JP4870525B2 - 粘弾性ダンパーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はプライマー組成物を用いた粘弾性ダンパーの製造方法に関する。
近年、建物に粘弾性ダンパーを取り付け、その減衰効果により建物の耐震性能の向上を図るという制震構造が、広く普及しつつある。粘弾性ダンパーとしては、各種のものが提案され実用化されているが、特に、上下の梁の間に壁の形態で設置される粘弾性壁(特許文献1)やブレース形状をしたブレースダンパー(特許文献2)といわれる形式のものが広く普及している。粘弾性ダンパーは、金属と粘弾性体が積層された構造を基本とするもので、地震や風揺れなどにより建物に変形が生じると、金属を介して粘弾性体にせん断変形が生じる。このとき、粘弾性体が振動エネルギーを吸収し、熱エネルギーに変換するため、制震効果を得ることができる。すなわち、制震効果が発揮されるためには、金属と粘弾性体とが十分に接着されている必要がある。
粘弾性体に求められる特性は、制震特性、金属との接着性、長期の耐久性などである。種々の粘弾性体が開発・上市されているが、代表的なものとして、スチレン系、アクリル系、ジエン系、シリコン系などが挙げられる。この中で、スチレン系粘弾性体は、制震特性に関して、減衰性と剛性の温度依存性とのバランスが特に優れている。
しかし、スチレン系粘弾性体の多くは、共役ジエン重合体ブロック、共役ジエン重合体ブロックの水添物、イソブチレン重合体ブロックから選ばれる少なくとも1種と、スチレン重合体ブロックからなるスチレン系ブロック共重合体を主成分とする樹脂組成物であり、基本的に極性の低い材料であって、金属との接着性に課題があった。
金属とスチレン系粘弾性体の接着性を高める方法として、表面をブラスト処理した金属に、粘弾性体を100℃〜230℃に加熱して熱融着する方法がしばしば用いられる。金属をブラスト処理(加工)することで、アンカー効果により接着性を向上させることができる。
しかし、近年、制震特性の更なる向上という観点から、より剛性の高い粘弾性体が求められているが、従来のブラスト処理によるアンカー効果だけでは、剛性の高い粘弾性体を用いた場合に十分な接着効果が得られず、大きな振動に対して、界面剥離することがあった。そこで、より剛性の高い粘弾性体という要求(ニーズ)に対し、より強固な接着性が求められている。
接着性改善を目的とした金属の表面処理方法として、ブラスト処理(物理的処理)以外に、化学的処理であるプライマー処理が広く知られている。例えば、末端に官能基を有するポリオルガノシロキサン樹脂、アミノ基含有シラン化合物、アルコキシシリル基含有ポリイソブチレン、触媒としてスズ(IV)化合物、および、有機溶剤からなるプライマー組成物が公知である(特許文献3)。所謂、反応型プライマーであるが、通常、室温付近での使用を想定したものであり、100℃〜230℃という高温下に曝される製造条件においては、プライマーの主成分が熱劣化により一部固化し、接着性を阻害することがあった。
特開2001−049889号公報 特開2002−147052号公報 特開2000−86990号公報
本発明の目的は、制震性の高い材料、すなわち、剛性の高い粘弾性体を用いた場合にも粘弾性体と金属板間の接着性に優れた、信頼性の高い粘弾性ダンパーを製造する方法を提供することである。
上記課題を解決するために、鋭意検討した結果、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明は、スチレン系ブロック共重合体を含有するプライマー組成物(a)を金属板(b)の表面に塗布する工程(I)と、工程(I)で表面処理された金属板(b)にスチレン系粘弾性体(c)を100〜230℃の温度に加熱しながら熱融着させる工程(II)を有することを特徴とする粘弾性ダンパーの製造方法に関する。
好適な実施態様としては、プライマー組成物(a)が、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体、スチレン−水添イソプレン−スチレントリブロック共重合体、スチレン−水添ブタジエン−スチレントリブロック共重合体から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする粘弾性ダンパーの製造方法がある。
好適な実施態様としては、プライマー組成物(a)が、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体を含有することを特徴とする粘弾性ダンパーの製造方法がある。
好適な実施態様としては、金属板(b)が、一般構造用鋼板、冷間圧延鋼板、炭素鋼板、ステンレス鋼板、低合金鋼板から選ばれる少なくとも1種であり、金属表面がブラスト処理されていることを特徴とする粘弾性ダンパーの製造方法がある。
好適な実施態様としては、スチレン系粘弾性体(c)の20℃、0.5Hz、100%歪み、せん断モードで測定した貯蔵剛性(G’)が、0.100MPa以上であることを特徴とする粘弾性ダンパーの製造方法がある。
好適な実施態様としては、スチレン系粘弾性体(c)がスチレン−イソブチレンジブロック共重合体を含有することを特徴とする粘弾性ダンパーの製造方法がある。
スチレン系ブロック共重合体を含有するプライマー組成物(a)で金属板(b)の表面をプライマー処理する工程(I)と、工程(I)で表面処理された金属板(b)にスチレン系粘弾性体(c)を100〜230℃の温度に加熱しながら熱融着させる工程(II)を有する本発明にかかる粘弾性ダンパーの製造方法によれば、金属板とスチレン系粘弾性体の接着性を改善することができる。その結果、制震性に優れ、信頼性の高い粘弾性ダンパーを得ることが可能である。
以下に本発明にかかる方法を詳細に説明する。
本発明において、プライマー組成物(a)としては、スチレン系ブロック共重合体を用いる。これは、高温での耐熱性に優れ、熱劣化して接着性を阻害することが無いためである。また、スチレン系粘弾性体の主成分であるスチレン系ブロック共重合体と、プライマー組成物に使用されるスチレン系ブロック共重合体は、同一または近似の分子構造であるため、樹脂の極性が極めて近く、接着性に優れるためである。スチレン系ブロック共重合体としては、スチレン重合体ブロック−イソブチレン重合体ブロック−スチレン重合体ブロックからなるトリブロック共重合体(以下、SIBSと略す)、スチレン重合体ブロック−水添イソプレン重合体ブロック−スチレン重合体ブロックからなるトリブロック共重合体(以下、SEPSと略す)、スチレン重合体ブロック−水添ブタジエン重合体ブロック−スチレン重合体ブロックからなるトリブロック共重合体(以下、SEBSと略す)、スチレン重合体ブロック−イソプレン重合体ブロック−スチレン重合体ブロックからなるトリブロック共重合体(以下、SISと略す)、スチレン重合体ブロック−ブタジエン重合体ブロック−スチレン重合体ブロックからなるトリブロック共重合体(以下、SBSと略す)などが例示される。この中で、耐熱性に優れるSIBS、SEPS、SEBSを用いることが好ましく、SIBSを用いることが特に好ましい。SIBSは、二重結合を持たない完全飽和型のスチレン系ブロック共重合体であるため、極めて耐候性に優れている。
SIBSの製造方法は、特に限定されず、例えば、米国特許第4946899号明細書に記載された方法に従えば良い。SEPS、SEBS、SIS、SBSは、市販品を使用することができ、例えば、SEPTON4033((株)クラレ製)、KRATON G1650(クレイトンポリマー(株)製)などが挙げられる。
スチレン系ブロック共重合体のスチレン含量や分子量には特に制限は無いが、金属板と粘弾性体の接着の際に100℃〜230℃の温度に加熱するため、この温度で、溶融性が十分低いことが好ましい。溶融性の指標としては、メルトフローレート(MFR)が好適であり、加工温度において、MFR(g/10min)が1以下であることが好ましく、0.1以下であることが特に好ましい。
プライマー組成物(a)は、取扱い性の点で、スチレン系ブロック共重合体以外に、有機溶剤を希釈剤として含有することが好ましい。有機溶剤としては、ブロック共重合体を溶解できるものであればよく、例えばトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族系炭化水素、シクロヘキサン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、エタノール、イソプロピルアルコールなどの脂肪族アルコール、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル等の酢酸エステル類などを挙げることができる。これらは、1種単独でも2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、芳香族系炭化水素が溶解性の点で好ましく、特にトルエン、キシレンなどのアルキル基置換芳香族炭化水素が好ましい。また、場合によっては四塩化炭素、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系の溶剤も使用が可能である。
プライマー組成物(a)において、スチレン系ブロック共重合体の含有量は、1〜60重量%であることが好ましく、5〜30重量%であることがより好ましい。1重量%以下であると、十分なプライマー効果(接着性向上効果)が得られず、60重量%以上であると溶液粘度が高く、ハンドリング性(塗工性)に劣る。
プライマー組成物(a)は、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤が配合されていてもよい。
本発明において、金属板(b)としては、一般構造用鋼板、冷間圧延鋼板、炭素鋼板、ステンレス鋼板、低合金鋼板などが好ましい。表面処理として、これらをブラスト処理して使用することが好ましい。ブラスト処理としては、サンドブラスト処理、ショットブラスト処理が好ましく、Rz(十点平均粗さ)が10〜60μmになるように加工することが好ましい。Rzが10〜60μmであると、高いアンカー効果を得ることができる。
本発明において、スチレン系粘弾性体(c)とは、スチレン系ブロック共重合体(スチレン系熱可塑性エラストマー)を主成分とする粘弾性体を意味し、スチレン系ブロック共重合体としては、例えば、SIBS、スチレン重合体ブロック−イソブチレン重合体ブロックからなるジブロック共重合体(以下、SIBと略す)、SEPS、SEBS、SIS、SBSなどが例示される。スチレン系ブロック共重合体は、2種以上を組み合わせて用いることができる。この中で、制震特性に優れるSIBSまたは、SIBを用いることが好ましい。
スチレン系粘弾性体(c)には、スチレン系ブロック共重合体以外に粘着付与樹脂および可塑剤の少なくとも1種が含まれていてもよい。
配合量としては、特に限定はないが、スチレン系ブロック共重合体100重量部に対して、20〜200重量部であることが好ましい。粘着付与樹脂は、組成物の剛性を高くする効果があり、可塑剤は、剛性を低くする効果があるため、目的とする剛性に合わせて、これらの配合量を調整すればよい。
粘着付与樹脂としては、数平均分子量300〜3000、JIS K−2207に定められた環球法に基づく軟化点が60〜150℃である低分子の樹脂であって、ロジンおよびロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂およびそれらの水素化物、テルペンフェノール樹脂、クマロン・インデン樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂およびその水素化物、芳香族系石油樹脂およびその水素化物、脂肪族芳香族共重合系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂およびその水素化物、スチレンまたは置換スチレンの低分子量重合体が例示される。一般に、スチレン系ブロック共重合体は、共役ジエン重合体ブロック、共役ジエン重合体ブロックの水添物、イソブチレン重合体ブロックから選ばれる少なくとも1種と、スチレン重合体ブロックからなるが、このような粘着付与樹脂は、スチレン系ブロック共重合体の共役ジエン重合体ブロック、共役ジエン重合体ブロックの水添物、イソブチレン重合体ブロックから選ばれる少なくとも1種のTgを高温側に移動させる効果があり、このような目的を達成するためには、共役ジエン重合体ブロック、共役ジエン重合体ブロックの水添物、イソブチレン重合体ブロックから選ばれる少なくとも1種に相溶する粘着付与剤樹脂を配合することが望ましく、例えば、脂環族系石油樹脂およびその水素化物、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂の水素化物、ポリテルペン樹脂などが好適に用いられる。また、同じ種類の粘着付与樹脂においても、軟化点が高いものほど、共役ジエン重合体ブロック、共役ジエン重合体ブロックの水添物、イソブチレン重合体ブロックから選ばれる少なくとも1種のTgを高温側に移動させる効果が高く、粘着付与樹脂の配合量を減らしたい場合は高軟化点のものを、増やしたい場合は低軟化点のものを選択すればよい。
可塑剤としては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイルなどの石油系プロセスオイル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、アジピン酸ジブチルなどの二塩基酸ジアルキル、液状ポリブテン、液状ポリイソプレンなどの低分子量液状ポリマーが例示され、これらのいずれも使用することができる。このような可塑剤は、スチレン系ブロック共重合体の共役ジエン重合体ブロック、共役ジエン重合体ブロックの水添物、イソブチレン重合体ブロックから選ばれる少なくとも1種のTgを低温側に移動させる効果があり、このような目的を達成するためには、共役ジエン重合体ブロック、共役ジエン重合体ブロックの水添物、イソブチレン重合体ブロックから選ばれる少なくとも1種に相溶する可塑剤を配合することが望ましく、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、液状ポリブテン、液状ポリイソプレンなどが好適に用いられる。
また、スチレン系粘弾性体(c)には、必要に応じて、充填剤を配合することもできる。充填剤の例としては、マイカ、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、グラファイト、ステンレス、アルミニウムなどの粉末充填剤;ガラス繊維や金属繊維などの繊維状充填剤などをあげることができる。なかでもマイカは減衰性を向上させる効果があるので好ましい。また、ステンレス粉、アルミニウム粉などの各種金属粉、金属繊維、またはカーボンブラック、グラファイトなどの導電性粒子を含有させることによりスポット溶接が可能となる。
この他の配合剤の例としては、トリフェニルホスファイト、ヒンダードフェノール、ジブチル錫マレエートなどの安定剤;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、モンタン酸系ワックスなどの滑剤;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、デカブロモビフェニル、デカブロモビフェニルエーテル、三酸化アンチモンなどの難燃剤;酸化チタン、硫化亜鉛、酸化亜鉛などの顔料があげられる。
スチレン系粘弾性体(c)は、20℃、0.5Hz、100%歪み、剪断モードで測定した貯蔵剛性(G’)が、0.100MPa以上であることが好ましい。0.100MPa以上であると、剛性が高いことに起因して、高い制震性が得られるためである。また、制震性が高いため、材料の厚みを薄くしたり、材料の面性を小さくしたりできる。すなわち、粘弾性ダンパーを小型化でき、また、粘弾性体の使用量の低減によるコストダウンを図ることができるという利点がある。
スチレン系粘弾性体(c)の製造方法は、特に限定されるものではなく、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、攪拌機を備えた溶融釜あるいは一軸または二軸の押出機を用いて機械的に混合する方法を用いることができる。このときに、必要に応じて加熱することも可能である。また、適当な溶剤に配合剤を投入し、これを攪拌することによって組成物の均一な溶液を得た後、溶剤を留去する方法も用いることができる。さらに、必要に応じ、プレス機等により組成物を成型および架橋することができる。
本願においては、プライマー組成物(a)を金属板(b)の表面に塗布することにより、金属板(b)の表面をプライマー処理する。プライマー組成物(a)を金属板(b)の表面にプライマー処理する方法としては、刷毛塗り、ディップ、スプレー塗工、ロールコート等が挙げられる。金属への塗工は室温で行なえば良く、塗工した後、自然乾燥や加熱強制乾燥などの適宜の方法によって乾燥して、金属板(b)とスチレン系粘弾性体(c)の接着処理を行う。
金属板(b)とスチレン系粘弾性体(c)の接着方法としては、優れた接着性を得る観点から、熱融着することが好ましい。熱融着の温度は100℃〜230℃であることが好ましく、150℃〜200℃の範囲であることがより好ましい。100℃以下であると、粘弾性体が十分に溶融せず、十分な接着性が得られないおそれがある。230℃以上では、粘弾性体の樹脂成分が熱劣化しやすい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。尚、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更実施可能である。
(製造例1)[スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体(SIBS)の製造]
500mLのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)97.6mL及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)140.5mLを加え、重合容器を−70℃のドライアイス/メタノールバス中につけて冷却した後、イソブチレンモノマー47.7mL(505.3mmol)が入っている三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にポリテトラフルオロエチレン製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。p−ジクミルクロライド0.097g(0.42mmol)及びN、N’−ジメチルアセトアミド0.078g(0.84mmol)を加えた。次にさらに四塩化チタン1.66mL(15.12mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から75分撹拌を行った後、重合溶液から重合溶液約1mLを抜き取り、反応率を確認した。続いて、スチレンモノマー5.50g(52.8mmol)を重合容器内に添加した。混合溶液を添加してから75分後に、大量の水に加えて反応を終了させた。
反応溶液を2回水洗し、溶媒を蒸発させ、得られた重合体を60℃で24時間真空乾燥することにより目的のブロック共重合体を得た(以下、SIBS−1と記す。)。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析の結果、得られた重合体の分子量は、Mn111,00であった。また、1H−NMR測定の結果から算出されるスチレン含量は、15.2重量%であった。
(製造例2)[スチレン−イソブチレンジブロック共重合体(SIB)の製造]
500mLのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)84.9mL及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)122.2mLを加え、重合容器を−70℃のドライアイス/メタノールバス中につけて冷却した後、イソブチレンモノマー78.3mL(828.8mmol)が入っている三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にポリテトラフルオロエチレン製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。クミルクロライド0.217g(1.4mmol)及びN、N’−ジメチルアセトアミド0.13g(1.4mmol)を加えた。次にさらに四塩化チタン1.54mL(14.0mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から120分撹拌を行った後、重合溶液から重合溶液約1mLを抜き取り、反応率を確認した。続いて、スチレンモノマー9.48g(91.0mmol)を重合容器内に添加した。混合溶液を添加してから45分後に、大量の水に加えて反応を終了させた。
反応溶液を2回水洗し、溶媒を蒸発させ、得られた重合体を60℃で24時間真空乾燥することにより目的のブロック共重合体を得た(以下、SIB−1と記す。)。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析の結果、得られた重合体の分子量は、Mnが40,300であった。また、1H−NMR測定の結果から算出されるスチレン含量は、15.9重量%であった。
(製造例3) [スチレン系粘弾性体の製造]
製造例2の方法で合成したSIB−1、24gとSEPTON2002(SEPS、(株)クラレ製)6g、アルコンP−100(粘着付与樹脂、荒川化学工業(株)製)12gおよびPW−380(パラフィン系プロセスオイル、出光興産(株)製)3gを、150℃に設定したラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)で15分間、溶融混練して粘弾性体を得た。さらに、この粘弾性体を100℃で10分間熱プレスすることによって、5mm厚のシートを得た。また、得られた粘弾性体の20℃、0.5Hz、100%歪み、せん断モードで測定した貯蔵剛性(G’)は、0.192MPa、等価減衰定数(heq)は、0.42であった。
(実施例1)
製造例1で作製したSIBS−1、0.5gをトルエン9.5gに溶解させ、プライマー組成物を得た。Rz20μmになるようにショットブラスト処理した鋼板(長さ150mm×幅50mm×厚み6mm)の表面にプライマー組成物を刷毛塗りした後、1時間乾燥し、プライマー処理された鋼板を得た。
次に、表面がプライマー処理された2枚の鋼板の間に製造例3の方法で作製した粘弾性体(5cm×5cm角、厚み5mm)を挟み込んだ。その周りに、シリコン製のスペーサーを設置し、さらに鋼板の外側から固定用クランプで挟み込み、固定した。ついで、200℃に温度設定されたオーブンに入れ、3時間加熱して粘弾性体を溶融し、この溶融物を上記鋼板内面に接着させて、小型の粘弾性ダンパーを模した、2枚の鋼板1の間に粘弾性体2が挟まれた構造を有する試験体を作製した(図1参照)。
(実施例2)
SIBS−1の代わりにSEPTON4033(SEPS、(株)クラレ製)を使用した以外は、実施例1と同様にして試験体を作製した。
(実施例3)
SIBS−1の代わりにKRATON G1650(SEBS、クレイトンポリマージャパン(株)製)を使用した以外は、実施例1と同様にして試験体を作製した。
(比較例1)
プライマー組成物を使用しない以外は実施例1と同様にして試験体を作製した。
(比較例2)
プライマー組成物として、シーラント用プライマーであるプライマーD−2(東レ・ダウコーニング(株)製)を使用した以外は、実施例1と同様にして試験体を作製した。
(比較例3)
プライマー組成物として、ポリオレフィン用プライマーであるケムロック459X(ロード・ファー・イースト・インコーポレイテッド製)を使用した以外は、実施例1と同様にして実施した。
(試験および測定方法)
(1)接着性試験
動的破壊試験により、鋼板と粘弾性体の接着性を評価した。試験温度20℃で、粘弾性体を周波数0.5Hzのsin波で加振した。測定歪みは、300%歪み、400%歪み、500%歪み、600%歪み、700%歪み、800%歪みとして、この順で5サイクルずつ加振した。このとき、等価減衰定数(heq)が極小値を示す歪みを変形性(%)とし、最終的に材料破壊(凝集破壊)するか、鋼板−粘弾性材間で界面剥離するかを観察した。凝集破壊と界面剥離が混在する場合、鋼板に残った材料片について、元の面積から剥離した面積を引いた面積(すなわち、凝集破壊した面積)を併せて記した。
等価減衰定数(heq)は、2波目の荷重−変位曲線(履歴ループ)から、下記の数式(I)を基に算出した。
等価減衰定数:heq=△W/4πW …(I)
〔上記数式において、△W:荷重−歪みループ面積、W=τγmax×γmax/2である。ここで、τγmax:最大変位時荷重、γmax:最大変位である。〕
動的破壊試験には、サーボパルサーEHF−EG20kN−110L((株)島津製作所製)を使用した。
(2)防錆性
実施例1〜3、比較例1〜3で作製した鋼板を室温下で1ヶ月間、放置した。外観を目視で観察し、錆びの無いものを○、錆びが発生しているものを×とした。
(3)非着色性
試験片作製後の鋼板を目視で観察し、表面が明らかに着色しているものを×、着色していないものを○とした。
Figure 0004870525
Figure 0004870525
スチレン系ブロック共重合体を主成分とするプライマー組成物を鋼板表面に塗布した後、100〜230℃の温度に加熱しながら鋼板にスチレン系粘弾性体を熱融着させた実施例1〜3では、破壊状態がいずれも100%凝集破壊であり、優れた接着性を示した。また、防錆性、非着色性も良好であった。一方、プライマーを使用していない比較例1では、破壊状態が70%凝集破壊と接着性に劣り、防錆性にも劣っていた。また、スチレン系ブロック共重合体を含有しない市販の反応型プライマーを使用した比較例2、3では、破壊状態が10%凝集破壊または50%凝集破壊と接着性に劣り、また、加熱後の鋼板が黄色に着色し、非着色性の点でも劣っていた。
以上のように、スチレン系ブロック共重合体を主成分とするプライマー組成物を金属板表面に塗布した後、100〜230℃の温度に加熱しながら金属板にスチレン系粘弾性体を熱融着させる本発明に係る粘弾性ダンパーの製造方法によれば、粘弾性体と金属板間の接着性に優れた、信頼性の高い粘弾性ダンパーを製造することが可能であることがわかる。
(a)ホットメルト法により作製した動的破壊試験用試験体の断面図、(b)(a)の試験体の上面図。
符号の説明
1…金属板
2…粘弾性体

Claims (5)

  1. スチレン系ブロック共重合体を含有するプライマー組成物(a)を金属板(b)の表面に塗布する工程(I)と、工程(I)で表面処理された金属板(b)にスチレン系粘弾性体(c)を100〜230℃の温度に加熱しながら熱融着させる工程(II)を有することを特徴とする粘弾性ダンパーの製造方法であって、スチレン系ブロック共重合体を含有するプライマー組成物(a)が、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体、スチレン−水添イソプレン−スチレントリブロック共重合体、スチレン−水添ブタジエン−スチレントリブロック共重合体から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする粘弾性ダンパーの製造方法。
  2. プライマー組成物(a)が、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体を含有することを特徴とする請求項1に記載の粘弾性ダンパーの製造方法。
  3. 金属板(b)が、一般構造用鋼板、冷間圧延鋼板、炭素鋼板、ステンレス鋼板、低合金鋼板から選ばれる少なくとも1種であり、金属表面がブラスト処理されていることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の粘弾性ダンパーの製造方法。
  4. スチレン系粘弾性体(c)の20℃、0.5Hz、100%歪み、せん断モードで測定した貯蔵剛性(G’)が、0.100MPa以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の粘弾性ダンパーの製造方法。
  5. スチレン系粘弾性体(c)がスチレン−イソブチレンジブロック共重合体を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の粘弾性ダンパーの製造方法。
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