JP4863544B2 - 列車運行管理システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、列車側に記憶された運行情報に基づいて列車の運行を管理する列車運行管理システムに関し、特に、前記運行情報を運行途中でも自動で書き換えることの出来る列車運行管理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
列車の運行を管理するのに際し、列車側に記憶された運行情報に基づいて列車の運行管理を行う車上進路方式による列車運行管理システムが提案されている。
従来のこの種の列車運行管理システムは、列車の運行開始前に、例えば、運転手が、運転台等に設けられたカード読み取り装置にその列車の運行情報、例えば列車番号情報が記憶されたICカードを挿入して、予め車上装置に列車番号情報を記憶させる。列車の運行中に、前記列車番号情報が、車上装置に連結された車上子と、列車軌道に沿って設けられた地上子との結合によって列車側から地上側に送信されると、前記地上子に連結された地上装置が、前記列車番号情報に基づいて列車進行方向の転てつ器や信号機等の制御を行い、列車の進路を制御することにより列車の運行を管理する。
【0003】
ここで、前記列車番号情報には、列車の種別に関する情報や、行き先情報等、列車を識別するための情報が含まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の車上進路方式による列車運行管理システムは、ICカード等によるオフラインで列車側に列車番号情報を記憶させるようにしているため、運行ダイヤが乱れたとき等、列車の運行途中で当該列車の種別等、列車番号情報を変更する必要がある場合には、途中駅でICカードの交換等をして、列車番号情報を手動(オフライン)で再入力しなければならなかった。したがって、列車番号情報の変更に時間がかかり、列車ダイヤが乱れた場合の運行整理に手間取る等、運行管理上の多くの問題が発生してしまう。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、列車側で管理されている運行情報を、運行途中でも乗務員の操作によらないで、自動で書き換えられる列車運行管理システムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明は、列車の車上装置に当該列車の運行情報を予め記憶させ、該運行情報を各駅に設置される地上装置に送信し、前記地上装置が受信した前記列車からの運行情報に基づいて前記列車の進行方向の転てつ器及び信号機を制御することにより前記列車の進路制御を行って前記列車の運行管理を行う列車運行管理システムにおいて、前記各駅に設置される地上装置のうち、拠点駅に設置される地上装置については、中央の運行管理装置に接続して、前記運行管理装置からの運行情報と前記列車からの運行情報とを照合しつつ、その運行情報に基づいて前記列車の進行方向の転てつ器及び信号機を制御することにより前記列車の進路制御を行う構成とすると共に、前記運行管理装置による運行情報の変更時に、当該地上装置から運行中の列車に対して運行情報を送信可能とし、前記車上装置が拠点駅の地上装置からの運行情報を受信した時に、前記予め記憶した運行情報を前記受信した運行情報に乗務員の操作によらないでオンラインで書き換える構成とした。その一方、前記車上装置は、前記オンラインで書き換え動作を完了した時に書き換え記憶した運行情報を拠点駅の地上装置へ返信し、当該地上装置は、送信した運行情報と前記返信された運行情報とを照合し、一致した時に書き換え完了と判定し、変更された運行情報に基づいて前記列車の進行方向の転てつ器及び信号機を制御することにより前記列車の進路制御を行う構成とした。
【0007】
かかる構成では、列車の車上装置は、拠点駅の地上装置から送られる運行情報を受信すると、それまで記憶していた運行情報を、当該地上装置から受信した運行情報に、乗務員の操作によらないでオンラインで書き換える。
また、車上装置は、拠点駅の地上装置から送信された運行情報の書き換え動作が完了すると、当該書き換え記憶した運行情報を拠点駅の地上装置に返信する一方、当該地上装置は、車上装置に送信した運行情報と、車上装置から返信された運行情報とを照合し、それらが一致した時に列車の運行情報の書き換えが完了したと判定する。
【0008】
また、地上装置からの運行情報を、列車運行の整理が可能な拠点駅で送信する構成とすることで、地上側の運行管理設備の構成を簡素化出来る。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の列車運行管理システムの一実施形態を示した概略構成図である。
図1において、本実施形態に係る列車運行管理システムは、線区内の各駅10、20に設置される地上装置30、40と、例えば列車軌道50に沿って設けられ、列車70側と運行情報として例えば列車番号情報の授受を行う地上子61〜65と、列車軌道50上を走行する列車70に設けられた車上装置80と、車上装置80と連結され、例えば列車70下部に設けられ、地上子61〜65と結合して地上側と列車番号情報の授受を行う車上子90と、列車の運行整理が出来る拠点駅10の地上装置30に連結され、例えば、中央指令室に設けて線区内のダイヤ情報を集中して作成、管理し、地上装置30に当該ダイヤ情報を送信する運行管理装置100と、を備えて構成される。
【0011】
拠点駅10に設置された地上装置30は、車上装置70と通信を行う際に、通信データの補正やレベルチェック等を行う中継器31と、運行管理装置100から送信されるダイヤ情報に基づいて、後述するように、運行管理装置100からの運行情報と列車70からの運行情報との一致、不一致の判定等を行う列車選別駅チェック装置32(以下、列選駅チェック装置と表す)と、列選駅チェック装置32からの情報に基づいて信号機111、112、転てつ器121等を連動させる連動装置33と、を備えて構成される。
【0012】
列選駅チェック装置32は、運行管理装置100から列車番号情報を含んだダイヤ情報を受信する受信部32Aと、中継器31に連結され、列車側と列車番号情報の授受を行う送受信部32Bと、受信部32A及び送受信部32Bで受信した列車番号情報を解析するための基本データを記憶する記憶部32Cと、受信部32Aで受信した運行管理装置100からの前記ダイヤ情報を保持して列車側(中継器31)に送信すると共に、運行管理装置100及び車上装置80から送られる列車番号情報を照合し、照合の結果、双方の列車番号情報が一致したときに、前記基本データに基づいてその列車番号情報を解析して列車進路制御信号を生成し、当該列車進路制御信号を連動装置33に伝送する制御部32Dと、を備えて構成される。
【0013】
一方、拠点駅10以外の駅20に設けられた地上装置40は、上述のものと同じ構成の中継器41A、41Bと、連動装置42に加え、列車情報装置43を備えて構成される。
列車情報装置43は、車上側から列車番号情報を受信する受信部43Aと、列車番号情報を解析するための基本データを記憶する記憶部43Bと、前記列車番号情報が受信部43Aで受信されると、前記基本データに基づいて該列車番号情報を解析して列車進路制御信号を生成し、当該列車進路制御信号を連動装置42に伝送する制御部43Cと、を備えて構成される。
【0014】
車上装置80は、列車番号情報を管理する制御部81と、制御部81及び車上子90に接続され、地上側と列車番号情報の授受を行う送受信部82と、を備えて構成される。
次に、運行整理を行う必要が生じた列車70が拠点駅10の番線1に停車し、当該列車70が列車番号情報を変更して駅20に向けて出発する場合を例にとって、本実施形態に係る運行管理システムの動作を図1を参照しながら説明する。
【0015】
まず、中央指令所の運行管理装置100は、列車70の運転整理、すなわち列車番号情報の変更が必要になると、線区内のダイヤ情報を書き換えて新たなダイヤ情報を生成すると共に、当該新たなダイヤ情報を拠点駅10の列選駅チェック装置32に送信する。尚、前記新たなダイヤ情報には、列車70のその後の運行内容を表す新たな列車番号情報が含まれている。
【0016】
制御部32Dは、受信部32Aで受信した前記新たな列車番号情報を保持する。
制御部32Dは、保持した新たな列車番号情報を、送受信部32Bを介して中継器31に送信する。
中継器31でレベルチェック等の信号処理がされた列車番号情報は、地上子61を介して車上子90に送信され、停車中の列車70の車上装置80に送られる。
【0017】
車上装置80内の送受信部82が車上子90を介して送られる前記新たな列車番号情報を受信すると、制御部81は、それまで記憶していた列車番号情報を新たな列車番号情報に書き換えて記憶する。
制御部81は、記憶した新たな列車番号情報を、送受信部82、車上子90を介して地上側に返信する。
【0018】
列選駅チェック装置32内の送受信部32Bが、列車70側から返信された列車番号情報を受信すると、制御部32Dは、列車70側から返信された列車番号情報と、運行管理装置100から送信されて保持している列車番号情報とを照合する。
照合の結果、前記2つの列車番号情報が一致していると、制御部32Dは、列車70側で新たな列車番号情報への書き換えが完了したと判断し、その列車番号情報を記憶部32Cに記憶されている基本データに基づいて解析して列車の進行を制御するための列車進路制御信号を生成すると共に、当該列車進路制御情報を連動装置33に送信する。
【0019】
連動装置33は、前記列車進路制御信号に基づいて、転てつ器121の切り換え制御や列車70が停車している拠点駅10の番線1の出発信号機111の灯色制御等を行い、列車70が前記ダイヤ情報に従って運行出来るようにする。
尚、拠点駅10で運転整理、すなわち、列車番号情報の変更の必要がない場合、列選駅チェック装置32内の制御部32Dは、車上装置80から送られ、予め記憶させてある列車番号情報に基づいて列車の進行を制御するための列車進路制御信号を生成する。
【0020】
また、列車70が拠点駅10の番線2に停車する場合の地上子62及び信号機112の動作は、上述した列車70が番線1に停車する場合の地上子61及び信号機111の動作と同じであるので説明を省略する。
出発信号機111の灯色が青になり、列車70が拠点駅10を出発し、地上子63と車上子90とが結合すると、車上装置80内の制御部81に記憶された前記新たな列車番号情報が、送受信部82、車上子90、地上子63及び中継器41Aを介して列車情報装置43に備えた受信部43Aで受信される。列車情報装置43に備えた制御部43Cは、受信部43Aで受信した列車番号情報を、記憶部43Bに記憶されている基本データに基づいて解析する。制御部43Cは、解析の結果に基づいて列車の進行を制御するための列車進路制御信号を生成し、当該列車進路制御信号を連動装置42に伝送する。
【0021】
連動装置42が、例えば、列車70が駅20の番線1側を通過するという列車進路制御信号を受信すると、番線1を通行出来るように進行方向の転てつ器122、123の切り換え制御と、場内信号機114及び出発信号機116の灯色制御を行う。
尚、駅20の地上装置40では、列車番号情報の変更は出来ないが、その他の動作については拠点駅10の場合と同様である。
【0022】
このように、列車70に搭載した車上装置80に対して、運行管理装置100で変更された列車番号情報を、地上側から通信によりオンラインで書き換えられる構成としたので、例えばダイヤの乱れによって、運行途中で列車の運行内容を変更しなければならなくなっても、列車番号情報の書き換えを容易、且つ、迅速に行える。これにより、ダイヤが乱れたときでも列車の運行整理を素早く出来る。
【0023】
また、線区内の全ての駅で列車番号情報の書き換えを可能にする構成としてもよいが、車上進路方式の利点である地上設備の簡素化に配慮すれば、本実施形態のように運転整理が可能な拠点駅10で書き換える構成とすることが望ましい。こうすることにより、拠点駅10の地上装置30だけを中央の運行管理装置100と接続すればよく、全ての駅の地上装置を中央の運行管理装置100と接続して列車70を制御する地上管理方式に比較して地上側の運行管理設備の構成を簡素に出来る。
【0024】
さらに、車上装置80が書き換えた列車番号情報を地上側に返信し、地上装置30は、列車70側に送信した列車番号情報と列車70から返信された列車番号情報とが一致したときに、列車番号情報の書き換えが完了したと判定するので、列車番号情報の書き換え動作をチェック出来、列車運行の安全性を確保出来る。
尚、本実施形態では、始発駅で行う列車番号情報の記憶もオンラインで行なうことが可能である。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、列車の運行の途中で運転整理を行わなければならなくなっても、自動で運行情報を変更出来るので、列車ダイヤが乱れた場合の運行整理に手間取る等、運行管理上の問題の発生を防止出来る。
また、拠点駅の地上装置は、列車側に送信した運行情報と、車上装置から返信された運行情報とが一致したときに、運行情報の書き換えが完了したと判定するので、列車運行の安全性を確保出来る。
【0026】
また、運行整理が可能な拠点駅のみで運行情報の書き換えを行うので、従来の地上側で運行情報を管理する方式に比べれば、地上側の運行管理設備の構成を簡素に出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の列車運行管理システムの一実施形態を示した概略構成図
【符号の説明】
10 拠点駅
30 地上装置
32 列選駅チェック装置
32B 送受信部
32D 制御部
61〜65 地上子
70 列車
80 車上装置
81 制御部
90 車上子
100 運行管理装置

Claims (1)

  1. 列車の車上装置に当該列車の運行情報を予め記憶させ、該運行情報を各駅に設置される地上装置に送信し、前記地上装置が受信した前記列車からの運行情報に基づいて前記列車の進行方向の転てつ器及び信号機を制御することにより前記列車の進路制御を行って前記列車の運行管理を行う列車運行管理システムにおいて、
    前記各駅に設置される地上装置のうち、拠点駅に設置される地上装置については、中央の運行管理装置に接続して、前記運行管理装置からの運行情報と前記列車からの運行情報とを照合しつつ、その運行情報に基づいて前記列車の進行方向の転てつ器及び信号機を制御することにより前記列車の進路制御を行う構成とすると共に、前記運行管理装置による運行情報の変更時に、当該地上装置から運行中の列車に対して運行情報を送信可能とし、
    前記車上装置が拠点駅の地上装置からの運行情報を受信した時に、前記予め記憶した運行情報を前記受信した運行情報に乗務員の操作によらないでオンラインで書き換える構成とする一方、
    前記車上装置は、前記オンラインで書き換え動作を完了した時に書き換え記憶した運行情報を拠点駅の地上装置へ返信し、当該地上装置は、送信した運行情報と前記返信された運行情報とを照合し、一致した時に書き換え完了と判定し、変更された運行情報に基づいて前記列車の進行方向の転てつ器及び信号機を制御することにより前記列車の進路制御を行う構成としたことを特徴とする列車運行管理システム。
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