JP4872108B2 - 濃度調整処理方法、それを実行させるためのプログラム及び濃度調整処理装置 - Google Patents

濃度調整処理方法、それを実行させるためのプログラム及び濃度調整処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、濃度調整処理方法等に関し、特に、入力された2値画像の濃度を変更して出力する方法等に関する。
従来、写真等の2値画像をスキャナ等の入力機器で読み取り、印刷条件特性に合わせて画像の階調(濃度)を補正するなどの編集が広く行われている。写真等の2値画像の濃淡は、一般に、網点の大きさによって表現され、また、濃淡表現の鮮明さは、網点の密度(網点間の相関関係)、すなわち、画像作成時に使用する網点のスクリーン線数によって決められる。こうした網点は、入力機器での読み取り時に黒色領域(画像情報領域)として認識され、入力機器からは、網点に相当する部分が黒画素データの集合体として出力される。
印刷条件特性に合わせて濃度を調整する方法の1つとして、測定した入力2値画像の濃度値を濃度変換テーブルと照らし合わせ、濃度値をテーブル変換して出力する方法がある(例えば、特許文献1、2参照)。この方法では、予め、入力2値画像の各濃度値に対応した目標濃度値(濃度調整後の目標値)を細かく設定し、これらを記憶した濃度変換テーブルを準備する必要がある。
また、濃度調整に際しては、濃度値のテーブル変換に先立ち、入力2値画像の濃度値を測定する必要があるが、前述の通り、原画像上での網点に相当する部分は、入力機器から黒画素データの集合体として出力されるため、理論上は、入力機器の出力データを参照して黒画素部分を検出することにより、原画像の濃度を割り出すことが可能である。しかし、実際の画像処理では、各網点の大きさを認識することはできても、原画像を作成する際に使用されたスクリーン情報(スクリーン中心位置やスクリーンサイズ)を導き出すことが容易ではないため、正確な濃度情報を作成するのは困難である。
そこで、従来の濃度調整処理装置においては、入力2値画像を所定の大きさのブロック単位に分割した後に、分割したブロック毎に、ブロック中のオン画素(黒画素)数をブロック中の総画素数で除算してブロックの平均濃度値を求めるように構成されている(例えば、特許文献3参照)。この方法によれば、各網点のスクリーン線数やスクリーン角度等を求めずとも、入力2値画像の濃度情報を取得して濃度調整を行うことが可能になる。
特開2004−106213号公報 特開平05−30359号公報 特開2006−072173号公報
従来の濃度調整処理において、濃度変換テーブルを作成、設定する方法には、大別して、入力濃度値に対応する目標濃度値を手作業により1つずつ設定する方法と、濃度変換テーブル上の幾つかの代表的な数値を設定し、スプライン補間関数等により補完してテーブル全体を完成させる方法とがある。
このうち、前者の方法に関しては、入力2値画像に対する出力画像の濃度値を細かく設定することができるが、その反面、入力の可能性がある濃度値の全てを対象として目標濃度値を手作業で設定する必要が生じる。このため、非常に手間がかかるのに加え、入力ミスが発生し易いという問題があった。一方、後者の方法に関しても、入力作業の手間が多少軽減されるものの、依然として入力ミスや計算上の設定ミス等が発生し易く、必ずしも万全なものとは言い難かった。
また、従来の濃度変換テーブルが有する入力濃度及び目標濃度の相関関係では、画像情報(網点)に無相関になるという問題もある。その理由は、濃度変換テーブルの設定及び演算では、人間の主観によるものか(手動で設定する場合)、或いは、数学上の理論に基づくものであるため(補間関数を用いる場合)、必ずしも実際の画像情報に基づいた最適な相関関係とは言えないためである。
さらに、従来の濃度調整処理においては、入力2値画像の濃度値を測定する段階で測定誤差が生じた場合に、それが濃度調整処理後の画像に反映されるという問題がある。特に、特許文献3に記載の処理方法のように、ブロック単位で平均濃度値を求める場合には、濃度測定領域のサイズが大きくなるほど、濃淡情報が平滑化されるため、濃淡表現の鮮明さが失われていき、トーンジャンプによるモアレ問題やエッジボケ問題が発生する危険性が高くなる。
尚、トーンジャンプとは、原画像上の連続した網点濃度に対して、一定領域内で濃度を平均化するため、領域の境界で階調の連続性が無くなってしまうことであり、隣接する領域間の測定濃度の差が大きい(隣接している領域の濃度の差分が目で認識できる程度)場合には、モアレ問題となる。また、エッジボケとは、測定領域内に複数の濃度領域が混在している場合に、濃淡の境目(エッジ部分)が濃度の平均化により、ぼやけてしまうことをいう。
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、濃度変換テーブルの作成に伴う手間を解消しつつ、入力2値画像に対して高質な濃度調整処理を施すことが可能な濃度調整処理方法等を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、設定された濃度調整値に応じて画素の色変換を行うことにより、入力された2値画像の濃度を調整する濃度調整処理方法であって、前記2値画像を形成する網点の周縁部に位置し、該網点の輪郭、又は該網点と該網点以外の部分との境界を構成する変化点画素を検出する第1のステップと、前記検出された変化点画素を示す検出画素を含む網点を対象とし、該検出画素を基点として第1の方向に連続する第1の黒画素数と、該検出画素を基点として該第1の方向と交差する第2の方向に連続する第2の黒画素数とを求める第2のステップと、該第1及び第2の黒画素数並びに前記濃度調整値を用いて前記検出画素の色変換確率を算出する第3のステップと、算出した色変換確率に従って該検出画素の色変換を行う第4のステップとを備え、前記第4のステップは、前記検出画素の色変換確率に所定の色変換値を加算して加算値を得る加算ステップと、該加算値を所定の閾値と比較し、該加算値が該閾値以上である場合に、前記検出画素の色変換を行う変換ステップとを含むことを特徴とする。
そして、本発明によれば、濃度変換テーブルを用いることなく、入力2値画像の濃度を調整することができるため、変換テーブルの作成に伴う手間を解消することができる。また、濃度調整処理に際して、入力2値画像の濃度測定を行わないため、トーンジャンプによるモアレ問題やエッジボケ問題を解決することができる。さらに、変化点画素毎に処理を行いつつ、網点の大きさ及び形状の双方に合わせた濃度調整処理を行うため、入力2値画像の特性により即した調整処理を行うことができ、高質な濃度調整処理を施すことが可能になる。
前記濃度調整処理方法において、前記第1乃至第4のステップを網点の輪郭に沿って変化点画素毎に順次に実行することができ、これによれば、個々の網点を処理単位として濃度調整処理を施すことができる。
前記濃度調整処理方法において、前記検出画素が、該検出画素を含む網点において、最初に検出された変化点画素であるときに、前記加算ステップにおいて、一様乱数を前記色変換値として用い、前記検出画素が前記最初に検出された変化点画素以外の変化点画素であるときに、前記加算ステップにおいて、直前の変化点画素の色変換処理で得た加算値を前記色変換値として用いるように構成することができる。これによれば、モアレや丸め誤差の発生を抑えることが可能になる。
前記濃度調整処理方法において、前記第4のステップが、前記加算値が前記閾値以上のときに、該加算値から該閾値を減算して減算値を得るステップをさらに含み、前記直前の変化点画素の色変換処理で減算値が算出されたときに、前記加算ステップにおいて、該直前の変化点画素の色変換処理で得た減算値を前記色変換値として用いることができる。これによれば、色変換値に閾値以上の数値が与えられるのを防止することができ、変化点画素に対する色変換の有無を適切に決定することが可能になる。
前記濃度調整処理方法において、前記第3のステップが、前記濃度調整値及び前記第1の黒画素数を用いて前記第1の方向の色変換確率を算出するとともに、前記濃度調整値及び前記第2の黒画素数を用いて前記第2の方向の色変換確率を算出し、該第1及び第2の方向の色変換確率から前記検出画素の色変換確率を算出することができる。
前記濃度調整処理方法において、前記第2の方向を前記第1の方向と直交させることができ、これによれば、網点の大きさ及び形状を濃度調整の処理結果に適切に反映させることが可能になる。
また、本発明は、設定された濃度調整値に応じて画素の色変換を行うことにより、入力された2値画像の濃度を調整するためのプログラムであって、上記いずれかに記載の濃度調整処理方法を実行するためのものであることを特徴とする。本発明によれば、前記発明と同様に、濃度変換テーブルの作成に伴う手間を解消しつつ、入力2値画像に対して高質な濃度調整処理を施すことが可能になる。
さらに、本発明は、設定された濃度調整値に応じて画素の色変換を行うことにより、入力された2値画像の濃度を調整する濃度調整処理装置であって、前記2値画像を形成する網点の周縁部に位置し、該網点の輪郭、又は該網点と該網点以外の部分との境界を構成する変化点画素を検出する変化点検出手段と、該変化点検出手段によって検出した変化点画素を示す検出画素の色変換確率を算出する色変換確率演算手段と、該色変換確率演算手段によって算出した色変換確率に従い、前記検出画素の色変換を行う色変換処理手段とを備え、前記色変換確率演算手段は、前記検出画素を含む網点を対象とし、該検出画素を基点として第1の方向に連続する第1の黒画素数と、該検出画素を基点として該第1の方向と交差する第2の方向に連続する第2の黒画素数とを求めるとともに、該第1及び第2の黒画素数並びに前記濃度調整値を用いて前記検出画素の色変換確率を算出し、前記色変換処理手段は、前記検出画素の色変換確率に所定の色変換値を加算して得られる加算値と所定の閾値とを比較し、該加算値が該閾値以上である場合に、前記検出画素の色変換を行うことを特徴とする。本発明によれば、前記発明と同様に、濃度変換テーブルの作成に伴う手間を解消しつつ、入力2値画像に対して高質な濃度調整処理を施すことが可能になる。
以上のように、本発明によれば、濃度変換テーブルの作成に伴う手間を解消しつつ、入力2値画像に対して高質な濃度調整処理を施すことが可能になる。
本発明にかかる濃度調整処理装置の一実施の形態を示すブロック図である。 境界点画素及び輪郭点画素の説明図である。 色変換確率の算出処理を説明するための図である。 輪郭追跡処理を説明するための図である。 濃度調整処理の手順を示すフローチャートである。 濃度調整処理を説明するための図である。 入力濃度値と出力濃度値との関係を示すグラフである。 本発明にかかる濃度調整処理方法を用いた処理結果の一例を示す図である。
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明にかかる濃度調整処理装置の一実施の形態を示すブロック図であり、この濃度調整処理装置1は、大別して、変化点検出部2と、色変換確率演算部3と、ランダマイズ色変換処理部4と、一様乱数発生部5とから構成される。
尚、図中のメモリ6は、スキャナなどの入力機器(図示せず)から出力された画像データを記憶したり、変化点検出部2、色変換確率演算部3及びランダマイズ色変換処理部4で処理された処理値や画像データを記憶するための記憶媒体である。また、濃度調整処理装置1において、変化点検出部2、色変換確率演算部3、ランダマイズ変換処理部4及び一様乱数発生部5は、必ずしもハードウェアによって構成される必要はなく、その一部又は全部がソフトウェア(プログラム)によって構成されてもよい。
変化点検出部2は、入力機器から出力された入力2値画像データを用い、網点の周縁部に位置する変化点画素を検出するために備えられる。ここで、検出する変化点画素には、網点の輪郭を構成する輪郭点画素(黒画素)と、網点と原紙(網点以外の部分)との境界を構成する境界点画素(白画素)とがある。
輪郭点画素の検出に際しては、入力2値画像中の任意の黒画素を注目画素とし、例えば、その注目画素と、上下右左に隣接する4画素とからなる範囲を参照する。そして、図2(a)に示すように、注目画素の周辺に位置する4画素中に1つでも白画素があれば、その注目画素を輪郭点画素として検出する。一方、境界点画素の検出に際しては、入力2値画像中の任意の白画素を注目画素とし、図2(b)に示すように、隣接する4画素中に1つでも黒画素があれば、その注目画素を境界点画素として検出する。
色変換確率演算部3は、変化点検出部2によって検出された変化点画素(輪郭点画素又は境界点画素)を反対色の画素に変換する確率(色変換確率)Rを算出するために備えられる。
色変換確率Rの算出にあたっては、先ず、図3に示すように、変化点画素DEを含む網点H0を対象とし、変化点画素DEを基点とする横方向(x方向)の線幅画素数(x方向に連続する黒画素の画素数)Lxと、変化点画素DEを基点とする縦方向(y方向)の線幅画素数(y方向に連続する黒画素の画素数)Lyとを求める。
このとき、検出した変化点画素DEが輪郭点画素(黒画素)である場合には、その変化点画素DEを始点としてx方向、y方向への線幅画素数Lx、Lyをカウントする。一方、検出した変化点画素DEが境界点画素(白画素)である場合には、x方向において境界点画素に最も近い黒画素を始点として線幅画素数Lxをカウントするとともに、y方向において境界点画素に最も近い黒画素を始点として線幅画素数Lyをカウントする(図3(b)参照)。
次に、式(1)、(2)を用いて、x方向の色変換確率Rx、及びy方向の色変換確率Ryを求める。
Figure 0004872108
Figure 0004872108
ここで、式(1)、(2)の各変数は、次の通りである。
「ε」:ユーザが希望する濃度調整値(小数)である。例えば、濃度を10%向上させたい場合は、ε=+0.1に設定する。
「Ax」、「Bx」、「Cx」:x方向の色変換確率Rxを求める場合の係数(定数)であり、入力画像及び濃度調整効果に応じて最適な値を設定する。
「Ay」、「By」、「Cy」:y方向の色変換確率Ryを求める場合の係数(定数)であり、入力画像及び濃度調整効果に応じて最適な値を設定する。
その後、式(3)を用いて、変化点画素DEに対する色変換確率Rを求める。
Figure 0004872108
図1に戻り、ランダマイズ色変換処理部4は、変化点検出部2で検出した変化点画素を対象として輪郭追跡処理を行うとともに、色変換確率演算部3で算出した色変換確率Rに従い、変化点画素(注目画素)のランダマイズ色変換処理を行うために備えられる。
輪郭追跡処理にあたっては、図4に示すように、最初に検出する変化点画素DE0を開始点とし、その後、変換点画素DE0を含む網点H0の縁を辿るようにして変化点画素DE1〜DE19を追跡する。一方、ランダマイズ色変換処理にあたっては、色変換確率Rを後述する色変換値CTと加算して加算値ATを得るとともに、その加算値ATを色変換用の閾値と比較し、比較結果に応じて、黒画素から白画素への色変換、又は白画素から黒画素への色変換の有無を決定する。この色変換処理は、上記の輪郭追跡処理での追跡順番(図4の場合は、0〜19)に従って変化点画素毎に行う。
図1に戻り、一様乱数発生部5は、一様乱数を発生させるために備えられる。ここで、一様乱数とは、0.0から1.0までを全体発生値とした場合に、各発生値(0.0から1.0までの間のいずれかの値)がいずれも同じ頻度で発生する乱数を意味する。一様乱数発生部5から出力される乱数は、上述のランダマイズ色変換処理での色変換値CTの初期値として用いられる。
次に、上記濃度調整処理装置1を用いた濃度調整処理方法について、図5及び図6を中心に参照しながら説明する。尚、ここでは、新聞印刷用のAMスクリーン製版を読み取り、読み取った2値画像を濃度調整する場合を例にとって説明する。
濃度調整処理にあたっては、図5に示すように、先ず、ユーザによって設定された濃度調整値εが正の値であるか否かを判別する(ステップS1)。判定の結果、濃度調整値εが正の値である場合には、入力された2値画像の濃度を上げて出力する(黒画素数を増やして出力する)必要があるため、変化点検出部2で検出する変化点画素DEを境界点画素(白画素:図2(b)参照)に設定する(ステップS2)。一方、濃度調整値εが負の値である場合には、濃度を下げる(黒画素数を減らす)必要があるため、変化点画素DEを輪郭点画素(黒画素:図2(a)参照)に設定する(ステップS3)。
尚、以下においては、負の値を有する濃度調整値ε(例えば、−0.5)が設定され、変化点検出部2で検出する変化点画素として、輪郭点(黒画素)が設定された場合を例にとって説明する。
濃度調整値εの判別処理及び変化点画素の設定処理が終了すると、読み取られた製版の2値画像をメモリ6(図1参照)から読み出し、入力2値画像に含まれる変化点画素DEを検出する(ステップS4)。次に、検出した変化点画素DEが、輪郭追跡処理の開始点DE0に該当するか否かを判定する(ステップS5)。
このとき、検出された変化点画素DEが、例えば、図6(a)に示すように、変化点画素DEを含む網点H0のうちで、最初に検出された変化点画素である場合には、変化点画素DEを開始点DE0として扱う(ステップS5:Y)。次に、一様乱数発生部5から乱数値(例えば、0.3)を取得し、色変換値CTの初期値に設定する(ステップS6)。
次いで、変化点画素DE0を開始点(追跡順番を0番)とする輪郭追跡処理を開始するとともに(ステップS7)、変化点画素DE0を始点とするx方向の線幅画素数Lx(図4参照)、及びy方向の線幅画素数Ly(図4参照)を求める。尚、図6(a)の場合は、Lx=1、Ly=5となる。
次に、上記の式(1)、(2)を用いてx方向の色変換確率Rx、及びy方向の色変換確率Ryを求めるとともに、式(3)を用いて変化点画素DE0についての色変換確率Rを求める(ステップS8、S9)。次いで、求めた色変換確率Rに対して、ステップS6で設定した色変換値CT(=0.3)を加算し、加算値ATを求める(ステップS10)。
次に、加算値ATを予め設定した閾値(通常、1.0に設定する)と比較する(ステップS11)。このとき、例えば、加算値ATが1.2であり、閾値以上となっている場合には(ステップS11:Y)、輪郭点画素(黒画素)を白画素に変換し、変換した画素データをメモリ6に記録する(ステップS12)。その後、加算値ATから閾値(=1.0)を減算し、減算値ST(=0.2)を取得する(ステップS13)。
一方、例えば、ステップS10で得られた加算値ATが0.8であり、閾値未満となっている場合には(ステップS11:N)、輪郭点(黒画素)を白画素に変換することなく、次の処理に移行する。また、この場合は、加算値ATから閾値を減算する処理も行わない。
次に、色変換処理が終了した変化点画素DE0、又は色変換を行わない旨を決定した変化点画素DE0を、処理済みの画素として記録し、マスキング処理する(ステップS14)。尚、処理済みの変化点画素に対してマスキング処理を行うのは、同一の変化点画素DEを重複して検出したり、二重に色変換処理を施すのを避けるためである。
次いで、次の変化点画素を対象とする処理に移行し(ステップS15:N)、再び、変化点画素DEの検出処理を実行する(ステップS4)。これにより、図6(b)に示すように、網点H0における二番目の変化点画素DE1を検出する。
次に、図5に示すように、検出した変化点画素DEが、輪郭追跡処理の開始点DE0に該当するか否かを判定する(ステップS5)。検出した変化点画素DE1は、網点H0内で最初に検出された変化点画素ではないため(ステップ5:N)、ステップS16に移行し、検出した変化点画素DE1がマスキング処理された画素であるか否かを判定する。
変化点画素DE1は、未処理の変化点画素であり、マスキング処理は施されていないため(ステップS16:N)、ステップS17に移行し、直前の変化点画素DE0の色変換処理で得られた加算値AT(ステップS10参照)を色変換値CTに設定する。この際、直前の変化点画素DE0の色変換処理において、減算値STが算出されている場合(ステップS13参照)には、加算値ATに代えて減算値STを用いる。
以後、変化点画素DE0の場合と同様に、ステップS8〜S15の処理を実行し、変化点画素DE1に対する色変換処理を実行する。その後は、図6(c)に示すように、網点H0内での他の変化点画素DE2〜DE7に対して、上記と同様の処理を順に施し(図5のステップS15参照)、網点H0中の全ての変化点画素に対する処理を完了させる。
そして、網点H0に対する処理が終了すると、図5に示すように、入力2値画像に含まれる他の網点(不図示)に対しても同様の処理を実行し(ステップS18)、画像全体の濃度調整処理を完了させる。
図7及び図8は、上記濃度調整処理装置1を用いて入力2値画像の濃度調整を行った場合の、入力濃度値と出力濃度値との関係を示すグラフ、及び入力濃度値の網点と濃度調整後の網点を示したものである。尚、図7に示すグラフは、Ax〜Cx及びAy〜Cyの各係数に最適なパラメータ値を設定した上で、濃度調整値εを−0.05、−0.1、−0.15、−0.2とした場合の特性を示したものである。また、図8に示す網点は、20%、50%及び70%濃度の入力2値画像につき、濃度調整値εを−0.1、−0.2に設定して処理したものである。
以上のように、本実施の形態によれば、濃度変換テーブルを用いることなく、入力2値画像の濃度を調整することができるため、変換テーブルの作成に伴う手間を解消し得るとともに、テーブル作成時の人為的なミスによる画質の劣化を防止することができる。
また、検出した変化点画素DEを基点とするx方向、y方向への線幅画素数Lx、Lyを求め、それを変化点画素DEの色変換確率Rに反映させ、変化点画素毎に色変換処理を行うため、各網点の大きさだけでなく、形状の特性にも合わせた濃度調整を行うことができ、入力2値画像の特性により即した調整処理を行うことが可能になる。
すなわち、従来の濃度調整処理においては、一定領域内の複数の網点を1つの処理単位として処理するため、領域の平均濃度値が同一であれば、網点の種類に関係なく、一様な濃度処理を行うことになる。これに対し、本実施の形態においては、同一の濃度(大きさ)の網点であっても、形状が異なれば、個々の変化点画素に対する濃度調整処理に違いが生じるため、平均濃度値が同一の領域であっても、網点種類の違いに応じた異なる処理結果を得ることが可能になる。
従来の濃度調整処理では、網点と周辺網点の位置関係を重視した手法を採るのに対して、本実施の形態においては、個々の網点の形状及び大きさの特性を重視した手法を採っており、特に、画像情報としての最小単位である網点は、形状、大きさ、他の網点との位置関係等の特性を有するため、画像情報(網点)の特性に見合った濃度調整処理を施すことができる。
さらに、本実施の形態によれば、濃度調整処理に際して、入力2値画像の濃度測定を行わないため、測定誤差による画質の劣化を防止することができる。特に、特許文献3に記載の処理方法のように、複数の網点を含む領域の平均濃度値を濃度調整処理に反映させることがないため、トーンジャンプによるモアレ問題やエッジボケ問題を解決することができ、高画質な2値画像を得ることが可能になる。
加えて、本実施の形態によれば、色変換値CTの初期値に一様乱数を与えるため、同一特性を有する複数の変化点画素の連続線(同一の大きさ及び形状を有する複数の網点)の間において、異なる処理結果を得ることができる。このため、大きさ及び形状が同一の網点に対する処理が1パターン化することがなく、モアレの発生を抑えることが可能になる。
また、色変換値の初期値に乱数を与える処理では、変化点画素の連続線が短いことに起因する濃度調整処理の丸め誤差の発生を抑えることもできる。すなわち、個々の網点の大きさは小さく、網点の輪郭線の長さも短くなるため、色変換値の初期値を固定値とした場合には、色変換処理を行った際の丸め誤差が大きくなる虞がある。これに対し、本実施の形態においては、短い網点の輪郭線を無限長線の一部分としてみなしており、この場合、如何に小さな数値でも表現することができ、丸め誤差が発生しない。乱数である色変換値の初期値は、無限長の線上での輪郭線の位置を与えるものであるため、線が短いことに起因する濃度調整処理の丸め誤差の発生を防止することが可能になる。
尚、上記実施の形態においては、新聞印刷用のAMスクリーン製版を読み取る場合を例に挙げたが、本発明は、FMスクリーンの2値画像を濃度調整する場合にも適用することができ、また、新聞印刷に限らず、写真等の濃度調整を行う場合にも適用することが可能である。
また、上記実施の形態においては、横方向(x方向)及び縦方向(y方向)の線幅画素数Lx、Lyを求めるが、必ずしも直交する方向の線幅画素数を求める必要はなく、網点H0の大きさ及び形状を把握し得るものであれば、直角以外の角度で交わる方向の線幅画素数を求めるようにしてもよい。
1 濃度調整処理装置
2 変化点検出部
3 色変換確率演算部
4 ランダマイズ色変換処理部
5 一様乱数発生部
6 メモリ
DE 変化点画素
Lx x方向の線幅画素数
Ly y方向の線幅画素数
Rx x方向の色変換確率
Ry y方向の色変換確率

Claims (8)

  1. 設定された濃度調整値に応じて画素の色変換を行うことにより、入力された2値画像の濃度を調整する濃度調整処理方法であって、
    前記2値画像を形成する網点の周縁部に位置し、該網点の輪郭、又は該網点と該網点以外の部分との境界を構成する変化点画素を検出する第1のステップと、
    前記検出された変化点画素を示す検出画素を含む網点を対象とし、該検出画素を基点として第1の方向に連続する第1の黒画素数と、該検出画素を基点として該第1の方向と交差する第2の方向に連続する第2の黒画素数とを求める第2のステップと、
    該第1及び第2の黒画素数並びに前記濃度調整値を用いて前記検出画素の色変換確率を算出する第3のステップと、
    算出した色変換確率に従って該検出画素の色変換を行う第4のステップとを備え
    前記第4のステップは、
    前記検出画素の色変換確率に所定の色変換値を加算して加算値を得る加算ステップと、
    該加算値を所定の閾値と比較し、該加算値が該閾値以上である場合に、前記検出画素の色変換を行う変換ステップとを含むことを特徴とする濃度調整処理方法。
  2. 前記第1乃至第4のステップを網点の輪郭に沿って変化点画素毎に順次に実行することを特徴とする請求項1に記載の濃度調整処理方法。
  3. 記検出画素が、該検出画素を含む網点において、最初に検出された変化点画素であるときに、前記加算ステップにおいて、一様乱数を前記色変換値として用い、
    前記検出画素が前記最初に検出された変化点画素以外の変化点画素であるときに、前記加算ステップにおいて、直前の変化点画素の色変換処理で得た加算値を前記色変換値として用いることを特徴とする請求項2に記載の濃度調整処理方法。
  4. 前記第4のステップは、前記加算値が前記閾値以上のときに、該加算値から該閾値を減算して減算値を得るステップをさらに含み、
    前記直前の変化点画素の色変換処理で減算値が算出されたときに、前記加算ステップにおいて、該直前の変化点画素の色変換処理で得た減算値を前記色変換値として用いることを特徴とする請求項3に記載の濃度調整処理方法。
  5. 前記第3のステップは、前記濃度調整値及び前記第1の黒画素数を用いて前記第1の方向の色変換確率を算出するとともに、前記濃度調整値及び前記第2の黒画素数を用いて前記第2の方向の色変換確率を算出し、該第1及び第2の方向の色変換確率から前記検出画素の色変換確率を算出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の濃度調整処理方法。
  6. 前記第2の方向が前記第1の方向と直交することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の濃度調整処理方法。
  7. 設定された濃度調整値に応じて画素の色変換を行うことにより、入力された2値画像の濃度を調整するためのプログラムであって、
    請求項1乃至6のいずれかに記載の濃度調整処理方法を実行するためのものであることを特徴とするプログラム。
  8. 設定された濃度調整値に応じて画素の色変換を行うことにより、入力された2値画像の濃度を調整する濃度調整処理装置であって、
    前記2値画像を形成する網点の周縁部に位置し、該網点の輪郭、又は該網点と該網点以外の部分との境界を構成する変化点画素を検出する変化点検出手段と、
    該変化点検出手段によって検出した変化点画素を示す検出画素の色変換確率を算出する色変換確率演算手段と、
    該色変換確率演算手段によって算出した色変換確率に従い、前記検出画素の色変換を行う色変換処理手段とを備え、
    前記色変換確率演算手段は、前記検出画素を含む網点を対象とし、該検出画素を基点として第1の方向に連続する第1の黒画素数と、該検出画素を基点として該第1の方向と交差する第2の方向に連続する第2の黒画素数とを求めるとともに、該第1及び第2の黒画素数並びに前記濃度調整値を用いて前記検出画素の色変換確率を算出し、
    前記色変換処理手段は、前記検出画素の色変換確率に所定の色変換値を加算して得られる加算値と所定の閾値とを比較し、該加算値が該閾値以上である場合に、前記検出画素の色変換を行うことを特徴とする濃度調整処理装置。
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