本発明の実施の形態について、図1〜7を参照しながら以下に説明する。但し、説明に不要な部分は省略し、また説明を容易にする為に拡大又は縮小等して図示した部分がある。
図1は、本実施の形態に係る光照射装置を示す側面図であり、図2は前記光照射装置を示す斜視図である。これらの図に示すように、前記光照射装置1は、一対の線光源2a・2bと、複数の光反射板3a・3bと、反射鏡4とを主要構成要素として備える。
前記線光源2aと線光源2bとは、相互に平行となる様に対向配置されている。線光源2a・2bの延在方向は、後述の積層シートの搬送方向と平行となっている。線光源2aと線光源2bとの離間距離は特に限定されないが、積層シートの幅方向とほぼ同一又は大きい方が好ましい。積層シートの全面に光照射をすることが可能になるからである。具体的には、300〜2000mmの範囲内であることが好ましい。
線光源2a・2bによる光照射としては、例えばα線、β線、γ線、X線、電子線等の電磁性放射線や、レーザー線、紫外線等の活性光線によるものが挙げられるが、照射強度の制御の容易性及び取り扱い性の良さ、分子の切断やポリマーの水素引き抜き等による架橋の引き起こし難さ、コストの点を考慮すると、紫外線が好適に用いられる。より好ましくは、波長200〜400nmの紫外線が用いられる。紫外線を用いた場合の光源としては、例えば低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。線光源2aと線光源2bとは異種であってもよいが、上側方向と下側方向への照射条件を同一にするには同種であることが好ましい。
照射強度としては後述の光重合性組成物の種類等により適宜設定されるが、0.5〜10mW/cm2の範囲内であることが好ましい。照射強度が0.5mW/cm2未満の場合、光重合反応が十分に起きず、未反応物が残存することがある。その一方、照射強度が10mW/cm2を超える場合、生成するポリマーの分子量の低下と、重合時の発熱による積層シートの変形が生じる場合がある。
図2に示すように、前記線光源2aと線光源2bとの間には、複数の短冊状の光反射板3a・3bが、該線光源2a・2bの延在方向に配列されている。更に、各光反射板3a・3bは、その長辺方向が線光源2a・2bの延在方向と直角となる様に設けられている。また、光反射板3a・3bは、光の両面反射が可能である。尚、光反射板3a・3bは、片面反射であってもよい。この場合、反射方向は、光反射板3a・3b共に、同じ方向であることが好ましい。
光反射板3aは、線光源2a側の端辺が下側、線光源2b側の端辺が上側となる様に、線光源2a及び線光源2bで形成される平面に対し角度αで傾斜している。角度αは、光反射板3aが、線光源2aから出射された光を上側方向に反射させる一方、線光源2bから出射された光を下側方向に反射させる様に設定されている。光反射板3bは、線光源2a側の端辺が上側、線光源2b側の端辺が下側となる様に、前記平面に対し角度βで傾斜している。角度βは、光反射板3bが、線光源2aから出射された光を下側方向に反射させる一方、線光源2bから出射された光を上側方向に反射させる様に設定されている。上側方向及び下側方向への照射条件を同一にする為には、角度αと角度βの絶対値は同一であることが好ましい。また、同様の理由から光反射板3a・3bは曲面状でないことが好ましい。更に、光反射板3a・3bの大きさ及び光反射率についても、同一であることが好ましい。
光反射板3a・3bとしては、線光源2a・2bから照射される光を反射できるものであれば特に限定されるものではない。具体的には、例えば、鏡面反射板、拡散反射板等が挙げられる。
尚、光照射装置1は、図2から分かる様に、一対の線光源2a・2bの間に光反射板3a・3bがそれぞれ3枚ずつ配列した構造であり、これを1ユニットとして、複数個搬送方向と平行に配列させてもよい。また、積層シートのシート幅(より詳細には、光照射が必要な範囲を意味する)が光照射装置1よりも大きい場合は、当該シート幅に応じて、同図に示すユニットとしての光照射装置を搬送方向と直交する方向に複数配列してもよい。
図3に示すように、一対の線光源2a・2bの側部にはそれぞれ、反射鏡4が設けられている。反射鏡4は、線光源2a・2bから照射される光の一部を、光反射板3a・3bに向かって反射させる機能を有する。反射鏡4は、反射光の射出開口4aと、線光源2aからの照射光を射出開口4aに向けて反射する反射面4bとを備えている。反射面4bは、例えば楕円面又は放物面反射面とすることができる。
次に、上述の光照射装置1を用いた粘着シートの製造方法及び製造装置について、図4〜7を参照しながら説明する。尚、光照射装置1についての詳細な説明は省略する。図4は、本実施の形態に係る粘着シートの製造方法を説明する為の工程図である。同図に示すように、本実施の形態に係る粘着シートの製造方法は、光重合性組成物を予備重合(プレ重合)させる工程と、積層シートを形成する工程と、積層シートに光照射をする工程と、脱モノマーを行う工程とを有する。以下、各工程の詳細を説明する。
予備重合する工程は、光重合性組成物11中に含まれるモノマーの一部を予め光重合させて得られた部分重合物を含む光重合性組成物11’を得る工程である。部分重合物は、光重合性組成物11’に対し、3〜50重量%の範囲内であることが好ましい。当該範囲内であると、後述の積層シート16を形成し得る程度の粘性が得られるからである。予備重合の方法としては、特に限定されず、例えば紫外線等の光を照射して行うことができる。照射条件としては、部分重合物の割合が前記数値範囲内となる様に適宜必要に応じて設定すればよい。本発明に於いて、予備重合の工程は、必要に応じて行う任意工程である。光重合性組成物11、11’の詳細については後述する。
積層シート16の形成工程は、図4に示すように、カバーセパレータ(光透過性シート)12とベースシート(光透過性シート)13の間に光重合性組成物11’が挟持された積層体を形成する工程である。当該工程は、例えば図4に示すような塗工手段31を用いて行うことができる。即ち、下面ロール20に付設された壁部14aによって上面ロール19及び下面ロール20との間に給液槽14を設け、この給液槽14に所定容量の光重合性組成物11’を充填する。次に、カバーセパレータ12及びベースシート13を繰り出すと共に、ベースシート13上に光重合性組成物11’を所定の厚さに塗工(塗布)する。塗工厚さとしては、1〜300μmの範囲内であることが好ましく、1〜200μmの範囲内であることがより好ましい。塗工厚が1μm未満の場合、光重合性組成物11’の塗工の際、又はカバーセパレータ12をカバーする際に、空気(酸素)を巻き込み、これに起因して光重合が十分に進行しなくなることがある。その一方、塗工厚が300μmを超えると、光重合の反応熱の影響が大きくなり、樹脂温度が急激に上昇することがある。尚、塗工手段としては、ダイコーター、ロールコーター等を使用することも可能である。
上面ロール19及び下面ロール20は、両者の間に所定間隔で間隙が形成される様に、上下にそれぞれ配置されている。光重合性組成物11’が塗工されたベースシート13が、該間隙を通過する際、カバーセパレータ12が光重合性組成物11’を覆い、これにより積層シート16が形成される。前記の間隙は、樹脂層15’がカバーセパレータ12により押しつぶされず、かつ貼り合わせ面に気泡が混入しない様に設定される。
積層シートに光照射をする工程は、所定条件下で光照射を行うことにより、光重合性組成物を完全に光重合させる工程である。当該工程は、例えば図6(a)に示す照射室25内で行われる。照射室25内には、光照射装置1と、搬送部としての入口側搬送ローラー21及び出口側搬送ローラー22と、方向変換ローラー23とが設けられている。
積層シート16の搬送は、搬送手段としての入口側搬送ローラー21及び出口側搬送ローラー22により、所定の搬送速度で撓みなく行われる。入口側搬送ローラー21及び出口側搬送ローラー22は、駆動モータ(図示せず)によって図6(a)の矢印方向に回転駆動される。搬送速度は、光の照射条件に応じて適宜設定することができる。
照射室25内では、所定の高さ位置毎に方向変換ローラー23がそれぞれ設けられている。方向変換ローラー23は、積層シート16の搬送方向を各高さ位置毎に異なる方向に方向変換する機能を有し、これにより積層シート16を下流側に向かって往復搬送させることができる。それぞれの方向変換ローラー23は、各高さ位置に於けるパスラインが相互に平行となる様に配置されているのが好ましい。積層シート16の表面及び裏面に対する光の照射条件を同一にできるからである。それぞれの方向変換ローラー23の高さ位置は、各高さ位置に於けるパスライン相互が等間隔となる様に定められる。方向変換ローラー23の直径としては、40mm〜50mmの範囲内であることが好ましい。積層シート16の搬送方向に於ける方向変換ローラー23同士の距離は、照射室25の大きさや該積層シート16のパスラインの長さに応じて定まる。パスラインの長さLとしては、例えば1800〜4500mmの範囲内であることが好ましい。これにより、低照度で長時間の照射が可能になる。また、図6(a)では、各高さ位置に於けるパスラインの長さが全て同一の場合を示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。各高さ位置毎にパスラインの長さが異なる様に、搬送方向に於ける方向変換ローラー23相互の距離を異ならせてもよい。また、図6(b)に示す様に、所定の左右位置毎に方向変換ローラー23をそれぞれ設けてもよい。これにより、積層シートの搬送方向を各左右位置毎に異ならせることができる。この場合も、それぞれの方向変換ローラー23は、各左右位置に於けるパスラインが相互に平行となる様に配置されているのが好ましい。尚、方向変換ローラー23の設置数は特に限定されるものではなく、パスラインの長さ、照射条件及び照射室25の広さに応じて適宜設定され得る。また、積層シートの搬送方向は上流側から下流側に向かう場合に限定されるものではなく、下流側から上流側に向かう場合でもよい。
また、図7に示すように、方向変換ローラー23は回転式であることが好ましいが、非回転の固定式であっても使用可能である。また、積層シート16と接触する面は、曲面状であることが好ましい。これにより、接触面での摩擦抵抗を軽減し、積層シート16を滑らかに搬送することが可能になる。
光照射装置1は、その線光源2a・2bの延在方向とパスラインとが平行となる様に設けられている。また、各光照射装置1は、上方のパスラインと下方のパスラインから等距離に位置する様に設けられているのが好ましい。これにより、積層シート16の表面及び裏面に対する光の照射条件を同一にすることができる。
尚、光照射装置1による光照射の条件としては、例えば上流側から下流側に向かうに従い次第に照射強度を小さくするなど、各々の高さ位置で異ならせる様にしてもよい。特に光照射工程の初期に於いては、樹脂層の機械的強度が小さい。この為、上流側の照射強度を下流側よりも大きくすることで、一定程度の機械的強度を当該工程の初期段階で付与し、搬送中に大幅な形状変化が生じるのを抑制することができる。また、光照射装置1は、上側方向及び下側方向に均一な光を照射することが可能である。従って、光重合性組成物を含む樹脂層の一方の面のみから光を照射して重合させる片面照射方式にも適用可能である。
次に、照射室25から積層シート16が搬出された後、積層シート16に於けるカバーセパレータ12が巻取りローラー26により巻き取られる。更に、加熱により光重合後の樹脂層15’中のモノマーを脱モノマーし、粘着シート17が得られる。この粘着シート17は巻き取りローラー18により巻き取られ、その後、所定の大きさに裁断することにより、目的の粘着テープ等が得られる。
本発明に使用される光重合性樹脂組成物としては、塗工可能な流動性を持ち、コーティングしたものが光照射により重合を起こし、粘着剤となるものを言う。具体的には、
(a)(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするアクリル系モノマーと、該アクリル系モノマー100重量部に対して、
(b)(メタ)アクリル酸エステル成分単位を主構成単位とし、重量平均分子量が50000以上である高分子量ポリマー成分5〜200重量部
(c)光重合開始剤0.01から5重量部
(d)架橋剤
とを含有し、実質的に溶媒を含有しない組成物が挙げられる。
この様な(a)(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするアクリル系モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸へキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル、シクロヘキシル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル酸の脂環族アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジルのような(メタ)アクリル酸アリールエステルを挙げる事ができる。この様な(メタ)アクリル酸エステルは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
本発明で使用される(a)(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするアクリル系モノマーは前記(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするものであるが、更に他のモノマーを含有していてもよい。本発明で使用できる他のモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピルのような(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル、(メタ)アクリル酸アルキル金属塩等の塩、エチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ジエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、トリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、プロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
但し、本発明に於いて、(a)アクリル系モノマーは(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするものである。従って、(メタ)アクリル酸エステルを50重量%以上、好ましくは70重量%以上、更に好ましくは90重量%以上の量で含有している。
本発明で使用される(b)高分子量ポリマーは、(メタ)アクリル酸エステル成分単位を主構成単位とし、重量平均分子量が5万以上、好ましくは10万〜200万の範囲内にあるアクリル系ポリマーである。尚、本発明に於いて重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により求めた値である。
この(b)高分子量ポリマーは、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする重合性不飽和結合を有するモノマーを重合させることにより形成される。本発明では、こうした(メタ)アクリル酸エステルとして、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環族アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香族アルコールとのエステルを用いることができる。
本発明で使用される(b)高分子量ポリマーは、重合性不飽和結合を有するモノマーとして、前記(メタ)アクリル酸エステルを主成分として用いて調製される。従って、本発明で使用される(b)高分子量ポリマーは、前記のような(メタ)アクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位((メタ)アクリル酸エステル成分単位)を、単量体換算で50重量%以上、好ましくは70重量%以上、更に好ましくは90重量%以上の量で有している。
この(b)高分子量ポリマーは、前記(a)アクリル系モノマー100重量部に対して、5〜200重量部、好ましくは10〜150重量部の範囲内で配合される。
本発明で使用される(c)光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤及び/又は光カチオン重合開始剤である。光ラジカル重合開始剤としては、たとえば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、o−ベンゾイル安息香酸メチル−p−ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチルベンゾイン等のベンゾイン類、ベンジルジメチルケタール、トリクロルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン類、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−4’−イソプロピル−2−メチルプロピオフェノン等のプロピオフェノン類、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、p−クロルベンゾフェノン、p−ジメチルアミノベンゾフニノン等のベンゾフェノン類、2−クロルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−(エトキシ)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類、ベンジル、ジベンゾスベロン、α−アシルオキシムエステルなどがあげられる。
光カチオン重合開始剤として、たとえば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩や、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール−アルミニウム錯体などの有機金属錯体類、ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、N−ヒドロキシイミドスルホナートなどがあげられる。上記光重合開始剤については、2種以上併用することも可能である。
この(c)光重合開始剤は、前記(a)アクリル系モノマー100重量部に対して、0.01〜6重量部、好ましくは0.01〜3重量部、より好ましくは0.05〜2重量部の範囲内の量で配合される。
また、本発明で使用される組成物には、更に(d)架橋剤を配合する。本発明で使用される架橋剤は、(a)成分、(b)成分が重合することにより形成される成分の間で架橋構造を形成し得る化合物である。
この様な架橋剤の例としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物などアクリル系ポリマーに適宜架橋化基点として含ませたカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基などと反応しうる基を有する化合物が挙げられる。
このうち、イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネートなどがあげられる。なかでも、主に適度な凝集力を得る観点から、イソシアネート化合物やエポキシ化合物が特に好ましく用いられる。これらの化合物は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
より具体的には、イソシアネート化合物としては、たとえば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートL)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートHL)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートHX)などのイソシアネート付加物などがあげられる。
エポキシ化合物としては、たとえば、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(三菱瓦斯化学社製、商品名TETRAD−X)や1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(三菱瓦斯化学社製、商品名TETRAD−C)などがあげられる。
これらの架橋剤は単独で、又は2種以上の混合系で使用される。架橋剤の使用量は、架橋すべきアクリル系ポリマーとのバランスにより、さらには、粘着シートとしての使用用途によって適宜選択される。アクリル粘着剤の凝集力により充分な耐熱性を得るには一般的には、上記アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.01〜5重量部含有されていることが好ましく、0.01〜3重量部含有されていることがより好ましい。含有量が0.01重量部よりも少ない場合、架橋剤による架橋形成が不十分となり、粘着剤組成物の凝集力が小さくなって、十分な耐熱性が得られない場合もあり、また、糊残りの原因となる傾向がある。一方、含有量が5重量部を超える場合、ポリマーの凝集力が大きく、流動性が低下し、被着体への濡れが不十分となって、はがれの原因となる傾向がある。尚、前記重合開始剤、架橋剤を使用する場合、これらも実質的に溶媒を含有していないものであることが好ましい。
さらにアミン類などの光開始重合助剤を併用することも可能である。前記光開始助剤としては、2−ジメチルアミノエチルベンゾエート、ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステルなどがあげられる。上記光重合開始助剤については、2種以上併用することも可能である。重合開始助剤は、アクリル系ポリマー100重量部に対し、0.05〜10重量部、さらには0.1〜7重量部の範囲で配合するのが好ましい。
本発明の光重合性組成物には、従来公知の各種の粘着付与剤や表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、染料、シランカップリンング剤、無機又は有機の充項剤、金属粉、顔料などの粉体、粒子状、箔状物などの従来公知の各種の添加剤を使用する用途に応じて適宜添加することができる。
更に、本発明で使用する組成物は、水、水性溶媒あるには有機溶媒を実質的に含有しておらず、前記(b)成分、(c)成分、(d)成分、更に他の成分は、(a)アクリル系モノマー中に溶解若しくは分散している。
本発明で使用する組成物は、前記の(a)アクリル系モノマーと、(b)高分子量ポリマーと、(c)光重合開始剤と、(d)架橋剤と、更に所望により他の成分とを混合することにより調製することができるが、前記ポリマーを調製する際に残存する未反応モノマーを、(a)アクリル系モノマーとして使用することができる。即ち、例えば前記(b)高分子量ポリマーを溶剤を使用せずに部分重合させて、この部分重合の際に未反応のモノマーを(a)成分として使用することができる。こうして部分重合により得られた反応物(アクリル系シロップ)は、所定量の高分子量ポリマーを含有するアクリル系モノマー溶液もしくは分散液である。次いで、得られたアクリル系モノマーの溶液もしくは分散液に、(c)光重合開始剤と、(d)架橋剤と、更に所望により他の成分とを加えて混合することにより、本発明で使用する光重合性組成物を得ることができる。この光重合性組成物の25℃に於ける粘度は、通常10〜100000mPa・sであり、好ましくは50〜50000mPa・sの範囲内である。従って、光重合性組成物は粘ちょうな液体である。こうした粘度の液体は、ロールコーター、ダイコーター、ナイフコーター等の通常の塗布装置を用いて塗布することも可能である。
本実施の形態に於いて使用されるカバーセパレータ12としては、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム等の光透過性フィルムの片面にシリコーン等の離型剤を塗布し、固着したフィルムを例示することができる。特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)離型フィルムは光透過性、耐熱性の面で有用である。
本実施の形態に於いて使用されるベースシート13としては、前記カバーセパレータ12として例示した各種のフィルムの他に光学フィルムを使用することもできる。この場合、本発明は粘着型光学フィルムの製造が可能になる。
前記光学フィルムとしては、液晶表示装置等の画像表示装置の作製に用いられるものが挙げられ、その種類は特に限定されない。例えば、光学フィルムとしては、偏光板が挙げられる。偏光板は、通常、偏光子の片側又は両側に透明保護フィルムを有するものが一般に用いられる。偏光子の両面に透明保護フィルムを設ける場合は、表裏の透明保護フィルムは、同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。偏光板は、通常、液晶セルの両側に配置される。通常、偏光板は、2枚の偏光板の吸収軸が互いに略直交するように配置される。
前記偏光子としては、特に制限されず、各種のものを使用できる。例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素等の二色性物質からなる偏光子が、偏光二色比が高く特に好ましい。これら偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に、5〜80μm程度である。
前記ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいてもよいヨウ化カリウム等の水溶液に浸漬することもできる。更に必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。
前記ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラ等の不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行ってもよいし、染色しながら延伸してもよいし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウム等の水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
前記偏光子の片面又は両面に設けられる透明保護フィルムとしては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、位相差値の安定性等に優れるものが好ましい。前記透明保護フィルムを形成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体、スチレン樹脂、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、アクリロニトリル・エチレン・スチレン樹脂、スチレン・マレイミド共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体等のスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。また、シクロ系オレフィン樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系樹脂、芳香族ポリイミドやポリイミドアミド等のイミド系樹脂、スルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ビニルブチラール系樹脂、アリレート系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、エポキシ系樹脂又は前記樹脂のブレンド物等からなる高分子フィルム等も前記透明保護フィルムを形成する樹脂の例として挙げられる。また、前記透明保護フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載の高分子フィルム、例えば、(A)側鎖に置換及び/又は非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換及び/非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が挙げられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物の高分子フィルムが挙げられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品等からなるフィルムを用いることができる。これらのフィルムは位相差が小さく、光弾性係数が小さいため偏光板等の保護フィルムに適用した場合には歪みによるムラ等の不具合を解消することができ、また透湿度が小さいため、加湿耐久性に優れる。
前記透明保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性等の点より1〜500μm程度である。より好ましくは、5〜200μmである。特に好ましくは、10〜150μmである。前記の範囲であれば、偏光子を機械的に保護し、高温高湿下に曝されても偏光子が収縮せず、安定した光学特性を保つことができる。
また、透明保護フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。従って、Rth=(nx−nz)・d(但し、nxはフィルム平面内の遅相軸方向の屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルムの膜厚である)で表されるフィルムの膜厚方向の位相差値が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。膜厚方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)をほぼ解消することができる。膜厚方向位相差値(Rth)は、更に好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
保護フィルムとしては、偏光特性や耐久性等の点より、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマーが好ましい。特にトリアセチルセルロースフィルムが好適である。尚、偏光子の両側に保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料等からなる保護フィルムを用いてもよい。前記偏光子と保護フィルムとは通常、水系粘着剤等を介して密着している。水系接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリウレタン、水系ポリエステル等を例示できる。
また光学フィルムとしては、例えば位相差板(1/2や1/4等の波長板を含む)、視角補償フィルム、輝度向上フィルム等の液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層となるものが挙げられる。これらは単独で光学フィルムとして用いることができる他、前記偏光板に、実用に際して積層して、1層又は2層以上用いることができる。
位相差板としては、高分子素材を一軸又は二軸延伸処理してなる複屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したもの等が挙げられる。位相差板の厚さも特に制限されないが、20〜150μm程度が一般的である。
高分子素材としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、セルロース系重合体、ノルボルネン系樹脂、又はこれらの二元系、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物等が挙げられる。これら高分子素材は延伸等により配向物(延伸フィルム)となる。
液晶性ポリマーとしては、例えば、液晶配向性を付与する共役性の直線状原子団(メソゲン)がポリマーの主鎖や側鎖に導入された主鎖型や側鎖型の各種のもの等が挙げられる。主鎖型の液晶性ポリマーの具体例としては、屈曲性を付与するスペーサ部でメソゲン基を結合した構造の、例えばネマチック配向性のポリエステル系液晶性ポリマー、ディスコティックポリマーやコレステリックポリマー等が挙げられる。側鎖型の液晶性ポリマーの具体例としては、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート又はポリマロネートを主鎖骨格とし、側鎖として共役性の原子団からなるスペーサ部を介してネマチック配向付与性のパラ置換環状化合物単位からなるメソゲン部を有するもの等が挙げられる。これら液晶性ポリマーは、例えば、ガラス板上に形成したポリイミドやポリビニルアルコール等の薄膜の表面をラビング処理したもの、酸化珪素を斜方蒸着したもの等の配向処理面上に液晶性ポリマーの溶液を展開して熱処理することにより行われる。
位相差板は、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたもの等の使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであってよく、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御したもの等であってもよい。