JP4862571B2 - 真空用摺動部材 - Google Patents

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本発明は真空中あるいは大気中またはその両方の雰囲気で無潤滑あるいは潤滑状態の悪い環境で使用され、高い耐摩耗性と低摩擦特性を持つ摺動部材に関する。
機械の摺動部には一般に潤滑油が使われるが、超高真空下など潤滑油の使用を嫌う雰囲気ではその代替として、黒鉛、窒化ホウ素、二硫化モリブデンなどの劈開性潤滑剤、あるいは金、銀、鉛などの軟質金属が使われている。また、フッ素樹脂被膜も低摩擦材として用いられる。例えば、宇宙機器の分野では、真空中で低摩擦を示す二硫化モリブデンとステンレス鋼SUS440Cの組合せが用いられているが、大気中で高い摩擦係数を示すことと、耐久性に問題がある。また、二硫化タングステンは真空中と大気中で低い摩擦係数を示すが、耐久性の問題と、大気中でも湿度の高い雰囲気で摩擦係数が高くなるという問題がある。以上のように、これらの固体潤滑剤は摩耗しやすく、薄膜として基材に被覆した場合には、摩耗によって摺動面から除去されるとその効果がなくなるので、著しく寿命が短いという問題がある。なお、特に断らない限り、以後に述べる大気とは、通常の水分を含む組成の空気を指し、脱水空気は指さない。
一般に、大気中ではダイヤモンドやダイヤモンド状炭素(DLC)が他の材料との間で約0.1の低摩擦係数を持つことが知られており、特にダイヤモンドは古くから時計などの摺動部に使われてきた。しかしながら、真空中ではこれらの摩擦係数は大きいと言われ、前記のような固体潤滑剤が用いられてきた背景がある。
そこで、特許文献1においては、中心線平均粗さRaが0.2μm以下の鏡面近くまで研磨したダイヤモンドどうしを摺接させるようにして、水素雰囲気中、真空中、放射線被爆下といった特殊な環境での低摩擦摺動面が開示されている。また、真空中ではないが、特許文献2においては、中心線平均粗さRaが0.3μm以下表面層をダイヤモンドとしたバルブリフタとステンレス鋼、アルミニウム、銅、黄銅および鋳鉄を相手材とした動弁装置の摺動部材の組合せが開示されている。さらに、特許文献3においては、中心線平均粗さRaが0.02μm以下のダイヤモンド膜又はDLC膜を一方又は双方の摺動面に形成してリニアモータのガイドガイドウエー等に適用した例が開示されている。
特開2004−116770号公報 特開2002−070507号公報 特開2002−142434号公報
一方、宇宙観測や静止衛星等の宇宙用機器、あるいは半導体製造装置等の真空装置内で動作する機器に用いるため、真空中および大気中あるいはそれらの両方で低摩擦特性を示し、かつ耐久性の高い摺動部材が求められている。特に、真空中で使用する摺動部材は、大気環境において製造、組立てが行われ、さらに、試運転・調整についても大気環境において実施できることが望ましい。また、真空装置の起動時は大気環境下にあることから、大気中および真空中で低摩擦を実現する摺動部材が求められている。
しかし、特許文献1のように、互いの摺動面をダイヤモンド膜とすると、ダイヤモンドは非常に加工に手間がかかるので、工数やコストがかかるという問題があった。
ダイヤモンドどうしではなく、ダイヤモンドとそれ以外の摺動面間にあっては、大気中で低摩擦を示す理由として、ダイヤモンドが大気中の水分を表面に吸着し、それが低摩擦をもたらしていると言われている。また、ダイヤモンドの表面の炭素を水素終端することでも表層の炭素が安定化するため、低摩擦係数が得られる。しかしながら、真空中には水分や水素がほとんど存在しないので、初期にその表面を水分子や水素で終端したとしても、摩擦でその表面層が除去されるとその効果が無くなるので、ダイヤモンドが低摩擦を維持できないのである。
例えば、図6は乾燥空気中でのCVDダイヤモンドと軸受鋼SUJ2の摩擦係数の変化の例を示すものである。図6の縦軸が摩擦係数、横軸が摺動距離である。図に示すように、初期は摩擦係数が0.06程度であったが徐々に0.1、0.14程度と摩擦係数が上昇し、最終的に高摩擦となっている。これは、初期はダイヤモンドと軸受鋼の表面に吸着した水分や水素が摺動とともにそれらの表面から除去され、摩擦係数が上昇していくと考えられる。このように、真空中では表面の状態により、時間の経過とともに摩擦係数も変動するので、単に、大気中での摩擦係数に基づき真空中での摩擦係数を予想することはできない。
さらに、特許文献2においては、ダイヤモンドとステンレス鋼で摩擦係数0.025、アルミニウムで0.045、黄銅で0.059、鋳鉄で0.064が開示されているが、この系は基本的に潤滑油が存在する雰囲気であり、真空中を想定しておらず真空中ではどのような挙動をしめすか開示されていない。また、各組合せで低摩擦係数となることが開示されているがその低摩擦係数の順位や、最適値の有無についてまで言及されていない。また、特許文献3においては、ダイヤモンド膜、DLC膜を使用した例が記載されているが、ダイヤモンド膜、DLC膜以外の具体的な相手摺動部材については記載がない。
本発明の目的はかかる状況に鑑みて、真空中と大気中の両方で低摩擦特性を持ち、耐久性の高く、ダイヤモンドどうし等よりも加工が容易でコストの低い摺動部材を提供することである。
本発明者らは研究の結果、特許文献2に開示されてたように、ダイヤモンド膜とステンレス鋼の組合せが水中(従来技術での潤滑油中に相当)で低摩擦であることを確認したが、さらに、真空中および大気中でも低摩擦を発現することを見いだした。そして、さらに研究を進めた結果、ステンレス鋼であっても、SUS304のステンレス鋼の場合には大気中、真空中、水中で低摩擦係数となったが、同じステンレス鋼のSUS440C(当然二硫化モリブデンは含まない状態)等ではかかる現象は生じないことを発見した。そして、その原理は未だ明らかではないが、Niを含む、また、NiとCrの特定組成範囲を含む合金、めっき膜とダイヤモンド膜との組み合わせで、大気中に限らず、真空中、水中で低摩擦係数を発現できることを知得した。
かかる知得に基づき、本発明においては、基体最上層にダイヤモンドまたはダイヤモンド膜が形成された第一の摺動面を有する第一の摺動部材と、基体最上層にNiを4重量%以上、96重量%以下を含有する合金、またはめっき膜が形成された第二の摺動面を有する第二の摺動部材と、を有し、前記第一の摺動面と第二の摺動面とで摺動可能にされた真空用摺動部材を提供することにより、前述した課題を解決した。
即ち、後述する種々の実験結果より、Niを4重量%以上、96重量%以下を含有する合金、またはめっき膜を本発明のダイヤモンドを相手材とする摺動用材料とし、真空用摺動部材を提供するものとなった。前述したように、本発明の技術的背景は明確にはなっていないが、Niのみ、Crのみ、あるいはFeのみではダイヤモンドとの間で特に真空中で低摩擦を発現することはできないが、NiとFeあるいはNiとPのように合金化することで低摩擦が得られ、真空中での特性から、これらの組合せがダイヤモンドの炭素との反応性を低下させ、低摩擦係数を発現していると推定される。
また、NiとCrを組み合わせることでも低摩擦が得られることもわかり、請求項2に記載の発明においては、基体最上層にダイヤモンドまたはダイヤモンド膜が形成された第一の摺動面を有する第一の摺動部材と、基体最上層にNiを5重量%以上、65重量%以下、かつCrを15重量%以上、55重量%以下を含有する合金(但し、20%≦Ni+Cr≦98%)が形成された第二の摺動面を有する第二の摺動部材と、を有し、前記第一の摺動面と第二の摺動面とで摺動可能にされている真空用摺動部材を提供する。
CVD法で作製したダイヤモンド膜は一般に表面が粗く、相手攻撃性が強いので、それを低減するため表面を研磨して平滑にする必要がある。そこで、請求項3に記載の発明においては、前記ダイヤモンド又はダイヤモンド膜の第一の摺動面の算術平均粗さRaが0.5μm以下にされている真空用摺動部材を提供する。即ち、摺動部材としてのダイヤモンド膜表面の粗さを、実質的に鏡面研磨と同等な低摩擦係数が得られる領域、すなわち算術平均粗さRaを0.5μm以下とした。
より、具体的には、前記第二の摺動部材の基体最上層の合金を、SUS304とするのが好ましい(請求項4)。さらに、請求項5に記載の発明においては、前記第二の摺動部材の基体最上層の合金又はめっきが、SCS11、インコロイ、インコネル、Cr−Ni−Nb、Ni−Fe合金のいずれか、又はNi−Pめっきであり、真空用摺動部材であり、かつ大気用又は潤滑用の摺動部材を提供するものとなった。

本発明においては、Niを4重量%以上、96重量%以下を含有する合金、またはめっき膜を本発明のダイヤモンドを相手材とする真空用摺動部材とし(請求項1)、あるいは、Niを5重量%以上、65重量%以下、かつCrを15重量%以上、55重量%以下を含有する合金(但し、20%≦Ni+Cr≦96%)、またはめっき膜を本発明のダイヤモンドを相手材とする真空用摺動部材とし(請求項2)、大気中に限らず、真空中、水中で低摩擦係数を発現し、耐久性も高い真空用摺動部材となったので、真空中で使用する摺動部材であっても、大気環境において製造、組立てができ、試運転・調整についても大気環境において実施でき、製造、組立、検査が容易なものとなった。また、真空装置の起動時にあっても大気環境下で可能であり、大気環境下、真空環境下を特に意識することなく取扱等の容易なものとなった。さらに、本発明の摺動部材は、湿潤状態から乾燥状態までの大気中および真空中で低摩擦を必要とする宇宙・航空機器、真空装置、地球環境の真空中で稼動する機器等の様々な分野への応用が広がるものと期待される。
また、ダイヤモンド表面の算術平均粗さRaを従来より比較的広い0.5μm以下とできるので、研磨等で容易に加工でき、製作も容易なものとなった。
より、具体的には、SUS304(請求項4)としたので、容易に購入でき、耐食性、耐候性も有しているので、取扱も容易で加工もし易いものとなった。さらに、請求項5に記載の発明においては、SCS11、インコロイ、インコネル、Cr−Ni−Nb、Ni−Fe合金のいずれか、又はNi−Pめっきであり、これらは入手も容易で安定した品質の摺動部材を提供できる。
本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は(a)はダイヤモンド被覆円板の相手材に球を用いた場合のボールオンディスク試験装置の概略断面図、(b)は概略平面図である。図1に示すボールオンディスク試験装置1は、凹状の受け皿2内に、保治具3を設け、保治具上に球(ボール)又はピンにされた第二の摺動面と同一材料の第二の摺動部材4が固定されている。図示しない支柱に回転自在に回転軸5が保治具3中心軸Cと同心にかつ対向して設けられており、回転軸5にダイヤモンドが被覆された第一の摺動面であるダイヤモンド被覆円板部材6がナット7により回転軸5先端に同軸に取り付けられている。本装置1は真空装置内に置かれ、真空中、大気中および水中で試験を実施することができる。使用に当たっては、真空、大気および水中等の所定の環境中で、受け皿2を上昇させ、ダイヤモンド被膜部材6に球またはピン4を所定荷重で押し当てながら回転軸5を回転させ、その時の発生トルクを測定することにより摩擦係数を測定するようにされている。水中では、受け皿2内に水を供給し、ダイヤモンド被覆円板部材6と球又はピン4の接触部を水没させて行う。
かかる装置を用いて、大気中、真空中、水中での各種材料の摩擦係数を測定した。表1は、本発明および比較例のピンオンディスク試験又は球(ボール)オンディスク試験による大気中、真空中および水中での摩擦係数を測定した結果である。ボールの場合は直径6mmのボールを半径15mmの円周上に3カ所等分に配置し、200Nの荷重を与えた。また、ピンの場合は先端半径2mm、全長10mmのピンを1本のみ取り付け70Nの荷重を与えた。また、回転数は20rpmとし、53分かけて100mまで摺動し、その間の平均摩擦係数を調べた。試験は大気中と5×10-4Paの真空中で行い、一部の試料については水中で試験を行った。ダイヤモンド被覆円板部材には、直径37mm、厚さ7mmの超硬合金(WC−6%Co)基板を用い、その表面に熱フィラメントCVD法により厚さ15μmのダイヤモンド膜を被覆した後、低摩擦を得るため、ダイヤモンド膜を研磨して算術平均粗さRaを0.5μmに仕上げしたものを用いた。
Figure 0004862571
表1に示すように、本発明品であるステンレス鋼SUS304の球、ステンレス鋼鋳鋼品SCS11、Incoloy 825、Inconel 625、合金50Cr‐50Ni‐Nb、合金5Ni‐Fe、合金20Ni‐Fe、Ni−Pめっきのピンを用いて測定した。また、比較例として、ステンレス鋼SUS440C、軸受鋼SUJ2、ニッケル(Ni)の球、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)のピン、アルミニウム合金A5052、炭化珪素(SiC)、窒化珪素(Si34)の球等の各種合金、金属、およびセラミックスとダイヤモンドの間の大気中および真空中における摩擦係数をピンオンディスク試験装置で調べた。
表1によれば、本発明品は、全て、NiまたはNiとCrを所定量含有する合金であるのに対し、比較例は、純Ni、純Crを除き、Ni又はNi及びCrを含有しない合金又はセラミックスである。即ち、本発明品は、ダイヤモンドとの摺動において、大気中および真空中の両方で摩擦係数が0.1以下の低摩擦を示し、大気中と真空中との差もほとんどない。これに対し、比較品は全て、大気中では0.1以下の良好な低摩擦係数を示すものの、真空中では0.1以上の摩擦係数となっている。かかる現象は本発明者等が初めて発見したものである。特に、Cr単体では、大気中でも0.1の摩擦係数を有していながら、Niとの合金とすることにより、大気中、真空中でも0.1未満の低摩擦を得られることを見いだした。また、Ni単体では、真空中では摩擦が大きくなるのに対し、合金とすることにより、低摩擦となる。以上のように、NiまたはNiとCrを含有する合金が特定の成分範囲で、大気中と真空中の両方で低摩擦特性を示すことが明らかとなった。
なお、Niはある程度含有されていることが必要で、かつ、多量に含まれても摩擦抵抗が大きくなる。そこで、本発明においては、実施例から推測して、Niを4重量%以上、96重量%以下を含有するものとした。また、Ni−Cr合金にあっては、同様に、Niを5重量%以上、65重量%以下、かつCrを15重量%以上、55重量%以下を含有する合金(但し、20%≦Ni+Cr≦98%)とした。より好ましくは、Niを5重量%以上、20重量%以下、Ni−Cr合金にあっては、同様に、Niを6重量%以上、60重量%以下、かつCrを18重量%以上、47重量%以下を含有する合金(但し、26%≦Ni+Cr≦97%)がよい。なお、湿潤雰囲気の極限である水中では予想されたとおり、調査したいずれの組合せも低い摩擦係数となった。
次に、本発明品であるCVDダイヤモンドの他に、等方性黒鉛(Graphite)とDLCについてもステンレス鋼SUS304を相手材として、真空中と大気中で摩擦試験を行った。図2は、ピンオンディスク試験による、炭素材料とSUS304の真空中と大気中での摩擦係数の摺動距離(Sliding distance)による変化を示すグラフであり、(a)は本発明品であるCVDダイヤモンドとSUS304、(b)は比較例である等方性黒鉛(Graphite)とSUS304、(c)は比較例であるDLCとSUS304を示すグラフである。
図2(a)に示すように、本発明品では、大気中、真空中とも低く、安定した摩擦係数であるのに対し、比較例(b)(c)では、真空中での摩擦係数が高く、図2(b)の等方性黒鉛では大気中でも0.1〜0.2程度の比較的大きな摩擦係数であり、真空中では、変化が激しく不安定で0.5〜0.6という大きな摩擦係数となる。また、図2(c)のDLCの場合は、大気中では0.1以下であるが、真空中では0.4と大きな摩擦係数となった。このように、同じ炭素原子であっても、真空中ではダイヤモンド膜が非常に安定していることがわかる。
次にダイヤモンド膜に対して相手部材を代えた場合の真空中と大気中で摩擦試験について述べる。図3はピンオンディスク試験装置による、本発明品であるダイヤモンド膜と相手部材の真空中と大気中での摩擦係数の摺動距離(Sliding distance)による変化を示すグラフであり、(a)はCVDダイヤモンド膜と二相系ステンレス鋼、(b)はダイヤモンド膜とインコロイ825、(c)はダイヤモンド膜と5Ni‐Feを示すグラフである。また、図4はピンオンディスク試験装置による、比較例である(a)はCVDダイヤモンド膜とステンレス鋼SUS440C、(b)はダイヤモンド膜と軸受鋼SUJ2、(c)はダイヤモンド膜とNiを示すグラフである。
図3に示すように、本発明品では、大気中、真空中とも低く、安定した摩擦係数であるのに対し、図4の比較例(a)のSUS404では、大気中は0.06程度の摩擦係数にた対し、真空中では徐々に摩擦係数が上がり、0.1〜0.2と摩擦係数がやや高く、変動も大きい。前述した図2(a)のSUS304に比べても真空中では全く異なる性能となっている。図4(b)のSUJ2では大気中では0.05程度と低摩擦であるが、真空中では、急激に摩擦係数0.3程度に上がる。また、図4(c)のNiでは、大気中でも比較的安定しておらず、真空中では不安定状態で徐々に摩擦係数が大きくなっている。元々Ni自体は摺動材料というよりも耐摩耗性、耐食性、耐候性材料であって、かかる材料を含む合金が真空中で安定した低摩擦係数を得られることは予想できなかったことである。
図5にはダイヤモンド膜の表面粗さを変えてSUS304と大気中で摺動した場合の摩擦係数の変化を示す。図5に示すように、Ra=0.07、0.49では、摩擦係数が0.05程度であるのに対し。Raが0.55、0.67、0.68と大きくなるに従って、摩擦係数が0.1より大きくなる。Raが1.15となると、摩擦係数は0.3〜0.4と大きくなり、変動も大きい。従来例ではRaが0.02〜0.3程度までであったが、本発明では、相手部材にNi又はNiとCrを所定の値含むようにしたので、Raが0.5と比較的大きな値であっても、低摩擦で安定した摩擦係数を得られることがわかる。また、加工も簡単になり、早くできる。
本発明の試験の実施に用いた(a)はダイヤモンド被覆円板の相手材に球を用いた場合のボールオンディスク試験装置の概略断面図、(b)は概略平面図である。 図2は、ピンオンディスク試験装置による、炭素材料とSUS304の真空中と大気中での摩擦係数の摺動距離(Sliding distance)による変化を示すグラフであり、(a)は本発明品であるCVDダイヤモンドとSUS304、(b)は比較例である等方性黒鉛(Graphite)とSUS304、(c)は比較例であるDLCとSUS304を示すグラフである。 ピンオンディスク試験装置による、本発明品であるダイヤモンド膜と相手部材の真空中と大気中での摩擦係数の摺動距離(Sliding distance)による変化を示すグラフであり、(a)はCVDダイヤモンド膜と二相系ステンレス鋼、(b)はダイヤモンド膜とインコロイ825、(c)はダイヤモンド膜と5Ni‐Feとの組合せについての大気中および真空中での摩擦係数の摺動距離による変化を示すグラフである。 ピンオンディスク試験装置による、比較例である(a)はCVDダイヤモンド膜とステンレス鋼SUS440C、(b)はダイヤモンド膜と軸受鋼SUJ2、(c)はダイヤモンド膜とNiとの組合せについての大気中および真空中での摩擦係数の摺動距離による変化を示すグラフである。 ダイヤモンド膜の表面粗さを変えてSUS304と大気中で摺動した場合の摩擦係数の変化を示すグラフである。 比較例の乾燥空気中でのCVDダイヤモンドと軸受鋼SUJ2の摩擦係数の変化の例を示すものである。
符号の説明
4 球又はピン(第二の摺動部材)
6 ダイヤモンド被覆円板部材(第一の摺動部材)

Claims (5)

  1. 基体最上層にダイヤモンドまたはダイヤモンド膜が形成された第一の摺動面を有する第一の摺動部材と、基体最上層にNiを4重量%以上、96重量%以下を含有する合金、またはめっき膜が形成された第二の摺動面を有する第二の摺動部材と、を有し、前記第一の摺動面と第二の摺動面とで摺動可能にされていることを特徴とする真空用摺動部材。
  2. 基体最上層にダイヤモンドまたはダイヤモンド膜が形成された第一の摺動面を有する第一の摺動部材と、基体最上層にNiを5重量%以上、65重量%以下、かつCrを15重量%以上、55重量%以下を含有する合金(但し、20%≦Ni+Cr≦98%)が形成された第二の摺動面を有する第二の摺動部材と、を有し、前記第一の摺動面と第二の摺動面とで摺動可能にされていることを特徴とする真空用摺動部材。
  3. 前記ダイヤモンド又はダイヤモンド膜の第一の摺動面の算術平均粗さRaが0.5μm以下にされていることを特徴とする請求項1又は2記載の真空用摺動部材。
  4. 前記第二の摺動部材の基体最上層の合金が、SUS304であることを特徴とする請求項2又は3に記載の真空用摺動部材。
  5. 前記第二の摺動部材の基体最上層の合金又はめっきが、SCS11、インコロイ、インコネル、Cr−Ni−Nb、Ni−Fe合金のいずれか、又はNi−Pめっきであることを特徴とする請求項1又は2又は3に記載された真空用摺動部材であり、かつ大気用又は潤滑用の摺動部材。
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