JP4873589B2 - 船舶航行妨害装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、例えば、湖や海の漁業禁止区域内に侵入する密漁船を停止させたりするのに用いられる船舶航行妨害装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記した船舶航行妨害装置としては、例えば、索あるいは網に複数のブイを装着したものがあり、この船舶航行妨害装置では、不審船の前方における水面ないしは水面近傍の水中(海面ないしは海面近傍の海中)で展開させて、浮遊する索あるいは網を船舶のスクリューに絡み付かせることによって、航行を妨害するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記した従来の船舶航行妨害装置において、妨害態勢をしいた際に浮遊させた索あるいは網が不審船のスクリューに絡み付かなかった場合には、妨害態勢を解除した後にそのまま放置しておくと、不審船ではない船舶に絡み付いてしまう可能性があるという問題を有しており、この問題を解決することが従来の課題となっていた。
【0004】
【発明の目的】
本発明は、上記した従来の課題に着目してなされたもので、妨害態勢をしいた際に漁業禁止区域内に侵入する密漁船などの不審船の航行を妨げることができるのは勿論のこと、妨害態勢を解除した状態において、煩雑な回収作業を行わなくても、船舶の航行の妨げになることがない船舶航行妨害装置を提供することを目的としている。
【0005】
請求項1に記載した船舶航行妨害装置は、複数個のフロート部と、これらのフロート部から付与される浮力によって水面又は水面近傍の水中で浮遊させることにより、船舶のスクリューに絡み付いて航行を妨げる妨害態勢をしくための妨害部とを備えたものであり、上記妨害部による妨害態勢をしいた時点から所定時間が経過した段階で、少なくとも妨害部を沈下させて上記妨害態勢を解除する妨害態勢解除手段を設けており、妨害態勢解除手段は、水に浸した時点から所定時間が経過した段階で水に溶けてフロート部と妨害部との連結状態を解除する水溶性連結部であることを特徴としている。
【0006】
請求項2に記載の船舶航行妨害装置は、請求項1に記載した構成において、水の含浸を抑制するコーティング材が塗布された連結紐を水溶性連結部とし、連結紐の太さ又はコーティング材の塗布量及びそれら双方を変えることで妨害態勢解除までの時間を制御することを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載の船舶航行妨害装置は、請求項1又は2に記載した構成において、複数本の縄を枝状に配置した枝縄付き妨害索を妨害部としたことを特徴としている。
【0008】
請求項4に記載の船舶航行妨害装置は、請求項1又は2に記載した構成において、複数本の縄を枝状に配置した枝縄付き妨害索又は網を妨害部とし、水に浸した時点で水に溶ける水溶性の紐部材で枝縄付き妨害索の縄又は網を結束していることを特徴としている。
【0009】
【発明の作用】
請求項1に記載した船舶航行妨害装置では、不審船の前方における水面ないしは水面近傍の水中(海面ないしは海面近傍の海中)で妨害部をフロート部の浮力によって浮遊させて妨害態勢をしくと、妨害部が不審船のスクリューに絡み付いて不審船の航行を妨げることとなり、この際、妨害部が不審船のスクリューに絡み付かなかったとしても、少なくとも妨害部を沈下させて妨害態勢を解除しているので、従来必要とされていた煩雑な回収作業を行わなくても、船舶の航行の妨げになるようなことが回避されることとなる。
また、水に浸した時点から所定時間が経過した段階で水溶性連結部が水に溶けてフロート部と妨害部との連結状態を解除して、簡単な構造で妨害部のみを沈下させられることとなる。
【0010】
請求項2に記載した船舶航行妨害装置では、妨害部がフロート部から離間して沈下するまでの時間の設定が簡単になされることとなる。
請求項3に記載した船舶航行妨害装置では、網と同様の妨害機能を有しつつ網よりも取り扱いが簡単になされることとなる。
請求項4に記載した船舶航行妨害装置では、例えば、妨害部をロケット弾で曳航する場合に、コンパクトに束ねられる分だけ空気抵抗の軽減が図られるうえ、着水前には絡まることが少なくなって取り扱いが容易なものとなると共に、着水後には速やかに展開することとなる。
【0011】
【発明の効果】
請求項1に記載した船舶航行妨害装置によれば、妨害部をフロート部の浮力によって浮遊させた妨害態勢では、妨害部を不審船のスクリューに絡み付かせて不審船の航行を妨げることができるのは言うまでもなく、たとえ妨害部が不審船のスクリューに絡み付かなかった場合であったとしても、妨害態勢を自動的に解除することができるので、従来必要とされていた煩雑な回収作業を行わなくても、船舶の航行の妨げになるような事態が生じるのを回避することができるという非常に優れた効果がもたらされる。
妨害部が不審船のスクリューに絡み付かなかった場合であったとしても、妨害部を浮遊させて妨害態勢をしいた時点から所定時間が経過した段階で、妨害態勢を自動的に解除することができ、区域や用途の違いに対応させて船舶の航行の妨げになるような事態が生じるのを回避することができる。
また、妨害態勢をしいた時点から所定時間が経過した段階で、簡単な構造で妨害部のみを沈下させることができる。
【0012】
請求項2に記載した船舶航行妨害装置によれば、妨害部が沈下して妨害態勢が解除されるまでの時間設定を極めて簡単に行うことができる。
請求項3に記載した船舶航行妨害装置によれば、網と同様の妨害機能を確保したうえで、網よりも簡単に取り扱うことができる。
【0013】
請求項4に記載した船舶航行妨害装置によれば、例えば、妨害部をロケット弾で曳航する場合には、コンパクトに束ねられる分だけ空気抵抗の軽減を実現でき、加えて、着水前の取り扱い性を大幅に向上させることができるとともに、着水後には迅速に展開させることが可能である。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。
【0022】
[第1実施例]
図1は本発明に係わる船舶航行妨害装置の一実施例を示している。
【0023】
図1に示すように、この船舶航行妨害装置1は、複数個のブイ(フロート部)2と、これらのブイ2に支持されて水面WSないしは水面近傍の水中(海面ないしは海面近傍の海中)でブイ2から付与される浮力によって浮遊する索(妨害部)3を備えており、不審船の前方で展開して浮遊する索3を不審船のスクリューに絡み付かせることによって、航行を妨害するようになっている。
【0024】
複数個のブイ2および索3は、図1(a)に示すように、妨害態勢解除手段としての連結紐(水溶性連結部)4によって連結してあり、これらの連結紐4は、図1(b)に示すように、着水して妨害態勢をしいた時点から所定時間が経過した段階で水に溶けて連結状態を解除する、すなわち、着水して妨害態勢をしいた時点から所定時間が経過した段階で複数個のブイ2から索3を離間させ、この索3のみを沈下させて妨害態勢を解除するようになっている。
【0025】
この場合、連結紐4には水の含浸を抑制するコーティング材が塗布してあって、この実施例では、連結紐4の太さおよびコーティング材の塗布量を変えることによって、着水して妨害態勢をしいてから妨害態勢を解除するまでの時間を制御するようにしている。
【0026】
この船舶航行妨害装置1では、不審船の前方における水面WSないしは水面近傍の水中で索3をブイ2から付与される浮力によって浮遊させて妨害態勢をしくと、索3が不審船のスクリューに絡み付いて不審船の航行を妨げることとなり、この際、索3が不審船のスクリューに絡み付かなかった場合であったとしても、索3を浮遊させて妨害態勢をしいた時点から所定時間が経過した段階で、複数個のブイ2と索3とを連結する連結紐4が水に溶けて連結状態が解除されて、索3のみが沈下することによって妨害態勢が解除されるので、従来必要とされていた煩雑な回収作業を行わなくても、船舶の航行の妨げになるようなことが回避されることとなる。
【0027】
また、この船舶航行妨害装置1では、連結紐4の太さおよびコーティング材の塗布量を変えることで、着水して妨害態勢をしいてから妨害態勢を解除するまでの時間を制御するようにしているので、索3がブイ2から離間して沈下するまでの時間の設定が簡単になされることとなり、例えば、漁業禁止区域において夜間にのみ妨害態勢をしいて密漁船の侵入を阻止し、夜明けとともに妨害態勢を解除するといったことを行い得ることとなり、すなわち、区域や用途に応じた使い方を行い得ることとなる。
【0028】
さらに、この船舶航行妨害装置1では、妨害態勢をしいた時点から所定時間が経過した段階において、索3のみを沈下させるようにしているので、構造の簡略化が図られることとなる。
【0029】
[第2実施例]
図2は本発明に係わる船舶航行妨害装置の他の実施例を示している。
【0030】
図2に示すように、この船舶航行妨害装置21では、ブイ22に設けた注水槽25およびこの注水槽25の注水口26に設けられて水に浸した時点から所定時間が経過した段階で水に溶けて注水槽25への水の浸入を許容する水溶性プラグ27を妨害態勢解除手段としていて、他の構成は先の実施例と同じである。
【0031】
ブイ22は、注水槽25に水が充填されて索3とともに沈下するようになっており、水溶性プラグ27の直径および軸方向寸法を変えることで注水槽25に水が浸入するまでの時間を制御する、すなわち、妨害態勢解除までの時間を制御するようになっている。
【0032】
この船舶航行妨害装置21では、不審船の前方における水面WSないしは水面近傍の水中で索3を浮遊させて妨害態勢をしいた際に、索3が不審船のスクリューに絡み付かなかった場合であったとしても、妨害態勢をしいた時点から所定時間が経過した段階において、注水槽25の注水口26を閉塞している水溶性プラグ27が水に溶けて注水槽25に水が浸入することによって、ブイ22および索3が沈下して妨害態勢が解除されるため、従来必要とされていた煩雑な回収作業を行わなくても、船舶の航行に支障をきたすようなことが回避されることとなる。
【0033】
また、この船舶航行妨害装置21では、水溶性プラグ27の直径および軸方向寸法を変えることで、注水槽25に水が浸入するまでの時間を制御するようにしているので、すなわち、着水して妨害態勢をしいてから妨害態勢を解除するまでの時間を制御するようにしているので、索3およびブイ22が沈下するまでの時間の設定が簡単になされることとなり、区域や用途に応じた使い方を行い得ることとなる。
【0034】
さらに、この船舶航行妨害装置1では、妨害態勢をしいた時点から所定時間が経過した段階において、ブイ22および索3のいずれもが沈下することから、ブイ22が船舶の航行の妨げになることも回避されることとなる。
【0035】
[第3実施例]
図3は本発明に係わる船舶航行妨害装置のさらに他の実施例を示している。
【0036】
図3に示すように、この船舶航行妨害装置21Aでは、ブイ22Aに設けた注水槽25Aおよびこの注水槽25Aの内部に設けられて水に浸した時点から所定時間が経過した段階で注水口26Aから浸入する水を吸収する吸収材27Aを妨害態勢解除手段としていて、他の構成は先の実施例と同じである。
【0037】
ブイ22Aは、注水槽25Aに水が充填されて索3とともに沈下するようになっており、吸収材27Aの気孔径および軸方向寸法並びに注水口26Aの寸法を変えることで注水槽25Aに水が浸入するまでの時間を制御する、すなわち、妨害態勢解除までの時間を制御するようになっている。
【0038】
この船舶航行妨害装置21Aにおいても、不審船の前方における水面WSないしは水面近傍の水中で索3を浮遊させて妨害態勢をしいた際に、索3が不審船のスクリューに絡み付かなかった場合であったとしても、妨害態勢をしいた時点から所定時間が経過した段階において、吸収材27Aが水を吸収することによって、ブイ22Aおよび索3が沈下して妨害態勢が解除されるため、従来必要とされていた煩雑な回収作業を行わなくても、船舶の航行に支障をきたすようなことが回避されることとなる。
【0039】
[第4実施例]
図4は本発明に係わる船舶航行妨害装置のさらに他の実施例を示している。
【0040】
図4に示すように、この船舶航行妨害装置31が第1実施例における船舶航行妨害装置1と相違するところは、索本体35に複数本の縄36を枝状に配置してなる枝縄付き妨害索33を妨害部とした点にあり、他の構成は第1実施例における船舶航行妨害装置1と同じである。
【0041】
この船舶航行妨害装置31では、枝縄付き妨害索33が網と同様ないしはそれに近い妨害機能を有していながら網よりも取り扱い性の向上が図られることとなる。
【0042】
[第5実施例]
図5は本発明に係わる船舶航行妨害装置のさらに他の実施例を示している。
【0043】
図5に示すように、この船舶航行妨害装置41では、第3実施例の船舶航行妨害装置31における枝縄付き妨害索33の縄36を水溶性の紐部材42で結束しており、他の構成は第3実施例における船舶航行妨害装置31と同じである。
【0044】
この船舶航行妨害装置41では、例えば、施設位置にロケット弾で曳航する場合に、コンパクトに束ねられる分だけ空気抵抗の軽減が図られるうえ、着水前には絡まることが少なくなって取り扱いが容易なものとなると共に、着水後には紐部材42が水に溶けて妨害索33が速やかに展開することとなる。
【0045】
[第6実施例]
図6は本発明に係わる船舶航行妨害装置のさらに他の実施例を示している。
【0046】
図6に示すように、この船舶航行妨害装置51では、網53を妨害部とし、複数個のブイ2および網53を妨害態勢解除手段としての連結紐4によって連結すると共に、網53を水に浸した時点で水に溶ける水溶性の紐部材42で結束しており、他の構成は第1実施例における船舶航行妨害装置1と同じである。
【0047】
この船舶航行妨害装置51においても、例えば、施設位置にロケット弾で曳航する場合には、コンパクトに束ねられる分だけ空気抵抗を少なく抑え得るうえ、着水前の取り扱いが容易なものとなると共に、着水後には網53が速やかに展開することとなる。
【0048】
本発明に係わる船舶航行妨害装置の詳細な構成は、上記した実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる船舶航行妨害装置の一実施例を示す妨害態勢をしいた状態での側面説明図(a)および妨害態勢を解除した状態での側面説明図(b)である。
【図2】本発明に係わる船舶航行妨害装置の他の実施例を示す妨害態勢をしいた状態での側面説明図(a), 同ブイの拡大断面説明図(b),妨害態勢を解除した状態での側面説明図(c)および同ブイの拡大断面説明図(d)である。
【図3】本発明に係わる船舶航行妨害装置のさらに他の実施例を示す妨害態勢をしいた状態での側面説明図(a), 同ブイの拡大断面説明図(b),妨害態勢を解除した状態での側面説明図(c)および同ブイの拡大断面説明図(d)である。
【図4】本発明に係わる船舶航行妨害装置のさらに他の実施例を示す妨害態勢をしいた状態での枝縄付き妨害索の側面説明図である。
【図5】本発明に係わる船舶航行妨害装置のさらに他の実施例を示す枝縄付き妨害索の縄を束ねた状態での側面説明図である。
【図6】本発明に係わる船舶航行妨害装置のさらに他の実施例を示す網を束ねた状態での側面説明図(a), 同正面説明図(b), 妨害態勢をしいた状態での側面説明図(c) および同正面説明図(d)である。
【符号の説明】
1,21,21A,31,41,51 船舶航行妨害装置
2,22,22A ブイ(フロート部)
3,33 索(妨害部)
4 連結紐(水溶性連結部;妨害態勢解除手段)
25,25A 注水槽(妨害態勢解除手段)
27 水溶性プラグ(妨害態勢解除手段)
27A 吸収材(妨害態勢解除手段)
36 縄
42 水溶性の紐部材
53 網(妨害部)
WS 水面

Claims (4)

  1. 複数個のフロート部と、これらのフロート部から付与される浮力によって水面又は水面近傍の水中で浮遊させることにより、船舶のスクリューに絡み付いて航行を妨げる妨害態勢をしくための妨害部とを備えた船舶航行妨害装置において、
    上記妨害部による妨害態勢をしいた時点から所定時間が経過した段階で、少なくとも妨害部を沈下させて上記妨害態勢を解除する妨害態勢解除手段を設けており、
    妨害態勢解除手段は、水に浸した時点から所定時間が経過した段階で水に溶けてフロート部と妨害部との連結状態を解除する水溶性連結部であることを特徴とする船舶航行妨害装置。
  2. 水の含浸を抑制するコーティング材が塗布された連結紐を水溶性連結部とし、連結紐の太さ又はコーティング材の塗布量及びそれら双方を変えることで妨害態勢解除までの時間を制御することを特徴とする請求項1に記載の船舶航行妨害装置。
  3. 複数本の縄を枝状に配置した枝縄付き妨害索を妨害部としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の船舶航行妨害装置。
  4. 複数本の縄を枝状に配置した枝縄付き妨害索又は網を妨害部とし、水に浸した時点で水に溶ける水溶性の紐部材で枝縄付き妨害索の縄又は網を結束していることを特徴とする請求項1又は2に記載の船舶航行妨害装置。
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