JP4872792B2 - 車両用電気サスペンションシステム - Google Patents

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Description

本発明は、車両用電気サスペンションシステムに関するものであり、特に、車輪と車体との接近離間方向の力である接近離間力を発生させる接近離間力発生装置を含む車両用電気サスペンションシステムに関するものである。
接近離間力発生装置は、多くの場合、回転運動を直線運動に変換する運動変換装置を備え、電動機,発電機等の回転電気機械が発生させる回転トルクによって接近離間力を発生させることができる。そのため、接近離間力発生装置を含む車両用電気サスペンションシステムは、回転電気機械を制御することによって、例えば、車両の乗り心地を向上させたり、姿勢を制御したりすることができる。下記特許文献1には、接近離間力発生装置を含む車両用電気サスペンションシステムの一例が記載されている。この接近離間力発生装置は、運動変換装置たるボールねじ装置を備え、回転電気機械によってねじロッドに回転トルクを付与することで、ナットを直線方向に移動させる力を発生させる構造とされている。
特開2006−82635号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術において、4つの接近離間力発生装置は互いに同じ構造とされており、それらが対応する4つの車輪の各々と車体とが同じ向きに接近あるいは離間した場合には、回転電気機械のロータやねじロッドの回転方向が互いに同じになる。車輪と車体との接近・離間によってロータやねじロッドが回転方向に加速あるいは減速されると、それらの慣性モーメントによって車体をヨー方向に回転させるヨーモーメントが生じるという問題がある。このヨーモーメントは、例えば、車両の乗り心地に影響を与え、あるいは車両の走行安定性等に影響を与えること等があるため、可及的に低減させることが望ましい。
上記の例のように、従来の車両用電気サスペンションシステムには、望ましくないヨーモーメントを低減させる等、実用性向上の観点から未だ改良の余地がある。本発明は、そういった実情を鑑みてなされたものであり、より実用的な車両を得ることを課題としてなされたものである。
上記課題を解決するために、本発明の車両用電気サスペンションシステムは、車両の前側と後側との少なくとも一方において互いに左右方向に隣り合う右接近離間力発生装置と左接近離間力発生装置とが、それら両接近離間力発生装置の各々の鉛直軸線回りの慣性モーメントを支配する支配的慣性回転部の回転の向きが、それら両接近離間力発生装置の前記出力部材の同じ向きの移動に対して互いに逆向きとなるように構成されたことを特徴とし、さらに、4つの接近離間力発生装置のうちの前後方向において互いに隣り合う2つのものが、それらの出力部材の同じ向きの移動に対して、上記支配的慣性回転部の回転の向きが互いに同じ向きとなる、または、互いに逆向きとなるように構成されたことを特徴とする。
本発明の車両用電気サスペンションシステムは、左右の車輪が車体に対して同じ向きに相対移動させられる場合に、左右方向において互いに隣り合う接近離間力発生装置の支配的慣性回転部が互いに逆向きに回転するようにされており、発生するモーメントを互いに打ち消し合うようにされている。その結果、バウンド時やピッチ時等において、車両全体として発生するヨーモーメントを可及的に低減させることができる。すなわち、本発明によれば、より実用的な車両用電気サスペンションシステムが得られるのである。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載,従来の技術等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から一部の構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項と(6)項とを合わせたものが請求項1に、(1)項と(7)項とを合わせたものが請求項2に、請求項1または請求項2に(2)項の技術的特徴を付加したものが請求項3に、請求項3に(4)項および(5)項の技術的特徴を付加したものが請求項4に、請求項3または請求項4に(3)項の技術的特徴を付加したものが請求項5に、それぞれ相当する。
(1)回転子を有する回転電気機械と、直線運動させられる出力部材と、それら回転子と出力部材との一方の運動と他方の運動とを相互に変換する運動変換装置とを含み、前記回転電気機械に回転トルクを発生させることによって車輪と車体との接近離間方向の力を発生させる接近離間力発生装置が、車両の前側と後側との少なくとも一方において互いに左右方向に隣り合う2つの車輪である右車輪および左車輪の各々と車体との間に右接近離間力発生装置および左接近離間力発生装置としてそれぞれ配設された車両用電気サスペンションシステムであって、
前記右接近離間力発生装置と前記左接近離間力発生装置とが、それら両接近離間力発生装置の前記回転電気機械および前記運動変換装置の少なくとも一方の構成要素から成り、それら両接近離間力発生装置の各々の鉛直軸線回りの慣性モーメントを支配する支配的慣性回転部の回転の向きが、それら両接近離間力発生装置の前記出力部材の同じ向きの移動に対して互いに逆向きとなるように構成されたことを特徴とする車両用電気サスペンションシステム。
本項の接近離間力発生装置は、車輪と車体との間に配設され、車輪と車体との接近・離間に応じて出力部材が直線的に往復動させられるものである。そして、回転電気機械が発生させる回転トルクが運動変換装置によって出力部材の直線運動の方向の力である接近離間力に変換される。この接近離間力を適切な大きさにすることによって、例えば、車両の乗り心地を良好にすることや、車体の姿勢を制御すること等ができる。
回転電気機械は、例えば、発電機と電動機との少なくとも一方として機能するものとすることができる。例えば、発電機の機能によれば、車輪と車体との接近・離間に伴い受動的に回転させられて発電することにより、抵抗トルクである回転トルクを発生させ、出力部材の直線運動を減速させる向きの接近離間力を発生させることができる。また、電動機の機能によれば、電力の供給を受けて駆動トルクである回転トルクを発生させ、出力部材の直線運動を加速する向きの接近離間力を発生させ、あるいは、駆動トルクの向きとは逆向きに受動的に回転させられながら出力部材の直線運動を減速させる向きの接近離間力を発生させることができる。
上述のように、本項の接近離間力発生装置は、車輪と車体との接近離間に伴い回転させられる部分である回転部分(例えば、回転子等)を有しており、その回転部分の角速度の変化の反作用として車体を回転させるモーメントが発生する。回転部分としては、例えば、回転電気機械の回転子や後述する運動変換装置の回転運動入力部等が挙げられる。また、それらを連結するジョイントやギヤ等が配設されている場合にはそれらも回転部分とすることができる。なお、それら回転部分が全て同じ方向に回転するように構成されていることや、全て同じ方向の軸線回りに回転するように構成されていること等は不可欠ではない。各部分に起因して発生するモーメントを方向や符号を考慮して合算したものが接近離間力発生装置全体として発生する総合モーメントとなる。
回転部分のうち、上記総合モーメントの鉛直軸線回りの成分である鉛直軸まわりモーメントを支配する部分、すなわち、それのモーメントが増大すれば鉛直軸まわりモーメントが増大することとなる回転体の集合が支配的慣性回転部である。なお、鉛直方向は、水平方向と直交する方向であり、重力が作用する方向と平行な方向である。
支配的慣性回転部には、鉛直方向の成分を含む方向の軸線回りに回転する回転体が含まれ得る。例えば、鉛直方向や鉛直方向に対して比較的小さい角度傾斜した近鉛直方向(例えば、鉛直方向とのなす角度が45度以下の方向)の直線を回転軸線とする回転体を含むものとすることができる。
ただし、仮に一部の回転体が、鉛直方向の成分を含む方向の軸線回りに回転するものであっても、鉛直軸まわりモーメントを減少させる向きに回転させられる場合には、その部分は支配的慣性回転部に含まれない。また、仮に一部の回転体が、水平方向の回転軸線回りに回転させられる場合は、その部分は鉛直軸まわりモーメントを発生させることができず、支配的慣性回転部に含まれない。すなわち、それ自身のモーメントが増大しても鉛直軸まわりモーメントを増大させない部分は支配的慣性回転部に含まれないのである。
上記鉛直軸まわりモーメントは、車体をヨー方向に回転させるヨーモーメントとして作用する。鉛直軸まわりモーメントは比較的小さいものであるが、路面の隆起を乗り越える場合等には車輪が急激に上下動させられるため、上記回転部分に加わる角加速度が大きくなり、鉛直軸まわりモーメントも比較的大きくなる。従来は左右の接近離間力発生装置の鉛直軸まわりモーメントの向きが同じであったため、左右輪が同時に上下動させられると、ヨーモーメントへの影響はさらに大きくなる。
それに対して、本項の態様において、左右の車輪が車体に対して同じ向きに相対移動させられた場合に、左右方向において互いに隣り合う接近離間力発生装置の支配的慣性回転部が互いに逆向きに回転するようにされており、互いに発生する鉛直軸まわりモーメントを打ち消し合うようにされている。その結果、バウンド時やピッチ時等において、車両全体として発生するヨーモーメントを可及的に低減させることができる。すなわち、本項の態様によれば、より実用的な車両が得られるのである。なお、バウンドは車両の複数の車輪が車体に対して互いに同じ向き(接近)に移動させられる状態であり、車体の上下方向の運動であるヒーブと関連する。ピッチは、車体が左右方向の軸線回りに回転する運動であり、前側の車輪と後側の車輪とが互いに逆向きに移動させられる状態になる。
なお付言すれば、回転子と上述の回転運動入力部とは、いずれも支配的慣性回転部の構成要素となり得るが、例えば、回転子と回転運動入力部とが逆回転させられる場合は、それらのいずれか一方は支配的慣性回転部に含まれない。この場合、鉛直軸まわりモーメントと同じ向きのモーメントを発生させる方が支配的慣性回転部に含まれることとなる。つまり、一般的に、慣性モーメントの大きいものが支配的慣性回転部に含まれる。なお、回転子と回転運動入力部との慣性モーメントが同程度である場合は、それらを逆回転させることによって互いのモーメントを相殺し得る。その場合は、1つの接近離間力発生装置単体でヨーモーメントを低減し得ることとなる。なお、回転子と回転運動入力部とを逆回転させるには、例えば、かさ歯車,ハイポイドギヤ等のかさ状歯車を含む歯車装置を使用することができる。例えば、2個のかさ状歯車を同軸に対向させ、それら2個のかさ状歯車に1個のかさ状歯車を噛み合わせるのである。このようにすれば、回転子と回転運動入力部とを同軸に配置しながら、それらの回転方向を逆にすることができる。なお、左右の接近離間力発生装置の支配的慣性回転部を、例えば、互いに鏡像となるように構成する等、対称的(面対称等)に構成することができる。
回転電気機械は、例えば、ブラシ付DCモータ、ブラシレスDCモータ等、種々の回転式モータを含むものとすることができる。運動変換装置は、例えば、後述するボールねじ装置とすることができる。また、例えば、接近離間力発生装置を車輪と車体との一方に連結された本体部を有するものとし、回転電気機械および運動変換装置を本体部に保持されたものとし、出力部材を車輪と車体との他方に連結されたものとすることができる。
<支配的慣性回転部>
(2)前記運動変換装置が、回転可能に保持されて前記回転子から出力された回転運動が入力される回転運動入力部を含み、その回転運動入力部の回転運動を前記出力部材の直線運動である車輪と車体とを接近離間させる方向の運動に変換するものであり、
前記支配的慣性回転部が、前記回転子と前記回転運動入力部との少なくとも一方を含む(1)項に記載の車両用電気サスペンションシステム。
多くの場合、回転子と回転運動入力部との少なくとも一方の慣性モーメントが大きいため、それらの少なくとも一方が支配的慣性回転部を構成することになる。
(3)前記支配的慣性回転部を構成する前記回転子と前記回転運動入力部との少なくとも一方が、鉛直方向とのなす角度が45度以下の直線回りに回転させられるものである(2)項に記載の車両用電気サスペンションシステム。
回転子等の回転軸線の方向が鉛直方向に近いほど、鉛直軸まわりモーメントが大きくなるため、左右の支配的慣性回転部を逆向きに回転させる効果が大きくなる。なお、鉛直方向とのなす角度が45度以下の直線には、鉛直方向の直線も含まれる。また、上記直線を鉛直方向とのなす角度を30度以下、15度以下とすることができる。
(4)前記回転子と前記回転運動入力部とが、互いに同一の軸線回りに回転させられるものである(2)項または(3)項に記載の車両用電気サスペンションシステム。
回転子と回転運動入力部とを同軸に配置すれば、接近離間力発生装置の外形を単純化し得、車両への設置が容易になる。次項の構成を取り得ることも利点の一つである。
(5)前記支配的慣性回転部が、前記回転子と前記回転運動入力部とが直結されたものによって構成された(2)項ないし(4)項のいずれかに記載の車両用電気サスペンションシステム。
回転子と回転運動入力部とを直結すれば、接近離間力発生装置の構造を単純化し得る。
<前後方向において隣り合う場合>
(6)当該車両が、前記右車輪および前記左車輪として右前車輪および左前車輪と右後車輪および左後車輪とを含み、それら4つの車輪の各々と車体との間に前記接近離間力発生装置がそれぞれ配設されたものであり、
それら4つの前記接近離間力発生装置のうちの前後方向において互いに隣り合う2つのものが、それらの前記出力部材の同じ向きの移動に対して、前記支配的慣性回転部の回転の向きが互いに同じ向きとなるように構成された(1)項ないし(5)項のいずれかに記載の車両用電気サスペンションシステム。
本項の態様は、4つの接近離間力発生装置の支配的慣性回転部の回転の向きが、例えばバウンド時において、左右方向に互いに隣り合うものについて逆向きになり、前後方向に互いに隣り合うものについて同じになるようにされている。
この場合、後の実施例で詳述するように、一輪乗り上げ等によるワープが生じた場合に、4つの接近離間力発生装置の支配的慣性回転部の角速度の変化に起因するヨーモーメントを低減させることができる。すなわち、本項の態様は、バウンド時やピッチ時に加え、ワープ時においても、支配的慣性回転部の角速度の変化に起因するヨーモーメントを低減させることができるのである。なお、ワープは、4つの車輪のうち、一方の対角に位置する2つの車輪が車体に接近させられ、他方の対角に位置する2つの車輪が車体から離間させられる状態である。
本項の態様において、車体がロールした場合に、4つの接近離間力発生装置の支配的慣性回転部の回転の向きが全て同じになるため、ヨーモーメントを低減させることは困難である。しかしながら、通常、ロールは操舵に伴い発生するものであり、路面の隆起を通過する場合等に比較して、車体と車輪とが比較的緩やかに接近・離間するため、ロール時の鉛直軸まわりモーメントは比較的小さくなる傾向にある。また、路面の隆起を通過すること等を予測することは困難であるが、ステアリングホイール等の操作部材になされた操舵に基づいてロール速度等を予測することは比較的容易であり、ロール時のヨーモーメントをヨー方向安定化制御(例えば、ビークルスタビリティ制御)等の制御によって修正することが可能である。また、ロール抑制制御装置を備えた車両においては、ロール自体が小さく抑えられ、接近離間力発生装置に発生する鉛直軸まわりモーメントも小さくて済むため、本発明の必要性は比較的低い。つまり、ロールによる支配的慣性回転部の角速度の変化に起因するヨーモーメントを低減させることよりも、バウンドやピッチ等による上記ヨーモーメントを低減させることが重要なのである。
(7)当該車両が、前記右車輪および前記左車輪として右前車輪および左前車輪と右後車輪および左後車輪とを含み、それら4つの車輪の各々と車体との間に前記接近離間力発生装置がそれぞれ配設されたものであり、
それら4つの前記接近離間力発生装置のうちの前後方向において互いに隣り合う2つのものが、それらの前記出力部材の同じ向きの移動に対して、前記支配的慣性回転部の回転の向きが互いに逆向きとなるように構成された(1)項ないし(5)項のいずれかに記載の車両用電気サスペンションシステム。
本項の態様は、4つの接近離間力発生装置の各々の支配的慣性回転部の回転の向きが、バウンド時において、左右方向に互いに隣り合うものについて逆向きになるとともに、前後方向に互いに隣り合うものについても逆向きになるようにされている。この場合、後の実施例で詳述するように、車体がロールした場合にヨーモーメントを低減させることができる。なお、前述のように、バウンド時やピッチ時と比較して、ロールによる支配的慣性回転部の角速度の変化に起因するヨーモーメントを低減させることの重要性は低いが、低減させ得るのであれば、低減させた方がよい。
<電気サス・構成>
(8)前記接近離間力発生装置が、車輪を保持する部分である車輪保持部と車体との一方に連結された本体部と、その本体部と直線的に相対移動可能に設けられるとともに前記車輪保持部と車体との他方に連結された相対移動部とを含み、
前記回転電気機械が、前記本体部に固定されたステータ部を含み、
前記回転子が、前記本体部にそのステータ部と対向して回転可能に保持され、
前記回転運動入力部が、前記本体部によって回転可能かつ移動不能に保持され、かつ、前記出力部材が、前記相対移動部に連結されるとともに、その相対移動部と前記本体部とが接近離間する方向において前記本体部と直線的に相対移動させられる(1)項ないし(7)項のいずれかに記載の車両用電気サスペンションシステム。
本項の態様において、回転運動入力部を、相対移動部と本体部とが接近離間する方向の直線回りに回転可能にされたものとすることができる。
(9)前記運動変換装置が、雄ねじが形成されたねじロッドと雌ねじが形成されて前記ねじロッドとベアリングボールを介して螺合するナットとを含み、それらねじロッドとナットとの一方が前記回転運動入力部を構成する(1)項ないし(8)項のいずれかに記載の車両用電気サスペンションシステム。
(10)前記接近離間力発生装置が、前記本体部と前記相対移動部とを互いに遠ざける向きに付勢するスプリングを含む(1)項ないし(9)項のいずれかに記載の車両用電気サスペンションシステム。
スプリングは、例えば、圧縮コイルスプリングやエア(ガス)スプリング等とすることができる。スプリングによって車体を弾性的に支持することにより、回転電気機械の出力を比較的小さくすることができる。
以下、請求可能発明の実施例を、図面を参照しつつ説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
図1に、請求可能発明の一実施例である電気サスペンションシステムの概要を模式的に示す。本実施例において、電気サスペンションシステムは4つのサスペンション装置10を備え、それら4つのサスペンション装置10によって、4つの車輪12の各々と車体14の4つの部分の各々とが接近・離間可能に連結されている。
サスペンション装置10は、車輪保持部と車体14との間に設けられており、それらを接近離間させる向きの力を発生させる接近離間力発生装置20と、その接近離間力発生装置20を車体14に連結する車体側連結体たるアッパサポート22と、接近離間力発生装置20を車輪保持部に連結する車輪側連結体たるロアサポート24と、車輪を回転可能に保持する車輪保持部26とを備えている。車輪保持部26は、車輪を回転可能に保持するステアリングナックル等の車輪保持部材,車体に連結されて車輪保持部材を上下に移動可能に支持するアーム部材等を含む。
なお、後に詳述するように、右側の右接近離間力発生装置20FR,RRと、左側の左接近離間力発生装置20FL,RLとは、構成の一部が異なるものとされている。すなわち、バウンド時等における前記「支配的慣性回転部」の回転の向き(図中の括弧内に記載)が逆になるように構成されているのである。
図2に、右側の車輪12に対応するサスペンション装置10の一部分の正面図を示し、図3に接近離間力発生装置20FR,RRの上部の拡大図を示す。なお、特に必要がない場合は接近離間力発生装置20FR,RRの記号「FR,RR」を省略する。
接近離間力発生装置20は、ハウジング30を備えており、そのハウジング30内に充填された圧縮空気の弾性力によって車体14を支えるものとされている。ハウジング30は、一端部が開口した桶状の形状にされた車体側部材32(チャンバと称される場合がある)と、その車体側部材32の開口部と対向して開口した筒状を成す車輪側部材34(エアピストンと称される場合がある)と、それらの開口間の隙間を気密に覆うとともにそれらを接近離間可能に連結する連結膜36(ダイヤフラムと称される場合がある)とを含む。それら車体側部材32と車輪側部材34とが接近離間させられると、ハウジング30内の容積が変化して圧縮空気の弾性力が変化させられる。すなわち、接近離間力発生装置20は、エアスプリングを含むものとされており、主として圧縮空気の弾性力によって車体を支持する離間力を発生させるのである。
なお、本実施例において、接近離間力発生装置20の軸方向、つまり、アッパサポート22とロアサポート24とが接近離間する方向を「接近離間方向」と称する。
また、接近離間力発生装置20は、回転電気機械たる電動モータ42と、電動モータ42の回転運動を軸方向の運動に変換する運動変換装置たるボールねじ装置44とを含み、車輪12と車体14とを接近離間させる向きの力(接近離間力)を発生させ得るものとされている。
図3に示すように、電動モータ42(以後、特に必要がなければ「モータ」と略記する)は、ハウジング30の車体側部材32の閉塞された側(上側)の壁面にそれを貫通した状態で固定された筒状のモータハウジング50と、そのモータハウジング50の内周部に配設されたステータ52と、軸受を介してモータハウジング50に軸受53を介して回転可能に保持された中空のモータ軸54(回転運動出力部材の一種である)と、モータ軸54の外周部にステータ52に対向して配設されたロータ56とを含む。このモータ42は、DCブラシレスモータとされており、インバータから3相交流の供給を受けて作動する。また、ステータ52は3相交流の各相毎に対応する電磁石を備えている。また、ステータ52の下方には、ステータ52に設けられた各電磁石のコイルに電力を供給するコイル接続部58が配設されている。なお、モータ42には、ロータ56の回転位置を検出する回転位置センサ(図示を省略する)が設けられている。
ボールねじ装置44は、内周部に多数のベアリングボールを保持するナット60(回転運動入力部の一種である)と、外周部にそれらベアリングボールが嵌り込む雄ねじ61が形成された駆動ロッド62(直線運動出力部たるねじロッドの一種である)とを含むものであり、それらナット60と駆動ロッド62とがベアリングボールを介して螺合させられている。ナット60はモータ軸54の下部に設けられた回転子−運動入力部接続部たるナット保持部63の内周部に相対回転不能に嵌合させられている。つまり、ナット60の外周部にキー64が設けられており、そのキー64がナット保持部63の内周部に形成されたキー溝に嵌められて、ナット保持部63とナット60との相対回転が禁止されている。また、ナット保持部63の下端面に締結された支持板66によって、ナット60の下方への移動が阻止されている。
また、ボールねじ装置44は、駆動ロッド62の下端部に相対回転不能に取り付けられたスライド部材70と、モータハウジング50の下端部に固定されるとともにロアサポート24側に向かって延び、スライド部材70を接近離間方向にガイドする筒状ガイド体72とを備えている。その筒状ガイド体72の上部において、モータ軸54の下部が軸受け73を介して回転可能かつ移動不能に保持されている。なお、筒状ガイド体72の上部は、回転電気機械の回転子を回転可能に保持する回転子保持部と、運動変換装置の回転運動入力部を回転可能に保持する入力部保持部との両者の機能を発揮している。また、上記モータハウジング50は回転子保持部の一部分を構成している。
一方、筒状ガイド体72の下側の内周部には、接近離間方向に延びる複数のガイド溝74が周方向において等間隔に形成されている(出力部材ガイド部の一種である)。それらガイド溝74の各々にスライド部材70の外周部に取り付けられたキー76(被ガイド部材の一種である)が嵌められており、スライド部材70の回転が禁止されるとともに接近離間方向の移動が許容されている。そのスライド部材70の上側中央部には、セレーションが形成された嵌合穴78が接近離間方向に設けられており、駆動ロッド62の下端部に形成されたセレーションと嵌合させられている。そのため、駆動ロッド62の軸回りの回転がスライド部材70によって禁止され、ナット60の回転に伴い駆動ロッド62が軸方向、つまり、接近離間方向に駆動される。筒状ガイド体72のスライド部材70の上方には、環状の仕切壁が設けられ、その仕切壁に衝撃吸収体たるバンプラバー79が設けられており、サスペンション装置10がバウンド側にフルストロークした際の衝撃が緩和される。
なお、筒状ガイド体72の外周には、車輪側部材34が滑らかに相対移動可能に嵌合させられており、接近離間力発生装置20が伸縮する際に、筒状ガイド体72と車輪側部材34とが相対移動させられる。
スライド部材70の下側には、ばね下振動抑制部80が設けられている。ばね下振動抑制部80は、車輪側部材34の下部に固定されたショックアブソーバ82を備えている。ショックアブソーバ82は、流体抵抗式とされており、作動油が充填されたシリンダ84と、そのシリンダ84内に配設されたピストンと、一端部にピストンが取り付けられるとともに他端部がスライド部材70に固定されたピストンロッド86とを含む。ピストンには絞り,開閉弁等の抵抗力付与部が設けられており、ピストンがシリンダ84内を移動する際に作動油が抵抗力付与部を通過する際の流動抵抗によって、シリンダ84とピストンロッド86(およびピストン)との相対移動に対する減衰力が発生させられる。
シリンダ84の下端部にはロアサポート24が取り付けられており、ショックアブソーバ82は、スライド部材70とロアサポート24との相対移動に対する抵抗力を発生させるものとされている。また、ばね下振動抑制部80は、シリンダ84の上側端面とスライド部材70の下側端面との間に挟まれて配設された圧縮コイルスプリング90によって、それらが離間する向きに付勢される。そのため、例えば、路面の凹凸によって車輪が上下に細かく振動させられた場合等に、ショックアブソーバ82の減衰力と圧縮コイルスプリング90の付勢力によって、そのばね下振動が抑制される。
アッパサポート22は、車体側部材32の端面に接合されたマウントラバー92と、車体14を貫通するスタッドボルト94とを備えており、車体14と接近離間力発生装置20とを弾性的かつ強固に連結するものとされている。
なお、図2,図3に示した右接近離間力発生装置20は、右側の車輪12FR,RRに対応するものである。一方、左側の車輪12FL,RLに対応する左接近離間力発生装置20は、図2,図3に示した右接近離間力発生装置20とほぼ同様であるが、ボールねじ装置44において、駆動ロッド62の雄ねじ61の向きとナット60の雌ねじの向きとが、右接近離間力発生装置20のものと逆向きにされている。すなわち、車体14に対して左右の車輪12が互いに同じ向きに移動した場合に、左右の接近離間力発生装置20において、モータ軸54,ロータ56およびナット60によって構成された回転運動部98が互いに逆向きに回転するようにされているのである。
本実施例において、前記「支配的慣性回転部」が、モータ軸54,ロータ56およびナット60(つまり、回転運動部98)によって構成されている。また、前記「回転子」が、ロータ56とモータ軸54とによって構成されている。さらに、本実施例の支配的慣性回転部は、回転子たるロータ56およびモータ軸54と、回転運動入力部たるナット60とが同一軸線回りに回転可能に保持されるとともに、直結された態様とされている。
また、本実施例において、前記「本体部」が、車体側部材32,モータハウジング50および筒状ガイド体72によって構成されている。なお、本実施例の本体部は、ガイド溝74を有しており、出力部材たるスライド部材70の回転を阻止しつつ直線運動を許容するものとされている。また、前記「相対移動部」が、車輪側部材32によって構成されている。さらに、前記「出力部材」が、スライド部材70によって構成されている。なお、接近離間力発生装置20は、前記出力部材たるスライド部材70が、ばね下振動抑制部80を介して相対移動部たる車輪側部材32と弾性的に連結された態様とされている。
本サスペンションシステムの接近離間力発生装置20は、図1に示した電子制御ユニット100(ECU、以下、単に「ECU100」という場合がある)によって制御される。ECU100は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体として構成されている。そのECU100には、車体14の上下加速度を検出する上下加速度センサ106(図において「Gz」と示す)の他、車体の横加速度を検出する横加速度センサ110(図において「Gy」と示す),車速検出装置112(図において「V」と示す)等の各種検出装置が接続されている。なお、図示を省略するが、上記各種の検出装置は必要に応じてローパスフィルタ等のフィルタを介して接続され、ノイズ等の高周波成分が除去されるようにされる。
また、ECU100には、駆動回路たるインバータ130が接続され、ECU100からインバータ130に送信される各種の制御指令に基づいて、インバータ130から接近離間力発生装置20のモータ24への駆動電力が制御される。なお、インバータ130には、バッテリ132から電力が供給される。インバータ130はパルス幅変調制御(PWM制御)によってモータ42に供給する電力を調整し、接近離間力を制御することができる。また、電力を供給するだけでなく、モータ42が発電しながら受動的に回転するように制御して接近離間力を発生させることもできる。
ECU100による接近離間力発生装置20の制御について簡単に説明する。基本的に、接近離間力発生装置20によって、車体14の各車輪12に対応する部分の上下変位を抑制する向きの力が発生させられ、車体14の姿勢変化が抑制される。
また、旋回時の車体14のロールを抑制すべく、横加速度に応じて旋回外輪側の離間力が増加させられ、旋回内輪側の離間力が減少させられる。さらにまた、加減速時の車体14のピッチを抑制すべく、車速の変化に基づいて取得される前後加速度に応じて下降側の離間力が増加させられ、上昇側の離間力が減少させられる。
なお、本実施例において、左右の接近離間力発生装置20において、前述のようにボールねじ装置44のねじの向きが互いに逆にされているため、車体14と左右の車輪12とを同じ向きに相対移動させる向きの接近離間力を発生させる場合に、左右のモータ42の回転の向きが互いに逆になるように制御される。
作動を説明する。
図4に従来のサスペンションシステムを備えた車両が、路面の隆起200を乗り越える際の回転運動部98(ナット60,モータ軸54およびロータ56)の回転の向きを模式的に示す。隆起200を乗り越える初期の段階において、前側の左右の車輪12FL,FRが、概ね同時に車体14に急激に接近させられる。その際に、接近離間力発生装置20が接近離間方向において短縮させられ、スライド部材70がナット60に接近する向きに上昇させられる。スライド部材70には駆動ロッド62が相対回転不能に連結されているため、スライド部材70の上昇に伴い回転運動部98が駆動ロッド62により回転させられる。その際の回転方向は、図に示すように上方から見た場合、右回り(時計回り)となる。
すなわち、従来のサスペンションシステムにおいて、回転運動部98が、同じ回転方向に加速されるため、その回転運動部98の慣性モーメントに起因するモーメントが発生する。ここで、回転運動部98の軸線回りの慣性モーメントをIr、角速度ωrの変化をdωr/dtとすると、モーメントMrは次式によって得られる。なお、理解を容易にするため、回転運動部98の回転軸線は鉛直方向(水平方向と直角な方向)であるとする。この場合は、モーメントMrが前記「鉛直軸まわりモーメント」に相当する。
Mr=Ir・dωr/dt ・・・(1)
また、N個の回転運動部98が、同じ回転方向に加速された場合には、それらのモーメントの合計はN倍となる。
一方、車両のヨー方向の慣性モーメントをIzc、角速度ωcの変化をdωc/dtとすると、ヨーモーメントMzcは次式によって得られる。
Mzc=Izc・dωc/dt ・・・(2)
ここで、N個の回転運動部98によって発生したモーメントの合計(N・Mr)とヨーモーメントMzcとが等しいため、車両のヨーレートγ(=dωc/dt)は次式によって得られる。
γ(=dωc/dt)=N・Ir/Izc・dωr/dt ・・・(3)
この式(3)より、同じ回転方向に加速される回転運動部98の数が多いほど、また、回転運動部98の角加速度が大きいほど、ヨーレートγが大きくなることが分かる。従って、従来のサスペンションシステムにおいて、図4に示すように、左右の車輪12が同時に隆起を乗り越える場合には、Nが2となり、ヨーレートγが大きくなる要因となる。また、上述のように、隆起を乗り越える初期の段階や、中期の段階において角加速度が大きくなりやすく、ヨーレートγが大きくなる要因となる。特に、中期の段階において、接近離間力発生装置20のスライド部材70がバンプラバー79に当接することにより、上方への相対移動が制動された場合には、その制動に伴い回転運動部98の回転が急速に停止させられるため、その際の角減速度(負の角加速度)は非常に大きくなる。このような場合には、回転運動部98の角速度の変化によるヨーモーメントを低減させることが望ましいのである。
なお、本実施例において、回転運動部98の回転軸線が鉛直方向であるとしていたが、上記回転軸線が鉛直方向から設定角度θ傾斜させられている場合は、鉛直軸線回りのモーメントである鉛直軸まわりモーメントMzrは次式によって得られる。この場合、Mrが前記「総合モーメント」に相当する。
Mzr=Mr・cosθ ・・・(4)
上記従来のサスペンションシステムに対し、本実施例のサスペンションシステムは、図5に示すごとく、隆起200を乗り越える際に、左右の接近離間力発生装置20の回転運動部98の回転の向きが互いに「逆向き」になるようにされている。そのため、左右のモーメントが互いに打ち消し合い、回転運動部98に起因するヨーモーメントを極小さくすることができる。すなわち、本実施例のサスペンションシステムは、望ましくないヨーモーメントを低減させることができ、より実用的なサスペンションシステムとされているのである。
なお、本実施例において、前後方向において互いに隣り合う車輪12FL,RL(あるいはFR,RR)に対応する接近離間力発生装置20のボールねじ装置44のねじの向きが互いに「同じ」にされている。そのため、図6に示す一輪乗り上げ等によるワープが生じた場合に、望ましくないヨーモーメントを効果的に低減させることができる。なお、詳細には、一輪乗り上げ時には、ワープだけでなく、ピッチやヒーブも生じている。ヒーブは、車体の上下方向の運動である。
一輪乗り上げ時、例えば、右前の車輪12FRが隆起202に乗り上げた際には、その右前の車輪12FRと、それの対角に位置する車輪である左後の車輪12RRとが車体14に比較的大きく接近させられる。一方、右前の車輪12FRとは異なる対角に位置する左前の車輪12FLと右後ろの車輪12RLとが車体14からある程度離間させられる。この場合、対角に位置する2つの車輪12に対応する回転運動部98の回転の向きが互いに逆向きになるため、接近・離間量が同程度のもの同士のモーメントが打ち消し合うようにすることができる。
本実施例において、前後方向において互いに隣り合う2つの接近離間力発生装置20FL,RL(あるいはFR,RR)のボールねじ装置44のねじの向きが互いに「同じ」にされていたが、互いに「逆に」なるようにすることもできる。そうすることで、車体14がロールした場合に望ましくないヨーモーメントを低減させることができる。
なお、具体的には、前側の左右の車輪12については上記と同様であるが、後側の左車輪12RLに対応する接近離間力発生装置20RLのボールねじ装置44のねじの向きが前記右接近離間力発生装置20と同様にされ、後側の右車輪12RRに対応する接近離間力発生装置20RRのボールねじ装置44のねじの向きが前記左接近離間力発生装置20と同様にされている。
図7に、車両が路面の隆起200を乗り越える際の回転運動部98の回転の向きを模式的に示す。このサスペンションシステムにおいて、左右方向において互いに隣り合う2つの接近離間力発生装置20FL,FR(あるいはRL,RR)のボールねじ装置44のねじの向きが互いに逆にされているため、図5と同様に、隆起200を乗り越える際に、左右の回転運動部98のモーメントが打ち消しあい、望ましくないヨーモーメントを低減させることができる。
図8に、旋回時の回転運動部98の回転の向きを模式的に示す。なお、この図において、車体14のロールの向きを黒い矢印で示す。
車両が左旋回する場合は車体14の旋回外輪側(この場合は右側)が下降するため、旋回外輪に対応する右側の2つの接近離間力発生装置20FR,RRの回転運動部98は、図7と同様の向きに回転させられ、互いのモーメントが打ち消される。一方、車体14の旋回内輪側(この場合は左側)が上昇するため、旋回内輪に対応する左側の2つの接近離間力発生装置20FL,RLの回転運動部98は、対応する車輪12が車体14から離間するため、図7と逆向きに回転させられる。その結果、左右方向において互いに隣り合う2つの回転運動部98の回転方向が同じになるが、前後方向において隣り合う2つの回転運動部98の回転方向が逆であるため、それらのモーメントが打ち消される。このように、前後方向において互いに隣り合う2つのボールねじ装置44のねじの向きを逆向きにすることにより、ピッチ時,バウンド時等に加えて、旋回時の回転運動部98に起因するヨーモーメントを低減させることができる。
本実施例において、モータ42によってナット60が回転させられ、駆動ロッド62が直線運動させられていたが、モータ42によって駆動ロッド62が回転させられ、ナット60が直線運動させられる態様とすることもできる。
本実施例において、スライド部材70によって駆動ロッド62の回転が阻止されていたが、異なる態様とすることもできる。例えば、駆動ロッドに、雄ねじおよび軸方向のスプライン溝を設け、そのスプライン溝に転動可能に嵌るベアリングボールを保持したスプライン外筒を筒状ガイド体72等の本体部に固定することにより、駆動ロッドの軸方向の移動を許容しながら回転を阻止することができる。
請求可能発明の実施例であるサスペンションシステムを模式的に示す図である。 上記サスペンションシステムのサスペンション装置の一部を示す正面図である。 上記サスペンション装置の接近離間力発生装置を示す正面図である。 従来のサスペンションシステムを備えた車両が路面の隆起を乗り越える際の回転運動部の回転方向を模式的に示す平面図である。 上記実施例のサスペンションシステムを備えた車両が路面の隆起を乗り越える際の回転運動部の回転方向を模式的に示す平面図である。 上記実施例のサスペンションシステムを備えた車両の1つの車輪が路面の隆起を乗り越える際の回転運動部の回転方向を模式的に示す平面図である。 上記実施例のサスペンションシステムの変形例において、車両が路面の隆起を乗り越える際の回転運動部の回転方向を模式的に示す平面図である。 上記実施例のサスペンションシステムの変形例において、車両の1つの車輪が路面の隆起を乗り越える際の回転運動部の回転方向を模式的に示す平面図である。
符号の説明
10:サスペンション装置 14:車体 20:接近離間力発生装置 22:アッパサポート(車体側連結部) 24:ロアサポート(車輪側連結部) 26:車輪保持部 30:ハウジング 32:車体側部材 34:車輪側部材 42:電動モータ(回転電気機械) 44:ボールねじ装置(運動変換装置) 50:モータハウジング 52:ステータ(ステータ部) 54:モータ軸 56:ロータ 60:ナット 61:雄ねじ 62:駆動ロッド(ねじロッド) 70:スライド部材(出力部材) 72:筒状ガイド体 79:バンプラバー 80:ばね下振動抑制部

Claims (5)

  1. 回転子を有する回転電気機械と、直線運動させられる出力部材と、それら回転子と出力部材との一方の運動と他方の運動とを相互に変換する運動変換装置とを含み、前記回転電気機械に回転トルクを発生させることによって車輪と車体との接近離間方向の力を発生させる接近離間力発生装置が、右前車輪,左前車輪,右後車輪および左後車輪の4つの車輪の各々と車体との間に、それぞれ配設された車両用電気サスペンションシステムであって、
    記回転電気機械および前記運動変換装置の少なくとも一方の構成要素から成り、前記接近離間力発生装置の鉛直軸線回りの慣性モーメントを支配する支配的慣性回転部の回転の向きが、前記出力部材の同じ向きの移動に対して、(a)右前車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置と左前車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置とで互いに逆向きに、(b)右後車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置と左後車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置とで互いに逆向きに、(c)右前車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置と右後車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置とで互いに同じ向きに、かつ、(d)左前車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置と左後車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置とで互いに同じ向きになるように構成されたことを特徴とする車両用電気サスペンションシステム。
  2. 回転子を有する回転電気機械と、直線運動させられる出力部材と、それら回転子と出力部材との一方の運動と他方の運動とを相互に変換する運動変換装置とを含み、前記回転電気機械に回転トルクを発生させることによって車輪と車体との接近離間方向の力を発生させる接近離間力発生装置が、右前車輪,左前車輪,右後車輪および左後車輪の4つの車輪の各々と車体との間に、それぞれ配設された車両用電気サスペンションシステムであって、
    記回転電気機械および前記運動変換装置の少なくとも一方の構成要素から成り、前記接近離間力発生装置の鉛直軸線回りの慣性モーメントを支配する支配的慣性回転部の回転の向きが、前記出力部材の同じ向きの移動に対して、(a)右前車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置と左前車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置とで互いに逆向きに、(b)右後車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置と左後車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置とで互いに逆向きに、(c)右前車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置と右後車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置とで互いに逆向きに、かつ、(d)左前車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置と左後車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置とで互いに逆向きになるように構成されたことを特徴とする車両用電気サスペンションシステム。
  3. 前記運動変換装置が、回転可能に保持されて前記回転子から出力された回転運動が入力される回転運動入力部を含み、その回転運動入力部の回転運動を前記出力部材の直線運動である車輪と車体とを接近離間させる方向の運動に変換するものであり、
    前記支配的慣性回転部が、前記回転子と前記回転運動入力部との少なくとも一方を含む請求項1または請求項2に記載の車両用電気サスペンションシステム。
  4. 前記支配的慣性回転部が、前記回転子と前記回転運動入力部とが互いに同一の軸線回りに回転させられるとともに直結されたものによって構成された請求項3に記載の車両用電気サスペンションシステム。
  5. 前記支配的慣性回転部を構成する前記回転子と前記回転運動入力部との少なくとも一方が、鉛直方向とのなす角度が45度以下の直線回りに回転させられるものである請求項3または請求項4に記載の車両用電気サスペンションシステム。
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