JP4871640B2 - 環状イミド化合物 - Google Patents
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Description
また、他の油性基剤のゲル化剤としては、ヘキサン−1,3,6−トリカルボン酸アルキルアミドが知られており、この物質をゲル化剤として含む化粧料組成物等が報告されている(例えば、特許文献1参照)。
これらのゲル化剤は様々な油性基剤をゲル化できるが、得られたゲル状組成物を皮膚や毛髪等に塗布した時の感触は満足できるものではなく、延び易さ(延展性)等に欠けるという問題があった。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(7)を提供する。
(1)下記一般式(1)で表される環状イミド化合物。
(2)油性ゲル化剤と、前記(1)の環状イミド化合物とを含むゲル化剤。
(3)油性基材と、前記(2)のゲル化剤とを含むゲル状組成物。
(4)前記(1)の環状イミド化合物を含む外用剤組成物。
(5)前記(1)の環状イミド化合物を含む化粧料組成物。
(6)香料と、前記(1)の環状イミド化合物とを含む芳香剤組成物。
(7)下記一般式(2)で表されるカルボン酸誘導体又は該カルボン酸反応性誘導体1モルに対して、下記一般式(3)で表されるアミンを1〜3モル反応させる下記一般式(1)で表される環状イミド化合物の製造方法。
本発明の環状イミド化合物は、前記一般式(1)で表される。この一般式(1)において、R1は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられるが、この中では、プロピル基が好ましい。
R2の全炭素数としては、好ましくは8〜24、より好ましくは12〜24である。
飽和の直鎖状炭化水素基としては、例えば、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、イコシル、ドコシル、テトラコシル等の基が挙げられる。
飽和の分岐鎖状炭化水素基としては、例えば、メチルペンチル、メチルヘキシル、エチルヘキシル、メチルノニル、ジメチルオクチル、テトラメチルオクチル、メチルドデシル、ジメチルウンデシル、トリメチルデシル、ヘキシルデシル、メチルペンタデシル、ジメチルテトラデシル、トリメチルトリデシル、テトラメチルドデシル、オクチルドデシル、デシルテトラデシル等の基が挙げられる。
不飽和の直鎖状又は分岐鎖状炭化水素基としては、例えば、ヘキセニル、オクテニル、デセニル、ドデセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、オクタデセニル、イコセニル、ドコセニル、テトラコセニル、メチルペンテニル、メチルヘキセニル、エチルヘキセニル、メチルノネニル、ジメチルオクテニル、テトラメチルオクテニル等の基が挙げられる。
水酸基を有する不飽和の直鎖状又は分岐鎖状炭化水素基としては、例えば、ヒドロキシヘキセニル、ヒドロキシオクテニル、ヒドロキシデセニル、ヒドロキシドデセニル、ヒドロキシテトラデセニル、ヒドロキシヘキサデセニル、ヒドロキシオクタデセニル、ヒドロキシイコセニル、ヒドロキシドコセニル、ヒドロキシテトラコセニル、ヒドロキシメチルペンテニル等の基が挙げられる。
エステル基を有する炭化水素基としては、2−ステアロイルオキシエチル基等が挙げられ、アミノ基を有する炭化水素基としては、N,N−ジオクチル−3−アミノプロピル基等が挙げられる。
アミド基を有する炭化水素基としては、N−オクタデシロイルアミノエチル、N−ドデシロイルアミノプロピル、N−オクタデセニロイルアミノプロピル、N−(2−エチルヘキサノイル)アミノエチル等の基が挙げられる。
前記の炭化水素基において、分岐の位置、不飽和結合の位置、並びに水酸基、エーテル基、エステル基、アミノ基、及びアミド基の位置は、特に限定されない。
これらの中では、本発明の環状イミド化合物により形成されるゲルの透明性及び強度の観点から、R2としては、炭素数8〜24の飽和又は不飽和の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基、及びエーテル基を有する前記炭化水素基が好ましく、さらに炭素数12〜24の飽和又は不飽和の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基、及びエーテル基を有する前記炭化水素基が好ましい。この中では、特にオクタデシロキシエチレン、オクタデシロキシプロピレンが好ましい。
本発明の環状イミド化合物の製造方法については、特に制限はないが、例えば、以下に示す方法によれば効率的に製造することができる。
すなわち、一般式(1)で表される環状イミド化合物は、下記反応式に示すように、一般式(2)で表されるトリカルボン酸又はその反応性誘導体と、一般式(3)で表されるアミンとを反応させることにより、製造することができる。
前記一般式(3)で表されるアミンは1種単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いることもできる。該アミンを2種以上用いる場合は、少なくとも1種が、R1に水素原子を有するアミンであればよい。
また、前記一般式(2)で表されるトリカルボン酸の反応性誘導体としては、該トリカルボン酸におけるカルボン酸の少なくとも一部が、低級アルキルエステル化、酸ハロゲン化物化又は酸無水物化しているものを挙げることができる。
反応温度は、通常120〜220℃である。好ましくは130〜200℃の温度である。反応時間は、反応温度及び原料のトリカルボン酸やアミンの種類等に左右され、一概に定めることはできないが、通常1〜20時間である。
本発明のゲル化剤は、本発明の環状イミド化合物と、油性ゲル化剤とを含む。ここで、油性ゲル化剤とは、油性基材をゲル化するために用いる助剤であり、いうまでもなく、本発明の環状イミド化合物を除く化合物からなるものである。
油性ゲル化剤としては、公知のものを用いることができる。例えば、ポリアミド樹脂、12−ヒドロキシステアリン酸、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド、ジベンジリデン−D−ソルビトール等に代表される芳香族アルデヒドと多価アルコールとの縮合物等が挙げられる。好ましくは、下記一般式(4)
で表されるトリアミド化合物が挙げられる。
前記一般式(4)において、R3の全炭素数としては、好ましくは8〜24、より好ましくは12〜24である。炭化水素基の具体例及び好適例は、前記一般式(1)の炭化水素基について説明した例示と同じである。
このトリアミド化合物の好適例としては、ヘキサン−1,3,6−トリカルボン酸トリオクタデシルアミド、ヘキサン−1,3,6−トリカルボン酸トリ(2’−エチルヘキシル)アミド、ヘキサン−1,3,6−トリカルボン酸トリドデシルアミド、ヘキサン−1,3,6−トリカルボン酸トリ(3’−オクタデシロキシプロピル)アミド等が挙げられる。これらの中では、特に好ましくは、ヘキサン−1,3,6−トリカルボン酸トリ(3’−オクタデシロキシプロピル)アミドが挙げられる。
また、油性ゲル化剤は、一種又は二種以上の混合物であってもよい。
前記界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、又は両性界面活性剤のいずれを用いてもよい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸塩、アルキルポリアルキレンオキシド硫酸塩、アルキルリン酸塩エステル、脂肪酸塩、N−長鎖アシルアミノ酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルエーテルカルボン酸塩等を挙げることができる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルポリアルキレンオキシド、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、モノ又はポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンアルキルエーテル、アルキルポリアルキレンオキシドグリセリンエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルアミンオキシド等を挙げることができる。
両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン等のベタイン型界面活性剤、アミノカルボン酸型界面活性剤、イミダゾリン型界面活性剤等を挙げることができる。
水ゲル化剤としては、架橋化ポリカルボン酸塩や疎水化多糖誘導体等が挙げられる。
アミノ酸類としては、グリシン、アラニン、セリン、スレオニン、アルギニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、ロイシン、バリン等、ポリアミノ酸類としては、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸等を含むポリアミノ酸及びその塩等が挙げられる。
多価アルコールとしては、グリセリン、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール等、低級アルコールとしては、エタノール、プロパノール等が挙げられる。また、その他のアルコールとして、マンニトール等の糖アルコール及びそのアルキレンオキシド付加物等が挙げられる。
水溶性高分子化合物としては、ポリエチレングリコール、アラビアゴム類、アルギン酸塩、キサンタンガム、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、キチン、キトサン、水溶性キチン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジウム、ポリビニルピロリドン誘導体四級アンモニウム、カチオン化プロテイン、コラーゲン分解物及びその誘導体、アシル化タンパク、ポリグリセリン等が挙げられる。
その他、動植物抽出物、細胞間脂質(セラミド等)、核酸、ビタミン、酵素、抗炎症剤、殺菌剤、防腐剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、キレート剤、制汗剤、顔料、色素、酸化染料、有機及び無機粉体、pH調整剤、パール化剤、湿潤剤、香料等の添加剤も使用することができる。
本発明のゲル状組成物は、油性基材と、本発明のゲル化剤とを含むものである。
このような油性基材としては、加熱により、該ゲル化剤を十分に溶解させ、室温に冷却した際にゲルを形成するものであればよい。例えば、高級アルコール、脂肪酸、エステル類、炭化水素化合物、油脂、香料等が挙げられる。
高級アルコールとしては、シリコーン油やセチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等が挙げられる。
脂肪酸としては、イソステアリン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸等が挙げられる。
エステル類としては、ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、モノステアリン酸グリセリン、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸エチレングリコール、オキシステアリン酸オクチル等が挙げられる。
炭化水素化合物としては、流動パラフィン、イソパラフィン、ワセリン、スクワラン、スクワレン等が挙げられる。
油脂としては、ラノリン、還元ラノリン、カルナバロウ等のロウ、ヤシ油、パーム核油、ツバキ油、ゴマ油、ヒマシ油、オリーブ油等が挙げられる。
香料としては、ピネン、リモネン、テルピノーレン、ゲラニオール、シトロネロール、メントール、シトラール、シトロネラール、バニリン、ウンデカラクトン、メチルノニルケトン、プレゴン、ヌートカトン、クマリン、ムスコン、シクロペンタデカノン、シクロペンタデカノリド等が挙げられる。
これらの油性基材は単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これら油性基材のうち、強度及び透明度の観点から、シリコーン油、エステル類、炭化水素化合物、油脂、水酸基を持たない前記香料、及びそれらの混合物が好ましい。
ゲル化剤の含有量としては、ゲル強度及びゲルの外観の観点から、好ましくは0.5〜10質量部であり、より好ましくは1〜10質量部であり、特に好ましくは5〜10質量部である。
本発明の外用剤組成物、化粧料組成物、及び芳香剤組成物は、いずれも本発明の環状イミド化合物を含む。これらの組成物としては、本発明のゲル化剤又はゲル状組成物を含むものが好ましい。また、必要に応じて公知のゲル化剤、油性基材、界面活性剤、その他の各種添加剤を、適宜、組成物の調製前、調製中ないしは調製後又はそれらの全ての段階で添加して、含有することができる。
その製造方法については特に限定されず、当業界において一般に利用可能な混合方法、攪拌方法、練合方法等の手段を適宜用いることができる。
また、本発明の外用剤組成物、化粧料組成物、及び芳香剤組成物の形状は、特に限定されず、スティック形状等の固体状であることはもちろんのこと、本発明のゲル化剤を含む均一組成のクリーム状や、本発明のゲル状組成物を分散した溶液状又はクリーム状であってもよい。
これらには、従来使用されている油剤、精製水、各種界面活性剤、湿潤剤、防腐剤、酸化防止剤、香料、粉体、細胞間脂質(セラミド等)、紫外線吸収剤、薬効成分等の成分を適宜配合することもできる。
〔環状イミド化合物の製造〕
3−オクタデシロキシプロピルアミン163.19g、ヘキサン−1,3,6−トリカルボン酸36.35gを1Lの4つ口丸底フラスコに入れ、窒素気流下150℃で、5時間加熱攪拌した。反応生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより単離精製し環状イミド化合物〔N‐(3’‐オクタデシロキシプロピル)−4−[1−(3’−オクタデシロキシプロピル)−2,6,−ジオキソ−ピペリジン−3イル]−ブチラミド〕を得た。収率は41%であった。なお、収率は、高速液体クロマトグラフィー法(HPLC)で定量することにより算出した。
得られた化合物のIRチャートを 図1に、400MHz 1H−NMRチャートを 図2に示す。
なお、IR(測定機器:HORIBA FT710)は、KBr錠剤法により測定した。400MHz 1H−NMR(測定機器:Varian製 Marcury400)は、溶媒として、CD3OD/CDCl3、内部標準としてTMSを用いて、50℃の条件で測定した。
磁気攪拌子入り10mlのスクリュ−管瓶に、表1に示すように、前記で得られた環状イミド化合物、アミド化合物、イソパラフィン(油性基材)、環状ジメチコーン(油性基材)の所定量を加え、攪拌しながら110℃まで昇温し、均一に溶解させた。その後、直径10mm、深さ45mmの円柱状に穴を掘ったアルミニウム製の金型に流し込み、25℃で一晩放置した。十分に冷却した後、金型から取り出して、スティック状の外用剤組成物を得た。
実施例の外用剤組成物のゲル強度を圧縮試験機(カトーテック株式会社「KES−G5」)で測定した。アダプターは、円柱タイプ(3mmφ)を用いた。試料台速度は、0.01cm/sとした。そのときのゲル強度(連続的に加重を行った時の応力の最大値を指す)の結果を表1に示す。
実施例の外用剤組成物を皮膚に塗布した時の延展性について、以下の評価基準に基づき専門パネラー5人により評価した。
5:非常に優れる
4:優れる
3:普通
2:劣る
1:非常に劣る
その評価結果の平均点が4.5以上を◎、3.5〜4.4を○、2.5〜3.4のときを△、2.4以下の時を×とした。結果を表1に示す。
環状イミド化合物を用いずに、実施例と同様にして表1に示す組成のスティック状の外用剤組成物を得、ゲル強度及び延展性を測定した。結果を表1に示す。
Claims (8)
- 下記一般式(1)で表される環状イミド化合物。
- 一般式(1)において、pとqとの和が1又は2である請求項1に記載の環状イミド化合物。
- 油性ゲル化剤と、請求項1又は2に記載の環状イミド化合物とを含むゲル化剤。
- 油性基材と、請求項3に記載のゲル化剤とを含むゲル状組成物。
- 請求項1又は2に記載の環状イミド化合物を含む外用剤組成物。
- 請求項1又は2に記載の環状イミド化合物を含む化粧料組成物。
- 香料と、請求項1又は2に記載の環状イミド化合物とを含む芳香剤組成物。
- 下記一般式(2)で表されるトリカルボン酸又は該トリカルボン酸の反応性誘導体1モルに対して、下記一般式(3)で表されるアミンを1〜3モル反応させる下記一般式(1)で表される環状イミド化合物の製造方法であって、該トリカルボン酸の反応性誘導体が、カルボン酸の少なくとも一部が低級アルキルエステル化、酸ハロゲン化物化又は酸無水物化しているものである環状イミド化合物の製造方法。
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