JP4872792B2 - 車両用電気サスペンションシステム - Google Patents
車両用電気サスペンションシステム Download PDFInfo
- Publication number
- JP4872792B2 JP4872792B2 JP2007127928A JP2007127928A JP4872792B2 JP 4872792 B2 JP4872792 B2 JP 4872792B2 JP 2007127928 A JP2007127928 A JP 2007127928A JP 2007127928 A JP2007127928 A JP 2007127928A JP 4872792 B2 JP4872792 B2 JP 4872792B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- approaching
- separating force
- wheel
- vehicle
- motion
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Vehicle Body Suspensions (AREA)
- Vibration Prevention Devices (AREA)
Description
上記の例のように、従来の車両用電気サスペンションシステムには、望ましくないヨーモーメントを低減させる等、実用性向上の観点から未だ改良の余地がある。本発明は、そういった実情を鑑みてなされたものであり、より実用的な車両を得ることを課題としてなされたものである。
前記右接近離間力発生装置と前記左接近離間力発生装置とが、それら両接近離間力発生装置の前記回転電気機械および前記運動変換装置の少なくとも一方の構成要素から成り、それら両接近離間力発生装置の各々の鉛直軸線回りの慣性モーメントを支配する支配的慣性回転部の回転の向きが、それら両接近離間力発生装置の前記出力部材の同じ向きの移動に対して互いに逆向きとなるように構成されたことを特徴とする車両用電気サスペンションシステム。
本項の接近離間力発生装置は、車輪と車体との間に配設され、車輪と車体との接近・離間に応じて出力部材が直線的に往復動させられるものである。そして、回転電気機械が発生させる回転トルクが運動変換装置によって出力部材の直線運動の方向の力である接近離間力に変換される。この接近離間力を適切な大きさにすることによって、例えば、車両の乗り心地を良好にすることや、車体の姿勢を制御すること等ができる。
回転電気機械は、例えば、発電機と電動機との少なくとも一方として機能するものとすることができる。例えば、発電機の機能によれば、車輪と車体との接近・離間に伴い受動的に回転させられて発電することにより、抵抗トルクである回転トルクを発生させ、出力部材の直線運動を減速させる向きの接近離間力を発生させることができる。また、電動機の機能によれば、電力の供給を受けて駆動トルクである回転トルクを発生させ、出力部材の直線運動を加速する向きの接近離間力を発生させ、あるいは、駆動トルクの向きとは逆向きに受動的に回転させられながら出力部材の直線運動を減速させる向きの接近離間力を発生させることができる。
上述のように、本項の接近離間力発生装置は、車輪と車体との接近離間に伴い回転させられる部分である回転部分(例えば、回転子等)を有しており、その回転部分の角速度の変化の反作用として車体を回転させるモーメントが発生する。回転部分としては、例えば、回転電気機械の回転子や後述する運動変換装置の回転運動入力部等が挙げられる。また、それらを連結するジョイントやギヤ等が配設されている場合にはそれらも回転部分とすることができる。なお、それら回転部分が全て同じ方向に回転するように構成されていることや、全て同じ方向の軸線回りに回転するように構成されていること等は不可欠ではない。各部分に起因して発生するモーメントを方向や符号を考慮して合算したものが接近離間力発生装置全体として発生する総合モーメントとなる。
回転部分のうち、上記総合モーメントの鉛直軸線回りの成分である鉛直軸まわりモーメントを支配する部分、すなわち、それのモーメントが増大すれば鉛直軸まわりモーメントが増大することとなる回転体の集合が支配的慣性回転部である。なお、鉛直方向は、水平方向と直交する方向であり、重力が作用する方向と平行な方向である。
支配的慣性回転部には、鉛直方向の成分を含む方向の軸線回りに回転する回転体が含まれ得る。例えば、鉛直方向や鉛直方向に対して比較的小さい角度傾斜した近鉛直方向(例えば、鉛直方向とのなす角度が45度以下の方向)の直線を回転軸線とする回転体を含むものとすることができる。
ただし、仮に一部の回転体が、鉛直方向の成分を含む方向の軸線回りに回転するものであっても、鉛直軸まわりモーメントを減少させる向きに回転させられる場合には、その部分は支配的慣性回転部に含まれない。また、仮に一部の回転体が、水平方向の回転軸線回りに回転させられる場合は、その部分は鉛直軸まわりモーメントを発生させることができず、支配的慣性回転部に含まれない。すなわち、それ自身のモーメントが増大しても鉛直軸まわりモーメントを増大させない部分は支配的慣性回転部に含まれないのである。
上記鉛直軸まわりモーメントは、車体をヨー方向に回転させるヨーモーメントとして作用する。鉛直軸まわりモーメントは比較的小さいものであるが、路面の隆起を乗り越える場合等には車輪が急激に上下動させられるため、上記回転部分に加わる角加速度が大きくなり、鉛直軸まわりモーメントも比較的大きくなる。従来は左右の接近離間力発生装置の鉛直軸まわりモーメントの向きが同じであったため、左右輪が同時に上下動させられると、ヨーモーメントへの影響はさらに大きくなる。
それに対して、本項の態様において、左右の車輪が車体に対して同じ向きに相対移動させられた場合に、左右方向において互いに隣り合う接近離間力発生装置の支配的慣性回転部が互いに逆向きに回転するようにされており、互いに発生する鉛直軸まわりモーメントを打ち消し合うようにされている。その結果、バウンド時やピッチ時等において、車両全体として発生するヨーモーメントを可及的に低減させることができる。すなわち、本項の態様によれば、より実用的な車両が得られるのである。なお、バウンドは車両の複数の車輪が車体に対して互いに同じ向き(接近)に移動させられる状態であり、車体の上下方向の運動であるヒーブと関連する。ピッチは、車体が左右方向の軸線回りに回転する運動であり、前側の車輪と後側の車輪とが互いに逆向きに移動させられる状態になる。
なお付言すれば、回転子と上述の回転運動入力部とは、いずれも支配的慣性回転部の構成要素となり得るが、例えば、回転子と回転運動入力部とが逆回転させられる場合は、それらのいずれか一方は支配的慣性回転部に含まれない。この場合、鉛直軸まわりモーメントと同じ向きのモーメントを発生させる方が支配的慣性回転部に含まれることとなる。つまり、一般的に、慣性モーメントの大きいものが支配的慣性回転部に含まれる。なお、回転子と回転運動入力部との慣性モーメントが同程度である場合は、それらを逆回転させることによって互いのモーメントを相殺し得る。その場合は、1つの接近離間力発生装置単体でヨーモーメントを低減し得ることとなる。なお、回転子と回転運動入力部とを逆回転させるには、例えば、かさ歯車,ハイポイドギヤ等のかさ状歯車を含む歯車装置を使用することができる。例えば、2個のかさ状歯車を同軸に対向させ、それら2個のかさ状歯車に1個のかさ状歯車を噛み合わせるのである。このようにすれば、回転子と回転運動入力部とを同軸に配置しながら、それらの回転方向を逆にすることができる。なお、左右の接近離間力発生装置の支配的慣性回転部を、例えば、互いに鏡像となるように構成する等、対称的(面対称等)に構成することができる。
回転電気機械は、例えば、ブラシ付DCモータ、ブラシレスDCモータ等、種々の回転式モータを含むものとすることができる。運動変換装置は、例えば、後述するボールねじ装置とすることができる。また、例えば、接近離間力発生装置を車輪と車体との一方に連結された本体部を有するものとし、回転電気機械および運動変換装置を本体部に保持されたものとし、出力部材を車輪と車体との他方に連結されたものとすることができる。
<支配的慣性回転部>
(2)前記運動変換装置が、回転可能に保持されて前記回転子から出力された回転運動が入力される回転運動入力部を含み、その回転運動入力部の回転運動を前記出力部材の直線運動である車輪と車体とを接近離間させる方向の運動に変換するものであり、
前記支配的慣性回転部が、前記回転子と前記回転運動入力部との少なくとも一方を含む(1)項に記載の車両用電気サスペンションシステム。
多くの場合、回転子と回転運動入力部との少なくとも一方の慣性モーメントが大きいため、それらの少なくとも一方が支配的慣性回転部を構成することになる。
(3)前記支配的慣性回転部を構成する前記回転子と前記回転運動入力部との少なくとも一方が、鉛直方向とのなす角度が45度以下の直線回りに回転させられるものである(2)項に記載の車両用電気サスペンションシステム。
回転子等の回転軸線の方向が鉛直方向に近いほど、鉛直軸まわりモーメントが大きくなるため、左右の支配的慣性回転部を逆向きに回転させる効果が大きくなる。なお、鉛直方向とのなす角度が45度以下の直線には、鉛直方向の直線も含まれる。また、上記直線を鉛直方向とのなす角度を30度以下、15度以下とすることができる。
(4)前記回転子と前記回転運動入力部とが、互いに同一の軸線回りに回転させられるものである(2)項または(3)項に記載の車両用電気サスペンションシステム。
回転子と回転運動入力部とを同軸に配置すれば、接近離間力発生装置の外形を単純化し得、車両への設置が容易になる。次項の構成を取り得ることも利点の一つである。
(5)前記支配的慣性回転部が、前記回転子と前記回転運動入力部とが直結されたものによって構成された(2)項ないし(4)項のいずれかに記載の車両用電気サスペンションシステム。
回転子と回転運動入力部とを直結すれば、接近離間力発生装置の構造を単純化し得る。
(6)当該車両が、前記右車輪および前記左車輪として右前車輪および左前車輪と右後車輪および左後車輪とを含み、それら4つの車輪の各々と車体との間に前記接近離間力発生装置がそれぞれ配設されたものであり、
それら4つの前記接近離間力発生装置のうちの前後方向において互いに隣り合う2つのものが、それらの前記出力部材の同じ向きの移動に対して、前記支配的慣性回転部の回転の向きが互いに同じ向きとなるように構成された(1)項ないし(5)項のいずれかに記載の車両用電気サスペンションシステム。
本項の態様は、4つの接近離間力発生装置の支配的慣性回転部の回転の向きが、例えばバウンド時において、左右方向に互いに隣り合うものについて逆向きになり、前後方向に互いに隣り合うものについて同じになるようにされている。
この場合、後の実施例で詳述するように、一輪乗り上げ等によるワープが生じた場合に、4つの接近離間力発生装置の支配的慣性回転部の角速度の変化に起因するヨーモーメントを低減させることができる。すなわち、本項の態様は、バウンド時やピッチ時に加え、ワープ時においても、支配的慣性回転部の角速度の変化に起因するヨーモーメントを低減させることができるのである。なお、ワープは、4つの車輪のうち、一方の対角に位置する2つの車輪が車体に接近させられ、他方の対角に位置する2つの車輪が車体から離間させられる状態である。
本項の態様において、車体がロールした場合に、4つの接近離間力発生装置の支配的慣性回転部の回転の向きが全て同じになるため、ヨーモーメントを低減させることは困難である。しかしながら、通常、ロールは操舵に伴い発生するものであり、路面の隆起を通過する場合等に比較して、車体と車輪とが比較的緩やかに接近・離間するため、ロール時の鉛直軸まわりモーメントは比較的小さくなる傾向にある。また、路面の隆起を通過すること等を予測することは困難であるが、ステアリングホイール等の操作部材になされた操舵に基づいてロール速度等を予測することは比較的容易であり、ロール時のヨーモーメントをヨー方向安定化制御(例えば、ビークルスタビリティ制御)等の制御によって修正することが可能である。また、ロール抑制制御装置を備えた車両においては、ロール自体が小さく抑えられ、接近離間力発生装置に発生する鉛直軸まわりモーメントも小さくて済むため、本発明の必要性は比較的低い。つまり、ロールによる支配的慣性回転部の角速度の変化に起因するヨーモーメントを低減させることよりも、バウンドやピッチ等による上記ヨーモーメントを低減させることが重要なのである。
(7)当該車両が、前記右車輪および前記左車輪として右前車輪および左前車輪と右後車輪および左後車輪とを含み、それら4つの車輪の各々と車体との間に前記接近離間力発生装置がそれぞれ配設されたものであり、
それら4つの前記接近離間力発生装置のうちの前後方向において互いに隣り合う2つのものが、それらの前記出力部材の同じ向きの移動に対して、前記支配的慣性回転部の回転の向きが互いに逆向きとなるように構成された(1)項ないし(5)項のいずれかに記載の車両用電気サスペンションシステム。
本項の態様は、4つの接近離間力発生装置の各々の支配的慣性回転部の回転の向きが、バウンド時において、左右方向に互いに隣り合うものについて逆向きになるとともに、前後方向に互いに隣り合うものについても逆向きになるようにされている。この場合、後の実施例で詳述するように、車体がロールした場合にヨーモーメントを低減させることができる。なお、前述のように、バウンド時やピッチ時と比較して、ロールによる支配的慣性回転部の角速度の変化に起因するヨーモーメントを低減させることの重要性は低いが、低減させ得るのであれば、低減させた方がよい。
<電気サス・構成>
(8)前記接近離間力発生装置が、車輪を保持する部分である車輪保持部と車体との一方に連結された本体部と、その本体部と直線的に相対移動可能に設けられるとともに前記車輪保持部と車体との他方に連結された相対移動部とを含み、
前記回転電気機械が、前記本体部に固定されたステータ部を含み、
前記回転子が、前記本体部にそのステータ部と対向して回転可能に保持され、
前記回転運動入力部が、前記本体部によって回転可能かつ移動不能に保持され、かつ、前記出力部材が、前記相対移動部に連結されるとともに、その相対移動部と前記本体部とが接近離間する方向において前記本体部と直線的に相対移動させられる(1)項ないし(7)項のいずれかに記載の車両用電気サスペンションシステム。
本項の態様において、回転運動入力部を、相対移動部と本体部とが接近離間する方向の直線回りに回転可能にされたものとすることができる。
(9)前記運動変換装置が、雄ねじが形成されたねじロッドと雌ねじが形成されて前記ねじロッドとベアリングボールを介して螺合するナットとを含み、それらねじロッドとナットとの一方が前記回転運動入力部を構成する(1)項ないし(8)項のいずれかに記載の車両用電気サスペンションシステム。
(10)前記接近離間力発生装置が、前記本体部と前記相対移動部とを互いに遠ざける向きに付勢するスプリングを含む(1)項ないし(9)項のいずれかに記載の車両用電気サスペンションシステム。
スプリングは、例えば、圧縮コイルスプリングやエア(ガス)スプリング等とすることができる。スプリングによって車体を弾性的に支持することにより、回転電気機械の出力を比較的小さくすることができる。
サスペンション装置10は、車輪保持部と車体14との間に設けられており、それらを接近離間させる向きの力を発生させる接近離間力発生装置20と、その接近離間力発生装置20を車体14に連結する車体側連結体たるアッパサポート22と、接近離間力発生装置20を車輪保持部に連結する車輪側連結体たるロアサポート24と、車輪を回転可能に保持する車輪保持部26とを備えている。車輪保持部26は、車輪を回転可能に保持するステアリングナックル等の車輪保持部材,車体に連結されて車輪保持部材を上下に移動可能に支持するアーム部材等を含む。
なお、後に詳述するように、右側の右接近離間力発生装置20FR,RRと、左側の左接近離間力発生装置20FL,RLとは、構成の一部が異なるものとされている。すなわち、バウンド時等における前記「支配的慣性回転部」の回転の向き(図中の括弧内に記載)が逆になるように構成されているのである。
接近離間力発生装置20は、ハウジング30を備えており、そのハウジング30内に充填された圧縮空気の弾性力によって車体14を支えるものとされている。ハウジング30は、一端部が開口した桶状の形状にされた車体側部材32(チャンバと称される場合がある)と、その車体側部材32の開口部と対向して開口した筒状を成す車輪側部材34(エアピストンと称される場合がある)と、それらの開口間の隙間を気密に覆うとともにそれらを接近離間可能に連結する連結膜36(ダイヤフラムと称される場合がある)とを含む。それら車体側部材32と車輪側部材34とが接近離間させられると、ハウジング30内の容積が変化して圧縮空気の弾性力が変化させられる。すなわち、接近離間力発生装置20は、エアスプリングを含むものとされており、主として圧縮空気の弾性力によって車体を支持する離間力を発生させるのである。
なお、本実施例において、接近離間力発生装置20の軸方向、つまり、アッパサポート22とロアサポート24とが接近離間する方向を「接近離間方向」と称する。
図3に示すように、電動モータ42(以後、特に必要がなければ「モータ」と略記する)は、ハウジング30の車体側部材32の閉塞された側(上側)の壁面にそれを貫通した状態で固定された筒状のモータハウジング50と、そのモータハウジング50の内周部に配設されたステータ52と、軸受を介してモータハウジング50に軸受53を介して回転可能に保持された中空のモータ軸54(回転運動出力部材の一種である)と、モータ軸54の外周部にステータ52に対向して配設されたロータ56とを含む。このモータ42は、DCブラシレスモータとされており、インバータから3相交流の供給を受けて作動する。また、ステータ52は3相交流の各相毎に対応する電磁石を備えている。また、ステータ52の下方には、ステータ52に設けられた各電磁石のコイルに電力を供給するコイル接続部58が配設されている。なお、モータ42には、ロータ56の回転位置を検出する回転位置センサ(図示を省略する)が設けられている。
また、ボールねじ装置44は、駆動ロッド62の下端部に相対回転不能に取り付けられたスライド部材70と、モータハウジング50の下端部に固定されるとともにロアサポート24側に向かって延び、スライド部材70を接近離間方向にガイドする筒状ガイド体72とを備えている。その筒状ガイド体72の上部において、モータ軸54の下部が軸受け73を介して回転可能かつ移動不能に保持されている。なお、筒状ガイド体72の上部は、回転電気機械の回転子を回転可能に保持する回転子保持部と、運動変換装置の回転運動入力部を回転可能に保持する入力部保持部との両者の機能を発揮している。また、上記モータハウジング50は回転子保持部の一部分を構成している。
一方、筒状ガイド体72の下側の内周部には、接近離間方向に延びる複数のガイド溝74が周方向において等間隔に形成されている(出力部材ガイド部の一種である)。それらガイド溝74の各々にスライド部材70の外周部に取り付けられたキー76(被ガイド部材の一種である)が嵌められており、スライド部材70の回転が禁止されるとともに接近離間方向の移動が許容されている。そのスライド部材70の上側中央部には、セレーションが形成された嵌合穴78が接近離間方向に設けられており、駆動ロッド62の下端部に形成されたセレーションと嵌合させられている。そのため、駆動ロッド62の軸回りの回転がスライド部材70によって禁止され、ナット60の回転に伴い駆動ロッド62が軸方向、つまり、接近離間方向に駆動される。筒状ガイド体72のスライド部材70の上方には、環状の仕切壁が設けられ、その仕切壁に衝撃吸収体たるバンプラバー79が設けられており、サスペンション装置10がバウンド側にフルストロークした際の衝撃が緩和される。
なお、筒状ガイド体72の外周には、車輪側部材34が滑らかに相対移動可能に嵌合させられており、接近離間力発生装置20が伸縮する際に、筒状ガイド体72と車輪側部材34とが相対移動させられる。
シリンダ84の下端部にはロアサポート24が取り付けられており、ショックアブソーバ82は、スライド部材70とロアサポート24との相対移動に対する抵抗力を発生させるものとされている。また、ばね下振動抑制部80は、シリンダ84の上側端面とスライド部材70の下側端面との間に挟まれて配設された圧縮コイルスプリング90によって、それらが離間する向きに付勢される。そのため、例えば、路面の凹凸によって車輪が上下に細かく振動させられた場合等に、ショックアブソーバ82の減衰力と圧縮コイルスプリング90の付勢力によって、そのばね下振動が抑制される。
また、本実施例において、前記「本体部」が、車体側部材32,モータハウジング50および筒状ガイド体72によって構成されている。なお、本実施例の本体部は、ガイド溝74を有しており、出力部材たるスライド部材70の回転を阻止しつつ直線運動を許容するものとされている。また、前記「相対移動部」が、車輪側部材32によって構成されている。さらに、前記「出力部材」が、スライド部材70によって構成されている。なお、接近離間力発生装置20は、前記出力部材たるスライド部材70が、ばね下振動抑制部80を介して相対移動部たる車輪側部材32と弾性的に連結された態様とされている。
また、ECU100には、駆動回路たるインバータ130が接続され、ECU100からインバータ130に送信される各種の制御指令に基づいて、インバータ130から接近離間力発生装置20のモータ24への駆動電力が制御される。なお、インバータ130には、バッテリ132から電力が供給される。インバータ130はパルス幅変調制御(PWM制御)によってモータ42に供給する電力を調整し、接近離間力を制御することができる。また、電力を供給するだけでなく、モータ42が発電しながら受動的に回転するように制御して接近離間力を発生させることもできる。
また、旋回時の車体14のロールを抑制すべく、横加速度に応じて旋回外輪側の離間力が増加させられ、旋回内輪側の離間力が減少させられる。さらにまた、加減速時の車体14のピッチを抑制すべく、車速の変化に基づいて取得される前後加速度に応じて下降側の離間力が増加させられ、上昇側の離間力が減少させられる。
なお、本実施例において、左右の接近離間力発生装置20において、前述のようにボールねじ装置44のねじの向きが互いに逆にされているため、車体14と左右の車輪12とを同じ向きに相対移動させる向きの接近離間力を発生させる場合に、左右のモータ42の回転の向きが互いに逆になるように制御される。
図4に従来のサスペンションシステムを備えた車両が、路面の隆起200を乗り越える際の回転運動部98(ナット60,モータ軸54およびロータ56)の回転の向きを模式的に示す。隆起200を乗り越える初期の段階において、前側の左右の車輪12FL,FRが、概ね同時に車体14に急激に接近させられる。その際に、接近離間力発生装置20が接近離間方向において短縮させられ、スライド部材70がナット60に接近する向きに上昇させられる。スライド部材70には駆動ロッド62が相対回転不能に連結されているため、スライド部材70の上昇に伴い回転運動部98が駆動ロッド62により回転させられる。その際の回転方向は、図に示すように上方から見た場合、右回り(時計回り)となる。
すなわち、従来のサスペンションシステムにおいて、回転運動部98が、同じ回転方向に加速されるため、その回転運動部98の慣性モーメントに起因するモーメントが発生する。ここで、回転運動部98の軸線回りの慣性モーメントをIr、角速度ωrの変化をdωr/dtとすると、モーメントMrは次式によって得られる。なお、理解を容易にするため、回転運動部98の回転軸線は鉛直方向(水平方向と直角な方向)であるとする。この場合は、モーメントMrが前記「鉛直軸まわりモーメント」に相当する。
Mr=Ir・dωr/dt ・・・(1)
また、N個の回転運動部98が、同じ回転方向に加速された場合には、それらのモーメントの合計はN倍となる。
一方、車両のヨー方向の慣性モーメントをIzc、角速度ωcの変化をdωc/dtとすると、ヨーモーメントMzcは次式によって得られる。
Mzc=Izc・dωc/dt ・・・(2)
ここで、N個の回転運動部98によって発生したモーメントの合計(N・Mr)とヨーモーメントMzcとが等しいため、車両のヨーレートγ(=dωc/dt)は次式によって得られる。
γ(=dωc/dt)=N・Ir/Izc・dωr/dt ・・・(3)
この式(3)より、同じ回転方向に加速される回転運動部98の数が多いほど、また、回転運動部98の角加速度が大きいほど、ヨーレートγが大きくなることが分かる。従って、従来のサスペンションシステムにおいて、図4に示すように、左右の車輪12が同時に隆起を乗り越える場合には、Nが2となり、ヨーレートγが大きくなる要因となる。また、上述のように、隆起を乗り越える初期の段階や、中期の段階において角加速度が大きくなりやすく、ヨーレートγが大きくなる要因となる。特に、中期の段階において、接近離間力発生装置20のスライド部材70がバンプラバー79に当接することにより、上方への相対移動が制動された場合には、その制動に伴い回転運動部98の回転が急速に停止させられるため、その際の角減速度(負の角加速度)は非常に大きくなる。このような場合には、回転運動部98の角速度の変化によるヨーモーメントを低減させることが望ましいのである。
なお、本実施例において、回転運動部98の回転軸線が鉛直方向であるとしていたが、上記回転軸線が鉛直方向から設定角度θ傾斜させられている場合は、鉛直軸線回りのモーメントである鉛直軸まわりモーメントMzrは次式によって得られる。この場合、Mrが前記「総合モーメント」に相当する。
Mzr=Mr・cosθ ・・・(4)
一輪乗り上げ時、例えば、右前の車輪12FRが隆起202に乗り上げた際には、その右前の車輪12FRと、それの対角に位置する車輪である左後の車輪12RRとが車体14に比較的大きく接近させられる。一方、右前の車輪12FRとは異なる対角に位置する左前の車輪12FLと右後ろの車輪12RLとが車体14からある程度離間させられる。この場合、対角に位置する2つの車輪12に対応する回転運動部98の回転の向きが互いに逆向きになるため、接近・離間量が同程度のもの同士のモーメントが打ち消し合うようにすることができる。
なお、具体的には、前側の左右の車輪12については上記と同様であるが、後側の左車輪12RLに対応する接近離間力発生装置20RLのボールねじ装置44のねじの向きが前記右接近離間力発生装置20と同様にされ、後側の右車輪12RRに対応する接近離間力発生装置20RRのボールねじ装置44のねじの向きが前記左接近離間力発生装置20と同様にされている。
図8に、旋回時の回転運動部98の回転の向きを模式的に示す。なお、この図において、車体14のロールの向きを黒い矢印で示す。
車両が左旋回する場合は車体14の旋回外輪側(この場合は右側)が下降するため、旋回外輪に対応する右側の2つの接近離間力発生装置20FR,RRの回転運動部98は、図7と同様の向きに回転させられ、互いのモーメントが打ち消される。一方、車体14の旋回内輪側(この場合は左側)が上昇するため、旋回内輪に対応する左側の2つの接近離間力発生装置20FL,RLの回転運動部98は、対応する車輪12が車体14から離間するため、図7と逆向きに回転させられる。その結果、左右方向において互いに隣り合う2つの回転運動部98の回転方向が同じになるが、前後方向において隣り合う2つの回転運動部98の回転方向が逆であるため、それらのモーメントが打ち消される。このように、前後方向において互いに隣り合う2つのボールねじ装置44のねじの向きを逆向きにすることにより、ピッチ時,バウンド時等に加えて、旋回時の回転運動部98に起因するヨーモーメントを低減させることができる。
本実施例において、スライド部材70によって駆動ロッド62の回転が阻止されていたが、異なる態様とすることもできる。例えば、駆動ロッドに、雄ねじおよび軸方向のスプライン溝を設け、そのスプライン溝に転動可能に嵌るベアリングボールを保持したスプライン外筒を筒状ガイド体72等の本体部に固定することにより、駆動ロッドの軸方向の移動を許容しながら回転を阻止することができる。
Claims (5)
- 回転子を有する回転電気機械と、直線運動させられる出力部材と、それら回転子と出力部材との一方の運動と他方の運動とを相互に変換する運動変換装置とを含み、前記回転電気機械に回転トルクを発生させることによって車輪と車体との接近離間方向の力を発生させる接近離間力発生装置が、右前車輪,左前車輪,右後車輪および左後車輪の4つの車輪の各々と車体との間に、それぞれ配設された車両用電気サスペンションシステムであって、
前記回転電気機械および前記運動変換装置の少なくとも一方の構成要素から成り、前記接近離間力発生装置の鉛直軸線回りの慣性モーメントを支配する支配的慣性回転部の回転の向きが、前記出力部材の同じ向きの移動に対して、(a)右前車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置と左前車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置とで互いに逆向きに、(b)右後車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置と左後車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置とで互いに逆向きに、(c)右前車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置と右後車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置とで互いに同じ向きに、かつ、(d)左前車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置と左後車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置とで互いに同じ向きになるように構成されたことを特徴とする車両用電気サスペンションシステム。 - 回転子を有する回転電気機械と、直線運動させられる出力部材と、それら回転子と出力部材との一方の運動と他方の運動とを相互に変換する運動変換装置とを含み、前記回転電気機械に回転トルクを発生させることによって車輪と車体との接近離間方向の力を発生させる接近離間力発生装置が、右前車輪,左前車輪,右後車輪および左後車輪の4つの車輪の各々と車体との間に、それぞれ配設された車両用電気サスペンションシステムであって、
前記回転電気機械および前記運動変換装置の少なくとも一方の構成要素から成り、前記接近離間力発生装置の鉛直軸線回りの慣性モーメントを支配する支配的慣性回転部の回転の向きが、前記出力部材の同じ向きの移動に対して、(a)右前車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置と左前車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置とで互いに逆向きに、(b)右後車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置と左後車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置とで互いに逆向きに、(c)右前車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置と右後車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置とで互いに逆向きに、かつ、(d)左前車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置と左後車輪に対して配設された前記接近離間力発生装置とで互いに逆向きになるように構成されたことを特徴とする車両用電気サスペンションシステム。 - 前記運動変換装置が、回転可能に保持されて前記回転子から出力された回転運動が入力される回転運動入力部を含み、その回転運動入力部の回転運動を前記出力部材の直線運動である車輪と車体とを接近離間させる方向の運動に変換するものであり、
前記支配的慣性回転部が、前記回転子と前記回転運動入力部との少なくとも一方を含む請求項1または請求項2に記載の車両用電気サスペンションシステム。 - 前記支配的慣性回転部が、前記回転子と前記回転運動入力部とが互いに同一の軸線回りに回転させられるとともに直結されたものによって構成された請求項3に記載の車両用電気サスペンションシステム。
- 前記支配的慣性回転部を構成する前記回転子と前記回転運動入力部との少なくとも一方が、鉛直方向とのなす角度が45度以下の直線回りに回転させられるものである請求項3または請求項4に記載の車両用電気サスペンションシステム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007127928A JP4872792B2 (ja) | 2007-05-14 | 2007-05-14 | 車両用電気サスペンションシステム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007127928A JP4872792B2 (ja) | 2007-05-14 | 2007-05-14 | 車両用電気サスペンションシステム |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008279975A JP2008279975A (ja) | 2008-11-20 |
JP4872792B2 true JP4872792B2 (ja) | 2012-02-08 |
Family
ID=40141149
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007127928A Expired - Fee Related JP4872792B2 (ja) | 2007-05-14 | 2007-05-14 | 車両用電気サスペンションシステム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4872792B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5118944B2 (ja) * | 2007-11-12 | 2013-01-16 | トヨタ自動車株式会社 | 電磁式ショックアブソーバ |
JP5623006B2 (ja) * | 2008-02-08 | 2014-11-12 | カヤバ工業株式会社 | サスペンション装置 |
JP5514403B2 (ja) * | 2008-02-08 | 2014-06-04 | カヤバ工業株式会社 | サスペンション装置 |
ES2524116T3 (es) * | 2008-02-08 | 2014-12-04 | Kayaba Industry Co., Ltd. | Dispositivo de suspensión |
WO2021157408A1 (ja) * | 2020-02-05 | 2021-08-12 | 日本精工株式会社 | 懸架装置およびその組立方法 |
CN115853945B (zh) * | 2022-12-08 | 2024-05-24 | 湘潭大学 | 一种双向惯容可调减振器及控制方法 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002019439A (ja) * | 2000-07-04 | 2002-01-23 | Jp:Kk | 自動車のフロントサスペンション装置 |
JP2004011750A (ja) * | 2002-06-06 | 2004-01-15 | Kayaba Ind Co Ltd | 電磁緩衝器 |
JP3944907B2 (ja) * | 2003-03-14 | 2007-07-18 | マツダ株式会社 | 自動車のフロントサスペンション装置 |
JP2006082635A (ja) * | 2004-09-15 | 2006-03-30 | Kayaba Ind Co Ltd | 姿勢制御装置および姿勢制御方法 |
JP2006194261A (ja) * | 2005-01-11 | 2006-07-27 | Kayaba Ind Co Ltd | 緩衝装置 |
-
2007
- 2007-05-14 JP JP2007127928A patent/JP4872792B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2008279975A (ja) | 2008-11-20 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US10906370B1 (en) | Active suspension system | |
JP4872792B2 (ja) | 車両用電気サスペンションシステム | |
JP4127298B2 (ja) | 車輪車体間距離調整装置および車輪車体間距離調整システム | |
JP4877240B2 (ja) | 車両用サスペンションシステム | |
JP4380640B2 (ja) | 車両用スタビライザシステム | |
JP4244999B2 (ja) | 車両用スタビライザシステム | |
JP4935757B2 (ja) | 車両用サスペンションシステム | |
US20190283733A1 (en) | Vehicle attitude control apparatus | |
KR101004957B1 (ko) | 모터를 이용한 4륜 구동 및 4륜 조향 방식의 전방향성 주행로봇 시스템 | |
EP2681061B1 (en) | A suspension control system | |
CA3062457A1 (en) | Active series hybrid integrated electric vehicle | |
CN102582416B (zh) | 一种具有可变动力学特性的全线控电动车 | |
WO2016031285A1 (ja) | ダンパ及びダンパの製造方法 | |
WO2008032562A1 (fr) | Système de suspension pour véhicule | |
WO2013125031A1 (ja) | 車両挙動制御装置 | |
JP6345724B2 (ja) | 車両のサスペンション装置 | |
US20170106755A1 (en) | Vehicle control apparatus | |
JP2009029257A (ja) | 車両用ロール抑制システム | |
JP2005106106A (ja) | 車両懸架装置 | |
JP4941416B2 (ja) | 車両用サスペンションシステム | |
JP5429369B2 (ja) | 車両用サスペンション装置 | |
JP2010202052A (ja) | 車両の車輪位置変更装置 | |
CN117163159A (zh) | 用于车辆的角模块装置 | |
CN116476628A (zh) | 用于车辆的角模块装置 | |
Rakshith et al. | Bose automotive suspension |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20090724 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20110519 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110524 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110712 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20111025 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20111107 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141202 Year of fee payment: 3 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 4872792 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141202 Year of fee payment: 3 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |