JP4828550B2 - 心機能障害を診断するためのNT−proANP/NT−proBNP比の使用 - Google Patents

心機能障害を診断するためのNT−proANP/NT−proBNP比の使用 Download PDF

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Description

本発明は、心機能障害、特に拡張機能障害を診断するためのナトリウム利尿ペプチドの使用に関する。
現代医療の1つの目的は、個別の(personalized)または個人に合わせた(individualized)治療計画を提供することである。それらは患者の個別のニーズまたはリスクを考慮に入れる治療計画である。特に重要なのは心機能障害および心不全である。
心機能障害および心不全は、北半球での罹患および死亡の最も一般的な原因に属する。心機能障害は収縮機能障害と拡張機能障害に分けることができる。拡張機能障害および収縮機能障害は、主に影響を受ける心臓の充満期に関する。
ヒト心臓は4区画: 2つの薄壁の心房および2つの筋性の心室を含む。血液は右心房内へ流入し、右心室内へポンプ送出され、そこから肺内へポンプ送出される。血液は肺で酸素を含み、左心房内へ流入し、そこから左心室内へポンプ送出される。左心室は血液を体内へポンプ送出する。心房は「貯蔵所」としての機能を果たすものと理解され、主要なポンプ機能は心室によって実行される。しかし、心房は心室内へ血液を能動的にポンプし、ゆえに心臓の全ポンプ機能に対して約10%寄与する。
収縮機能障害は、左心室から循環内への血液の駆出の工程に影響を与える。ゆえに、収縮機能障害は、通常、左心室から駆出される血液量の減少によって特徴付けられる。収縮機能障害は、通常、症候性であり、その理由は、身体が、特に身体活動条件下で、酸素を含む血液を適切に供給されないからである。患者は疲労および消耗(exhaustion)を訴えるであろう。
対照的に、拡張機能障害は、左心室の駆出期の間の工程に影響を与える。拡張機能障害は、非常に長期間、無症候性のままでありうる。拡張機能障害の原因は、左心室の異常な弛緩、充満、または膨張性である。
収縮機能障害および拡張機能障害はともに、最終的に心不全に至るであろう。拡張性心不全を有する患者間の死亡率は、収縮性心不全を有する患者の死亡率より低いが、重要なのは、拡張機能障害は、明らかな症状が大きく欠落しているために、収縮機能障害よりずっと長い期間、検出されないままでありうることに留意すべきことである。したがって、診断の改善が重要である。
拡張機能障害が早期に検出されれば、早期の治療的介入が可能になり、顕性の心不全を予防するために役立つであろう。さらに、拡張機能障害に対して特別に調整した治療法を考え出すことが可能になるだろう。しかし、拡張機能障害の診断は困難である。身体診察、心電図、および胸部X線像は、拡張性心不全と収縮性心不全を区別する情報を提供しない(Aurigemma, G.P., and Gaasch, W. H. (2004). Diastolic Heart Failure. The New England Journal of Medicine, vol. 351(11), pp. 1097-1105)。したがって、これに関して現在最も重要な診断ツールは心エコー図法である。しかし、心エコー図法は、高価な技術設備を必要とし、かつ、臨床家側にある程度の経験を必要とする。ゆえに、心エコー図法は、患者のレギュラースクリーニングには使用されず、心機能障害が疑わしい場合にのみ使用される。重要なことに、より重篤または進行した拡張機能障害が心エコー図で「偽正常(pseudonormal)」パターンを有して現れる可能性があり、ゆえに検出されないままである可能性がある。
診断目的の生化学的または分子マーカーの使用それ自体は公知である。しかし、現在、どのマーカーが拡張機能障害の診断に有益な情報をもたらすかは知られていない。
Lubienらは、脳ナトリウム利尿ペプチド(BNP)が拡張機能障害の診断に有用であるかもしれないことを報告している(Lubien, E., DeMaria, A., Krishnaswamy, P., et al. (2002). Utility of B-Natriuretic Peptide in Detecting Diastolic Dysfunction. Comparison with Doppler Velocity Recordings. Circulation, vol. 105, pp. 595-601)。しかし、Ambrosiらは、これらの結果の妥当性に関する重大な疑いを表明している(Ambrosi, P., Oddoze, C., Habib, G. et al. (2002). Utility of B-Natriuretic Peptide in Detecting Diastolic Dysfunction. Comparison with Doppler Velocity Recordings. Letter to the Editor. Circulation, vol. 106, p. e70)。
脳ナトリウム利尿ペプチドレベルが拡張性心不全では収縮性心不全ほど高くなく、「しかし、拡張性心不全の診断における脳ナトリウム利尿ペプチドの役割を評価するためにはさらにデータが必要である」ことが述べられている(Aurigemma, G.P., and Gaasch, W. H. (2004). Diastolic Heart Failure. The New England Journal of Medicine, vol. 351(11), pp. 1097-1105)。
Wangらは、Framingham Heart Studyに含まれる患者のANPおよびBNPの両者を測定した(Wang, T.J., Larson, M.G., Levy, D., Benjamin, E.J. et al. (2004) Plasma Natriuretic Peptide Levels and the Risk of Cardiovascular Events and Death. The New England Journal of Medicine, vol. 350(7), pp. 655-663)。彼らは、それらのデータは、ナトリウム利尿ペプチドの測定が循環器病の早期検出に役立ちうる可能性を高めるが、追加の研究が必要であったことを結論している。
ゆえに、最新技術において、拡張機能障害の診断に使用することができる生化学的マーカーは存在しないように思われる。さらにまた、拡張機能障害と収縮機能障害を区別することを可能にする生化学的マーカーは知られていない。
したがって、本発明の目的は、心機能障害を診断する方法および手段を提供することである。さらにまた、本発明の目的は、拡張機能障害を診断する方法および手段を提供することであり、特に、拡張機能障害を収縮機能障害と区別する方法および手段を提供することである。
第1の実施形態では、該目的は、被験者の心機能障害を診断するための方法であって、以下の工程を含む方法によって達成される:
a) 好ましくはin vitroで、被験者由来のサンプル中のBNP型ペプチドのレベルを測定する工程、
b) 好ましくはin vitroで、被験者由来のサンプル中のANP型ペプチドのレベルを測定する工程、
c) BNP型ペプチドの測定レベルに対するANP型ペプチドの測定レベルの比率を算出する工程、
d) 算出した比率を心機能障害の存在または不在を示す少なくとも1つの既知の比率と比較する工程。
任意の工程(e)では、被験者の心機能障害が診断される。該方法は、さらに、患者から体液または組織サンプルを採取する工程を含んでよい。本発明の範囲内で、体液または組織サンプルの採取は、好ましくは、非医療スタッフ(すなわち、医師業を実行するために必要な教育を有していないスタッフ)が実行することができる。これは、特に身体サンプルが血液である場合にあてはまる。
本発明との関連で、BNP型ペプチドのレベルに対するANP型ペプチドのレベルの比率を使用して、心機能障害を診断できることが見出された。特に、該比率が拡張機能障害の診断を可能にすることが見出された。さらにまた、該比率は拡張機能障害と収縮機能障害の区別を可能にすることが見出された。
予想外に、ANP型およびBNP型ペプチドレベルを組み合わせて評価し、例えばそれらの相互の比率として表すと、改良された診断情報がもたらされることが見出された。したがって、本発明の好ましい実施形態では、ANP型およびBNP型ペプチドのレベルについての診断情報を組み合わせる。
ANP型およびBNP型ペプチドのレベルについての情報を組み合わせることは、個別の患者において各マーカー由来の診断情報を他方と関連づけて標準化するために役立つであろう。例えば、個別の患者のBNP型ペプチドレベルは、容量過負荷、動脈性高血圧、または心臓に対する全般的緊張(general strain)に応答して高くなるであろう。しかし、これらの要因は、ほとんどの場合、ANP型ペプチドのレベルにも影響し、それも増加させるだろう。したがって、例えば比率として表される、組み合わせた情報によって、診断の改善が可能になる。その理由は、該診断情報が、BNP型ペプチドに対するANP型ペプチドのレベルの関係における変化から導かれ、これらのマーカーの一方の絶対的レベルから導かれないからである。
本発明は特定の生化学的または分子マーカーを利用する。用語「生化学的マーカー」および「分子マーカー」は当業者に公知である。具体的には、生化学的または分子マーカーは、特定の状態、疾患、または合併症の存在または不在下で示差的に発現される(すなわち上方制御または下方制御される)遺伝子発現産物である。通常、分子マーカーは核酸(例えばmRNA)であると定義され、一方、生化学的マーカーはタンパク質またはペプチドである。好適な生化学的または分子マーカーのレベルは、該状態、疾患、リスク、または合併症の存在または不在を示すことができ、ゆえに診断を可能にする。
本発明は、特に、ANP型およびBNP型ペプチドを生化学的または分子マーカーとして利用する。
ANP型およびBNP型ペプチドはナトリウム利尿ペプチドのグループに属する(例えばBonow, R.O. (1996). New insights into the cardiac natriuretic peptides. Circulation 93: 1946-1950を参照のこと)。
ANP型ペプチドは、pre-proANP、proANP、NT-proANP、およびANPを含む。
BNP型ペプチドは、pre-proBNP、proBNP、NT-proBNP、およびBNPを含む。
プレプロペプチド(pre-proBNPの場合は134アミノ酸)は短いシグナルペプチドを含み、それは酵素によって切断除去されてプロペプチド(proBNPの場合は108アミノ酸)が放出される。プロペプチドはさらに切断されて、N末端プロペプチド(NT-proペプチド、NT-proBNPの場合は76アミノ酸)および活性ホルモン(BNPの場合は32アミノ酸、ANPの場合は28アミノ酸)になる。
本発明にしたがって好ましいナトリウム利尿ペプチドは、NT-proANP、ANP、NT-proBNP、BNP、およびその変異体である。ANPおよびBNPは活性ホルモンであり、それぞれの不活性対応物であるNT-proANPおよびNT-proBNPより短い半減期を有する。BNPは血液中で代謝されるが、NT-proBNPはインタクトな分子として血液中を循環し、それ自体は腎臓で排除される。NT-proBNPのin-vivo半減期は120分であり、20分であるBNPの半減期より長い(Smith MW, Espiner EA, Yandle TG, Charles CJ, Richards AM. Delayed metabolism of human brain natriuretic peptide reflects resistance to neutral endopeptidase. J Endocrinol. 2000; 167: 239-46.)。
BNPは、(限定するわけではないが)主に心室で生産され、壁張力が増加すると放出される。ゆえに、放出されたBNPの増加は、心室の機能障害、または心房で生じるが心室に悪影響を及ぼす機能障害、例えば流入障害または血液量過負荷によるもの、を主に反映する。
対照的に、ANPは限定的に心房で生産され放出される。したがってANPのレベルは心房の機能を主に反映するであろう。
プレ解析(Preanalytics)はNT-proBNPに関して頑強であり、それはサンプルを中央検査室に容易に輸送することを可能する(Mueller T, Gegenhuber A, Dieplinger B, Poelz W, Haltmayer M. Long-term stability of endogenous B-type natriuretic peptide (BNP) and amino terminal proBNP (NT-proBNP) in frozen plasma samples. Clin Chem Lab Med 2004; 42: 942-4.)。血液サンプルは室温で数日間保存でき、あるいは回収時の損失なく郵送または輸送されるであろう。対照的に、BNPを室温または摂氏4度で48時間保存すると少なくとも20 %の濃度低下が生じる(Mueller T, Gegenhuber A, et al., Clin Chem Lab Med 2004; 42: 942-4, 上記; Wu AH, Packer M, Smith A, Bijou R, Fink D, Mair J, Wallentin L, Johnston N, Feldcamp CS, Haverstick DM, Ahnadi CE, Grant A, Despres N, Bluestein B, Ghani F. Analytical and clinical evaluation of the Bayer ADVIA Centaur automated B-type natriuretic peptide assay in patients with heart failure: a multisite study. Clin Chem 2004; 50: 867-73.)。
したがって、時間経過または目的の特性に応じて、活性型または不活性型の該ナトリウム利尿ペプチドの測定が有益でありうる。
本明細書の内容において用語「変異体」とは、該ペプチドに実質的に類似のペプチドに関する。用語「実質的に類似の」は当業者によって十分に理解される。具体的には、変異体は、ヒト集団において最も広く認められるペプチドアイソフォームのアミノ酸配列と比較してアミノ酸交換を示すアイソフォームまたはアレルであってよい。好ましくは、そのような実質的に類似のペプチドは、該ペプチドの最も広く認められるアイソフォームに対して、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%の配列類似性を有する。それぞれの完全長ペプチドを標的にする診断手段またはリガンドによって依然として認識される、タンパク質分解による分解産物もまた、実質的に類似である。
さらに、用語「変異体」は、翻訳後修飾ペプチド、例えばグリコシル化ペプチドに関する。「変異体」は、サンプルの収集後に、例えば標識、特に放射標識または蛍光標識を該ペプチドに共有結合または非共有結合させることによって修飾されたペプチドでもある。サンプルの収集後に修飾されたペプチドのレベルの測定は、元々は非修飾のペプチドのレベルの測定として理解される。
本発明に基づく診断には、当該機能障害または疾患の判定、モニタリング、確認、細分類および予測が含まれる。判定とは、該機能障害または疾患に気付くことに関する。モニタリングとは、すでに診断された機能障害または疾患の経過を追跡することに関し、例えば該機能障害もしくは疾患の進行、または機能障害もしくは疾患の進行に関する特定の治療法の影響を分析することに関する。確認とは、他の指標またはマーカーを使用してすでに実施された診断の強化または実証することに関する。細分類とは、診断済み機能障害または疾患の種々のサブクラスにしたがって診断をさらに定めることに関し、例えば軽度および重篤な形式の該機能障害または疾患にしたがって定めることに関する。予測とは、他の症状またはマーカーが明らかになるか、あるいは顕著に変化する前に機能障害または疾患を予知することに関する。
好ましくは、本発明の手段および方法によって得られる診断情報は訓練された医師によって解釈される。好ましくは、個別の被験者における追加の治療法についての任意の決定もまた、訓練された医師によって行われる。適切であると見なされれば、医師は追加の診断方策についてさらに決定する。
本発明にしたがう用語「被験者」とは、健常な個体、健常に見える個体、または患者に関する。被験者は、心血管疾患の既知の病歴を有さなくてよく、さらに/または心臓のリスクもしくは合併症の症状を全くもしくはほとんど有さなくてよいし、さらに/または被験者は心臓の疾患、リスク、もしくは合併症に関して治療されていない。
「患者」とは、疾患を患っている個体である。特に、患者は、心臓病を患っていてよく、あるいは拡張または収縮機能障害を有する疑いがあってよい。
本発明は心機能障害の診断に広く関係している。心機能障害を患う患者は、安定狭心症(SAP)を患う個体および急性冠動脈症候群(ACS)を有する個体であってよい。ACS患者は不安定狭心症(UAP)を示しうるか、あるいはそれらの個体はすでに心筋梗塞(MI)を患っている。MIはST上昇MI (ST-elevated MI)またはST非上昇MIでありうる。MIの発生に続いて、左心室機能障害(LVD)が生じうる。最終的に、LVD患者は死亡率がおおよそ15 %のうっ血性心不全(CHF)を経験する。
本発明の心機能障害には、冠動脈性心疾患、心臓弁欠損(例えば僧帽弁欠損)、拡張型心筋症、肥大型心筋症、および心拍リズム欠損(heart rhythm defect)(不整脈)がさらに包含される。
本発明の心機能障害は「症候性」または「無症候性」であってよい。心機能障害の症状は、New York Heart Association (NYHA)にしたがって循環器疾患に関して確立されている機能的分類系に分類することができる。クラスIの患者は循環器疾患の明らかな症状を有さない。身体活動は制限されず、通常の身体活動によって、過度の疲労、動悸、または呼吸困難(息切れ)が生じない。クラスIIの患者は身体活動のわずかな制限を有する。患者らは安静時には苦痛がないが、通常の身体活動によって、疲労、動悸、または呼吸困難が生じる。クラスIIIの患者は身体活動の顕著な制限を示す。患者らは安静時には苦痛がないが、通常に満たない活動によって、疲労、動悸、または呼吸困難を生じる。クラスIVの患者は任意の身体活動を苦痛なく実行することができない。患者らは安静時に心不全(cardiac insufficiency)の症状を示す。どのような身体活動が行われても、苦痛が増加する。
心機能障害、特に収縮機能障害の別の指標は、「左心室駆出率」(LVEF)であり、それは「駆出率」としても知られている。健常な心臓を有する人々は、通常、損なわれていないLVEFを有し、それは概して50 %超として説明される。症候性の収縮機能障害を有するほとんどの人々は、概して40 %以下のLVEFを有する。
特に、本発明は拡張機能障害の診断に関する。より具体的には、本発明は拡張機能障害を収縮機能障害と区別することに関する。用語「拡張機能障害」は当業者に公知である。拡張機能障害では、駆出率は正常であり、拡張末期圧は上昇し、すなわち低い左心房圧での充満能力が減少している。対照的に、「収縮機能障害」では、LVEFは減少し、拡張末期圧は正常である。拡張機能障害は、ドップラー心エコー図法を使用して、僧帽弁を横切る(すなわち左心房から左心室への)流速を継続的に測定することによって評価することができる。通常、早期拡張期における流入速度は、心房収縮期(心房収縮とは、血液の心室流入を伴う心房の収縮を表す)よりも高速であり; 弛緩障害がある場合、早期の充満速度が低下する一方、収縮前の充満速度が増加する。より重篤な充満機能障害では、該パターンは「偽正常」になり、硬直した左心室の上流の左心房の圧力が上昇するため、早期の心室充満はより高速になる。
拡張機能は、左心室の受動的な弾性特性および能動的な弛緩プロセスによって影響される。異常な受動的弾性特性は、概して、心筋量の増加と、心筋外コラーゲン網の変化との組み合わせによって生じる。能動的心筋弛緩の障害の影響は心室をさらに硬化させうる。その結果、容量に対して左心室の拡張期圧が増加し、心室伸展性(心室の収縮能)が減少し、充満の時間経過が変化し、そして拡張期圧が上昇する。ゆえに、拡張機能障害のメカニズムには、左心室の異常な弛緩、充満、または伸展性(すなわち心室硬直の増加)、および心室拡張が含まれる。別のメカニズムは心膜の拘束である。特に肥大性または虚血性心疾患における拡張機能障害の別のメカニズムには、線維症、細胞の混乱(ともに心室硬直性を増加させる)、肥大(心室硬直性を増加させるだけでなく、心室の弛緩を減少させる)、非同期性、異常負荷(abnormal loading)、虚血、および異常カルシウム流動(後ろの4つのメカニズムは心室の弛緩を減少させる)が含まれる。
有益には、本発明は、拡張機能障害を収縮機能障害と区別することを可能にする。用語「収縮機能障害」は当業者に公知であり、上ですでに説明されている。
本明細書の内容において、留意すべきは、ある種の患者は拡張機能障害および収縮機能障害の混在形態を示す可能性があることである。例えば、重篤な拡張機能障害は収縮機能障害を生じさせることがあり、該機能障害の特性は、この境界線条件下で混在することがある。当業者に明らかであるように、そのような拡張機能障害および収縮機能障害の混在形態は、拡張および収縮機能障害を示す比率(BNP型に対するANP型ペプチドの比率)の間の境界値、例えば3.5〜7 (NT-proBNPのpg/mlに対するNT-proANPのpg/ml)の範囲で存在する可能性が高い。ゆえに、本発明はまた、主に拡張性の機能障害を主に収縮性の機能障害と区別することを可能にすると理解されるであろう。
別の好ましい実施形態では、本発明は拡張機能障害の重症度を診断するための方法にさらに関する。BNP型に対するANP型ペプチドの比率が拡張機能障害の重症度と「逆相関(inversely correlated)」していることが見出された。これは、該比率が低いほど拡張機能障害は重症であり、逆もまた同様であることを意味する。しかし、本明細書の内容から明らかであるように、非常に低い比率(例えば1 pg/mlのNT-proBNPに対する4.5 pg/ml未満のNT-proANP)は、該機能障害が収縮性または主に収縮性であることを示し、非常に高い比率は心機能障害が存在しないことを示す。
典型的には、「低重症度の(less severe)」拡張機能障害(すなわち「初期段階」の拡張機能障害)は、異常に緩徐な左心室の弛緩および/または早期の充満速度の低下によって引き起こされる。
典型的には、「高重症度の(more severe)」拡張機能障害(すなわち「進行段階」の拡張機能障害)は、心室伸展性におけるさらなる異常によって主に特徴付けられる。
ドップラー心エコー図法では、「A波」に対する「E波」の比率にしたがって低重症度および高重症度の拡張機能障害が区別されるであろう。すなわち、軽度の拡張機能障害(異常な弛緩パターン)は異常に緩徐な左心室の弛緩、早期の充満速度の低下(E波)、心房収縮に関連する速度の増加(A波)、およびAに対するEの正常より低い比率によって引き起こされる。高重症度の拡張機能障害、すなわち「進行段階」では、左心房圧が上昇している場合、E波速度およびAに対するEの比率が正常被験者と類似し、「偽正常」速度パターンが生じる。さらにまた、高重症度の拡張機能障害では、左心室伸展性の異常を併発する可能性があり、その結果、高いE波速度が生じる。これらの後者2つの場合には、正常〜高い速度のE波は、拡張早期の高い左心房圧および僧帽弁を横切る高圧勾配の結果である。拡張機能障害におけるドップラー心エコー図は、Aurigemma and Gaasch, 2004 (上記)でさらに考察されている。
拡張機能障害は「拡張性心不全」をもたらす可能性がある。「拡張性心不全」の判定基準は、心不全の発作(episode)後3日間以内の正常なLVEF (50%超)の存在である。好ましくは、拡張機能障害の客観的証拠がさらに存在する(上記を参照、例えば異常な左心室の弛緩、充満または伸展性)。拡張性心不全の診断は臨床的に行われてもよく、うっ血性心不全および正常なLVEFの確かな証拠が存在する場合、カテーテル検査実験室において取得される拡張機能障害の該客観的証拠によって診断が単に確認される。この結論はAmerican College of CardiologyおよびAmerican Heart Associationガイドラインで一致している。
収縮性および拡張性心不全の間の主な差異は、正常に弛緩または充満できないこと(拡張性心不全)と、心室が正常に収縮できずに十分な血液を排出できないこと(収縮性心不全)である。心室の弛緩または充満の障害は、任意の特定の拡張期容積で心室の拡張期圧上昇を導く。弛緩の不全は、虚血時のように機能的および一時的でありうるし、あるいは、例えば硬直し、肥厚した心室に起因して、それは慢性でありうる。
本発明では、用語「拡張性心不全」は、急性重症僧帽弁逆流および他の循環性うっ血状態(例えばうっ血性心不全)等の、正常な駆出率を示す心不全をもたらしうる状態を包含しない。これらの例では、BNP型ペプチドに対するANP型ペプチドの比較的低い比率、例えば1 pg/mlのNT-proBNPに対する5 pg/ml未満のNT-proANPの比率が通常は予測されるであろう。
別の好ましい実施形態では、本発明は、一方または両方の心房が影響を受けている心機能障害と、一方または両方の心室が影響を受けている心機能障害を区別することに関する。さらに、本発明は、そのようなそれら機能障害の主な特徴の識別、すなわち心房機能障害と心室機能障害の区別に関するものであってもよい。BNP型ペプチドに対するANP型ペプチドの比率が高ければ心房が影響を受けていることを示し、比率が低ければ心室が影響を受けていることを示す。より一般的に言えば、本発明は、その機能障害が主に心房性であるか、あるいは主に心室性であるかを区別することを可能にする。
心房の主な機能不全、例えば心房細動は、心房の収縮の不全を生じさせる可能性があり、その結果、血液が心室に盛んに達することはない。心房細動は心房筋組織の失調性収縮を生じさせ、それにより収縮がもはや生じなくなる。同様に、心室の機能不全は心房から心室内への血流を妨害するであろう。
さらにまた、進行した心機能障害、例えば弁機能障害の場合では、心室から心房内への逆流が起こりうるが、それは例えば不完全な弁閉鎖によって生じる。例えば弁を動かす筋肉(乳頭筋)に影響する心筋梗塞後に、同様の現象が観察されることがある。その結果、心室から心房への逆流(閉鎖不全)によって心房に対する緊張が増加する。
例えば、被験者を心房細動に関して(例えば心電図検査によって)分析する。留意すべきことは、心房細動がANP型および/またはBNP型ペプチドのレベルの増加およびBNP型ペプチドに対するANP型ペプチドの比率の減少を引き起こしうることである(実施例3も参照のこと)。心房細動を患っている被験者では、該比率によって取得される診断情報は、好ましくは、注意して解釈され、好ましくは本明細書中に記載の他の手段、例えば心エコー図法によって確認される。さらにまた、そのような被験者における良好な診断を達成するために、算出した比率を補正して(すなわち増加させて)よい。
本発明との関連では、BNP型ペプチドを単独で測定してもも、心機能障害の診断のために、特に拡張機能障害の診断または拡張機能障害と収縮機能障害の区別のために十分であろうことが見出されている。したがって、別の実施形態では、本発明は、被験者における心機能障害を診断するための方法であって、(a) 好ましくはin vitroで、被験者由来のサンプル中のBNP型ペプチドのレベルを測定する工程、および(b) BNP型ペプチドのレベルを心機能障害の存在または不在を示す少なくとも1つの既知のレベルと比較する工程を含む方法に関する。該方法は、任意の工程(c) 被験者における心機能障害を診断する工程を含んでよい。本実施形態は、特に、拡張機能障害を診断することに関する。すべての他の本発明の実施形態を、BNP型ペプチドのみを測定するように同様に適合させてもよい。
一般に、BNP型ペプチドのレベルが高いほど拡張機能障害が存在する可能性が高く、さらに/または該拡張機能障害がより重症である。しかし、非常に高レベルのBNP型ペプチド(例えば700 pg/ml超、好ましくは1000 pg/ml超のNT-proBNP)は、該機能障害が収縮性または主に収縮性であることを示す。
本発明の方法は、上記の算出した比率を、心機能障害、特に拡張または収縮機能障害の存在を示す少なくとも1つの既知の比率と比較することによって機能障害を診断する工程を含む。
明らかなように、ANP型およびBNP型ペプチド比から得られる組み合わせた情報は、別形式で、例えばANP型ペプチドに対するBNP型ペプチドのレベルの比率として表してもよい。任意の濃度(モル濃度または重量濃度)を容易に算出することができる。これらの形式の測定は同じ発明を表し、用語「BNP型に対するANP型ペプチドの比率」の範囲内であると見なされる。
当業者は既知のレベル群または比率群を決定することができる(実施例2も参照のこと)。例えば、特定の機能障害を患っている被験者集団中で測定したレベルまたは比率の中央値を使用することができる。同様に、コントロール被験者集団を調査してよい。例えばコホート研究において追加の被験者でのレベルを評価することは、既知のレベルまたは比率を精緻化するために役立ちうる。
用語「コントロール」または「コントロールサンプル」は当業者によって容易に理解される。好ましくは、「コントロール」とは、それに対して実験結果を評価することができる標準を提供するために実行される実験または試験に関する。本内容では、該標準は、好ましくは、特定の疾患状態に関連する目的のポリペプチドのペプチドのレベルに関する。ゆえに、「コントロール」は、好ましくは、そのような標準を提供するために採取されるサンプルである。例えば、コントロールサンプルは、1人以上の健常被験者由来または1人以上の特定の疾患状態を表す患者由来であってよい。コントロールサンプルは同一被験者からより早期に取得されたものであってもよい。
既知のレベルとは「基準値」であってもよい。当業者は、生化学的マーカーまたは分子マーカーに関する基準値(または「正常値」)の概念を熟知している。特に、基準値という用語は、1種以上のコントロールサンプルにおけるレベルの実際の値に関するものであってよく、あるいは1種以上のコントロールサンプル中の実際のレベルに由来する値に関するものであってよい。好ましくは、少なくとも3、より好ましくは少なくとも15、より好ましくは少なくとも50、より好ましくは少なくとも100、最も好ましくは少なくとも400人の被験者のサンプルを分析して、基準値を決定する。
最も単純な場合、基準値は、コントロールサンプルにおける測定レベルと同一であるか、あるいは多数のコントロールサンプルの測定レベルの平均である。しかし、基準値は2以上のコントロールサンプルから算出してもよい。例えば、基準値は、コントロール状態(例えば健常、特定の状態、または特定の疾患状態)を示すコントロールサンプルのレベルの算術平均であってよい。好ましくは、基準値は、複数の同等のコントロールサンプル(同一または同様の疾患状態を示すコントロールサンプル)中で見出すことができる一定範囲の値、例えば平均± 1倍以上の標準偏差に関する。同様に、基準値は、他の統計学的パラメータまたは方法によって、例えば複数のコントロールサンプルにおいて見出されるレベルの規定のパーセンタイル、例えば90 %、95 %、または99 %パーセンタイルとして算出してもよい。特定の基準値の選択は、所望の感度、特異性または統計学的有意性にしたがって決定してよい(一般に、感度が高いほど特異性が低く、逆もまた同様である)。当業者に公知であり、適切であると見なされる統計学的方法にしたがって計算を実行してよい。
既知のレベルまたは比率に関する例を以下に挙げる。そのようなレベルまたは比率をさらに精緻化することが可能である。本明細書中で提供される具体的な既知のレベルまたは比率は心機能障害を診断するためのガイドラインとして役立つであろう。当技術分野で公知であり、かつ十分に認められているように、個別の被験者における実際の診断は、好ましくは、例えば個別の被験者の体重、年齢、全般的健康状態および既往症に応じて、医師による個別の分析によって実行される。
例えば、20未満、好ましくは17未満の血漿レベルでの比率(NT-proBNPのpg/mlに対するNT-proANPのpg/ml)は心機能障害の存在を示す。別の例では、20を超える、好ましくは23を超える血漿レベルの比率(NT-proBNPのpg/mlに対するNT-proANPのpg/ml)は心機能障害の不在を示す。
さらにまた、6〜20の範囲、好ましくは7〜17の範囲の血漿レベルでの比率(NT-proBNPのpg/mlに対するNT-proANPのpg/ml)は拡張機能障害の存在を示す。15〜20の範囲の比率(NT-proBNPのpg/mlに対するNT-proANPのpg/ml)は低重症度の拡張機能障害の存在を示す。6〜15の範囲の比率(NT-proBNPのpg/mlに対するNT-proANPのpg/ml)は高重症度の拡張機能障害の存在を示す。6未満、好ましくは4.5未満の比率は収縮機能障害の存在を示す。
例えば、125〜700 pg/mlの範囲のNT-proBNPの血漿レベルは拡張機能障害の存在を示すであろう。125〜250 pg/mlの範囲のNT-proBNPの血漿レベルは低重症度の拡張機能障害の存在を示すであろう。250〜700 pg/mlの範囲のNT-proBNPの血漿レベルは高重症度の拡張機能障害の存在を示すであろう。700 pg/mlを超える、好ましくは1000 pg/mlを超えるNT-proBNPの血漿レベルは主に収縮機能障害の存在を示すであろう。125 pg/ml未満、好ましくは80 pg/ml未満のレベルでは、拡張機能障害は存在しそうもない。
レベルおよび/または比率に関する値は別の様式で表現でき、容量当たりの重量の代わりにモル濃度単位で該値を表現してよく、逆もまた同様である。同様に、BNP型ペプチドに対するANP型ペプチドの比率の代わりに、ANP型に対するBNP型ペプチドの比率を使用してよく、適宜、該値を再計算してよい。
別の好ましい実施形態では、心臓病についての追加の診断パラメータが測定され、該パラメータは、特に(a) 左心室駆出率(LVEF)、(b) 心エコー図、(c) 既往症(病歴)、特に狭心症に関するもの、(d) 心電図、(e) 心房細動、(f) 甲状腺または腎機能のパラメータ、(g) 血圧、特に動脈性高血圧、(h) タリウムシンチグラム、(i) 血管造影、(j) カテーテル検査、からなる群から選択される。
これらの追加の診断パラメータは、BNP型(および可能であればANP型)ペプチドを測定する前または後に判定してよい。それらは心機能障害の存在についての疑いを実証するものであってよく、あるいはそれらは特定の測定レベルまたは比率についての診断上の関連性をさらに評価するために役立つものであってよい。
特に、心機能障害が存在する可能性はドップラー心エコー図法によって判定または確認しうる。ドップラー心エコー図法は、さらに、拡張機能障害が存在する可能性を判定または確認するために特に有益であろう。ドップラー心エコー図におけるA波に対するE波の比率の分析(Aurigemma and Gaasch (上記))により、拡張機能障害の確認が可能になる。
ANP型およびBNP型ペプチドならびにそれらの比率から得られる診断情報は、ドップラー心エコー図法から得られる情報に対する追加または補足的な情報をもたらすことができる。個別の被験者間で、測定レベルまたは比率はかなり離れる可能性があり、心房または心室の機能についてのさらに差別化された診断情報が得られる。この情報は、心エコー図法によって収集される情報にまさるかもしれない。
損なわれたLVEF、特に40%未満のLVEFは、機能障害が収縮性または主に収縮性であることを示し、それを使用して、本発明によって提供される他の方法または使用に基づく診断を確認してもよい。
生化学的または分子マーカーのレベルは、タンパク質(ペプチドまたはポリペプチド)の濃度または対応する転写物を測定することによって決定することができる。この関連では、用語「測定」とは、好ましくは、当該レベルの定量的または半定量的決定に関する。
該レベルは、ペプチドまたはポリペプチドの量または濃度を測定することによって測定することができる。好ましくは、レベルは所定のサンプル中の濃度として決定される。本発明の目的では、絶対的レベルを測定することが必要なわけではないであろう。適切なコントロール中のレベルと比較した相対的レベルを測定することで十分であろう。目的のペプチドまたはポリペプチドに特有の誘導体または断片、例えば核酸またはタンパク質消化物中に含有される特定断片を測定することによって測定を実行することもできる。
核酸、特にmRNAの測定は、当業者に公知かつ適切であると考えられる任意の方法にしたがって実施することができる。
RNAの測定に関する例には、ノーザンハイブリダイゼーション、RNA分解酵素保護アッセイ、インサイチュハイブリダイゼーション、およびアプタマー、例えばSephadex結合性RNAリガンド(Srisawat, C., Goldstein I.J., and Engelke, D.R. (2001). Sephadex-binding RNA ligands: rapid affinity purification of RNA from complex RNA mixtures. Nucleic Acids Research, vol. 29, no. 2 e4)が含まれる。
さらにまた、RNAをcDNAに逆転写することができる。したがって、DNAの測定方法をRNAの測定に同様に使用することができ、そのような方法としては例えばサザンハイブリダイゼーション、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)(例えばCao, W. (2004) Recent developments in ligase-mediated amplification and detection. Trends in Biotechnology, vol. 22 (1), p. 38-44を参照のこと)、RT-PCR、リアルタイムRT-PCR、定量的RT-PCR、およびマイクロアレイハイブリダイゼーション(例えばFrey, B., Brehm, U., and Kuebler, G., et al. (2002). Gene expression arrays: highly sensitive detection of expression patterns with improved tools for target amplification. Biochemica, vol. 2, p. 27-29を参照のこと)である。
DNAおよびRNAの測定は、溶液中で、例えば分子ビーコン、ペプチド核酸(PNA)、またはロックされた核酸(locked nucleic acids)(LNA)を使用して実施してもよい(例えばDemidov, V.V. (2003). PNA and LNA throw light on DNA. Trends in Biotechnology, vol. 21(1), p. 4-6を参照のこと)。
タンパク質またはタンパク質断片の測定は目的のペプチドまたはポリペプチドの測定に関して公知の任意の方法にしたがって実行することができる。当業者は適切な方法を選択することができる。
当業者は、ペプチドまたはポリペプチドのレベルを測定する種々の方法を熟知している。用語「レベル」とは、サンプル中のペプチドまたはポリペプチドの量または濃度に関する。
測定は直接的または間接的に行うことができる。間接的測定には、細胞応答、結合リガンド、標識、または酵素反応産物の測定が含まれる。
測定は、当技術分野において公知の任意の方法、例えば細胞アッセイ、酵素アッセイ、またはリガンドの結合に基づくアッセイにしたがって行うことができる。典型的な方法を以下に記載する。
一実施形態では、目的のペプチドまたはポリペプチドのレベルを測定するための方法は、(a) ペプチドまたはポリペプチドを好適な基質と適切な期間にわたり接触させる工程、(b) 生成物の量を測定する工程、を含む。
別の実施形態では、目的のペプチドまたはポリペプチドのレベルを測定するための方法は、(a) ペプチドまたはポリペプチドを、特異的に結合するリガンドと接触させる工程、(b) 未結合リガンドを除去する(任意の)工程、(c) 結合リガンドの量を測定する工程を含む。
別の実施形態では、目的のペプチドまたはポリペプチドのレベルを測定するための方法は、(a) サンプルのペプチドまたはポリペプチドを断片化する(任意の)工程、(b) 1種以上の生化学的または生物物理学的特性にしたがって(例えば、固体表面に対する結合またはクロマトグラフィー設定におけるそれらのランタイムにしたがって)ペプチドもしくはポリペプチドまたはその断片を分離する(任意の)工程、(c) 1種以上のペプチド、ポリペプチド、または断片の量を決定する工程、(d) 工程(c)の1種以上のペプチド、ポリペプチドまたは断片のアイデンティティーを質量分析によって判定する工程、を含む。質量分析法の概要は、例えばRichard D. Smith (2002). Trends in mass spectrometry instrumentation for proteomics. Trends in Biotechnology, Vol. 20, No. 12 (Suppl.), pp. S3-S7に挙げられている。
他の典型的な測定方法には、目的のペプチドまたはポリペプチドに特異的に結合しているリガンドの量を測定することが含まれる。本発明の結合には、共有結合および非共有結合の両者が含まれる。
本発明のリガンドは、目的のペプチドまたはポリペプチドに結合する任意のペプチド、ポリペプチド、核酸、または他の物質でありうる。ペプチドまたはポリペプチドが、ヒトまたは動物身体から取得または精製される場合、例えばグリコシル化によって修飾されている可能性があることは周知である。本発明の好適なリガンドは、そのような部位を介してペプチドまたはポリペプチドに結合してもよい。
好ましくは、該リガンドは測定対象のペプチドまたはポリペプチドに特異的に結合すべきである。本発明の「特異的結合」とは、リガンドが、調査対象のサンプル中に存在する別のペプチド、ポリペプチドまたは物質に実質的に結合(「交差反応」)すべきでないことを意味する。好ましくは、特異的に結合したタンパク質またはアイソフォームは、任意の他の関連ペプチドまたはポリペプチドよりも、少なくとも3倍、より好ましくは少なくとも10倍およびさらにより好ましくは少なくとも50倍高い親和性で結合すべきである。
非特異的結合は、特に、調査対象のペプチドまたはポリペプチドが、例えばそのサイズにしたがった(例えば電気泳動による)分離またはサンプル中の相対的に高いその存在量によって、依然として明確に区別および測定できる場合には、許容できるであろう。
リガンドの結合は当技術分野において公知の任意の方法によって測定することができる。好ましくは、該方法は半定量的または定量的である。好適な方法を以下に記載する。
第一に、リガンドの結合を、直接的に、例えばNMRまたは表面プラズモン共鳴によって測定してよい。
第二に、リガンドが目的のペプチドまたはポリペプチドの酵素活性の基質としても働く場合、酵素反応産物を測定してよい(例えば、切断された基質の量を例えばウエスタンブロットで測定することによってプロテアーゼの量を測定することができる)。酵素反応産物の測定では、好ましくは基質の量は飽和している。反応前に、検出可能な標識で該基質を標識してもよい。好ましくは、サンプルを基質と適切な期間接触させる。適切な期間とは、検出可能な、好ましくは測定可能な量の産物が生産されるために必要な時間を言う。産物の量を測定する代わりに、所定の(例えば検出可能な)量の産物の出現に必要な時間を測定することができる。
第三に、リガンドを共有結合または非共有結合によって標識に結合して、該リガンドの検出および測定を可能にすることができる。標識化は直接的または間接的方法によって行ってよい。直接標識化には、該リガンドに直接、標識を(共有結合または非共有結合によって)結合することが含まれる。間接標識化には、第一のリガンドに対する第二のリガンドの(共有結合または非共有結合による)結合が含まれる。該第二のリガンドは第一のリガンドに特異的に結合すべきである。該第二のリガンドは、好適な標識と結合してよく、そして/または該第二のリガンドに結合する第三のリガンドの標的(受容体)であってよい。第二、第三またはさらに高次のリガンドの使用は、シグナルを増幅するために使用されることがよくある。好適な第二およびより高次のリガンドには、抗体、二次抗体、および周知のストレプトアビジン-ビオチン系(Vector Laboratories, Inc.)が含まれるであろう。
リガンドまたは基質は、当技術分野において公知の1種以上のタグで「タグ付加」されてもよい。そして、そのようなタグはより高次のリガンドの標的であってよい。好適なタグには、ビオチン、ジゴキシゲニン、Hisタグ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、FLAG、GFP、mycタグ、インフルエンザAウイルス赤血球凝集素(HA)、マルトース結合タンパク質、等が含まれる。ペプチドまたはポリペプチドの場合、該タグは、好ましくは、N末端および/またはC末端である。
好適な標識は、適切な検出方法によって検出可能な任意の標識である。典型的な標識には、金粒子、ラテックスビーズ、アクリダンエステル、ルミノール、ルテニウム、酵素活性標識、放射性標識、磁気標識(例えば、常磁性および超常磁性標識を含めた「磁気ビーズ」)、および蛍光標識が含まれる。
酵素活性標識には、例えば西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、およびその誘導体が含まれる。検出に好適な基質には、ジアミノベンジジン(DAB)、3,3'-5,5'-テトラメチルベンジジン、NBT-BCIP (4-ニトロブルーテトラゾリウムクロライドおよび5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-ホスファート、Roche Diagnosticsから調製済み原液として入手可能)、CDP-StarTM (Amersham Biosciences)、ECFTM (Amersham Biosciences)が含まれる。好適な酵素-基質の組み合わせは、有色の反応産物、蛍光または化学発光を生じさせてもよく、それを当技術分野において公知の方法にしたがって(例えば、感光性フィルムまたは好適なカメラシステムを使用して)測定することができる。酵素反応の測定に関して、上記提供の基準が同様にあてはまる。
典型的な蛍光標識には、蛍光タンパク質(例えばGFPおよびその誘導体)、Cy3、Cy5、テキサスレッド、フルオレセイン、およびAlexa色素(例えばAlexa 568)が含まれる。別の蛍光標識は、例えばMolcular Probes (Oregon)から入手可能である。蛍光標識としての量子ドットの使用も意図される。
典型的な放射性標識には、35S、125I、32P、33P等が含まれる。放射性標識は、公知かつ適切な任意の方法、例えば感光性フィルムまたは蛍光体撮像装置によって検出することができる。
本発明の好適な測定方法には、沈降(特に免疫沈降)、電気化学発光(電気発生化学発光)、RIA(ラジオイムノアッセイ)、ELISA(酵素結合免疫吸着検定)、サンドイッチ酵素免疫試験、電気化学発光サンドイッチ免疫アッセイ(ECLIA)、解離促進ランタニドフルオロイムノアッセイ(DELFIA)、シンチレーション近接アッセイ(SPA)、濁度測定、比濁分析、ラテックス増強濁度測定または比濁分析、固相免疫試験、および質量分析、例えばSELDI-TOF、MALDI-TOF、またはキャピラリー電気泳動-質量分析(CE-MS)がさらに含まれる。当技術分野において公知の別の方法(例えばゲル電気泳動、2Dゲル電気泳動、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)、ウエスタンブロット)を、単独で、あるいは上記標識方法または他の検出方法と組み合わせて使用することができる。
さらにまた、好適な方法には、マイクロプレートELISAベースの方法、完全自動化またはロボット式免疫アッセイ(例えばElecsysTM分析計で利用可能)、CBA (酵素的コバルト結合アッセイ、例えばRoche-HitachiTM分析計で利用可能)、およびラテックス凝集アッセイ(例えばRoche-HitachiTM分析計で利用可能)が含まれる。
好ましいリガンドには、抗体、核酸、ペプチドまたはポリペプチド、およびアプタマー、例えば核酸またはペプチドアプタマーが含まれる。そのようなリガンドに対する方法は当技術分野において周知である。例えば、好適な抗体またはアプタマーの特定および生産は市販の供給元によってさらに提供される。当業者は、より高い親和性または特異性を有するそのようなリガンドの誘導体を開発する方法を熟知している。例えば、核酸、ペプチドまたはポリペプチド内にランダム突然変異を導入することができる。そして、当技術分野において公知のスクリーニング手順、例えばファージディスプレイにしたがって、これらの誘導体の結合を試験することができる。
本明細書中で使用される用語「抗体」には、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体の両者、ならびに、抗原またはハプテンに結合可能なその断片、例えばFv、FabおよびF(ab)2断片が含まれる。
別の好ましい実施形態では、好ましくは核酸、ペプチド、ポリペプチドからなる群から選択され、より好ましくは核酸、抗体、またはアプタマーからなる群から選択されるリガンドはアレイ上に存在する。
該アレイは少なくとも1種の追加のリガンドを含有し、それは目的のペプチド、ポリペプチドまたは核酸を標的にするものであってよい。該追加のリガンドは、本発明の内容では、特定の目的を有さないペプチド、ポリペプチドまたは核酸を標的にするものであってもよい。好ましくは、本発明の内容では、少なくとも3種、好ましくは少なくとも5種、より好ましくは少なくとも8種の目的のペプチドまたはポリペプチドに対するリガンドをアレイ上に含有させる。
アレイ上でのリガンドの結合は任意の公知の読み取りまたは検出方法、例えば光学的(例えば蛍光)、電気化学的、または磁気的シグナル、または表面プラズモン共鳴を用いる方法によって検出することができる。
本発明では、用語「アレイ」とは、少なくとも2種の化合物が1、2または3次元の配置で付着または結合されている固相またはゲル様担体を言う。そのようなアレイ(「遺伝子チップ」、「タンパク質チップ」、抗体アレイ等を含む)は、当業者に一般的に知られており、典型的に、顕微鏡用スライドガラス、特別にコーティングされたスライドガラス、例えばポリカチオン、ニトロセルロースまたはビオチンコーティングスライド、カバーガラス、およびメンブレン、例えばニトロセルロースまたはナイロンベースのメンブレンなどの上で作成される。該アレイには、結合リガンドまたは、それぞれ少なくとも1種のリガンドを発現している少なくとも2種の細胞を含ませてよい。
本発明のアレイとして「サスペンションアレイ」を使用することが同様に意図される(Nolan JP, Sklar LA. (2002). Suspension array technology: evolution of the flat-array paradigm. Trends Biotechnol. 20(1):9-12)。そのようなサスペンションアレイでは、担体、例えばマイクロビーズまたはミクロスフェアが懸濁状態で存在する。該アレイは種々のマイクロビーズまたはミクロスフェアからなり、それらは場合により標識され、種々のリガンドを保持する。
本発明は、上記規定のアレイを作成する方法にさらに関する。該アレイでは、少なくとも1種のリガンドが他のリガンドに加えて担体材料に結合している。
例えば固相化学および光不安定性(photo-labile)保護基に基づく、そのようなアレイを作成する方法は、一般に公知である(US 5,744,305)。そのようなアレイを物質または物質ライブラリーと接触させることもでき、さらに相互作用について、例えば結合または構造の変化について試験することもできる。したがって、上記規定のペプチドまたはポリペプチドを含むアレイを使用して、該ペプチドまたはポリペプチドに特異的に結合するリガンドを特定することができる。
ペプチドおよびポリペプチド(タンパク質)を、組織、細胞、および体液のサンプル、すなわち好ましくはin vitroで、測定することができる。好ましくは、目的のペプチドまたはポリペプチドを体液サンプル中で測定する。
本発明の組織サンプルは、死んだまたは生存しているヒトまたは動物身体から取得される任意の種類の組織を言う。組織サンプルは、当業者に公知の任意の方法、例えば生検または掻爬によって取得することができる。
本発明の体液には、血液、血清、血漿、リンパ液、脳内液、唾液、硝子体液、および尿が含まれうる。特に、体液には、血液、血清、血漿、および尿が含まれる。体液サンプルは当技術分野において公知の任意の方法によって取得することができる。
いくつかのサンプル、例えば尿サンプルは、目的のペプチドまたはポリペプチドの分解産物、特に断片しか含有しない可能性がある。しかし、上で説明されるように、該断片が目的のペプチドまたはポリペプチドに特異的である限り、そのレベルの測定は依然として可能であろう。
必要であれば、測定前にサンプルをさらに処理してよい。例えば、当技術分野において公知の方法にしたがってサンプルから核酸、ペプチドまたはポリペプチドを精製してよく、該方法には、ろ過、遠心分離、または抽出法、例えばクロロホルム/フェノール抽出が含まれる。
さらにまた、サンプルを取得し、目的のペプチドまたはポリペプチドを測定するためのいわゆるポイント・オブ・ケアまたはラブ・オン・ア・チップ装置を使用することが意図される。そのような装置は、血糖値測定において使用される装置と同様に設計してよい。ゆえに、患者は、訓練された医師または看護師の直接の補助なく、サンプルを取得し、目的のペプチドまたはポリペプチドを測定することができる。
別の好ましい実施形態では、本発明は、以下のものを含むキットに関する: (a) 被験者由来のサンプル中のANP型ペプチドのレベルを測定するための手段または装置、および(b) 被験者由来のサンプル中のBNP型ペプチドのレベルを測定するための手段または装置。好ましくは、(a)に記載の手段は、ANP型ペプチドに特異的に結合するリガンドであり、さらに/または(b)に記載の手段は、BNP型ペプチドに特異的に結合するリガンドである。別の好ましい実施形態では、本発明は、被験者における心機能障害を診断するための、そのようなキットの使用に関する。別の好ましい実施形態では、本発明は、被験者における拡張機能障害の存在または重症度を診断するための、そのようなキットの使用に関する。
別の好ましい実施形態では、本発明は、心機能障害、好ましくは拡張機能障害の診断用の診断キットを製造するための、NT-proANPに特異的に結合するリガンドおよび/またはNT-proBNPに特異的に結合するリガンドの使用に関する。別の好ましい実施形態では、該診断キットは拡張機能障害を収縮機能障害と区別するためのものである。
場合により、該キットは、心機能障害、好ましくは拡張機能障害の診断に関して、任意の測定の結果を解釈するためのユーザーズマニュアルをさらに含んでよい。別の好ましい実施形態では、該ユーザーズマニュアルは、拡張機能障害を収縮機能障害と区別することに関して、任意の測定の結果を解釈するためのものである。特に、該ユーザーズマニュアルは、どの測定レベルがどの種類の機能障害に対応するかについての情報を含んでもよい。これは本明細書中の別の箇所で詳細に説明される。さらに、そのようなユーザーズマニュアルは、それぞれのバイオマーカーのレベルを測定するためのキットの構成要素の正しい使用についての説明を提供するものであってよい。
別の好ましい実施形態では、本発明は患者が心臓病を患うリスクを診断することに関する。本発明では、用語「リスク」とは、特定の出来事、より具体的には心血管の合併症または心不全が生じる確率に関する。本発明の方法によって被験者が心機能障害を患っていることが示される場合、それは、該被験者が高重症度の心機能障害を患うリスクにさらされていることをさらに示している。例えば、本発明の方法によって被験者が拡張機能障害を患っていることが示される場合、該方法によって該被験者が拡張性心不全を患うリスクにさらされていることがさらに示される。別の例では、本発明の方法によって被験者が低重症度の拡張機能障害を患っていることが示される場合、該方法によって該被験者が高重症度の拡張機能障害を患うリスクにさらされていることが示される。
本発明は、心機能障害の治療方法または、被験者が心機能障害の治療を必要としているかどうかについて決定するための方法にさらに関する。一般に、本発明の方法によって心機能障害の存在または心機能障害を患うリスクが示される場合、好ましくは、該被験者が心機能障害の治療を必要としていると決定される。
本発明の方法によって被験者において心機能障害が存在することまたは被験者が心機能障害を患うリスクにさらされていることが示される場合、治療を開始し、あるいは治療を適合させてよい。被験者のANP型およびBNP型ペプチドのレベルおよび/または比率を定期的にモニターしてよい。さらにまた、熟練した心臓病専門医に公知の方法、例えば心電図検査、または心エコー図法に基づく追加の診断によって被験者を集中的に調べてもよい。治療は、心機能障害または心不全を患うリスクの低減に一般的に関連している任意の方策を含んでよい。例えば、非ステロイド性抗炎症剤(例えばCox-2インヒビターまたは選択的Cox-2インヒビター、例えばセレコキシブまたはロフェコキシブ)を用いる治療を中断したり、あるいは任意のそのような投与薬物の用量を低減したりしてもよい。他の可能な方策は、塩摂取の制限、規則的な適度な運動、インフルエンザおよび肺炎球菌の免疫化の提供、外科的処置(例えば血管再建術、バルーン拡張、ステント術、バイパス手術)、薬物の投与、例えば利尿薬(2種以上の利尿薬の同時投与を含む)、ACE (アンギオテンシン変換酵素)インヒビター、β-アドレナリン作動性ブロッカー、アルドステロンアンタゴニスト、カルシウムアンタゴニスト(例えばカルシウムチャネルブロッカー)、アンギオテンシン受容体ブロッカー、ジギタリスの投与、ならびに当業者に公知でありかつ当業者が適切であるとみなす任意の他の方策である。
より具体的には、さらなる実施形態において、本発明は、心機能障害に対する被験者の可能な治療法を決定するための方法であって、(a) 好ましくはin vitroで、被験者由来のサンプル中のANP型ペプチドのレベルを測定する工程、(b) 好ましくはin vitroで、被験者由来のサンプル中のBNP型ペプチドのレベルを測定する工程、(c) BNP型ペプチドの測定レベルに対するANP型ペプチドの測定レベルの比率を算出する工程、(d) 算出した比率を、心機能障害の存在または不在を示す少なくとも1つの既知の比率と比較する工程、(e) 任意で、心臓病専門医による患者の診察を開始する工程、(f) 心臓病専門医による患者の診察結果を任意で考慮して、治療法の開始または治療法の差し控えを勧める工程を含む方法に関する。好ましくは、本方法によって心機能障害の存在が示される場合、心臓病専門医による診察の開始および/または治療法の開始を勧める。本方法は、本明細書中の上記すべての機能障害に関し、特に拡張機能障害の治療法の開始に関する。本方法を、本明細書中に記載の本発明のすべての実施形態または好ましい態様にしたがって適合させることができることは明らかである。
NT-proBNPの測定:
NT-proBNPは、Elecsys 2010での電気化学発光免疫アッセイ(Elecsys proBNPサンドウィッチイムノアッセイ;Roche Diagnostics, Mannheim, Germany)によって測定することができる。該アッセイは、電気化学発光サンドイッチ免疫アッセイ原理にしたがって機能する。第一工程では、ビオチン標識IgG (1-21)捕捉抗体、ルテニウム標識F(ab')2 (39-50)シグナル抗体および20マイクロリットルのサンプルを37℃で9分間インキュベートする。その後、ストレプトアビジンコーティング磁気微粒子を加え、混合物をさらに9分間インキュベートする。第二のインキュベーション後、反応混合物をこのシステムの測定セルに移し、該セルでは該ビーズが磁気的に電極表面に捕捉される。測定セルをバッファーで洗浄することによって未結合標識を除去する。
最終工程では、トリプロピルアミン含有バッファーの存在下で電極に電圧を印加し、得られる電気化学発光シグナルを光電子増倍管によって記録する。すべての試薬およびサンプルはElecsys(登録商標)機器によって完全に自動で取り扱われる。2点較正によって機器特異的に作成された検量線、および試薬バーコードによってもたらされるマスター曲線によって、結果を決定する。製造元の指示にしたがって試験を実施する。
5000 Uのアプロチニン(Trasylol, Beyer, Germany)を含有するEDTA試験管およびリチウム-ヘパリン試験管(臨床化学用)中に、適宜、ホルモン分析用の血液を採取することができる。血液および尿サンプルはすぐに、3400 rpmで4℃で10分間スピンする。上清を分析時まで-80℃で保存する。
NT-proANPの測定:
NT-proANPは、Sundsfjord, J.A., Thibault, G., et al. (1988). Idenfication and plasma concentrations of the N-terminal fragment of proatrial natriuretic factor in man. J Clin Endocrinol Metab 66:605-10.の変法において、同じウサギ抗ラットproANPポリクローナル血清、標準物としてのPeninsula Lab (Bachem Ltd, St. Helene, UK)製のヒトproANP (1-30)、および放射標識のためにHPLCによって精製されたヨウ素化proANP 1-30を使用して、磁気固相技術を用いる競合的結合ラジオイムノアッセイによって測定することができる。高感度および良好な精度を達成するために、固相および二次抗体としてヒツジ抗ウサギIgGを有するDynabeads M280 (Dynal Biotech, Oslo, Norway)を使用してよい。
軽度の呼吸困難の症状を有する合計542人(男性315人、女性227人)の高齢(65歳を超える)患者をNT-proBNPの予後値に関する研究に含めた。年齢の中央値は63±11歳であった。このグループの454人の患者について、NT-proBNPおよびNT-proANPのレベルを測定した。すべての患者は、臨床試験、心電図、および心エコー図を行った。文献(Aurigemma and Gaasch (2004)(上記))に記載のようにしてA波に対するE波の比率を分析することによって拡張機能障害を評価した。50%未満のLVEFが測定された場合、収縮機能障害の診断がなされた。A波に対するE波の比率(Aurigemma and Gaasch (2004)(上記))にしたがって評価した拡張機能障害の程度にしたがって、収縮機能の障害を有さない患者をグループ化した。
Figure 0004828550
心機能障害の増大(DDなしから、低重症度のDDへ、高重症度のDDへ、収縮機能障害への増大)に伴ってNT-proBNPがNT-proANPよりも急激に上昇することがわかる。さらにまた、NT-proANPとNT-proBNPの比率を使用して、心機能障害の特徴および程度を診断することができることがわかる。
逐次試験として、試験の被験者は以下の検査を受けた:(1) 冠動脈性心疾患を診断するための冠動脈造影、(2) 特に収縮機能障害の評価および測定のための心エコー図検査、既往の梗塞、不整脈の存在、または任意の他の情報を評価するための心電図。
患者を基礎疾患にしたがってグループ化し、NT-proBNPおよびNT-proANPのレベルを測定した。
グループ1: 血管造影によって確認される冠動脈性心疾患を有するすべての被験者
グループ2: 種々の種類の弁欠損、例えば僧帽弁欠損
グループ3: 拡張型心筋症
グループ4: 肥大型心筋症
グループ5: 冠動脈性心疾患を有さない(健常)被験者
グループ6: いずれの他のグループにも属さない(例えば不整脈を有する)患者。
収縮機能障害の有無、年齢、心房機能、および不整脈、例えば心房性不整脈に関して追加の分析を実施した。
図1および2からわかるように、すべてのグループでNT-proBNPレベルに対するNT-proANPレベルの比率はLVEFによって左右される。弁欠損のグループ(グループ2)では、NT-proANPレベルが高い傾向にある。グループ3および4はいくらか異常なグループである。
追加の分析(図3を参照のこと)では、基礎疾患を考慮に入れずに、単純に、細動不整脈(AA)と認められうる心房性不整脈を有する患者を分析した。洞調律を示す患者は、概して、より健常である。洞調律は「SR」と記載する。洞調律およびそれと同時に存在するさらなる心電図異常(例えば、右脚ブロック、左脚ブロック、または同様の障害)を示す患者は「SR+」と記載する。
心房細動(細動不整脈)を有する患者では、洞調律を有するグループと比べて、NT-proBNPに対するNT-proANPの比率がより低いことが見出された。
冠動脈性心疾患を有する疑いがある患者を物理的緊張または医薬品によって誘発される人工的な心臓緊張に付した。冠動脈性心疾患を有する患者では、該緊張は痛みおよび/または心電図の変化を生じるであろう。本試験では、該患者をタリウムシンチグラフィによってさらに分析した。タリウムシンチグラムによって、緊張が虚血を引き起こすかどうかを認識できるようになる。その結果を、虚血が検出できないグループ、虚血が持続的であるグループ、または虚血が可逆的であるグループとしてグループ化した。表2に示されるように、虚血を伴わない被験者は顕著に低いNT-proBNPおよびNT-proANPレベルを示した。
Figure 0004828550
さらにまた、NT-proBNPに対するNT-proANPのレベルの比率は、虚血を伴わない患者において可逆的虚血を伴う患者より顕著に高かった。
虚血を示す患者は冠動脈性心疾患を有し、それは早期の心臓損傷に起因して主に心機能の障害に現れる。したがって、これらの患者では、拡張または収縮機能障害の存在を推定することができ、それはNT-proBNPに対するNT-proANPの低い比率にも現れている。
タリウムシンチグラムにおいて虚血を示さない患者は、顕著な動脈硬化を有さず、結果的に通常は、顕著な心機能の障害を有さない。
図1は、実施例3に記載の逐次試験から得られる、患者におけるNT-proANPおよびNT-proBNPについての測定の結果を示す。DG: (実施例3に記載の)診断グループ、N: 被験者数、MIN: 最小観測値、MAX: 最大観測値、MEAN: 平均観測値、MEDIAN: 観測値の中央値、LVEF: (患者数Nにおける)左心室駆出率。 図2は、実施例3に記載の逐次試験から得られる、患者におけるNT-proANPおよびNT-proBNPについての測定の結果を示す。DG: (実施例3に記載の)診断グループ、N: 被験者数、MIN: 最小観測値、MAX: 最大観測値、MEAN: 平均観測値、MEDIAN: 観測値の中央値、LVEF: (患者数Nにおける)左心室駆出率。「パーセンタイル」と記される行の値は表示された各パーセンタイルでの測定レベルを示す。 図3は、実施例3に記載の逐次試験から得られる、患者におけるNT-proANPおよびNT-proBNPについての測定の結果を示す。DG: (実施例3に記載の)診断グループ、N: 被験者数、MIN: 最小観測値、MAX: 最大観測値、MEAN: 平均観測値、MEDIAN: 観測値の中央値、LVEF: (患者数Nにおける)左心室駆出率、ED: 実施例3に記載の心電図診断。図3は、被験者において測定されたLVEFに基づく種々のグループに関する測定レベルをさらに示す。

Claims (17)

  1. 以下の工程を含む、ヒト被験者の拡張機能障害を検出するための方法:
    a) in vitroで、被験者由来のサンプル中のNT-proANPのレベルを測定する工程、
    b) in vitroで、被験者由来のサンプル中のNT-proBNPのレベルを測定する工程、
    c) NT-proBNPの測定レベルに対するNT-proANPの測定レベルの比率を算出する工程、
    d) 算出した比率を、拡張機能障害の存在または不在を示す少なくとも1つの既知の比率と比較する工程。
  2. 6〜20の範囲の血漿レベルでの比率が拡張機能障害の存在を示す、請求項1に記載の方法。
  3. 拡張機能障害の重症度を検出するための方法である、請求項1または2に記載の方法。
  4. NT-proBNPに対するNT-proANPの比率が拡張機能障害の重症度と逆相関する、請求項3に記載の方法。
  5. 15〜20の範囲の比率が低重症度の拡張機能障害の存在を示す、請求項3または4に記載の方法。
  6. 6〜15の範囲の比率が高重症度の拡張機能障害の存在を示す、請求項3または4に記載の方法。
  7. 拡張機能障害を収縮機能障害と区別するための方法である、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
  8. 6未満、好ましくは4.5未満の比率が収縮機能障害の存在を示す、請求項7に記載の方法。
  9. 拡張性心不全を患うリスクを検出するための方法である、請求項1に記載の方法。
  10. 心臓病の追加の診断パラメータが測定され、該診断パラメータが特に以下のものからなる群から選択される、請求項1〜9のいずれかに記載の方法:
    a) 左心室駆出率
    b) 心エコー図
    c) 既往症、特に狭心症に関するもの
    d) 心電図
    e) 心房細動
    f) 甲状腺または腎機能のパラメータ
    g) 血圧、特に動脈性高血圧、
    h) タリウムシンチグラム、
    i) 血管造影、
    j) カテーテル検査。
  11. ヒト被験者の拡張機能障害および/もしくは拡張機能障害の重症度を検出するための、ならびに/または拡張機能障害を収縮機能障害と区別するための、NT-proANPとNT-proBNPの測定レベル間の比率の使用。
  12. a) 被験者由来のサンプル中のNT-proANPのレベルを測定するための手段または装置、および
    b) 被験者由来のサンプル中のNT-proBNPのレベルを測定するための手段または装置
    を含むキットの、ヒト被験者の拡張機能障害を検出するための使用。
  13. a)に記載の手段が、NT-proANPに特異的に結合するリガンドであり、かつb)に記載の手段が、NT-proBNPに特異的に結合するリガンドである、請求項12に記載の使用。
  14. キットが、(c) ヒト被験者の拡張機能障害の検出に関して、任意の測定の結果を解釈するためのユーザーズマニュアルをさらに含む、請求項12または13に記載の使用。
  15. ヒト被験者の拡張機能障害を収縮機能障害と区別するための使用である、請求項12〜14のいずれかに記載の使用。
  16. ヒト被験者の拡張機能障害の検出用の診断キットを製造するための、NT-proANPに特異的に結合するリガンドおよびNT-proBNPに特異的に結合するリガンドの使用。
  17. 拡張機能障害に対するヒト被験者の可能な治療法を決定するために使用される情報を提供する方法であって、以下の工程を含む方法:
    a) in vitroで、被験者由来のサンプル中のNT-proANPのレベルを測定する工程、
    b) in vitroで、被験者由来のサンプル中のNT-proBNPのレベルを測定する工程、
    c) NT-proBNPの測定レベルに対するNT-proANPの測定レベルの比率を算出する工程、
    d) 算出した比率を、心機能障害の存在または不在を示す少なくとも1つの既知の比率と比較する工程、ここで、その比較が心機能障害の存在または不在を示す場合に、治療法の開始または治療法の差し控えが勧められる
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