで2回画面34を選択する。つまり、(1/2)Fで、1番目の画素行からn番目の画素行を選択する。なお、ゲートドライバ回路12bは、duty駆動では、複数の画素行を選択する。図77では理解を容易にするため、点線をゲートドライバ回路12bが動作の先端位置とする。たとえば、1画素行しかゲート信号線17bを選択しない状態において、そのゲート信号線17bにオン電圧(VGL)が印加されている画素行の位置である。
図77において、Aからゲートドライバ回路12による画素行の選択が行われる。説明を容易にするため、また、理解を容易にするため、ゲートドライバ回路12bが1画素行目を選択し、次の走査期間でゲートドライバ回路12aが1画素行目を選択するとする。つまり、ゲート信号線12aが選択するゲート信号線17aとゲートドライバ回路12bが選択するゲート信号線17bが同一の画素行とならないように制御を開始する。
ゲートドライバ回路12aによりゲート信号線17aが順次選択され、ソースドライバ回路14からプログラム電流が出力されて選択された画素行に書き込まれる。1Fで画面34の下辺であるn画素行(C点)まで走査が完了し、次のフレームではまた画面34の上辺の1画素行目からゲート信号線17aの選択が開始される。
また、ゲートドライバ回路12bによりゲート信号線17bが順次選択され、ゲート信号線17bにオン電圧(VGL)またはオフ電圧(VGH)が印加され、その印加位置が、点灯制御同期信号に同期してシフトされる。ゲートドライバ回路12bの動作フレームレートは120Hzであるから、B点で1フレームが完了し、このフレーム期間は、ゲートドライバ回路12aの(1/2)F期間である。
図77のように、ゲートドライバ回路12aとゲートドライバ回路12bは異なるフレームレートで動作する。ゲートドライバ回路12bのフレームレートは120Hzであるから、図6の表示領域63は、ゲートドライバ回路12aの1F期間に2回画面の上下方向に走査される。また、ゲートドライバ回路12bのフレームレートは120Hzと70Hz以上であるので、フリッカは発生しない。
ゲートドライバ回路12bが同時にオン電圧を印加するゲート信号線17bの本数が1本の場合は、図77に図示するように、ゲートドライバ回路12aとゲートドライバ回路12bの開始タイミングを1水平走査期間離せば問題は発生しない。つまり、任意の画素行において、ゲート信号線17aとゲート信号線17bに同時にオン電圧が印加されることはない。
しかし、大抵の場合は、図57に図示するように、ゲートドライバ回路12bが選択するゲート信号線17bは複数である。たとえば、図57(a)の(1/2)duty駆動の場合は、n/2本のゲート信号線17bにオン電圧(VGL)が印加される。したがって、図57(a)に図示するように、ゲートドライバ回路12bの1周期の(1/2)の期間にオフ電圧(VGH)が印加され、(1/2)Fの期間にオン電圧(VGL)が印加される。なお、図57において、ONとはゲート信号線17bにオン電圧が印加された状態を、OFFとはゲート信号線17bにオフ電圧が印加された状態を示す。たとえば、図57(a)では、A点の時間から動作し、B点の時間となったとき、1画素行から、n/2画素行までは、該当ゲート信号線17bには、オン電圧が印加されている。(n/2+1)画素行からn画素行までは、該当ゲート信号線17bにはオフ電圧が印加されている。
本発明において、図57、図77に図示するように、Aの開始後は、ゲートドライバ回路12bは、オフ電圧を出力するようにデータをシフト回路31bに入力して動作させる。1/2dutyであれば、n/2のゲート信号線17bにオフ電圧を出力した状態の後、以降のゲート信号線17bにオン電圧を出力するように操作する。
図57は(1/4)duty駆動の実施例である。図57(a)と同様にゲートドライバ回路12bのフレームレートは120Hzとしている。(1/4)周期にOFF電圧が印加され、(3/4)周期もON電圧が印加される。したがって、表示領域34の1/4が点灯し、3/4が非点灯である。
しかし、ゲートドライバ回路12bにより、複数の画素行が選択されると、ゲートドライバ回路12bに選択された(オン電圧が印加された)画素行とゲートドライバ回路12aに選択電圧が印加された画素行とは一致する期間が発生する。この課題に対して、本発明では、垂直アウトプットイネーブル(OEV)信号を操作して対応する。OEV信号は、ロジック信号であり、Lレベルにすることにより、すべてのゲート信号線17bにオフ電圧が出力される。したがって、任意の画素行において、OEV信号によりゲート信号線17aとゲート信号線17bは同時にオン電圧が印加されることはない。OEV信号は、ゲートドライバ回路12bのシフトレジスタ回路31bの出力信号とOEV信号とをANDロジックで制御することにより実現できる。OEV信号は、ゲート信号線17bの選択を解除する信号と言うこともできる。
以上のように、OEV信号を制御することにより、任意の画素において、ゲート信号線17aとゲート信号線17bが同時に選択されるときに、強制的にゲート信号線17bにオフ電圧を印加し、非選択状態とすることにより対策できる。
図78は、ゲートドライバ回路12aのフレームレートを60Hzとし、ゲートドライバ回路12bのフレームレートの周期は、ゲートドライバ回路12aのフレームレートの周期の3/4とした実施例である。ゲートドライバ回路12bは、ゲートドライバ回路12aの(3/4)F期間で、1画面を選択走査する。
図79は、ゲートドライバ回路12aのフレームレートを60Hzとし、ゲートドライバ回路12bのフレームレートの周期は、ゲートドライバ回路12aのフレームレートの周期の1/4とした実施例である。ゲートドライバ回路12bは、ゲートドライバ回路12aの(1/4)F期間で、1画面を選択走査する。図79の実施例では、ゲートドライバ回路12aが選択するゲート信号線17aとゲートドライバ回路12bが選択するゲート信号線17bとは、K1、K2位置で同一の画素行となる。この場合は、図77で説明したように、OEV端子を制御して、ゲートドライバ回路12bが選択するゲート信号線17bを強制的に非選択とする。
なお、選択とは、該当ゲート信号線17にオン電圧(VGL)が印加されていることを意味し、非選択とは該当ゲート信号線17にオフ電圧(VGH)が印加されていることを意味する。図1の画素構成では、ゲート信号線17aにオン電圧を印加することにより、トランジスタ11b、11cがクローズする。ゲート信号線17bにオン電圧を印加することにより、トランジスタ11dがクローズする。
以上の実施例では、ゲートドライバ回路12bが選択するゲート信号線17bをOEV端子の制御により、強制的に非選択状態とするとしたがこれに限定するものではなく、ゲートドライバ回路12aが選択するゲート信号線17aを強制的に非選択状態としてもよい。この場合は、該当画素行にはソースドライバ回路14からのプログラム電流(あるいはプログラム電圧)が書き込まれないが、次のフレーム周期で書き込まれるので問題ない。
以上の実施例では、ゲートドライバ回路12aとゲートドライバ回路12bとは動作フレーム周波数は異なるが、同期は維持するとしたが、これに限定するものではなく、非同期であってもよい。ただし、図1などの画素構成にあっては、ゲートドライバ回路12aが選択するゲート信号線17aとゲートドライバ回路12bが選択するゲートドライバ回路12bが同一の画素行を選択しないように、管理する必要はある。管理は容易である。コントローラがゲートドライバ回路12a、12bのデータ信号を管理し、制御しているからである。コントローラのロジックでOEV端子を制御すればよい。なお、ゲート信号線17aと17bのうち一方を非選択状態にするとしたが、本発明はこれに限定するものではなく、両方を非選択状態に制御してもよいことは言うまでもない。したがって、複数のゲート信号線を有する構成の場合は、少なくとも1つのゲート信号線の選択あるいは日選択状態を制御できるものであればよい。また、選択、非選択の制御は時分割でおこなってもよい。たとえば、1水平走査期間を1/2に分割し、最初の1/2の期間でゲート信号線17aにより制御を実施し、後半の1/2の期間でゲート信号線17bにより制御を行っても良い。
図60に図示するようにゲートドライバ回路12を構成することにより、該当画素行において、ゲート信号線17aとゲート信号線17bが同時に選択されことを、ゲートドライバ回路12で実施するようにより、よりゲート信号線17の選択、非選択制御が容易になる。また、OEV制御により、ゲートドライバ回路12bが複数選択するゲート信号線17bを同時に選択あるいは非選択することなく、1つのゲート信号線17bを非選択状態に制御を実施できる。
図60におけるゲートドライバ回路12の構成は、ゲートドライバ回路12aのシフトレジスタ回路31aとゲートドライバ回路12bのシフトレジスタ回路31bを有する構成である。ゲートドライバ回路12は、表示領域34の左右のいずれか一方に形成する。
図60、図61においても、×はゲート信号線17を非選択(オフ電圧を出力する)にするデータであることを、○はゲート信号線17を選択(オン電圧を出力する)にするデータであることを示している。
シフトレジスタ回路31aが動作するフレームレートと、シフトレジスタ回路31bが動作するフレームレートは同一または異ならせる。本発明では、図48、図77などで説明したように、シフトレジスタ回路31aが動作するフレームレートよりも、シフトレジスタ回路31bが動作するフレームレートの方が大きくしている。ただし、本発明はこれに限定するものではない。たとえば、シフトレジスタ回路31bが動作するフレームレートよりも、シフトレジスタ回路31aが動作するフレームレートの方が大きくしてもよい。本発明は、映像書き込みのフレームレートと、画像表示のフレームレートとを異ならせる、あるいは自由に設定できることが特徴である。
シフトレジスタ回路31aは映像信号の水平走査同期信号に同期してデータ位置をシフトし、シフトレジスタ回路31bは、点灯制御同期信号に同期してデータ位置をシフトする。水平走査同期信号と点灯制御同期信号とは、同一のメインクロックまたは発振周波数を基に作成される。
シフトレジスタ回路31aは、プログラム電流(電圧)を書き込む画素行あるいはゲート信号線17aを選択するものである。したがって、選択するデータである”○”は1箇所である。この”○”は、ゲートドライバ回路12の映像信号の水平走査周波数に同期してシフトされる。
シフトレジスタ回路31bは、EL素子15を点灯させる画素行を選択するものである。したがって、該当画素行に接続されたゲート信号線17bを選択するものである。選択するゲート信号線17bは複数であり、また、選択するゲート信号線17bは隣接して選択される。これが、動画視認性を向上させるためである。選択するデータである”○”は複数箇所である。図60では、理解を容易にするため、4つの○の群と、2つの○の群とを記載している。実際には○の連続は、1/4dutyで、n/4(n=240画素行である場合は60)とされる。また、図60のように、○の群を分離するよりは、連続させることが好ましい。シフトレジスタ回路31bの”○”は、点灯制御同期信号に同期してシフトされる。
図60、図61において、32はレベル変換回路である。レベル変換回路32は、ANDの出力であるロジック信号を、ゲート信号線17のオンオフ制御ロジックに一致するように変換するとともに、VGL、VGH電圧にレベルシフトする。
シフトレジスタ回路31aの出力はロジック反転してAND回路の入力となり、シフトレジスタ回路31bの出力はそのまま前記AND回路の入力となる。AND回路の出力は、ゲート信号線17bのロジック信号としてレベル変換回路32に印加される。シフトレジスタ回路32aの出力はゲート信号線17aのロジック信号としてレベル変換回路32に入力される。レベル変換回路32は入力されたロジック信号をゲート信号線17の制御ロジックに一致するように、また、電圧のレベルシフトを行う。
図60で図示するように、シフトレジスタ回路31bの○データにより、ゲート信号線17b(3)、ゲート信号線17b(4)、ゲート信号線17b(7)、ゲート信号線17b(8)、ゲート信号線17b(10)には選択電圧であるオン電圧(VGL)が出力される。しかし、ゲート信号線17b(9)は、該当シフトレジスタ回路31aの選択電圧(VGL)が出力されるため、オフ電圧(VGH)出力となっている。他のゲート信号線17bは、オフ電圧(VGH)出力となっている。
シフトレジスタ回路31aは、○データにより、ゲート信号線17a(9)には選択電圧であるオン電圧(VGL)が出力される。他のゲート信号線17aは、オフ電圧(VGH)出力となっている。
以上のように構成することにより、選択電圧が印加されたゲート信号線17aと選択電圧が印加されたゲート信号線17bが同一の画素とならないように容易に制御することができる。また、ゲート信号線17aは、ゲート信号線17bの選択に依存せず、選択した画素行にソースドライバ回路14からの映像信号を書き込むことができる。映像信号の書き込みは、画素16のコンデンサ19にメモリすることを意味する。このメモリ機能を後いて、フレームレート変換を容易に実現できる。
図61は、映像信号を書き込むゲート信号線17aを選択するゲートドライバ回路12aを表示領域34の左辺に形成し、図60で説明したゲート信号線17bを選択するゲートドライバ回路12をゲートドライバ回路12bとして表示領域34の右辺に形成した実施例である。ゲートドライバ回路12aのシフトレジスタ回路31aのデータと、ゲートドライバ回路12bのシフトレジスタ回路31bのデータは同一データであり、またシフトレジスタ回路31aとシフトレジスタ回路31bとは、同一の水平走査同期信号でデータ位置をシフトするとともに、選択データの入力が実施される。ゲートドライバ回路12bのシフトレジスタ回路31bは、点灯制御同期信号に同期してデータ位置をシフトするとともに、選択データが入力される。
なお、ゲートドライバ回路12のシフトレジスタ回路31をシフト動作する期間は、AND回路などのロジック信号が不安定である。この期間は、OEV端子の制御により、ゲート信号線17の出力が非選択状態(オフ電圧出力)となるように制御することが好ましい。
図60の実施例は、表示画面34の一方にゲートドライバ回路12を形成あるいは配置する構成であった。しかし、本発明はこれに限定するものではない。たとえば、図62のように、画素選択側のゲートドライバ回路12aを表示領域34の左または右側に配置し、EL素子15をオンオフ制御するゲートドライバ回路12bを表示領域34の右または左側に配置する構成が例示される。
ゲートドライバ回路12aが制御するゲート信号線17aは従来どおり画素16行を順次選択し、画素16にソースドライバIC(回路)14からの映像信号を書き込こむ。同時に、ゲート信号線17aに印加された電圧は、AND回路213のロジック信号(a端子)となっている。
AND回路213の他の入力端子(b端子)は、ゲートドライバ回路12bのシフトレジスタ回路31bの出力である。a端子の信号と、b端子の信号により、AND回路213の出力端子cの電位が決定される。AND回路213に入力は、必要に応じて電位変換、レベルシフトが実施される。シフトレジスタ回路31bの出力は電位変換回路32bで電位が変換される。
図62などの実施例では、AND回路213の入力により出力cが決定される。ただし、ロジックの決定というよりは、図63に図示するように電位変換と考えた方が適正である。
図63に図示するように、a端子とb端子の入力電圧(VGH、VGL)によりc端子の出力(VGH、VGL)が決定される。図63では、ゲート信号線17aが選択(VGL)状態、かつゲートドライバ回路12bのシフトレジスタ回路32bが選択出力(ゲート信号線17bが選択(VGL)される状態)の時、AND回路213のc端子が、非選択(VGH)となるようにロジックあるいは電位制御がなされている。したがって、この場合に、ゲート信号線17bには、オフ電圧(VGH)が出力される。
オフ電圧が印加されたゲート信号線17bに該当する画素行のEL素子15は、トランジスタ11dがオープン状態となるため、電流が流れず、非点灯となる。
ゲートドライバ回路12aがゲート信号線17aに出力する電圧(VGH、VGL)とゲートドライバ回路12bがゲート信号線17aに出力する電圧(VGH、VGL)とは異なることが多い。ゲートドライバ回路12aがゲート信号線17aに出力する電圧をVGH1、VGL1とし、ゲートドライバ回路12bがゲート信号線17aに出力する電圧VGH2、VGL2とすると、AND回路213の出力cは、図64にようにする。
図64では、c端子の出力は、ゲート信号線17bの電位であるから、VGH2、VGL2である。したがって、AND回路213のa端子の入力はゲート信号線17aの電位であるから、VGH1、VGL1である。AND回路213のb端子入力は、ゲートドライバ回路12bの出力として、VGH2、VGL2としているが、これに限定するものではない。シフトレジスタ回路32bのロジック信号そのままでもよく、ロジック信号をレベル変換してAND回路213のb端子入力としてもよい。
図62の特徴は、ゲートドライバ回路12aの出力信号をゲート信号線17aに表示領域34の他端に伝送し、ゲートドライバ回路12bの出力と論理制御などを行って、本来のゲートドライバ回路12bの出力であるゲート信号線17bの出力を決定あるいは制御していることである。したがって、図61に図示するように、ゲートドライバ回路12bには2つのシフトレジスタ回路32a、32bを形成する必要がない。したがって、狭額縁化を実現できる。
なお、図62では、ゲートドライバ回路12b側にAND回路213などを配置したが、本発明はこれに限定するものではなく、ゲートドライバ回路12a側にAND回路213などを配置してもよい。この場合は、ゲート信号線17bにより、ゲートドライバ回路12bの出力をゲートドライバ回路12a側に伝達する。
また、図61〜図63では、AND回路213でゲート信号線17bの電位を決定するとしたが、AND回路213は理解を容易にするため図示しただけであり、他の方式でゲート信号線17bの電位を決定してもよいことは言うまでもない。また、VGH、VGLの電位は、図1などの画素16構成を例示して説明するための便宜上のものである。画素16の構成にしたがって電位を決定し、また電位制御を実施すればよい。
本発明は、ゲート信号線17aとゲート信号線17bが同一の画素16を選択する状態になった場合に、前記ゲート信号線17bに印加するオン電圧をオフ電圧に変更する方式である。したがって、本来、点灯するEL素子15は非点灯となる。そのため、点灯しなかった画素行は、明るさが減少することになる。しかし、通常、Duty比は、1/4以上に制御される。したがって、各画素行は、1フレームで1/4期間以上は点灯する。たとえば、画素行が240画素行ある場合は、各画素行は240/4=60回点灯する。このうち、1回点灯しなくとも、1/60=1.7%となり、該当画素の輝度低下は、2%にも満たない。したがって、視覚的に認識されない。
また、毎フレームに、本来点灯する画素行が、非点灯になることはない。Duty比が、1/4であれば、1フレームの3/4期間において、各画素行は非点灯状態である。非点灯状態の画素行は、問題なく、ゲート信号線17aの選択により、映像信号を書き込むことができる。通常、ゲートドライバ回路12aのフレームレートと、ゲートドライバ回路12bのフレームレートの差は2倍以内である。したがって、ゲートドライバ回路12aの1フレームに1回、ゲート信号線17aとゲート信号線17bが同一の画素行を選択することはない。また、ゲートドライバ回路12aのフレームレートとゲートドライバ回路12bのフレームレートを公倍数あるいは公約数の関係になりにくいように設定することにより、ゲートドライバ回路12aとゲートドライバ回路12bにより選択される画素行位置が移動する。そのため、ほとんど、ゲート信号線17aとゲートドライバ回路12bに同時に選択された画素行の輝度低下は視覚的に認識されることはない。
また、Duty比が、3/4など大きい場合は、ゲート信号線17aとゲート信号線17bが同一の画素行を選択する確率が高くなる。しかし、今度は、1フレーム期間で各画素行が点灯する期間が長く、前記画素行を非点灯状態に制御しても輝度低下は小さく、視覚的に認識されることはない。
ゲートドライバ回路12aのフレームレートに比較して、ゲートドライバ回路12bにフレームレートが高い場合は、ゲートドライバ回路12aが選択するゲート信号線17aとゲートドライバ回路12bが選択するゲート信号線17bが同一の画素行を選択する確率が高くなるが、今度は、ゲートドライバ回路12bのフレームレートが高く、また、ゲート信号線17aとゲート信号線17bに同時に選択される画素行位置をフレームごとに変化させることも容易である。したがって、視覚的に認識されない。
ゲート信号線17aとゲート信号線17bに同時に選択されることにより、該当画素行が輝度低下することは、次フレームで1回余計に点灯させることも容易である。逆に、該当画素行以外を1回点灯させず、輝度低下させたバランスをとることもできる。コントローラ回路で、どの画素行がゲート信号線17aと17bが同時に選択されたかを把握できるからである。したがって、ゲートドライバ回路12bのOEV端子の制御により、各ゲート信号線17bのオンオフ制御を行う。たとえば、該当画素行が非点灯状態で、他の点灯している画素行は、OEV端子をLレベルに制御し、強制的に非点灯状態とする。
ゲート信号線17aとゲート信号線17bに同時に選択されることにより、該当画素行が輝度低下することの対策は、該当画素行に書き込む映像信号の大きさを輝度低下分だけ加算して書き込むことによっても対策できる。たとえば、Duty比が1/4で、画素行が200本のときは、200/4=50水平走査期間、画素行が点灯する。この50水平走査期間のうち、1回非点灯状態となるのであるから、1/50=2%分だけ、該当画素行に書き込み映像信号に2%分加算する。たとえば、256階調の時は、本来の映像信号に4階調分を加算して、該当画素行に書き込む。ただし、本来の映像信号が253階調以上の場合は、4階調を加算しても最大256階調以上は印加できない。しかし、高階調領域では、人間の表示輝度に対する視感度が低い。したがって、253階調以上は、256階調に補正しても問題ない。逆に、対象画素行以外の画素行において、書き込む映像信号の階調数を減算しておいてもよい。
なお、以上の説明は理解を容易にするため、映像信号の階調に4階調分を加算するとした。しかし、duty比を1/Dとし、画素行数をNとした時、印加する階調を1とした場合に、1/(N/D)の割合を加算することが正確である。つまり、印加する映像信号の大きさに対して、一定比率を掛け算あるいは加算することが好ましい。
なお、前述の階調数の補正は、簡易的にはゲートドライバ回路12bの1フレーム期間で補正する。しかし、実際には、ゲートドライバ回路12aとゲートドライバ回路12bの1フレーム期間は異なるので、ゲートドライバ回路12aの周期も考慮して加減算する階調数を決定する。
特に、本発明は、duty比で画面34の明るさ制御を行う。画面34の明るさは点灯する画素行数に線形に比例する。したがって、AND回路213により1画素行を強制的に非選択としても、1画素行分を補正すればよい。補正は線形の関係にあるから容易である。
ゲート信号線17a、17bの同時選択により画素行が非点灯状態になり、画面34の輝度が低下するという課題は、図65のように、制御することにより対策できる。
図65は、各フレーム(F)でのゲート信号線17a、17bの選択状態を示している。図65(a)において、白丸は、該当ゲート信号線17bにオン電圧が出力されていることを示している。黒丸は、該当ゲート信号線17bにオフ電圧が出力されていることを示している。なお、黒丸、白丸は、シフトレジスタ回路32bのデータパルスの配列と考えても良い。図65(a)の白丸、黒丸位置は、ゲートドライバ回路12bの動作クロックに同期して移動する。
図65(b)において、白丸印は、ゲートドライバ回路12aのゲート信号線17aの選択位置を示している。他のゲート信号線17aはオフ電圧が印加されている。説明を容易にするため、ゲート信号線17aの選択位置は、1画素行目としている。図65(b)の白丸位置は、ゲートドライバ回路12aの動作クロック(映像信号の水平走査期間)に同期して移動する。
図65(a)は、作図を容易にするため、duty比を1/2とし、黒丸4個と、白丸4個としている。したがって、黒丸と白丸とを加算した個数は8個としている。さらに、三角印をいれて、ゲートドライバ回路12bは、9クロックで1フレームとなっている。
三角印は、ブランキング期間に挿入するデータである。もちろん、三角印もゲートドライバ回路12bの同期信号にしたがって、順次シフトされ、画素行を選択などする。白三角印は、白丸と同様の機能(ゲート信号線17bにオン電圧を印加する)であり、黒三角印は、黒丸と同様の機能(ゲート信号線17bにオフ電圧を印加する)である。
図65(b)のゲートドライバ回路12aの1フレーム期間は、ゲートドライバ回路12bの1フレーム期間より長いと想定している。図65(b)では、ゲートドライバ回路12bの8+1+7=16で、ゲートドライバ回路12aの1フレーム期間としている。
図65では、ゲートドライバ回路12bの第1フレーム(第1F)で、ゲートドライバ回路12aのゲート信号線17aの選択位置と、ゲートドライバ回路12bの選択位置が一致する。このため、該当画素行のトランジスタ11dがオープン状態に制御され、該当画素行は非点灯状態にされる。このため、非点灯状態が発生してゲートドライバ回路12bの1フレーム期間の輝度が低下する。これを補正するため、ブランキング期間に選択データを挿入する。この挿入したデータをAの白三角印で示している。
ゲートドライバ回路12bの第2フレーム(第2F)で、ゲートドライバ回路12aのゲート信号線17aの選択位置と、ゲートドライバ回路12bの選択位置が一致しない。実際には、ゲートドライバ回路12aとゲートドライバ回路12bが異なるクロックでデータシフトされるから、一致する可能性があるが、説明を容易にするため、一致しないとする。このため、強制的に非点灯状態が発生することがない。したがって、ブランキング期間に非選択データを挿入する。この挿入したデータをAの黒三角印で示している。
ゲートドライバ回路12bの第3フレーム(第3F)で、ゲートドライバ回路12aのゲート信号線17aの選択位置と、ゲートドライバ回路12bの選択位置が一致する。ゲートドライバ回路12bの第4フレーム(第4F)が該当する。このため、該当画素行のトランジスタ11dがオープン状態に制御され、該当画素行は非点灯状態にされる。このため、非点灯状態が発生してゲートドライバ回路12bの1フレーム期間の輝度が低下する。これを補正するため、ブランキング期間に選択データを挿入する。この挿入したデータをAの白三角印で示している。
図65は、ゲートドライバ回路12bに挿入するデータ配列が、選択(白丸印)と非選択(黒丸印)がそれぞれ連続した方式であった。しかし、本発明はこれに限定するものではない。図66に図示するように、選択(白丸印)と非選択(黒丸印)が分散していてもよい。
図66の場合も、ゲートドライバ回路12aのゲート信号線17aの選択位置と、ゲートドライバ回路12bの選択位置が一致する場合は、Aの位置に選択(白三角印)を挿入する。また、ゲートドライバ回路12aのゲート信号線17aの選択位置と、ゲートドライバ回路12bの選択位置が一致しないフレームでは、Aの位置に選択(黒三角印)を挿入する。
さらに図67に図示するように、選択(白丸印)と非選択(黒丸印)がランダムであってもよい。ただし、1フレーム期間のduty比は各フレームで一致させる。
図67の場合も、ゲートドライバ回路12aのゲート信号線17aの選択位置と、ゲートドライバ回路12bの選択位置が一致する場合は、Aの位置に選択(白三角印)を挿入する。また、ゲートドライバ回路12aのゲート信号線17aの選択位置と、ゲートドライバ回路12bの選択位置が一致しないフレームでは、Aの位置に選択(黒三角印)を挿入する。
本発明は、duty比を一定にすれば、図67のように、ゲートドライバ回路12bの選択データと非選択データの並びを変化させてもよい。並びは、動画視認性を問題としなければ自由に設定できる。選択データと非選択データの配列を設定することにより、ゲートドライバ回路12aが選択するゲート信号線17aとゲートドライバ回路12bが選択するゲート信号線17bとが同一の画素行にならない、あるいは一致しにくいように設定できる。
なお、動画視認性は、1フレームが図67のように動画視認性のないデータ配列であっても、他のフレームが図66のように、動画視認性が良好なデータ配列であれば問題ない。図65〜図67のA位置に挿入するデータは、ゲートドライバ回路12を制御するコントローラ回路で導出する。この動作、構成を図68に図示している。
図68において、図68(a)がゲートドライバ回路12bに印加するデータ配列を発生する方法を記載したものである。
図68(a)では、32バイトのデータ配列が準備されている。つまり、32×8ビット=256ビットの配列である。この配列(データ配列bと呼ぶ)には、8ビットバスでDATAを外部から入力して設定する。DATAの入力による選択と非選択のデータ配列は任意に設定できる。図65のように、非選択と選択データを連続させることもできる。図67のように非選択と選択データをランダム化することもできる。
図68(b)はゲートドライバ回路12bのシフトレジスタ回路32aに印加するデータ配列(データ配列aと呼ぶ)である。
データ配列bはゲートドライバ回路12bのシフトクロック(CLK2)でビットシフトを行い、データ配列aはゲートドライバ回路12aのシフトクロック(CLK1))でビットシフトを行う。コントローラ回路でデータ配列aとデータ配列bのビットシフトを行い、選択位置が一致すると、補償DATAに選択データ(白丸印)を設定し、データ配列bに入力する。ゲートドライバ回路12bの1フレームいないで選択位置が一致しない場合は、補償DATAに非選択データ(黒丸印)を設定し、データ配列aに入力する。
選択位置が一致するか否かの判定は、図69に図示するように、データ配列aとデータ配列bの出力段にAND回路213を配置しておくと良い。
ゲートドライバ回路12aのクロック(CLK1)とゲートドライバ回路12bのクロック(CLK2)は異なる(異なることのみに限定するものではない。一致していてもよい)。したがって、図70に図示するように、ゲートドライバ回路12aがシフトする期間と、ゲートドライバ回路12bがシフトする期間が異なる。図70において、1つの枠は、ゲートドライバ回路12が1データシフトする期間とタイミングを示している。
図70に図示するように、ゲートドライバ回路12aとゲートドライバ回路12bでは、たとえば、aの最初のタイミングが一致しているとした場合、a、b、c、d、eのうち、dの期間の最初以外は一致しない。一致しないタイミングでは、ゲートドライバ回路12aがゲート信号線17aを選択する期間と、ゲートドライバ回路12bがゲート信号線17bを選択する期間が入り乱れ、画素16の電位状態が急変する。この課題に対して、本発明は、図70に図示するように、ゲートドライバ回路12aのOEV端子を制御して、シフトレジスタ回路32aがデータシフトで変化する期間では、全ゲート信号線17aの出力をオフ出力状態に制御している。
図70におけるOEVは、Hレベルでシフトレジスタ32aのデータ内容に応じてゲート信号線17aにオン電圧またはオフ電圧が出力される。OEVがLレベルの時は、ゲート信号線17aにオフ電圧が出力される。
以上の実施例では、ゲートドライバ回路12aが選択電圧(オン電圧)を出力するゲート信号線17aは1本であるとした。しかし、本発明はこれに限定するものではない。たとえば、図71に図示するように、ゲートドライバ回路12aに選択されたゲート信号線17aが2本(書き込み画素行61a、61b)としてもよい。この場合は、図72に図示するように、ゲートドライバ回路12aが選択する位置(白丸印)は、2箇所となる。また、この2箇所がゲートドライバ回路12bの選択位置と一致した箇所の処理をおこなうため、図72(b)に図示するように、A、B位置に補正データを入力するデータ位置を確保している。他の点は、図65〜図67と同様あるいは類似であるので説明を省略する。
なお、以上の説明では、A、B位置に入力する補正データの内容(白三角印、黒三角印)は、前のフレームにおいて、ゲート信号線17aとゲート信号線17bの選択位置から判定するとしたが、実際には、画像表示を行う前に、コントローラ回路で判定している。そのため、1フレーム遅延して補正データの処理を行うものではない。もちろん、1フレーム遅延して補正データ処理を行っても良い。
図80は、ゲートドライバ回路12aの動作フレームレートを60Hz(映像信号のフレームレート60Hz(1秒間に画像が60枚)、ゲートドライバ回路12bの動作フレームレートを90Hz(1秒間に90回、非表示領域62を画面上から下方向に走査)の例である。しがって、画面34の画像を2回書き換える期間に、ゲートドライバ回路12bが、3回画面を走査する。図面の上側には、ゲートドライバ回路12bのフレームとして、第1フレーム(第1F)、第2フレーム(第2F)、第3フレーム(第3F)と記載している。また、図面の下側には、ゲートドライバ回路12aのフレームとして、第1フレーム(第1F)、第2フレーム(第2F)と記載している。また、一例としてduty比は、1/2としている。
図80の縦軸は、画面34の点灯領域(表示領域63)と非点灯領域(非表示領域62)の分布を示している。たとえば、t0時には、画面34の上半分が表示領域63(画像が表示されている)であり、下半分が非表示領域62(画像が表示されていない)状態である。ゲートドライバ回路12bのゲート信号線17bの選択位置が時間経過と共に移動し、t1時には、画面34の上半分が非表示領域62(画像が表示されていない)であり、下半分が表示領域63(画像が表示されている)状態となる。t1以降は、今度は、画面34の上側から表示領域63が順次発生し、下半分が順次、非表示領域62状態となっていく。
図80において、点線は、ゲートドライバ回路12aが選択するゲート信号線17aに位置を示している。つまり、映像信号を書き込む「書き込み画素行61」の位置である。
本発明は、映像信号を書き込む画素行(ゲートドライバ回路12aが選択するゲート信号線17aにオン電圧が印加された画素行)と、ゲートドライバ回路12bのゲート信号線17bに選択電圧(オン電圧)が印加された画素行が一致する時、前記ゲートドライバ回路12bのゲート信号線17bに非選択電圧(オフ電圧)が印加されるように処理を行うものである。したがって、表示領域63の範囲内に、書き込み画素行61の点線が入ると、前記処理を行う。
図80の実施例では、ゲートドライバ回路12bの第1Fにおいて、書き込み画素行61の位置(点線で示す)は、すべて非表示領域62の範囲内である。したがって、映像信号を書き込む画素行(ゲートドライバ回路12aが選択するゲート信号線17aにオン電圧が印加された画素行)と、ゲートドライバ回路12bのゲート信号線17bに選択電圧(オン電圧)が印加された画素行が一致することはない。
ゲートドライバ回路12bの第2Fの範囲では、t3〜t4の期間において、書き込み画素行61の位置(点線で示す)は、表示領域63の範囲内である。したがって、映像信号を書き込む画素行(ゲートドライバ回路12aが選択するゲート信号線17aにオン電圧が印加された画素行)と、ゲートドライバ回路12bのゲート信号線17bに選択電圧(オン電圧)が印加された画素行が一致している。したがって、前記ゲートドライバ回路12bのゲート信号線17bに非選択電圧(オフ電圧)が印加されるように処理を行う必要がある。
ゲートドライバ回路12bの第3Fであるt4〜t6の範囲では、書き込み画素行61の位置(点線で示す)は、すべて表示領域63の範囲内である。したがって、映像信号を書き込む画素行(ゲートドライバ回路12aが選択するゲート信号線17aにオン電圧が印加された画素行)と、ゲートドライバ回路12bのゲート信号線17bに選択電圧(オン電圧)が印加された画素行が一致する。したがって、前記ゲートドライバ回路12bのゲート信号線17bに非選択電圧(オフ電圧)が印加されるように処理を行う必要がある。
同様にゲートドライバ回路12bの第4Fの範囲では、書き込み画素行61の位置(点線で示す)は、前半は非表示領域62の範囲内である。しかし、後半は、表示領域63の範囲内となる。つまり、後半はゲートドライバ回路12bのゲート信号線17bに選択電圧(オン電圧)が印加された画素行が一致している。したがって、前記ゲートドライバ回路12bのゲート信号線17bに非選択電圧(オフ電圧)が印加されるように処理を行う必要がある。この関係は、t2〜t4のゲートドライバ回路12bの第2Fと逆の関係である。
ゲートドライバ回路12bの第3Fにおいて、すべての画素行が、第1Fに比較してゲートドライバ回路12bの1水平走査期間分、非選択となる。したがって、duty比を1/Dとし、画素行数をNとした時、輝度は、本来表示する各画素の輝度に対して1/(N/D)の割合で低下する。これを補償するためには、ゲートドライバ回路12bの第3Fで、映像信号に、1/(N/D)の割合を補償するように、印加する映像信号データを高くする。また、図65、図66などで説明したように、第3Fで補償する補正データ(白三角印)をゲートドライバ回路12bのシフトレジスタ回路32bに挿入し、画面34の輝度低下を補償する。
ゲートドライバ回路12bの第2Fでは、画面34の上半分が1/(N/D)の割合で低下する。第4Fでは、画面34の下半分が1/(N/D)の割合で低下する。したがって、打ち消しあって、画面34の輝度変化の境目は見えない。全体的に輝度低下することを補償するためには、いずれか一方のフレームにおいて、図65、図66などで説明した補償データにより、補正すればよい。また、ゲートドライバ回路12bの第2Fでは、画面34の上半分に対して、1/(N/D)の割合で補償するように映像信号の大きさを調整する。第4Fでは、画面34の下半分に対して、1/(N/D)の割合で補償するように映像信号の大きさを調整する。
また、図51、図58などで説明したように、OEV端子を制御することにより輝度低下を補償する方式も例示される。たとえば、図80のゲートドライバ回路12bの第2Fのように、画面34の下半分に輝度低下が発生する場合は、画面34に上半分の領域に画像を書き込んでいる時に、1画素行が選択される期間、画面34の下半分の領域のOEV端子を強制的にHレベルにして、点灯させる。
以上の実施例は、ゲートドライバ回路12aの動作フレームレートを60Hz、ゲートドライバ回路12bの動作フレームレートを90Hzとしたが、これは一例であって、ゲートドライバ回路12のフレームレートは任意のフレームレートに設定できる。ゲート信号線17aとゲート信号線17bが同一の画素行を選択することにより、当該ゲート信号線17bを非選択状態にし、発生する輝度低下は、当該画素行に書き込む映像信号の大きさを補正すること、図66の補正データを挿入すること、OEV端子により制御することにより補正することができる。また、これらの補正方法は単独で、複数を組み合わせて実施することができる。
ゲートドライバ回路12aのフレームレートと、ゲートドライバ回路12bのフレームレートは、ゲートドライバ回路12aが選択する画素行とゲートドライバ回路12bが選択する画素行が一致する位置(画素行位置)が特定の画素行にならないようにすることが好ましい。ゲートドライバ回路12aの偶数フレームで、ゲートドライバ回路12aとゲートドライバ回路12bとが第120番目の画素行を必ず選択するフレームレートとすると、表示画面34に横線状に認識されてしまう。選択する画素行が、フレームごとに第120画素行、第130画素行、第140画素行、第150画素行、第160画素行、・・・・と移動すれば視覚的に認識されにくい。
ゲートドライバ回路12aのフレームレートは映像信号のフレームレートに規定される構成が容易である。ゲートドライバ回路12bのフレームレートは、基本的に自由に設定あるいは調整することができる。また、ゲートドライバ回路12bのフレームレートは、フレームごとに変化させることができる。たとえば、偶数フレームは、フレームレートを90Hzとし、奇数フレームはフレームレート80Hzとする。
図80は表示領域63、非表示領域62をゲートドライバ回路12bの各フレームで一括して挿入した実施例であった。しかし、本発明はこれに限定するものではない。たとえば、図81に図示するように、表示領域62を表示領域63a、表示領域63bに分割している。
図80などは、表示領域63内に書き込み画素行がある構成であった。そのため、ゲートドライバ回路12aが選択する画素行と、ゲートドライバ回路12bが選択する画素行が一致する。したがって、排他処理を行う必要があった。また、図72など説明したように補正処理を実施する必要があった。
図82は、表示領域63と書き込み画素行とが重ならないようにした駆動方法の説明図である。t3〜t6の期間の書き込み画素行をさけて、表示領域63a、表示領域63bが挿入されている。
図82は、書き込み画素行61と表示領域63が重なることを避けるため、表示領域63を分割した実施例であった。ゲートドライバ回路12bがゲート信号線17bを選択するデータパルスの移動速度は変化していない。
図83は、書き込み画素行61と用事領域63が重なることを避けるため、ゲートドライバ回路12bのデータパルスの移動速度を変化した実施例である。つまり、ゲートドライバ回路12bのフレームレートを変化している。
図83では、ゲートドライバ回路12bの第1フレームと第2フレームではフレームレートを変化させている。第1フレームのフレームレートに比較して、第2フレームのフレームレートの方が速くしている。
図84では、ゲートドライバ回路12aのフレームレートに同期する書き込み画素行61に表示領域63が重ならないように、ゲートドライバ回路12bのフレームレートを設定したものである。ゲートドライバ回路12aの1フレームレートの長さを3とした時、ゲートドライバ回路12bの1フレームレートの長さを2としている。
以上の実施例は、シフトレジスタ回路31、AND回路213などを用いて表示領域63、非表示領域62を発生あるいは制御したものであった。しかし、本発明はこれに限定するものでない。図44のOEV端子、図59の選択信号線591などを用いて、表示面34を全体的にあるいは部分ごとに表示領域63、非表示領域62となるように制御してもよい。この実施例を図85に図示している。t1〜t2、t3〜t4、t5〜t6の期間を表示領域63とし、OEV端子の制御などにより0〜t1、t2〜t3、t4〜t5の期間を非表示領域62としている。
以上の実施例は、画面34の全面に画像表示を行う場合の実施例であった。しかし、画像表示には図86に図示するように、画面の上下に黒表示を行い、中央部に画像表示を行うレターボックス表示がある。
図86の黒表示部(1画素行〜a画素行、b画素行〜N画素行(a、b、Nは整数、Nは最大画素行番号、a<b))は、プリチャージ電圧Vpが印加されて黒表示が実現される。また、この領域は、同時にm画素行(mは2以上a以下の整数)が選択され、プリチャージ電圧Vpが画素16に印加される。a〜b画素行は、1画素行ずつ選択され、ソースドライバIC(回路)14から映像信号が画素16に書き込まれる(図87)。なお、説明を容易にするため、黒表示部は、画素行1〜a、b〜Nとし、画像表示部はa〜bとする。正確には、黒表示部は、1画素行目からa画素行目、b画素行目からN画素行目とし、画像表示部は、a+1画素行目からb−1画素行目までとする。
したがって、図87の方式では、黒表示部は、画像表示部(a〜b)に比較して、画素行に高速に映像信号(この場合は、プリチャージ電圧Vpとする)が印加される。つまり、図87に図示するように、m画素行のゲート信号線17aが同時に選択され、選択されたゲート信号線17aにプリチャージ電圧Vpが印加される。プリチャージ電圧Vpは黒電圧信号である。
なお、以下の実施例では、黒表示部(画素行1〜a、b〜N)は画面34の上下に発生させるとするが、これに限定するものではなく、画面34の上下の一方に発生させるとしてもい。
レターボックス表示では、図88に書き込み画素行61として図示するように、1〜a画素行目は、m画素行を同時に選択するため高速に書きこむ。a〜b画素行は、ソース信号線18に印加された映像信号を1画素行ずつ選択した画素行に書き込む。なお、複数の画素行を同時に選択して、複数の画素行にソースドライバ回路14からの映像信号を書き込んでも良い。b〜N画素行目は、m画素行を同時に選択し、プリチャージ電圧Vpを画素行に書き込む。そのため、選択される書き込み画素位置の移動は高速である。
ゲートドライバ回路12bの動作は、図61、図62、図75で説明した実施例と同様である。ゲートドライバ回路12aが選択する画素行とゲートドライバ回路12bが選択する画素行が一致した時、該当画素行を選択するゲートドライバ回路12bにオフ電圧を印加する。また、ゲートドライバ回路12aの動作も同様である。画素行1〜a、画素行b〜Nはm画素行を同時に選択し、プリチャージ電圧Vpを印加する。
なお、画素行1〜a、画素行b〜Nにおいてプリチャージ電圧Vpを印加するとしたが、黒表示に限定するものではない、たとえば、ブルーバック表示でもよい。また、プリチャージ電圧Vpを階調電圧として、灰色表示などをおこなってもよい。画素行1〜a、画素行b〜Nにおいてプリチャージ電圧Vpを印加するとしたが、同時に複数画素行を選択し、プログラム電流を印加してもよい。プログラム電流は選択する画素行に対応して印加する。以上の事項は本発明の他の実施例においても適用することができる。また、本明細書の他の実施例と組み合わせることができる。
画素行a〜bにおいては、1画素行ずつ画素行を選択し、ソースドライバ回路14からの映像信号を印加する。他の構成、動作は以前に説明した実施例と同様であるので説明を省略する。
図89の実施例は、図80、図81、図83、図84などと同様に書き込み画素行61と表示領域63が重ならないようにゲートドライバ回路12a、ゲートドライバ回路12bの制御、動作を調整した実施例である。
図90は、図89に加えて、画素行1〜a、b〜Nの書き込み速度とゲートドライバ回路12bの速度を一致させ、書き込み画素行と表示領域63が重ならず、また、ゲートドライバ回路12bのフレームレートを最も遅くした実施例である。
以上の実施例では、画素行1から画素行Nに順次映像信号を印加するというものであった。しかし、本発明はこれに限定するものではない。たとえば、図91に図示するように、画素行1〜a、画素行b〜Nの範囲にあって、画素16aと画素16bを同時に選択し、プリチャージ電圧Vpを印加してもよい。つまり、1水平走査期間に、画素行1〜aと画素行b〜Nの両方において画素行が選択され、映像信号あるいはプリチャージ電圧Vpが印加される。
なお、本発明の実施例において、映像信号を書き込む画素行と、駆動用トランジスタ11aの電流をEL素子15に電流を流すようにする画素行とが一致した時、前記画素行のEL素子15に電流を流さないようにするとした。しかし、本発明は、これに限定するものではない。任意の画素において、映像信号を書き込む期間とEL素子15に電流を供給する期間が重なっていても良い。選択期間が完了する前に、EL素子15に供給あるいは印加する電流が停止した後、正規の映像信号を画素に書き込めればよい。つまり、EL素子15に電流を供給していても、停止した後、映像信号を書き込めればよい。
また、本発明では、ゲート信号線17aとゲート信号線17bが同一の画素行を選択したとき、EL素子15が点灯しないように前記ゲート信号線17bにオフ電圧を印加するとした。前記ゲート信号線17bにオフ電圧を印加するのは、EL素子を点灯状態にしない、ことに意味があるのではない。映像信号の書き込みに影響を与えない、ようにすることに技術的意味がある。
したがって、EL素子15に電流が流れる状態(EL素子15が点灯している状態)が、該当画素の映像信号書き込みに影響しなければいずれの方式であっても本発明の技術的範疇である。画素16のトランジスタの配置構成では、EL素子15が点灯している方が、当該画素15の映像信号の書き込みに影響を与えない場合もある。画素行を非点灯領域62、点灯領域63にすることに本発明が制限されるものではない。本発明は、画素16を点灯させるゲートドライバ回路12bのフレームレートあるいはゲート信号線17bの選択するフレームレートと、映像信号を書き込むゲートドライバ回路12aのフレームレートあるいはゲート信号線17aのフレームレートとを異ならせることものである。
特に、画素16を点灯させるゲートドライバ回路12bのフレームレートあるいはゲート信号線17bの選択するフレームレートを、映像信号を書き込むゲートドライバ回路12aのフレームレートあるいはゲート信号線17aのフレームレートよりも早くすることを特徴とするものである。また、映像信号を書き込むために選択されたゲート信号線17aとEL素子15を点灯非点灯制御するゲート信号線17bとが同一画素行を選択するとき、前記画素行では、映像信号を書き込むことを優先する駆動方式である。また、前記方式で画素行に輝度差が発生する場合は、補正処理を実施するものである。
ゲートドライバ回路12bのフレームレートは、画像の内容によって変化してもよい。たとえば、高精細の画像ではフレームレートを低くし、低精細の画像ではフレームレートを高くする。
ゲートドライバ回路12bのフレーム周波数を高くすれば、フリッカは発生しにくくなる。しかし、余り高くすると、動画視認性が低下する。静止画では、フリッカが見えやすいので、ゲートドライバ回路12bのフレームレートを高くする必要がある。逆に動画では、画像表示が絶えず変化しているので、フリッカは目立ちにくい。そのため、フレームレートを下げて、動画視認性を向上させる。
本発明は、上記の事項をかんがみて、動画と静止画でゲートドライバ回路12bのフレームレートを変化させている。
図73にその実施例を図示している。図73において、横軸は、変化画素数割合である。変化画素数割合とは、1フレーム間で、画素16に印加する映像データの差を検出し、変化があった画素数を全画素数で割り算してパーセント表示したものである。たとえば、変化画素数が5万画素で、表示領域34の全画素数が20万画素の場合は、変化画素数割合は25%である。変化画素数割合が高いほど、画像表示は動画である。変化画素数割合が低いほど、静止画である。変化画素数割合が100%の状態とは、たとえばカメラをパンした状態である。
図73の実施例では、変化画素数割合が50%以上で、フレームレートは60Hzとしている。つまり、ゲートドライバ回路12aのフレームレートとゲートドライバ回路12bのフレームレートは同一である。画面34に占める非表示領域62は一括して行う。したがって、duty比が3/4では、全画素数の1/4の非表示領域62の帯が画面34の上辺から下辺にフレームレート60Hzで移動表示する。
変化画素数割合がA%(たとえば、10%)以下で、フレームレートは120Hzとしている。つまり、ゲートドライバ回路12bのフレームレートはゲートドライバ回路12aのフレームレートの2倍である。画面34に占める非表示領域62は一括して行う。したがって、duty比が3/4では、全画素数の1/4の非表示領域62の帯が画面34の上辺から下辺にフレームレート120Hzで移動表示する。
変化画素数割合がA%以上50%の間は、変化画素数割合に応じてゲートドライバ回路12bのフレームレートを線形に変化できるように構成する。
Aの値は、画面34のサイズにより異ならせる。したがって、コントローラ回路でAの値を自由に設定できるように構成することが好ましい。また、図73の変化画素数割合が50%と固定しているが、この値も、自由に設定できるように構成することが好ましい。
以上の実施例では、変化画素数割合でゲートドライバ回路12bのフレームレートを変化させるとした。変化画素数割合はたえず、変化している。変化の都度、フレームレートを可変すると、図65〜図69など説明した選択、非選択処理も負担となる。また、フレームレートの可変時に、フリッカが発生し、好ましくない。この課題に対して、本発明は、図74に図示するように遅延処理を行っている。
図74において、横軸は、フレーム間変化画素数の割合である。つまり、各画素で現フレームと前フレームで印加される画像データの差が発生した比率である。100%の時は、全画素の画像データが変化したことを示している。0%は静止画である。
フレーム間変化画素数が25%以下では、変化に必要なフレーム数は25フレームとしている。たとえば、現在のゲートドライバ回路12bのフレームレートが120Hzであり、図73の変化画素数割合から求めたフレームレートが160Hzであれば、25フレームの期間かかって、フレームレート120Hzから160Hzに変化させることを示している。
フレーム間変化画素数が75%以上では、変化に必要なフレーム数は200フレームとしている。たとえば、現在のゲートドライバ回路12bのフレームレートが120Hzであり、図73の変化画素数割合から求めたフレームレートが60Hzであれば、200フレームの期間かかって、フレームレート120Hzから60Hzに変化させることを示している。
なお、他の構成および駆動方式は以前に説明した実施例と同様あるいは類似であるので説明を省略する。また、本発明は本明細書に記載する他の実施例と組み合わせで実施できることは言うまでもない。
なお、画素16の構成は、図12などで説明したカレントミラー構成の場合は、図79などで説明したイネーブル処理を実施する必要はない。つまり、任意の画素16において、ゲート信号線17aとゲート信号線17bが同時に選択されても、ソースドライバ回路14が画素16に書き込みプログラム電流Iwに影響を与えないからである。図48で例示する本発明の技術的思想は、図1の画素構成であっても、図12の画素構成であってもよい。また、図13、図14の画素構成であってもよい。また、図2などの電圧プログラムの画素構成であってもよい。プログラムする画素行を選択するゲート信号線17aとEL素子15を選択するゲート信号線17bが独立に制御できるアレイ構成であれば、いずれの構成であっても実施できる。
図75は、電圧プログラム方式の画素構成である。ゲート信号線17bによりトランジスタ11dをオンオフ制御する。また、ゲート信号線17aを選択することにより、ソースドライバ回路14から電圧信号を画素16に順次書き込む。
図75において、レベル/ロジック変換回路751は、ゲート信号線17bとゲート信号線17aに印加された電圧(VGH、VGL)をロジック信号として処理をし、前記ゲート信号線17bにオン電圧(VGL)を出力するか、オフ電圧(VGH)を出力するかを決定する。また、751は、電圧のレベルシフト、電圧変換の機能を有する。
図75では、図1の画素構成と同様に、ゲートドライバ回路12aのフレームレートと、ゲートドライバ回路12bのフレームレートを異ならせることができる。したがって、図62、図61、図60、図65〜図72などの構成あるいは方式により、動画視認性を格段に向上させることができる。
以上の事項は本発明の他の実施例にも適用できる。また、図60、図61、図62ではAND回路を用いてゲート信号線17bのオンオフ状態を決定するように図示しているが、これに限定するものではなく、図75などの回路を用いてもよい。また、クロックドインバータなど、他の回路構成を用いて構成してもよい。また、別途シフトレジスタ回路、ロジック回路、レベル変換回路などを形成してもよい。
また、ゲートドライバ回路12aが同時に選択する画素行は1画素行に限定されるものではない。たとえば、2画素行以上の複数画素行を同時に選択してもよい。
また、任意の画素行において、ゲート信号線17aとゲート信号線17bが同時に選択されたとき、ゲート信号線17bを強制的に非選択状態にするとした(たとえば、図60など)。しかし、本発明はこれに限定するものではない。たとえば、前記任意の画素行において、その画素行に隣接する画素行のゲート信号線17bも非選択状態にしてもよい。また、ゲートドライバ回路12aの走査方向と、ゲートドライバ回路12bの走査方向は、同一方向としたが、これに限定するものではなく、逆方向でもよい。または、適時、走査方法を変化させてもよい。また、走査の開始は、画面34の上辺または下辺に限定するものではない。たとえば、画面34の中央部から開始してもよい。
図48〜図54、図57〜図74、図77〜図79、図80で説明した実施例あるいは本発明は、プログラム電流あるいはプログラム電圧(画素に書き込む映像信号あるいは画像データ)の制御と、EL素子15に流す電流あるいは電圧をオンオフさせる制御とが独立に実施できる構成あるいは方式に有効である。なお、独立に制御とは、複数のゲート信号線(たとえば、ゲート信号線17a、17b)のよる制御に限定されるものではない。たとえば、1つのゲート信号線で、時分割で、プログラム電流あるいはプログラム電圧(画素に書き込む映像信号あるいは画像データ)の制御と、EL素子15に流す電流あるいは電圧をオンオフさせる制御とを実施できる構成あるいは方式でもよい。これらの条件が満足できれば、すべての構成に本発明の方式を適用できる。また、その効果を享受できる。
また、図48、図60〜図62、図79で説明したように、複数のゲート信号線(17a、17b)を有する構成の場合は、少なくとも1つにゲート信号線17を強制的に非選択状態に制御することが非常に有効である。この構成も本発明の特徴ある構成である。
本発明は、図60、図61、図62で説明したように、本発明は、任意の画素16において、映像を書き込むタイミングまたは期間と、EL素子15を点灯させるタイミングまたは期間(構成によっては、EL素子15を消灯させるタイミングまたは期間)が重なった時、いずれか一方のタイミングまたは期間が発生しないように制御あるいは構成する方式である。図60、図61、図62では、EL素子15を点灯させることを取りやめるとして説明したが、逆に映像信号を書き込むことを停止することも有効である。前記動作を実現するために、ゲートドライバ回路12によりゲート信号線17aとゲート信号線17bのオンオフ状態を制御する。また、本発明は、同一の画素行をゲートドライバ回路12aとゲートドライバ回路12bが同時に選択しない状態に制御する方式である。
また、本発明は、映像信号を画素に書き込む状態を、EL素子15を点灯または消灯させる動作により影響を与えないように制御あるいは駆動する方式ともいえる。また、駆動用トランジスタ11aからEL素子15に流れる電流が、ソースドライバIC(回路)14に流れないようにする構成あるいは方式、ソースドライバ回路14からの電流がEL素子15に流れないようにする構成あるいは方式である。
また、本発明は、映像信号を印加する画素16を選択するゲート信号線17aとEL素子15を点灯させるために選択したゲート信号線17bの電位状態で、対応する画素16のEL素子15を点灯させるか否かを決定する駆動方式である。
また、以上の実施例は、画素を構成するトランジスタがpチェンネルトランジスタであっても、nチャンネルトランジスタであっても適用できる。また、トランジスタでなくてもよい。また、画素構成が電圧プログラム方式であっても、電流プログラム方式であっても適用できることも言うまでもない。
以上の実施例は、自己発光表示パネルであるEL表示装置の実施例であった。しかし、本発明の技術的思想は液晶表示パネルのような自己発光表示パネルでないものにも適用できる。図92は、本発明の技術的思想を液晶表示パネルに適用した実施例である。なお、図92の画素16はマトリックス状に形成されるが、説明を容易にするため、1画素のみを図示している。また、説明は液晶表示パネルあるいは液晶表示装置に本発明の技術的思想を適用するのみ必要な箇所を中心として説明する。他の説明しない事項は、他の本発明の記載事項あるいは説明事項が適用される。また、図92の液晶表示パネルは説明を容易にするため、階調数は2階調として説明する。
図92の液晶表示パネルは、p−Si(ポリシリコンプロセスを使用したアレイ)で画素およびゲートドライバ回路12が形成されている。ソースドライバ回路14は、p−SiまたはシリコンからなるICチップで形成されている。画素16は4つのトランジスタから構成される。トランジスタ11cは選択トランジスタであり、ソースドライバ回路14がソース信号線18に出力した電圧信号を画素16に印加するものである。ゲートドライバ回路12aがゲート信号線17aに印加した選択電圧(オン電圧)によりトランジスタ11cがクローズし、電圧信号をトランジスタ11aのゲート端子に印加する。コンデンサ19は、印加された電圧信号を1フレーム期間は保持する。
液晶層921は、b端子である画素電極と、対向電極との間に配置されている。液晶層921は、ノーマリブラック(NB)モードであり、液晶層921に電圧が印加されていない時は、黒表示となるように、偏光板などが配置されている。また、b端子の画素電極と共通電極などのコモン電圧を印加する電極(aと記載)には、トランジスタ11eが形成さえている。トランジスタ11eは、ゲートドライバ回路12bがゲート信号線17b2に印加した選択電圧(オン電圧)によりクローズする。トランジスタ11eのクローズにより液晶層921の両端子(a端子、b端子)が共通電位となり、液晶層921には電位が印加されないようになり、該当液晶層921は黒表示となる。この動作は画素行単位で実施される。コモン電圧は、1水平走査期間あるいは複数水平走査期間で電圧が変化し、また、1フレーム期間で電圧が変化する。変化する電圧は正電圧と負電圧の2値である。
トランジスタ11aは、ゲート端子に印加された(コンデンサ19に保持された)電圧信号がオン電圧以上(Vt電圧以上)でオン状態を保持する。トランジスタ11dはゲートドライバ回路12bがゲート信号線17b1に印加した選択電圧(オン電圧)によりクローズし、トランジスタ11aから出力される電圧を液晶層921のb端子に印加する。このとき、トランジスタ11eはオープン状態に制御される。
トランジスタ11dがオンしている期間を調整あるいは制御することにより、液晶層921のb端子に印加する電圧の大きさを変化できる。また、トランジスタ11aのゲート端子に印加する電圧信号の大きさによってもb端子に印加する電圧の大きさを変化することができる。したがって、液晶層921に多種多様な電圧を印加できるから、印加する電圧により多階調表示を実現できる。トランジスタ11dのオン時間またはオフ時間の制御は、OEV端子の制御により実現できる。トランジスタ11aのゲート端子に印加する電圧の大きさは、ソースドライバ回路14から出力する電圧信号により変化できる。また、ソースドライバ回路14から出力する電圧によりトランジスタ11aをオフ状態にすることもできる。
画素行を非表示領域62とするときは、該当ゲート信号線17b2にオン電圧を印加し、トランジスタ11eをオンさせる。選択するゲート信号線17b2の位置を走査することにより非表示領域62を順次移動(画面34の上辺から下辺に向かって)させることができる。表示領域63は、トランジスタ11eをオフにし、トランジスタ11dをオンにしてトランジスタ11aが出力する電圧を液晶層921のb端子に印加する。トランジスタ11aは、コンデンサ19に電圧が保持されているため、フレーム期間に何度でも設定された電圧を出力できる。ゲート信号線17b1とゲート信号線17b2とは基本的には排他制御を行う。ゲート信号線17aとゲート信号線17b1との排他制御は、図60、図61、図62、図75で説明した方式を用いてばよい。
以上の画素を、図51、図59、図60、図61、図62、図75、図91などで説明した本発明の構成に適用することにより、図66〜図74、図77〜図90の本発明の駆動方式を実現できる。ゲート信号線17aが選択する画素行とゲート信号線17b1が選択するが一致する場合は、図75などで説明した回路1851などで排他制御を行う。つまり、ゲート信号線17aが選択している画素行は、ゲート信号線17b1にオフ電圧を印加し、トランジスタ11dをオフ状態とする。
図93は、図92における構成で、ゲートドライバ回路12a、12bが制御するゲート信号線17a、ゲート信号線17b1、17b2のタイミングチャートである。VGLがオン電圧、VGHをオフ電圧としている。トランジスタ11eがオンすることにより液晶層921に保持された電荷は放電する。ゲート信号線17b2がオフすることにより液晶層921の電荷は保持される。ゲート信号線17b1にオン電圧が印加されることにより、液晶層921に電圧が印加される(トランジスタ11eがオフであることが必要)。ゲート信号線17aにオン電圧が印加されることにより、画素16に映像信号が書き込まれる。
図92の本発明の表示パネル(表示装置)は、先に説明したEL表示装置と同様に、ゲートドライバ回路12aでソースドライバ回路14からの映像信号(電圧信号)を画素に順次書き込むことができる。また、ゲートドライバ回路12bでトランジスタ11d、トランジスタ111eをオンまたはオフさせることにより、表示画面34に表示領域63と非表示領域62を帯状に発生させることができる。
以上の動作により、ゲートドライバ回路12aのフレームレートと、ゲートドライバ回路12bのフレームレートを異ならせることができる。また、画像は、各画素16のコンデンサ19にメモリされている。したがって、外部メモリを使用せずフレームレート返還を容易に行うことができる。したがって、本発明の技術的思想は、EL表示パネルなどの自己発光表示装置だけでなく、液晶表示装置などのように、非発光表示装置にも適用できる。
また、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、SED(キヤノンと東芝が開発したディスプレイ)、PDP(プラズマディスプレイパネル)などにも本発明の技術的思想は適用することができる。
本明細書で記載した本発明の駆動方法および駆動回路などは、有機EL表示パネルの駆動方法および駆動回路などに限定されるものではない。図94に図示するようにフィールドエミッションディスプレイ(FED)、SED(キャノンと東芝が開発したディスプレイ)などの他のディスプレイにも適用できることは言うまでもない。
図94のFEDでは基板30上にマトリックス状に電子を放出する電子放出突起941が形成されている。画素には映像信号回路14からの画像データを保持するコンデンサ(図示せず)が形成されている。また、電子放出突起941前面には制御電極943が配置されている。制御電極943にはオンオフ制御回路(ゲートドライバ回路)12bにより電圧信号が印加される。
映像信号回路14からソース信号線18に画像データ信号が印加される。映像信号の書き込み制御は、図75、図92などと同様に、ゲートドライバ回路12aで行われる。オンオフ制御回路12bから電子放出突起を有する画素16選択信号が印加され、画像データが書き込まれる。制御電極943に印加する電圧の大きさで、電子放出突起941から電子の放出(画像表示=表示領域63)あるいは、電子の非放出(非表示領域62)状態が形成される。
以上のように、FEDでも、ゲートドライバ回路12aとゲートドライバ回路12bを制御し、また、図75、図92などで説明したようにレベル/ロジック変換回路1851を用いることにより容易にフレームレート変換を行うことができる。
以上の実施例は、本発明の他の実施例と組み合わせることができることは言うまでもない。
以下、本発明のEL表示パネルまたはEL表示装置もしくはその駆動方法などを用いた装置などについて説明をする。以下の装置は、以前に説明した本発明の装置または方法を実施する。図54は情報端末装置の一例としての携帯電話の平面図である。筐体543にアンテナ541、テンキー542などが取り付けられている。
図55はビデオカメラの斜視図である。ビデオカメラは撮影(撮像)レンズ部552とビデオカメラ本体を具備し、撮影レンズ部552とビューファインダ部とは背中合わせとなっている。また、ビューファインダ部には接眼カバーが取り付けられている。観察者(ユーザー)はこの接眼カバー部から表示パネル544の表示画面184を観察する。
本発明のEL表示パネルは表示モニターとしても使用されている。表示部184は支点551で角度を自由に調整できる。表示部184を使用しない時は、格納部553に格納される。
本実施の形態のEL表示装置などはビデオカメラだけでなく、図56に示すような電子カメラ、スチルカメラなどにも適用することができる。表示装置はカメラ本体561に付属されたモニター184として用いる。カメラ本体561にはシャッタスイッチ563の他、スイッチ554が取り付けられている。
図1、図3、図5、図12、図13、図14、図62、図745、図91、図92、図94などで説明したあるいは記載した本発明の画素構成あるいは表示パネル(表示装置)とその構成回路あるいはその制御方法もしくは技術的思想は、相互に組み合わせることができる。また、相互に適用あるいは複合の構成もしくは形成あるいは組み合わせをすることができる。また、これらの技術的思想などは、一部あるいは全部を問わず相互に組み合わせることができる。
図4、図39、図40、図41などで説明した本発明の電源回路構成あるいはその制御方法もしくは技術的思想は、相互に組み合わせることができる。また、相互に適用あるいは複合の構成もしくは形成あるいは組み合わせをすることができる。また、これらの技術的思想などは、一部あるいは全部を問わず相互に組み合わせることができる。
図3、図8、図15、図16、図17、図18、図19、図20、図21、図22、図23、図24、図25、図26、図27、図28、図29、図30、図31、図32、図33、図34、図35、図36、図37、図38などで説明した本発明のソースドライバIC(回路)とその構成回路あるいはその制御方法もしくは技術的思想は、相互に組み合わせることができる。また、相互に適用あるいは複合の構成もしくは形成あるいは組み合わせをすることができる。また、これらの技術的思想などは、一部あるいは全部を問わず相互に組み合わせることができる。
図4、図5、図6、図7、図9、図10、図11、図23、図25、図26、図27、図28、図29、図35、図36、図37、図42、図43、図44、図45、図46、図47、図48、図49、図50、図51、図52、図53、図57、図58、図59、図60、図61、図62、図63〜図91、図92、図93などで説明した本発明の駆動方法と制御方法もしくは技術的思想は、相互に組み合わせることができる。また、相互に適用あるいは複合の構成もしくは形成あるいは組み合わせをすることができる。また、これらの技術的思想などは、一部あるいは全部を問わず相互に組み合わせることができる。
以上の本発明は、図54、図55、図56、図92、図94などで説明した表示装置に適用できる。また、相互に適用あるいは複合の構成もしくは形成あるいは組み合わせをすることができる。また、これらの技術的思想などは、一部あるいは全部を問わず相互に組み合わせることができる。
さらに、以上に記載した画素構成あるいは表示パネル(表示装置)あるいはその制御方法もしくは技術的思想、表示パネルあるいは表示装置の駆動方法もしくは制御方法もしくはその技術的思想、ソースドライバ回路(IC)、ゲートドライバIC(回路)などの駆動回路あるいはコントローラIC(回路)もしくはそれらの制御回路とその調整あるいは制御方法(ゲートドライバ回路なども含む)もしくは技術的思想、検査(評価)装置および検査(評価)方法の技術的思想などは、一部あるいは全部を問わず相互に組み合わせることができる。また、相互に適用あるいは構成もしくは形成することができることはいうまでもない。また、本発明の調整方法の技術的思想などは、本発明の表示パネルもしくは表示装置などに適用できることは言うまでもない。また、これらの技術的思想などは、一部あるいは全部を問わず相互に組み合わせることができる。
本発明の実施例で説明した表示装置あるいは駆動方法あるいは制御方法あるいは方式などの技術的思想は、ビデオカメラ、プロジェクター、立体(3D)テレビ、プロジェクションテレビ、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、SED(キヤノンと東芝が開発したディスプレイ)、PDP(プラズマディスプレイパネル)などに適用できる。また、ビューファインダ、携帯電話のメインモニターおよびサブモニターあるいは時計表示部、PHS、携帯情報端末およびそのモニター、デジタルカメラ、衛星テレビ、衛星モバイルテレビおよびそのモニターにも適用できる。また、電子写真システム、ヘッドマウントディスプレイ、直視モニターディスプレイ、ノートパーソナルコンピュータ、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、電子スチルカメラにも適用できる。また、現金自動引き出し機のモニター、公衆電話、テレビ電話、パーソナルコンピュータ、腕時計およびその表示装置などにも適用できる。また、バーコードなどの情報の発生機器にも適用することができる。これらの技術的思想などは、一部あるいは全部を問わず相互に組み合わせることができる。
本発明は、炊飯器などの家庭電器機器の表示モニター、カーオーディオの表示部、車のスピードメーター、ひげそりの表示部、ポケットゲーム機器およびそのモニター、電話器の番号、工場の計測器のインジケーターなどの表示モニター、電車の行き先表示モニター、ネオン表示装置の置き換え、表示パネル用バックライトあるいは家庭用もしくは業務用の照明装置、天井灯、窓ガラス、車のヘッドライトなどの照明装置などにも適用あるいは応用展開できることは言うまでもない。照明装置は色温度を可変できるように構成することが好ましい。これは、RGBの画素をストライプ状あるいはドットマトリックス状に形成し、これらに流す電流を調整することにより色温度を変更できる。また、広告あるいはポスターなどの表示装置、RGBの信号器、警報表示灯などにも応用できる。これらの技術的思想などは、一部あるいは全部を問わず相互に組み合わせることができる。
スキャナの光源としても本発明の自己発光素子もしくは表示装置あるいは有機EL表示パネルは有効である。RGBのドットマトリックスを光源として、対象物に光を照射し、画像を読み取る。もちろん、単色でもよいことは言うまでもない。また、本発明の表示装置から出力される光を単一波長あるいは狭帯域の波長がでるように構成し、レーザー表示装置またはその応用として用いても良いことは言うまでもない。狭帯域化は、干渉効果あるいは光学フィルタなどを用いることにより実現できる。
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々な変形・変更が可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施されてもよく、その場合は、その組み合わせによる特徴ある効果が得られる。