JP4868446B2 - スクロール部材およびそれを用いたスクロール流体機械 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明にかかるスクロール部材は、鍛造によって、端板の一端面にその軸線方向に沿って立設される渦巻き状ラップが成形されるとともに、前記端板の他端面に前記軸線方向に沿う凹部が成形されるスクロール部材において、前記凹部は、前記渦巻き状ラップの軸線方向高さが変化するラップ高さ変化部が前記軸線方向に見て前記他端面上に投影された位置を避け、前記ラップ高さ変化部に対して周方向に位置をずらして配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、スクロール部材において軸線方向高さの変化が最も大きい渦巻き状ラップのラップエンド部の位置に対して、凹部が位置をずらして配置されているので、ラップ高さ変化部に向う素材流動に起因する凹部におけるヒケ発生を確実に防止することができる。
さらに、スクロール部材において軸線方向高さの変化が最も大きい渦巻き状ラップのラップエンド部の位置に対して、凹部が位置をずらせて配置されることにより、凹部におけるヒケの発生をも防止することができる。
また、渦巻き状ラップのラップ高さ変化部に対して、凹部をずらした位置に配置しているため、ラップ高さ変化部に向う素材の流動に凹部部分の素材が引っ張られることによる凹部のヒケ発生を防止することができる。
また、本発明によれば、鍛造により成形された、低コストで強度の高いスクロール部材を用いてスクロール流体機械を構成することができるため、低コストで信頼性の高いスクロール流体機械を提供することができる。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1ないし図4を用いて説明する。
図1には、本発明の第1実施形態にかかるスクロール圧縮機1の縦断面図が示されている。
スクロール圧縮機1は、フロントハウジング5とリアハウジング7とから構成され、これらをボルト9により一体的に締め付け固定したハウジング3を有する。
ハウジング3の内部には、スクロール圧縮機構29を構成する一対の固定スクロール部材31と旋回スクロール部材33が組み込まれる。固定スクロール部材31は、端板31Aと該端板31Aから立設された渦巻き状ラップ31Bとから構成され、一方、旋回スクロール部材33は、端板33Aと該端板33Aから立設された渦巻き状ラップ33Bとから構成される。
また、旋回スクロール部材33は、フロントハウジング5に形成されているスラスト受け面5Bに端板33Aの背面が支持されており、このスラスト受け面5Bと旋回スクロール部材33の背面との間に介装される自転阻止用ピンリング機構39により、旋回スクロール部材33は、自転を阻止されながら固定スクロール部材31に対して公転旋回駆動されるよう構成される。
なお、これらのピン穴5Cおよびリング穴33Kは、周方向に複数箇所、一般的には3ないし4箇所(本実施形態では4箇所)設けられる。
図3には、このリング穴33Kとラップ高さ変化部33M(33L,33E,33F)の平面上の配置関係が示されている。
外部駆動源からプーリー21に伝達された回転駆動力を、電磁クラッチ17を介してクランク軸11に伝達し、クランク軸11を回転すると、クランク軸11の偏心ピン11Cにドライブブッシュ25および軸受27を介して連結されている旋回スクロール部材33が、ピンリング機構39により自転を阻止されながら、固定スクロール部材31に対して公転旋回駆動される。
また、鍛造により成形される旋回スクロール部材33は、鍛造成形後に、所要箇所を切削加工して製造されるが、切削加工時の素材取り代をできる限り少なくして、成形後の加工工数を減らすとともに、鍛造素材の量を低減することが望まれる。
ここで、上記旋回スクロール部材33の鍛造成形について、図4を参照して説明する。
また、この際、渦巻き状ラップ33Bのラップエンド部33L側に向う鍛造素材33Sの流動により凹部33N部分の素材が引っ張られることになるため、凹部33Nにヒケ33Pが発生することがある。
従って、成形型61Aに対する過大な応力の負荷を防止することができるとともに、凹部33Nにおけるヒケ33Pの発生をも防止することができる。
渦巻き状ラップ33Bを成形する端板33Aの他端面に鍛造によってリング穴33Kを同時成形した場合でも、リング穴33Kをラップ高さ変化部33M(33L,33E,33F)の位置に対して避けた位置に配置しているので、ラップボトル面33Dの段部33Fを成形する成形型61Aに作用する素材流動による応力を低減することができる。従って、スクロール部材を成形する鍛造金型61の寿命低下や破損を防止することができる。
特に、リング穴33Kをラップ高さ変化部33Mに対して周方向に少なくとも30度以上ずらした位置に配置することによって、成形型61Aに作用する応力およびヒケ33Pの発生要因となる凹部33N付近での素材流動を許容範囲内に抑制し、鍛造金型61の寿命低下や破損ならびにヒケ33Pの発生を確実に防止することができる。
また、一端面に渦巻き状ラップ33Bを有する端板33Aの他端面にリング穴33Kを鍛造により同時成形しても、上記の如くヒケ33Pの発生を防止できるため、鍛造成形後にリング穴33Kを切削加工する際の素材取り代を最小限とすることが可能となる。これによって、鍛造成形後の加工工数を低減することができるとともに、鍛造素材33Sの量を低減することができるため、旋回スクロール部材33の製造コストを低減することができる。
なお、本実施形態においては、旋回スクロール部材33にピンリング機構39のリング穴33Kを設けた例について説明したが、旋回スクロール部材33にピンリング機構39のピン穴を設けた構成としても同様の作用効果が得られる。
次に、本発明の第2実施形態について、図5を用いて説明する。
本実施形態は、第1実施形態に対して、自転阻止機構の構成が異なるのみである。その他の点については、第1実施形態と同様であるので、説明は省略する。
本実施形態は、自転阻止機構としてピンリング機構に代え、公知のオルダムリング機構を採用したものであり、この場合、フロントハウジング5のスラスト受け面5Bと旋回スクロール部材33の背面である他端面とに、互いに直交するキー溝33Qが設けられ、このキー溝33Qに図示省略のオルダムリング側のキーが嵌合されることとなる。
そして、このキー溝33Qは、第1実施形態で示したリング穴33Kまたはピン穴5Cと同様に、渦巻き状ラップ33Bのラップ高さ変化部33Mの位置に対して軸線方向に見て端面上に投影された位置を避けて配置される。具体的には、ラップ高さ変化部33Mに対して周方向に少なくとも30度以上ずらした位置に配置される。本実施形態では、キー溝33Qが旋回スクロール部材33の中心を挟んで対称位置に一対設けられるので、周方向に90度ずらした位置にキー溝33Qを配置している。
5C ピン穴(凹部)
33 旋回スクロール部材
33A 端板
33B 渦巻き状ラップ
33D ラップボトム面
33F 段部
33K リング穴(凹部)
33L ラップエンド部
33M ラップ高さ変化部
33Q キー溝(凹部)
39 ピンリング機構
θ ずれ量
Claims (11)
- 鍛造によって、端板の一端面にその軸線方向に沿って立設される渦巻き状ラップが成形されるとともに、前記端板の他端面に前記軸線方向に沿う凹部が成形されるスクロール部材において、
前記凹部は、前記渦巻き状ラップの軸線方向高さが変化するラップ高さ変化部が前記軸線方向に見て前記他端面上に投影された位置を避け、前記ラップ高さ変化部に対して周方向に位置をずらして配置されていることを特徴とするスクロール部材。 - 前記ラップ高さ変化部が、前記渦巻き状ラップのラップエンド部であることを特徴とする請求項1に記載のスクロール部材。
- 前記ラップ高さ変化部が、前記渦巻き状ラップのボトム面に設けられる段部であることを特徴とする請求項1または2に記載のスクロール部材。
- 前記凹部が、自転阻止機構用凹部であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のスクロール部材。
- 前記自転阻止機構用凹部が、ピンリング機構用ピン穴またはリング穴であることを特徴とする請求項4に記載のスクロール部材。
- 前記自転阻止機構用凹部が、オルダムリング機構用キー溝であることを特徴とする請求項4に記載のスクロール部材。
- 前記凹部が、前記ラップ高さ変化部に対して前記周方向に少なくとも30度以上ずらした位置に設けられることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のスクロール部材。
- 前記ピンリング機構用ピン穴またはリング穴が、前記渦巻き状ラップのラップエンド部に対して、前記周方向に少なくとも45度ずらした位置に設けられることを特徴とする請求項7に記載のスクロール部材。
- 前記オルダムリング機構用キー溝が、前記渦巻き状ラップのラップエンド部に対して、前記周方向に90度ずらした位置に設けられることを特徴とする請求項7に記載のスクロール部材。
- 請求項1ないし9のいずれかに記載のスクロール部材を用いて構成されることを特徴とするスクロール流体機械。
- 前記スクロール部材が、旋回スクロール部材であることを特徴とする請求項10に記載のスクロール流体機械。
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