JP3981261B2 - シーアンカー - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はシーアンカー、さらに詳細には抵抗体の抵抗を変化させることができ、かつブイを必要としないシーアンカーに関する。
【0002】
【従来技術及び問題点】
シーアンカーは漁船、救命筏、救命艇などの安全確保、あるいは漁労時、魚釣り時など沖泊時に、船の安定を確保するため使用される水中抵抗体である。このようなシーアンカーは、従来、図4に示すように、パラシュート状の抵抗体1の開口周縁部複数の張索2を設けて、この張索2の他方の端部を相互に一体化するとともに、前記一体化部分より曳航索3を伸長させて船Sに接続する構造になっている。
【0003】
前記抵抗体1の頂上部11には、水を逃がすための排水口12が設けられており、シーアンカーが大きな抵抗を受けて、不安定にならないようになっている。すなわちこの排水口12によって船Sが受ける抵抗が制御されるようになっている。この頂上部1は浮力のあるブイ5にブイライン4によって接続されている。
【0004】
このような構造のシーアンカーを使用する場合、曳航索3によって船Sに接続された抵抗体1を水中に投げ込むだけでよい。水の抵抗によって、前記パラシュート状の抵抗体1は開き、水が充填されることによって、船Sを安定化させることになる。一方、抵抗体1の頂上部11に接続されたブイ5はブイライン4を牽引し、水上に浮き上がり、前記抵抗体1の位置表示の作用を営む。
【0005】
シーアンカーを引き上げる場合には、前記ブイ5を船上に引き上げ、ブイライン4を引くことによって前記抵抗体1を頂上部11より引き上げるようになっている。曳航索3を牽引することによって、前記抵抗体1を引き上げることは、抵抗が大きすぎて困難であるためである。したがって、このブイ5は抵抗体1を引き上げるために設けられている。
【0006】
このような構造のシーアンカーにおいては、前述のように曳航索3を牽引することによって船上に引き上げることはできず、このためブイ5及びブイライン4を必要とするという欠点がある。また、頂上部11に形成された排水口12の寸法は一定であり、抵抗体1の抵抗を変化させることはできないという欠点がある。
【0007】
本発明は上述の問題点に鑑みなされたものであり、頂上部に形成された排水口の寸法を変化させることにより、曳航索を牽引することによって船上に引き上げ可能な抵抗体を有するシーアンカーを提供することを目的とする。さらに前記排水口の寸法を変化させることによって抵抗体の抵抗を制御可能なシーアンカーを提供することを目的とする。
【0008】
【問題点を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、本発明によるシーアンカーは、一方と他方に開口端を有する筒状の抵抗体の一方の開口端周縁部に、船に接続する複数の張索を設け、船より伸長するセンターコードを一方の開口端より抵抗体内部に伸長させ、他方の開口端周縁部に沿って設けるとともに、前記センターコードの先端部をこのセンターコードに固定してループを形成させて、前記センターコードを牽引することによって他方の開口端の開口寸法を制御可能にしたことを特徴とする。
【0009】
【実施例】
図1は本発明による一実施例の斜視図、図2は他方の開口端付近の断面図であるが、これらの図より明らかなように、一方と他方の開口端13,14を備えた中空円筒状の抵抗体1の一方の開口端周縁部131に、船Sに接続するための複数の張索2が固定されており(この実施例については4つ)、前記張索2の一方の先端部は接続治具21によって一体化されて曳航索3の一端に接続している。そしてこの曳航索3の他端は船Sに固定されている。
【0010】
前記張索2は、この実施例においては、一方の開口端13より前記抵抗体1の外表面に沿って固定され、他方の開口端14を越えて伸長し、その開口端14を越えて伸長した他方の先端部に案内ループ22が形成された構造になっている。
【0011】
本発明ににおいて、センターコード6が設けられており、このセンターコード6の一方の端部は船Sに伸長している。そして他方の端部は抵抗体1の一方の開口端13より抵抗体1の内部を伸長し、他方の開口端14の周縁部141に沿って移動可能に設けられ、さらに前記先端部はループ61を形成するように前記センターコード6の所定部分に接続固定されている。すなわち、前記センターコード6は張索2の先端部に形成された案内ループ22および前記開口端14の周縁部141に適時形成された案内ループ15を貫通して通過し、かつ前記案内ループ22及び案内ループ15のいずれかに設けられた案内リング16を貫通して、センターコード6の所定部分に接続固定されてループ61が形成される構造になっている。
【0012】
前記曳航索3には後述のセンターコード6を船S方向に案内するための案内リング31が設けられているとともに、前記センターコード6を固定するためのフック32が設けられた構造になっている。一方、前記センターコード6の船S側には、少なくとも一つの止めリング62が形成されており(この実施例では複数)、前記止めリング62を前記曳航索3のフック32に係止させることによって、センターコード6の長さを制御でき(センターコード6がテンションを負荷された長さになる位置に止めリング62及びフック32は取り付けられている)、他方の開口端14(排水口12に相当する)の開口寸法を決めることができる。この止めリング62を間欠的に複数設けることによって、排水口12の寸法を複数に制御可能であり、抵抗体1の抵抗を変化させることができる(前記曳航索と前記センターコードとを前記センターコード6がテンションを負荷される状態で固定可能にする固定手段は、前記止めリング62及びフック32により構成される)。
【0013】
この実施例においては、前記抵抗体1の一方の開口端13の周縁部131の一部に浮力体17を設けることができる。そして前記浮力体17が設けられた周縁部131の対向する位置に錘18が設けられており、前記抵抗体1は常に浮力体17が設けられた部分が上方になるように構成されている。
【0014】
本発明において、前記開口端13の周縁部131に全周に亘って、剛性があり、活ある程度の柔軟性があるワイヤ(図示せず)を設けることができる。この場合、前記開口端13は開口状態で水中に投下されることから、抵抗体1が開く時間を実質的に0とすることが可能である。このようなワイヤーは特に小型の抵抗体1の場合に有用であり、収納するときには8の字状に捩じって折曲し、小さく折り畳むことが可能である。
【0015】
このような本発明によるシーアンカーを使用する場合、図3に示すように、まず、曳航索3のフック32にセンターコード6の所定の止めリング62を係止させる。このとき止めリング62は、センターコード6にテンションが負荷される位置に設けられているため、センターコード6は引っ張られる状態になる。センターコード6の他端は抵抗体1の他方の開口端14の周縁部141に沿って移動可能に設けられおり、かつループ61が形成されているので、前記開口端14(排水口12)はセンターコード6のループ61によって絞り込まれることになり、所定寸法の排水口12が形成される。
【0016】
このような状態で、水中に投下すると、所定の抵抗の排水口12を有するシーアンカーとなる。
【0017】
排水口12の寸法は、前述のセンターコード6に複数設けられた止めリング62を選択することにより、前記止めリング62の数だけ選択可能になる。
【0018】
このようなシーアンカーを引き上げるときには、センターコード6を引っ張り、抵抗体を内側から反転させてから(抵抗体の排水口を広げるのではなく、逆にしぼめた状態のまま曳航索側に引き込む)、センターコード6と曳航索3とを一緒に引き上げれば抵抗なく簡単に抵抗体を船に引き上げることができる。
【0019】
あるいは以下の方法で簡単に引き上げることができる。前記止めリング62をフック32より取り外す。このように止めリング62を係止解除することによって、センターコード6のテンションがなくなるため、センターコード6は抵抗体1側に移動し、前記開放端14は当初の開口寸法に戻ることになる。このため、抵抗が少なくなり、前記曳航索3を牽引することによって、容易に船に引き上げることが可能になる。このとき、センターコード6を案内する曳航索3の案内リング31は、前記止めリング62と干渉し、それ以上センターコード6が抵抗体1方向に引っ張られるのを防止する作用を営む。このため、この案内リング31はセンターコード6がテンションがかからない位置に設けられる。
【0020】
以上のように本発明の一実施例を説明したが、抵抗体の開口端の形状は、円形である必要はなく種々の形状であることができ、またループ61を案内する案内ループ22及び15もこれに限定されるものではなく、たとえばリングを取り付けて案内させるようにしてもよい。さらに、センターコードの長さを規定するフックおよび止めリングも、フック及びリングに限定されるものではなく、前記センターコードを所定の長さに固定できるものであればいかなる手段であってもよい。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によるシーアンカーによれば、センターコードを抵抗体の他方の開放端に沿って移動可能に設け、かつループを形成せしめたため、センターコードを引っ張ることによって開放端の開口寸法(排水口の寸法)を変化させることが可能である。このため、種々の抵抗の抵抗体とすることが可能であるとともに、センターコードのテンションが負荷されないときには、当初の開口寸法となり抵抗が小さくなるため、張索を牽引することによって抵抗体を船に引き上げることが可能であるという利点を生じる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるシーアンカーの一実施例の斜視図。
【図2】抵抗体の他方の開口端付近の断面図。
【図3】本発明のシーアンカーの使用時における斜視図。
【図4】従来のシーアンカーの構造を示す斜視図。
【符号の説明】
1 抵抗体
12 排水口
13 一方の開口端
14 他方の開口端
15 案内ループ
2 張索
22 案内ループ
3 曳航索
31 案内リング
32 フック
6 センターコード
61 ループ
62 止めリング
Claims (6)
- 一方と他方に開口端を有する筒状の抵抗体の一方の開口端周縁部に、船に接続する複数の張索を設け、さらに船より伸長するセンターコードを一方の開口端より抵抗体内部に伸長させ、他方の開口端周縁部に沿って移動可能に設けるとともに、前記センターコードの先端部をこのセンターコードに固定してループを形成させて、前記センターコードを牽引することによって他方の開口端の開口寸法を制御可能にしたことを特徴とするシーアンカー。
- 前記張索の船側のそれぞれの先端部は、船に固定される曳航索に接続していることを特徴とする請求項1記載のシーアンカー。
- 前記曳航索と前記センターコードとを前記センターコードがテンションを負荷される状態で固定可能にする固定手段を備えていることを特徴とする請求項2記載のシーアンカー。
- 前記固定手段は曳航索に設けられるフックとセンターコードに設けられる止めリングであり、前記フックに止めリングを係止させることによってセンターコードにテンションが負荷されるようになっていることを特徴とする請求項3記載のシーアンカー。
- 前記一方の開口端周縁部に、剛性がありかつ柔軟性がある保形材を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のシーアンカー。
- 前記一方の開口端周縁部の一部に浮力体を、この浮力体に対向する位置に錘を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のシーアンカー。
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