JP4863088B2 - 図形に埋め込まれた情報を読み取るプログラム - Google Patents
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特許文献2では、フーリエ関数を用いて、印刷線画に、人間では認識できない細かさの分断線を用いて、情報を埋め込む技術が開示されている。
また、特許文献2の技術では、電子透かしの目的として情報が埋め込まれていることを気づかれないことにあるので、利用者が情報の在処を目視できず、情報の受け渡しに用いることには問題があった。
(1)意匠性のある図形から埋め込まれた情報を読み取ることが可能である。
(2)埋め込まれた情報が存在することを明確に示すことができる図形から、埋め込まれた情報を読み取ることが可能である。
図1は、本発明の手法を用いて情報を埋め込こんだ図形100を示している。
図形100は、意匠性のあるマークである本体部104と情報が埋めこまれている外延部106とから構成されている。
本体部104と外延部106との間には、本体部104と情報が埋めこまれている外延部106の境界がわかるように境界線105が描かれている。
本体部104は、均一な網点101(以下、平網101)が印刷されている。図形100をカメラ等で撮影して画像処理を行うときに、本体部104の平網101と境界線105が判別でるように、両者は十分な色空間上の距離がとられている。本体部104には、マークの意匠を構成する要素として線画103が描かれていてもよい。
このとき線画103と本体部104の平網101との間には十分な色空間上の距離がとられているものとする。図形の外延部106には、外延線109が描かれており、外延部106の形状が定まる。外延部106には平網107が印刷されている。
外延線109の形状は、埋め込まれる情報702により決まり、この外延線109の形状から埋め込まれた情報702を復元することができる。
まず、図形本体部の平網101の色情報を取得する。利用者は、携帯電話200の表示部221に表示された図形本体部の平網101にカーソル203を位置合わせて、決定(=撮影)ボタンを押して撮影を行い、携帯電話200は、カーソル位置から図形本体部の平網101の色情報を取得する(図2(1))。
図形の本体部104は、円形のような凸図形である。
ちなみに、凸図形とは図形内の任意の2点を結ぶ線分は、すべて図形内に含まれるような図形のことをいう。
本体部が凸図形である図形では、本体部104の一点(たとえば、重心点)から放射状に伸びる半直線110は、すべて境界線105と1点で交差する。
ここで、傾き角度「θ」と距離の値は「h」の関係について説明する。
埋め込まれる情報702は、複数の情報に分割されており、分割した情報と角度「θ」とが対応付けられている。分割情報を用いて距離の値「h」を算出する。(詳細は後述する)分割した情報から算出した「h」に「θ」を対応付けたリストを作成しておく。この「h」と「θ」のリストを用いて、図3の傾き角度「θ」の半直線110上で、境界線105の交点から距離「h」の位置に、図形の外延部が生成される。
半直線110の傾き角度「θ」と外延線109と境界線105の距離の値「h」を直交座標系で表現した図である。
ここで、フーリエ展開の展開係数列「β」(詳細は後述する)には、分割された情報が対応付けられて設定されている。
図5から図7は、埋め込まれた情報から図形外延部の外延線109を算出する式を説明する図である。
「(x(θ)、y(θ))」は、外延部106の外延線109の座標値を表現する。
「R(θ)」は、本体部104の重心から伸ばした半直線が境界線105と交差するまでの長さを示している。
「h(θ)」は、当該半直線上の外延部106の長さ(境界線105から外延線109までの距離)を示す。
「l」は、境界線105から得られる特徴長さで、外延部の幅「h」を求めるための外延の特徴値として用いる。たとえば図形本体104を囲む正方形辺の長さなどを用いる。
なお、展開計算値が負であると、外延部106が本体部104の内側に来てしまうこととなり、望ましくないので、「l」を用いて、h(θ)が常に正値となるように下駄を履かせるための値である。フーリエ展開係数値を用いて外延部106を作るときに、本体部104にくいこまないようにするためのシフト値のようなものと考えてよい。
「u」は、係数値を図形に反映するための単位値であることを示す。
「β*」は、誤り訂正符号によって符号化する処理された展開係数で、偶数の個数から構成される。なお、誤り訂正符号によって符号化する処理の詳細は、後述する。
「l0」は、予め固有に定めた正値であり、外延部の幅hがゼロとなってしまうことを防ぐために設けた値である。
なお、「l」の算出過程で図7で示す式「min(シグマ(β2iuCOS(θ)+β2i+1u
SI
N(θ))」」の算出方法は、外延部106を形づくるフーリエ関数を決めた後に、各θに対応する「シグマ(β2iuCOS(θ)+β2i+1uSIN(θ))」の値を算出して、最小値を
もとめればよい。
埋め込む情報702は、1バイトで構成されいる「αi」のバイト列である。
ここで、「j」は、埋め込まれた情報702バイト数の値が「M」バイトの時には、「0 〜 (M−1)」とする。
埋め込む情報702には、先頭に識別子701が追加される。
先頭の識別子701には、埋め込む情報702のバイト数(バイト数の値=M)などが格納される。
ここで、誤り訂正符号化処理には、よく知られたリード・ソロモン符号化処理や、BCH符号化処理を用いればよい。
なお、1バイトの情報を誤り訂正符号化処理する例を示したが、バイトが固定していれば、2バイト以上の情報を誤り訂正符号化処理してもよい。
なお、フーリエ展開の係数作成処理においては、読み取り時に入手画像から極座標の角度ゼロに相当する位相を確定することが必要とされるので展開係数「β0」と「β1」の値には、予め定めた定数を設定する。図8においては704に示されるようにβ0を(111)2、β1を(000)2と設定した例を示した。この展開係数「β0」と「β1」は、最低周波数の係数に相当するため、このように設定しておくことで情報を埋めこんだ図形から情報を取り出すときに、ローパスフィルタで最低周波数、すなわち波長が2πとなる項を取り出すことで、位相情報を復元することができる。
図8には、誤り訂正符号化ビット列703の「3」ビット(=κ値)が盛り込まれた展開係数「β2i, β2i+1」が例示されている。
なお、展開係数「β2i, β2i+1」の個数は偶数でなければならないので、必要に応じてビット値0をパディングして展開係数「β2i, β2i+1」の総数が偶数個になるようにする。
(1)判断:まず、図形が分割撮影されているか判断する。(ステップS201)
(2)画像データ合成:画像データが分割されている場合には、外延部を含む図形がひとつに構成されるように、マッチングによる合成を行う。(ステップS202)
(3)ノイズ低減:図形画像データをメディアンフィルタのようなノイズフィルタを用いて、ノイズ低減処理を行う。(ステップS203)
(4)本体部抽出:予め測定してある本体部の平網色情報に基づいて、図形画像データを走査して本体部104の領域を抽出する。あるいは、本体部の指定された位置(=カーソル203で指定された位置)から近傍探索で広げてゆき、画素をサンプリングして同一色と判断できる領域を選択してもよい。(ステップS204)
このとき、境界線105の位置情報も入手する。なお、境界線105の位置情報を入手するときには図形の本体部の平網部101の輪郭トレース403を行う。この輪郭トレース結果から得られた輪郭が右回りか左回りかを判定することで本体内部に描かれた線画か本体部輪郭(=境界線)かを識別することが出来る。
(5)本体部重心決定:本体部104の領域に対して重心計算を行って、本体部の重心座標を決定する。(ステップS205)
(6)外延部抽出:予め測定してある外延部の平網色情報に基づいて、平網部図形画像データを走査して、外延部106の領域を抽出する。このとき、外延線109の位置情報も入手する。(ステップS206)
あるいは、本体部輪郭の外部に平網部を探索し、その平網部に関して、同様の近傍走査を行うことで外延部の領域を認識してもよい。
(7)開始位置探索:先に得られた本体部重心座標から半直線を延ばして、半直線と交わる境界線105と外延線109から、外延部の厚み「h」を求めて、半直線の角度をパラメータとして表現したフーリエ展開関数にローパスフィルタをほどこすことで、最低周波(すなわち波長2πの項)の位相を求め、極座標の角度ゼロに相当する軸をその位相から設定する。(ステップS207)
(8)フーリエ展開係数決定:フーリエ展開を行って係数値を決定する。(ステップS208)
(9)ビット列形成:得られたフーリエ展開係数は、システム固有のビット長「κ」(図8ではこのκは3に設定した例を示した)によって区分されている。そこでそれらから位相確定に用いる展開係数「β0」と「β1」を除いた上で順に繋ぎ合わせたビット列を合成し、元データに誤り訂正ためのパリティビットを付加したビット長さにあわせて区分しなおす。そのようにして誤り訂正符号化ビット列703を得る。(ステップS209)
(10)誤り訂正:区分けした誤り訂正符号化ビット列703に対して、誤り訂正処理を施して、復号したビット列を生成する。(ステップS210)
(11)埋め込み情報復元:先頭の識別子から指定バイト長の値を読み出して、復号ビット列から指定バイトを切り出して、バイト列を作成して埋め込み情報701を求める。(ステップS211)
シャウダー展開式による情報埋め込みの例を説明する。
シャウダー展開式は、曲線の形状を、三角形を用いて近似してゆく手法であり、図形の一部に欠陥が生じても、欠陥による情報復元の悪影響が局所的にとどまるという効果がある。そのため、図形に欠落があっても、欠落がない図形の情報は正しく復元されるので、図形の汚れや疵に強い情報埋め込み方法である。
「ak,i」は、展開係数であり、「F」は、基底関数である。
シャウダー展開係数「ak,i」に埋め込み情報702を割り当てる手法は、フーリエ展開係数を求めたときと同様に、誤り訂正符号化ビット列703に対して、3ビット毎にシャウダー展開係数を割り当てて、展開係数「ak,i」を得る。展開係数が定まれば、図12で求めた基底関数列を用いて、図10のシャウダー展開式を求めることができる。シャウダー展開式から外延部106の形状を決めることができる。
(2)開始位置探索:開始位置としては、境界線105と並行な部分(すなわち同一厚み。たとえば、図3の外延線119を開始位置とする。(ステップS402)
(3)シャウダー展開係数算出:外延線109の形状から、シャウダー展開係数を算出409する。(ステップS403)(4)ビット列形成:誤り訂正:シャウダー展開係数から埋め込んだ情報を求めて、復元方法は、図9のステップS209からステップ211までと同様に行う。(ステップS404)
101 本体部の平網
103 線画
104 本体部
105 境界線
106 外延部
107 外延部の平網
109 外延線
110 本体部104の重心から放射状に伸びる半直線
200 携帯電話
203 カーソル
221 表示部
300 印刷媒体
701 先頭の識別子
702 埋め込まれた情報
703 誤り訂正符号化ビット列
Claims (8)
- 情報が埋め込まれた図形から、埋め込まれた情報を読み取るための情報読取プログラムであって、
前記情報読取プログラムは、カメラ部および表示部を有する携帯端末装置により実行され、
前記図形は、本体部と外延部とから構成されて、
カメラ部で撮影した図形の本体部領域を認識する本体部領域認識手段と、
カメラ部で撮影した図形の外延部領域を認識する外延部領域認識手段と、
前記外延部領域認識手段により認識された前記外延部領域に埋め込まれた情報の読み取り開始位置を設定する開始位置設定手段と、
前記外延部領域から展開係数を算出する展開係数算出手段と、
算出された展開係数を用いて埋め込まれた情報を復元する情報復元手段
として携帯端末を機能させることを特徴とする図形情報読取プログラム。 - 前記展開係数は、フーリエ展開式の係数であり、
前記開始位置設定手段は、撮影図形のフーリエ展開係数の最低周波の係数を定数として用いて、埋め込まれた情報の読み取り開始位置を設定することを特徴とする請求項1に記載の図形情報読取プログラム。 - 前記展開係数は、シャウダー展開式の係数であり、
前記図形の読み取り開始位置は、撮影した図形の本体部輪郭と平行な一定長さの外延部輪郭を有する部分を設けることによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の図形情報読取プログラム。 - 前記本体部領域認識手段は、カーソルによって指定された位置の近傍から、カメラ部で撮影した図形の本体部領域の平網部の色を入手することで、図形の本体部領域を認識することを特徴とする請求項1に記載の図形情報読取プログラム。
- 撮影する図形の分解能が十分に得られない場合に、
前記カメラ部は、図形を複数に分割して撮影し、
前記本体部領域認識手段および前記外延部領域認識手段は、それらの相対位置をパターンマッチングにより決定し、それらを合成することで撮影した図形を得ることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の図形情報読取プログラム。 - 図形の本体部の重心を算出する重心算出手段として機能することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の図形情報読取プログラム。
- 前記図形は、本体部と外延部とから構成されて、
前記本体部と外延部との間の境界は境界線が存在して、
前記本体部は、凸図形であって、
前記外延部が有する境界のうち、本体部境界とは反対側の境界は、外延線を有して、
図形の本体部領域にある点から伸ばした半直線が境界線と外延線と交わる線分の長さ情報と、開始位置からの距離情報とから、埋め込んだ情報を復元することができることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の図形情報読取プログラム。 - 前記図形の本体部が単一網パーセントによる平網で形成されて、外延部が本体部平網と識別可能な平網で形成されることを特徴とする請求項7に記載の図形情報読取プログラム。
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