JP4869255B2 - 難燃性熱可塑性樹脂組成物及びそれを含んでなる物品 - Google Patents

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Description

本発明は広義には難燃添加剤組成物に関する。具体的には本発明は様々な熱可塑性材料に有用な難燃添加剤組成物に関する。
幅広い用途で難燃性熱可塑性樹脂組成物が必要とされている。難燃性に加えて、熱可塑性樹脂組成物は、物理的性能から、外観、環境への影響に至る広範な基準を満たなければならないことが多い。近年、これらの基準の多く又はすべてを満たすためホスフェートを難燃剤として用いる傾向が増している。ホスフェートの使用は多くの事例で成功しているものの、易燃性組成物の場合は依然として問題がある。易燃性熱可塑性樹脂組成物では所望の難燃性を得るのに高レベルのホスフェート難燃剤が必要とされることが多いが、高レベルのホスフェート難燃剤はプレートアウトやマイグレーションのような好ましくない物性をもたらしかねない。プレートアウト及びマイグレーションは、固体成分や液体成分が物品の表面に移動することをいい、場合によっては表面が粉っぽくなったり粘つきを生じる。その他水酸化マグネシウムやアルミニウム三水和物のような難燃剤も知られているが、高レベルでは物性に悪影響を与えることが多い。
そこで、熱可塑性樹脂組成物に優れた難燃性を付与し、熱可塑性樹脂組成物の物理的性質に悪影響をほとんど或いは全く与えない難燃添加剤組成物に対するニーズが存在する。
上記のニーズは、難燃性熱可塑性樹脂組成物であって、
ポリ(アリーレンエーテル)と、
耐衝撃性改良剤と、
ポリオレフィンと、
リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、オルトリン酸メラミン、リン酸二アンモニウム、リン酸一アンモニウム、リン酸アミド、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アミド及びこれらの2種以上の組合せからなる群から選択されるリン酸塩と、
金属水酸化物と、有機ホスフェートと
を含んでなり、リン酸塩の重量配合量が有機ホスフェートの重量配合量と同じかそれ以上である、組成物によって満足される。
他の実施形態では、難燃性熱可塑性樹脂組成物は、
ポリ(アリーレンエーテル)と、
耐衝撃性改良剤と、
ポリオレフィンと、
リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、オルトリン酸メラミン、リン酸二アンモニウム、リン酸一アンモニウム、リン酸アミド、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アミド及びこれらの2種以上の組合せからなる群から選択されるリン酸塩7〜20重量%と、
金属水酸化物4〜15重量%と、
有機ホスフェート3〜11重量%とを含み、重量%はポリ(アリーレンエーテル)と耐衝撃性改良剤とポリオレフィンとリン酸塩と金属水酸化物と有機ホスフェートとの合計重量を基準にしたものである。
他の実施形態では、電線は導線と導線上に設けられた被覆とを含んでおり、被覆は、
ポリ(アリーレンエーテル)と、
耐衝撃性改良剤と、
ポリオレフィンと、
リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、オルトリン酸メラミン、リン酸二アンモニウム、リン酸一アンモニウム、リン酸アミド、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アミド及びこれらの2種以上の組合せからなる群から選択されるリン酸塩と、
金属水酸化物と、
有機ホスフェートと
を含んでおり、リン酸塩の重量配合量が有機ホスフェートの重量配合量と同じかそれ以上である難燃性熱可塑性樹脂組成物を含む。
他の実施形態では、電線は導線と導線上に設けられた被覆とを含んでおり、被覆は、
ポリ(アリーレンエーテル)と、
耐衝撃性改良剤と、
ポリオレフィンと、
リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、オルトリン酸メラミン、リン酸二アンモニウム、リン酸一アンモニウム、リン酸アミド、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アミド及びこれらの2種以上の組合せからなる群から選択されるリン酸塩7〜20重量%と、
金属水酸化物4〜15重量%と、
有機ホスフェート3〜11重量%と
を含んでなり、重量%がポリ(アリーレンエーテル)と耐衝撃性改良剤とポリオレフィンとリン酸塩と金属水酸化物と有機ホスフェートとの合計重量を基準にしたものである難燃性熱可塑性樹脂組成物を含む。
本発明の難燃添加剤組成物は、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、オルトリン酸メラミン、リン酸アンモニウム、リン酸アミド、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アミド及びこれらの2種以上の組合せからなる群から選択されるリン酸塩と、金属水酸化物と、有機ホスフェートとを含む。難燃添加剤組成物には、有機ホスフェート単独の場合よりも低レベルの有機ホスフェートで優れた難燃性を付与でき、熱可塑性樹脂組成物でのプレートアウトやマイグレーションを低減又は解消するという利点がある。難燃添加剤組成物は、広範な熱可塑性樹脂及び熱可塑性樹脂の組合せに使用して、熱可塑性樹脂の燃焼性を低減し、難燃性熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
一実施形態では、難燃添加剤組成物は、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、オルトリン酸メラミン、リン酸アンモニウム、リン酸アミド、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アミド及びこれらの2種以上の組合せからなる群から選択されるリン酸塩と、金属水酸化物と、有機ホスフェートとから実質的になる。本明細書で用いる「〜実質的になる」とは、有機ホスフェート単独の場合よりも低レベルの有機ホスフェートで熱可塑性樹脂組成物に同等以上のレベルの難燃性を付与する能力及び/又は塩素及び臭素を実質的に含まない(リン酸塩と金属水酸化物と有機ホスフェートの合計重量を基準にして0.05重量%未満、さらに具体的には0.005重量%未満)というような難燃剤の基本的かつ新規な特性に重大な影響を与えない限り、追加成分の配合を許容するものである。
他の実施形態では、難燃添加剤組成物は、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、オルトリン酸メラミン、リン酸アンモニウム、リン酸アミド、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アミド及びこれらの2種以上の組合せからなる群から選択されるリン酸塩と、金属水酸化物と、有機ホスフェートとからなる。
上述の通り、リン酸塩は、リン酸メラミン(例えばCAS番号20208−95−1)、ピロリン酸メラミン(例えばCAS番号15541−60−3)、オルトリン酸メラミン(例えばCAS番号20208−95−1)、リン酸一アンモニウム(例えばCAS番号7722−76−1)、リン酸二アンモニウム(例えばCAS番号7783−28−0)、リン酸アミド(例えばCAS番号680−31−9)、ポリリン酸メラミン(例えばCAS番号218768−84−4又は56386−64−2)、ポリリン酸アンモニウム(例えばCAS番号68333−79−9)、ポリリン酸アミド及びこれらの2種以上のリン酸塩の組合せからなる群から選択し得る。リン酸塩は、メラミン単量体、メラミン樹脂、変性メラミン樹脂、グアナミン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂などから選択される1種以上の化合物で表面を被覆してもよい。表面被覆を設ける場合、その種類は、通例、難燃性熱可塑性樹脂組成物の熱可塑性樹脂成分の種類に基づいて選択される。一実施形態では、リン酸塩はポリリン酸メラミンを含む。
リン酸塩は市販されているし、文献に教示されているようにリン酸と対応アミン含有化合物との反応で合成することもできる。
リン酸塩は難燃添加剤組成物に、リン酸塩と金属水酸化物と有機ホスフェートの合計重量を基準にして10〜40重量%の量で存在し得る。この範囲内で、リン酸塩は、リン酸塩と金属水酸化物と有機ホスフェートの合計重量を基準にして、12重量%以上、さらに具体的には14重量%以上、さらに一段と具体的には16重量%以上の量で存在し得る。同じく上記範囲内で、リン酸塩は、リン酸塩と金属水酸化物と有機ホスフェートの合計重量を基準にして、35重量%以下、さらに具体的には30重量%以下、さらに一段と具体的には28重量%以下の量で存在し得る。
一実施形態では、リン酸塩は、リン酸塩と金属水酸化物と有機ホスフェートの合計重量を基準にしてリン酸塩を30〜60重量%で難燃添加剤組成物に存在し得る。この範囲内で、リン酸塩は、リン酸塩と金属水酸化物と有機ホスフェートの合計重量を基準にして32重量%以上、さらに具体的には34重量%以上、さらに一段と具体的には36重量%以上の量で存在し得る。同じく上記範囲内で、リン酸塩はリン酸塩と金属水酸化物と有機ホスフェートの合計重量を基準にして57重量%以下、さらに具体的には55重量%以下の量で存在し得る。
適当な金属水酸化物には、難燃性をもたらすことができるもの並びにそれらの組合せがすべて包含される。金属水酸化物は、難燃添加剤組成物及び/又は難燃性熱可塑性樹脂組成物の加工処理時に実質的に分解しないように選択できる。実質的に分解しないとは、難燃添加剤組成物が望ましいレベルの難燃性を与えるのを妨害しない分解量として定義される。金属水酸化物の例としては、特に限定されないが、水酸化マグネシウム(例えばCAS番号1309−42−8)、水酸化アルミニウム(例えばCAS番号21645−51−2)、水酸化コバルト(例えばCAS番号21041−93−0)及びこれらの2種以上の組合せが挙げられる。一実施形態では、金属水酸化物は水酸化マグネシウムを含む。ある実施形態では、金属水酸化物は、平均粒径10μm以下及び/又は純度90重量%以上である。ある実施形態では、金属水酸化物は実質的に水を含まない(すなわち、120℃で1時間乾燥したときの減量が1重量%未満である)のが望ましい。ある実施形態では、金属水酸化物を例えばステアリン酸その他の脂肪酸で被覆してもよい。
金属水酸化物は難燃添加剤組成物に、リン酸塩と金属水酸化物と有機ホスフェートの合計重量を基準にして10〜45重量%の量で存在し得る。この範囲内で、金属水酸化物は、リン酸塩と金属水酸化物と有機ホスフェートの合計重量を基準にして、12重量%以上、さらに具体的には14重量%以上、さらに一段と具体的には16重量%以上の量で存在し得る。同じく上記範囲内で、金属水酸化物は、リン酸塩と金属水酸化物と有機ホスフェートの合計重量を基準にして、40重量%以下、さらに具体的には37重量%以下、さらに一段と具体的には35重量%以下の量で存在し得る。
一実施形態では、金属水酸化物とリン酸塩との重量比は0.8以上、さらに一段と具体的には1.0以上である。
有機ホスフェートとしては、次の式(IX)の芳香族ホスフェート化合物が挙げられる。
有機ホスフェートは式(IX)の芳香族ホスフェート化合物とすることができる。
Figure 0004869255
式中、Rは各々独立にアルキル、シクロアルキル、アリール、アルキル置換アリール、ハロゲン置換アリール、アリール置換アルキル、ハロゲン又はこれらの組合せである。ただし、Rの少なくとも1つはアリール又はアルキル置換アリールである。
具体例としては、
フェニルビスドデシルホスフェート、フェニルビスネオペンチルホスフェート、フェニル−ビス(3,5,5′−トリメチル−ヘキシルホスフェート)、エチルジフェニルホスフェート、2−エチル−ヘキシルジ(p−トリル)ホスフェート、ビス(2−エチルヘキシル)p−トリルホスフェート、トリトリルホスフェート、ビス(2−エチルヘキシル)フェニルホスフェート、トリ(ノニルフェニル)ホスフェート、ジ(ドデシル)p−トリルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジブチルフェニルホスフェート、2−クロロエチルジフェニルホスフェート、p−トリルビス(2,5,5′−トリメチルヘキシル)ホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェートなどが挙げられる。一実施形態では、ホスフェートは、各Rがアリール及び/又はアルキル置換アリールであるもの、例えばトリフェニルホスフェート及びトリス(アルキルフェニル)ホスフェートである。
或いは、有機ホスフェートは、以下の式(X)、(XI)又は(XII)の二官能性又は多官能性化合物又は重合体又はこれらの混合物であってもよい。
Figure 0004869255
式中、R、R及びRは各々独立に炭化水素基であり、R、R、R及びRは各々独立に炭化水素又は炭化水素オキシ基であり、X、X及びXは各々独立にハロゲンであり、m及びrは0又は1〜4の整数、n及びpは1〜30である。
具体例としては、レゾルシノール、ヒドロキノン及びビスフェノールAのビス−ジフェニルホスフェート又はそれらの重合体が挙げられる。
上記の二官能性及び多官能性芳香族ホスフェートの製造方法は英国特許第2043083号に記載されている。
有機ホスフェートの具体例としては、特に限定されないが、置換フェニル基を有するホスフェート、例えばレゾルシノールビス−ジフェニルホスフェートのようなレゾルシノール系のホスフェート、並びに例えばビスフェノールAビス−ジフェニルホスフェートのようなビスフェノール系のホスフェートが挙げられる。一実施形態では、有機ホスフェートは、トリス(ブチルフェニル)ホスフェート(例えばCAS番号89492−23−9及び78−33−1)、レゾルシノールビス−ジフェニルホスフェート(例えばCAS番号57583−54−7)、ビスフェノールAビス−ジフェニルホスフェート(例えばCAS番号181028−79−5)、トリフェニルホスフェート(例えばCAS番号115−86−6)、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート(例えばCAS番号68937−41−7)及びこれらの2種以上の混合物から選択される。
有機ホスフェートは難燃添加剤組成物に、難燃添加剤組成物の総重量を基準にして15〜80重量%の量で存在し得る。この範囲内で、有機ホスフェートは、難燃添加剤組成物の総重量を基準にして、25重量%以上、さらに具体的には30重量%以上、さらに一段と具体的には35重量%以上の量で存在し得る。同じく上記範囲内で、有機ホスフェートは、難燃添加剤組成物の総重量を基準にして、75重量%以下、さらに具体的には70重量%以下、さらに一段と具体的には65重量%以下の量で存在し得る。
一実施形態では、有機ホスフェートは難燃添加剤組成物に、難燃添加剤組成物の総重量を基準にして9〜45重量%の量で存在し得る。この範囲内で、有機ホスフェートは、難燃添加剤組成物の総重量を基準にして10重量%以上の量で存在し得る。同じく上記範囲内で、有機ホスフェートは難燃添加剤組成物の総重量を基準にして43重量%以下、さらに具体的には41重量%以下の量で存在し得る。
金属水酸化物とリン酸塩との重量比が0.8を超える実施形態では、難燃添加剤組成物は、リンと窒素と金属水酸化物の合計モル数に基づいて、5〜30モル%のリン、23〜79モル%の窒素及び7〜68モル%の金属水酸化物を含有し得る。
上記範囲内で、リンは6モル%以上の量、さらに一段と具体的には10モル%以上の量で存在し得る。同じく上記範囲内で、リンは28モル%以下の量、さらに一段と具体的には24モル%以下の量で存在し得る。
上記範囲内で、窒素は30モル%以上の量、さらに一段と具体的には40モル%以上の量で存在し得る。同じく上記範囲内で、窒素は70モル%以下の量、さらに一段と具体的には60モル%以下の量で存在し得る。
上記範囲内で、金属水酸化物は15モル%以上の量、さらに一段と具体的には20モル%以上の量で存在し得る。同じく上記範囲内で、金属水酸化物は55モル%以下の量、さらに一段と具体的には45モル%以下の量で存在し得る。
難燃添加剤組成物の上記成分を一緒に混合すれば添加剤組成物を形成することができる。或いは、以下に述べる通り、上記成分を熱可塑性樹脂とブレンドしてマスターバッチを形成してもよいし、熱可塑性樹脂組成物の形成時又は形成後に上記成分を別々に、同時に、順次又はこれらの組合せとして添加してもよい。
難燃性熱可塑性樹脂組成物は、上記難燃添加剤組成物に加えて熱可塑性樹脂を含む。熱可塑性樹脂は、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリ(アリーレンエーテル)ブレンド、スチレン重合体及び共重合体及びそのブレンド、ポリオレフィン、ポリオレフィンブレンド、ポリエーテル及びそのブレンド、ポリアミド及びそのブレンドからなる群から選択し得る。ポリ(アリーレンエーテル)ブレンドの例としては、相溶化ポリ(アリーレンエーテル)/ポリアミドブレンド、ポリ(アリーレンエーテル)/ポリオレフィンブレンド、例えばポリ(アリーレンエーテル)/オレフィン系熱可塑性樹脂加硫物、ポリ(アリーレンエーテル)/エチレン−プロピレンゴム及びポリ(アリーレンエーテル)/EPDM、ポリ(アリーレンエーテル)/スチレン重合体又は共重合体ブレンド、耐衝撃性改質ポリ(アリーレンエーテル)ブレンド及びポリ(アリーレンエーテル)/熱可塑性ポリウレタンブレンドが挙げられる。「難燃性熱可塑性樹脂組成物」とは、本明細書では、“Tests for Flammability of Plastic Materials, UL94”という表題のUnderwriter′s Laboratory Bulletin 94の手順に準拠して、厚さ3.2mmで評価して、V2又はそれよりも優れた等級を有する熱可塑性樹脂組成物として定義される。一実施形態では、難燃性熱可塑性樹脂組成物はV1又はそれよりも優れた等級を有する。別の実施形態では、難燃性熱可塑性樹脂組成物はV0等級である。
一実施形態では、熱可塑性樹脂はポリ(アリーレンエーテル)及び耐衝撃性改良剤を含む。熱可塑性樹脂はさらにポリオレフィンを含んでいてもよい。この実施形態では、リン酸塩はポリリン酸メレム又はポリリン酸メラムであってもよい。
一実施形態では、難燃性熱可塑性樹脂組成物は、ASTM D2240に準拠して厚さ3mmの試験片で測定して、60以上のデュロメータ硬度(ショアA)を有する。ショアA硬度は65以上又は70以上とすることができる。本組成物は、ASTM D2240に準拠して厚さ3mmの試験片で測定して、20〜60のショアD硬度を有する。この範囲内で、ショアD硬度は23以上又は26以上とすることができる。同じく上記範囲内で、ショアD硬度は55以下又は50以下とすることができる。
実施形態によっては、難燃性熱可塑性樹脂組成物は、ASTM D790に準拠して厚さ6.4mmの試験片を用いて測定して、1172MPa以下の曲げ弾性率を有する。曲げ弾性率は517MPa以下又は482MPa以下とすることができる。上記範囲のショアA及び曲げ弾性率を有する難燃性熱可塑性樹脂組成物は、可撓性材料が必要とされる様々な用途に使用でき、特に電線被覆及びフィルム、チューブ、ダクト、電気絶縁体、絶縁バリヤ、絶縁ブレーカプレート、壁紙、パイプその他難燃性と柔軟性と可撓性を併せもつことが必要とされる用途に使用できる。
一実施形態では、電線は導線上に設けられた被覆を含んでなる。被覆は上記の難燃性熱可塑性樹脂組成物からなる。電線はさらに、導電性心線と熱可塑性樹脂組成物との間に接着促進層を含んでいてもよい。
一実施形態では、難燃性熱可塑性樹脂組成物を、押出被覆などの適当な方法で導線に施工して、電線を形成する。
一実施形態では、ペレットを溶融し組成物を押出被覆のような適当な方法で導線に施工して電線を形成する。例えばスクリュー、クロスヘッド、ブレーカープレート、ディストリビュータ、ニップル及びダイを備える被覆押出機を使用できる。溶融熱可塑性樹脂組成物が導線の周囲に設けられて被覆を形成する。押出被覆には、導線を中心に配置させるとともにダイリップの蓄積を避けるため、単一テーパーダイ、ダブルテーパーダイその他の適当なダイ又はダイの組合せを使用し得る。
一実施形態では、被覆は0.1mm〜1.0mmの厚さを有する。
ある実施形態では、導線の押出被覆前に難燃性熱可塑性樹脂組成物を乾燥するのが有用なことがある。具体的な乾燥条件は60〜90℃で2〜20時間である。一実施形態では、乾燥条件は70〜85℃で3〜8時間である。さらに、難燃性熱可塑性樹脂組成物は、導線へ塗工する前に、濾過、典型的にはメッシュサイズ30〜300のフィルターで濾過してもよい。一実施形態では、フィルターの孔径は175〜74μmである。押出被覆前に、カラーコンセントレート又はマスターバッチを難燃性熱可塑性樹脂組成物に添加してもよい。カラーコンセントレートを使用する場合、難燃性熱可塑性樹脂組成物の総重量を基準にして5重量%以下の量で存在するのが典型的である。当業者には自明であろうが、カラーコンセントレートの添加前の難燃性熱可塑性樹脂組成物の色が、最終的に得られる色に影響を与えることがあり、場合によっては、漂白剤及び/又は色安定剤を用いるのが有利である。漂白剤及び色安定剤は当技術分野で公知であり、市販されている。
押出被覆時の加工温度は通常320℃以下、さらに具体的には300℃以下、さらに一段と具体的には280℃以下である。加工温度は200℃以上である。さらに、加工温度はポリ(アリーレンエーテル)の軟化温度以上である。
一実施形態では、押出被覆時の加工温度は通常290℃以下、さらに具体的には280℃以下、さらに一段と具体的には270℃以下である。加工温度は200℃以上である。さらに加工温度はポリ(アリーレンエーテル)の軟化温度以上である。
押出被覆後、水浴、水噴霧、エアジェットなどの冷却法又はこれら冷却法の1以上の組合せを用いて被覆線を冷却してもよい。水浴の温度は例えば5〜80℃、或いは実施形態によっては5〜60℃である。冷却後、被覆線をスプールなどの装置に通例50m/分〜500m/分の速度で巻き取る。
一実施形態では、導線の周囲に被覆を形成する際、導線と被覆の間に1以上の中間層が介在するように組成物を導線に施工する。例えば導線と被覆の間に接着促進層を適宜設けてもよい。別の例では、被覆の施工に先立って導線を金属不活性化剤で被覆してもよい。別の例では、中間層は熱可塑性樹脂組成物又は熱硬化性組成物を含み、場合によっては発泡させる。
導線は単線でも、複線でもよい。場合によっては、複数の線を、結束、撚り、編組又はこれらの組合せによって導線を形成してもよい。さらに導線は円形又は楕円形など様々な形状のものでよい。好適な導線としては、特に限定されないが、銅線、アルミニウム線、鉛線及びこれらの金属の1種以上を含む合金の線が挙げられる。導線を例えばスズ又は銀などで被覆してもよい。
電線の断面を図1に例示する。図1は導線2上に設けられた被覆4を示す。一実施形態では、被覆4は発泡熱可塑性樹脂組成物からなる。電線の斜視図を図2及び図3に例示する。図2は複数のストランドからなる導線2上に設けられた被覆4と、被覆4及び導線2を覆う任意の追加層6を示す。一実施形態では、被覆4は発泡熱可塑性樹脂組成物からなる。導線2は単一の導線からなるものでもよい。図3は単一の導線2上に設けられた被覆4と中間層6とを示す。
一実施形態では、中間層6は発泡組成物を含む。導線2は複数のストランドを含んでいてもよい。さらに本明細書に開示した被覆を用いて、各々導線に被覆が設けられた2本以上の電線の周囲にジャケットを形成してもよい。図4は複数の被覆導線(電線)10の周囲に設けられたジャケット8を示す。
一実施形態では、被覆線の被覆は、UL1581で測定して、10MPa以上の引張強さ及び100%以上の極限伸びを有する。被覆線はVW−1の難燃性とすることができる。
被覆線は、直流電気コード、USBケーブル、オーディオ/ビデオケーブルなどの低電圧用途にも有用である。
ある実施形態では、難燃性熱可塑性樹脂組成物は、7.0MPa以上の引張強さ、及び100%以上、さらに具体的には110%以上、さらに一段と具体的には120%以上の引張伸びを有する。引張強さ及び引張伸びはいずれもASTM D638に準拠して厚さ3.2mmのタイプI試験片で測定される。
ある実施形態では、難燃性熱可塑性樹脂組成物は、7.0MPa以上の引張強さ、及び40%以上、さらに具体的には45%以上、さらに一段と具体的には50%以上の引張伸びを有する。引張強さ及び引張伸びはいずれもASTM D638に準拠して厚さ3.2mmのタイプI試験片で測定される。
本明細書で「ポリ(アリーレンエーテル)」は次の式(I)の構造単位を複数含んでなる。
Figure 0004869255
各構造単位について、Q及びQは各々独立に水素、第一又は第二低級アルキル(例えば炭素原子数1〜7のアルキル)、フェニル、ハロアルキル、アミノアルキル、アルケニルアルキル、アルキニルアルキル、炭化水素オキシ及びアリールである。ある実施形態では、Qは各々独立にアルキル又はフェニル、例えばC1−4アルキルであり、Qは各々独立に水素又はメチルである。ポリ(アリーレンエーテル)は、通例ヒドロキシ基に対してオルト位に位置する含アミノアルキル末端基を有する分子を含んでいてもよい。また、テトラメチルジフェニルキノン(TMDQ)末端基が存在することも多く、典型的にはテトラメチルジフェニルキノン副生物が存在する反応混合物から得られる。
ポリ(アリーレンエーテル)は、ホモポリマー、共重合体、グラフト共重合体、アイオノマー又はブロック共重合体のいずれの形態であってもよく、これらの1以上を含む組合せであってもよい。ポリ(アリーレンエーテル)としては、2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル単位を、適宜2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテル単位と共に含んでなるポリフェニレンエーテルが挙げられる。
ポリ(アリーレンエーテル)は2,6−キシレノール及び/又は2,3,6−トリメチルフェノールのような1種類以上のモノヒドロキシ芳香族化合物の酸化カップリングによって製造できる。かかる酸化カップリングには概して触媒系が用いられるが、触媒系は通例、銅、マンガン又はコバルト化合物のような1種類以上の重金属化合物を通常は第二アミン、第三アミン、ハロゲン化物又はこれらの2種以上の組合せのようなその他様々な物質と共に含んでいる。
一実施形態では、ポリ(アリーレンエーテル)は封鎖ポリ(アリーレンエーテル)である。例えばアシル化反応を介して不活性化封鎖剤で封鎖することによって末端ヒドロキシ基を不活性化することができる。好ましい封鎖剤は、望ましくは、反応性の低いポリ(アリーレンエーテル)を生じて、ポリマー鎖の架橋並びに高温加工時のゲル又は黒班の形成を低減もしくは防止するものである。適当な封鎖剤として、例えばサリチル酸、アントラニル酸又はその置換誘導体などのエステルが挙げられ、サリチル酸のエステル、特にサリチルカーボネート及び線状ポリサリチレートが好ましい。本明細書で用いる「サリチル酸のエステル」という用語には、カルボキシ基、ヒドロキシ基又はその両方がエステル化された化合物が包含される。適当なサリチル酸エステルとしては、例えば、サリチル酸フェニルのようなサリチル酸アリール、アセチルサリチル酸、サリチルカーボネート、並びに線状ポリサリチレート及びジサリチリドやトリサリチリドのような環状化合物を始めとするポリサリチレートがある。好ましい封鎖剤は、サリチルカーボネート及びポリサリチレート、特に線状ポリサリチレートである。封鎖に際して、ポリ(アリーレンエーテル)をヒドロキシ基の80%まで封鎖でき、具体的にはヒドロキシ基の90%まで、さらに具体的には100%までを封鎖できる。適当な封鎖ポリ(アリーレンエーテル)及びその製造方法は、White他の米国特許第4760118号及びBraat他の米国特許第6306978号に記載されている。
ポリ(アリーレンエーテル)をポリサリチレートで封鎖すると、ポリ(アリーレンエーテル)鎖に存在するアミノアルキル末端基の量も低減すると考えられる。アミノアルキル基は、ポリ(アリーレンエーテル)製造プロセスにアミンを用いた酸化カップリング反応の所産である。ポリ(アリーレンエーテル)の末端ヒドロキシ基に対してオルト位にあるアミノアルキル基は高温で分解しやすい。分解の結果、第一又は第二アミンが再生し、キノンメチド末端基が生成し、ひいては2,6−ジアルキル−1−ヒドロキシフェニル末端基を生じかねない。アミノアルキル基を有するポリ(アリーレンエーテル)をポリサリチレートで封鎖すると、かかるアミノ基が除去され、その結果、ポリマー鎖のヒドロキシ末端基が封鎖され、2−ヒドロキシ−N,N−アルキルベンズアミン(サリチルアミド)を形成すると考えられる。アミノ基の除去及び封鎖によって、ポリ(アリーレンエーテル)の高温安定性が増して、ポリ(アリーレンエーテル)の加工時に生じるゲルや黒班のような分解性生成物が低減する。
ポリ(アリーレンエーテル)は、ポリカルボン酸又は1分子中に(a)炭素−炭素二重結合もしくは炭素−炭素三重結合と(b)少なくとも1つのカルボン酸、酸無水物、アミド、エステル、イミド、アミノ、エポキシ、オルトエステルもしくはヒドロキシ基とを有する化合物のような多官能性化合物で官能化することができる。かかる多官能性化合物の例としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸及びクエン酸が挙げられる。
ポリ(アリーレンエーテル)は、単分散ポリスチレン標準、40℃のスチレンジビニルベンゼンゲル及びクロロホルム中濃度1mg/mlのサンプルを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定して、約3000〜40000g/モルの数平均分子量及び約5000〜80000g/モルの重量平均分子量を有する。ポリ(アリーレンエーテル)又は複数のポリ(アリーレンエーテル)の組合せは、25℃のクロロホルム中で測定して約0.35dl/g超の初期固有粘度を有する。初期固有粘度とは、組成物の他の成分と溶融混練する前のポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度と定義される。当業者には自明であろうが、ポリ(アリーレンエーテル)の粘度は溶融混練後に30%も高くなることがある。増加率(%)は、{(溶融混練後の最終固有粘度)−(溶融混練前の初期固有粘度)}/(溶融混練前の初期固有粘度)として算出できる。2つの所期固有粘度のポリ(アリーレンエーテル)を用いるときの正確な比率の決定は、使用するポリ(アリーレンエーテル)の正確な固有粘度及び所望の最終的物性にある程度依存する。
ポリ(アリーレンエーテル)は、フーリエ変換赤外分光分析(FTIR)で測定して、ポリ(アリーレンエーテル)の総重量を基準にして6300ppm以下のヒドロキシ末端基含量を有し得る。一実施形態では、ポリ(アリーレンエーテル)のヒドロキシ末端基含量は、3000ppm以下、さらに具体的には1500ppm以下、さらに一段と具体的には500ppm以下である。
ポリ(アリーレンエーテル)は可視粒状不純物を実質的に含まないものとすることができる。一実施形態では、ポリ(アリーレンエーテル)は15μm超の粒状不純物を実質的に含まない。本明細書で用いる「可視粒状不純物を実質的に含まない」という用語は、50mlのクロロホルム(CHCl)にポリ(アリーレンエーテル)10gを溶解したサンプルをライトボックスで観察したとき視認できる黒点の数が5個未満であることを意味する。肉眼で視認できる粒子は通例直径40μm超の粒子である。本明細書で用いる「15μm超の粒状不純物を実質的に含まない」とは、400mlのCHClにポリ(アリーレンエーテル)40gを溶解したサンプルにおいて、溶解ポリ(アリーレンエーテル)各20mlのサンプルを5回Pacific Instruments社のABS2アナライザーに1ml/分(±5%)の流量で流して測定したときの平均として、粒径15μmの粒状物の数が50個/g未満であることを意味する。
一実施形態では、ポリ(アリーレンエーテル)は難燃性熱可塑性樹脂組成物に、当該難燃性熱可塑性樹脂組成物の総重量を基準にして5〜65重量%の量で存在し得る。この範囲内で、ポリ(アリーレンエーテル)は、難燃性熱可塑性樹脂組成物の総重量を基準にして10重量%以上、さらに具体的には15重量%以上、さらに一段と具体的には17重量%以上の量で存在し得る。同じく上記範囲内で、ポリ(アリーレンエーテル)は、難燃性熱可塑性樹脂組成物の総重量を基準にして50重量%以下、さらに具体的には45重量%以下、さらに一段と具体的には40重量%以下の量で存在し得る。
特に好適な熱可塑性樹脂耐衝撃性改良剤はブロック共重合体、例えば1又は2つのアルケニル芳香族ブロックAとゴムブロックBとを有するA−Bジブロック共重合体及びA−B−Aトリブロック共重合体であり、アルケニル芳香族ブロックAは典型的にはスチレンブロック又はスチレンと1,3−シクロヘキサジエンのような1種以上の1,3−シクロジエンとの共重合体のブロックであり、ゴムブロックBは、ブタジエンのような共役ジエン、1,3−シクロヘキサジエンのような1,3−シクロジエン又は共役ジエンの組合せの重合で得られる重合体もしくは共重合体ブロック、又は共役ジエンとアルケニル芳香族化合物との共重合で得られる共重合体ブロックとすることができる。共重合体ブロック自体がブロック共重合体であってもよい。共役ジエンの重合で得られる繰返し単位を部分的又は完全に水添してもよい。共役ジエンの重合で得られる繰返し単位を水添した後の繰返し単位はアルケン単位ということができる。各アルケニル芳香族ブロックAの分子量は、別のアルケニル芳香族ブロックAの分子量と同一でも異なっていてもよい。同様に、各ゴムブロックBの分子量は、別のゴムブロックBの分子量と同一でも異なっていてもよい。
A−B型及びA−B−A型共重合体の具体例としては、特に限定されないが、ポリスチレン−ポリブタジエン、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)、ポリスチレン−ポリイソプレン、ポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレン、
ポリスチレン−(エチレン−ブチレン/スチレン共重合体)−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン及びポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(α−メチルスチレン)、並びにこれらを選択的に水添したものなどが挙げられる。これらのブロック共重合体の混合物も有用である。かかるA−B及びA−B−Aブロック共重合体は、多数の供給元から市販されており、例えばPhillips Petroleum社からSOLPRENEという商標、Kraton Polymers社からKRATONという商標、Dexco社からVECTORという商標、クラレ(株)からSEPTONという商標で市販されている。
一実施形態では、耐衝撃性改良剤は、アルケニル芳香族単位の量が異なる複数の耐衝撃性改良剤の組合せ、例えば、ブロック共重合体の総重量を基準にして10〜20重量%のポリスチレン含量を有するポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレンと、ブロック共重合体の総重量を基準にして25〜50重量%のポリスチレン含量を有するポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレンとの組合せを含む。
一実施形態では、耐衝撃性改良剤は、(A)繰返しアルケニル芳香族単位を有する1以上のブロックと(C)分布制御共重合体ブロックである1以上のブロックとを有するブロック共重合体とを含む。アルケニル芳香族単位の量がアルケン単位の量を超える限り、ブロックAはさらに炭素原子数2〜15のアルケン単位を含んでいてもよい。
一実施形態では、耐衝撃性改良剤は2種類のブロック共重合体を含んでなり、その一方は分布制御共重合体ブロックを含んでなるブロック共重合体である。
分布制御共重合体は、アルケニル芳香族単位と炭素原子数2〜15のアルキレン単位(例えばエチレン、プロピレン、ブチレン又はこれらの2種以上の組合せ)との共重合体である。Cブロックはある程度の不飽和炭素−炭素結合を含んでいてもよい。「分布制御共重合体ブロック」とは、以下の属性を有する分子構造:(1)アルキレン単位に富む(即ち、平均を超える量のアルキレン単位を有する)Aブロックに隣接する末端領域、(2)アルケニル芳香族単位に富む(即ち、平均を超える量のアルケニル芳香族単位を有する)Aブロックに隣接しない1以上の領域、並びに(3)アルケニル芳香族ブロック度が比較的低い全体的構造、をいう。
ここで、「富む」とは平均量を超える、好ましくは平均量よりも5%以上多いことと定義される。
低いブロック度は、示差走査熱量(DSC)熱分析法又は機械的方法を用いて分析して共重合体ブロックに単一のガラス転移温度(Tg)しか存在しないこと、或いはプロトン核磁気共鳴(H−NMR)法で示される。
「アルケニル芳香族ブロック度」という用語は、プロトン核磁気共鳴(H−NMR)を用いて測定して、アルケニル芳香族単位の総数に対する、ポリマー鎖上の2つの最近接アルケニル芳香族対を有するポリマー中のアルケニル芳香族単位の割合であると定義される。アルケニル芳香族ブロック度は、H−NMRを用いて2つの実験量を測定することで求めることができる。最初に、H−NMRスペクトルにおける全芳香族シグナルを7.5ppmから6.2ppmまで積分し、これを各芳香環の芳香族水素の数(スチレンの場合には5)で除して、アルケニル芳香族単位の総数(即ち、比をとると相殺される任意計器単位)を求める。第二に、H−NMRスペクトルにおける6.88〜6.80ppm間のシグナル最小値から6.2ppmまでの芳香族シグナル部分を積分し、これを2(各ブロック状アリールアルキレン芳香環上のオルト水素原子2個)で除してブロック状アルケニル芳香族単位を求める。このシグナルが2つの最近接アルケニル芳香族対を有するアルケニル芳香族単位の環上の2つのオルト水素原子に帰属することは、F.A. Bovey, High Resolution NMR of Macromolecules (Academic Press, New York and London, 1972), chapter 6で報告されている。アルケニル芳香族ブロック度は、簡潔には、全アルケニル芳香族単位に対するブロック状アルケニル芳香族単位の百分率:ブロック度(%)={(ブロック状スチレン単位)/(全スチレン単位)}×100である。
ブロック度の可能性は、Cブロック重合時のポリスチリルリチウム末端基の検出に適すた波長域でのUV−可視吸光度の測定から推測することもできる。この値の急激な増加は、ポリスチリルリチウム連鎖末端の増大の指標となる。これは、分布制御重合を維持するのに必要なレベル(通例ジエン濃度0.1重量%)未満に共役ジエン濃度が低下したときにのみ起こる。この時点で存在するアルケニル芳香族単量体はすべてブロック状に付加する。
一実施形態では、ブロック度(%)は40以下である。一実施形態では、ブロック共重合体はアルケニル芳香族含量10〜40重量%であり、ブロック度(%)10以下であるが0を超える。
一実施形態では、ブロック共重合体は、アルケニル芳香族/アルキレン分布制御共重合体ブロックを含み、アルケニル芳香族単位の割合は重合体ブロックの中央又は中心付近での最高値まで漸増し、次いで重合体ブロックの反対側末端に達するまで漸減する。
一実施形態では、アルケニル芳香族/アルキレン分布制御共重合体ブロックの最初の15〜25%及び最後の15〜85%がアルキレンリッチで、残りはアルケニル芳香族リッチであると考えられる。「アルキレンリッチ」という用語は、その領域のアルキレン/アルケニル芳香族比が中心領域よりも測定し得る程度に高いことを意味する。分布制御共重合体ブロックの場合、各分布制御共重合体ブロックにおけるアルケニル芳香族の割合(重量%)は、分布制御共重合体ブロックの総重量を基準にして10重量%〜75重量%、さらに一段と具体的には15重量%〜50重量%とし得る。
分布制御共重合体の合成のためのアニオン溶液共重合は、公知の方法及び材料を用いて実施できる。一般に、共重合はアニオン重合法で、重合開始剤、溶剤、促進剤及び構造変性剤を始めとする公知の選択肢に係る助剤を用いて達成されるが、重要な特徴として分布剤の存在下で実施される。代表的な分布剤は非キレート性のエーテルである。かかるエーテル化合物の例としては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランのような環状エーテル、並びにジエチルエーテル、ジブチルエーテルのような脂肪族モノエーテルが挙げられる。分布制御共重合体ブロックを含んでなるブロック共重合体の製造は米国特許出願公開第2003/0176582号に開示されている。
アルケニル芳香族ブロックと分布制御共重合体ブロックとを含む耐衝撃性改良剤の一つの特徴は2以上のTgをもつことがあることであり、低い方のTgは分布制御共重合体ブロックの単一Tgである。分布制御共重合体ブロックのTgは通例−60℃以上、さらに一段と具体的には−40℃以上である。分布制御共重合体ブロックのTgは通例+30℃以下、さらに一段と具体的には+10℃以下である。第2のTg、即ちアルケニル芳香族ブロックのTgは+80℃〜+110℃、さらに一段と具体的には+80℃〜+105℃である。
ポリスチレン標準を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定して、各Aブロックは3000〜60000g/モルの平均分子量を有し、各Cブロックは30000〜300000g/モルの平均分子量を有し得る。アルケニル芳香族単位の総量は、ブロック共重合体の総重量を基準にして15〜75重量%である。ブロック共重合体の具体例は、米国特許出願公開第2003/181584号、同第2003/0176582号及び同第2004/0138371号に開示されており、Kraton Polymers社からKRATONという商標で市販されている。代表的グレードはA−RP6936、A−RP6935である。
一実施形態では、耐衝撃性改良剤を様々な方法で官能化してもよい。一つの方法では、例えばカルボン酸基及びその塩、無水物、エステル、イミド基、アミド基及び酸クロリドのような1以上の官能基又はその誘導体を有する不飽和単量体で処理する。単量体の例としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸及びその誘導体が挙げられる。かかるブロック共重合体の官能化に関する詳細な説明は米国特許第4578429号及び同第5506299号に記載されている。別の方法では、米国特許第4882384号に教示されているように、ケイ素又はホウ素含有化合物を重合体にグラフトすることによって耐衝撃性改良剤を官能化することができる。他の方法では、耐衝撃性改良剤をアルコキシシラン化合物と接触させればシラン変性ブロック共重合体を形成することができる。さらに別の方法では、米国特許第4898914号に教示されているように1以上のエチレンオキサイド分子を重合体にグラフトするか、或いは米国特許第4970265号に教示されているように重合体を二酸化炭素と反応させることによって、耐衝撃性改良剤を官能化することができる。さらに、米国特許第5206300号及び同第5276101号に教示されているように、重合体をアルキルリチウムのようなアルキルアルカリ金属と接触させることによって、耐衝撃性改良剤をメタレート化することもできる。さらに、米国特許第5516831号に教示されているように、スルホン酸基を重合体にグラフトすることによって耐衝撃性改良剤を官能化することもできる。
ある実施形態では、耐衝撃性改良剤は、柔軟性(上述のショアA及びショアD硬度)と曲げ弾性率(上述の通り)との組合せを与えるのに十分な量で存在する。耐衝撃性改良剤は難燃性熱可塑性樹脂組成物に、当該難燃性熱可塑性樹脂組成物の総重量を基準にして5〜55重量%の量で存在し得る。この範囲内で、耐衝撃性改良剤は、難燃性熱可塑性樹脂組成物の総重量を基準にして8重量%以上、さらに具体的には12重量%以上、さらに一段と具体的には15重量%以上の量で存在し得る。同じく上記範囲内で、耐衝撃性改良剤は、難燃性熱可塑性樹脂組成物の総重量を基準にして50重量%以下、さらに具体的には46重量%以下、さらに一段と具体的には42重量%以下の量で存在し得る。
難燃性熱可塑性樹脂組成物は、適宜、ポリオレフィンを含んでいてもよい。配合し得るポリオレフィンは一般式C2nのもので、例えばポリエチレン、ポリブテン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン及びこれらの1種以上の組合せが挙げられ、好ましいホモポリマーは、ポリブテン、ポリエチレン、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、ポリプロピレン及びこれらの2種以上の組合せである。上記一般式のポリオレフィン樹脂及びその製造方法は当技術分野で周知であり、例えば米国特許第2933480号、同第3093621号、同第3211709号、同第3646168号、同第3790519号、同第3884993号、同第3894999号、同第4059654号、同第4166055号及び同第4584334号に記載されている。
ポリオレフィンの共重合体、例えばエチレンと炭素原子数3〜12のα−オレフィン又は炭素原子数3〜12の官能化α−オレフィンとの共重合体も使用できる。α−オレフィンの例としては、プロピレン及び4−メチルペンテン−1、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセンなどが挙げられる。官能化α−オレフィンの例としては、酢酸ビニルで官能化されたエチレン、アクリレートで官能化されたエチレン、置換アクリレート基で官能化されたエチレンのようなオレフィン類が挙げられる。エチレンとC−C10モノオレフィンと非共役ジエンとの共重合体(以下、EPDM共重合体という。)も適当である。EPDM共重合体に適したC−C10モノオレフィンの例としては、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセンなどが挙げられる。適当なジエンとしては、1,4−ヘキサジエン並びに単環式及び多環式ジエンが挙げられる。エチレンと他のC−C10モノオレフィン単量体とのモル比は95:5〜5:95の範囲とすることができ、ジエン単位は0.1〜10モル%の量で存在する。米国特許第5258455号に開示されているように、EPDM共重合体をアシル基又は電子親和性基で官能化すればポリフェニレンエーテルにグラフトすることができる。
一実施形態では、難燃性熱可塑性樹脂組成物は液体ポリオレフィン、さらに具体的には液体ポリブテンを含む。本明細書でポリオレフィンについて用いる「液体」とは、ASTM D445に準拠して100℃で測定して、700センチストークス(cSt)以下、さらに具体的には300cSt以下の粘度を有することと定義される。ポリオレフィンの粘度はASTM D445に準拠して100℃で測定して70cSt以上である。
ポリオレフィンを使用する場合、ポリオレフィンは難燃性熱可塑性樹脂組成物に、当該難燃性熱可塑性樹脂組成物の総重量を基準にして2〜50重量%の量で存在し得る。この範囲内で、ポリオレフィンは、難燃性熱可塑性樹脂組成物の総重量を基準にして2重量%以上、さらに具体的には5重量%以上、さらに一段と具体的には7重量%以上の量で存在し得る。同じく上記範囲内で、ポリオレフィンは、難燃性熱可塑性樹脂組成物の総重量を基準にして40重量%以下、さらに具体的には30重量%以下、さらに一段と具体的には25重量%以下の量で存在し得る。
難燃性熱可塑性樹脂組成物は、適宜、ポリ(アルケニル芳香族)樹脂を含んでいてもよい。本明細書で用いる「ポリ(アルケニル芳香族)樹脂」という用語には、塊状重合、懸濁重合及び乳化重合を始めとする当技術分野で公知の方法で製造される重合体であって、次式のアルケニル芳香族単量体から誘導された構造単位を25重量%以上含有する重合体が包含される。
Figure 0004869255
式中、Rは水素、C−Cアルキル基又はハロゲンであり、Zはビニル基、ハロゲン又はC−Cアルキル基であり、pは0〜5である。好ましいアルケニル芳香族単量体は、スチレン、クロロスチレン及びビニルトルエンである。ポリ(アルケニル芳香族)樹脂としては、アルケニル芳香族単量体のホモポリマー、スチレンのようなアルケニル芳香族単量体と、アクリロニトリル、ブタジエン、α−メチルスチレン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、無水マレイン酸のような1種以上の異なる単量体との非弾性ランダム、ラジアル及びテーパードブロック共重合体、並びにゴム変性剤とアルケニル芳香族単量体(上述の通り)のホモポリマーとのブレンド及び/又はグラフトを含有するゴム変性ポリ(アルケニル芳香族)樹脂が挙げられ、ゴム変性剤は、ブタジエン、イソプレンのような1種以上のC−C10非芳香族ジエン単量体の重合生成物とすることができ、ゴム変性ポリ(アルケニル芳香族)樹脂は、アルケニル芳香族単量体のホモポリマー98〜70重量%とゴム変性剤2〜30重量%とを含む。ゴム変性ポリスチレンはハイインパクトポリスチレン(HIPS)とも呼ばれる。一実施形態では、ゴム変性ポリ(アルケニル芳香族)樹脂は、アルケニル芳香族単量体のホモポリマー88〜94重量%とゴム変性剤6〜12重量%とを含む。
ポリ(アルケニル芳香族)樹脂が存在する場合、難燃性熱可塑性樹脂組成物はポリ(アルケニル芳香族)樹脂を、難燃性熱可塑性樹脂組成物の総重量を基準にして1〜46重量%の量含有することができる。この範囲内で、ポリ(アルケニル芳香族)樹脂は、難燃性熱可塑性樹脂組成物の総重量を基準にして2重量%以上、さらに具体的には4重量%以上、さらに一段と具体的には6重量%以上の量で存在し得る。同じく上記範囲内で、ポリ(アルケニル芳香族)樹脂は、難燃性熱可塑性樹脂組成物の総重量を基準にして25重量%以下、さらに具体的には20重量%以下、さらに一段と具体的には15重量%以下の量で存在し得る。
一般に、難燃性熱可塑性樹脂組成物は、UL94に準拠して厚さ3.2mmでV2又はそれよりも優れた難燃性等級を達成するのに十分な量の難燃添加剤組成物を含有する。難燃性熱可塑性樹脂組成物は、難燃剤を、熱可塑性樹脂組成物の総重量を基準にして15〜45重量%の量で含有し得る。この範囲内で、難燃添加剤組成物は、難燃性熱可塑性樹脂組成物の総重量を基準にして、18重量%以上、さらに具体的には20重量%以上、さらに一段と具体的には23重量%以上の量で存在し得る。同じく上記範囲内で、難燃添加剤組成物は、難燃性熱可塑性樹脂組成物の総重量を基準にして、40重量%以下、さらに具体的には35重量%以下、さらに一段と具体的には32重量%以下の量で存在し得る。
さらに、難燃性熱可塑性樹脂組成物は、適宜、各種添加剤を含んでいてもよく、例えば酸化防止剤、具体的にはオルガノホスファイト類、例えばトリス(ノニル−フェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト又はジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、アルキル化モノフェノール類、ポリフェノール類及びポリフェノールとジエンとのアルキル化反応生成物、例えばテトラキス[メチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、2,4−ジ−tert−ブチルフェニルホスファイト、p−クレゾールとジシクロペンタジエンとのブチル化反応生成物、アルキル化ヒドロキノン、ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、アルキリデン−ビスフェノール、ベンジル化合物、β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価もしくは多価アルコールとのエステル、β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸と一価もしくは多価アルコールとのエステル、チオアルキルもしくはチオアリール化合物のエステル、例えばジステアリルチオプロピオネート、ジラウリルチオプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、充填剤及び強化材、例えばケイ酸塩、TiO、繊維、ガラス繊維(連続及びチョップド繊維を含む)、カーボンブラック、グラファイト、炭酸カルシウム、タルク及びマイカ、離型剤、UV吸収剤、安定剤、例えば光安定剤など、滑剤、可塑剤、顔料、染料、着色剤、帯電防止剤、並びに発泡剤を含んでいてもよい。
実施形態によっては、難燃性熱可塑性樹脂組成物を様々な色にするのが望ましい。これを達成する一つの方法では、難燃性熱可塑性樹脂組成物を単色で製造し、次いで最終組成物における濃度よりも格段に高濃度の染料又は着色剤を樹脂に配合したカラーコンセントレートを用いて色を変える。実施形態によっては、後でカラーマスターバッチを添加したときに各成分が上述の量比となる最終的な着色難燃性熱可塑性樹脂組成物が得られるように、単色難燃性熱可塑性樹脂組成物の組成を調節する必要があることもあろう。
難燃性熱可塑性樹脂組成物は、均質ブレンドの形成に適した条件下でブレンドされる。押出機や混練機のような装置を、典型的には成分の実質的な分解を起こさずに溶融混合するのに十分な温度で用いて、成分を一緒に混合する。一実施形態では、成分を二軸押出機にて200〜300℃の温度でブレンドすればよい。例えば53mm二軸押出機を用いる場合には、スクリュー速度は200〜600rpmとすることができる。
一実施形態では、リン酸塩、金属水酸化物及び有機ホスフェートを熱可塑性樹脂と、熱可塑性樹脂の溶融温度よりも高い温度(溶融混合)或いは熱可塑性樹脂の溶融温度よりも低い温度でブレンドして、マスターバッチを形成する。次に、マスターバッチを難燃性組成物の成分と溶融混合すればよい。マスターバッチは最初から添加してもよいし、難燃性組成物の成分をある程度混合してから添加してもよい。
別の実施形態では、リン酸塩、金属水酸化物及び有機ホスフェートを熱可塑性樹脂なしで予備混合して難燃剤混合物を形成する。難燃剤混合物は、難燃性熱可塑性樹脂組成物の形成プロセスのどの時点で添加してもよく、例えば熱可塑性樹脂の溶融混合の開始時又は熱可塑性樹脂の溶融混合の途中に添加することができる。或いは、難燃剤混合物をペレット状の熱可塑性樹脂ブレンドと溶融混合してもよい。
別の実施形態では、リン酸塩、金属水酸化物及び有機ホスフェートを熱可塑性樹脂組成物の成分に直接添加する。難燃添加剤組成物の成分を分散させるため組成物が十分に溶融混合されれば、これらは一緒に添加しても、別々に添加しても、溶融混合のどの時点で添加してもよい。
一実施形態では、難燃剤マスターバッチは30〜70の難燃添加剤組成物と30〜70の希釈材を含有する。希釈材は固体でも液体でもよく、難燃添加剤組成物のバインダーとして機能する。希釈材の種類は重要ではないが、希釈材の選択は通例、マスターバッチが配合される樹脂を考慮してなされる。例えば、マスターバッチをポリ(アリーレンエーテル)に配合する場合には、選択される希釈材は、ポリ(アリーレンエーテル)又はポリスチレン、上述のポリオレフィン又は上述の耐衝撃性改良剤のようなポリ(アリーレンエーテル)と相溶性の材料である。
実施形態によっては、難燃性熱可塑性樹脂組成物は、環状エーテル基(例えばエポキシ基)、酸無水物基、イソシアネート基、オキサゾリン基、オキサジン基又はカルボジイミド基から選択される官能基を有する化合物のような、活性水素原子と反応性の官能基をもつ化合物を実質的に含まない。難燃性熱可塑性樹脂組成物は、含フッ素オリゴマー及び/又はポリ(オルガノシロキサン)のようなシリコーン系樹脂も含まないことがある。活性水素原子と反応性の官能基を有する化合物、フッ素含有オリゴマー及び/又はシリコーン系樹脂が存在しないと、難燃性組成物は耐加水分解性を保持する。耐加水分解性の測定は、組成物をISO引張試験用の試験片に射出成形し、PCT試験(測定条件:121℃、100%RH、2気圧、24時間)を実施することによって行うことができる。PCT試験前後の引張強さを測定し、引張強さの保持率(%)が耐加水分解性の指標となる。本組成物は典型的には引張強さの75〜100%を保持する。この範囲内で、本組成物は引張強さの80%以上、さらに一段と具体的には85%以上を保持し得る。
本明細書で用いる「実質的に含まない」とは、組成物における含量が、組成物の総重量を基準にして1重量%未満、さらに具体的には0.5重量%未満、さらに一段と具体的には0.05重量%未満であることを意味する。
以下の非限定的な実施例で本発明の組成物をさらに具体的に説明する。
以下の実施例では、表1に示す材料を使用した。実施例で用いた重量%は、特記しない限り、すべて組成物全体の重量を基準にする。
Figure 0004869255
例1〜9
熱可塑性樹脂の総重量を基準にして、38.5重量%のPPE、26.9重量%のSEBS−I、25.6重量%のLLDPE及び9.0重量%のポリブテンを含有する熱可塑性樹脂組成物を、表2に示す量のRDP、MPP及びMg(OH)と溶融混合した。RDP、MPP及びMg(OH)の量は、熱可塑性樹脂組成物(PPE+SEBS−I+LLDPE+ポリブテン)100部当たりの部数で表す。組成物を、燃焼試験用の3.2mm試験片に成形した。燃焼試験は、“Tests for Flammability of Plastic Materials, UL94”という表題のUnderwriter′s Laboratory Bulletin 94の手順に準拠して実施した。消火した試験片については2回目の接炎を行った。この手順に従って、5個の試験片で得られた試験結果に基づいて材料をHB、V0、V1又はV2いずれかに分類した。UL94による燃焼性分類の判定基準は簡潔に説明すると以下の通りである。
HB:試験片の長軸が炎と平行になるように配置した5インチ試験片について、試験片の燃焼速度が3インチ/分未満であるとともに、試験片の4インチが燃焼する前に消火しなければならない。
V0:長軸が炎に平行になるように配置した試験片について、炎を取り去った後の有炎燃焼及び/又は赤熱の平均時間が5秒を超えてはならず、垂直に配置した試験片のうち脱脂綿を着火する燃焼粒子を滴下するものがあってはならない。
V1:長軸が炎に平行になるように配置した試験片について、炎を取り去った後の有炎燃焼及び/又は赤熱の平均時間が25秒を超えてはならず、垂直に配置した試験片のうち脱脂綿を着火する燃焼粒子を滴下するものがあってはならない。
V2:長軸が炎に平行になるように配置した試験片について、炎を取り去った後の有炎燃焼及び/又は赤熱の平均時間が25秒を超えてはならず、垂直に配置した試験片が脱脂綿を着火する燃焼粒子を滴下する。
結果を表2に示す。燃焼時間は試験片の接炎毎に試験片が燃焼する時間の合計である。「燃焼」は、試験片が自消しなかったことを意味する。UL94評価欄の「NA」は、試験片が上記UL94等級のいずれのパラメータにも属さなかったことを意味する。
Figure 0004869255
例1〜9は、難燃添加剤組成物の3成分すべてが難燃性に必要であることを実証している。例1、4、8及び9はいずれも水酸化マグネシウムを含んでおらず、これらの試験片のいずれも自消しなかった。例6はポリリン酸メラミンを含んでおらず、自消しなかった。例7はレゾルシノールジホスフェートを含んでおらず、これも自消しなかった。難燃添加剤組成物の3成分すべてが難燃性に必要とされることは、3成分間の予想外の相乗関係を示唆している。
実施例10〜15
熱可塑性樹脂の総重量を基準にして、42.6重量%のPPE、32.0重量%のSEBS−I、21.4重量%のLLDPE及び4.0重量%のポリブテンを含む熱可塑性樹脂組成物を、表3に示す量のBTPP、RDP、MPP及びMg(OH)と溶融混合した。BTPP、RDP、MPP及びMg(OH)の量は、熱可塑性樹脂組成物(PPE+SEBS−I+LLDPE+ポリブテン)100部当たりの部数で表す。組成物を、燃焼試験用の3.2mm試験片に成形し、例1〜9と同様に試験した。
Figure 0004869255
実施例10〜15は、複数の有機ホスフェートの組合せが難燃添加剤組成物に有用であること、本難燃添加剤組成物で優れた難燃性(V1及びV0)が達成できることを実証している。
実施例16〜19
組成物の総重量を基準にして、26重量%のPPE、25重量%のSEBS−I、15.0重量%のポリエチレン共重合体(表4に示す)及び2重量%のポリブテンを、表4に示す量のBTPP、RDP、MPP及びMg(OH)と溶融混合した。BTPP、RDP、MPP及びMg(OH)の量は、組成物の総重量を基準にした重量%で表す。組成物を、燃焼試験用の2.0mm試験片に成形し、例1〜9と同様に試験した。実施例19では、10回の接炎のうち1回で20秒で滴下を生じたためV2等級となった。
Figure 0004869255
実施例16〜19は、難燃添加剤組成物を用いることによって、かなりの量のポリオレフィン及び各種ポリエチレン共重合体を含有する組成物でV2又はそれよりも優れた難燃性等級を達成できることを実証している。
例20
26重量%のPPE、25重量%のSEBS−I、15.0重量%のEEA及び2重量%のポリブテンを、8.0重量%のBTPP、12.0重量%のRDP、5.0重量%のメラミンシアヌレート及び7重量%のMg(OH)と溶融混合した(重量%はすべて組成物の総重量を基準)。組成物を、燃焼試験用の2.0mm試験片に成形し、例1〜9と同様に試験した。この組成物は自消しなかったが、このことはリン酸塩を燐を含まない含窒素化合物で置き換えることができないことを示唆しており、難燃添加剤組成物の3成分間の予想外の相乗関係がここでも確認される。
実施例21〜33
表5に示す処方にしたがって組成物を製造し、ASTM D638に準拠して引張強さ及び伸び、ASTM D790に準拠して曲げ弾性率、ASTM D2240に準拠してショアA硬度を測定した。配合量は組成物の総重量を基準にした重量%で表す。引張強さの値はメガパスカル(MPa)、引張伸びの値は%で示す。曲げ弾性率はMPaで示す。
上記組成物を燃焼試験用の2.0mm試験片に成形し、例1〜9と同様に試験した。結果を表6に示す。
Figure 0004869255
Figure 0004869255
表6のデータは、難燃性熱可塑性樹脂組成物が、含ハロゲン難燃剤を用いなくても、難燃性に加えて、柔軟性と可撓性と引張強さの予想外の物性の組合せを発揮することを実証している。実施例21〜33のいずれも目視検査でプレートアウトやマイグレーションを示さなかった。
実施例22、23及び33については、長さ/直径比10のキャピラリー粘度計を用いて、粘度を調べた。粘度の値はパスカル−秒(Pa・s)で示す。実施例22のデータを表7に示す。実施例23のデータを表8に示す。実施例33のデータを表9に示す。
Figure 0004869255
Figure 0004869255
Figure 0004869255
表7〜9のデータは、これらの組成物が、特に押出プロセスで、優れた加工性を有することを実証している。
実施例34〜37
表10に示す処方にしたがって組成物を製造し、ASTM D638に準拠して引張強さ及び伸び、ASTM D790に準拠して曲げ弾性率、ASTM D2240に準拠してショアA硬度を測定した。処方量は組成物の総重量を基準にした重量%で表す。引張強さの値はMPa、引張伸びの値は%で示す。曲げ弾性率はMPaで示す。
上記組成物を燃焼試験用の3.2mm試験片に成形し、例1〜9と同様に試験した。結果を表11に示す。
Figure 0004869255
Figure 0004869255
実施例34〜37は、難燃性熱可塑性樹脂材料が優れた特性の組合せ、特に非常に高い値の引張伸びを有することを実証しており、材料が応力下、例えば引張によって生じる応力下での破損に強いことを示唆している。難燃性熱可塑性樹脂材料は、柔軟性(ショアA値で示される)と良好な難燃性と引張強さと曲げ弾性率の組合せを有することも示している。
実施例38〜43
実施例38〜43は、実施例38〜42の難燃性熱可塑性樹脂組成物から製造した被覆線の特性を示す。表12に示す処方にしたがって組成物を製造し、ASTM D638に準拠して引張強さ及び伸び、ASTM D790に準拠して曲げ弾性率、ASTM D2240に準拠してショアA硬度を測定した。処方量は組成物の総重量を基準にした重量%で表す。引張強さの値はMPa、引張伸びの値は%で示す。曲げ弾性率はMPaで示す。組成物を燃焼試験用の3.2mm試験片に成形し、例1〜9と同様に試験した。結果を表13に示す。断面積0.75mmの銅線に実施例38〜42の組成物を押出被覆した。被覆の厚さは0.6mmであった。被覆をUL1581に準拠して引張強さ及び極限伸びについて試験し、被覆線全体の難燃性をUL 1581に準拠して試験した。
Figure 0004869255
Figure 0004869255
実施例43〜60
表14に示す処方にしたがって組成物を製造し、ASTM D638に準拠して引張強さ及び伸び、ASTM D790に準拠して曲げ弾性率、ASTM D2240に準拠してショアA硬度を測定した。組成物は1.7重量%の安定剤及び添加剤も含んでいた。処方量は組成物の総重量を基準にした重量%で表す。引張強さの値はMPa、引張伸びの値は%で示す。曲げ弾性率はMPaで示す。組成物を燃焼試験用の3.2mm試験片に成形し、例1〜9と同様に試験した。結果を表14に示す。さらに、実施例43〜61の組成物を用いて電線を製造した。導線は20×0.12mmの銅線であり、被覆の厚さは0.7mmであった。被覆の引張強さ(MPa)及び極限伸び(%)をUL1581に準拠して試験し、被覆線全体の難燃性をUL 1581に準拠して試験した。幾つかの実施例では、UL 1581に準拠して121℃及び250gで熱変形試験も行った。熱変形値は%で示す。マイグレーションは、2枚のポリスチレン製プレート又は2枚のABS製プレートの間に2本の電線を挟んだスタックを形成することによって測定した。プレート間に電線を配置する前に電線を目視検査して、ほこりその他の明らかな汚染がないことを確認した。上記スタックの上に500gの重りを載せて、加重スタックを形成した。加重スタックを次いで60℃のオーブンに入れた。28時間後にスタックをオーブンから取り出して分解した。電線と接触していたプレート表面を目視検査して、試験時に電線の痕跡の有無を調べた。
Figure 0004869255
以上の実施例から明らかな通り、有機ホスフェート量がリン酸塩量よりも多い組成物(実施例57〜60)では良好な難燃性を示すものの、さらにポリスチレン及びABSに対するマイグレーションも呈する。これに対して、リン酸塩の量が有機ホスフェートと同じかそれ以上の実施例ではマイグレーションはほとんど或いは全くみられなかった。
以上、様々な実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明の技術的範囲から逸脱せずに様々な変更をなすことができ、本発明の構成要素を均等物で置換できることは当業者には明らかであろう。さらに、本発明の本質的範囲から逸脱せずに、特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させるために多くの修正をなすことができる。本発明は本発明を実施するための最良の形態として本明細書に開示した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に属するあらゆる実施形態を包含する。
引用した特許の開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。
電線の概略断面図。 複数の層を有する電線の斜視図。 複数の層を有する電線の斜視図。 ジャケットを装着した導線の斜視図。

Claims (6)

  1. 難燃性熱可塑性樹脂組成物であって、
    ポリ(アリーレンエーテル)と、
    耐衝撃性改良剤と、
    該難燃性熱可塑性樹脂組成物の総重量に基づいて5〜50重量%のポリオレフィンであって、該ポリオレフィンは液体ポリオレフィンを含み、
    リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、オルトリン酸メラミン、リン酸二アンモニウム、リン酸一アンモニウム、リン酸アミド、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アミド及びこれらの2種以上の組合せからなる群から選択されるリン酸塩と、
    金属水酸化物と、
    有機ホスフェートと
    を含んでなり、リン酸塩の重量配合量が有機ホスフェートの重量配合量と同じかそれ以上であり、リン酸塩と金属水酸化物と有機ホスフェートとの合計重量を基準にして、リン酸塩が30〜60重量%で存在し、金属水酸化物が10〜45重量%で存在し、有機ホスフェートが9〜45重量%で存在し、
    但し、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、オルトリン酸メラミン、リン酸二アンモニウム、リン酸一アンモニウム、リン酸アミド、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アミド及びこれらの2種以上の組合せからなる群から選択されるリン酸塩、金属水酸化物、及び有機ホスフェートを含んでなる難燃剤組成物であって、当該リン酸塩、金属水酸化物、及び有機ホスフェートの合計量を基準にして、前記リン酸塩が10〜40重量%の量で存在し、前記金属水酸化物が10〜45重量%の量で存在し、前記有機ホスフェートが15〜80重量%の量で存在する該難燃剤組成物を除く、
    組成物。
  2. 有機ホスフェートがトリス(ブチルフェニル)ホスフェート、レゾルシノールビスジフェニルホスフェート、ビスフェノールAビスジフェニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート及びこれらの2種以上の組合せからなる群から選択され、リン酸塩がポリリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、及びポリリン酸メラミンとピロリン酸メラミンの組合せからなる群から選択され、金属水酸化物が水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化コバルト及びこれらの2種以上の組合せからなる群から選択される、請求項1記載の組成物。
  3. ポリオレフィンが液体ポリオレフィンである、請求項1記載の組成物。
  4. 耐衝撃性改良剤が、第1のブロック共重合体の総重量を基準にして10重量%〜20重量%のポリスチレン含量を有する第1のブロック共重合体と、第2のブロック共重合体の総重量を基準にして25重量%〜50重量%のスチレン含量を有する第2のブロック共重合体との組合せを含む、請求項1記載の組成物。
  5. 金属水酸化物とリン酸塩との重量比が0.3〜0.8である、請求項1記載の組成物。
  6. 導線と導線上に設けられた被覆とを含んでなる電線であって、
    該被覆が、請求項1に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物を含む、電線。
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