JP4870686B2 - 抗炎症剤の投与に関連する心血管リスクを評価するための心臓ホルモンの使用 - Google Patents

抗炎症剤の投与に関連する心血管リスクを評価するための心臓ホルモンの使用 Download PDF

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Description

本発明は、抗炎症剤、特にNSAID (非ステロイド系抗炎症剤)またはステロイド、とりわけ選択的Cox-2インヒビターの投与に関連する、患者の心血管リスクを評価するための心臓ホルモンの使用に関する。
現代医療における目標の1つは、個人または個別対応の治療法を提供することである。これらは、患者の個々の必要性またはリスクを考慮する治療法である。特に重要なのは、心血管リスクまたは心血管合併症、とりわけ認識されない心血管リスクまたは心血管合併症の存在である。
選択的Cox-2インヒビターは、一般に用いられている有効な抗炎症剤である。多くのほかの抗炎症剤と比べて、選択的Cox-2インヒビターは、胃腸への副作用(例えば、胃腸の出血または潰瘍)をあまり引き起こさないように見える。そのため、多くの患者にとって、選択的Cox-2インヒビターを用いた治療は、選択的治療法である。
しかし、選択的Cox-2インヒビターが、心血管合併症を起こすことがあり、それに続いて、心臓代償不全、さらには死亡さえ起こりうることが最近判明した。深刻な血栓塞栓性事象の割合が3.9倍に増加したため、APPROVE試験(Adenomatous Polyp Prevention On Vioxx:バイオックスによる腺腫性ポリープ予防)が早期に中止され、その後、ロフェコキシブ (VIOXXTM)(選択的Cox-2インヒビター)だけは最近になって、製造会社(Merck)によって市場より自主回収された。結腸腺腫の二次予防に関するこの試験には、認識可能な心血管リスクがない患者のみが含まれていた。25mgのロフェコキシブを用いた場合、初期観察後フェーズにでさえ、プラシーボより高い血圧レベルにあることが判明した。プラシーボと比べて25 mgのロフェコキシブで処理した患者(心筋梗塞、脳卒中)の1000人当たり、16人においてさらなる心血管事象が、その後18ヶ月の追跡において見つかった(非特許文献1)。高い心血管リスクはまた、他の研究(VIGOR)においても検討されており、最近のメタ分析によるデータによって支持されている(非特許文献2; 非特許文献3)。
同様の心血管副作用も、低い発生率であるものの、他の選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)-2インヒビター(例えば、セレコキシブ (CelebrexTM, Pfizer)、ルミラコキシブ (PrexigeTM, Novartis)およびパレコキシブ(バルデコキシブのプロドラッグ))による副作用(class effect)の範囲内であると考えられる(非特許文献4;非特許文献5)。
心血管合併症(例えば、急性心筋梗塞または脳卒中)は、深刻な健康上の問題、さらには死亡までも生じる可能性がある。そのため、選択的Cox-2インヒビターによる治療により多大な恩恵を得るはずの多くの患者も、治療が心血管合併症を生じ得るか否か不明であるために、治療されない。
心血管の問題またはリスクは、長期間無症状のままであり得る。そのため、心血管リスクの存在を確実に診断することは、一般的に考えられるよりも困難であり、また間違いを起こしやすい。特に、一般開業医および非心臓内科医は大抵、これまでに未確認の心血管の問題を特定することはできない。
当該分野の技術では、心血管の症状または選択的Cox-2インヒビターを用いた治療による心疾患もしくは高血圧の既知の病歴を有する患者を除くことのみが可能である。
このようなリスク管理では不十分であり、そのため無症状患者も未確認の素因(例えば、動脈プラークの存在など)により、心血管合併症を発症し得る。上記したように、認識できる心血管リスクを有さない患者だけをAPPROVE研究に含めていたが、そのうちの幾人かの患者において治療により心血管合併症が生じた。
従来技術には、抗炎症剤(特に、選択的Cox-2インヒビター)を用いた治療に関連する心血管合併症のリスクをどのように診断するのか、何ら示唆されていない。特に、心血管合併症の既知の病歴を有さない患者をどのように診察するのかについて、参考文献は存在しない。
このことは、選択的Cox-2インヒビターについてのみ当てはまるのではなく、心血管合併症を引き起こし得る他の種類の抗炎症剤(例えば、Cox-2および他の標的(例えば、Cox-1)に対するインヒビター)にもあてはまる。このような他の種類の抗炎症剤の例としては、非選択的Cox-2インヒビター(Cox-1およびCox-2を阻害する化合物)が挙げられる。心血管合併症を生じるリスクが、選択的Cox-2インヒビターほど高くないにしても、起こり得る心血管合併症を考慮すべき場合があり得る。
例えば、他の抗炎症剤(特に、他のNSAIDまたはステロイド)による、心血管副作用も考えられる。
したがって、抗炎症剤(特に、NSAIDまたはステロイド、とりわけ、選択的Cox-2インヒビター)を用いた治療を患者が受ける前に、その患者のリスクを特定する方法または手段が必要である。特に、適切な診断手段を提供する必要がある。特に、心血管リスクまたは合併症の病歴または既知の病歴を持たない患者のリスクの特定を可能にする診断手段が必要である。また、この診断手段は信頼性があり、かつ一般開業医および非心臓内科医による使用に適すべきものである。
Topol EJ. Failing the public health--rofecoxib, Merck, and the FDA. N Engl J Med 2004; 351: 1707-9 Bombardier C, Laine L, Reicin A, Shapiro D, Burgos-Vargas R, Davis B, Day R, Ferraz MB, Hawkey CJ, Hochberg MC, Kvien TK, Schnitzer TJ; VIGOR Study Group. Comparison of upper gastrointestinal toxicity of rofecoxib and naproxen in patients with rheumatoid arthritis. VIGOR Study Group. N Engl J Med 2000; 343: 1520-8 Jueni P, Nartey L, Reichenbach S, Sterchi R, Dieppe PA, Egger M. Risk of cardiovascular events and rofecoxib: cumulative meta-analysis. Lancet 2004; online ahead Fitzgerald GA. Coxibs and cardiovascular disease. N Engl J Med 2004; 351: 1709-1711. Mukherjee D, Nissen SE, Topol EJ. Risk of cardio cardiovascular events associated with selective Cox-2 Inhibitors. JAMA 2001; 286: 954-959.
本発明の目的は、抗炎症剤(特に、NSAID、ステロイドまたは選択的Cox-2インヒビター)投与の結果として心血管合併症に罹患する患者のリスクを診断する方法であって、
a)心臓ホルモンのレベルを測定するステップ、
b)測定したレベルを、患者の種々の程度のリスクに関連した既知レベルと比較することによって、患者のリスクを診断するステップ
を含む方法により達成される。
さらに、本発明の目的は、Cox-2阻害特性を有する化合物の投与対象である患者の心血管リスクを診断する方法であって、
a)心臓ホルモンのレベルを好ましくはin vitroで測定するステップ、
b)測定したレベルを、患者の種々の程度のリスクに関連した既知レベルと比較することによって、患者のリスクを診断するステップ
を含む方法により達成される。
Cox-2阻害特性を有する化合物 (Cox-2インヒビターとも呼ばれる)はまた、抗炎症性特性を有する化合物でもあり得る(例えば、ステロイドまたはNSAIDであり得る)。この化合物が、選択的Cox-2インヒビターであるのが最も好ましい。
また、本発明の目的は、Cox-2阻害特性を有する化合物を用いた、患者に対して実行可能な治療法を決定する方法であって、
a)患者における心臓ホルモンレベルを好ましくはin vitroで測定するステップ、
b)測定したレベルを、患者の種々の程度のリスクに関連した既知レベルと比較するステップ、
c)場合によって、心臓内科医による患者の検査を開始するステップ、
d)場合によって、心臓内科医による患者の検査結果を考慮して、治療の開始または治療の中止を推奨するステップ、
を含む方法により達成される。
また、Cox-2阻害特性を有する化合物(Cox-2インヒビターとも呼ばれる)は、抗炎症性特性を有する化合物(例えば、ステロイドまたはNSAID) であり得る。より好ましくは、この化合物は、選択的Cox-2インヒビターである。
上記のように、当該方法は、対象化合物を投与する前に実施するのが好ましいということは明白である。
また、当該方法は、患者より体液または組織試料を採取するステップを含み得る。本発明において、かかる体液または組織試料の採取は好ましくは、非医療スタッフ(すなわち、医療行為を実施するのに必要とされる教育を受けていない人)によって実施され得る。このことは、特に身体の試料が血液である場合にあてはまる。
また、本発明の目的は、Cox-2阻害特性を有する化合物の投与(特に将来的な投与)の対象である患者の心血管リスクを診断するために、患者の心臓ホルモン(特に、ナトリウム利尿ペプチド)のレベルを好ましくはin vitroで測定するための診断方法を使用することによって、達成される。好ましくは、当該レベルは、患者の体液または組織試料中にて測定される。
また、Cox-2阻害特性を有する化合物(Cox-2インヒビターとも呼ばれる)は、抗炎症性特性を有する化合物(例えば、ステロイドまたはNSAID)であり得る。この化合物は、選択的Cox-2インヒビターであるのが最も好ましい。
本発明は、Cox-2阻害特性を有する化合物(特に、選択的Cox-2インヒビター)を伴う薬剤をまさに受けようとしている患者を、これらの患者が当該薬剤により心血管合併症を発症するリスクに関してスクリーニングする単純かつ安価な方法および手段を提供する。かかる薬剤は、抗炎症剤またはCox-2阻害特性を有する化合物、特に、NSAID、ステロイド、選択的Cox-2インヒビターまたはこれらの組み合わせを含み得る。例えば、かかる薬物治療は、ステロイドと選択的Cox-2インヒビターを用いた併用治療、または選択的Cox-2インヒビターと別のNSAIDを用いた併用治療を含み得る(実施例5参照)。また、本発明は、心血管合併症および/もしくは心血管疾患の明白な症候を示す患者、またはそのような症候を示さない患者における心血管リスクの存在または重篤度を示す心臓ホルモンレベルも提供する。
病歴に心血管疾患(心筋梗塞、不安定狭心症、冠動脈疾患、心不全、CABG (冠動脈バイパス・グラフト)、脳卒中)を有する患者または炎症性の基礎疾患(例えば、慢性多発性関節炎、変形性関節症、関節リウマチもしくは他のリウマチ様障害)を有する患者は、心血管合併症を発症しやすい。関節リウマチの患者では、心血管による死亡率が、様々な理由から特に高い。
さらに、心血管疾患の病歴を有する個体(すなわち、例えば、安定狭心症(SAP)を罹患する個体、および急性冠症候群(ACS)を有する個体)は、心血管合併症を発症しやすいと考えられる。ACS患者は、不安定狭心症(UAP)を示す可能性があり、そうでなければ、これらの個体は既に、心筋梗塞(MI)に罹っているかもしれない。MIは、ST上昇型MIである可能性も、非ST上昇型MIである可能性もある。MIの発症に続いて、左心室機能障害(LVD)が発症することがある。最後に、LVD患者は、約15%の死亡率で鬱血性心不全(CHF)を発症する。
心血管疾患の症状としては、例えば、新たなQ波もしくは脚ブロック、非致命的な脳卒中の徴候、浮腫の発症または下肢の既存の浮腫の悪化によって示される心不全の発症または悪化、聴診によるラ音または肺のうっ血、動脈高血圧の新たな発症または既存の動脈高血圧の悪化、および静脈血栓症などが挙げられる。
心血管疾患の症状は、ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association、NYHA)による機能的分類システムで分類されている。クラスIの患者は、心血管疾患のいかなる明白な症候も示さない。身体的活動が制限されず、通常の身体的活動によって過度の疲労、動悸、または呼吸困難(呼吸の短縮)が生じない。クラスIIの患者は、身体的活動にわずかな制限を受ける。患者は安静時には快適であるが、通常の身体的活動によって疲労、動悸、または呼吸困難がある。クラスIIIの患者は、身体的活動に著しい制限を受ける。患者は安静時には快適であるが、通常の活動より軽い身体的活動によって疲労、動悸、または呼吸困難が起こる。クラスIVの患者は、不快感なしにはいかなる身体的活動も実行できない。患者は安静時にも心不全の症候を示し、いかなる身体的活動が実行された場合にも、不快感が増強する。
本発明において、本発明における心血管合併症は、症候、特にNYHAクラスII〜IVの症候、より詳細にはNYHAクラスIII〜IVの症候を引き起こすものである得る。
本発明は特に、既存の心血管疾患、リスク、または合併症の症状をなんら示さない、リスクを有する患者を同定するのに有利である。本発明はまた、心血管疾患の症状を示す患者のリスク状態を確認または監視するのに有用である。
心血管の基礎疾患を有する患者は本来、患者の心血管合併症に罹患するリスクを階層化できる症状を患者が示している場合に、心臓ホルモンのレベルを測定することなく、Cox-2阻害活性を有する化合物、特に選択的Cox2インヒビターを用いた治療から除外される。この除外は、特に、虚血性冠状動脈性心臓病を罹患する患者、脳卒中を罹患したことのある患者、またはNYHAクラスIII-IVに分類される患者について行われる。これらの患者に対しては、Cox-2阻害活性を有する化合物、特に選択的Cox2インヒビターを投与すべきではないが、本発明による心臓ホルモンの測定により、個々のリスクの安定化、Cox-2阻害活性を有する化合物、特に選択的Cox2インヒビターを用いた患者の治療の開始、および/または治療の監視(投与を必要とする場合、もしくは投与することが非常に推奨される場合)を可能とする。
症状によって、患者を明確に分類することができない(そのため、Cox-2阻害活性を有する化合物を用いた治療から患者(男性も女性も)を除外することを決定できない)または患者が、心血管合併症に罹患する認識可能なリスクを示していない場合、個体のリスクの評価は、心臓ホルモンを測定した後に実施することができる。個体の評価は特に、リスクを有する群(すなわち、特定の疾患に関する病歴、または心血管合併症に罹患する可能性を増加させることが知られている生活史を有する群)に属する患者にて行われる。
個体のリスクの評価は特に、以下の患者群において有益である: NYHAクラスI-IIに分類される患者、糖尿病、高脂血症、または筋緊張亢進(hypertonie)を罹患する患者、喫煙者および高齢(例えば、55歳またはそれ以上)である患者。
心臓ホルモンおよびナトリウム利尿ペプチドの、分子マーカーまたは生化学的マーカーとしての使用は、それ自体が公知である。WO02/089657では、様々な心筋梗塞を診断するために、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)を測定することが提案されている。WO02/083913では、非ST上昇型急性冠症候群を患う患者における、短期間罹患率または死亡率を予測するのにBNPを用いることが提案されている。これまで公開されていない欧州出願(EP 1 577 673 A1) では、血管内容量の増加により心血管合併症に罹患する患者のリスクを診断するのにナトリウム利尿ペプチドを用いることが提案されている。
本発明は、特に、心臓内科医による大規模な心疾患学的試験を頻繁に利用する手段をもたない一般開業医、専門医師、および専門病棟、専門部局、または専門医院に有用である。本発明は、そのような非心臓内科医に、複数の患者の中から、Coxインヒビターまたは抗炎症剤の投与、特にNSAID、ステロイドまたは選択的Cox-2インヒビターの投与に関する心血管リスクにさらされている患者をスクリーニングおよび同定するための単純かつ信頼性のある方法および手段を提供する。好ましくは、Cox-2インヒビター、特にNSAID、ステロイドまたは選択的Cox-2インヒビターを用いた治療の継続または開始に関する決定は、医師によってなされる。より好ましくは、Cox-2インヒビター、特にNSAID、ステロイドまたは選択的Cox-2インヒビターを用いた治療の継続または開始に関する決定は、心臓内科医によってなされるか、または心臓内科医に相談した後に決定される。このことは特に、高レベルの心臓ホルモンまたはナトリウム利尿ペプチドが測定された場合にあてはまる。患者が心血管リスクを有さないと診断された場合、Cox-2阻害化合物、特にNSAID、ステロイド、または選択的Cox-2インヒビターを用いた治療の継続または開始に関する決定は、心臓内科医以外の医師によってなされ得る。
本発明は、特定の生化学マーカーまたは分子マーカーを利用する。「生化学マーカー」および「分子マーカー」という用語は、当業者にとって公知である。詳細には、生化学マーカーまたは分子マーカーとは、ある特定の状態、疾患、または合併症の存在下または非存在下に特異的に発現される(すなわち、アップレギュレートされるか、またはダウンレギュレートされる)遺伝子発現産物である。通常、分子マーカーは核酸(mRNAなど)と定義され、生化学マーカーは、タンパク質またはペプチドである。適当な生化学マーカーまたは分子マーカーは、そのレベルによって、状態、疾患、リスクまたは合併症の存在または不在を指示でき、これによって診断を可能にする。
本発明は特に、生化学マーカーとしてナトリウム利尿ペプチドを利用する。ナトリウム利尿ペプチドは、虚血に応答して分泌され得る点に留意すべきである。さらに、本発明において、生化学マーカーとして任意のナトリウム利尿ペプチドの組み合わせを利用することも考えられる。
本発明において使用するナトリウム利尿ペプチドには、ANP型ペプチドおよびBNP型ペプチド、ならびにその変異体が含まれる(例えば、Bonow,R.O(1996)、New insights into the cardiac natriuretic peptides. Circulation 93:1946〜1950を参照)。
ANP型ペプチドには、プレproANP、proANP、NT-proANP、およびANPが含まれる。
BNP型ペプチドには、プレproBNP、proBNP、NT-proBNP、およびBNPが含まれる。
プレプロペプチド(プレプロBNPの場合には134アミノ酸)は、短いシグナルペプチドを含み、このシグナルペプチドは、酵素により切断されて、プロペプチド(プロBNPの場合には108アミノ酸)を遊離する。このプロペプチドがさらにN端プロペプチド(NT−プロペプチド、NT-proBNPの場合には76アミノ酸)と、活性ホルモン(BNPの場合には32アミノ酸、ANPの場合には28アミノ酸)とに切断される。
本発明による好ましいナトリウム利尿ペプチドは、NT-proANP、ANP、NT-proBNP、BNPおよびそれらの変異体である。ANPおよびBNPは、活性ホルモンであり、それらそれぞれの不活性型の対応物(NT-proANPおよびNT-proBNP)よりも半減期が短い。 BNPは、血液中にて代謝され、一方NT-proBNPは、 未処理の分子として血液中を循環し、腎臓で除去される。NT-proBNPの in-vivo半減期は、BNPのin-vivo半減期である20分(Smith MW, Espiner EA, Yandle TG, Charles CJ, Richards AM. Delayed metabolism of human brain natriuretic peptide reflects resistance to neutral endopeptidase. J Endocrinol. 2000; 167: 239-46.))よりも120分長い。
NT-proBNPを用いれば前分析がより着実なものとなり、中央試験室への試料の輸送が簡単になる(Mueller T、Gegenhuber A、Dieplinger B、Poelz W、Haltmayer M、Long-term stability of endogenous B-type natriuretic peptide (BNP) and amino terminal proBNP (NT-proBNP) in frozen plasma samples、Clin Chem Lab Med、2004年、42:942〜4)。血液試料は室温で数日間保存することもできるし、または回収の損失なしに郵送もしくは出荷することもできる。対照的に、BNPを室温または4℃で48時間保存した場合には、少なくとも20%の濃度喪失が生じる(Mueller T、Gegenhuber A、et al、Clin Chem Lab Med 2004;42:942〜4、前掲;Wu AH、Packer M、Smith A、Bijou R、Fink D、Mair J、Wallentin L、Johnston N、Feldcamp CS、Haverstick DM、Ahnadi CE、Grant A、Despres N、Bluestein B、Ghani F、Analytical and clinical evaluation of the Bayer ADVIA Centaur automated B-type natriuretic peptide assay in patients with heart failure: a multisite study、Clin Chem 2004年、50:867〜73)。
したがって、目的の経過または特性に応じて、ナトリウム利尿ペプチドの活性形態における測定が有利となる場合と、不活性形態における測定が有利となる場合とがある。本発明において最も好ましいナトリウム利尿ペプチドは、NT-proBNPおよびその変異体である。
本明細書においては、「変異体」という用語は、上記のペプチドに実質上類似したペプチドに関するものである。当業者にとって、「実質上類似」という用語は周知である。詳細には、変異体とは、ヒト集団における最も一般的なペプチドアイソフォームのアミノ酸配列と比較した際に、アミノ酸の交換を示すアイソフォームまたはアレルの場合がある。好ましくは、そのような実質上類似したペプチドは、そのペプチドの最も一般的なアイソフォームに対して、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%の配列類似性を有する。本発明の診断手段によって、またはそれぞれの完全長ペプチドに対するリガンドによってなおも認識されるタンパク分解性分解産物も、実質上類似したペプチドである。
「変異体」という用語は、グリコシル化されたペプチドなど、翻訳後修飾されたペプチドにも関する。試料採取後に、例えば標識の付加によって、詳細には放射性標識または蛍光標識の、ペプチドへの共有結合性または非共有結合性の付加によって修飾されたペプチドも、「変異体」の1つである。
本発明の他の実施形態は、様々な心臓ホルモンを組み合わせて、同時または非同時に測定することを含む。例えば、様々な心臓ホルモンを測定することによって、例えば、進行性の心血管合併症の経過に関する情報など、重要な追加情報を得ることができる。したがって、本発明は、ANP型ペプチドまたはその変異体と、BNP型ペプチドまたはその変異体との両方を測定することにも関する。
当業者にとって、「診断」という用語は公知である。診断とは、特定の病状、疾患、合併症、またはリスクを認識することと理解される。また、診断とは、特定の病状、疾患、合併症、またはリスクの存在を検出または測定することと理解される。本発明において診断とは、関連する疾患、合併症またはリスクの、監視、確認、細分類、および予測が含まれる。監視は、リスクの増減または、リスクの増減に対する治療の効果を分析するために、既に診断されたリスクまたは合併症の動向を把握することに関する。確認は、既に行われた診断を、他の指標またはマーカーを用いて強化または実証することに関する。細分類は、診断された疾患のリスクの種々のサブクラスに従って、診断をさらに詳しく特定すること、例えば高いリスクまたは非常に高いリスクに応じた特定を行うことに関する。予測は、他の症候もしくはマーカーが自明になるか、または有意に変化する前に、心血管のリスクを予測することに関する。
心血管疾患に罹患した個体は、安定狭心症(SAP)を罹患する個体である可能性があり、さらに急性冠症候群(ACS)を罹患する個体である可能性もある。ACS患者は、不安定狭心症(UAP)を示す可能性があり、そうでなければ、これらの個体は既に、心筋梗塞(MI)に罹っているかもしれない。MIは、ST上昇型MIである可能性も、非ST上昇型MIである可能性もある。MIの発症に続いて、左心室機能障害(LVD)が発症することがある。最後に、LVD患者は、約15%の死亡率で鬱血性心不全(CHF)を発症する。
さらに、心血管疾患に罹患した個体は、脳卒中を罹患する個体である可能性がある。「脳卒中」という用語は、脳血管事象であって、脳への出血または大脳動脈の血栓により、脳の小さなまたは大きな部分への血流が遮断されることに関する。脳卒中は、一時的に意識を失ったり、または麻痺を生じたりする。この場合の脳卒中は、「卒中(apoplectic stroke)」と呼ばれる。
個体は、臨床症状(例えば、呼吸困難、胸痛、以下のNYHA分類を参照) を示す可能性があり、また個体は無症状である可能性もある。本発明は、既存の心血管疾患、リスクまたは合併症の症状を示さないようなリスクを有する患者を同定するのに特に有効であるが、他の設定、例えば、心血管疾患の症状を示す患者のリスク状態を確認または監視するのにも有用である。
「心血管リスク」という用語は、心血管合併症発症のリスクに関する。
本発明は、抗炎症剤またはCox-2インヒビター、特にNSAID、ステロイド、または選択的Cox-2インヒビターの投与により発症する「心血管合併症」に関する。心血管合併症はまた、「心血管事象」としても知られる。以下、もっぱらまたは大抵、「心血管合併症」という用語を用いる。
当業者にとって、「心血管合併症」という用語は公知である。したがって、本発明において「心血管合併症」という用語は、当業者に公知であるあらゆる種類の心血管合併症または心不全 (特に、急性心不全)に関し、特に当該用語は、動脈血栓または動脈血栓発症に関連する合併症を指す。動脈血栓は、冠不全症候群 (例えば、急性心筋梗塞または脳卒中)を生じ得る。
特に「心血管合併症」とは、動脈系における合併症(例えば、ACS、UAP、MI、ST上昇型MI、非ST上昇型MIまたは脳卒中)に関する。
より詳細には、「心血管合併症」とは、MI、ST上昇型MI、非ST上昇型MIまたは脳卒中に関する。
心血管疾患の症状としては、例えば、新たなQ波もしくは脚ブロック、非致命的な脳卒中の徴候、浮腫の発症または下肢の既存の浮腫の悪化によって示される心不全の発症または悪化、聴診によるラ音または肺のうっ血、動脈高血圧の新たな発症または既存の動脈高血圧の悪化、および静脈血栓症などが挙げられる。
心血管疾患の症状は、ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association、NYHA)による機能的分類システムで分類されている。クラスIの患者は、心血管疾患のいかなる明白な症候も示さない。身体的活動が制限されず、通常の身体的活動によって過度の疲労、動悸、または呼吸困難(呼吸の短縮)が生じない。クラスIIの患者は、身体的活動にわずかな制限を受ける。患者は安静時には快適であるが、通常の身体的活動によって疲労、動悸、または呼吸困難がある。クラスIIIの患者は、身体的活動に著しい制限を受ける。患者は安静時には快適であるが、通常の活動より軽い身体的活動によって疲労、動悸、または呼吸困難が起こる。クラスIVの患者は、不快感なしにはいかなる身体的活動も実行できない。患者は安静時にも心不全の症候を示し、いかなる身体的活動が実行された場合にも、不快感が増強する。
本発明において、本発明における心血管合併症は、症候、特にNYHAクラスII〜IVの症候、より詳細にはNYHAクラスIII〜IVの症候を引き起こすものである得る。
「左心室駆出分画率」(LVEF)は、「駆出率」としても知られ、心血管合併症または機能不全の別の特性となりうる。健康な心臓をもつ人々は、通常、健全なLVEFを有し、これは通常50%を越えると説明される。徴候的な収縮期性心疾患に罹る人々のほとんどが、通常40%以下のLVEFを有する。
心血管合併症 (例えば、MI) は、40%以下のLVEFを伴うものであってもよい。
心不全は、「代償性」であっても、「非代償性」であってもよい。代償性とは、身体における通常の酸素需要を満たすことがまだできることを意味し、一方、非代償性とは、身体における通常の酸素需要が既に満たされていないことを意味する。
本発明において、「心血管リスクを診断する」とは、心血管リスクを診断すること(すなわち、認識すること)、および既存のまたは知られている心血管リスクの増減を監視することを含む。
本発明によれば、「患者」という用語は、健康な個体、明らかに健康な個体、または、特に疾患に罹っている個体に関する。患者は、男性でも女性でもよく、なぜならば本発明はそのどちらを診断するのにも適しているからである。詳細には、患者は、リウマチ、関節リウマチ (慢性多発性関節炎)、変形性関節症、乾癬性関節炎、脊椎関節症、もしくは他の炎症性疾患または変形性関節症に罹っているか、またはその治療を受けている。また患者は、潰瘍または癌に罹っていてもよい。これに関連して、上述の疾患は、Cox-2阻害特性を有する化合物 (例えば、抗炎症剤)、特に NSAID、ステロイド、または選択的Cox-2インヒビターの投与が、治療の一部とみなされる疾患であるということを留意すべきである。さらにより詳細には、患者は、心血管リスクもしくは合併症のいかなる既知な病歴もなく、かつ/または心血管リスクもしくは合併症の症候を示さないか、わずかに示すのみであり、かつ/または心血管リスクもしくは合併症の治療を受けていない。しかし、心血管リスクもしくは合併症の徴候または病歴をまったくもたない健常な個体も、本発明において患者であるとみなされる。
好ましくは、患者は抗炎症剤を用いて治療されているか、まさに治療されようとしている。このような患者は、上記薬剤による治療の「対象」として理解される。さらに好ましくは、患者は、選択的Cox-2インヒビターを用いて治療されているか、まさに治療されようとしている。このような患者は、選択的Cox-2インヒビターによる治療の「対象」として理解される。もちろん、薬剤または選択的Cox-2インヒビターのそれぞれを用いた治療は一般に、妥当な治療の選択肢とみなすべきである。
どのような状況下で、心血管合併症が、抗炎症剤またはCox-2インヒビター、特に、NSAID、ステロイド、もしくは選択的Cox-2インヒビターの投与の「結果として」生じると考えられるか、当業者にとって公知である。因果関係を明確に確立することは可能でないかもしれないし、また必要でないかもしれないということを認識すべきである。心血管合併症が、抗炎症剤またはCox-2インヒビター、特に、NSAID、ステロイド、もしくは選択的Cox-2インヒビターの投与により、引き起こされたまたは引き起こされるという、充分に高い可能性が確立されれば十分であり得る。例えば、APPROVE試験により、試験群とプラシーボ群の間で、ほぼ4倍の数の心血管合併症の増加が示された。本発明において、選択的Cox-2インヒビターを用いて治療された患者における心血管合併症がまた治療によって生じたと考えるのも当然と思われる。したがって、本発明はまた、抗炎症剤、Cox-2インヒビター、NSAIDまたは選択的Cox-2インヒビターの投与後に心血管合併症を罹患するリスクを診断することにも関する。
さらに、因果関係を示す方法またはサインに、当業者は精通している。例えば、薬物の投与と心血管合併症の徴候との間の時間的関係は常に、かかる薬物が、合併症の原因であること、または合併症を「引き起こした」ことを示す。例えば、APPROVE試験における心血管合併症の数の増加は、治療の18ヶ月後に明確となる。別の例では、心血管合併症の重篤度が、投与された薬物の量と関係がある場合、それは因果関係を示す可能性がある。例えば、心エコー図または心電図における病変は、当該薬物による治療を中止すると改善される可能性がある。特定の例において、1つ以上の心臓ホルモンのレベルを、抗炎症剤の投与前および投与の間、監視し得る。心臓ホルモンのレベルが、当該薬物を用いた治療を開始すると増加し、かかる治療を中止すると減少する場合、かかる薬物が心血管リスクの増加を生じることを示す。同様に、心臓ホルモンのレベルが、薬物の用量に関連する場合、これも当該薬物が、心血管リスクの増加を生じることを示す。そのような状況下で現れる心血管合併症は、薬物の投与によって引き起こされた可能性がある。このことは、薬物の投与により心臓ホルモンのレベルの増加が、他の患者と比べて異常に高い、または用量のわずかな増加が、心臓ホルモンのレベルの異常に急激な増加を生じる場合、よりさらに可能性がある。
抗炎症剤は、当業者に公知である。特にこのような薬剤としては、非ステロイド系抗リウマチ剤(非ステロイド系抗炎症剤、NSAIDとしても知られる)、 Cox-2インヒビター、コルチコステロイドおよびTNFインヒビターが挙げられる。
抗炎症剤の例としては、アルクロフェナック;ジプロピオン酸アルクロメタゾン;アルゲストンアセトニド;アルファアミラーゼ;アムシナファル(Amcinafal);アムシナフィド(Amcinafide);アンフェナクナトリウム;塩酸アミプリロース;アナキンラ;アニロラク(Anirolac);アニトラザフェン(Anitrazafen);アパゾン;バルサラジド二ナトリウム;ベンダザック;ベノキサプロフェン;塩酸ベンジダミン;ブロメライン;ブロペラモール(Broperamole);ブデソニド;カルプロフェン;シクロプロフェン(Cicloprofen);シンタゾン(Cintazone);クリプロフェン(Cliprofen);プロピオン酸クロベタゾール;酪酸クロベタゾン;クロピラク(Clopirac);プロピオン酸クロチカゾン(Cloticasone Propionate);酢酸コルメタゾン(Cormethasone Acetate);コルトドキソン;セレコキシブ; ロフェコキシブ (VIOXX); エトリコキシブ; バルデコキシブ; パレコキシブ; ルミラコキシブ; デフラザコルト;デソニド;デスオキシメタゾン;ジプロピオン酸デキサメタゾン;ジクロフェナク;ジクロフェナクカリウム;ジクロフェナックナトリウム;酢酸ジフロラゾン;ジフルミドンナトリウム(Diflumidone Sodium);ジフルニサル;ジフルプレドナート;ジフタロン;ジメチルスルホキシド;ドロシノニド(Drocinonide);エンドリゾン(Endrysone);エンリモマブ(Enlimomab);エノリカムナトリウム(Enolicam Sodium);エピリゾール;エトドラク;エトフェナメート(Etofenamate);フェルビナク;フェナモール(Fenamole);フェンブフェン;フェンクロフェナック;フェンクロラック(Fenclorac);フェンドサル(Fendosal);フェンピパロン(Fenpipalone);フェンチアザク;フラザロン(Flazalone);フルザコート(Fluazacort);フルフェナム酸;フルミゾール;酢酸フルニソリド;フルニキシン;フルニキシンメグルミン;フルオコルチンブチル(Fluocortin Butyl);酢酸フルオロメトロン;フルカゾン(Fluquazone);フルルビプロフェン;フルレトフェン(Fluretofen);プロピオン酸フルチカゾン;フラプロフェン(Furaprofen);フロブフェン;ハルシノニド;プロピオン酸ハロベタゾール;酢酸ハロプレドン;イブフェナック;イブプロフェン;イブプロフェンアルミニウム;イブプロフェンピコノール;イロニダップ(Ilonidap);インドメタシン;インドメタシンナトリウム;インドプロフェン;インドキソール(Indoxole);イントラゾール(Intrazole);酢酸イソフルプレドン;イソクセパック(Isoxepac);イソキシカム;ケトプロフェン;塩酸ロフェミゾール(Lofemizole Hydrochloride);ロルノキシカム;エタボン酸ロテプレドノール;メクロフェナム酸ナトリウム;メクロフェナム酸;ブチル酸メクロリゾン(Meclorisone Dibutyrate);メフェナム酸;メロキシカム(MobicTM); メサラミン;メセクラゾン;スレプタン酸メチルプレドニゾロン;モルニフルメート(Morniflumate);ナブメトン;ナプロキセン;ナプロキセンナトリウム;ナプロキソール(Naproxol);ニマゾン(Nimazone);オルサラジンナトリウム;オルゴテイン;オルパノキシン(Orpanoxin);オキサプロジン;オキシフェンブタゾン;塩酸パラニリン(Paranyline Hydrochloride);ペントサン多硫酸ナトリウム;フェンブタゾンナトリウムグリセラート(Phenbutazone Sodium Glycerate);パーフェニドン;ピロキシカム;ケイ皮酸ピロキシカム;ピロキシカムオラミン;ピルプロフェン;プレドナゼート(Prednazate);プリフェロン(Prifelone);プロドリックアシッド(Prodolic Acid);プロクアゾン(Proquazone);プロキサゾール(Proxazole);クエン酸プロキサゾール(Proxazole Citrate);リメキソロン(Rimexolone);ロマザリツ(Romazarit);サルコレックス(Salcolex);サルンアセジン(Salnacedin);サルサラート;サリチル酸;塩化サンギナリウム(Sanguinarium Chloride);セクラゾン(Seclazone);セルメタシン(Sermetacin);スドキシカム(Sudoxicam);スリンダク;スプロフェン;タルメタシン(Talmetacin);タルニフルメート(Talniflumate);タロサレート(Talosalate);テブフェロン(Tebufelone);テニダップ;テニダップナトリウム;テノキシカム;テシカム(Tesicam);テシミド(Tesimide);テトリダミン(Tetrydamine);チオピナク(Tiopinac);ピバル酸チクソコルトール;トルメチン;トルメチンナトリウム;トリクロナイド(Triclonide);トリフルミデート(Triflumidate);ジドメタシン(Zidometacin);およびゾメピラックナトリウム;エタネルセプト; レネルセプト(Lenercept); インフリキシマブ; コルチゾン; フルオコルトロン; ヒドロコルチゾン; メチルプレドニゾロン; プレドニソロン; プレドニソンおよびプレドニリデンが挙げられる。
場合によっては、上記化合物のいずれかを投与する前に、心臓ホルモンまたはナトリウム利尿ペプチド、例えば、NT-proBNPを測定することが、本発明に含まれる。
「非ステロイド系抗リウマチ剤」(非ステロイド系抗炎症薬またはNSAIDとも呼ばれる)という用語は、当業者に公知である。NSAIDは、シクロオキシゲナーゼ(プロスタグランジンHシンテターゼとしても知られる)を阻害する。シクロオキシゲナーゼは、アラキドン酸からプロスタグランジンH(環状エンドペルオキシド)への反応を触媒し、プロスタグランジンHは、プロスタグランジンI(プロスタサイクリンとしても知られる)、トロンボキサンA、および他のプロスタグランジンの前駆体である。プロスタグランジンは、痛覚、熱、および炎症反応で重要な役割を果たしている。シクロオキシゲナーゼには、Cox−1およびCox−2の2つのアイソフォームがある。Cox−2遺伝子は、即時型遺伝子であり、組織障害、疼痛反応、または炎症反応の状態下で誘導される。したがって、NSAIDには、Cox−1インヒビターおよびCox−2インヒビターが含まれる。NSAIDは、両アイソフォームを阻害するものでも、または1つのアイソフォームに選択的な(すなわち、治療量において、それらは2つのイアイソフォームのうち1つのみを阻害する)ものでもよい。
非特異的なNSAIDの例には、イブプロフェン;フルルビプロフェン;ナプロキセン;フルフェナム酸;メフェナム酸;ピロキシカム;ジクロフェナク;フェンブタゾンナトリウムグリセラート(Phenbutazone Sodium Glycerate);インドメタシン;テノキシカムが含まれる。
本発明において使用する選択的Cox−2インヒビターは、治療条件下でCox−2の発現または、好ましくは、酵素機能を阻害するが、Cox−1の発現または、好ましくは、酵素機能を有意に阻害しない化合物である。選択的Cox−2インヒビターの例には、コキシブ(例えば、セレコキシブ、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ(バルデコキシブのプロドラッグ)、ルミラコキシブ)、メクロフェナム酸、スリンダク硫化物、ジクロフェナク、ニメスリド、メロキシカム、エトドラク、NS398、L−745337、DFP(3−(2−プロピルオキシ)−4−(4−メチルスルホニルフェニル)−5,5ジメチルフラノン)が含まれる。最後の3つの化合物は、Warner,T.D.ら、1999年に記載されている。
2つのシクロオキシゲナーゼの酵素機能は、適当なin vivoまたはin vitro試験を含めた、当技術分野で公知の方法で測定できる。Cox−1酵素機能の典型的なマーカーは、トロンボキサンAの生成であり、一方、Cox−2酵素機能の典型的なマーカーは、プロスタグランジン(例えば、マクロファージからのプロスタグランジンE)の生成である。
適当な試験系の例は公表されている(例えば、Warner,T.D.、Giuliano,F.、Vojnovic,I.ら(1999)、Nonsteroid drug selectivities for cyclo-oxygenase-1 rather than cyclo-oxygenase-2 are associated with human gastrointestinal toxicity:A full in vitro analysis、Proceedings of the National Academy of Sciences USA、96巻、7563〜7568頁、関連の訂正が96巻(17)、9966d頁に掲載)。このアッセイはWilliam Harvey修正アッセイと呼ぶことにする。このアッセイは、上記Warner,T.D.ら、7563〜4頁に詳細に記載されており、その記載を参照により本明細書に明示的に組み込む。
本発明による選択的Cox−2インヒビターは、好ましくは、William Harvey修正アッセイに従った場合に、5倍を越えるCox−2選択性を有し、より好ましくは、William Harvey修正アッセイに従った場合に、50倍を越えるCox−2選択性を有する(上記Warner,T.D.ら、7567頁の図3を参照)。
あるいは、本発明による選択的Cox−2インヒビターは、好ましくはCox−2に対してジクロフェナクより選択的、より好ましくはCox−2に対してニメスリドより選択的、さらにより好ましくは、治療条件下でCox−2に対して少なくともセレコキシブと同程度に選択的な化合物である。
別の好ましい実施形態では、本発明は、「コキシブ」の投与対象である患者の心血管リスクを診断する方法および手段に関する。コキシブ類の例には、セレコキシブ(セレブレックスTM、Pfizer社)、ロフェコキシブ(バイオックスTM、Merck社)、エトリコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ(バルデコキシブのプロドラッグ)、ルミラコキシブ(プレキシジTM、Novartis社)が含まれる。他の同様の化合物も本発明の範囲に包含され、それらのうちいくつかは、開発および試験の過程にある。
選択的Cox-2インヒビターの望ましくない心血管副作用について現在議論されている病理学的機序は以下のものである:プロスタグランジン I2 (PGI2)形成の阻害は、上記心血管事象の発症の主な原因であると考えられる。PGI2は、血小板凝集の阻害、血管拡張およびin vitroにおける平滑筋細胞の増殖の阻害を生じる。
一方、トロンボキサン A2(血小板の最も重要なCOX-1産物)は、血小板凝集、血管収縮および血管増殖を生じる。PGI2とトロンボキサン A2との間の保たれた均衡が破られると、血管内の血液凝固の活性化を促し、血圧の上昇を生じ、アテローム性動脈硬化を加速させると、考えられる。
したがって、好ましい実施形態において、本発明はまた、抗炎症剤の投与による患者の心血管リスクを評価するための心臓ホルモンの使用に関し、ここで心血管リスクは、Cox-1とCox-2阻害との間の保たれた均衡を乱すこと、および/もしくはプロスタグランジン代謝を乱すこと、ならびに/または、PGI2とトロンボキサン A2との間の保たれた均衡を乱すこと、より詳細にはPGI2形成の阻害によって、引き起こされる。本発明はまた、抗炎症剤の投与による患者の心血管リスク(血管内血栓を促す、および/または、血圧の上昇を生じる、および/または、アテローム性動脈硬化を加速する)を評価するための心臓ホルモンの使用に関する。より好ましくは、本発明は、心血管合併症に罹患するリスク(ここでリスクとは、血液容量および血管内容量 (volume overload)の増加によるものである)を評価するための心臓ホルモンの使用に関連しない。
本発明において、「ステロイド」という用語は、「コルチコステロイド」の略称として用いられる。コルチコステロイドは、プロスタグランジン代謝に影響を及ぼすことによって、その抗炎症性活性を発揮すると、一般的に考えられている。本発明によるコルチコステロイドの例としては、コルチゾン;フルオコルトロン;ヒドロコルチゾン;メチルプレドニゾロン;プレドニソロン;プレドニソン;およびプレドニリデンが含まれる。
TNFインヒビターはまた、特に、関節リウマチを有する患者において抗炎症剤として用いられる(増大した濃度のTNF-αが、関節リウマチを罹患する患者において見られた)。また、TNF-αの阻害により、IL-1およびIL-6の形成が低下する。TNFインヒビターの例としては、エタネルセプト、ラネルセプト(Lenercept)(エタネルセプトのアナロゴン(analogon))、インフリキシマブ、およびD2E7 (TNF-αに対する完全ヒト化モノクローナル抗体)。
別の好ましい実施形態において、本発明は、(a)炎症マーカー、(b)内皮機能マーカー、(c)虚血マーカー、(d)血小板活性化マーカー、(e)アテローム性動脈硬化活性化マーカー、および(f)血管内凝固の活性化マーカー、からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーのレベルを追加的に測定することに関する。
追加的マーカーを測定することによって、診断の選択性および特異性を高めることができる。また、ナトリウム利尿ペプチドのレベルを測定することによって、確立した診断を確認するのに役立ち得る。
本発明による炎症マーカーは、炎症過程、特に血管炎症過程または動脈炎症過程を示す任意のマーカーを含む。特に、本発明による炎症マーカーは、炎症活性化サイトカインを含む。炎症マーカーの例としては、インターフェロン(例えば、インターフェロンγ)、インターロイキン(例えば、IL-1、IL-6、IL-8)、腫瘍壊死因子(TNF) α)、CRP (C反応性タンパク質)、hsCRP (高感度C反応性タンパク質)を含む。
本発明による内皮機能マーカーは、血管内修復過程を示す任意のマーカーを含み、例えば、そのような過程に関連するサイトカインが含まれる。このようなマーカーの例としては、セレクチン(例えば、E-セレクチン、P-セレクチン)、ICAM-1 (細胞内細胞接着分子-1)、VCAM-1 (血管細胞接着分子-1)、PDGF (血小板由来増殖因子)、TGF-α、TGF-β、カテコールアミン、プロスタグランジン、アンジオテンシン、エンドセリン、およびNO (一酸化窒素)が挙げられる。炎症マーカーとして既に述べたが、TNF-α、TNF-β、およびIL-1もまた、内皮機能マーカー群に属すると考えられ得る。
本発明による虚血マーカーは、虚血を生じる不十分な酸素供給を示す任意のマーカーを含む。特に不十分な酸素供給は局所的なものであり、また生じた虚血も局所的なものである。このような局所的な虚血は、罹患動脈の標的組織への血流を制限する動脈血栓によって生じ得る。虚血マーカーの例としては、虚血性変性アルブミン (IMA)および高感度トロポニン(例えば、TnIおよびTnT)を含む。
本発明による血小板活性化マーカーは、血小板の活性化または凝集性を示す任意のマーカーを含む。好ましいマーカーは、可溶性CD40リガンド (sCD40L)である。血小板の活性化または血小板の凝集性もまた、血小板過多の血漿試料の分析によって測定できることを理解すべきである。試料採取後、誘引物質を添加し、濁度の低下によって、血小板凝集の時間的経過を測定する。多くの小さな血小板が、大きな凝集塊に凝集することによって、光の分散を減少させるため、濁度が低下する。誘引物質は、適当であると当業者にみなされる任意の物質(例えば、アデノシン二リン酸(ADP)、セロトニン、コラーゲン、プロテアーゼまたはリストセチン(ristocetine))であり得る。診断は、測定結果を対照試料または対照群における同一実験の結果と比較することによって行うことができる。したがって、このような試験は、本発明によるマーカーを検討し得る。
本発明によるアテローム性動脈硬化活性化マーカーは、アテローム性動脈硬化の進行を示す任意のマーカーを含む。アテローム性動脈硬化活性化マーカー例のとしては、リポタンパク関連ホスホリパーゼ A2 (Lp-PLA2)が挙げられる。
血管内凝固の活性化マーカーの例としては、フィブリノゲン分解産物、Dダイマーおよびプラスミノゲン活性化因子インヒビターが挙げられる。
本発明に係る診断は、診断手段を用いて行うことが好ましい。診断手段とは、目的の物質、詳細には目的のペプチドまたはポリペプチド、より詳細には心臓ホルモンのレベル、量、または濃度の測定を可能にするいかなる手段でもよい。
それぞれのペプチドレベルを測定するのに使用できる方法および診断手段は当業者に公知である。これらの方法には、マイクロプレートELISAに基づく方法、完全自動化免疫アッセイまたはロボット免疫アッセイ(例えば、ElecsysTM分析器が利用可能)、CBA(酵素コバルト結合アッセイ、例えば、Roche-HitachiTM分析器が利用可能)、およびラテックス凝集アッセイ(例えば、Roche社-HitachiTM分析器が利用可能)が含まれる。
さらに、当業者ならば、ペプチドまたはポリペプチドのレベルを測定する様々な方法に精通している。「レベル」という用語は、患者体内(より詳細には、患者の血液もしくは尿試料)または患者から採取された試料(例えば、血液もしくは尿試料)中のペプチドまたはポリペプチドの量または濃度に関する。本発明による「測定」という用語は、核酸、ペプチド、ポリペプチド、または他の目的の物質の量または濃度を、好ましくは半定量的または定量的に、決定することに関する。測定は、直接的にでも、間接的にでも行うことができる。間接的な測定には、細胞応答、結合リガンド、標識、または酵素反応生成物の測定が含まれる。
本発明に関しては、量は濃度にも関する。既知のサイズの試料中における、目的の物質の総量から、その物質の濃度が計算できること、また、この逆も同様であることは自明である。
測定は、当技術分野で公知のいかなる方法で行うこともできる。好ましい方法を以下に記載する。
一実施形態において、目的のペプチドまたはポリペプチド、詳細には心臓ホルモンのレベルを測定する方法は、(a)上記ペプチドまたはポリペプチドに対し細胞応答しうる細胞を、適当な時間、上記ペプチドまたはポリペプチドと接触させるステップと、(b)上記細胞応答を測定するステップとを含む。
別の実施形態において、目的のペプチドまたはポリペプチド、詳細には心臓ホルモンのレベルを測定する方法は、(a)ペプチドまたはポリペプチドを、十分な時間、適当な基質と接触させるステップと、(b)産物の量を測定するステップとを含む。
別の実施形態において、目的のペプチドまたはポリペプチド、特に心臓ホルモンのレベルを測定する方法は、(a)ペプチドまたはポリペプチドを、特異的な結合リガンドと接触させるステップと、(b)(場合により)非結合リガンドを除去するステップと、(c)結合したリガンドの量を測定するステップとを含む。
このペプチドまたはポリペプチドは、試料中、特に体液または組織試料中に含有されて、試料中のペプチドまたはポリペプチドの量が測定されることが好ましい。
ペプチドおよびポリペプチド(タンパク質)は、組織、細胞、および体液試料中、すなわち、好ましくはin vitroで、測定することができる。目的のペプチドまたはポリペプチドは、体液試料中で測定されることが好ましい。
本発明において組織試料は、ヒトまたは動物の死体または生体から得られるいかなる種類の組織も指す。組織試料は、当業者に公知のいかなる方法でも、例えば生検または掻爬術によって得ることができる。
本発明において体液には、血液、血清、血漿、リンパ液、脳液、唾液、および尿が含まれうる。詳細には、体液には、血液、血清、血漿、および尿が含まれる。体液試料は、当技術分野で公知のいかなる方法でも入手することもできる。
細胞試料を入手する方法には、単一細胞または小細胞群の直接的調製、組織の解離(例えば、トリプシンを用いる)、および、例えば濾過または遠心分離による、体液からの細胞の分離が含まれる。本発明による細胞には、血小板および他の非核細胞、例えば赤血球も含まれる。
必要な場合、試料はさらに処理されてもよい。詳細には、核酸、ペプチド、またはポリペプチドは、濾過、遠心分離、またはクロロホルム/フェノール抽出などの抽出法を含めた、当技術分野で公知の方法に従って、試料から精製してもよい。
細胞応答を測定するには、試料または処理された試料を、細胞培養に添加し、細胞内外の応答を測定する。細胞応答には、リポーター遺伝子の発現、または物質、例えば、ペプチド、ポリペプチド、または小分子の分泌が含まれる。
測定に適した他の方法には、目的のペプチドまたはポリペプチドに特異的なリガンド結合の量を測定することが含まれうる。本発明による結合には、共有結合および非共有結合の両方が含まれる。
本発明においてリガンドは、目的のペプチドまたはポリペプチドに結合するいかなるペプチド、ポリペプチド、核酸、または他の物質でもありうる。ペプチドまたはポリペプチドは、ヒトまたは動物の体から採取または精製した場合、例えばグリコシル化によって、修飾できることが周知である。本発明による適当なリガンドは、そのような部位を介してペプチドまたはポリペプチドに結合するものでもよい。
リガンドは、測定対象のペプチドまたはポリペプチドに、好ましくは特異的に結合すべきである。本発明による「特異的結合」とは、リガンドが、試験対象の試料中に存在する別のペプチド、ポリペプチドまたは物質に実質上結合する(それと「交差反応する」)べきではないことを意味する。特異的に結合するタンパク質またはアイソフォームは、いかなる他の適切なペプチドまたはポリペプチドよりも、好ましくは少なくとも3倍以上高い親和性、より好ましくは少なくとも10倍以上高い親和性、およびさらにより好ましくは少なくとも50倍以上高い親和性で結合するべきである。
試験対象のペプチドまたはポリペプチドが、例えばウェスタンブロット上の大きさによって、またはそれが試料中で比較的豊富にあることによって、識別可能であり、かつ明確に測定できる場合、非特異的結合も許容されることがある。
リガンドの結合は、当技術分野で公知のいかなる方法でも測定することができる。この方法は、半定量的であるか、または定量的であることが好ましい。適切な方法を以下に記載する。
第1に、リガンドの結合は、例えば、NMRまたは表面プラズモン共鳴法で直接測定することができる。
第2に、リガンドが目的のペプチドまたはポリペプチドのもつ酵素活性の基質として機能する場合には、酵素反応産物を測定することができる(例えば、プロテアーゼの量は、切断された基質の量を、例えば、ウェスタンブロットで測定することによって、測定することができる)。
酵素反応産物を測定するためには、基質の量が飽和状態に近いことが好ましい。基質は、反応前に検出可能な標識で標識されてもよい。試料は適当な時間、基質に接触させることが好ましい。適当な時間とは、検出可能であり、かつ好ましくは測定可能な量の産物が生成されるのに必要な時間を指す。産物の量を測定する代わりに、所定(例えば、検出可能な)量の産物が生じるのに必要な時間を測定することもできる。
第3に、リガンドは、リガンドの検出および測定を可能にする標識と、共有結合または非共有結合によって結合させることができる。
標識は、直接的方法で行っても、間接的方法で行ってもよい。直接標識は、標識をリガンドに直接(共有結合または非共有結合によって)結合させるものである。間接標識は、二次リガンドを一次リガンドに結合させる(共有結合または非共有結合によって)ものである。二次リガンドは、一次リガンドに特異的に結合すべきものである。上記二次リガンドは、適当な標識と結合してもよく、および/または二次リガンドに結合する三次リガンドの標的(受容体)であってもよい。シグナルを増強するために、二次、三次、またはさらに高次のリガンドがしばしば用いられる。適当な二次リガンド、およびより高次のリガンドには、抗体、二次抗体、および周知のストレプトアビジンビオチン系((Vector Laboratories社)を含むことができる。
リガンドまたは基質は、当技術分野で公知の、1つまたは複数のタグで「タグ標識」してもよい。そのようなタグは、その後、より高次のリガンドの標的となりうる。適当なタグには、ビオチン、ジゴキシゲニン、Hisタグ、グルタチオンSトランスフェラーゼ、FLAG、GFP、mycタグ、インフルエンザAウイルスヘマグルチニン(HA)、マルトース結合タンパク質などが含まれる。ペプチドまたはポリペプチドの場合、タグは、N末端および/またはC末端にあることが好ましい。
適切な検出方法で検出可能ないかなる標識も、適当な標識である。典型的な標識には、金粒子、ラテックスビーズ、アクリダンエステル、ルミノール、ルテニウム、酵素的に活性な標識、放射性標識、磁性標識(例えば、常磁性および超常磁性標識を含めた「磁性ビーズ」)、および蛍光標識が含まれる。
酵素的に活性な標識には、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、βガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、およびこれらの誘導体が含まれる。検出用に適当な基質には、ジアミノベンジジン(DAB)、3,3’−5,5’−テトラメチルベンジジン、NBT−BCIP(4−ニトロブルーテトラゾリウム塩化物および5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−リン酸、Roche Diagnostics社から既成の原液として購入可能)、CDP-StarTM(Amersham Biosciences社)、およびECFTM(Amersham Biosciences社)が含まれる。適当な酵素と基質との組合せは、有色の反応生成物、蛍光、または化学発光をもたらすことがあり、それらは、当技術分野で公知の方法で測定することができる(例えば、感光性フィルムまたは適当なカメラシステムを用いて)。酵素反応を測定することに関しては、上記の規準が同様に適用される。
典型的な蛍光標識には、蛍光タンパク質(GFPおよびその誘導体など)、Cy3、Cy5、テキサスレッド、フルオレセイン、およびアレクシア色素(例えばアレクシア568)が含まれる。この他の蛍光標識は、例えば、Molcular Probes社(Oregon)から購入可能である。また、蛍光標識としての量子ドットの使用も考慮される。
典型的な放射性標識には、35S、125I、32P、33P、および同様のものが含まれる。放射性標識は、例えば感光性フィルムまたは蛍光造影装置(phosphor imager)など、公知であり、かつ適切ないかなる方法でも検出できる。
本発明において適切な測定方法には、沈殿(特に免疫沈降反応)、電気化学発光法(電気的に発生する化学発光)、RIA(ラジオ免疫アッセイ)、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、サンドイッチ酵素免疫試験、電気化学発光サンドイッチ免疫アッセイ(ECLIA)、解離増強ランタニド蛍光免疫アッセイ(DELFIA)、シンチレーション近接アッセイ(SPA)、比濁分析、比ろう分析、ラテックス強化比濁分析もしくは比ろう分析、または固相免疫試験も含まれる。当技術分野で公知の他の方法(ゲル電気泳動、2次元ゲル電気泳動、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)、ウエスタンブロッティング、質量分析など)は、単独で使用することも、上述の標識化法または他の検出方法と組み合わせて使用することもできる。
好ましいリガンドには、抗体、核酸、ペプチドまたはポリペプチド、およびアプタマー、例えば核酸アプタマーもしくはペプチドアプタマーが含まれる。そのようなリガンドに関する方法は、当技術分野で周知である。例えば、適当な抗体またはアプタマーの同定および製造は、供給業者によって提供される。当業者は、そのようなリガンドの、より高い親和性および特異性を有する誘導体を開発する方法に精通している。例えば、核酸、ペプチド、またはポリペプチドにランダム変異を導入することができる。これらの誘導体は、その後、当技術分野で公知のスクリーニング方法、例えばファージディスプレイによって、結合について試験することができる。
本明細書において、「抗体」という用語は、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の両方と、Fv、Fab、およびF(ab)フラグメントなど、抗原またはハプテンに結合可能なそれらのフラグメントとが含まれる。本発明には、「ヒト化された」ハイブリッド抗体も含まれるが、そのような抗体では、所望の抗原特異性を示す非ヒトドナー抗体のアミノ酸配列がヒトアクセプター抗体の配列に結合される。ドナー配列は、通常、少なくともドナーの抗原結合性アミノ酸残基を含むが、さらに、構造上および/または機能上適切な、ドナー抗体の他のアミノ酸残基も含むことができる。そのようなハイブリッドは、当技術分野で周知のいくつかの方法で調製することができる。
別の好ましい実施形態では、リガンドが、好ましくは、核酸、ペプチド、およびポリペプチドからなる群から、より好ましくは、核酸、抗体、およびアプタマーからなる群から選択され、アレイ上に提示される。
上記アレイは、少なくとも1つの追加リガンドを含有し、これは、目的のペプチド、ポリペプチド、または核酸に対するリガンドでもよい。上記追加リガンドは、本発明に関しては、特に関心のないペプチド、ポリペプチド、または核酸に対するリガンドでもよい。アレイ上には、本発明との関連で目的の少なくとも3つ、好ましくは少なくとも5つ、より好ましくは少なくとも8つのペプチドまたはポリペプチドに対するリガンドが含有されることが好ましい。
本発明によれば、「アレイ」という用語は、その表面に少なくとも2つの化合物が一次元、二次元、または三次元配置で付着または結合されている固相またはゲル様担体を指す。そのようなアレイ(「遺伝子チップ」、「プロテインチップ」、抗体アレイなどを含む)は、当業者に公知であり、通常、顕微鏡用ガラススライド上、特に、ポリカチオン、ニトロセルロース、またはビオチンでコーティングされたガラススライドなどのコーティングされたガラススライド上、カバーガラス上、ならびに、例えば、ニトロセルロースまたはナイロンを主材とする膜などの膜上に作製される。
アレイは、結合リガンド、またはそれぞれ少なくとも1つのリガンドを発現する少なくとも2つの細胞を含んでもよい。
本発明において、アレイとして、「懸濁液アレイ」を用いることも考慮される(Nolan JP, Sklar LA、 (2002)、Suspension array technology:evolution of the flat-array paradigm、Trends Biotechnol、20(1):9〜12)。そのような懸濁液アレイでは、担体(例えば、ミクロビーズまたはミクロスフェア)が懸濁液中に存在する。このアレイは、様々なリガンドを保持し、場合によっては標識された様々なミクロビーズまたはミクロスフェアからなる。
本発明はさらに、上記に定義したようなアレイを生成する方法であって、少なくとも1つのリガンドが他のリガンドに加えて、担体物質にも結合する方法にも関する。
そのようなアレイを生成する方法、例えば固相化学および感光性保護基に基づく方法は公知である(米国特許第5,744,305号)。そのようなアレイは、物質または物質ライブラリーと接触させて、相互作用、例えば、結合またはコンフォメーション変化の有無を試験することができる。したがって、上記に定義したようなペプチドまたはポリペプチドを含むアレイは、上記のペプチドまたはポリペプチドに特異的に結合するリガンドを特定するために使用してもよい。
さらに、試料を得るため、およびマーカー測定のために、いわゆるポイント・オブ・ケア(point-of-care)またはラボ・オン・チップ(lab-on-a-chip)装置を使用することが意図される。このような装置は、血中グルコースの測定に用いられる装置と同様に設計することができる。そのため、患者は、経験のある医師または看護師の直接の手助けを必要とすることなく試料を採取したり、マーカーを測定したりできる。
本発明によるマーカーの発現レベルを測定するのに好適な手段(抗体、アプタマー、アンチセンス核酸など)は、既に本明細書中に詳細に記載した。好ましい実施形態において、これらの手段は、測定のための手段または薬剤用の容器および、測定のための任意の助剤(例えば、好適な緩衝剤、ろ紙、酵素など)用の容器を含むキットとして梱包されている。
別の好ましい実施形態において、かかる手段は、ラボ・オン・チップ装置またはポイント・オブ・ケア診断に好適な他の装置であることが意図される。ポイント・オブ・ケア診断装置は、当該分野において公知である。おそらく、このような装置は、サンプリング単位(例えば、血液試料採取用)および測定単位(例えば、リガンドに対するマーカーの結合を測定するための単位)を含む。また、かかる手段は、上記のような装置内で、マーカーの発現レベルを測定するための試験紙または他の補助具であってもよい。
したがって、別の実施形態において、本発明はまた、マーカーの発現レベルを測定するためのキット、ラボ・オン・チップ装置、またはポイント・オブ・ケア診断装置に関する。
本発明に係る方法は、測定したレベルを、患者の様々な程度のリスクに関連した既知レベルと比較することによって、患者のリスクを診断するステップを含む。
当業者ならば、抗炎症剤、特にNSAID、ステロイド、または選択的Cox-2インヒビターの投与による様々な程度の心血管リスクと関連した既知レベルの心臓ホルモンを決定することができる。一般に、心臓ホルモンのレベルが高いほど、患者のリスクも高い。
本発明によれば、「リスク」という用語は、特定の事象、より詳細には心血管合併症が起こる確率に関する。リスクの程度は、高いリスク、または非常に高いリスクであり得る。リスクの程度は、高くない場合もある。「リスクが高くない」とは、抗炎症剤、特にNSAID、ステロイド、または選択的Cox-2インヒビターによる血管事象のリスクが、明白には存在しないことを意味する。
どのようなレベルの心臓ホルモンが、どの程度のリスクに関連しているかに関しては、心血管疾患の存在又は重篤度との関連が既知である心臓ホルモンレベルから、指針を得ることができる。例えば、年齢50歳未満の個体で得られた97.5百分位数に基づいた場合、NT−proBNPの血漿レベルにおいては125pg/mlが正常レベルであるとみなされた(より詳細には、NT-proBNPの血漿レベルが、男性については100 pg/ml、女性については150 pg/mlが、正常レベルであるとみなされ得る)。NT−proBNPのこれより高いレベルは、例えば、NYHA分類による症候レベル、およびLVEFにおける機能障害のレベルと相関する。「血漿レベル」という用語は、血漿中で測定されたNT−proBNPのレベルに関する。血漿中で測定されたレベルは一般に、血清中で測定されたレベルと同程度である。
別の実施例において、65歳未満の明らかに健康な個体で得られた97.5百分位数に基づいた場合、NT-proBNPの血漿レベルが、男性では84 pg/ml未満であり、女性では155 pg/ml未満である場合、これは高いリスクを示さないレベルとみなすことができる。呼吸困難を訴える患者において、男性については100 pg/ml 未満および女性については150 pg/ml未満のレベルは、心不全または心室機能不全についての除外基準であるとみなすことができる。NT-proBNPのこれより高いレベルは、NYHA分類による症状レベルおよびLVEFにおける機能障害のレベルと相関する。「血漿レベル」という用語は、血漿中で測定されたNT-proBNPのレベルに関する。さらに、血漿および血清中で測定されたレベルは一般に、同程度である。
以下では、NT-proBNPの血漿レベルが提示されるが、通常これは、抗炎症剤、Cox-2阻害化合物、特にNSAID、ステロイド、または選択的Cox-2インヒビターの投与による心血管リスクを示した程度に関連していると考えられる。
下記に提示するレベルが、患者のリスクに関する第1分類としての役割しかもたないことは、明らかである。当業者であれば、以下の文献から他の適当なレベルを決定することができる:例えば、Wang, T.J., Larson, M.G., Levy, D.ら(2004) Plasma natriuretic peptides and the risk of cardiovascular events and death. N Engl J Med, vol. 350, pp. 655-63; Olson, M.H., Wachtell, K. Tuxen, C., Fossum, E. et al. (2004) N-terminal pro-brain natriuretic peptide predicts cardiovascular events in patients with hypertension and left hypertrophy: a LIFE study. J Hypertens, vol. 22, pp. 1597-1604) or from other clinical studies。
典型的には、125 pg/ml未満のNT-proBNPの血漿レベルは、抗炎症剤、Cox-2インヒビター、特にNSAID、ステロイド、または選択的Cox-2インヒビターの投与による心血管リスクが高くないことと関連づけられる。
典型的には、125〜500 pg/mlのNT-proBNPの血漿レベルは、抗炎症剤、Cox-2インヒビター、特にNSAID、ステロイド、または選択的Cox-2インヒビターの投与による高い心血管リスクと関連づけられる。しかし、80〜125 pg/mlのレベルもまた、高いリスクが存在するか否かのさらなる分類を保証する。
典型的には、500 pg/mlを超えるNT-proBNPの血漿レベルは、抗炎症剤、Cox-2インヒビター、特にNSAID、ステロイド、または選択的Cox-2インヒビターの投与による非常に高い心血管リスクに関連づけられる。しかし、400 pg/mlを超えるレベルも、非常に高いリスクが存在するか否かのさらなる分類を保証する。
患者のリスクがいったん診断されれば、それは、以下に記載されるように、後続の治療に影響を与えることができる。(このような治療の決定に関する非限定的な例を、図1に示す)。下記のリスク程度は、特に、上記のNT-proBNPレベルに関連したリスク程度を指す。
本発明に係る方法が、高リスクを示さない場合には、心血管疾患に関する好ましくは他の既知のリスク要因を考慮して、抗炎症剤を投与してもよい。好ましくは、薬物の投与は、特に薬物を高用量でまたは長期間使用する場合、心臓ホルモンレベルのさらなる監視を一緒に行う。そのため、これは、心血管リスクの上昇を示す心臓ホルモンレベルの異常な上昇を早期に検出できる。
本発明に係る方法が、高リスクを示す場合には、心電図記録法、心エコー法などの熟練した心臓内科医に公知の方法による別の診断によって、患者をさらに集中的に調べることことが好ましい。抗炎症剤、とりわけ選択的Cox-2インヒビターを用いた治療は、リスクおよび期待できる効果について熟慮してから開始すべきである。明らかに、本発明は、リスクを有する患者を同定することによって、抗炎症剤の投与を安全に行うのを助けるだけではなく、患者のこれまで気付かなかった心血管リスクを明らかにすることにも役立つ。したがって、高い、または非常に高い心血管リスクを有する患者は好ましくは、さらなる診断に付し、心血管の基礎疾患を同定する。これにより、早期に、すなわち、心血管障害の明確な症状が発症する前に、治療を開始することができる。抗炎症剤の投与前または投与の間に心血管リスクを診断することによって、患者の総体的な健康は本発明方法の恩恵を受ける。さらに、心血管の基礎疾患の治療が良好である場合、リスクは低下し得(本発明により提供される手段および方法によって診断した場合)、そして抗炎症剤、特にNSAID、ステロイド、または選択的Cox-2インヒビターを用いた治療を開始できるか、またはこれら薬剤の用量を増加することができる。
高いリスクを有する患者の治療は、さらなる手段と共に行われ得る。このような手段には、投与される抗炎症剤またはまさに投与されようとしている抗炎症剤の用量を制限または減少させる、塩摂取の制限、定期的かつ適度な運動、インフルエンザおよび肺炎球菌に対する免疫処置の提供、外科治療(例えば、血管再開通術、バルーン拡張術、ステント・グラフト留置術、バイパス手術)、利尿剤(複数の利尿剤の併用投与を含める)、ACE(アンジオテンシン変換酵素)インヒビター、β-アドレナリン遮断薬、アルドステロンアンタゴニスト、カルシウムアンタゴニスト(例えば、カルシウムチャネル遮断薬)、アンジオテンシン受容体遮断薬、ジギタリスなどの薬剤の投与、ならびに当業者に公知で適切と考えられる他のいかなる処置も含まれる。
本発明はまた、Cox-2阻害化合物、特にNSAID、ステロイド、または選択的Cox-2インヒビターを用いた治療を監視するための方法を含み、かかる方法では、心臓ホルモンのレベル、特にNT-proBNPのレベルを測定する。
リスクと期待される利益を考慮して、Cox-2阻害化合物、特に、NSAID、ステロイド、または選択的Cox-2インヒビターを用いた治療を開始した場合、それは断続的な治療でもよい。次に、ナトリウム利尿ペプチドを測定することによって、治療、特に断続的な治療を監視すること、および/またはリスクの上昇を同定することができる。心臓ホルモンのレベルが特定の値に達した場合に、投与を中止し、そして心臓ホルモンのレベルが特定の値以下になった場合、投与を場合によって、再開してもよい。心臓ホルモンのそれぞれの値は、前述のものである。例えば、投与の中止を示す値は通常、非常に高いリスクを示す値であり得る(本明細書中別記のとおり)。そして、場合によって、治療の再開を示す値は、単に高いリスクを示す値(本明細書中別記のとおり)または高いリスクを示さない値(本明細書中別記のとおり)であり得る。
以上より、本発明がさらに、Cox-2阻害化合物、特に、NSAID、ステロイド、または選択的Cox-2インヒビターを用いた治療を受けているか、またはまさに受けようとしている患者を監視するための方法を提供することは、明らかである。
本発明による方法が、非常に高いリスクを示す場合、高リスクに関して記載した通りに治療を調整してもよい。しかし、Cox-2阻害化合物、特に、NSAID、ステロイド、または選択的Cox-2インヒビターの投与は、非常に高いリスクを有する患者の、治療選択肢ではない。どんな理由であれ、Cox-2阻害化合物、特に、NSAID、またはステロイド、より詳細には選択的Cox-2インヒビターを投与する場合には、慎重な医学的監視(特に、短い間隔でナトリウム利尿ペプチドを測定することを含む監視)下で行い、リスクを監視、および/またはリスクの上昇を同定すべきである。
本発明のさらなる実施形態は、以下に挙げた実施形態より明らかであろう。しかし、いかなる場合も、それらによって限定されるものではない。
1. Cox-2阻害化合物の投与による心血管合併症に罹患する患者のリスクを診断する方法であって、以下のステップ:
a)心臓ホルモンのレベルを測定するステップ;および
b)測定したレベルを、患者の種々の程度のリスクに関連した既知レベルと比較することによって、患者のリスクを診断するステップ、
を含む、上記方法。
2. Cox-2阻害化合物の投与対象である患者の心血管リスクを診断する方法であって、以下のステップ:
a)心臓ホルモンのレベルを測定するステップ;および
b)測定したレベルを、患者の種々の程度のリスクに関連した既知レベルと比較することによって、患者のリスクを診断するステップ、
を含む、上記方法。
3. 心臓ホルモンがナトリウム利尿ペプチドである、1または2の方法。
4. 心臓ホルモンが、ANP型ペプチドもしくはその変異体および/またはBNP型ペプチドもしくはその変異体である、2の方法。
5. 心臓ホルモンが、BNPおよびNT-proBNPならびにそれらの変異体に由来するBNP型ペプチドである、3の方法。
6. Cox-2阻害化合物が選択的Cox-2インヒビターである、1〜5のいずれかの方法。
7. 心臓ホルモンが、NT-proBNPであり、かつ80 pg/ml未満のNT-proBNPの血漿レベルが、心血管合併症に罹患する高いリスクに関連しない、1〜6のいずれかの方法。
8. 血漿レベルが125 pg/ml未満である、7の方法。
9. 125を超え500 pg/ml未満のNT-proBNPの血漿レベルが、心血管合併症に罹患する高いリスクに関連する、1〜6のいずれかの方法。
10. 500 pg/mlを超えるNT-proBNPの血漿レベルが、心血管合併症に罹患する高いリスクに関連する、1〜6のいずれかの方法。
11. 選択的Cox-2インヒビターを用いた治療の監視下で実施する、1〜10のいずれかの方法。
12. 選択的Cox-2インヒビターを用いた断続的な治療を監視するための、11の方法。
13. 心臓ホルモンのレベルが特定の値に達した場合、投与を中止し、そして当該レベルが、特定の値以下である場合、投与を場合によって、再開してもよい、12の方法。
14. Cox-2阻害化合物が、セレコキシブ、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブおよびルミラコキシブからなる群から選択される、1〜13のいずれかの方法。
15. 以下:
a)炎症マーカー;
b)内皮機能マーカー;
c)虚血マーカー;
d)血小板活性化マーカー;
e)アテローム性動脈硬化活性化マーカー;および
f)血管内凝固の活性化マーカー、
からなる群から選択されるマーカーの少なくとも1つのレベルをさらに測定する、1〜14のいずれかの方法。
16. 診断される心血管合併症のリスクが、冠状動脈性心臓病、安定狭心症、急性冠症候群、不安定狭心症、心筋梗塞、ST上昇型心筋梗塞、非ST上昇型心筋梗塞または脳卒中である、1〜15の方法。
17. 心臓ホルモンのレベルが、尿、血液、血漿または血清試料中で測定される、1〜16のいずれかの方法。
18. Cox-2阻害特性を有する化合物を用いた患者の実行可能な治療を決定するための方法であって、該方法は、以下のステップ:
a)患者における心臓ホルモンレベルを好ましくはin vitroで測定するステップ;
b)測定したレベルを、患者の種々の程度のリスクに関連した既知レベルと比較するステップ;
c)場合によって、心臓内科医による患者の検査を開始するステップ;および
d)場合によって、心臓内科医による患者の検査結果を考慮して治療の開始または治療の中止を推奨するステップ、
を含む、上記方法。
19. Cox-2阻害特性を有する化合物を用いて患者を治療するか否かを決定または推奨するための方法であって、該方法は以下のステップ:
a)患者における心臓ホルモンレベルを好ましくはin vitroで測定するステップ;
b)測定したレベルを、患者の種々の程度のリスクに関連した既知レベルと比較することによって、患者のリスクを診断するステップ;
c)ここで、場合により心臓内科医による患者の検査結果を考慮して、
ca)リスクが高くなっていないと診断された場合、治療の開始を推奨する、および/または
cb)リスクが高くなっているもしくは非常に高くなっていると診断された場合、治療の中止を推奨する、ステップ、
を含む、上記方法。
20. 1〜18のいずれかにおいて、心臓ホルモンのレベルまたはナトリウム利尿ペプチドを測定するための、患者の心臓ホルモンのレベル、好ましくはナトリウム利尿ペプチドを測定することができる診断手段の使用。
21. 選択的Cox-2インヒビターの投与対象である患者の心血管リスクを診断するために、または選択的Cox-2インヒビターを用いた治療を受けている患者の心血管リスクを監視するための、患者の心臓ホルモンのレベル、好ましくはナトリウム利尿ペプチドを測定することができる診断手段の使用であって、当該心臓ホルモンのレベルは、患者の体液または組織試料中で測定される、上記使用。
22. 心臓ホルモンがナトリウム利尿ペプチドである、20または21の使用。
23. 心臓ホルモンのレベルが、特異的に結合するリガンド、アレイ、微小流体装置、化学発光分析器またはロボット装置を用いて測定される、20〜22のいずれかの使用。
24. 特異的に結合するリガンドが、抗体またはアプタマーである、23の使用。
以下の実施例は、本発明を例示するものであり、いかなる意味においても本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1
NT-proBNPの測定
NT-proBNPは、Elecsys 2010を用いた電気化学発光免疫アッセイ(ElecsysproBNPサンドイッチ免疫アッセイ;Roche Diagnostics社、Mannheim、Germany)で測定できる。このアッセイは電気化学発光サンドイッチ免疫アッセイの原理に従って機能する。第1ステップでは、ビオチン標識されたIgG(1〜21)捕獲抗体と、ルテニウム標識されたF(ab’)(39〜50)シグナル抗体と、20μlの試料とを37℃で9分間インキュベートした。その後、ストレプトアビジンでコーティングされた磁性微粒子を添加し、混合物をさらに9分間インキュベートした。第2のインキュベーションの後に、反応混合物を装置の測定セルに移した。ビーズは、そこで磁力により電極の表面に捕捉される。結合しなかった標識は、測定セルを緩衝液で洗浄することによって除去した。
最終のステップでは、トリプロピルアミンを含む緩衝液の存在下で電極に電圧を印加し、この結果得られた電気化学発光シグナルを光電増倍管で記録した。すべての試薬および試料はElecsysTM測定器によって完全に自動的に操作された。結果は、2点較正と、試薬バーコードで得られるマスター曲線とで測定器に特有に生成された検量線を用いて決定した。試験は製造者の教示に従って行った。
ホルモン分析用の血液は、必要に応じて、5000 U アプロチニン(aprotinine)(Trasylol, Bayer, Germany)含有EDTAチューブおよびリチウムヘパリンチューブ(臨床化学用)に採取することができる。血液および尿試料は、即座に10分間、3400 rpmで、4℃にて遠心した。上清は、分析まで−80℃で保存した。
NT-proANPの測定:
NT-proANPは、Sundsfjord,J.A.、Thibault,G.ら(1988)、Idenfication and plasma concentrations of the N-terminal fragment of proatrial natriuretic factor in man、J Clin Endocrinol Metab 66:605〜10の改変法による磁性固相技術を用いた競合的結合放射免疫アッセイで、同じウサギ抗ラットproANPポリクローナル血清と、標準試料としてPeninsula Lab(Bacherm社、St. Helene、UK)からのヒトproANP(1〜30)と、放射標識用にHPLCで精製されたヨウ素化proANP1〜30とを用いて測定した。高い感度と良好な精度とを実現するために、固相として、ヒツジ抗ウサギIgG(Dynal Biotech社、Oslo、Norway)を備えたDynabeads M280を用い、また二次抗体を使用した。
実施例2
70歳の高齢の患者は、重篤な関節リウマチに罹患し、また長期間イブプロフェンによる治療を受けていた。イブプロフェン治療の間に、彼は、胃腸出血を含む胃腸副作用に罹患した。医師は、選択的Cox-2インヒビターを用いることに治療を変えようと考え、NT-proBNPの測定を行った。NT-proBNPレベルは223 pg/mlであった。患者は、診断のために心臓内科医に診せた。心エコー図によって、心臓内科医は、虚血性機能不全および選択的Cox-2インヒビターを用いた治療のリスクを診断した。心機能不全が重篤ではないために、選択的Cox-2インヒビターを用いた断続的な治療を、NT-proBNPの綿密な監視下で開始した。
実施例3
55歳の高齢の女性患者は、II型糖尿病を6年間治療しており、慢性的な痛みを伴うリウマチ疾患を罹患していた。そのため、彼女の医師は、Cox-2インヒビターを用いた治療を検討した。NT-proBNP値を測定し、647 pg/mlであることを決定した。患者は、さらなる診断のために心臓内科医に診せた。高いNT-proBNP値および糖尿病の併存疾患のために、Cox-2インヒビターを用いた治療は開始しなかった。
実施例4
72歳の高齢の患者であって、健康であり喫煙者であるが、心疾患についての従来のリスク要因をさらに有さない患者は、ひざの極度の関節痛を罹患していた(おそらく、長期のスポーツ活動によるものである)。患者は、自身の胃が非常に敏感であることを知っていた。そのため、選択的Cox-2インヒビターを用いた治療が検討された。血漿のNT-proBNPの測定値は、65 pg/mlであると測定された。PROCAMスコアが40未満であり、かつ従来のリスク要因が喫煙だけであるため、選択的Cox-2インヒビターを用いた治療を開始した。
実施例5
抗炎症剤の投与による心血管合併症に罹患するリスクを評価するためのNT-proBNPの使用。
重要なことは、本実施例において、「Cox-2インヒビター」という用語は、「選択的Cox-2インヒビター」を指すものとして理解すべきである。さらに、本実施例において、「NSAID」という用語は、選択的Cox-2インヒビターではないNSAIDを指す。
NT-proBNPを、プロスペクティブ研究に参加する433人の患者に由来する基準となる血清試料において測定した。かかる研究は主に、変形性関節症(OA)における新規メタロプロテイナーゼインヒビターの治療効果を明確にするために設計された。心血管有害事象(CV-AE)は、監視され、またCox-2インヒビターまたはNSAIDまたはプロスタグランジン代謝影響ステロイドの併用使用に関連した。レトロスペクティブ分析において、抗炎症剤を受けている患者のCV AEを、上昇したNT-proBNP値から予測することができるか否か、その問題を調べた。
本研究は元々、MMPインヒビター Ro 113-0830の投与量を決定する24週間の試験(30ヶ月まで延長される)において、初期の膝の変形性関節症を有する患者または手の変形性関節症を有さない患者における、初期変形性関節症 (OA)の進行に対する新規マトリックスメタロプロテアーゼ (MMP)インヒビターの効果を調べるために、Hoffmann-La Roche Inc., Basel, Switzerlandによって設計された。OAの診断は、臨床的基準および放射線学的基準に基づく。OAの第2要因(例えば、炎症性関節炎、先天性異形成および奇形、代謝および結晶疾患、ニューロパシー、骨壊死、既往の関節骨折、骨のパジェット病、組織褐変症、末端肥大症、ヘモクロマトーシス、ウィルソン病、痛風、初期骨軟骨腫症)を有する患者は含めなかった。他の除外基準には、スクリーニングに訪れた日から1年以内の、極めて活性な胃腸疾患の病変(例えば、びらん、潰瘍、出血)または腎臓疾患の病変(例えば、クレアチニンの増加> 2.0 mg/dl、腎臓の機能不全)の病歴を含めた。本研究は、二重盲式、無作為、5‡-治療群、プラシーボ制御、平行群、多中心性設計および24週間の投与量決定試験に基づいて実施した。二重盲式の終わりに、患者は、Ro 113-0830治療を伴う30ヶ月の延長期間継続する選択肢を有し得る。全ての患者は、インフォームド・コンセントを受けた。レスキュー鎮痛薬(すなわち、主治医により治療として必要であるとみなされる鎮痛薬)および抗炎症剤(Cox-2インヒビター、NSAIDまたはステロイドを含む)は、併用療法として認可され、患者の必要に応じて用いることができる。
本試験において認可されたレスキュー抗炎症剤(Cox-2インヒビターおよびNSAIDまたはステロイドを含む)としては、アスピリン、ジクロフェナクナトリウム、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ナブメトン、オキサプロジン、ピロキシカム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸コリンマグネシウム、セレコキシブ、ロフェコキシブまたはトルメチンであった。全研究コホートはCV-AE (心血管有害事象)の発症後に行った。患者は、 狭心症の発症、鬱血性心不全の徴候または症状、および動脈高血圧について積極的に尋ねられることはなく、また新たなQ波および新たな脚ブロックの発症について、ECGを定期的に調べられることもない。 全てのCV-AEを、専門的な外部の研究監視によって、別のカテゴリーへとレトロスペクティブに分類した。
全てのCV-AEは、2人の心臓内科医によって調べられた。この2人は、主として本試験に関わっているのではなく、また生体マーカーの結果を見せられていなかった。明確なまたは潜在的な予備CV有害事象には、急性心筋梗塞、新規Q波もしくは脚ブロック、心筋梗塞もしくは他の心血管の原因による死亡、非致命的な脳卒中、浮腫の発症もしくは下肢にある既存の浮腫の悪化によって示される心不全の発症もしくは悪化、聴診におけるラ音もしくは蛍光透視により確認された肺のうっ血、動脈高血圧の新たな発症もしくは既存の動脈高血圧の悪化、および確認された静脈血栓症の記録を含めた。他のECG徴候、片側性浮腫または上肢の単離された浮腫は、予備事象とみなさなかった。
各採取日に、10 mLの静脈血試料2つを、未処理のガラスチューブにそれぞれ回収し、遠心分離して、ポリスチレンの収納棚に-70℃またはそれ以下で保存した。試料は、研究センターからCentral Sample Officeに定期的に送られた。NT-proBNPは、完全自動化分析器にて、商業的に利用可能なサンドイッチ免疫アッセイを使用して測定した (ELECSYS proBNP, Roche Diagnostics, Mannheim, Germany)。
総数433人のOAを有する患者が参加し、プラシーボまたは治験薬を、10〜150 mgのインクリメンタル(incremental)用量で受けた。患者を、その共薬剤にしたがって以下の群に分けた:
Cox-2インヒビター群:
Cox-2インヒビターにより治療された55人の患者のうち、11人の患者はまたNSAIDを受け、10人の患者はまたステロイドを受け、9人の患者はまたNSAIDおよびステロイドを受けた。
NSAID群:
NSAIDにより治療された157人の患者のうち39人の患者はまた、ステロイドを受けた。
ステロイド群:
ステロイドのみを用いて治療された41人の患者。
比較群:
抗炎症剤(Cox-2インヒビター、NSAIDおよびステロイド)を用いて治療されていない180人の患者。鎮痛薬を用いた別の治療は可能である。
これら4つの群の全集団の基本特性は、同程度であった(表1)。患者は、プラシーボまたは治験薬を10〜150 mgのインクレメンタル用量で受けた。Cox-2インヒビター、NSAID、またはステロイドと共に共薬剤を受ける患者の割合は、治験薬の全ての用量にわたって等しく分布した。全ての患者群は、基本的な心血管基準(例えば、以前の心臓病学的な疾患、ECG基準、高血圧または糖尿病)に関して同程度であった。表2に示すように、NT-proBNPの基準値の分布も、共薬剤群で同程度であり、カットオフ値の 125 pg/mlおよび100 pg/ml以下または以上のNT-proBNP値を有する患者の数に関しても同程度であった。
24週間の観察の間に、総数82の軽度から重度のCV-AEを記録した。CV AEの相対的な発症率は、Cox-2インヒビターを受けた群において顕著に高かった。また、NSAIDを受けた患者においても、CV-AEの発症率が高い傾向にあった。Cox-2インヒビターを用いた場合、CV-AEのリスクは、1.78倍高かった(p=0.06)。NT-proBNP が100 pg/ml未満である場合、高いCVリスクを予測できなかった。一方、NT-proBNPが100 pg/mlより高い場合に予測されたCV 有害事象のリスクは、Cox-2インヒビターを用いた場合に4.23倍高く(p=0.002)、NSAIDを用いた場合に1.6倍高く(p=0.4)、およびステロイドを用いた場合に2.2倍高かった(p=0.09) (表3参照)。
CV-AE率は、治験薬、年齢、および糖尿病の存在などについて調整した。CV-AEの割合は、Cox-2インヒビター群において顕著に高く、またNSAID群およびステロイド群において、CV-AEの発症率は高い傾向にあった。CV-AEの割合を、全ての群について、長期にわたってプロットした(図2)。CV-AEの相対的発症率は、Cox-2インヒビター群において顕著に高く、また早期に発症した。
Figure 0004870686
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表4は、多変量回帰分析の結果を示す。年齢、性別および糖尿病について調整した後でも、患者がCox-2インヒビターを受けた場合、高いNT-proBNPは独立して有害転帰の前兆であり続けた。NSAIDまたはステロイドをレスキュー薬剤または併用薬剤として与えた場合も、同様の傾向が見られた。
治験薬、年齢、高血圧または糖尿病の病歴および抗炎症性共薬剤の推定される影響について調整した後、CV-AEのリスクは、NT-proBNPが100 pg/mlを超える場合、Cox-2インヒビターを受けている群において、抗炎症性共薬剤を用いていない比較群と比べて4.3倍高かった(p=0.0045)。一方、NT-proBNP値が100 pg/ml未満である場合、Cox-2インヒビターを受けている患者においては、CV-AEについて高いリスクは見られなかった。
年齢、性別および糖尿病について調整した後であっても、患者がCox-2インヒビターを受けた場合、高いNT-proBNPは独立して有害転帰の前兆であり続けた。NSAIDまたはステロイドをレスキュー薬剤または併用薬剤として与えた場合も、同様の傾向が見られた。
Figure 0004870686
これらの結果は、NT-proBNPにより、抗炎症剤を用いた治療の過程で、または当該治療により、CV AEのリスクがある、当該治療の対象者を同定できることを示す。これは、抗炎症剤の投与が、基準またはその後において、NT-pro BNP値がカットオフレベル未満である患者においては安全であること示す。逆に、NT-pro BNP が100 ng/mlまたは125 pg/mlを超えるレベルは、Cox-2インヒビターもしくはNSAIDもしくはステロイドのみ、または抗炎症剤の組み合わせを摂取した場合、CV 有害事象を罹患する様々の高いリスクが予測される。
図1は、本発明の一例のフローチャートを示す図である。抗炎症剤(例えば、Cox-2インヒビター)を受ける対象である患者は、心血管疾患(CV)の症状を有さない患者と有する患者とに分けられる。NT-proBNPの測定した血漿レベルが、選択したカットオフ値の125 pg/mlを超える場合、患者は心臓内科医に診せる。心臓ホルモンの測定したレベルが、選択したカットオフ値(例えば、125 pg/mlのNT-proBNPの血漿レベル)未満である場合、患者は、限定的な健康診断(例えば、PROCAMスコアまたはFraminghamスコアの確立、既往歴、血圧 (RR)、場合により心電図)に供する。その健康診断の結果が、心血管リスクを示さない場合、抗炎症剤を投与するが、患者は心臓ホルモンのレベルを監視される。心臓内科医は、全てのリスクの指標および治療法の選択肢を評価するという重要な役割を果たす。 図2は、実施例5のCox-2インヒビター群 vs. Cox-2インヒビター共薬剤を用いていない全ての患者の心血管有害事象 (CV-AE)についてのKaplan-Meier曲線を示す。長期にわたる心血管有害事象をKaplan-Meier曲線としてプロッティングすることにより、Cox-2インヒビター群(ccox2=有り)における高いリスクが示される。Cox-2インヒビター共薬剤を用いていない全ての患者(ccox2=無し)は、要約すれば単にわずかな心血管リスクを示しただけである。「打ち切り」とは、観察期間の終わりまでCV-AEが見られなかったことを意味する。N,人数; HR, 危険率; p, 確率; ccox-2, 併用Cox-2 (薬剤とCox-2インヒビターとの併用を意味する); 生存分布関数、無症候生存分布関数。 図3は、実施例5の、NT-proBNPが100 pg/ml未満、またはNT-proBNPが100 pg/mlを超えるCox-2インヒビター群および比較群の心臓内科医により判定された心血管有害事象(CV-AE)に基づくKaplan-Meier曲線を示す。Cox-2の選択的阻害によりCV-AEについて過度のリスクを示すという知見を考慮して、生のCV-AEを、NT-proBNP値を見せていない心臓内科医によって、予め定めた基準を用いて照合した。これらの判定されたCV-AEを長期にわたりKaplan-Meier曲線としてプロッティングすることにより、比較群 (対象)と比べてNT-proBNPが100 pg/mlを超えているCox-2インヒビター群では、4.4倍高いリスクを示し、またNT-proBNPが100 pg/ml未満であるCox-2インヒビター群と比べて6.4倍高いリスクを示した。このリスクは、試験開始時または24週間のフォローアップにおいて、NT-proBNP が100 pg/mlを超える患者にほぼ限定していた。右の危険率は、左に示された比較される群の危険率を示し(対照vs.Cox-2インヒビター群)、一方、図の下に示した危険率は、上と比較した群を示す(100 pg/ml未満のNT-proBNPレベル vs. 100 pg/ml以上のNT-proBNPレベル)。AE, 有害事象; n,数; HR, 危険率; p, 確率; 生存分布関数, 無症候生存分布関数。 図4は、実施例5.の、NT-proBNPが125 pg/ml未満またはNT-proBNPが125 pg/mlを超えるCox-2インヒビター群および比較群の心臓内科医により判定された心血管(CV) 有害事象 (AE)に基づくKaplan-Meier曲線を示す。図4は、NT-proBNPのカットオフ値である125 pg/mlを用いて図3に示されたものと同一の結果を示す。AE, 有害事象; n,数; HR, 危険率; p, 確率; 生存分布関数, 無症候生存分布関数。

Claims (22)

  1. Cox-2阻害化合物の投与による急性心血管合併症に罹患する患者のリスクを予測または決定する方法であって、以下のステップ:
    a)患者由来の体液または組織試料中のBNPおよびNT-proBNPからなる群から選択される心臓ホルモンのレベルをin vitroにて測定するステップ、
    b)測定したレベル、患者における種々の程度のリスクに関連した既知レベルと比較することによって、患者のリスクを予測または決定するステップ、
    を含み、該患者は既存の心血管疾患および心血管合併症の症状を示さず、かつ、該患者は心血管合併症のいかなる既知の病歴も有さず、
    ここで該リスクは血液容量もしくは血管内容量の増大によるものではない、上記方法。
  2. 心臓ホルモンが、NT-proBNPである、請求項記載の方法。
  3. 80 pg/ml未満のNT-proBNPの血漿レベルが、心血管合併症に罹患する高いリスクに関連していない、請求項1または2に記載の方法。
  4. NT-proBNPの血漿レベルが、125 pg/ml未満である、請求項記載の方法。
  5. 125を超え500 pg/ml未満のNT-proBNPの血漿レベルが、心血管合併症に罹患する高いリスクに関連している、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  6. 500 pg/mlを超えるNT-proBNPの血漿レベルが、心血管合併症に罹患する非常に高いリスクに関連している、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  7. 選択的Cox-2インヒビターを用いた治療の監視において実施される、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  8. 選択的Cox-2インヒビターを用いた断続的な治療を監視するため、請求項記載の方法。
  9. 選択的Cox-2インヒビターを用いた断続的な治療が、心臓ホルモンのレベルが特定の値に達した場合に中止され、該レベルが特定の値以下になった場合には、場合によって再開される、請求項記載の方法。
  10. Cox-2阻害化合物が、セレコキシブ、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブおよびルミラコキシブからなる群から選択される、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  11. さらに、以下:
    a)炎症マーカー
    b)内皮機能マーカー
    c)虚血マーカー
    d)血小板活性化マーカー
    e)アテローム性動脈硬化活性化マーカー
    f)血管内凝固の活性化マーカー
    からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーレベルをin vitroにて測定する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 心血管合併症が、冠状動脈性心臓病、安定狭心症、急性冠症候群、不安定狭心症、心筋梗塞、ST上昇型心筋梗塞、非ST上昇型心筋梗塞または脳卒中である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 心臓ホルモンのレベルが、尿、血液、血漿または血清試料中にて測定される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 心臓ホルモンのレベルが、特異的に結合するリガンド、アレイ、微小流体装置、化学発光分析器およびロボット装置からなる群より選択される1以上の手段を用いて測定される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 特異的に結合するリガンドが、抗体またはアプタマーである、請求項14記載の方法。
  16. 選択的Cox-2インヒビターを用いた治療を受けている患者の心血管リスクを監視することをさらに含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 患者が選択的Cox-2インヒビターの投与対象である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 選択的Cox-2インヒビターを投与する前に実施する、請求項17記載の方法。
  19. Cox-2阻害特性を有する化合物を用いて、既存の心血管疾患、心血管リスクおよび心血管合併症の症状を示さない患者の治療を開始するか否かを決定するための情報を提示する方法であって、
    a)患者由来の体液または組織試料におけるBNPまたはNT-proBNPの心臓ホルモンレベルをin vitroで測定するステップ、
    b)測定したレベル、患者における種々の程度のリスクに関連した既知レベルと比較することによって、患者のリスクを決定するステップ、ならびに
    c)ステップa)およびb)からの検査の結果に基づき以下を決定するステップ、
    ca)リスクが高くないと決定された場合、治療の開始を推奨するおよび/または
    cb)リスクが高い、または非常に高いと決定された場合、治療の中止を推奨する
    を含む、上記方法。
  20. 心臓ホルモンがNT-proBNPであり、かつ化合物が選択的Cox-2インヒビターである、請求項19記載の情報を提示する方法。
  21. 選択的Cox-2インヒビターが、セレコキシブ、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブおよびルミラコキシブからなる群から選択される、請求項20記載の情報を提示する方法。
  22. a)測定されたNT-proBNPの血漿または血清レベルが、100 pg/mlまたはそれ以上、特に125 pg/mlまたはそれ以上である場合、患者を治療しないことを推奨するか、または心血管監視下にて、および/もしくは低用量の選択的Cox-2インヒビターを用いた治療を承認することを推奨するステップ、ならびに/あるいは
    b)測定されたNT-proBNPの血漿または血清レベルが400 pg/mlまたはそれ以上、特に500 pg/mlを超えるかそれ以上である場合、患者を治療しないことを推奨するステップ、
    を含む、請求項19〜21のいずれか1項に記載の情報を提示する方法。
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