JP4871772B2 - セルロースアシレートフィルムの製造方法 - Google Patents

セルロースアシレートフィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明はセルロースアシレートフィルムの製造方法に係り、特に、液晶表示装置で位相差フィルムとして使用されるセルロースアシレートフィルムの製造方法に関する。
セルロースアシレートフィルムは、その透明性、強靭性および光学的等方性から、液晶表示装置や有機EL表示装置をはじめとする画像表示装置用の光学フィルムとしてその用途を拡大している。液晶表示装置用の光学フィルムとしては、偏光板の保護フィルムとして用いられる他、延伸して面内のレターデーション(Re)、厚み方向のレターデーション(Rth)を発現させることにより、位相差フィルムとして使用される。
近年では、用途に応じた特性の位相差フィルムが求められており、その位相差フィルムを製造するために様々な製造方法が提案されている。たとえば、Rth/Reが0.5以下の位相差フィルムは、セルロースアシレートを結晶化温度まで加熱して結晶化させつつ、幅方向に拘束せずに長手方向に延伸する自由端一軸延伸(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)を行うことによって製造することができる
特開2003−131033号公報 特開2006−285135号公報
しかしながら、上述した製造方法は、フィルムの長手方向に長いスパンが必要となり、その間はフィルムが幅方向に拘束されないので、フィルムの搬送が不安定になる。その結果、フィルムの長手方向に皺が発生し、光学特性にムラが生じたり、フィルムが波形に変形したりするという問題が発生する。このため、従来は、Rth/Reが0.5以下の特性を有する位相差フィルムを高い品質で製造することができないという問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みて成されたもので、100nm≦Re≦400nmで、且つ、Rth/Reが0.5以下の特性を有する位相差フィルムを高い品質で製造することができるセルロースアシレートフィルムの製造方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は前記目的を達成するために、帯状のセルロースアシレートフィルムを(Tg−10℃)以上(Tg+50℃)以下の温度で、長手方向に1.1倍以上2.0倍以下に縦延伸する縦延伸工程と、前記縦延伸工程で縦延伸されたセルロースアシレートフィルムの幅方向端部を把持した状態で、該セルロースアシレートフィルムを(Tc−10℃)以上(Tc+50℃)以下の温度に加熱することにより、前記セルロースアシレートフィルムを幅方向に収縮させる収縮工程と、を経て前記セルロースアシレートフィルムを製造することを特徴とする。
本発明の発明者は、収縮工程時のフィルムの幅方向の端部を完全な自由端とするのではなく、幅方向の端部を把持しながら結晶化温度付近まで加熱してフィルムを幅方向に収縮させることによって、100nm≦Re≦400nmで、且つ、Rth/Reが0.5以下の特性を有する位相差フィルムを高い品質で製造することができるという知見を得た。請求項1はこのような知見に基づいて成されたものであり、(Tg−10℃)以上(Tg+50℃)以下の温度条件で、長手方向に1.1倍以上2.0倍以下の縦延伸を行った後、セルロースアシレートフィルムの幅方向端部を把持した状態で(Tc−10℃)以上(Tc+50℃)以下の温度条件で収縮させるようにしたので、Rth/Reが0.5以下の特性を有する位相差フィルムを高品質で製造することができる。なお、本発明において、Tgはガラス転移温度を意味し、Tcは結晶化温度を意味する。
請求項2に記載の発明は請求項1の発明において、前記延伸工程は、前記セルロースアシレートフィルムの長手方向に100mm以上500mm以下の間隔をあけて配置されるとともに、互いに周速度の異なる少なくとも二つのローラで前記セルロースアシレートフィルムを搬送することによって、前記セルロースアシレートフィルムを長手方向に延伸することを特徴とする。なお、二つのローラはそれぞれ、セルロースアシレートフィルムを挟持搬送するローラを設けてもよい。
請求項2の発明によれば、二つのローラの間隔が500mm以下なので、間隔が長過ぎる場合のようにフィルムの光学特性が幅方向に不均一となることを防止できる。また、請求項2の発明によれば、二つのローラの間隔が100mm以上なので、二つのローラ間に加熱装置を配置して、ローラ間のフィルムを均一に加熱することができる。
請求項3に記載の発明は請求項2の発明において、前記二つのローラ間で前記セルロースアシレートフィルムを加熱する加熱装置を備え、該加熱装置によって前記セルロースアシレートフィルムを加熱することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は請求項1〜3のいずれか1の発明において、前記収縮工程で収縮されたセルロースアシレートフィルムを、(Tc−10℃)以上(Tc+50℃)以下の温度で、幅方向に1.05倍以上1.3倍以下に延伸することを特徴とする。
請求項4の発明によれば、収縮工程の後にいわゆる横延伸を行うことによって、ボーイングを防止することができる。ここで、ボーイングとは、延伸前にフィルムの幅方向に沿って描いた直線が延伸後に凹型に変形する現象であり、このボーイングを防止することによって、光学特性が均一なフィルムを得ることができる。また、再延伸の温度を(Tc−10℃)以上(Tc+50℃)以下とすることによって、温度が低い場合のように光学特性のRth/Reが0.5以上に大きくなることを防止でき、且つ、温度が高い場合のようにフィルムが溶けることを防止できる。
請求項5に記載の発明は請求項1〜4のいずれか1の発明において、面内位相差Reが100nm≦Re≦400nmで、且つ、厚み方向位相差Rth/面内位相差Reが0.5以下のセルロースアシレートフィルムが製造されることを特徴とする。
本発明によれば、(Tg−10℃)以上(Tg+50℃)以下の温度条件で、長手方向に1.1倍以上2.0倍以下の縦延伸を行った後に、セルロースアシレートフィルムの幅方向端部を把持した状態で(Tc−10℃)以上(Tc+50℃)以下の温度条件で収縮させるようにしたので、Reが100nm≦Re≦400nmで、且つ、Rth/Reが0.5以下の特性を有する位相差フィルムを高品質で製造することができる。
以下、本発明に係るセルロースアシレートフィルムの製造方法の実施の形態について説明する。なお、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいて成されるものであるが、本発明はこの実施態様に限定されるものではない。また、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を含む範囲を意味する。
《セルロースアシレートフィルム》
[透湿度]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、40℃・相対湿度90%における透湿度が100〜400g/(m2・day)であり、60℃・相対湿度95%で1000時間保持した後の透湿度変化が−100g/(m・day)〜10g/(m・day)であることが好ましい。「透湿度」とは、塩化カルシウムを入れたカップをフィルムで蓋をし、全体を密閉器内に入れて40℃・相対湿度90%の条件で24時間保持したときの保持前後の質量変化(g/(m・day))である。透湿度は、温度の上昇に伴い上昇し、また、湿度の上昇に伴い上昇するが、いずれの温度や湿度を採用した場合であっても、フィルム間における透湿度の大小関係は不変である。そのため、本発明においては40℃・相対湿度90%における前記質量変化の値を基準として用いた。
本発明のセルロースアシレートフィルムの透湿度は、100〜400g/(m・day)が好ましく、120〜350g/(m・day)がより好ましく、150〜300g/(m・day)がさらに好ましい。
また、フィルムを60℃・相対湿度95%で1000時間保持したときの保持前後の透湿度を前述の方法に従って測定し、保持後の透湿度から保持前の透湿度を引いた値を「60℃・相対湿度95%で1000時間保持した後の透湿度変化」とした。本発明のセルロースアシレートフィルムの60℃・相対湿度95%で保持した後の透湿度変化は−100g/(m・day)〜10g/(m・day)であり、−50〜5g/(m・day)が好ましく、−20〜0g/(m・day)がより好ましい。
さらに、透湿度は、膜厚の上昇に伴い低下し、膜厚の低下に伴い上昇するため、まず実測した透湿度に実測した膜厚を乗じ、それを80で割った値を本発明では「膜厚80μm換算の透湿度」とした。本発明のセルロースアシレートフィルムの膜厚80μm換算の透湿度は、100〜420g/(m・day)が好ましく、150〜400g/(m・day)がより好ましく、180〜350g/(m・day)がさらに好ましい。
このような透湿度に関する条件を満たすセルロースアシレートフィルムを使用すれば、湿度もしくは湿熱に対する耐久性に優れた偏光板や、信頼性の高い液晶表示装置を提供することができる。
[セルロースアシレート]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、主成分としてのポリマーがセルロースアシレートである。ここで、「主成分としてのポリマー」とは、単一のポリマーからなる場合には、そのポリマーのことを示し、複数のポリマーからなる場合には、構成するポリマーのうち、最も質量分率の高いポリマーのことを示す。
本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する際に用いるセルロースアシレートとしては、粉末や粒子状のものを使用することができ、また、ペレット化したものも用いることができる。また、セルロースアシレートの含水率は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.7質量%以下であることがさらに好ましく、0.5質量%以下であることが最も好ましい。また、含水率は場合により0.2質量%以下であることが好ましい。セルロースアシレートの含水率が好ましい範囲内にない場合には、加熱などにより乾燥してから使用することが好ましい。これらのポリマーは単独で用いてもよいし、2種類以上のポリマーを併用してもよい。
前記セルロースアシレートとしては、セルロースアシレート化合物、および、セルロースを原料として生物的或いは化学的に官能基を導入して得られるアシル置換セルロース骨格を有する化合物が挙げられる。
前記セルロースアシレートは、セルロースとカルボン酸とのエステルである。前記エステルを構成するカルボン酸としては、炭素原子数が2〜22の脂肪酸がさらに好ましく、炭素原子数が2〜4の低級脂肪酸が最も好ましい。
前記セルロースアシレートは、セルロースを構成するグルコース単位の2位、3位および6位に存在するヒドロキシル基の水素原子の全部または一部が、アシル基で置換されている。前記アシル基の例としては、例えば、アセテル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ビバロイル基、へブタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、シクロヘキサンカルポニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルポニル基、および、シンナモイル基が挙げられる。前記アシル基としては、アセテル基、プロピオニル基、ブチリル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、ビバロイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルポニル基、シンナモイル基が好ましく、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基が最も好ましい。
セルロースアシレートは、複数のアシル基で置換されていてもよく、具体的には、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートプチレート、セルロースアセテートプチレートプロピオネート、セルロースプチレートプロピオネート等が挙げられる。
本発明のセルロースアシレートフィルムを構成するセルロースアシレートとしては、酢酸とのエステルを有するセルロースアセテートが特に好ましく、溶媒への溶解性の観点から、アセチル置換度が2.70〜2.87のセルロースアセテートがより好ましく、2・80〜2・86のセルロースアセテートが最も好ましい。ここでいう置換度とは、セルロースを構成するグルコース単位の2位、3位および6位に存在するヒドロキシル基の水素原子が置換されている程度を表すもので、2位、3位および6位に存在するヒドロキシル基の水素原子が置換されている場合の置換度は3である。
セルロースアシレートの合成方法について、基本的な原理は、右田仲彦他、木材化学180〜190頁(共立出版、1968年)に記載されている。セルロースアシレートの代表的な合成方法としては、カルボン酸無水物−カルボン酸−硫酸触媒による液相アシル化法が挙げられる。具体的には、まず、綿花リンタや木材パルプ等のセルロース原料を適当量の酢酸などのカルボン酸で前処理した後、予め冷却したアシル化混液に投入してエステル化し、完全セルロースアシレート(2位、3位および6位のアシル置換度の合計が、はば3.00)を合成する。前記アシル化混液は、一般に溶媒としてのカルボン酸、エステル化剤としてのカルボン酸無水物および触媒としての硫酸を含む。また、前記カルボン酸無水物は、これと反応するセルロースおよび系内に存在する水分の合計よりも、化学量論的に過剰量で使用することが普通である。
次いで、アシル化反応終了後に、系内に残存している過剰カルボン酸無水物の加水分解を行うために、水または含水酢酸を添加する。さらに、エステル化触媒を一部中和するために、中和剤(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウムまたは亜鉛の炭酸塩、酢酸塩、水酸化物または酸化物)を含む水溶液を添加してもよい。さらに、得られた完全セルロースアシレートを少量のアシル化反応触媒(一般には、残存する硫酸)の存在下で、20〜90℃に保つことにより鹸化熱成し、所望のアシル置換度および重合度を有するセルロースアシレートまで変化させる。所望のセルロースアシレートが得られた時点で、系内に残存している触媒を前記中和剤などを用いて完全に中和するか、或いは、前記触媒を中和することなく水若しくは希酢酸中にセルロースアシレート溶液を投入(或いは、セルロースアシレート溶液中に、水または希酢酸を投入)してセルロースアシレートを分離し、洗浄および安定化処理により目的物であるセルロースアシレートを得ることができる。
前記セルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で150〜500が好ましく、200〜400がより好ましく、220〜350がさらに好ましい。前記粘度平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)の記載に従って測定することができる。前記粘度平均重合度の測定方法については、特開平9−95538号公報にも記載がある。
また、低分子成分が少ないセルロースアシレートは、平均分子量(重合度)が高いが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低い値になる。このような低分子成分の少ないセルロースアシレートは、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより行うことができる。また、低分子成分の少ないセルロースアシレートを合成により得ることもできる。低分子成分の少ないセルロースアシレートを合成する場合、アシル化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。前記硫酸触媒の量を前記範囲にすると、分子量分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。セルロースエステルの原料綿や合成方法については、発明協会公開技報(公技番号2001−1745号、2001年3月15日発行、発明協会)7〜12頁にも記載がある。
《セルロースアシレートフィルムの作製》
本発明のセルロースアシレートフィルムは、セルロースアシレートや各種添加剤を含有する溶液から溶液流延製膜方法によって作製することができる。溶液流延製膜方法については、以下に詳細に説明する。
また、本発明のセルロースアシレートの融点、もしくはセルロースアシレートと各種添加剤との混合物の融点が、これらの分解温度よりも低くかつ延伸温度よりも高い場合には、溶融製膜法によって製膜することで作製することもできる。溶融製膜法については、特開2000−352620号公報などに記載がある。
[セルロースアシレート溶液]
(溶媒)
本発明のセルロースアシレートフィルムを溶液流延製膜方法で作製する場合、セルロースアシレート溶液を調製する。このとき用いられるセルロースアシレート溶液用の主溶媒としては、該セルロースアシレートの良溶媒である有機溶媒を好ましく用いることができる。このような有機溶媒としては、沸点が80℃以下の有機溶媒が乾燥負荷低減の観点からより好ましい。前記有機溶媒の沸点は、10〜80℃であることがさらに好ましく、20〜60℃であることが特に好ましい。また、場合により沸点が30〜45℃である有機溶媒も前記主溶媒として好適に用いることができる。
このような主溶媒としては、ハロゲン化炭化水素、エステル、ケトン、エーテル、アルコールおよび炭化水素などが挙げられ、これらは分岐構造若しくは環状構造を有していてもよい。また、前記主溶媒は、エステル、ケトン、エーテルおよびアルコールの官能基(即ち、−O−、−CO−、−COO−、−OH)のいずれかを二つ以上有していてもよい。さらに、前記エステル、ケトン、エーテルおよびアルコールの炭化水素部分における水素原子は、ハロゲン原子(特に、フッ素原子)で置換されていてもよい。なお、本発明のセルロースアシレートフィルムの作製に用いられるセルロースアシレートの主溶媒とは、単一の溶媒からなる場合には、その溶媒のことを示し、複数の溶媒からなる場合には、構成する溶媒のうち、最も質量分率の高い溶媒のことを示す。
前記ハロゲン化炭化水素としては、塩素化炭化水素がより好ましく、例えば、ジクロロメタンおよびクロロホルムなどが挙げられ、ジクロロメタンがさらに好ましい。前記エステルとしては、例えば、メチルホルメート、エチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートなどが挙げられる。前記ケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。前記エーテルとしては、例えば、ジエチルエーテル、メチル−tert−プチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどが挙げられる。前記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどが挙げられる。前記炭化水素としては、例えば、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。
これら主溶媒と併用される有機溶媒としては、ハロゲン化炭化水素、エステル、ケトン、エーテル、アルコールおよび炭化水素などが挙げられ、これらは分岐構造若しくは環状構造を有していてもよい。また、前記有機溶媒としては、エステル、ケトン、エーテルおよびアルコールの官能基(即ち、−〇−、−CO−、−COO−、−OH)のいずれか二つ以上を有していてもよい。さらに、前記エステル、ケトン、エーテルおよびアルコールの炭化水素部分における水素原子は、ハロゲン原子(特に、フッ素原子)で置換されていてもよい。
前記ハロゲン化炭化水素としては、塩素化炭化水素がより好ましく、例えば、ジクロロメタンおよびクロロホルムなどが挙げられ、ジクロロメタンがさらに好ましい。前記エステルとしては、例えば、メチルホルメート、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、ペンチルアセテートなどが挙げられる。前記ケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソプチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンなどが挙げられる。前記エーテルとしては、例えば、ジエチルエーテル、メチルーtert−プチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アニソール、フェネトールなどが挙げられる。
前記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、シクロヘキサノール、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロー1−プロパノールなどが挙げられる。前記炭化水素としては、例えば、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。前記2種類以上の官能基を有する有機溶媒としては、例えば、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、メチルアセトアセテートなどが挙げられる。
本発明のセルロースアシレートフィルムでは、全溶媒中に好ましくは5〜30質量%、より好ましくは7〜25質量%、さらに好ましくは10〜20質量%のアルコールを含有することがバンドからの剥離荷重低減の観点から望ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムの作製に用いられるセルロースアシレート溶液の溶媒として好ましく用いられる有機溶媒の組み合せの例を以下に挙げるが、本発明で採用することができる組み合わせはこれらに限定されるものではない。なお、比率の数値は、質量部を意味する。
(1)ジクロロメタン/メタノール/エタノール/ブタノール=80/10/5/5
(2)ジクロロメタン/メタノール/エタノール/ブタノール=80/5/5/10
(3)ジクロロメタン/イソプチルアルコール=90/10
(4)ジクロロメタン/アセトン/メタノール/プロパノール=80/5/5/10
(5)ジクロロメタン/メタノール/ブタノール/シクロヘキサン=80/8/10/2
(6)ジクロロメタン/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール=80/10/5/5
(7)ジクロロメタン/ブタノール=90/10
(8)ジクロロメタン/アセトン/メチルエチルケトン/エタノール/ブタノール=68/10/10/7/5
(9)ジクロロメタン/シクロペンタノン/メタノール/ペンタノール=80/2/15/3
(10)ジクロロメタン/メチルアセテート/エタノール/ブタノール=70/12/15/3
(11)ジクロロメタン/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール=80/5/5/10
(12)ジクロロメタン/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/ペンタノール=50/20/15/5/10
(13)ジクロロメタン/1,3−ジオキソラン/メタノール/ブタノール=70/15/5/10
(14)ジクロロメタン/ジオキサン/アセトン/メタノール/ブタノール=75/5/10/5/5
(15)ジクロロメタン/アセトン/シクロペンタノン/エタノール/イソプチルアルコール/シクロヘキサン=60/18/3/10/7/2
(16)ジクロロメタン/メチルエチルケトン/アセトン/イソプチルアルコール=70/10/10/10
(17)ジクロロメタン/アセトン/エチルアセテート/ブタノール/ヘキサン=69/10/10/10/1
(18)ジクロロメタン/メチルアセテート/メタノール/イソプチルアルコール=65/15/10/10
(19)ジクロロメタン/シクロペンタノン/エタノール/ブタノール=85/7/3/5
(20)ジクロロメタン/メタノール/ブタノール=83/15/2
(21)ジクロロメタン=100
(22)アセトン/エタノール/ブタノール=80/15/5
(23)メチルアセテート/アセトン/メタノール/ブタノール=75/10/10/5
(24)1,3−ジオキソラン=100
また、非ハロゲン系有機溶媒を主溶媒とした場合の詳細については発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)に記載があり、適宜、本発明において適用することができる。
(溶液濃度)
調製する前記セルロースアシレート溶液中のセルロースアシレート濃度は、5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がさらに好ましく、15〜30質量%が最も好ましい。前記セルロースアシレート濃度は、セルロースアシレートを溶媒に溶解する段階で所定の濃度になるように調整することができる。また予め低濃度(例えば4〜14質量%)の溶液を調製した後に、溶媒を蒸発させる等によって濃縮してもよい。さらに、予め高濃度の溶液を調製後に、希釈してもよい。また、添加剤を添加することで、セルロースアシレートの濃度を低下させることもできる。
(添加剤)
本発明のセルロースアシレートフィルムの作製に用いられる前記セルロースアシレート溶液は、各調製工程において用途に応じた各種の液体または固体の添加剤を含むことができる。前記添加剤の例としては、可塑剤(好ましい添加量はセルロースアシレートに対して0.01〜10質量%、以下同様)、紫外線吸収剤(0.001〜1質量%)、平均粒子サイズが5〜3000nmである微粒子粉体(0.001〜1質量%)、フッ素系界面活性剤(0.001〜1質量%)、剥離剤(0.0001〜1質量%)、劣化防止剤(0.0001〜1質量%)、光学見方性制御剤(0.01〜10質量%)、赤外線吸収剤(0.001〜1質量%)が含まれる。
前記可塑剤や前記光学異方性制御剤は、分子量3000以下の有機化合物であり、好ましくは疎水部と親水部とを併せ持つ化合物である。これらの化合物は、セルロースアシレート鎖間で配向することにより、レターデーション値を変化させる。さらに、これらの化合物は、フィルムの疎水性を向上させ、レターデーションの湿度変化を低減させることができる。また、前記紫外線吸収剤や前記赤外線吸収剤を併用することで、効果的にレターデーションの波長依存性を制御することもできる。本発明のセルロースアシレートフィルムに用いられる添加剤は、いずれも乾燥過程での揮散が実質的にないものが好ましい。
レターデーションの湿度変化低減を図る観点からは、これらの添加剤の添加量は多いほうが好ましいが、添加量の増大に伴い、セルロースアシレートフィルムのガラス転移温度(Tg)低下や、フィルムの製造工程における添加剤の揮散問題を引き起こしやすくなる。従って、本発明においてより好ましく用いられるセルロースアセテートを用いる場合、前記分子量3000以下の添加剤の添加量は、前記セルロースアシレートに対し0・01〜30質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましく、5〜20質量%がさらに好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムに好適に用いることのできる可塑剤については、特開2001−151901号公報に記載がある。また、赤外吸収剤については、特開平2001−194522号公報に記載がある。添加剤を添加する時期は、添加剤の種類に応じて適宜決定することができる。また、前記添加剤については、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)16頁〜22頁にも記載がある。
(セルロースアシレート溶液の調製)
前記セルロースアシレート溶液の調製は、例えば、特開2005−104148号公報の106〜120頁に記載されている調製方法に準じて行うことができる。具体的には、セルロースアシレートと溶媒とを混合撹拝し膨潤させ、場合により冷却や加熱等を実施して溶解させた後、これをろ過してセルロースアシレート溶液を得ることができる。
[流延、乾燥]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、従来の溶液流延製膜方法に従い、従来の溶液流延製膜装置を用いて製造できる。具体的には、溶解機(釜)で調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を、ろ過後、貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製することができる。ドープは30℃に保温し、ドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流建部の金属支持体の上に均一に流延する(流延工程)。次いで、金属支持体がはば一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離し、続いて乾燥ゾーンへ搬送し、ロール群で搬送しながら乾燥を終了する。本発明においては、金属支持体として金属バンドまたは金属ベルトを使用することができる。
上記、流延工程、乾燥工程の詳細については、特開2005−104148号公報の120〜146頁にも記載があり、適宜本発明にも適用することができる。
乾燥の終了したフィルム中の残留溶剤量は0〜2質量%が好ましく、より好ましくは0〜1質量%である。乾燥終了後、フィルムはそのまま熱処理ゾーンへ搬送してもよいし、フィルムを巻き取ってからオフラインで熱処理を実施してもよい。熱処理前のセルロースアシレートフィルムの好ましい幅は0.5〜5mであり、より好ましくは0.7〜3mである。また、一旦フィルムを巻き取る場合には、好ましい巻長は300〜30000mであり、より好ましくは500〜10000mであり、さらに好ましくは1000〜7000mである。
[延伸、熱処理]
次に上記で得られたセルロースアシレートフィルムを長手方向に縦延伸し、熱処理により幅方向に収縮させる方法について説明する。
図1は延伸・熱処理装置の構成を模式的に示している。同図に示すように、延伸・熱処理装置10は帯状のフィルム12を加熱する予熱部14と、加熱されたフィルム12を縦方向(長手方向)に延伸する縦延伸部16と、延伸されたフィルム12を幅方向に熱収縮させる熱処理部18とによって構成される。
予熱部14は、その表面の温度が調節可能なローラ20、20を備え、このローラ20、20にフィルム12を巻き掛けることによって、フィルム12が予熱(加熱)される。予熱されたフィルム12は縦延伸部16に搬送される。
縦延伸部16は、一対の低速ローラ22、22と一対の高速ローラ24、24とを備え、これらのローラ22、22及び24、24によってフィルム12が挟持されて搬送される。その際、低速ローラ22と高速ローラ24の速度差によって、フィルム12は縦方向(長手方向)に引き延ばされて縦延伸される。
低速ローラ22と高速ローラ24との間には、非接触式の加熱装置(不図示)が設けられており、この加熱装置によって延伸時のフィルム12が加熱される。加熱装置の構成は特に限定するものではないが、たとえば熱風の吹きつけ、遠赤外線ヒータ、集光式ヒータなどの近赤外線ヒータなどを用いることができる。また、加熱装置は、フィルム12の温度が(Tg−10℃)以上(Tg+50℃)以下となるように温度を制御する。
低速ローラ22と高速ローラ24の距離Lは、100m以上500m以下であることが好ましい。距離Lが上記の範囲よりも小さい場合には加熱装置を置くスペースが確保できず、距離Lが上記の範囲よりも大きい場合には、フィルム12の幅方向の端部だけが縮むなどによって、フィルム12の幅方向に光学特性の分布が発生するという問題がある。
上記の如く構成された縦延伸部16によって、フィルム12は縦方向(長手方向)に延伸される。この延伸は、縦延伸倍率が1倍を超えて2.0倍以下であることが好ましい。このような範囲で縦延伸することによって、後述の熱処理を行った際に、面内位相差Reが100nm≦Re≦400nmで、且つ、厚み方向位相差(Rth)/面内位相差(Re)が0.5以下の位相差フィルムを製造することができる。縦延伸部16で縦延伸されたフィルム12は熱処理部18に送られる。
熱処理部18には、不図示の加熱炉が設けられ、フィルム12の温度Tが(Tc−10℃)≦T≦(Tc+50℃)になるように制御される。ここでTcは結晶化温度であり、フィルム12の温度Tを上記の範囲に制御することによって、フィルム12が結晶化して幅方向に熱収縮される。
図2は、熱処理部18を成す熱処理装置の構成を示す平面図である。同図に示すように、熱処理装置は、一対の無端状のチェーン32、32を備え、このチェーン32、32がフィルム12の幅方向の両側に配設される。また、チェーン32はそれぞれ、二つのスプロケット34、35に巻きかけられており、スプロケット34、35の一方を不図示の駆動装置で回転させることによって、チェーン32が周回走行される。
一対のチェーン32にはそれぞれ、複数のクリップ36、36…が所定のピッチで取り付けられている。クリップ36は、フィルム12の幅方向の端部を把持する部材であり、チェーン32とともにスプロケット34、35間を周回するように移動される。スプロケット34、35間には、ガイドレール38が設けられており、このガイドレール38によって、スプロケット34、35間を移動するクリップ36がガイドされる。
ガイドレール38はフィルム12の幅方向の両側に設けられており、ガイドレール38、38同士の間隔はフィルム12の搬送方向の上流側から下流側にかけて変化するように構成される。具体的には、フィルム12の搬送方向の上流側から下流側にかけて、ガイドレール38、38の間隔が略一定で(或いは若干拡がるように)形成された幅広の部分(以下、加熱部)αと、徐々に小さくなるように形成された部分(以下、収縮部)βと、略一定の狭い幅で形成された部分(以下、保持部)γとを有するように構成される。これにより、フィルム12の搬送方向の上流側から下流側にかけて、ガイドレール38、38の間隔が狭くなり、フィルム12の両端部を把持したクリップ36、36同士の間隔が狭くなる。
図3は、クリップ36を示す斜視図であり、図4はその断面図である。これらの図に示すように、クリップ36は主として、本体40と台座42で構成されている。台座42には、チェーン32が取り付けられる取付部32Aと、ガイドレール38にガイドされるガイド部32Bとが形成されており、ガイド部32Bがガイドレール38に係合されることによって、台座42がガイドレール38に沿って移動される。
本体40には、フラッパ44が回動自在に軸着されている。フラッパ44は、その下端に押さえ部44Aを有し、この押さえ部44Aと本体40との間でフィルム12の端部を挟み込んで把持できるようになっている。また、フラッパ44の上端には駆動レバー44Bが形成されており、この駆動レバー44Bが不図示のガイドによって横方向に押圧されることによってフラッパ44が揺動される。前記ガイドは、スプロケット34、34の位置に設けられており、この位置においてフラッパ44が揺動され、押さえ部44Aによるフィルム12の把持と、その把持状態の解除とが切り替えられる。具体的には、フィルム12の搬送方向の上流側に設けられたスプロケット34の位置で、クリップ36がフィルム12の端部を把持し、その把持状態のまま下流側のスプロケット35の位置までクリップ36が搬送され、この下流側のスプロケット35の位置でクリップ36がフィルム12の把持を解除するようになっている。これにより、フィルム12は、その両端部が上流側のスプロケット34の位置で把持され、下流側のスプロケット35の位置で把持が解除される。
ところで、図2の収縮部βでは、フィルム12が幅方向に収縮する際、フィルム12の端部をクリップ36が把持することによって、「フィルム12が弛むことを防止し、且つ、フィルム12の端部が外側に過剰に引っ張らない」ように構成されている。具体的には、「フィルム12が幅方向に弛まず、且つ、フィルム12が外側に過剰に引っ張られない」ようなクリップ36の軌道を試験等によって予め求め、この軌道でクリップ36が走行するようにガイドレール38が配設されている。
なお、「フィルム12が幅方向に弛まず、且つ、フィルム12が外側に過剰に引っ張られない」状態は、フィルム12の幅方向の中央部の高さ位置を光センサ等で検出することによって求めることができる。すなわち、フィルム12が弛んだ際の中央部の高さ位置と、フィルム12がクリップ36で外側に過剰に引っ張られた際の中央部の高さ位置とを求めておき、中央部の高さ位置がその中間に入るようにクリップ26の軌道を設定する。
上記の如く構成された熱処理部18によれば、フィルム12は結晶化温度付近まで加熱されることによって、結晶化しながら幅方向に熱収縮される。その際、クリップ36がフィルム12の幅方向の端部を把持しているので、フィルム12の端部が自由端の如く振る舞うことを防止することができる。これにより、従来のようにフィルム12が波板状に変形したり、光学特性のムラが発生したりすることを防止できる。また、本実施の形態では、フィルム12がクリップ36によって外側に過剰に引っ張らないようにしているので、フィルム12は結晶化によって自然に熱収縮される。したがって、外側に引っ張られた場合のように光学特性のムラが生じることを防止することができる。
なお、上述した実施形態は、収縮部βにおけるガイドレール38、38の幅を予め適切な値に設定することによって、「フィルム12が弛まず、且つ、外側に過剰に引っ張られない」ようにしたが、その方法は上記に限定されるものではない。たとえば、図5に示すように、本体40と台座42とをレール46を介して取り付けることによって、本体40を台座42に対してフィルム12の幅方向にスライド自在に支持するようにしてもよい。これにより、収縮部βにおいて、フィルム12が熱収縮する際に本体40がフィルム12に引っ張られて移動するので、クリップ36がフィルム12を引っ張り過ぎることを防止することができる。また、本体40と台座42との間に所定の摩擦が働くように設定することによって、フィルム12の端部が自由端の如く振る舞うことをクリップ36によって防止することができ、フィルム12に皺や光学特性のムラが発生することを防止することができる。
また、図6に示すように熱処理部18を構成してもよい。図6の熱処理部18は、ガイドレール48、48が加熱部αと保持部γに別れて配置され、収縮部βにガイドレールのない構成になっている。したがって、クリップ36は、収縮部βにおいて幅方向に自由に移動することができ、クリップ36がフィルム12を外側に過剰に引っ張ることを防止できる。また、クリップ36はチェーン32に支持されているので、フィルム12の端部が自由端のように振る舞うことをクリップ36によって防止することができる。
以上説明した延伸・熱処理装置10によって、Reが100nm≦Re≦400nmで、且つ、Rth/Reが0.5以下のセルロースアシレートフィルム12が製造される。この延伸・熱処理装置10では、熱処理部18においてクリップ36がフィルム12の両端部を把持しているので、セルロースアシレートフィルム12に波板状の皺や光学特性のムラが発生することを防止することができ、高品質のセルロースアシレートフィルム12を製造することができる。
なお、上述した熱処理部18において、熱収縮を行った後に再度、幅方向の延伸を行うようにしてもよい。すなわち、上述したガイドレール38、38の間隔を、保持部γの下流側で拡げることによって、フィルム12の端部を把持したクリップ36、36の間隔を拡げてフィルム12を幅方向に拡げるようにしてもよい。この場合、横方向の延伸倍率は、1.05〜1.3倍とすることが好ましく、これによってセルロースアシレートフィルム12にボーイングが発生することを防止することができる。また、再延伸時の温度を(Tc−10℃)以上(Tc+50℃)以下に制御することによって、セルロースアシレートフィルム12の厚み方向位相差RTh/面内位相差Reが0.5よりも大きくなることを防止することができる。
上記のセルロースアシレートフィルム(以下、符号は省略)は単層構造であることが好ましい。ここで、「単層構造」のフィルムとは、複数のフィルム材が貼り合わされていたり、表面に塗布層があったりするものではなく、一枚のセルロースアシレートフィルムを意味する。そして、複数のセルロースアシレート溶液から、逐次流延方式や共流延方式を用いて一枚のセルロースアシレートフィルムを製造する場合も含む。この場合、添加剤の種類や配合量、セルロースアシレートの分子量分布やセルロースアシレートの種類等を適宜調整することによって厚み方向に分布を有するようなセルロースアシレートフィルムを得ることができる。また、それらの一枚のフィルム中に光学異方性部、防眩部、ガスバリア部、耐湿性部などの各種機能性部を有するものも含む。
[表面処理]
本発明のセルロースアシレートフィルムには、適宜、表面処理を行うことにより、各機能層(例えば、下塗層、バック層、光学異方性層)との接着を改善することが可能となる。前記表面処理には、グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、鹸化処理(酸鹸化処理、アルカリ鹸化処理)が含まれ、特にグロー放電処理およびアルカリ鹸化処理が好ましい。ここでいう「グロー放電処理」とは、プラズマ励起性気体存在下でフィルム表面にプラズマ処理を施す処理である。これらの表面処理方法の詳細は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)に記載があり、適宜、使用することができる。
フィルム表面と機能層との接着性を改善するため、表面処理に加えて、或いは表面処理に代えて、本発明のセルロースアシレートフィルム上に下塗層(接着層)を設けることもできる。前記下塗層については、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)32頁に記載があり、これらを適宜、使用することができる。また、本発明のセルロースアシレートフィルム上に設けられる機能性層については、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)32頁〜45頁に記載があり、これに記載のものを適宜、使用することができる。
《光学補償フィルム》
本発明のセルロースアシレートフィルムは、光学補償フィルムとして用いることもできる。なお、「光学補償フィルム」とは、一般に液晶表示装置等の表示装置に用いられ、光学異方性を有する光学材料のことを意味し、位相差フィルム、位相差板、光学補償フィルム、光学補償シートなどと同義である。液晶表示装置において、光学補償フィルムは表示画面のコントラストを向上させたり、視野角特性や色味を改善したりする目的で用いられる。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、そのまま光学補償フィルムとして用いることもできる。また、本発明のセルロースアシレートフィルムを複数枚積層したり、本発明のセルロースアシレートフィルムと本発明外のフィルムとを積層したりしてReやRthを適宜調整して光学補償フィルムとして用いることもできる。フィルムの積層は、粘着剤や接着剤を用いて実施することができる。
また、場合により、本発明のセルロースアシレートフィルムを光学補償フィルムの支持体として用い、その上に液晶等からなる光学異方性層を設けて光学補償フィルムとして使用することもできる。本発明の光学補償フィルムに適用される光学見方性層は、例えば、液晶性化合物を含有する組成物から形成してもよいし、複屈折を持つセルロースアシレートフィルムから形成してもよい。
前記液晶性化合物としては、ディスコティック液晶性化合物または棒状液晶性化合物が好ましい。
[ディスコティック液晶性化合物]
本発明において前記液晶性化合物として使用可能なディスコティック液晶性化合物の例には、様々な文献(例えば、C.Destradeetal.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,VOl.71,pagelll(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page1794(1985);J.Zhang etal.,J.Am.Chetn.Soc.,VOl.116,page2655(1994))に記載の化合物が含まれる。
前記光学異方性層において、ディスコティック液晶性分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。また、ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。ディスコティック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。重合性基を有するディスコティック液晶性分子については、特開2001−4387号公報に開示されている。
[棒状液晶性化合物]
本発明において前記液晶性化合物として使用可能な棒状液晶性化合物の例には、アゾメテン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルビリミジン類、アルコキシ置換フェニルビリミジン類、フエニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロへキシルベンゾニトリル類が含まれる。また、前記棒状液晶性化合物としては、以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。
前記光学異方性層において、棒状液晶性分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。本発明に使用可能な重合性棒状液晶性化合物の例は、例えば、Makrotnol.Chem..190巻、2255頁(1989年)、AdvancedMaterials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4,683,327∵号明細書、同5,622,648号明細書、同5,770,107号明細書、国際公開第95/22586号パンフレット、同95/24455号パンフレット、同97/00600号パンフレット、同98/23580号パンフレット、同98/52905号パンフレット、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、および特開2001−328973号公報等に記載の化合物が含まれる。
(ポリマーフィルムからなる光学異方性層)
前記光学異方性層は、ポリマーフィルムから形成してもよい。前記ポリマーフィルムは、光学異方性を発現し得るポリマーから形成することができる。前記光学異方性を発現し得るポリマーの例には、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルポルネン系ポリマー)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル、および、セルロースエステル(例、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート)が含まれる。また、前記ポリマーとしては、これらポリマーの共重合体若しくはポリマー混合物を用いてもよい。
《偏光板》
本発明のセルロースアシレートフィルムまたは光学補償フィルムは、偏光板(本発明の偏光板)の保護フィルムとして用いることができる。本発明の偏光板は、偏光膜とその両面を保護する二枚の偏光板保護フィルム(セルロースアシレートフィルム)からなり、本発明のセルロースアシレートフィルムまたは光学補償フィルムは少なくとも一方の偏光板保護フィルムとして用いることができる。また、本発明のセルロースアシレートフィルムは、接着剤を用いて偏光膜とロールツーロールで貼合することができる。
本発明のセルロースアシレートフィルムを前記偏光板保護フィルムとして用いる場合、本発明のセルロースアシレートフィルムには前記表面処理(特開平6−94915号公報、同6−118232号公報にも記載)を施して親水化しておくことが好ましく、例えば、グロー放電処理、コロナ放電処理、または、アルカリ鹸化処理などを施すことが好ましく、特に、前記表面処理としてはアルカリ鹸化処理が最も好ましく用いられる。
また、前記偏光膜としては、例えば、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬して延伸したもの等を用いることができる。ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬して延伸した偏光膜を用いる場合、接着剤を用いて偏光膜の両面に本発明のセルロースアシレートフィルムの表面処理面を直接貼り合わせることができる。本発明の製造方法においては、このように前記セルロースアシレートフィルムが偏光膜と直接貼合されていることが好ましい。前記接着剤としては、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアセタール(例、ポリビニルブチラール)の水溶液や、ビニル系ポリマー(例、ポリプチルアクリレート)のラテックスを用いることができる。特に好ましい接着剤は、完全鹸化ポリビニルアルコールの水溶液である。
一般に液晶表示装置は二枚の偏光板の間に液晶セルが設けられるため、4枚の偏光板保護フィルムを有する。本発明のセルロースアシレートフィルムは、4枚の偏光板保護フィルムのいずれにも好適に用いることができる。中でも、本発明のセルロースアシレートフィルムを液晶表示装置における偏光膜と液晶層(液晶セル)との間に配置されない外側の保護フィルムとして用いることが特に好ましく、この場合、透明ハードコート層、防眩層、反射防止層などを設けることができる。
《液晶表示装置》
本発明のセルロースアシレートフィルム、光学補償フィルムおよび偏光板は、様々な表示モードの液晶表示装置に用いることができる。本発明のセルロースアシレートフィルムおよび光学補償フィルムは透湿度が低く、この透湿度は湿熱下にさらされても上昇しないため、これを用いた偏光板では、長期に渡って偏光度の低下を抑制することができる。したがって、信頼性の高い液晶表示装置を提供することができる。
以下にこれらのフィルムが用いられる各液晶モードについて説明する。これらの液晶表示装置は、透過型、反射型および半透過型のいずれでもよい。
(TN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体として用いることができる。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置とについては、古くからよく知られている。TN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開平3−9325号、特開平6−148429号、特開平8−50206号および特開平9−26572号の各公報の他、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys.Vol.36(1997)p.143や、Jpn.J.Appl.Phys.Vol.36(1997)p.1068)に記載がある。
(STN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体として用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性分子が90〜360度の範囲にねじられており、棒状液晶性分子の屈折率其方性(△n)とセルギャップ(d)との積(△nd)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開2000−105316号公報に記載がある。
(VA型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償フィルムや光学補償フィルムの支持体として用いることができる。VA型液晶表示装置は、例えば特開平10−123576号公報に記載されているような配向分割された方式であっても構わない。
(IPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、IPSモードおよびECBモードの液晶セルを有するIPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置の光学補償フィルムや光学補償フィルムの支持体、または偏光板の保護フィルムとして特に有利に用いられる。これらのモードは黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、電圧無印加状態で液晶分子を基板面に対して平行配向させて、黒表示する。
(OCB型液晶表示装置およびHAN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置或いはHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体としても有利に用いられる。OCB型液晶表示装置或いはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムには、レターデーションの絶対値が最小となる方向が光学補償フィルムの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。OCB型液晶表示装置或いはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムの光学的性質も、光学的其方性層の光学的性質、支持体の光学的性質および光学的異方性層と支持体との配置により決定される。OCB型液晶表示装置或いはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開平9−197397号公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys.Vol.38(1999)p.2837)に記載がある。
(反射型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest−Host)型の反射型液晶表示装置の光学補償フィルムとしても有利に用いられる。
これらの表示モードは古くからよく知られている。TN型反射型液晶表示装置については、特開平10−123478号、国際公開第98/48320号パンフレット、特許第3022477号公報に記載がある。反射型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、国際公開第00/65384号パンフレットに記載がある。
(その他の液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは・ASM(AxiallySynmetricAlignedMicrocell)モードの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体としても有利に用いられる。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スぺ−サーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置とについては、クメ(Kume)他の論文(Kume et al.,SID98DigestlO89(1998))に記載がある。
《ハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルム》
本発明のセルロースアシレートフィルムは、場合により、ハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルムへ適用してもよい。LCD、PDP、CRT、EL等のフラットパネルディスプレイの視認性を向上する目的で、本発明のセルロースアシレートフィルムの片面または両面にハードコート層、防眩層、反射防止層の何れか或いは全てを付与することができる。このような防眩フィルム、反射防止フィルムとしての望ましい実施態様は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)54頁〜57頁に詳細に記載されており、本発明のセルロースアシレートフィルムにおいても好ましく用いることができる。
延伸前フィルムとして、富士フイルム(株)製フジタックフィルム(厚み80μm、Tg140℃、Tc195℃)を使用した。この延伸前フィルムを図7の表に示す縦延伸条件及び熱処理条件にて、縦延伸処理と熱処理行い、フィルム製品を得た。そして、得られたフィルム製品の品質を、Re、Rth/Re、面状、ボーイングで評価した。その結果を図7に示す。図7の表において、面状は、◎:トタン状凹凸無し、○:弱いトタン状凹凸が有るが、実用上問題ないレベル、×:トタン状凹凸が大きく、後の工程での加工が出来ないレベルとした。また、ボーイングは、◎:幅方向での遅相軸の向きのバラツキが±0.5°以内で、位相差フィルムとして良好に用いることができる、○:幅方向での遅相軸の向きのバラツキが±1°以内で、位相差フィルムとして用いることができる、△:幅方向での遅相軸の向きのバラツキが±1°以上だが、位相差フィルムとして問題ないレベル、とした。
図7の表から分かるように、縦延伸倍率が1倍の比較例1では、Reが100nm未満になり、縦延伸倍率が2.3倍の比較例2では、縦延伸時にフィルムが破断した。一方、フィルムの幅方向端部を把持しないで熱収縮した比較例3では、面状が悪化し、ボーイングも発生した。また、熱処理時の温度をTc−10℃未満とした比較例4では、Reが100nm未満になり、Rth/Reは0.5超となった。
これに対して、本発明の請求項1の条件を全て満たした(すなわち、縦延伸の倍率が1.1〜2.0の範囲であり、縦延伸の温度が(Tg−10℃)以上(Tg+50℃)以下であり、且つ、熱処理の温度(Tc−10℃)以上(Tc+50℃)以下であり、フィルムの幅方向端部を把持した)実施例1〜5は、面状、ボーイングとも製品として問題のないレベルで、Reが100nm以上400nm以下、Rth/Reが0.5以下のフィルムを製造することができた。
また、実施例1〜5のうち、長手方向延伸ロールスパン(すなわち図1のL)が500mm超の実施例4は、製品として問題のないレベルでボーイングが若干発生した。これに対して、長手方向延伸ロールスパンを500mm以下とした実施例2、3や、再延伸処理を行った実施例5は、ボーイングを抑制することができた。さらに、長手方向延伸ロールスパンが500mm以下で、且つ、再延伸処理を行った実施例1は、ボーイングの発生が殆どみられなかった。
本発明を適用した延伸・熱処理装置の概略構成を示す図 熱処理部を示す平面図 クリップを示す斜視図 クリップを示す縦断面図 図4と異なる構造のクリップを示す縦断面図 図2と異なる構造の熱処理部を示す平面図 実施例の結果を示す表図
符号の説明
10…延伸・熱処理部、12…フィルム、14…予熱部、16…縦延伸部、18…熱処理部、32…チェーン、34…スプロケット、36…クリップ、38…ガイドレール、40…本体、42…台座

Claims (5)

  1. 帯状のセルロースアシレートフィルムを(Tg−10℃)以上(Tg+50℃)以下の温度で、長手方向に1.1倍以上2.0倍以下に縦延伸する縦延伸工程と、
    前記縦延伸工程で縦延伸されたセルロースアシレートフィルムの幅方向端部を把持した状態で、該セルロースアシレートフィルムを(Tc−10℃)以上(Tc+50℃)以下の温度に加熱することにより、前記セルロースアシレートフィルムを幅方向に収縮させる収縮工程と、
    を経て前記セルロースアシレートフィルムを製造することを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
  2. 前記延伸工程は、前記セルロースアシレートフィルムの長手方向に100mm以上500mm以下の間隔をあけて配置されるとともに、互いに周速度の異なる少なくとも二つのローラで前記セルロースアシレートフィルムを搬送することによって、前記セルロースアシレートフィルムを長手方向に延伸することを特徴とする請求項1に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
  3. 前記二つのローラ間で前記セルロースアシレートフィルムを加熱する加熱装置を備え、該加熱装置によって前記セルロースアシレートフィルムを加熱することを特徴とする請求項2に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
  4. 前記収縮工程で収縮されたセルロースアシレートフィルムを、(Tc−10℃)以上(Tc+50℃)以下の温度で、幅方向に1.05倍以上1.3倍以下に延伸することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
  5. 面内位相差Reが100nm≦Re≦400nmで、且つ、厚み方向位相差Rth/面内位相差Reが0.5以下のセルロースアシレートフィルムが製造されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載のセルロースアシレートフィルムの製造方法。
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