JP4871738B2 - 弱毒日本脳炎ウイルスの遺伝子をバックボーンとして有する弱毒キメラフラビウイルス - Google Patents
弱毒日本脳炎ウイルスの遺伝子をバックボーンとして有する弱毒キメラフラビウイルス Download PDFInfo
- Publication number
- JP4871738B2 JP4871738B2 JP2006549091A JP2006549091A JP4871738B2 JP 4871738 B2 JP4871738 B2 JP 4871738B2 JP 2006549091 A JP2006549091 A JP 2006549091A JP 2006549091 A JP2006549091 A JP 2006549091A JP 4871738 B2 JP4871738 B2 JP 4871738B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- virus
- protein
- encephalitis virus
- japanese encephalitis
- strain
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Classifications
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K39/00—Medicinal preparations containing antigens or antibodies
- A61K39/12—Viral antigens
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P31/00—Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
- A61P31/12—Antivirals
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N7/00—Viruses; Bacteriophages; Compositions thereof; Preparation or purification thereof
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K39/00—Medicinal preparations containing antigens or antibodies
- A61K2039/51—Medicinal preparations containing antigens or antibodies comprising whole cells, viruses or DNA/RNA
- A61K2039/525—Virus
- A61K2039/5254—Virus avirulent or attenuated
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N2770/00—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA ssRNA viruses positive-sense
- C12N2770/00011—Details
- C12N2770/24011—Flaviviridae
- C12N2770/24111—Flavivirus, e.g. yellow fever virus, dengue, JEV
- C12N2770/24134—Use of virus or viral component as vaccine, e.g. live-attenuated or inactivated virus, VLP, viral protein
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N2770/00—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA ssRNA viruses positive-sense
- C12N2770/00011—Details
- C12N2770/24011—Flaviviridae
- C12N2770/24111—Flavivirus, e.g. yellow fever virus, dengue, JEV
- C12N2770/24161—Methods of inactivation or attenuation
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02A—TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
- Y02A50/00—TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE in human health protection, e.g. against extreme weather
- Y02A50/30—Against vector-borne diseases, e.g. mosquito-borne, fly-borne, tick-borne or waterborne diseases whose impact is exacerbated by climate change
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Virology (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Immunology (AREA)
- Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
- Zoology (AREA)
- Wood Science & Technology (AREA)
- Microbiology (AREA)
- Genetics & Genomics (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Pharmacology & Pharmacy (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- Public Health (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- Biotechnology (AREA)
- Epidemiology (AREA)
- Biomedical Technology (AREA)
- Mycology (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Oncology (AREA)
- Communicable Diseases (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
Description
これらのフラビウイルスは、一本鎖(+)RNAのゲノムを有し、遺伝子構造は互いに類似している。フラビウイルスゲノムのオープンリーディングフレーム(ORF)は、その5’末端から3つの構造タンパク質(キャプシド(C)タンパク質、メンブラン(M)タンパク質の前駆体であるプレメンブラン(prM)タンパク質、およびエンベロープ(E)タンパク質)、続いて、7つの非構造(NS)タンパク質(NS1、NS2A、NS2B、NS3、NS4A、NS4B、およびNS5)をコードしている。
これらのフラビウイルスの構造タンパク質および非構造タンパク質は、単一のポリタンパク質として翻訳され、次いで、翻訳されたポリタンパク質は、宿主細胞およびウイルスの、プロテアーゼおよびプロテアーゼ活性を有するNS3タンパク質によってプロセシングされて、上記の3種類の構造タンパク質から構成される成熟ビリオンを形成する。
上記のフラビウイルスの多くは、蚊やダニなどの昆虫を媒介して、ヒトを含む哺乳動物や鳥類に感染し、脳炎および/または発熱症状を引き起こすことが知られている。本来、これらのフラビウイルス種の各々は、特定の地域に生息しており、それ故、感染の流行地域は限られていた。しかし、近年、交通/流通の発達や気候の変化などにより、種々のフラビウイルス感染が、原因となるフラビウイルスの本来の生息地域外にも拡大しており、公衆衛生上の重大な問題となっている。
ウイルス感染の拡大を防ぐには、ワクチンによる予防が効果的である。しかしながら、上記のように多数のフラビウイルス科に属するウイルスが認識されているにもかかわらず、フラビウイルス感染に対するワクチンとしては、黄熱ウイルスおよび日本脳炎ウイルス感染に対する弱毒生ワクチン、ならびに日本脳炎ウイルスおよびダニ媒介脳炎ウイルス感染に対する不活化ワクチンのみが実用化されているにすぎない。特に、弱毒生ワクチンは、安価でありかつ長期間の免疫を誘導するワクチンとして有用であるが、上記の他に認可されている生ワクチンはない。
このような状況において、近年、種々のフラビウイルス感染に対する新規の弱毒生ワクチンを迅速に開発する手段として、遺伝子工学的手法で作製されたキメラフラビウイルスを利用するストラテジーが注目されている。
例えば、ChimeriVaxTM−JEは、黄熱ウイルスワクチン17D株の2つの構造タンパク質(prM−E)をコードする遺伝子を、日本脳炎ウイルスワクチンSA14−14−2株の対応する遺伝子と組換えることにより作製されたキメラフラビウイルスである(例えば、国際公開第98/37911号パンフレットおよび国際公開第01/39802号パンフレットを参照)。このChimeriVaxTM−JEは、日本脳炎ウイルスワクチンSA14−14−2株のEタンパク質に対応するウイルスポリタンパク質中に複数存在する野生型からのアミノ酸変異に起因して、ワクチンとして使用できる程度に弱毒化されている(例えば、Arroyoら、J.Virol.75:934−942,2001を参照)。
さらに、このChimeriVaxTM−JEの手法を基にして、黄熱ウイルスワクチン17D株の遺伝子をバックボーンとして有する、デング(1〜4型)ウイルスとのキメラフラビウイルス(ChimeriVaxTM−DEN(1〜4))(例えば、国際公開第98/37911号パンフレットおよび国際公開第01/39802号パンフレットを参照)や、西ナイルウイルスとのキメラフラビウイルス(ChimeriVaxTM−West Nile)(例えば、国際公開第2004/045529号パンフレットを参照)も開発されている。
これらのキメラフラビウイルスもまた、ワクチンとして使用できる程度に弱毒化されており、その弱毒性は、主に、prM−Eタンパク質に対応するウイルスポリタンパク質中に存在する野生型からのアミノ酸置換に起因している。
しかし、ChimeriVaxTM−DEN1の弱毒性は、主に、ワクチン製造のためにこのキメラフラビウイルスを細胞中で継代する過程で生じるEタンパク質のアミノ酸変異に起因していることが報告されている(例えば、Guirakhooら、J.Virol.78:9998−10008,2004を参照)。さらに、デング出血熱の発生原因の1つとして、異なった血清型のデングウイルスによる再感染が想定されるため、このワクチンは実用化には至っていない。
また、ChimeriVaxTM−West Nileは、野生型の強毒西ナイルウイルスNY−99株に由来するEタンパク質中に人為的にアミノ酸変異を導入して弱毒化を促進している(例えば、国際公開第2004/045529号パンフレットを参照)。
黄熱ウイルス(YF−17D)以外の遺伝子バックボーンを用いたキメラフラビウイルスとしては、デング4型ウイルスのprM−Eタンパク質をコードする遺伝子を、西ナイルウイルスNY99株の対応する遺伝子と組換えることにより作製されたキメラフラビウイルス(WN/DEN4キメラウイルス)が報告されている(例えば、Pletnevら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:3036−3041,2002を参照)。
WN/DEN4キメラウイルスは、その親株である西ナイルウイルスおよびデング4型ウイルスと比較して弱毒化されているが、その弱毒化のメカニズムは完全には解明されておらず、またワクチンとしての実用化にも至っていない。
さらに、生ワクチンは、安全性のために弱毒化すると抗体産生能が反比例して低下するという問題が残されている。なぜならば、中和抗体を誘導するための抗原決定基は、Eタンパク質中に存在するため、上記のようなEタンパク質の改変によるウイルスの弱毒化は、ワクチンとしての免疫誘導能(抗体産生能)を低下させる可能性があるためである。
従って、本発明は、Eタンパク質以外の部分に弱毒化変異を有する弱毒キメラフラビウイルスを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ブタ用日本脳炎ウイルスワクチンML−17株が、Eタンパク質以外のprMおよびNSタンパク質中に、ML−17株に固有の複数のアミノ酸変異を有することを見出し、これらのアミノ酸変異がML−17株の弱毒性に関与しているという示唆を得た。この知見に基づいて、ML−17株に固有のアミノ酸変異の1つ以上を含む日本脳炎ウイルスの、Eタンパク質以外の構造および非構造タンパク質(すなわち、Cタンパク質、prMタンパク質、およびNSタンパク質)を有するキメラフラビウイルスを構築することを着想し、さらに検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1] 日本脳炎ウイルスのキャプシドタンパク質、プレメンブランタンパク質、および非構造タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、第2のフラビウイルスのエンベロープタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、核酸分子であって、
ここで、該日本脳炎ウイルスのプレメンブランタンパク質および/または非構造タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、ウイルスを弱毒化するアミノ酸変異を1つ以上生じるヌクレオチド変異を含む、核酸分子。
[2] 前記日本脳炎ウイルスが、ML−17株である、[1]記載の核酸分子。
[3] 前記第2のフラビウイルスが、西ナイルウイルス、デング(1〜4型)ウイルス、黄熱ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、ダニ媒介脳炎ウイルス、クンジンウイルス、中央ヨーロッパ脳炎ウイルス、キィアサヌアフォレストウイルス、マリー谷脳炎ウイルス、オムスク出血熱ウイルス、ポワサンウイルス、ロシア春夏脳炎ウイルス、ヨコセウイルス、アポイウイルス、およびアロアウイルスからなる群より選択される、[1]、または[2]記載の核酸分子。
[4] [1]〜[3]のいずれか1項記載の核酸分子によりコードされる、弱毒キメラフラビウイルス。
[5] [4]記載の弱毒キメラフラビウイルスを含む、弱毒生ワクチン。
[6] 以下の工程を包含する、[1]記載の核酸分子の作製方法:
日本脳炎ウイルスをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子中のエンベロープタンパク質をコードするヌクレオチド配列を、第2のフラビウイルスのエンベロープタンパク質をコードするヌクレオチド配列と組換える工程;および
該日本脳炎ウイルスのプレメンブランタンパク質および/または非構造タンパク質をコードするヌクレオチド配列中に、ウイルスを弱毒化するアミノ酸変異を1つ以上生じるヌクレオチド変異を導入する工程。
[7] 以下の工程を包含する、[1]記載の核酸分子の作製方法:
プレメンブランタンパク質および/または非構造タンパク質中にウイルスを弱毒化するアミノ酸変異を1つ以上含む日本脳炎ウイルスをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子中の、エンベロープタンパク質をコードするヌクレオチド配列を、第2のフラビウイルスのエンベロープタンパク質をコードするヌクレオチド配列と組換える工程。
[8] [1]〜[3]のいずれか1項記載の核酸分子から、キメラフラビウイルスタンパク質を発現させる工程を包含する、弱毒キメラフラビウイルスの作製方法。
[9] プレメンブランタンパク質および/または非構造タンパク質中にウイルスを弱毒化するアミノ酸変異を1つ以上含む日本脳炎ウイルスをコードするヌクレオチド配列を含む、核酸分子。
[10] [9]記載の核酸分子を含む、ベクター。
[11] [9]記載の核酸分子によりコードされる、弱毒日本脳炎ウイルス。
[12] 日本脳炎ウイルスをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子中のプレメンブランタンパク質および/または非構造タンパク質をコードするヌクレオチド配列中に、ウイルスを弱毒化するアミノ酸変異を1つ以上生じるヌクレオチド変異を導入する工程を包含する、[9]記載の核酸分子の作製方法。
[13] [9]記載の核酸分子から、日本脳炎ウイルスタンパク質を発現させる工程を包含する、弱毒日本脳炎ウイルスの作製方法。
本発明によって、Eタンパク質以外の部分に弱毒化変異を有する弱毒キメラフラビウイルスが提供される。本発明のキメラフラビウイルスの弱毒性は、Eタンパク質を改変せずに達成できるため、免疫誘導能を低下させることなく、種々のフラビウイルス感染に対する弱毒生ワクチンを短期間で実用化することができる。
図2は、日本脳炎ウイルスML−17株のポリタンパク質中の、親株(JaOH0566株)から変異しているアミノ酸(太字で表す)を、JaOH0566株、JaOArS982株、JaGAr01株、Nakayama株、Beijing株、SA14株、およびSA14−14−2株のポリタンパク質中の対応するアミノ酸と比較した結果を示す。アミノ酸位置を、ポリタンパク質の開始メチオニンの次のアミノ酸から数えた番号で表す。*は、その位置のアミノ酸がML−17株と同一であることを表す。
図3は、組換え日本脳炎ウイルスMS−14株およびMS−15株の完全長cDNAのLong−PCR法による作製方法の概略を示す。
図4は、ML−17/WN(E gene)キメラフラビウイルスのcDNAのLong−PCR法による作製方法の概略を示す。
本発明はまた、このような核酸分子によりコードされる、キメラフラビウイルスを提供する。
本明細書中において、「核酸分子」とは、一本鎖または二本鎖のDNAまたはRNAのことを意味する。
本明細書中において、「ヌクレオチド配列」とは、特に言及しない限り、デオキシリボヌクレオチド(A、G、C、およびTで表す)の配列、またはリボヌクレオチド(A、G、C、およびUで表す)の配列を意味する。
本明細書中において、特に言及しない限り、一本鎖ヌクレオチド配列は、左端が5’末端、右端が3’末端を表し、そしてアミノ酸配列は、左端がN末端(アミノ末端)、右端がC末端(カルボキシル末端)を表す。
本明細書中において、特に言及しない限り、アミノ酸の表記は、アミノ酸に関する標準的な表記である1文字略号または3文字略号を使用する。
本明細書中において、「弱毒」とは、ワクチン接種の対象となる動物{例えば、ヒトおよび非ヒト哺乳動物(例えば、サル、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなど)、ならびに鳥類など}に対して、ワクチンとして安全に使用できる程度の低病原性(低毒性)のことを意味する。
本明細書中において、「ワクチンとして(安全に)使用できる程度」とは、ワクチンを接種した局所において、ウイルスの増殖は認められるが、重篤な症状を示すことなく増殖が終了し、その後の、ワクチンを接種した個体に対する強毒ウイルスによる攻撃試験において、接種したウイルスに起因する疾患の発症を防御することができる特異的免疫を付与することを意味する。
本発明のキメラフラビウイルスの作製に使用される第1のフラビウイルスである日本脳炎ウイルスは、本発明のキメラフラビウイルスのprMタンパク質および/またはNSタンパク質が、最終的に、以下に記載するようなウイルスを弱毒化するアミノ酸変異の1つ以上を含む限り、特に限定はされない。
従って、日本脳炎ウイルスには、種々の株(例えば、ML−17株、JaOH0566株、JaOArS982株、JaGAr01株、Nakayama株、Beijing株、SA14株、SA14−14−2株など)が存在するが、いずれの株を用いてもよい。
種々の日本脳炎ウイルス株のゲノムがクローン化され、その完全または部分ヌクレオチド配列が決定されている。例えば、JaOArS982株については、Sumiyoshiら、Virology 161:497−510,1987;Nakayama株については、McAdaら、Virology 158:348−360,1987;Beijing株については、Hashimotoら、Virus Genes 1:305−317,1988;SA14株およびSA14−14−2株については、Nitayaphanら、Virology 177:541−552,1990を参照のこと。
また、種々の日本脳炎ウイルスのゲノム配列に関する情報は、GenBankなどの公に利用可能な遺伝子データベースからも入手することができる。例えば、JaOArS982株については、GenBank登録番号:M18370;JaGAr01株については、GenBank登録番号:AF069076;Beijing−1株については、GenBank登録番号:L48961;SA14株については、GenBank登録番号:M55506;SA14−14−2株については、GenBank登録番号:AF315119を参照のこと。
本発明のキメラウイルスをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を作製するために、日本脳炎ウイルスをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子が調製され、キメラフラビウイルスの遺伝子バックボーンとして用いられ得る。日本脳炎ウイルスをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子としては、例えば、ゲノムRNA、cDNA、合成RNA、合成DNAなどが挙げられる。
あるいは、本発明のキメラフラビウイルスをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を作製するために、日本脳炎ウイルスをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子の任意の断片(例えば、PCRによる増幅DNA断片など)が用いられ得る。
日本脳炎ウイルスのゲノムRNAは、公知の方法によって、日本脳炎ウイルスを感染させた、細胞(例えば、MMC−LK2細胞、HeLa細胞、N2a細胞、PS細胞、BSC−1細胞、HL−CZ細胞、LLC−MK2細胞、Vero細胞、BHK細胞、蚊由来のC6/36細胞、マウスまたはハムスター由来の脳内細胞)、発育鶏卵などから調製することができる。ゲノムRNAを調製するために用いられる日本脳炎ウイルス株は、特に限定されず、例えば、上記に列挙したような株が用いられ得る。
日本脳炎ウイルスのcDNAは、公知の方法(例えば、Sumiyoshiら,Virology 161:497−510,1987に記載される方法)に従って、ゲノムRNAから構築できる。
あるいは、日本脳炎ウイルスのゲノムRNA、cDNA、またはそれらの任意の断片は、日本脳炎ウイルスのゲノム配列情報に基づいて、公知の方法により化学合成することもできる。
日本脳炎ウイルスのゲノムRNA、cDNA、またはそれらの任意の断片は、ゲノムRNAまたはcDNAを鋳型として、Polymerase Chain Reaction(「PCR法」と略称する)、Reverse Transcriptase−Polymerase Chain Reaction(「RT−PCR法」と略称する)、Long Polymerase Chain Reaction(「Long−PCR法」と略称する)、および/またはLong−Reverse Transcriptase−Polymerase Chain Reaction(「Long−RT−PCR法」と略称する)によって増幅することができる。
あるいは、日本脳炎ウイルスのゲノムRNA、cDNA、またはそれらの任意の断片を、ベクターに挿入してクローニングすることもできる。
用いられるベクターとしては、例えば、pBR322、pBR325、pBR327、pBR328、pUC7、pUC8、pUC9、pCU18、pUC19、pHSG298、pHSG299、pSC101、pGBM5、pCRIIなどのプラスミドが挙げられる。また、クローニングベクターとして、バクテリオファージ、コスミド、ファージミドなどを用いることもできる。このようなクローニングベクターは、例えば、NIPPON GENE CO.,LTD.などから市販されている。
本発明に用いられる第2のフラビウイルスとしては、日本脳炎ウイルスとは異なるフラビウイルス、例えば、西ナイルウイルス、デング(1〜4型)ウイルス、黄熱ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、ダニ媒介脳炎ウイルス、クンジンウイルス、中央ヨーロッパ脳炎ウイルス、キィアサヌアフォレストウイルス、マリー谷脳炎ウイルス、オムスク出血熱ウイルス、ポワサンウイルス、ロシア春夏脳炎ウイルス、ヨコセウイルス、アポイウイルス、アロアウイルスなどが挙げられる。これらのフラビウイルス種もまた、その各々の種について、様々な変異株が存在するが、いずれの株を用いてもよい。
上記のような、種々のフラビウイルスのEタンパク質をコードするヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は公知であり、さらに、これらのフラビウイルス種の多くは、ゲノムの全ヌクレオチド配列が報告されている。例えば、以下を参照のこと:西ナイルウイルス(例えば、Wenglerら、Virology 147:264−274,1985);デング1型ウイルス(例えば、Masonら,Virology 161:262−267,1987);デング2型ウイルス(例えば、Deubelら,Virology 155:365−377,1986;Gruenbergら、J.Gen.Virol.69:1391−1398,1988;Hahnら、Virology 162:167−180,1988);デング3型ウイルス(例えば、Osatomiら、Virus Genes 2:99−108,1988);デング4型ウイルス(例えば、Mackowら、Virology 159:217−228,1987;Zhaoら、Virology 155:77−88,1986);黄熱病ウイルス(例えば、Riceら、Science 229:726−733,1985);セントルイス脳炎ウイルス(例えば、Trentら、Virology 156:293−304,1987);ダニ媒介脳炎ウイルス(例えば、Mandlら、Virology 166:197−205,1988);クンジンウイルス(例えば、Coiaら、J.Gen.Virol.69(Pt 1):1−21,1988);キィアサヌアフォレストウイルス(例えば、Venugopalら、Journal of General Virology 75:227−232,1994;Kunoら、Journal of Virology 72:73−83,1998);マリー谷脳炎ウイルス(例えば、Dalgarnoら、J.Mol.Biol.187:309−323,1986);オムスク出血熱ウイルス(例えば、Linら、Virology 313:81−90,2003;Liら、Journal of General Virology 85:1619−1624,2004;Gritsunら、Journal of General Virology 74:287−291,1993);ポワサンウイルス(例えば、Kunoら、Am.J.Trop.Med.Hyg.65:671−676,2001;Mandlら、Virology 194:173−184,1993);ロシア春夏脳炎ウイルス(例えば、Kunoら、Journal of Virology 72:73−83,1998);アポイウイルス(例えば、Billoirら、Journal of General Virology 81:781−790,2000);アロアウイルス(例えば、Gauntら、Journal of General Virology 82:1867−1976,2001)。
また、種々のフラビウイルスのゲノムのヌクレオチド配列に関する情報は、GenBankなどの公に利用可能な遺伝子データベースからも入手することができる。例えば、以下を参照のこと:西ナイルウイルス(例えば、GenBank登録番号:M12294;NC_001563);デング1型ウイルス(例えば、GenBank登録番号:M23027);デング2型ウイルス(例えば、GenBank登録番号:M19197;NC_001474);デング3型ウイルス(例えば、GenBank登録番号:M93130);デング4型ウイルス(例えば、GenBank登録番号:M14931);黄熱ウイルス(例えば、GenBank登録番号:X03700;NC_002031);セントルイス脳炎ウイルス(例えば、GenBank登録番号:M16614);ダニ媒介脳炎ウイルス(例えば、GenBank登録番号:U27495;NC_001672);クンジンウイルス(例えば、GenBank登録番号:AY274504;AY274505);キィアサヌアフォレストウイルス(例えば、GenBank登録番号:X74111);マリー谷脳炎ウイルス(例えば、GenBank登録番号:AF161266;NC_000943);オムスク出血熱ウイルス(例えば、GenBank登録番号:AY193805;AY438626;X66694;NC_005062);ポワサンウイルス(例えば、GenBank登録番号:AF310922;AF310920;AF310912;L06436;NC_003687);ヨコセウイルス(例えば、GenBank登録番号:AB114858;NC_005039);アポイウイルス(例えば、GenBank登録番号:AF160193;NC_003676);アロアウイルス(例えば、GenBank登録番号:AF372413)。
本発明のキメラウイルスをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を作製するために、第2のフラビウイルスをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子が調製され、そのEタンパク質をコードする領域が用いられ得る。第2のフラビウイルスをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子としては、例えば、ゲノムRNA、cDNA、合成RNA、合成DNAなどが挙げられる。
あるいは、本発明のキメラフラビウイルスをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を作製するために、第2のフラビウイルスをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子の任意の断片(例えば、PCRによる増幅DNA断片など)が用いられ得る。
第2のフラビウイルスのゲノムRNAは、日本脳炎ウイルスと同様の方法によって、調製することができる。
第2のフラビウイルスのcDNAもまた、日本脳炎ウイルスと同様の手法によって、ゲノムRNAから構築できる。
あるいは、第2のフラビウイルスのゲノムRNA、cDNA、またはそれらの任意の断片は、第2のフラビウイルスとして用いるウイルスに関する公知のゲノム配列情報に基づいて、公知の方法により化学合成することもできる。
第2のフラビウイルスのゲノムRNA、cDNA、またはそれらの任意の断片は、日本脳炎ウイルスと同様に、PCR法、RT−PCR法、Long−PCR法および/またはLong−RT−PCR法によって、ゲノムRNAまたはcDNAを鋳型として増幅することができる。
あるいは、第2のフラビウイルスのゲノムRNA、cDNA、またはそれらの任意の断片を、日本脳炎ウイルスと同様に、上記に列挙したような適切なベクターに挿入してクローニングすることもできる。
本発明のキメラフラビウイルスをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子(DNAまたはRNA)は、日本脳炎ウイルスをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子中のEタンパク質をコードするヌクレオチド配列を、第2のフラビウイルスのエンベロープタンパク質をコードするヌクレオチド配列と組換えることによって作製される。
日本脳炎ウイルスをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子中のEタンパク質をコードする領域の組換えは、公知の組換え技術(例えば、Moritaら、Virology 287:417−426,2001に記載されるLong−PCR法を利用する方法など)によって行うことができる。
あるいは、本発明のキメラフラビウイルスをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子(DNAまたはRNA)は、日本脳炎ウイルスおよび第2のフラビウイルスに関するゲノム配列情報に基づいて、本発明のキメラフラビウイルスをコードする全ヌクレオチド配列を設計し、化学合成により作製することもできる。
本発明のキメラフラビウイルスをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を、DNAとして作製する場合、インビトロ転写のためのプロモーター配列がDNAの5’末端に導入される。本発明のキメラフラビウイルスをコードするDNAは、キメラフラビウイルスタンパク質を発現させる前の任意の段階で、導入されたプロモーターに対応するRNAポリメラーゼによってRNAへと転写される。用いられるプロモーター配列としては、例えば、T7RNAポリメラーゼプロモーター、SP6RNAポリメラーゼプロモーターなどが挙げられる。
本発明のキメラフラビウイルスをコードするRNAは、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクションなどの当該分野で公知の遺伝子導入技術により、タンパク質の発現に適切な細胞(例えば、C6/36細胞、Vero細胞、BHK細胞、MMC−LK2細胞、HeLa細胞、N2a細胞、PS細胞など)に導入され、そしてこの細胞においてキメラフラビウイルスタンパク質が発現される。
あるいは、本発明のキメラフラビウイルスは、細胞破砕液や抽出液に、基質や酵素などを加えることによって、生物の遺伝情報翻訳系を試験管内に取り揃えた、細胞系を使用しないタンパク質の生産方法(無細胞系発現ともいう;例えば、米国特許第5,478,730号;Madinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:559−564,2000;Sawasakiら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:14652−14657,2002を参照のこと)を利用して、キメラフラビウイルスタンパク質を取得することもできる。
本発明のキメラフラビウイルスをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子は、この核酸分子中の日本脳炎ウイルスに由来するprMタンパク質および/またはNSタンパク質をコードするヌクレオチド配列中に、ウイルスを弱毒化するアミノ酸変異を1つ以上生じるヌクレオチド変異を含む。
詳細には、ウイルスを弱毒化するアミノ酸変異とは、日本脳炎ウイルスJaOArS982株の各構造タンパク質および非構造タンパク質のアミノ酸配列(H.Sumiyoshiら、Virology 161:497−510,1987を参照のこと)を基準として表した場合、以下のアミノ酸置換である:prMタンパク質の1番目のメチオニンのイソロイシンによる置換;prMタンパク質の148番目(Mタンパク質の56番目)のアスパラギンのトレオニンによる置換;NS2Aタンパク質の4番目のアラニンのセリンによる置換;NS4Bタンパク質の51番目のアスパラギンのリジンによる置換;NS4Bタンパク質の52番目のバリンのイソロイシンによる置換;NS4Bタンパク質の68番目のトレオニンのセリンによる置換;NS5タンパク質の126番目のロイシンのメチオニンによる置換;および/または、NS5タンパク質の854番目のセリンのアスパラギンによる置換。
あるいは、上記のアミノ酸置換はまた、それぞれのアミノ酸位置で導入されたアミノ酸に対する保存的アミノ酸を用いて行われ得る。
本明細書中において、「保存的アミノ酸」とは、物理化学的性質において類似したアミノ酸を意味し、例えば、芳香族アミノ酸(Phe、Trp、Tyr)、脂肪族アミノ酸(Ala、Leu、Ile、Val)、極性アミノ酸(Gln、Asn)、塩基性アミノ酸(Lys、Arg、His)、酸性アミノ酸(Glu、Asp)、水酸基を有するアミノ酸(Ser、Thr)、側鎖の小さいアミノ酸(Gly、Ala、Ser)などの同じグループに分類されるアミノ酸が挙げられる。
好ましくは、本発明のキメラフラビウイルスは、上記のアミノ酸置換の内、少なくとも、prMタンパク質の1番目のメチオニンのイソロイシンによる置換、および/または、prMタンパク質の148番目(Mタンパク質の56番目)のアスパラギンのトレオニンによる置換を含む。
上記のアミノ酸変異は、本発明のキメラフラビウイルスをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を作製する任意の工程において導入することができる。
上記のアミノ酸変異の導入は、例えば、Moritaら、Virology 287:417−426,2001に記載されるLong−PCR法を利用する部位特異的変異誘発方法、あるいは、プラスミドへクローニングしたcDNAに対して、Kunkel法、Gapped duplex法などの公知の方法またはこれらの方法を利用した変異導入用キット(例えば、Takara Bio Inc.より入手可能)などを用いて行うことができる。
あるいは、prMおよび/またはNSタンパク質中にウイルスを弱毒化するアミノ酸変異を1つ以上含む日本脳炎ウイルスをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を、本発明のキメラフラビウイルスをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子の作製に用いることによって、本発明のキメラフラビウイルスにこれらの変異を導入できる。
prMおよび/またはNSタンパク質中にウイルスを弱毒化するアミノ酸変異を1つ以上含む日本脳炎ウイルスをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子は、前述の公知の部位特異的変異誘発方法を用いて、これらの変異を含まない日本脳炎ウイルス株(例えば、JaOH0566株、JaOArS982株、JaGAr01株、Nakayama株、Beijing株、SA14株、SA14−14−2株など)のゲノムRNAまたはcDNAに、これらの変異を人為的に導入することによって作製することができる。
このようにして人為的に作製した、prMおよび/またはNSタンパク質中にウイルスを弱毒化するアミノ酸変異を1つ以上含む日本脳炎ウイルスをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子から、前述したような公知の方法によって、ウイルスタンパク質を発現させて、組換え日本脳炎ウイルスを作製することができる。
この組換え日本脳炎ウイルスを、前述したような適切な細胞に感染させ、細胞を培養することにより、培養した細胞から大量のゲノムRNAが調製できる。
さらに、この組換え日本脳炎ウイルスは、それ自体が、弱毒日本脳炎ウイルスであり、日本脳炎に対する有望な弱毒生ワクチン候補であり得る。
prMおよび/またはNSタンパク質中にウイルスを弱毒化するアミノ酸変異を1つ以上含む日本脳炎ウイルスをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子はまた、このようなアミノ酸変異の1つ以上を生来含む日本脳炎ウイルス変異株からゲノムRNAまたはcDNAを取得することにより調製することもできる。
prMおよび/またはNSタンパク質中にウイルスを弱毒化するアミノ酸変異の1つ以上を生来含む日本脳炎ウイルス変異株としては、例えば、日本脳炎ウイルスML−17株が挙げられる。ML−17株は、ブタ用日本脳炎ウイルスワクチン株であり(例えば、Yoshidaら、BIKEN JOURNAL 24:47−67,1981を参照のこと)、財団法人 阪大微生物病研究会(大阪府吹田市山田丘3番1号 大阪大学内)から入手可能である。
あるいは、細胞での継代などにより生じた日本脳炎ウイルスの突然変異株の中から、prMおよび/またはNSタンパク質中にウイルスを弱毒化するアミノ酸変異の1つ以上を含む株を、公知の方法により選抜して、そのゲノムRNAまたはcDNAを、本発明のキメラフラビウイルスの作製に用いることもできる。
このようにして調製された、prMおよび/またはNSタンパク質中にウイルスを弱毒化するアミノ酸変異を1つ以上含む日本脳炎ウイルスをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子(ゲノムRNAまたはcDNA)は、必要に応じて断片化して、前述したようなクローニングベクターに挿入してもよい。例えば、このような組換えベクターを利用すれば、安全かつ簡便に本発明のキメラフラビウイルスを作製することができる。
本発明のキメラフラビウイルスの構築を確認するには、例えば、作製したキメラウイルスから遺伝子を取得して、その塩基配列または対応するアミノ酸配列の全てもしくは一部(例えば、変異を導入した部分、2つのウイルスの連結部分など)を決定し、その配列が、意図された配列と一致していることを確かめればよい。
本発明はまた、本発明のキメラフラビウイルスを含む弱毒生ワクチン(以下、本発明のワクチンともいう)を提供する。ウイルスのEタンパク質は、中和抗体を誘導する抗原決定基を含むため、ワクチンとして本発明のキメラフラビウイルスを接種すると、Eタンパク質として用いた第2のフラビウイルス種に対する抗体が産生される。
本発明のワクチンは、種々のフラビウイルス感染を予防するために、例えば、ヒトおよび非ヒト哺乳動物(例えば、サル、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなど)、ならびに鳥類などの動物に接種され得る。
本発明のワクチンは、懸濁液または凍結乾燥剤の形態で製造可能である。本発明のワクチンには、本発明のキメラフラビウイルスに加えて、ワクチン製剤において通常用いられる、薬学的に受容可能な、安定剤(例えば、白糖、乳糖、ブドウ糖、ゼラチン、ゼラチン加水分解物、L−グルタミン酸ナトリウム、血清アルブミンなど)、無痛化剤(例えば、ブドウ糖など)などが配合され得る。
ワクチン接種の際、本発明のワクチンは、通常、薬学的に受容可能な担体に溶解または懸濁され得る。担体としては、例えば、水、食塩水(生理食塩水を含む)、緩衝液(例えば、リン酸緩衝液)などの液体の担体が挙げられる。
本発明のワクチンは、代表的には、0.1〜1.0mlの用量あたり102〜106PFUの本発明のキメラフラビウイルスを含有する無菌水溶液として処方され、例えば、皮下、皮内、筋肉内などに接種され得る。
あるいは、フラビウイルスの中には、粘膜を介して感染することが知られている種もあるため、選択した第2のフラビウイルス種に応じて、本発明のワクチンを経口または経鼻投与してもよい。
さらに、本発明のキメラフラビウイルスをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子(RNAまたはDNA)自体を、核酸ワクチン製剤として使用することもできる。
構築したキメラウイルスの効果および安全性の確認は、当該分野で公知の評価方法により、例えば、動物(例えば、マウス、サルなど)における、脳神経毒性、末梢からの中枢神経系への感染性(脳神経侵襲性)、感染予防効果、ウイルス血症の有無、中和抗体の産生などを評価することによって行うことができる。
以下の実施例によって、本発明をより具体的に説明するが、実施例は、本発明の単なる例示を示すものにすぎず、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
(日本脳炎ウイルスワクチンML−17株の弱毒化変異部位の決定)
日本脳炎ウイルスワクチンML−17株の弱毒化変異部位を決定するために、初めに、ML−17株と、その親株である野生型の毒性日本脳炎ウイルスJaOH0566株との間で、完全長ゲノムcDNAのヌクレオチド配列およびポリタンパク質のアミノ酸配列を比較した。
ML−17株(財団法人 阪大微生物病研究会から入手した)の完全長ゲノムcDNAのヌクレオチド配列(配列番号1)およびJaOH0566株の完全長ゲノムcDNAのヌクレオチド配列(配列番号3)を、Sumiyoshiら,Virology 161:497−510,1987に開示される方法に従って決定した。いずれの株も、cDNAの構築には、表1Aに示すPCRプライマーを用い、そして、構築したcDNAのヌクレオチド配列の決定には、表1Bに示す配列決定用プライマーを用いた。さらに、ML−17株のポリタンパク質のアミノ酸配列(配列番号2)およびJaOH0566株のポリタンパク質のアミノ酸配列(配列番号4)を、それぞれの完全長ゲノムcDNAのヌクレオチド配列から推定した。
ゲノムcDNAのヌクレオチド配列の比較の結果、図1に示すように、ML−17株は、25個のヌクレオチド置換を有しており、その内の10個のヌクレオチド置換に起因して、ポリタンパク質の開始メチオニンの次のアミノ酸から数えて、127番目、274番目、1209番目、2462番目、2463番目、2479番目、2652番目、2751番目、2896番目、および3380番目のアミノ酸において10個のアミノ酸置換を生じていることが明らかとなった。
さらに、上記のML−17株のポリタンパク質中のアミノ酸変異を、他の野生型の毒性日本脳炎ウイルスである、JaOArS982株、JaGAr01株、Nakayama株、Beijing株、およびSA14株、ならびに他の日本脳炎ウイルスワクチンである、SA14−14−2株のポリタンパク質の対応する部位のアミノ酸配列と比較した。
以下の株のポリタンパク質の推定アミノ酸配列を、GenBankから入手して本実施例に用いた:
JaOArS982株のポリタンパク質のアミノ酸配列(GenBank登録番号:M18370);
JaGAr01株のポリタンパク質のアミノ酸配列(GenBank登録番号:AF069076);
Beijing−1株のポリタンパク質のアミノ酸配列(GenBank登録番号:L48961);
SA14株のポリタンパク質のアミノ酸配列(GenBank登録番号:M55506);
SA14−14−2株のポリタンパク質のアミノ酸配列(GenBank登録番号:AF315119)。
Nakayama株のポリタンパク質のアミノ酸配列は、GenBank登録番号:AF112297;McAdaら、Virology.158(2):348−60,1987などに記載される遺伝子および/またはアミノ酸の部分配列情報から、比較のために必要な領域のアミノ酸配列を入手して本実施例に用いた。
図2に示すように、ポリタンパク質のアミノ酸配列の比較の結果、ML−17株とJaOH0566株との間の上記の10個のアミノ酸置換の内、ポリタンパク質の開始メチオニンの次のアミノ酸から数えて、127番目、274番目、1209番目、2462番目、2463番目、2479番目、2652番目、および3380番目のアミノ酸位置における合計8個のアミノ酸置換は、ML−17株に固有のアミノ酸変異であった。
Sumiyoshiら,Virology 161:497−510,1987に記載される日本脳炎ウイルス(JaOArS982株)のポリタンパク質中の各構造タンパク質および非構造タンパク質の位置との比較から、ポリタンパク質中のこれらの8個のアミノ酸置換の位置は、それぞれ、prMタンパク質の1番目および148番目(Mタンパク質の56番目);NS2Aタンパク質の4番目;NS4Bタンパク質の51番目、52番目、および68番目;NS5タンパク質の126番目および854番目のアミノ酸に相当した。
(実施例2)
(組換え日本脳炎ウイルスMS−14株およびMS−15株の作製)
ウイルスの弱毒化に対する、ML−17株に固有のアミノ酸変異の影響を確認するために、Moritaら、Virology 287:417−426,2001に記載されるLong−PCR法を利用する部位特異的変異誘発法に従って、野生型の毒性日本脳炎ウイルスJaOArS982株の遺伝子をバックボーンとして用いて、prMタンパク質の1番目のメチオニンのイソロイシンによる置換を生じるヌクレオチド変異(ゲノムの479位のGのAによる置換)を導入した組換え日本脳炎ウイルスであるMS−14株、およびprMタンパク質の148番目(Mタンパク質の56番目)のアスパラギンのトレオニンによる置換を生じるヌクレオチド変異(ゲノムの919位のAのCによる置換)を導入した組換え日本脳炎ウイルスであるMS−15株を作製した。
(MS−14株の作製)
図3に示すように、日本脳炎ウイルス(JaOArS982株)の遺伝子RNAを鋳型として、プライマー1およびプライマー2のセット、プライマー3およびプライマー4のセット、ならびにプライマー5およびプライマー6のセットを用いて、Long−RT−PCR法により、それぞれのプライマーセットに対応する日本脳炎ウイルス遺伝子フラグメント(フラグメント1、2、および3)を作製した。
さらに、それぞれのフラグメントをアガロース電気泳動法により精製したのち、初めに、フラグメント1および2を鋳型として、プライマー1および4のセットを用いて再びLong−PCR法により遺伝子フラグメント4を作製した。この遺伝子断片を同様に精製し、次に、遺伝子フラグメント3および4を鋳型として、プライマー1および6のセットを用いてLong−PCR法を実施し、5’末端にT7プロモーター配列を有する完全長日本脳炎ウイルスcDNA(フラグメント5)を作製した。
この完全長日本脳炎ウイルスcDNA(フラグメント5)を鋳型として、試験管内RNA合成反応を実施し、人工の完全長日本脳炎ウイルス遺伝子RNAを作製した。このRNAをエレクトロポレーション法により蚊細胞(C6/36細胞)に導入し、5日間培養した後、培養上清中に出現した組換えウイルス(MS−14株)を回収した。
(MS−15株の作製)
MS−15株については、プライマー2をプライマー7に、プライマー3をプライマー8に変更することで組換えウイルスを作製した以外、上記の方法に従って、組換えウイルスを回収した。
さらに、コントロールとして、変異を含まないウイルスを、プライマー2をプライマー9に、プライマー3をプライマー10に変更することで取得した。
本実施例に用いたプライマーを表2に示す。
(実施例3)
(組換え日本脳炎ウイルスMS−14株およびMS−15株のBHK細胞における増殖能の評価)
実施例2で作製した組換え日本脳炎ウイルスMS−14株およびMS−15株の、BHK細胞における増殖能を評価した。コントロールとして、野生型の毒性日本脳炎ウイルスJaOArS982株を用いた。
MS−14株、MS−15株、およびJaOArS982株を、それぞれ、BHK細胞に感染させ、感染から24、48、および72時間後の細胞培養上清を採取し、ウイルスの出現を確認した。各々の時間における培養上清中のウイルス量をプラーク法により測定した。全ての株について、BHK細胞における増殖が確認された。
(実施例4)
(組換え日本脳炎ウイルスMS−14株およびMS−15株の、正常成熟マウスにおける神経毒性の評価)
実施例2で作製した組換え日本脳炎ウイルスMS−14株およびMS−15株を用いて、それぞれの株の正常成熟マウスの腹腔内接種法によって神経毒性を評価した。毒性コントロールとして野生型の毒性日本脳炎ウイルスJaOArS982株、弱毒性コントロールとして日本脳炎ウイルスワクチンML−17株を用いた。
10匹のマウス群(4週齢の雌雄ICRマウス、各群5匹ずつ)に、101〜106プラーク形成単位のMS−14株、MS−15株、ML−17株、JaOArS982株を脳内接種し、3週間にわたり毎日観察し、LD50をRead−Muench法で算出した。本試験の結果を表3に示す。
表3に示すように、MS−14株およびMS−15株は、毒性のJaOArS982株と比較して、有意に弱毒化されていた。特に、MS−14株は、日本脳炎ウイルスワクチン株であるML−17株に近い弱毒性を有していた。
このことは、prMタンパク質中のアミノ酸置換により、マウスの神経毒性を低下させることが可能であることを示した。
上記の結果から、組換え日本脳炎ウイルスであるMS−14株およびMS−15株に導入したアミノ酸変異は、日本脳炎生ワクチン作製上、有用であることが示唆された。さらに、MS−14は高濃度接種で低度の病原性が見られることから、NS上の変異もまた弱毒化に必要であることが示唆された。
(実施例5)
(日本脳炎ウイルスと西ナイルウイルスとのキメラフラビウイルス(ML−17/WN(E gene))のcDNAの構築)
日本脳炎ウイルスワクチンML−17株のEタンパク質が西ナイルウイルスのEタンパク質により置換されたキメラフラビウイルスである、ML−17/WN(E gene)を作製するために、Moritaら、Virology 287:417−426,2001に記載されるLong−PCR法を利用する組換え日本脳炎ウイルス作製法に従って、ML−17/WN(E gene)のcDNAを構築した。
図4に示すように、日本脳炎ウイルス生ワクチン株(ML−17株)の遺伝子RNAを鋳型として、プライマー1Aおよびプライマー2Aのセット、ならびにプライマー5Aおよびプライマー6Aのセットを用いて、Long−RT−PCR法により、それぞれのプライマーセットに対応する日本脳炎ウイルス遺伝子断片(フラグメント1Aおよび3A)を作製した。
また、西ナイルウイルス(NY99−35262−11株)の遺伝子RNAを鋳型として、プライマー3Aおよびプライマー4Aのセットを用いて、Long−RT−PCR法により西ナイルウイルス遺伝子フラグメント2Aを作製した。
それぞれのフラグメントを、アガロース電気泳動法により精製したのち、初めに、フラグメント1Aおよび2Aを鋳型として、プライマー1Aおよび4Aのセットを用いて、再びLong−PCR法により遺伝子フラグメント4Aを作製した。
この遺伝子フラグメントを同様に精製して、次いで、遺伝子フラグメント3Aおよび4Aを鋳型として、プライマー1Aおよび6Aのセットを用いてLong−PCR法を実施し、5’末端にT7プロモーター配列を有し、かつ西ナイルウイルスEタンパク質遺伝子を有する、ML−17/WN(E gene)のキメラウイルスcDNA(フラグメント5A)を作製した。
本実施例に用いたプライマーを表4に示す。
(実施例6)
(ML−17/WN(E gene)のcDNAからのキメラフラビウイルスの産生)
実施例5で構築した日本脳炎ウイルスと西ナイルウイルスとのキメラフラビウイルスのcDNA(図4中のフラグメント5A)を鋳型として、試験管内RNA合成反応を実施して、人工の完全長キメラウイルス遺伝子RNAを作製した。このRNAをエレクトロポレーション法により蚊細胞(C6/36細胞)に導入して、5日間培養した後、培養上清中に出現したキメラウイルスを回収した。
(実施例7)
(ML−17/WN(E gene)キメラフラビウイルスの増殖能の評価)
キメラウイルスは、実施例6で得られたML−17/WN(E gene)を用いた。ML−17/WN(E gene)とML−17株を、C6/36細胞およびBHK細胞において増殖させ、その感染培養液を分注して、−70℃で保存した。何れの細胞にもイーグルMEM培養液に非必須アミノ酸を添加した培養液を用い、必要に応じた濃度(2〜10%)で牛胎児血清を添加した。増殖実験の培養液の感染価を表5に示す。ML−17/WN(E gene)は、ML−17と同等の増殖能を有していた。
(ML−17/WN(E gene)キメラウイルスの神経毒性の評価)
実施例6で作製した組換えキメラウイルス、ML−17/WN(E gene)を用いて、正常成熟マウス脳内接種法で神経毒性を評価した。また、腹腔内投与で末梢から中枢神経系への感染(脳神経侵襲性)を調べた。コントロールとして、野生型の強毒株日本脳炎ウイルスであるJaOH0566株、西ナイルウイルスNY99−3562−11株、弱毒株日本脳炎ウイルスワクチンML−17株を用いた。
生後4週齢のC57BL/B6マウスに101〜107の各ウイルスを脳内に接種し、28日間観察した。LD50をRead−Muench法で算出した。
表6に、実験から得られたML−17/WN(E gene)のLD50を示す。ML−17/WN(E gene)は、強毒のJaOH0566株と比較して、有意に弱毒化されていた。特に、ML−17/WN(E gene)は、日本脳炎ウイルスワクチン株であるML−17株に匹敵する弱毒性を有していた。
(ML−17/WN(E gene)キメラウイルスの性状)
ML−17/WN(E gene)キメラウイルスの蚊に対する感染性を検討した。コガタアカイエカOK7(Culex tritaeniorhynchus)に、ウサギ血液(抗体陰性)に混合したウイルスを経膜法により吸わせた。PFU(Plaque−Forming Unit)、および乳のみマウスの発症率を評価することにより感染率を計算した。
経膜法によりキメラウイルスを吸わせた蚊を10日、21日間飼育後、これを乳剤とし、乳のみマウス脳内接種およびPFUの評価によりウイルスの存在の証明を行った。ML−17/WN(E gene)は、蚊1匹あたり102PFU以上のウイルスを吸わせても、全くウイルスの存在は証明されなかった。
ML−17/WN(E gene)キメラウイルスはコガタアカイエカ(Culex tritaeniorhynchus)に対して感受性を示さなかった。
(実施例10)
(ML−17/WN(E gene)キメラウイルスを含む生ワクチンの防御効力の評価)
免疫実験には2週齢のC57BL/B6およびC3H/Heマウスを用いた。
二つの近交系マウスを用いて検討した。免疫をしなかったコントロール群では、西ナイルウイルス(NY99−35262−11株)の脳内チャレンジによって致死的な感染を示したのに対して、ML−17/WN(E gene)を腹腔内に接種した群では有意な感染防御が認められた。
本出願は、日本特許出願、特願2004−374630を基礎としており、その内容は全て本明細書に包含される。
Claims (8)
- 日本脳炎ウイルスのキャプシドタンパク質、プレメンブランタンパク質、ならびにNS1、NS2A、NS2B、NS3、NS4A、NS4BおよびNS5からなる非構造タンパク質をコードするヌクレオチド配列と、日本脳炎ウイルス以外の第2のフラビウイルスのエンベロープタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、核酸分子であって、
ここで、該日本脳炎ウイルスのプレメンブランタンパク質および非構造タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、ウイルスを弱毒化するアミノ酸変異を1つ以上生じるヌクレオチド変異を含み、
該ウイルスを弱毒化するアミノ酸変異が、プレメンブランタンパク質の1番目のメチオニンのイソロイシンによる置換;プレメンブランタンパク質の148番目のアスパラギンのトレオニンによる置換;NS2Aタンパク質の4番目のアラニンのセリンによる置換;NS4Bタンパク質の51番目のアスパラギンのリジンによる置換;NS4Bタンパク質の52番目のバリンのイソロイシンによる置換;NS4Bタンパク質の68番目のトレオニンのセリンによる置換;NS5タンパク質の126番目のロイシンのメチオニンによる置換;および/または、NS5タンパク質の854番目のセリンのアスパラギンによる置換である、
核酸分子。 - 前記日本脳炎ウイルスが、ML-17株である、請求項1記載の核酸分子。
- 前記第2のフラビウイルスが、西ナイルウイルス、デング(1〜4型)ウイルス、黄熱ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、ダニ媒介脳炎ウイルス、クンジンウイルス、中央ヨーロッパ脳炎ウイルス、キィアサヌアフォレストウイルス、マリー谷脳炎ウイルス、オムスク出血熱ウイルス、ポワサンウイルス、ロシア春夏脳炎ウイルス、ヨコセウイルス、アポイウイルス、およびアロアウイルスからなる群より選択される、請求項1または2記載の核酸分子。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の核酸分子によりコードされる、弱毒キメラフラビウイルス。
- 請求項4記載の弱毒キメラフラビウイルスを含む、弱毒生ワクチンであって、前記日本脳炎ウイルスがML−17株であり、前記第2のフラビウイルスが西ナイルウイルスである、弱毒生ワクチン。
- 以下の工程を包含する、請求項1〜3のいずれか1項記載の核酸分子の作製方法:
日本脳炎ウイルスをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子中のエンベロープタンパク質をコードするヌクレオチド配列を、日本脳炎ウイルス以外の第2のフラビウイルスのエンベロープタンパク質をコードするヌクレオチド配列と組換える工程;および
該日本脳炎ウイルスのプレメンブランタンパク質ならびにNS1、NS2A、NS2B、NS3、NS4A、NS4BおよびNS5からなる非構造タンパク質をコードするヌクレオチド配列中に、ウイルスを弱毒化するアミノ酸変異を1つ以上生じるヌクレオチド変異を導入する工程。 - 以下の工程を包含する、請求項1〜3のいずれか1項記載の核酸分子の作製方法:
プレメンブランタンパク質ならびにNS1、NS2A、NS2B、NS3、NS4A、NS4BおよびNS5からなる非構造タンパク質中にウイルスを弱毒化するアミノ酸変異を1つ以上含む日本脳炎ウイルスをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子中の、エンベロープタンパク質をコードするヌクレオチド配列を、日本脳炎ウイルス以外の第2のフラビウイルスのエンベロープタンパク質をコードするヌクレオチド配列と組換える工程。 - 請求項1〜3のいずれか1項記載の核酸分子から、キメラフラビウイルスタンパク質を発現させる工程を包含する、弱毒キメラフラビウイルスの作製方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006549091A JP4871738B2 (ja) | 2004-12-24 | 2005-12-22 | 弱毒日本脳炎ウイルスの遺伝子をバックボーンとして有する弱毒キメラフラビウイルス |
Applications Claiming Priority (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004374630 | 2004-12-24 | ||
JP2004374630 | 2004-12-24 | ||
PCT/JP2005/024161 WO2006068307A1 (ja) | 2004-12-24 | 2005-12-22 | 弱毒日本脳炎ウイルスの遺伝子をバックボーンとして有する弱毒キメラフラビウイルス |
JP2006549091A JP4871738B2 (ja) | 2004-12-24 | 2005-12-22 | 弱毒日本脳炎ウイルスの遺伝子をバックボーンとして有する弱毒キメラフラビウイルス |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2006068307A1 JPWO2006068307A1 (ja) | 2008-06-12 |
JP4871738B2 true JP4871738B2 (ja) | 2012-02-08 |
Family
ID=36601887
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006549091A Active JP4871738B2 (ja) | 2004-12-24 | 2005-12-22 | 弱毒日本脳炎ウイルスの遺伝子をバックボーンとして有する弱毒キメラフラビウイルス |
Country Status (8)
Country | Link |
---|---|
US (2) | US7749734B2 (ja) |
EP (2) | EP1840214A4 (ja) |
JP (1) | JP4871738B2 (ja) |
CN (1) | CN101090966B (ja) |
AU (1) | AU2005320001B2 (ja) |
CA (1) | CA2592005A1 (ja) |
HK (1) | HK1115157A1 (ja) |
WO (1) | WO2006068307A1 (ja) |
Families Citing this family (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101808657A (zh) | 2006-11-07 | 2010-08-18 | 赛诺菲巴斯德生物制剂公司 | 冻干法稳定疫苗 |
CA3001374A1 (en) * | 2008-11-17 | 2010-05-20 | Vgx Pharmaceuticals, Llc | Antigens that elicit immune response against flavivirus and methods of using same |
US8999675B2 (en) * | 2009-08-31 | 2015-04-07 | Gen-Probe Incorporated | Dengue virus assay |
CN102796749B (zh) * | 2011-05-27 | 2017-05-24 | 中国人民解放军军事医学科学院微生物流行病研究所 | 以乙脑病毒减毒株为基因骨架的乙脑/登革嵌合病毒及其应用 |
CN102337248B (zh) * | 2011-10-09 | 2013-04-17 | 中国农业科学院哈尔滨兽医研究所 | 表达乙型脑炎病毒PrM/M-E蛋白的重组BHK细胞系及其应用 |
CN103352029A (zh) * | 2013-07-29 | 2013-10-16 | 中国人民解放军军事医学科学院微生物流行病研究所 | 一种乙脑/森林脑炎嵌合病毒及其应用 |
EP3031923A1 (en) * | 2014-12-11 | 2016-06-15 | Institut Pasteur | Lentiviral vector-based japanese encephalitis immunogenic composition |
CN105400799B (zh) * | 2015-12-22 | 2018-12-28 | 成都生物制品研究所有限责任公司 | 一种乙脑/黄热嵌合病毒及其制备方法和应用 |
GB201716307D0 (en) * | 2017-10-05 | 2017-11-22 | Univ Leuven Kath | Chimeric yellow fever zika virus strain |
Family Cites Families (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH07101802B2 (ja) | 1987-08-05 | 1995-11-01 | 株式会社村田製作所 | 高周波回路 |
US5478730A (en) | 1988-12-21 | 1995-12-26 | Institute Of Protein Research | Method of preparing polypeptides in cell-free translation system |
ATE197607T1 (de) * | 1991-09-19 | 2000-12-15 | Us Health | Chimäre und/oder wachstumgehemmte flaviviren |
FR2748298B1 (fr) | 1996-05-03 | 1998-07-31 | Caillau Ets | Dispositif de verin pneumatique |
HU228705B1 (en) | 1997-02-28 | 2013-05-28 | Univ St Louis | Chimeric flavivirus vaccines |
AU1813901A (en) | 1999-12-01 | 2001-06-12 | Oravax, Inc | Chimeric flavivirus vaccines |
AU3844101A (en) | 2000-02-16 | 2001-08-27 | Us Health | Avirulent, immunogenic flavivirus chimeras |
US20040120964A1 (en) * | 2001-10-29 | 2004-06-24 | Mikszta John A. | Needleless vaccination using chimeric yellow fever vaccine-vectored vaccines against heterologous flaviviruses |
JP2004045529A (ja) | 2002-07-09 | 2004-02-12 | Fuji Mark Kk | 照光表示体 |
JP4683926B2 (ja) | 2002-11-15 | 2011-05-18 | サノフィ パスツール バイオロジクス カンパニー | ウエストナイルウイルス・ワクチン |
-
2005
- 2005-12-22 WO PCT/JP2005/024161 patent/WO2006068307A1/ja active Application Filing
- 2005-12-22 CA CA002592005A patent/CA2592005A1/en not_active Abandoned
- 2005-12-22 AU AU2005320001A patent/AU2005320001B2/en not_active Ceased
- 2005-12-22 JP JP2006549091A patent/JP4871738B2/ja active Active
- 2005-12-22 EP EP05822652A patent/EP1840214A4/en not_active Withdrawn
- 2005-12-22 CN CN2005800442400A patent/CN101090966B/zh not_active Expired - Fee Related
- 2005-12-22 EP EP11004408A patent/EP2458003A1/en not_active Withdrawn
- 2005-12-22 US US11/793,277 patent/US7749734B2/en not_active Expired - Fee Related
-
2008
- 2008-05-05 HK HK08104980.6A patent/HK1115157A1/xx not_active IP Right Cessation
- 2008-11-20 US US12/292,518 patent/US8492532B2/en not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPWO2006068307A1 (ja) | 2008-06-12 |
EP2458003A1 (en) | 2012-05-30 |
US20090104702A1 (en) | 2009-04-23 |
EP1840214A4 (en) | 2009-03-04 |
AU2005320001B2 (en) | 2011-05-19 |
CN101090966A (zh) | 2007-12-19 |
EP1840214A8 (en) | 2008-01-02 |
US7749734B2 (en) | 2010-07-06 |
WO2006068307A1 (ja) | 2006-06-29 |
CN101090966B (zh) | 2012-07-04 |
US20080138363A1 (en) | 2008-06-12 |
CA2592005A1 (en) | 2006-06-29 |
HK1115157A1 (en) | 2008-11-21 |
US8492532B2 (en) | 2013-07-23 |
EP1840214A1 (en) | 2007-10-03 |
AU2005320001A1 (en) | 2006-06-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US20200392469A1 (en) | Dengue tetravalent vaccine containing a common 30 nucleotide deletion in the 3'-utr of dengue types 1,2,3, and 4, or antigenic chimeric dengue viruses 1,2,3, and 4 | |
JP3681369B2 (ja) | キメラおよび/または増殖制限されたフラビウイルス | |
JP4871738B2 (ja) | 弱毒日本脳炎ウイルスの遺伝子をバックボーンとして有する弱毒キメラフラビウイルス | |
TWI406673B (zh) | 對抗4種登革熱血清型之免疫方法 | |
JP5538729B2 (ja) | 偽感染性フラビウイルスおよびそれらの使用 | |
RU2465326C2 (ru) | Рекомбинантные флавивирусные вакцины | |
TWI733646B (zh) | 用於疫苗中之登革熱病毒嵌合式建構物的組成物及方法 | |
KR101194818B1 (ko) | 플라비바이러스 백신 | |
US20100086564A1 (en) | West Nile Virus Vaccine | |
US20190194260A1 (en) | Live attenuated zika virus vaccine | |
US7455842B2 (en) | Chimeric West Nile viruses and uses thereof | |
US8715999B2 (en) | Flaviviridae mutants comprising a deletion in the capsid protein for use as vaccines |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20081017 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110621 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110819 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20111115 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20111121 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4871738 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141125 Year of fee payment: 3 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R255 | Notification that request for automated payment was rejected |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R2525 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |