JP4861070B2 - 秤量装置のケース - Google Patents

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Description

本発明は秤量装置に係り、特に秤量装置の内部機構を収納し、秤量装置としての外観を構成するケースの構造に関する。
秤量装置のうち特に電子秤と称される秤量装置は、ロードセル式秤、静電容量式秤、電子天秤と通称される電磁平衡式秤等の幾つかの形式のものがある。何れの形式の電子秤であっても秤量装置としての性能を安定させるためには外気温度の変化などの温度的外乱の外に、静電気や電磁波等の電磁気的外乱に対して十分な対処がなされている必要がある。特に電子平衡式秤は他の形式の電子秤に比較して分解能が高く、このため上記の外乱の影響も相対的に大きくなる。
上記の外乱のうち温度的外乱に対しては温度変化を測定してソフト的に温度補正を行う方法も広く実施されているが、要するにケース内の秤量機構に対する外気温度変化の影響が少なければその分温度外乱に対する対策は容易となる。
また電子秤は何れの形式のものも小型化、高性能化が要求され、内部機構の小型化が進み、小型化に伴って秤量装置としての熱容量が減少する。この結果熱変化に対する急峻な応答による表示の不安定の問題が発生し、内部機構の装着等にもそれなりの工夫を凝らす必要が生じている。
以上の点を考慮しながら現時点での秤量装置のケース、特に電子秤のケースについて考察する。
電子秤のケースは荷重の計測を行う機構(以下「質量センサ」とする)を取り付けかつこの質量センサを安定的に保持するに足る剛性(物理的強度)を得ることと、静電気、電磁波等の電磁的影響を防止する観点から分解能が数十万分の一以上の高分解能となる製品では一般に金属ケースが採用されている。
図6は従来の電子秤のケースの一般的な構成を示している。即ち質量センサを収納しかつ電子秤50の外観を決定するケースは上ケース51aと下ケース51bとから成り、上ケース51aを挿通する軸52aに秤量皿52が接続し、秤量皿52上に載置された計測対象物の荷重が軸52aを介して下ケースに取り付けられた質量センサに伝達されるよう構成されている。
上記従来構成の電子秤のケースは上述の理由により金属製となっており、特にアルミダイカスト製品が利用されることが多い。アルミダイカストとすることにより成形の自由度が高まり、このため製品の外観を自由にデザインすることができ、電子秤の商品性を高めることができる。しかし、アルミダイカストは高価であり、上下ケースをアルミダイカストで構成する製品は自ずと高価格帯の製品に偏らざるを得ない。
このような観点から合成樹脂製のケースの製品も提供されている。しかし合成樹脂製の製品はそのままでは強度的に問題があり、ケース内に金属板を補強材として取り付けたり、電磁気的外乱から内部機器を防御するためケース内部を金属等の導電性のある材料を塗布、蒸着する等の必要がある。このためケースを合成樹脂製としても結局アルミダイカストと大差の無い価格となってしまう。またケースの製造工程が増加すること、複合材化された部品では廃棄時にコストがかかる問題もあり、製造時間、製造価格或いは廃棄時の廃棄処理等の上からも問題である。
次に電子秤の熱的影響に対する対策の観点からケースの構成を考察する。
電子秤、特に高分解能の電磁平衡式電子秤にあっては、質量センサ部の熱平衡をいかに取るかが電子秤の性能を決める重要な因子となる。
例えば上述のアルミダイカストによるケースでは、アルミニウムの高い熱伝導率によって、ケース外部の温度変化が内部の質量センサを始めとする内部機器に対して高効率で伝達されてしまう。この結果ケースに取り付けられた質量センサはこの温度変化をまともに受け、電子秤の安定性が悪化してしまう。
この熱的な影響は電子秤の実際の使用上も大きな問題とる。
電磁平衡式電子秤を始めとする電子秤は通常、電子秤が安定して配置可能な対象(図6において符号53で示す)に載置される。例えば石テーブル、補強された金属机、重作業用テーブル、まれにはコンクリート製床面に足コマを介して直接置かれることもある。
電子秤は上述の載置対象に載置されかつ自身はこの載置対象の上部空間に至近距離で位置することになる。電子秤の載置対象はその構成上熱容量が大きく、一方載置された電子秤が占める空間部分はこの載置対象に比較して極端に熱容量が小さい。このため空間部の温度が変化しても載置対象自体の温度変化は非常に緩やかであり、例えば空間部の温度変化が急激な場合には空間部と載置対象は短時間で大きな温度差を有してしまう。
例えば夏場等の冷房を入れる季節において、冷房を入れると空間部の温度は急激に降下するが、大きな熱容量を有する載置対象53は冷房前の室温に近い温度を保持するため、空間部と載置対象の温度差が10℃以上となってしまうことがある。図6で示す電子秤の上下のケース51a、51bをアルミダイカストで構成してあると、主として上ケース51aは室温を内部機構にほぼそのまま伝達し、かつ載置対象53側に位置する下ケース51bはこの載置対象53の熱をほぼそのまま伝達してしまうことになる。この結果内部の質量センサの上部及び下部においてその温度差が室温と載置対象53の温度との温度差に近い値で相違してしまい質量センサの感度ドリフトの維持が困難となる。
以上の観点から、発明者等は「課題を達成する手段」の項で具体的に記載するように、上ケースはアルミダイカスト等の剛性、成形性の良好な方法、材料により構成し、かつこの上ケースにより電子秤としての外観がほぼ特定されるよう構成し、要すれば内部機構はこの上ケース側に取り付け、下ケースは上ケースの下部開放空間を覆う蓋体として構成し、かつ下ケースは熱伝達率の低い材料により構成し、上ケースと下ケースの接続部を工夫することにより製造工程数の増加や部品点数の増加を防止し、さらにケース内に水分や塵等が侵入しない防塵、防水機能を持たせるよう構成した秤量装置のケースを提案しようとするものである。
このような発明者らの提案事項に対しては先行技術として以下の特許文献に示される技術がある。
特開平6−341888 特開2005−140625 特開2005−291765
上記特許文献のうち、特許文献1には上ケース側に秤量機構であるロードセルが取り付けられている構成、及び下ケースは上ケースに対して一種の蓋として上ケースに取り付けられる構成が示されている。しかし、この技術はあくまでも秤の製造工程の簡略化が目的であってその目的が本願発明と異なるため、下ケースと上ケースの取り付け構造、温度変化に対する上ケースと下ケースの機能などの点については当然のことながら技術的考慮がなされていない。
特許文献2及び3は本願出願人が先に提案した発明である。このうち特許文献2に記載の発明は、ケース内の防水性や防塵性を向上させることを目的としている点において、本願発明と技術的解決事項の一部が共通であるが、温度変化に対する対策等の技術目的は持たず、その構成も異なる。更に特許文献3は機構部を収納する内ケースとこの内ケースを支持する外ケースが全て一体で構成され、本願の下ケースに相当するものが存在しない。この構成は内部機構の防湿、防塵に極めて有効であり、製品としての外観もユニークなものとすることができる等の特徴があるが、温度変化に対する対応という点を考えると、ケースの構成材料によってはその対応が必ずしも十分でなくなる可能性もある。
以上の点から、電子秤を中心とする秤量装置のケースにおいて、アルミダイカストによるケースはケースとしての剛性、電磁気的影響の低減、製品外観を決定する成形性という点では非常に良好であるが、反面高価であり、かつ特に下ケースにおいては電子秤外部の熱をケース内部に伝えやすく、この結果質量センサを始めとする内部機構が熱的外乱により不安定になり易いという問題がある。
また合成樹脂製のケースは、特に高分解能を要求される電子天秤に利用される場合は、事後的にケースの補強や、導電処理を行う必要があるなど製造工程が増え、価格的にはアルミダイカスト製に対して高い優位性をもっているとは言えず、性能的にはアルミダイカスト製に劣る場合も少なくない。
本発明は上記課題を解決するために構成されたものであって、上ケースと下ケースとから成り、上ケースはケース全体としての剛性を保持するようアルミダイカスト等より強固かつデザインの自由度をもった方法により構成され、他方下ケースは上ケースの下部開放空間を覆う蓋体として構成され、かつステンレス等の熱伝達率の比較的低い材料により構成され、上ケースの下端縁のほぼ全周には嵌合溝が凹設され、下ケースはケースの四辺が上方に立ち上がって壁面となり、当該壁面の上端周縁が前記上ケースの嵌合溝に嵌合することにより一体的なケースとなるよう構成されたことを特徴とする秤量装置用ケースである。
上ケースに対して予め形成された嵌合溝に下ケースの側壁上端を嵌挿するだけで、上下両ケースはそのまま位置決めされて一体化し、以後ネジ止めする等の固定手段によって容易に気密度の高い秤量装置のケースが構成される。
また、上ケースはアルミダイカスト等により高い剛性を有し、かつ高いデザインの自由度をもって構成され、下ケースは熱伝達率の低い材料により上ケースの下部開放空間に蓋をするよう構成されているため、アルミダイカスト等の高価な部分は上ケースのみとなり、製品としての高いデザイン性を保持したままケース全体の製造費用を低減することが可能となる。
さらに、上ケースと下ケースは上ケースに形成された嵌合溝によって係合するため、上下両ケースの密閉度が高く、ケースとして高い防水性、防塵性を発揮することが可能となると同時に、電子秤の設置環境として影響の大きな床からの熱伝導を断熱性のある下ケースにより遮断することが可能となる。
上ケースはアルミダイカストにより高い剛性と、良好なデザイン性を以て構成し、下ケースは熱伝導性の低い材料により形成することにより秤量装置の載置対象からの熱的影響を防止するよう構成する。
図1及び図2は本発明の第1の実施例を示す。
同図は、電磁平衡式秤量装置或いはロードセル式秤量装置等の電子秤のケースとして好適なケースを示している。
符号1は上ケース、符号2は下ケースであって、この上ケース1に対して下ケースを固定することにより秤量装置全体を構成するケースが形成される。
このうち、上ケース1は、ケース全体の剛性を保持するよう構成され、かつ下ケース2はこの上ケース1の開放部に対して蓋をする蓋体としての機能を有するよう構成されている。
これら上下のケースのうち、先ず上ケース1の構成について説明する。
上ケース1はアルミダイカスト等により一体的に形成され、電子秤として必要な、秤量皿配置面1a、液晶ディスプレイや入力部等を配置する表示・入力部配置面1b等が予め形成されている。符号3はこの表示部・入力部配置面1bに取り付けられた液晶表示面やテンキー入力面等を有する表示・入力部である。
上ケース1は図示の構成からも明らかなとおり、底面を除き一体的に形成されたケース外面のほぼ全体を有しており、秤量装置の外形に関しては恰も上ケース1が乗用車のボディー部分であり、下ケース2が当該ボディーの下面(フロアパン部分)であるのと同様な関係にあり、上下のケースの関係では上ケース1の形状がその秤量装置の外形的特徴となるような関係にある。
このような上ケース1はアルミダイカストで構成することにより高いデザインの自由度を保持し、製品の外形的特徴を発揮することが容易である。またアルミダイカストは高い剛性を持たせるための設計、製造が可能であるため、後述するように一体化されたケースにおいてケース全体としての剛性の殆どをこの上ケース1が担うよう構成することが可能である。
このように構成された上ケース1はその下部が開放された構成となっており、かつ上述のように高い剛性を有しているため、この開放空間を介して秤量装置の機能的中心を成す質量センサ4や電子回路(図示せず)等の電子秤を構成する部材は全て上ケース1側に取り付けられる。
図2は質量センサ4が上ケース1側に取り付けられ、かつこの上ケース1により吊り下げ支持されている状態を示す。図中符号5は秤量皿、符号6は秤量皿5を支持し秤量皿5上の計測対象の荷重を質量センサ4側に伝達する軸である。なお、電子秤を支える脚部として機能する3点以上の支持部は、剛性のある上ケースから延垂された構成とすることで、ケースの底面支持を含むケース全体の剛性が維持される。
次に下ケース2の構成について説明する。この下ケース2は例えばステンレス板(SUS304等)を絞り加工して4辺に壁面を有するよう構成する。別の実施例を示す図5を用いて下ケース2の構成を説明すると、下ケース2は平面部2eを囲うようにして、その4辺に壁部2a、2b、2c、2dが立設するよう一体的に絞り加工されている。また符号2f、2gで示される凸部、つまり下ケース2の裏面から見れば凹部は、前脚7(図1参照)が位置する部分(以下「前脚配置部」とする)である。
なお図5に示された下ケース2においては壁部2a、2cに対して壁部2bの高さが低く構成され、かつ壁部2a、2cの後端はこの壁部2bに向かって斜めにカットされた構成となっているが、この構成は下ケースの構成上必然的な形状ではなく上ケースをデザイン的に処理した結果である。従って上ケースとの関係において決定されることではあるが、下ケースの四辺の壁部を全て同じ高さに立ち上げた略弁当箱型に形成する等、その形状は自由に設定することができる。また下ケース2に対して前述のようにコーナー部を共有する壁部2a〜2dを設けることで、下ケース2に対して部品レベルで必要となる最低限の剛性を持たせることができる。
また、本実施例において下ケース2をステンレス材により形成したのはアルミダイカストの上ケース1に比較してこの下ケース2の熱伝導率を低く設定でき、前述のように秤量装置の載置対象と空間部との温度差による内部機構を影響を小さくできるからである。従って、アルミダイカストを構成するアルミニウムに比較して低い熱伝導率を有する材料であればステンレスに限定する必要はなく、他の金属或いは合成樹脂の成形品であってもよい。特にケース全体の剛性の殆どは上ケース1により保持されるため、比較的剛性の低いプラスチックス等の利用も可能である。因みにアルミニウムとステンレスとの熱伝導率を比較すれば、アルミニウムの熱伝導率〔W/(m・k)〕は200以上、ステンレス鋼は10若しくはそれ以下であり、ステンレスはアルミニウムの熱伝導率の20分の1以下である。
次に上ケース1と下ケース2の接合状態について説明する(後述する図3の構成も併せて参照)。
上ケース1の下部端縁にはその全周に渡って溝(嵌合溝)が凹設されている。各壁部2a乃至2dで囲われた下ケース2の平面形状は上ケース1と同じ形状となっているため、下ケース2の各壁部2a乃至2dの上部端縁は下ケース2を上ケース1と同じ位置配置することにより上ケース1の嵌合溝2と一致し、下ケース2を上ケース1側に押し込むことにより下ケース2の各壁部の上端縁は嵌合溝1cの底部に当接するまで嵌合溝1c内に進入する。つまり下ケース2を上ケース1に合わせるだけで下ケース2と上ケース1とは極めて容易に一体化することができる。
上下のケース1、2が一体化したならば、上ケース1内部に突設されたネジ用ボス8a、8bに対して下ケース2の外側からネジ9a、9bを挿通螺合し、このネジ9a、9bにより下ケース2を上ケース1側に固定する。次に下ケース2の前脚配置部2f、2gに下端部が当接し、かつネジ穴が前脚配置部2f、2gの開口部と一致するよう構成した脚螺合用ボス11に対して、下ケース1の外側から雄ねじ部7aを挿入してこの脚用ボス11のネジ穴と螺合させることにより、前脚7をこの脚螺合用ボス11に螺合接続する。
一体化されたケースは、一対の前脚7と、上ケース1の後部下端に突設された後脚1dとの3点で支持される構成となっており、従って前脚7は脚螺合用ボス11に接続し、また後脚1dは上ケース2に直接形成されることによってケース全体を含む秤量装置の全重量が上ケース2により支持される構造となっている。即ち、下ケース2はあくまでも上ケース1を密閉する蓋体としての機能を果たすものであり、下ケース2は基本的にはケース全体の剛性には寄与する必要はない。従って、下ケース2は熱的には低伝導性を有し、かつ前述の電磁気的特性を有していればその材料の如何を問わず構成が可能である。
また各脚部の構成については、一体化されたケースを含めた秤量装置全体が一対の前脚7と一点の後脚1dの合計3点で支持されるため、前脚7のダイヤル部分を回転させることにより各前脚7の高さをそれぞれ調整して、電子秤全体の水平度を容易且つ微妙に調節することが可能となっている。
次に図3(A)乃至(C)は嵌合溝1cにおける上ケース1と下ケース2との嵌合状態を示している。この構成では上ケース1の嵌合溝1c底部(図示の位置では溝の最上部)にはウレタンゴム或いはこれと同効の材料からなるパッキング12が設けられており、下ケース2の壁部上端縁はこのパッキング12に強く当接することにより上下のケースは高い密閉度で一体化され、ケースとしての防湿・防塵効果が十分発揮できるようになっている。但し、発明者等による製品の実験においてはこのようなパッキングを用いなくとも下ケース1の壁部上端が嵌合溝1c底部と当接するだけでケースとして、かなり高い密閉性を確保できることを確認している。
なお図3(A)及び(C)は嵌合溝1cを構成する溝両側の堰堤部のうち上ケース2の外側の堰堤部が内側の堰堤部よりも高く構成されている。この構成は上ケース1のデザイン的処理の結果でもあるが、上ケース1の外側の堰堤部をより高くしておけば、ケース全体の外観をほぼ上ケース1で覆うことができる共に、ケース外側からの湿気や塵埃の侵入をより困難することができる。なお図1におけるL1は嵌合溝1bの底部とこのこの嵌合溝1dに当接する下ケース2の壁部上端縁を示し、実線で示すL2は嵌合溝1のケース内側の堰堤部の端縁(下端縁)を示し、L3は嵌合溝1のケース外側の堰堤部の端縁(下端縁)を示している。因みに図示の構成では符号L2で示す嵌合溝1のケース内側の堰堤部の高さは上ケース1の全周に渡って同じ高さに構成されている。
図4は本発明の第2の実施例を示す。
図4(A)はこの実施例の第1の構成を示す。この構成では下ケース2の壁部の上端は断面略U字型に屈曲され、壁部の頂部であるU字部の底部が上ケース2の嵌合溝1cの底部に当接するよう構成されている。またU字部の形成幅は嵌合溝1cの幅よりもやや大きく形成しておき、この状態でU字部を嵌合溝1cに挿入すれば、嵌合溝1c内でU字部は自己の弾性により当該嵌合溝1cの側壁部に弾発密着し、上ケース1と下ケース2を一体化した時に、ケース全体の密閉度を高めることができる。
図4(B)の構成は前記(A)の構成の変形例である。この構成では嵌合溝1cは底部に向かうほどその幅が小さくなるよう断面略三角形に形成され、この嵌合溝1cの断面形状に対応して下ケース2の壁部上端もこの嵌合溝1cの断面形状に対応した断面略三角形に屈曲形成されている。この構成の場合も屈曲部の三角形の形状を嵌合溝1cの断面形状の三角形に対して、頂角をやや大きめに、即ちやや外開きに形成しておけば屈曲部を嵌合溝1c内に嵌挿した時に、屈曲部が嵌合溝1cの壁面に対して弾発し、両者は密着する。
また屈曲部及び嵌合溝1cを断面略三角形にすることにより、(A)の構成のように嵌合溝1cとほぼ同じ幅の屈曲部をこの嵌合溝1cに挿入する場合に比較して、先細の屈曲部を嵌合溝1cの幅広の開口端に配置するのはより容易となり、下ケース2の取り付けがより容易となる。なお、図4(A)及び(B)共に図の左側がケースの外側、右側がケースの内側となる。
図5は第3の実施例を示す。
図中符号13は下ケース2の平面部2eに立設された仕切壁であって、図示の構成では13a、13b、13cの3枚の仕切壁が立設されている。なお、この仕切壁13a乃至13cを予め一体的に成形し、この一体型仕切壁を平面部2eに取り付けることももとより可能である。
上記のように下ケース2に仕切壁を設けることにより、上下のケースを一体化した時に、ケース内を例えば、質量センサを中心とした秤量機構室、電気的な基板を収納した基板室、重量表示や各種入力を行う表示・入力部室等のように区画する。電気基板は質量センサに比較して大きな熱量を発生し、この熱により質量センサの磁束密度が変化する等の影響があるが、発熱量の異なる部品を予め区画しておけば各部品における急激な温度差による質量センサの精度低下等の悪影響を防止することができる。
なお、仕切壁13はケース内の空間を単に区画するだけであり、ケースの支持材としての機能は持たないため、この仕切壁13を構成する材料は伝熱性の低い材料であればあまり高い強度は必要ない。従って広範な種類のプラスチック材料も使用可能である。また下ケース2の平面部2eに対する取り付けも、例えば平面部2eに凹設された溝部に下ケース13の下端縁を嵌挿したり、接着剤で平面部2eに固定する等、取り付け手段に限定はない。
次に、技術的には仕切壁13は上ケース1に対して形成することも可能であるが、仕切壁13の全てを上ケース1に形成することは次の理由により最適なものではない。
先ず、仕切壁13をアルミダイカストで構成される上ケース1側に形成すると、上ケース1の形状が複雑となり、同時に上ケース1の深さ(高さ)よりも仕切壁の高さが高くなって、ダイカストとしての成形が困難或いは不可能となってしまう。更に仕切壁の素材が熱伝導率の非常に高いアルミニウムであるため、仕切り壁13は上ケース1の熱を秤量装置内部に伝熱する伝熱フィンとして作用してしまい、内部の質量センサの熱分布が不均一となってしまう。このため本来高い断熱性を要求される仕切壁としてはアルミニウムは適当ではなく、仕切壁の少なくとも一部は下ケース2側に形成するのが妥当である。
以上、本発明を主として電子秤用のケースの場合を例に説明したが、内部に秤量機構を有する構成の秤であれば機械式秤等にも本発明は利用可能である。
本発明の第1の実施例を示す電子秤の縦断面図である。 図1のA−A線による断面図である。 (A)は図1のD部拡大図、(B)は図1のB−B線による断面図、(C)は同C−C線による断面図である。 本発明の第2の実施例を示し、(A)は下ケースの壁部上端を略U字型に屈曲形成した状態の上ケースと下ケースの嵌合状態を示す断面図、(B)は上ケースの嵌合溝と下ケースの屈曲部を断面略三角形に形成した状態の上ケースと下ケースの嵌合状態を示す断面図である。 本発明の第3の実施例を示し、仕切壁を形成した状態の下ケースの斜視図である。 従来構成の秤量装置のケース側面図である。
符号の説明
1 上ケース
1a (上ケースの)秤量皿載置面
1b (上ケースの)表示部取り付け面
1c (上ケースの)嵌合溝
1d 後脚
2 下ケース
2a、2b、2c、2d (下ケースの)壁部
2e (下ケースの)平面部
2f、2g (下ケースの)前脚配置部
3 表示・入力部
4 質量センサ
5 秤量皿
6 軸
7 前脚
8a、8b ネジ用ボス
9a、9b ネジ
11 前脚螺合用ボス
12 パッキング
13 仕切壁

Claims (7)

  1. 上ケースと下ケースを一体化することにより電子秤を始めとする秤量装置のケースとして構成されるものであって、上ケースには秤量装置の内部機構が取り付けられ、かつ上ケースは秤量装置全体の荷重を支持するよう構成され、下ケースは上ケースの下部開放空間を密閉するようにして当該上ケースに取り付けられるよう構成した秤量装置のケースにおいて下ケースは上ケースの構成素材よりも熱伝導率の低い材料により構成されていることを特徴とする秤量装置のケース。
  2. 上ケースはアルミダイカストにより構成され、下ケースは当該アルミダイカストの構成素材であるアルミニウムよりも熱伝導率の低い材料により構成されていることを特徴とする請求項1記載の秤量装置のケース。
  3. 上ケースの下端周縁には嵌合溝が凹設され、一方下ケースは平面部の周囲に壁部が立設され、この壁部が前記上ケースの嵌合溝に嵌挿位置することにより下ケースは上ケースの下部開放空間を密閉するよう構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の秤量装置のケース。
  4. 上ケースの嵌合溝底部にはパッキングが配置され、下ケースの壁部上端はこのパッキングに当接するよう構成されたことを特徴とする請求項3に記載の秤量装置のケース。
  5. 下ケースの壁部上端は断面略U字型に屈曲形成され、この屈曲形成部が上ケースの嵌合溝の壁面に圧接するよう構成したことを特徴とする請求項3又は4に記載の秤量装置のケース。
  6. 上ケースの嵌合溝は断面略三角形に形成され、かつ下ケースの壁部上端も嵌合溝の断面形状に合わせるよう断面略三角形に屈曲形成され、この屈曲形成部が上ケースの嵌合溝の壁面に圧接するよう構成したことを特徴とする請求項3又は4に記載の秤量装置のケース。
  7. 下ケースの平面部には上ケースに取り付けられた部品を区画する仕切壁が立設形成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の秤量装置のケース。
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