以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1には本実施形態に係る放射線情報システム10(以下、「RIS10」(RIS:(Radiology Information System)という)が示されている。RIS10は病院内の放射線科部門における診療予約や診断記録等の情報管理を行うためのシステムであり、複数台の端末装置12、RISサーバ14、病院内の個々の放射線撮影室(或いは手術室)に設置された放射線画像撮影システム18(のコンソール26)が、有線又は無線のLAN(Local Area Network)から成る病院内ネットワーク16に各々接続されて構成されている。なお、RIS10は同じ病院内に設けられた病院情報システム(HIS:Hospital Information System)の一部を構成しており、病院内ネットワーク16にはHIS全体を管理するHISサーバ(図示省略)も接続されている。
個々の端末装置12はパーソナル・コンピュータ(PC)等で構成され、医師や放射線技師によって操作される。医師や放射線技師は端末装置12を介して診断情報や施設予約の入力・閲覧を行い、放射線画像の撮影依頼(撮影予約)も端末装置12を介して入力される。また、RISサーバ14はRISデータベース(DB)を記憶する記憶部14Aを含んで構成されたコンピュータであり、RISデータベースには、患者の属性情報(例えば患者の氏名、性別、生年月日、年齢、血液型、患者ID等)や、病歴、受診歴、過去に撮影した放射線画像のデータ等の患者に関する他の情報、個々の放射線画像撮影システム18の電子カセッテ22(後述)に関する情報(例えば識別番号、型式、サイズ、感度、使用可能な撮影部位(対応可能な撮影依頼の内容)、使用開始年月日、使用回数等)が登録されている。RISサーバ14はRISデータベースに登録されている情報に基づいて、RIS10全体を管理する処理(例えば各端末装置12からの撮影依頼を受け付け、個々の放射線画像撮影システム18における放射線画像の撮影スケジュールを管理する処理)を行う。
個々の放射線画像撮影システム18は、RISサーバ14から指示された放射線画像の撮影を、医師や放射線技師の操作に従って行うシステムであり、患者(被写体)に照射する放射線を発生させる放射線発生装置20、患者を透過した放射線を検出し放射線画像データに変換・出力する放射線検出器を内蔵した電子カセッテ22、電子カセッテ22に内蔵されるバッテリ116(図2参照)を充電するクレードル24、及び、上記各機器の動作を制御するコンソール26を各々備えている。図2に示すように、放射線画像撮影システム18には無線ネットワーク28が設けられており、同一の放射線画像撮影システム18を構成する放射線発生装置20、電子カセッテ22、クレードル24及びコンソール26は、無線ネットワーク28経由での無線通信により各種の信号や情報の送受を行う。なお、電子カセッテ22は本発明に係る可搬型放射線画像形成装置に対応している。
放射線発生装置20は、放射線管を内蔵し当該放射線管によって放射線を発生する放射線源30を備え、放射線源30は線源制御部32に接続され、線源制御部32には曝射スイッチ34、無線通信部36及び線源移動部38が各々接続されている。曝射スイッチ34は放射線撮影の実行時に撮影者(放射線技師)によって押圧操作される。また、無線通信部36には無線アンテナ40が接続されており、無線通信部36は無線アンテナ40を介し、同一の放射線画像撮影システム18を構成する他の機器と無線ネットワーク28経由で無線通信を行う。
放射線発生装置20は、放射線撮影を行う際に、これから行う放射線撮影における撮影条件を表す撮影条件情報をコンソール26から受信し、受信した撮影条件情報は無線通信部36から線源制御部32へ入力される。コンソール26から受信する撮影条件情報には、放射線管の管電圧や管電流、照射時間等の放射線管の駆動条件を表す情報が含まれており、線源制御部32は、曝射スイッチ34が押圧操作されると、放射線源30の放射線管が上記の駆動条件に従って駆動されるように放射線源30を制御する。これにより、放射線源30からは上記の駆動条件に応じた適正線量の放射線が発生・射出される。
また図3に示すように、放射線源30が配置される放射線撮影室42には、立位での放射線撮影を行う際に電子カセッテ22を保持するためのラック44と、臥位での放射線撮影を行う際に患者が横臥するためのベッド46が設置されており、ラック44の前方空間は立位での放射線撮影を行う際の患者の撮影位置48とされ、ベッド46の上方空間は臥位での放射線撮影を行う際の患者の撮影位置50とされている。放射線撮影室42には、単一の放射線源30からの放射線によって立位での放射線撮影も臥位での放射線撮影も可能とするために、放射線源30を、水平な軸回り(図3の矢印A方向)に回動可能で、鉛直方向(図3の矢印B方向)に移動可能で、かつ水平方向(図3の矢印C方向)に移動可能に支持する支持移動機構52が設けられている。
線源移動部38は、放射線源30を水平な軸回りに回動させる駆動源と、放射線源30を鉛直方向に移動させる駆動源と、放射線源30を水平方向に移動させる駆動源を各々備えている(何れも図示省略)。一方、コンソール26から受信する撮影条件情報には撮影時姿勢が立位か臥位かを表す情報が含まれており、線源制御部32は、受信した撮影条件情報で指定された撮影時姿勢が立位であれば、放射線源30が立位撮影用の位置54(射出した放射線が撮影位置48に位置している患者に側方から照射される位置)に位置するように線源移動部38を制御し、受信した撮影条件情報で指定された撮影時姿勢が臥位であれば、放射線源30が臥位撮影用の位置56(射出した放射線が撮影位置50に位置している患者に上方から照射される位置)に位置するように線源移動部38を制御する。
なお電子カセッテ22は、放射線技師により、撮影時姿勢が立位であればラック44に保持される位置58へ移動・位置決めされ、撮影時姿勢が臥位であればベッド46上の位置60へ移動・位置決めされる。なお、電子カセッテ22の詳細については後述する。
図2に示すように、クレードル24はクレードル24全体の動作を制御するクレードル制御部62を備えており、クレードル制御部62には電力供給部63及び無線通信部64が各々接続されている。図3に示すように、クレードル24の筐体は電子カセッテ22を挿入可能な凹部が設けられた形状とされ、電力供給部63は、クレードル24の筐体の凹部に電子カセッテ22が挿入されている状態で、電子カセッテ22のバッテリ116に電力を供給することでバッテリ116を充電する。また、無線通信部64には無線アンテナ65が接続されており、無線通信部64は無線アンテナ65を介し、同一の放射線画像撮影システム18を構成する他の機器と無線ネットワーク28経由で無線通信を行う。
なお、本実施形態では後述のように、放射線撮影が行われることで電子カセッテ22で生成された放射線画像データが、無線ネットワーク28経由で電子カセッテ22からコンソール26へ直接送信される態様を説明しているが、これに限られるものではなく、クレードル24の筐体の凹部に電子カセッテ22が挿入されている状態で、例えばレーザ光等を用いた通信を行う機能を電子カセッテ22及びクレードル24に各々設けると共に、クレードル24を、前記状態で電子カセッテ22から前述の通信機能により放射線画像データを受信してメモリ等に一時記憶し、一時記憶した放射線画像データを適当なタイミングでコンソール26へ送信するように構成してもよい。
またコンソール26には、PC等で構成され、CPU66A、ROM及びRAMを含むメモリ66B、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等から成る不揮発性の記憶部66Cを備えたシステム制御部66が設けられており、このシステム制御部66には、LCD(Liquid Crystal Display)等から成るディスプレイ67、キードードやマウス等から成る入力部68、病院内ネットワーク16(図1参照)との通信を司る通信I/F(インタフェース)部69、及び、無線通信部59が各々接続されている。無線通信部59には無線アンテナ61が接続されており、無線通信部59は無線アンテナ61を介し、同一の放射線画像撮影システム18を構成する他の機器と無線ネットワーク28経由で無線通信を行う。
続いて本第1実施形態に係る電子カセッテ22について説明する。図4に示すように、電子カセッテ22は、放射線(図4では放射線に"X"の符号を付して示す)を透過させる材料から成り厚みを有する平板状(扁平な箱形状)の筐体(ケーシング)70によって覆われており、筐体70の内部には、筐体70のうち放射線が照射される被照射面72側から順に、被写体を透過することに伴って生ずる放射線の散乱線を除去するグリッド74、放射線を検出する放射線検出器(放射線検出パネル)76、及び、鉛シート78が配設されている。なお、筐体70の被照射面72をグリッド74で構成してもよい。また、筐体70の内部の一端側には、後述する各種回路を収容するケース82が配置されている。ケース82内部に収容された各種回路が放射線の照射に伴って損傷することを回避するため、ケース82の被照射面72側には鉛シート等を配設しておくことが望ましい。なお、放射線検出器76は後述する信号処理部102と共に本発明に係る画像出力手段に対応している。
また、本第1実施形態に係る電子カセッテ22の筐体70のうち、被照射面72と反対側の面(背面)には表示部ユニット119が取付けられている。表示部ユニット119は、画像等を表示可能な表示デバイスを備えた表示部120と、筐体70と同様に扁平な箱形状とされ表示部120を収納するための収納スペース(以下、この収納スペースを収納部122(図5(B)参照)と称する)が内部に形成された収納ケース121を含んで構成されている。図5,6に示すように、本第1実施形態に係る表示部120は、全体として厚みを有する長方形状とされており、収納ケース121の収納部122は表示部120全体を収納可能な形状・大きさとされている。表示部120は、長方形状で対向する2面のうちの一方の面が、表示デバイスによって画像等を表示可能な表示領域が設けられた表示面とされており、被照射面72側が上方を向くように電子カセッテ22の筐体70が配置された状態で、表示面が上方を向く向きで収納部122内に収納されている。なお、本第1実施形態では、表示面に設けられた表示領域の形状が長方形状であるので、上記の表示デバイスとしてはLCDが好適であるが、LCD以外の表示デバイスを用いてもよい。
また、図5,6に示すように、電子カセッテ22の筐体70のうち、被照射面72と接する側面には、電子カセッテ22(筐体70)を移動させる際に把持するための取っ手部124が取付けられており、収納ケース121のうち取っ手部124が取付けられている側に位置している特定の側面には、表示部120が通過可能な扁平な矩形状の開口126が設けられている。収納ケース121内の収納部122はこの開口を介して収納ケース121外と連通しており、表示部120は収納部122内に挿入されている。表示部120は、表示部120を収納ケース121の収納部122内から引き出す方向(図6の矢印D方向)へスライド移動(摺動移動)させる展開操作が行われることで、筐体70外のうち取っ手部が設けられている側へ表示部120(の表示面)が展開し、表示部120の大部分が収納ケース121外(筐体70外)に露出している状態(図6(C)に示す状態) となる。以下、この状態での表示部120の位置を表示可能位置という。また表示部120は、表示可能位置に位置している状態から、表示部120を収納ケース121の収納部122内へ挿入する方向(図6の矢印E方向)へスライド移動させる収納操作が行われることで、表示部120全体が収納部122内に収納されている状態(図5(A),図6(A)に示す状態)となる。以下、この状態での表示部120の位置を収納位置という。
また、表示部120全体が収納部122内に収納されている状態(図5(A),図6(A)に示す状態)で開口126を閉塞する表示部120の側面には、一対の把持部128が取付けられており、表示部120は、一対の把持部128を把持した撮影者(放射線技師)によって前述の収納操作又は展開操作が行われることで、上記の収納位置又は表示可能位置へスライド移動される。なお、表示部120のうち把持部128が取付けられている側と反対側の端部付近には、収納部122から引き出す方向への表示部120のスライド移動を表示可能位置迄に制限する図示しないストッパが取付けられている。このストッパにより、表示部120全体が収納部122から離脱する(表示部120が電子カセッテ22の筐体70と分離する)ことが阻止される。このように、表示部ユニット119は、収納ケース121の収納部122内への表示部120の収納が可能で、かつ収納部122から引き出された表示部120が取っ手部124が設けられている側へ展開する向きで筐体70に取付けられている。
また図5に示すように、表示部120の背面(被照射面72側と反対側の面)には鉛シート130が貼付されている。なお、鉛シート78は請求項1に記載の放射線吸収部材に対応しており、鉛シート78によって放射線のバック散乱を吸収低減することができ、更に、収納部122に収納されている状態の表示部120の放射線劣化も抑制することができる。鉛シート130は鉛シート78による放射線のバック散乱の吸収低減を補助する目的で設けられており、鉛シート78としては例えば鉛の厚みが0.5mm以上の鉛シート、鉛シート130としては例えば鉛の厚みが0.2mm程度の鉛シートが好適である。
なお、表示部ユニット119は本発明に係る表示部ユニット(より詳しくは請求項2,3,5,6に記載の表示部ユニット)に対応しており、取っ手部124は請求項2に記載の取っ手部に、把持部128は請求項3に記載の把持部に各々対応している。
電子カセッテ22の放射線検出器76は、図2に示すTFTアクティブマトリクス基板86上に、放射線を吸収して電荷に変換する光電変換層が積層されて構成されている。光電変換層は例えばセレンを主成分(例えば含有率50%以上)とする非晶質のa−Se(アモルファスセレン)から成り、放射線が照射されると、照射された放射線量に応じた電荷量の電荷(電子−正孔の対)を内部で発生することで、照射された放射線を電荷へ変換する。なお、放射線検出器76は、上記のようにアモルファスセレン等の放射線−電荷変換材料を用いて放射線を電荷へ直接変換する構成に限られるものではなく、ガドリニウム硫酸化物(GOS)やヨウ化セシウム(CsI)等の蛍光体材料によって放射線−光変換を行い、フォトダイオード等の光電変換素子によって光−電荷変換を行うことで、放射線を間接的に電荷へ変換する構成を採用してもよい。
TFTアクティブマトリクス基板86上には、光電変換層で発生された電荷を蓄積する蓄積容量88と、蓄積容量88に蓄積された電荷を読み出すためのTFT90を備えた画素部94(図1では個々の画素部94に対応する光電変換層を光電変換部92として模式的に示している)がマトリクス状に多数個配置されており、電子カセッテ22への放射線の照射に伴って光電変換層で発生された電荷は、個々の画素部94の蓄積容量88に蓄積される。これにより、電子カセッテ22に照射された放射線に担持されていた画像情報は電荷情報へ変換されて放射線検出器76に保持される。
また、TFTアクティブマトリクス基板86には、一定方向(行方向)に延設され個々の画素部94のTFT90をオンオフさせるための複数本のゲート配線96と、ゲート配線96と直交する方向(列方向)に延設されオンされたTFT90を介して蓄積容量88から蓄積電荷を読み出すための複数本のデータ配線98が設けられている。個々のゲート配線96はゲート線ドライバ100に接続されており、個々のデータ配線98は信号処理部102に接続されている。個々の画素部94の蓄積容量88に電荷が蓄積されると、個々の画素部94のTFT90は、ゲート線ドライバ100からゲート配線96を介して供給される信号により行単位で順にオンされ、TFT90がオンされた画素部94の蓄積容量88に蓄積されている電荷は、電荷信号としてデータ配線98を伝送されて信号処理部102に入力される。従って、個々の画素部94の蓄積容量88に蓄積されている電荷は行単位で順に読み出される。
図示は省略するが、信号処理部102は、個々のデータ配線98毎に設けられた増幅器及びサンプルホールド回路を備えており、個々のデータ配線98を伝送された電荷信号は増幅器で増幅された後にサンプルホールド回路に保持される。また、サンプルホールド回路の出力側にはマルチプレクサ、A/D変換器が順に接続されており、個々のサンプルホールド回路に保持された電荷信号はマルチプレクサに順に(シリアルに)入力され、A/D変換器によってデジタルの画像データへ変換される。信号処理部102には画像メモリ104が接続されており、信号処理部102のA/D変換器から出力された画像データは画像メモリ104に順に記憶される。画像メモリ104は複数フレーム分の画像データを記憶可能な記憶容量を有しており、放射線画像の撮影が行われる毎に、撮影によって得られた画像データが画像メモリ104に順次記憶される。なお、画像メモリ104は本発明に係る記憶手段に対応している。
また、画像メモリ104にはカセッテ制御部106が接続されている。カセッテ制御部106はマイクロコンピュータ等から成り、CPU106A、ROM及びRAMを含むメモリ106B、HDDやフラッシュメモリ等から成る不揮発性の記憶部106Cを備えており、後述する情報表示処理を行うための情報表示プログラムは記憶部106Cに記憶されている。また、図示は省略するが、カセッテ制御部106は前述したゲート線ドライバ100及び信号処理部102に接続されており、ゲート線ドライバ100及び信号処理部102による個々の画素部94からの電荷の読み出しを制御する。更に、カセッテ制御部106には表示部120、入力部108、引出センサ110、無線通信部112が各々接続されている。
カセッテ制御部106は後述する情報表示処理を行うことで、画像メモリ104に記憶されている画像データが表す放射線画像等の情報を表示部120に表示させる。このように、カセッテ制御部106は本発明に係る表示制御手段に対応している。また、本実施形態において、入力部108は表示部120の表示面に設けられたタッチパネルから成り、撮影者によって入力部108(タッチパネル)が操作されることで、当該操作に応じた情報がカセッテ制御部106に入力される。また、引出センサ110は収納部122に設けられ収納部122内から表示部120が引き出されたか否かを検出するセンサであり、引出センサ110による検出結果もカセッテ制御部106に入力される。また、無線通信部112には無線アンテナ114が接続されており、無線通信部112は無線アンテナ114を介し、同一の放射線画像撮影システム18を構成する他の機器と無線ネットワーク28経由で無線通信を行う。なお、無線通信部112による他の機器との無線通信は、電波による通常の無線通信に代えて、赤外線等を用いた光無線通信であってもよい。
また、電子カセッテ22はバッテリ116を内蔵しており、上述した各種回路(ゲート線ドライバ100、信号処理部102、画像メモリ104、カセッテ制御部106、表示部120、入力部108、無線通信部112等)は、バッテリ116から供給された電力によって作動する。なお、本実施形態では、バッテリ116として、クレードル24の電力供給部63から供給される電力によって充電される二次電池を用いているが、これに限られるものではなく、バッテリ116として一次電池を用いてもよいし、商用電源に常時接続され商用電源から供給された電力を整流、変圧して各種回路へ電力を供給する電源部をバッテリ116に代えて設けてもよい。
次に本第1実施形態の作用を説明する。本第1実施形態に係る電子カセッテ22は、表示部ユニット119を筐体70に取付けることで、放射線画像等の情報を表示部120に表示可能な構成を実現しており、表示部ユニット119を取付ける電子カセッテ本体としては、既存の電子カセッテを用いることができ、筐体70の形状等の変更は不要である。従って、本第1実施形態に係る電子カセッテ22は、既存の電子カセッテに対して最小限の構成変更(筐体70への表示部ユニット119の取付け等)で実現することができる。
また本第1実施形態では、放射線画像の撮影時姿勢に応じて、電子カセッテ22が放射線撮影室42内の位置58又は位置60へ移動・位置決めされるが、第1実施形態に係る電子カセッテ22は、表示部120を収納ケース121の収納部122内に収納可能であるので、電子カセッテ22を位置58又は位置60へ移動・位置決めする際や、他の撮影室や手術室、或いは放射線画像撮影装置を搭載した車両での放射線撮影に用いるために電子カセッテ22を放射線撮影室42から持ち出す際には、前述の収納操作を行って表示部120を収納ケース121の収納部122内に収納しておくことで、表示部120が電子カセッテ22の移動の障害となることを防止することができる。
また、第1実施形態に係る電子カセッテ22は、表示部120を収納ケース121のの収納部122内から引き出す方向へスライド移動させる展開操作を行うことで、表示部120を収納ケース121外(筐体70外)へ展開させることができるので、表示部120を筐体70外へ展開させる展開操作を容易に行うことができ、取扱性も良好である。また、前述の展開操作を行った場合、表示部120は、筐体70のうち取っ手部124が設けられている側面の外側の空間へ展開されるが、電子カセッテ22の移動や位置調整は取っ手部124を把持して行われるので、上記空間は通常、他の物体が存在しない空間であり、他の物体の干渉によって表示部120を展開させることが困難となることを防止することができる。
また、収納部122からの表示部120の引き出しは、図示しないストッパにより図6(C)に示す表示可能位置迄に制限され、表示部120が収納ケース121と分離することのないように収納ケース121に取付けられているので、電子カセッテ22を所望の位置へ移動・位置決めした後に、前述の展開操作によって表示部120を収納部122から表示可能位置迄引き出し、表示部120を筐体70外に展開させた場合にも、表示部120が収納ケース121を介して筐体70に支持され、筐体70に対して図6(C)に示す位置関係で維持される。従って、表示部120を支持する支持機構等は不要であり、表示部ユニット119を設けたことで電子カセッテ22の取扱性や可搬性が低下することを回避できる。また、電子カセッテ22の筐体70に対して被写体としての患者が図5に破線で示す位置に位置している等の場合にも、表示部120を収納ケース121外(筐体70外)に展開させることで、表示部120の表示面が患者の体と接している状態となったり、患者の体によって表示部120の表示面が隠れている状態となることを防止することができるので、表示部120に表示された放射線画像等の情報を撮影者が確実に視認することができる。
続いて、RIS10における放射線画像の撮影について説明する。医師や放射線技師が端末装置12を介して放射線画像の撮影を依頼する際には、撮影する患者を特定するための情報(例えば患者ID等)や撮影部位、撮影時姿勢等の情報が端末装置12に入力される。なお、患者IDが記録された患者タグが個々の患者に携帯(或いは装着)される場合、患者を特定するための情報の入力は、撮影する患者が携帯している患者タグに記録された患者IDを、端末装置12に接続された読取装置によって読み取ることによって成される。端末装置12を介して成された放射線画像の撮影依頼は端末装置12に入力された各情報と共にRISサーバ14へ送信され、RISサーバ14で受け付けされる。
RISサーバ14は、端末装置12から放射線画像の撮影依頼を受け付けると、既に登録されている個々の放射線画像撮影システム18における放射線画像の撮影スケジュールを参照し、受け付けた撮影依頼に係る放射線画像の撮影を、何れの放射線画像撮影システム18で行うかを選択すると共に、選択した放射線画像撮影システム18で放射線画像の撮影を行う日時を決定する。そして、RISデータベースから患者の属性情報等の必要情報を読み出し、読み出した情報や決定した撮影日時等を端末装置12から受信した情報に付加し、選択した放射線画像撮影システム18のコンソール26へ送信する。
コンソール26は、RISサーバ14から上記情報を受信する毎に受信した情報を記憶部66Cに記憶し、撮影者(放射線技師)からの指示に応じて、記憶部66Cに記憶した情報を、放射線画像の撮影スケジュールや個々の撮影における具体的な撮影内容(例えば撮影を行う患者の氏名、撮影部位や撮影時姿勢、撮影部位から一意に定まる放射線管の標準的な駆動条件等)としてディスプレイ67に表示する。またコンソール26は、放射線画像の撮影を行う際に、これから行う放射線撮影における撮影条件を表す撮影条件情報を放射線発生装置20へ送信する。これにより、放射線発生装置20の線源制御部32は、受信した撮影条件情報で指定された撮影時姿勢に応じた位置に放射線源30が位置するように線源移動部38を制御する。
放射線画像の撮影を行う場合、撮影者(放射線技師)は、コンソール26で撮影部位や撮影時姿勢、放射線管の駆動条件等を確認した後に、放射線撮影室42内において、撮影時姿勢に応じた位置(位置58又は位置60)へ電子カセッテ22を移動・位置決めし、撮影を行う患者本人に対して氏名を確認し、撮影を行う患者を撮影時姿勢に応じた位置(位置48又は位置50)に位置させ、必要に応じて放射線源30の位置を微調整する等の一連の準備作業を行う。そして、一連の準備作業が完了すると曝射スイッチ34をオンする。
これにより、放射線源30からは、放射線発生装置20がコンソール26から受信した撮影条件情報に含まれる放射線管の駆動条件に応じた線量の放射線が発生・射出され、放射線源30から射出された放射線は患者を透過して電子カセッテ22の被照射面72に照射される。また電子カセッテ22では、被照射面72内の各部に照射された放射線が放射線検出器76によって電荷に変換・蓄積された後に、ゲート線ドライバ100及び信号処理部102によって蓄積された電荷が読み出され、放射線画像のデータへ変換されて画像メモリ104に記憶される。
また、画像メモリ104に記憶された放射線画像のデータは電子カセッテ22から無線ネットワーク28を経由してコンソール26へ送信され、コンソール26の記憶部66Cに記憶される。記憶部66Cに記憶された放射線画像のデータは、撮影した放射線画像の確認等のためにディスプレイ67に表示されると共に、RISサーバ14に転送されてRISデータベースにも格納される。これにより、撮影された放射線画像を端末装置12のディスプレイに表示させ、医師が放射線画像の読影や診断等を行うことが可能となる。
ところで、放射線画像の撮影時に患者が動いてしまい、放射線画像上で被写体がブレていた場合は撮影を再度行う必要があるので、撮影者は撮影した放射線画像上で被写体がブレていないか否かを確認する必要がある。また、同一患者の同一部位に対して過去に放射線画像の撮影を行っている場合、医師による放射線画像の読影を容易にするために、撮影者は過去に撮影された放射線画像を参照し、今回の撮影における撮影範囲(ポジショニング)を過去に撮影された放射線画像となるべく一致させる必要がある。また、例えば当初指定された撮影時姿勢が立位であったが、放射線撮影室42に到来した患者の状態が立位での撮影が負担となる状態(例えば足を怪我している等)であったために、撮影時姿勢を変更することが望ましい場合もある。更に、放射線管の駆動条件の変更が必要となる場合もある。
このような、撮影した放射線画像の確認、過去に撮影された放射線画像の参照、撮影時姿勢や放射線管の駆動条件の変更は、コンソール26を操作すれば何れも可能ではあるものの、コンソール26は一般に放射線撮影室42の外(例えば放射線撮影室42に隣接する別の部屋)に設置されるので、上記のような場合、撮影者は準備作業の途中や撮影を1回行う毎に放射線撮影室42とコンソール26の設置箇所を往復する必要があり、非常に煩雑で作業効率が悪いという問題がある。また、過去に撮影された放射線画像を参照しながら撮影範囲(ポジショニング)を調整することができないので、撮影範囲の調整の精度も十分でないという問題もある。
これらの問題を解決するために、本実施形態に係る電子カセッテ22には表示部ユニット119が設けられており、撮影した放射線画像の確認、過去に撮影された放射線画像の参照、撮影時姿勢や放射線管の駆動条件の変更を行う場合やその可能性がある場合、撮影者は把持部128を把持し、表示部ユニット119の収納ケース121の収納部122内から表示部120を引き出し、表示部120を収納ケース121外(筐体70外)へ展開する操作を行う。この操作が行われると、表示部120が引き出されたことが引出センサ110によって検出され、これをトリガとして、電子カセッテ22のカセッテ制御部106によって図7に示す情報表示処理が行われる。
この情報表示処理では、まずステップ300において、表示部120に表示すべき各種情報(例えば撮影を行う患者の患者IDや氏名、撮影部位、撮影時姿勢、放射線管の管電圧、管電流等:以下ではこれらの情報を「RIS情報」と総称する)の送信を要求する情報を無線通信部112を介してコンソール26へ送信することで、RIS情報の送信をコンソール26に要求する。次のステップ302では、他の機器から何らかの情報を受信したか否か判定する。判定が否定された場合はステップ304へ移行し、タッチパネルから成る入力部108を介して何らかの情報が入力されたか否か判定する。この判定が否定された場合はステップ306へ移行し、表示部120が収納部122内に収納されたことが引出センサ110によって検出されたか否か判定する。この判定も否定された場合はステップ302に戻り、何れかの判定が肯定される迄ステップ302〜ステップ306を繰り返す。
コンソール26では、RIS情報の送信を要求する情報を電子カセッテ22から受信すると、これから行われる撮影に関する情報を記憶部66Cから読み出し、読み出した情報をRIS情報として編集し、無線通信部59を介して電子カセッテ22へ送信する。このRIS情報が電子カセッテ22の無線通信部112で受信されてカセッテ制御部106に入力されると、ステップ302の判定が肯定されてステップ308へ移行し、ステップ308では受信した情報の種類に応じて分岐する。受信した情報がコンソール26から受信したRIS情報である場合はステップ308からステップ310へ移行し、まずコンソール26から受信したRIS情報をメモリ10Bに記憶させる。
次のステップ312では、コンソール26から受信したRIS情報をRIS情報表示・修正画面として表示部120の表示面に表示させる。このRIS情報表示・修正画面は、受信したRIS情報の内容(患者の患者IDや氏名、撮影部位、撮影時姿勢、放射線管の管電圧、管電流等)を表示すると共に、一部の項目(例えば撮影時姿勢、放射線管の管電圧、管電流等)については撮影者(放射線撮影技師)による修正指示の入力も可能な画面であり、表示部120の表示面にこの画面が表示されることで、これから行おうとしている放射線画像の撮影の内容を把握することができる。
また、上記画面では患者IDや氏名が表示されるので、例えば患者本人に対して氏名を確認し、確認した氏名を上記画面に表示されている氏名と照合する等により、撮影を行う患者の取違いが無いか否かを放射線撮影室42内で確実に確認することができる。また、上記画面では撮影時姿勢や放射線管の管電圧、管電流等が、撮影者による修正指示の入力も可能に表示されるので、撮影者がこれらの項目の内容を確認し、修正が必要と判断した場合には、タッチパネルから成る入力部108を介して修正指示を入力することで、放射線撮影室42とコンソール26の設置箇所とを往復することなく、撮影時姿勢や放射線管の管電圧、管電流等を変更することが可能となる。
次のステップ314では、過去に撮影された関連する放射線画像のデータを要求する情報を生成し、受信したRIS情報に含まれる患者IDと撮影部位を前記生成した情報に付加してコンソール26へ送信することで、過去に撮影され今回の撮影と患者及び撮影部位が同一の放射線画像のデータの転送をコンソール26に要求する。ステップ314の処理を行うとステップ302に戻り、ステップ302〜ステップ306を繰り返す。
コンソール26は、電子カセッテ22から上記情報を受信すると、受信した情報をRISサーバ14へ転送することで、過去に撮影された関連する放射線画像のデータをRISサーバ14に要求し、RISサーバ14は、コンソール26から受信した情報に付加されている患者ID及び撮影部位をキーにしてRISデータベースを検索する。そして、該当する放射線画像のデータがRISデータベースに記憶されていた場合、RISサーバ14は該当する放射線画像のデータをRISデータベースから読み出し、要求元のコンソール26へ送信する。またコンソール26は、電子カセッテ22から要求された放射線画像のデータをRISサーバ14から受信すると、受信した放射線画像のデータを要求元の電子カセッテ22へ送信する。
上記の放射線画像のデータが電子カセッテ22で受信されると、情報表示処理(図7)のステップ302の判定が肯定されてステップ308へ移行し、受信した情報がコンソール26から受信した放射線画像のデータである場合はステップ308からステップ316へ分岐する。ステップ316ではコンソール26から受信した放射線画像のデータをメモリ106Bに記憶させる。そしてステップ318では、コンソール26から受信したデータに基づき、当該データが表す放射線画像(今回の撮影と患者及び撮影部位が同一で、過去に撮影された放射線画像)を表示部120に表示させ、ステップ302に戻る。
上記処理により、撮影者は、表示部120に表示された放射線画像を参照することで、同一の患者の同一の撮影部位を過去に撮影した際の撮影範囲等を把握することができ、把握した撮影範囲になるべく一致するように今回の撮影における撮影範囲を調整することを、放射線撮影室42とコンソール26の設置箇所とを往復することなく行うことができる。また、過去に撮影された放射線画像が、放射線撮影室42外に設置されたコンソール26のディスプレイ67に表示される場合と比較して、今回の撮影における撮影範囲の調整をより精度良く行うことができる。
なお、過去に撮影され今回の撮影に関連する放射線画像が存在しない場合は、RISサーバ14からコンソール26へ該当する放射線画像のデータが送信されず、コンソール26から電子カセッテ22へも放射線画像のデータが送信されないので、ステップ316,318の処理は行われず、過去に撮影され今回の撮影に関連する放射線画像は表示されない。また、RISサーバ14が端末装置12から撮影依頼を受け付けた段階で、過去に撮影され今回の撮影に関連する放射線画像が存在するか否かをRISサーバ14が判定し、当該判定の結果に相当する画像有無情報をRISサーバ14からコンソール26へ送信する情報に付加しておき、コンソール26から電子カセッテ22へ送信されるRIS情報にも上記の画像有無情報を付加し、電子カセッテ22では、コンソール26から受信したRIS情報に付加されている画像有無情報に基づき、過去に撮影され今回の撮影に関連する放射線画像が存在している場合にのみ、当該放射線画像のデータを要求する(ステップ314の処理を行う)ようにしてもよい。
また、表示部120にRIS情報表示・修正画面が表示されている状態で、タッチパネルから成る入力部108が撮影者によって操作され、撮影時姿勢や放射線管の管電圧、管電流等の撮影条件の修正を指示する情報が入力された場合には、ステップ304の判定が肯定されてステップ326へ移行し、入力された情報は撮影条件の修正を指示する情報か否か判定する。この場合は判定が肯定されてステップ328へ移行し、メモリ106Bに記憶しているRIS情報のうち、入力された情報によって修正が指示された項目の内容を指示に応じて修正する。また、次のステップ330では修正後のRIS情報をコンソール26へ送信する。なお、次のステップ332では放射線画像の確認が終了したか否かを判定するが、この場合は判定が否定されてステップ302に戻り、ステップ302〜ステップ306が再度繰り返される。
撮影者の指示によって修正したRIS情報を電子カセッテ22から受信した場合、コンソール26は、電子カセッテ22から受信したRIS情報を撮影条件情報へ編集して放射線発生装置20へ送信すると共に、記憶部66Cに記憶されている情報のうち受信したRIS情報に対応する情報を、受信したRIS情報に基づいて修正する。これにより、撮影者の指示によって修正された項目が管電圧、管電流等の放射線管の駆動条件に関する項目であれば、放射線源30からの放射線の射出時に、修正後の内容に応じた駆動条件で放射線管が駆動され、撮影者の指示によって修正された項目が撮影時姿勢であれば、放射線源30が修正後の撮影時姿勢に対応する位置へ移動するように、線源移動部38による放射線源30の移動が線源制御部32によって制御される。上記処理により、撮影者は、今回の撮影における撮影条件の修正を、放射線撮影室42とコンソール26の設置箇所とを往復することなく行うことができる。
また、撮影者によって曝射スイッチ34が押圧操作されると、放射線発生装置20から電子カセッテ22へ曝射指示の入力が通知される。ステップ302の判定が肯定されてステップ308へ移行し、受信した情報が放射線発生装置20から受信した曝射指示の入力通知である場合はステップ308からステップ320へ分岐する。曝射スイッチ34が押圧操作されると、放射線発生装置20は放射線源30から放射線を射出させ、放射線源30から射出された放射線は患者(被写体)を透過して電子カセッテ22に照射される。ステップ320では、放射線源30からの放射線の射出が終了したタイミングで、放射線検出器76に蓄積された電荷を読み出し、放射線画像のデータへ変換して画像メモリ104に記憶するが、電子カセッテ22がコンソール26から受信するRIS情報には、放射線検出器76からの電荷読み出しにおける読出条件を規定する情報(例えば同時読み出しライン数等)も含まれており、放射線検出器76からの電荷読み出しは上記情報が規定する読出条件に従って行われる。
次のステップ322では、ステップ320で画像メモリ104に記憶された画像データが表す放射線画像(今回の撮影で得られた放射線画像)を表示部120に表示させる。これにより撮影者は、表示部120に表示された放射線画像を参照することで、今回の撮影における撮影範囲が適切か否か、放射線画像上で被写体がブレていないか否かを確認することができる。なお、画像メモリ104にデータが記憶された放射線画像を表示部120にそのまま表示させることに限られるものではなく、例えば画像データに対して各種の画像処理(例えば画像データに重畳されたノイズを除去したり、放射線検出器76の各画素部94の特性のばらつきに起因する画像データの画素毎のばらつきを補正する各種の補正処理等)を行った後に、表示部120に表示させるようにしてもよい。
また、次のステップ324では、今回の撮影で得られた放射線画像の画像データをコンソール26へ送信する。コンソール26へ送信された画像データはコンソール26の記憶部66Cに記憶され、放射線画像の確認等のためにディスプレイ67に表示されると共に、RISサーバ14に転送されてRISデータベースにも格納され、端末装置12を介しての放射線画像の読影や診断等に供せられる。ステップ324の処理を終了するとステップ302に戻り、ステップ302〜ステップ306を再度繰り返す。
また、表示部120に表示された放射線画像の確認が完了すると、撮影者はタッチパネルから成る入力部108を操作し、放射線画像確認の終了を意味する情報を入力する。この場合、ステップ304の判定が肯定され、ステップ326の判定が否定されると共に、ステップ332の判定が肯定されてステップ334へ移行し、次に行うべき撮影に対応するRIS情報の送信をコンソール26に要求してステップ302に戻る。そして、この要求に従ってコンソール26から送信されたRIS情報を受信することで、上述したシーケンスが再度繰り返されることになる。
また、電子カセッテ22を移動させる場合や、その日に予定していた放射線画像の撮影が全て終了した場合、撮影者は把持部128を把持し、表示部120を押圧して電子カセッテ22の筐体70に取付けられた表示部ユニット119の収納ケース121の収納部122内へ収納させる操作を行う。この操作が行われると、表示部120が収納されたことが引出センサ110によって検出され、ステップ306の判定が肯定されることで、上述した情報表示処理が終了される。
なお、第1実施形態では表示部120のスライド移動が、表示部120が収納部122内を摺動移動することで成される態様を説明したが、これに限定されるものではなく、表示部120のスライド移動の方向に直交する方向に沿った表示部120の両端部と収納部122の内壁の間に、スライド移動に対する摩擦力を低減するレール等を設けてもよい。この場合、表示部120をより小さな力でスライド移動させることができる。
〔第2実施形態〕
次に本発明の第2実施形態について説明する。なお、以下では第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略し、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図8には本第2実施形態に係る電子カセッテ22(の一部)が示されている。本第2実施形態に係る電子カセッテ22は、第1実施形態と同様に、筐体70のうち被照射面72と反対側の面(背面)に表示部ユニット133が取付けられている。表示部ユニット133は、第1実施形態で説明した表示部120と同様の形状の表示部134と、第1実施形態で説明した収納ケース121と同様の形状とされ表示部134全体を収納可能な形状・大きさの収納部122(図示省略)が内部に形成された収納ケース135と、を含んで構成されている。表示部134全体が収納ケース135の収納部122内に収納されている状態(図8(A)に示す状態)で、収納ケース135に設けられた開口126を閉塞する表示部134の側面には取っ手部124が取付けられている。取っ手部124は電子カセッテ22(筐体70)を移動させる際に把持されると共に、表示部134をスライド移動させる際にも把持される。
また表示部134は、収納ケース135の収納部122内へ挿入する際の先端側で、かつ収納部122内への挿入方向に直交する方向に沿った両端部が、前記挿入方向に直交する軸回りに回動可能にブラケット136(図8(C),(D)参照)に支持されている。ブラケット136は、第1実施形態で説明した展開操作や収納操作に伴い、表示部134と一体となって収納部122内をスライド移動されるが、このブラケット136には、収納部122から引き出す方向への表示部134及びブラケット136のスライド移動を、図8(C),(D)に示す位置(表示可能位置)迄に制限する図示しないストッパが取付けられている。このストッパにより、表示部134全体が収納ケース135の収納部122から離脱する(表示部134が電子カセッテ22の筐体70と分離する)ことが阻止される。このように、表示部ユニット133は、収納ケース135の収納部122内への表示部134の収納が可能で、かつ収納部122内から引き出された表示部134が取っ手部124が設けられている側へ展開する向きで筐体70に取付けられている。
また表示部134は、被照射面72側が上方を向くように電子カセッテ22の筐体70が配置された状態で、表示面が下方を向く向きで収納ケース135の収納部122内に収納されるが、表示部134とブラケット136との間には、コイルばね等から成り表示部134を前記軸回り(図8の矢印F方向)に回動させる付勢手段が介在されている(図示省略)。これにより、車載用ナビゲーション装置においてディスプレイをダッシュボード内に収納可能な所謂インダッシュ型ディスプレイと同様に、表示部134を収納ケース135の収納部122内から引き出す方向(図8の矢印D方向)へスライド移動(摺動移動)させる展開操作が行われ、表示部134が収納部122から図8(C)に示す表示可能位置迄引き出されると、付勢手段の付勢力により、表示部134は図8(D)に示す位置(表示面が被照射面72に直交する方向におよそ沿う位置)迄図8の矢印F方向へ回動され、表示面が電子カセッテ22の側方から容易に視認可能な向きに配置された状態になる。
また、この状態で取っ手部124が把持され、表示部134の表示面が下方を向く位置迄表示部134を逆方向(図8の矢印F方向と反対の方向)へ回動させる操作が行われた後に、収納ケース135の収納部122内へ挿入する方向(図8の矢印E)へ表示部134をスライド移動させる収納操作が行われることで、表示部134は収納ケース135の収納部122内に収納される。また図示は省略するが、本第2実施形態において、鉛シート130は収納部122の底面(表示部134が収納部122内に収納された状態で表示部134の表示面と対向する面)に貼付されている。また、本第2実施形態においても、表示面に設けられた表示領域の形状が長方形状であるので、上記の表示デバイスとしてはLCDが好適であるが、LCD以外の表示デバイスを用いてもよい。
なお、表示部ユニット133は本発明に係る表示部ユニット(より詳しくは請求項2,3,5〜7に記載の表示部ユニット)に対応しており、取っ手部124は請求項2に記載の取っ手部、請求項3,4に記載の把持部に各々対応している。また、ブラケット136は請求項7に記載の支持機構に、付勢手段は請求項7に記載の回動手段に各々対応している。
次に本第2実施形態の作用を説明する。本第2実施形態に係る電子カセッテ22についても、表示部ユニット133を筐体70に取付けることで、放射線画像等の情報を表示部134に表示可能な構成を実現しており、表示部ユニット133を取付ける電子カセッテ本体としては、既存の電子カセッテを用いることができ、筐体70の形状等の変更は不要である。従って、本第2実施形態に係る電子カセッテ22についても、既存の電子カセッテに対して最小限の構成変更(筐体70への表示部ユニット133の取付け等)で実現することができる。
また、第2実施形態に係る電子カセッテ22は、表示部134を収納ケース135の収納部122内に収納可能であるので、電子カセッテ22を位置58又は位置60へ移動・位置決めする際や、他の撮影室や手術室、或いは放射線画像撮影装置を搭載した車両での放射線撮影に用いるために電子カセッテ22を放射線撮影室42から持ち出す際には、前述の収納操作を行って表示部134を収納ケース135の収納部122内に収納しておくことで、表示部134が電子カセッテ22の移動の障害となることを防止することができる。
また、第2実施形態に係る電子カセッテ22は、表示部134を収納ケース135の収納部122内から引き出す方向へスライド移動させる展開操作を行い、表示部134を表示可能位置迄スライド移動させると、表示面が電子カセッテ22の側方から容易に視認可能に配置された状態となるように表示部134が回動されるので、表示面を収納ケース135外(筐体70外)へ展開させる展開操作を容易に行うことができ、取扱性及び表示部134に表示された情報の視認性も良好である。また、前述の展開操作を行った場合、表示部134は筐体70のうち取っ手部124が設けられている側面の外側の空間へ展開されるが、電子カセッテ22の移動や位置調整は取っ手部124を把持して行われるので、上記空間は通常、他の物体が存在しない空間であり、他の物体の干渉によって表示部134を展開させることが困難となることを防止することができる。
また、収納ケース135の収納部122内からの表示部134の引き出しは、図示しないストッパにより表示可能位置迄に制限され、表示部134が収納ケース135(筐体70)と分離することのないように収納ケース135に取付けられているので、電子カセッテ22を所望の位置へ移動・位置決めした後に、前述の展開操作によって表示部134を収納部122から表示可能位置迄引き出し、表示面が被照射面72に直交する方向におよそ沿う位置迄表示部134が回動された状態でも、表示部134が収納ケース135を介して筐体70に支持され、筐体70に対して図8(D)に示す位置関係で維持される。従って、表示部134を支持する支持機構等は不要であり、表示部ユニット133を設けたことで電子カセッテ22の取扱性や可搬性が低下することを回避できる。また、電子カセッテ22の筐体70に対し、被写体としての患者が図5に破線で示す位置に位置している等の場合にも、表示部134を収納ケース135外(筐体70外)に展開させることで、表示部134の表示面が患者の体と接している状態となったり、患者の体によって表示部134の表示面が隠れている状態となることを防止することができ、表示部134に表示された放射線画像等の情報を撮影者が確実に視認することができる。
〔第3実施形態〕
次に本発明の第3実施形態について説明する。なお、第1実施形態及び第2実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
図9には本第3実施形態に係る電子カセッテ22(の一部)が示されている。本第3実施形態に係る電子カセッテ22は、第1実施形態と同様に、筐体70のうち被照射面72と反対側の面(背面)に表示部ユニット139が取付けられている。表示部ユニット139は、厚みを有する円弧形状の表示部140と、表示部140全体を収納可能な形状・大きさの収納部122(図示省略)が内部に形成され、表示部140が通過可能な大きさの開口126が側面に設けられた収納ケース141と、を含んで構成されている。また、表示部140全体が収納ケース141の収納部122内に収納されている状態(図9(A)に示す状態)で、開口126の長手方向に沿った表示部140の一方の端部は、被照射面72に直交する方向に沿った軸回りに回動可能に収納ケース141に支持されている。また図9(A)に示す状態で、開口126を閉塞する表示部140の側面のうち、筐体70に支持されている側の端部と反対側の端部付近には単一の把持部142が取付けられている。
また表示部140には、収納ケース141の収納部122内から引き出す方向への表示部140の回動(回転スライド)を、図9(C)に示す位置(表示可能位置)迄に制限する図示しないストッパが取付けられている。これにより、表示部140は、把持部142が把持され、表示部140を収納ケース141の収納部122内から引き出す方向(図9の矢印G方向)へ回転スライドさせる展開操作が行われることで、収納ケース141外(筐体70外)のうち取っ手部124が設けられている側へ展開し、表示部140の大部分が筐体70外に露出している状態となる(図9(C)に示す表示可能位置に位置する)。また表示部140は、表示可能位置に位置している状態で、把持部142が把持され、表示部140を収納ケース141の収納部122内へ挿入する方向(図9の矢印H方向)へ回転スライドさせる収納操作が行われることで、表示部140全体が収納ケース141の収納部122内に収納されている状態となる(図9(A)に示す収納位置に位置する)。このように、表示部ユニット139は、収納ケース141の収納部122への表示部140の収納が可能で、かつ収納部122から引き出された表示部140が取っ手部124が設けられている側へ展開する向きで筐体70に取付けられている。
また、本第3実施形態において、鉛シート130は表示部140の背面に貼付してもよいし、収納部122の底面に貼付してもよいが、本第3実施形態に係る表示部140は円弧形状であり、表示部140の背面に鉛シート130を貼付した場合、被照射面72側から見て鉛シート130が部分的に(円弧形状の領域にのみ)配設されていることになる。これは、収納部122の底面を表示部140に倣って円弧状とした場合も同様である。このため、収納部122の底面は第1実施形態や第2実施形態と同様の矩形状とし、収納部122の底面の全面に鉛シート130を貼付するか、又は、表示部140の背面に鉛シート130を貼付する場合は、収納部122の底面のうち表示部140に対応する円弧形状の領域を除いた領域にも鉛シートを貼付することが望ましい。また、鉛シート130は鉛シート78による放射線のバック散乱の吸収低減を補助する目的で設けられているので必須ではなく、鉛シート130を省略することも可能である。
また図9(特に図9(C))に示すように、本第3実施形態では、表示部140の表示面における表示領域の形状を表示部140と同様に円弧形状としているが、表示領域がこのような形状の表示デバイスは特殊であるので、表示領域の形状は矩形状としてもよい。これにより、一般的かつ安価な表示デバイスを用いて表示部140を構成することが可能となる。なお、表示部ユニット139は本発明に係る表示部ユニット(より詳しくは請求項2,3,8に記載の表示部ユニット)に対応している。
次に本第3実施形態の作用を説明する。本第3実施形態に係る電子カセッテ22についても、表示部ユニット139を筐体70に取付けることで、放射線画像等の情報を表示部140に表示可能な構成を実現しており、表示部ユニット139を取付ける電子カセッテ本体としては、既存の電子カセッテを用いることができ、筐体70の形状等の変更は不要である。従って、本第3実施形態に係る電子カセッテ22についても、既存の電子カセッテに対して最小限の構成変更(筐体70への表示部ユニット139の取付け等)で実現することができる。
また、本第3実施形態に係る電子カセッテ22は、表示部140を収納ケース141の収納部122内に収納可能であるので、電子カセッテ22を位置58又は位置60へ移動・位置決めする際や、他の撮影室や手術室、或いは放射線画像撮影装置を搭載した車両での放射線撮影に用いるために電子カセッテ22を放射線撮影室42から持ち出す際には、前述の収納操作を行って表示部140を収納ケース141の収納部122内に収納しておくことで、表示部140が電子カセッテ22の移動の障害となることを防止することができる。
また、第3実施形態に係る電子カセッテ22は、表示部140を収納ケース141の収納部122内から引き出す方向へ回転スライドさせる展開操作を行うことで、表示部140の表示面を収納ケース141外(筐体70外)へ展開させることができるので、表示部140を筐体70外へ展開させる展開操作を容易に行うことができ、取扱性も良好である。また、前述の展開操作を行った場合、表示部140は筐体70のうち取っ手部124が設けられている側面の外側の空間へ展開されるが、電子カセッテ22の移動や位置調整は取っ手部124を把持して行われるので、上記空間は通常、他の物体が存在しない空間であり、他の物体の干渉によって表示部140を展開させることが困難となることを防止することができる。
また、第3実施形態に係る電子カセッテ22は、表示部140が回動可能に収納ケース141に支持されていると共に、表示部140が表示可能位置に位置している状態でのそれ以上の引き出しは図示しないストッパによって制限され、表示部140が収納ケース141(筐体70)と分離することのないように収納ケース141に取付けられているので、電子カセッテ22を所望の位置へ移動・位置決めした後に、表示部140を表示可能位置迄回転スライドさせ、表示部140を筐体70外に展開させた場合にも、表示部140が収納ケース141を介して筐体70に支持され、筐体70に対して図9(C)に示す位置関係で維持される。従って、表示部140を支持する支持機構等は不要であり、表示部ユニット139を設けたことで電子カセッテ22の取扱性や可搬性が低下することを回避できる。また、電子カセッテ22の筐体70に対し、被写体としての患者が図5に破線で示す位置に位置している等の場合にも、表示部140の表示面を収納ケース141外(筐体70外)に展開させることで、表示部140の表示面が患者の体と接している状態となったり、患者の体によって表示部140の表示面が隠れている状態となることを防止することができ、表示部140に表示された放射線画像等の情報を撮影者が確実に視認することができる。
〔第4実施形態〕
次に本発明の第4実施形態について説明する。なお、第1実施形態〜第3実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
図10には本第4実施形態に係る電子カセッテ22(の一部)が示されている。図10(B),(C)に示すように、本第4実施形態に係る電子カセッテ22は、筐体70のうち被照射面72と隣接する側面に表示部ユニット145が取付けられている。表示部ユニット145は、可撓性を有する長尺のシート状の表示部146と、表示部146は長手方向の一端部が取付けられた巻取軸148と、表示部146の全量が巻取軸148に巻き取られた状態での表示部146及び巻取軸148を収納可能な収納スペース(収納部150)が内部に形成された収納ケース147と、を含んで構成されている。なお、表示部146としては電子ペーパが好適である。巻取軸148は収納ケース147の収納部150内に配置されており、回転可能に収納ケース147に支持されている。図示は省略するが、収納ケース147の収納部150内には、付勢手段の付勢力によって表示部146を巻き取る方向へ巻取軸148を回転させる回転機構と、巻取軸148から表示部146の全量が引き出されると回転機構による巻取軸148の回転を阻止する状態となり、この状態から表示部146を介して巻取軸148が更に引張られると、巻取軸148の回転を阻止する状態が解除されるラッチ機構が設けられている。
また、表示部146のうち巻取軸148に取付けられている側と反対側の端部には、断面が矩形状でかつ長尺状の保護部材152が取付けられており、保護部材152には、その側面の2箇所に把持部154が取付けられている。保護部材152は、把持部154が把持され、回転機構による回転力に抗して巻取軸148から表示部146を引き出す方向に把持部154が引張られた際に、把持部154に加わった引張力を表示部146へ均一に伝達することで表示部146の破損等を防止する機能を有している。また、収納ケース147のうち筐体70に取付けられている側面と反対側の側面には、取っ手部124が取付けられていると共に、開口126が設けられている。また、収納ケース147の収納部150内の開口126に対応する箇所には、回転機構の回転力により保護部材152が図10(A)に示す位置から更に収納部150内へ入り込むことを阻止するためのストッパ(図示省略)が設けられている。
本第4実施形態に係る表示部146は、把持部154が把持され、回転機構による回転力に抗して、表示部146を収納ケース147の収納部150内から引き出す方向(図10の矢印D方向)へ引張る展開操作が行われて、巻取軸148から表示部146の全量が引き出され、回転機構による巻取軸148の回転がラッチ機構によって阻止される状態となることで、収納ケース147外(筐体70外)のうち取っ手部124が設けられている側へ展開し、表示部146の大部分が筐体70外に露出している状態(図10(C)に示す状態) となる。また、この状態から把持部154、保護部材152及び表示部146を介して巻取軸148を更に引張る収納操作が行われると、ラッチ機構による巻取軸148の回転阻止状態が解除され、表示部146を巻き取る方向へ回転機構によって巻取軸148が回転されることで、表示部146が巻取軸148に巻き取られて収納ケース147の収納部150内に収納された状態(図10(A)参照)となる。このように、本第4実施形態に係る表示部ユニット145についても、収納ケース147の収納部150内への表示部146の収納が可能で、かつ収納部150内から引き出された表示部146が取っ手部124が設けられている側へ展開する向きで筐体70に取付けられている。
なお、表示部ユニット145は本発明に係る表示部ユニット(より詳しくは請求項2,3,9に記載の表示部ユニット)に対応している。また、本第4実施形態では鉛シート130が省略されており、放射線のバック散乱の吸収低減の機能は鉛シート78によって実現される。
次に本第4実施形態の作用を説明する。本第4実施形態に係る電子カセッテ22についても、表示部ユニット145を筐体70に取付けることで、放射線画像等の情報を表示部146に表示可能な構成を実現しており、表示部ユニット145を取付ける電子カセッテ本体としては、既存の電子カセッテを用いることができ、筐体70の形状等の変更は不要である。従って、本第4実施形態に係る電子カセッテ22についても、既存の電子カセッテに対して最小限の構成変更(筐体70への表示部ユニット145の取付け等)で実現することができる。
また、本第4実施形態に係る電子カセッテ22は、表示部146を収納ケース147の収納部150内に収納可能であるので、電子カセッテ22を位置58又は位置60へ移動・位置決めする際や、他の撮影室や手術室、或いは放射線画像撮影装置を搭載した車両での放射線撮影に用いるために電子カセッテ22を放射線撮影室42から持ち出す際には、前述の収納操作を行って表示部146を収納ケース147の収納部150内に収納しておくことで、表示部146が電子カセッテ22の移動の障害となることを防止することができる。
また、第4実施形態に係る電子カセッテ22は、表示部146を収納ケース147の収納部150内から引き出す方向へ引張る展開操作を行うことで、表示部146を収納ケース147外(筐体70外)へ展開させることができるので、表示部146を筐体70外へ展開させる展開操作を容易に行うことができ、取扱性も良好である。また、前述の展開操作を行った場合、表示部146は、筐体70外のうち取っ手部124が設けられている側の外側の空間へ展開されるが、電子カセッテ22の移動や位置調整は取っ手部124を把持して行われるので、上記空間は通常、他の物体が存在しない空間であり、他の物体の干渉によって表示部146を展開させることが困難となることを防止することができる。
また、第4実施形態に係る電子カセッテ22は、表示部146の一端部が取付けられた巻取軸148が収納ケース147に回転可能に支持されており、表示部146が収納ケース147(筐体70)と分離することのないように収納ケース147に取付けられていると共に、表示部146の全量が巻取軸148から引き出されると、回転機構による巻取軸148の回転がラッチ機構によって阻止される。これにより、電子カセッテ22を所望の位置へ移動・位置決めした後に、前述の展開操作によって表示部146の全量を巻取軸148から引き出し、表示部146を筐体70外へ展開させた場合、表示部146は可撓性を有しているため、表示部146が電子カセッテ22の筐体70から垂れ下がっている状態にはなるものの、その状態でも表示部146の表示面に表示された画像等の情報の確認は可能である。従って、表示部146を支持する支持機構等は不要であり、表示部ユニット145を設けたことで電子カセッテ22の取扱性や可搬性が低下することを回避することができる。
また、電子カセッテ22の筐体70に対し、被写体としての患者が図5に破線で示す位置に位置している等の場合にも、表示部146を収納ケース147外(筐体70外)に展開させることで、表示部146の表示面が患者の体と接している状態となったり、患者の体によって表示部146の表示面が隠れている状態となることを防止することができ、表示部146に表示された放射線画像等の情報を撮影者が確実に視認することができる。
〔第5実施形態〕
次に本発明の第5実施形態について説明する。なお、第1実施形態〜第4実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
図11,12には本第5実施形態に係る電子カセッテ22(の一部)が示されている。図12に示すように、本第5実施形態に係る電子カセッテ22は、第1〜第3実施形態と同様に、筐体70のうち被照射面72と反対側の面(背面)に表示部ユニット159が取付けられている。図11に示すように、表示部ユニット159は、表示部160と、側面に取っ手部124が取付けられた収納ケース161を含んで構成されている。
図11 (C)に示すように、本第5実施形態に係る表示部160は、各々平板状でLCD等の表示デバイスから成る複数の部分表示部162が、およそ面一となるように展開可能で、かつ折り畳み可能に連結されて構成されている。図13にも示すように、個々の部分表示部162は、対向する第1及び第2の辺が第1の方向と平行で、かつ対向する第3及び第4の辺が第1の方向と直交する第2の方向に対して所定角度傾斜された四辺形状とされており、表示部160は、個々の部分表示部の第1の辺が他の部分表示部の第2の辺と連結され、第3の辺が他の部分表示部の第4の辺と連結されるように、複数の部分表示部162がマトリクス状に配列・連結されて構成されている。
なお、図示は省略するが、個々の部分表示部162の間はヒンジによって連結されている。このヒンジとしては、開閉角度が0°(全閉)〜180°(全開)とされ180°を越えて回動することを阻止する回動阻止部が設けられたヒンジが用いられている。上述した個々の部分表示部162の形状・配置は、単一の表示部160の表示面を、所謂ミウラ折りに倣って複数の部分表示部162に分割したことに相当し、個々の部分表示部162はミウラ折り状に折り畳まれるが、上記のヒンジは、複数の部分表示部162がミウラ折り状に折り畳まれる際に、個々の部分表示部162の間が山折りに回動されるか谷折りに回動されるかに応じた向きで、個々の部分表示部162の間に取付けられている。これにより、表示部160は、複数の部分表示部162がおよそ面一となるように展開されると、個々のヒンジが180°を越えて回動することが阻止されていることで、複数の部分表示部162がおよそ面一となっている状態(図11(C)に示す状態)で維持される。
また、図示は省略するが、個々の部分表示部162の間は可撓性を有する電気配線によって各々接続されており、表示部160は、この電気配線を介して伝送される信号により、複数の部分表示部162がおよそ面一となるように展開された状態で、表示部160のほぼ全面に画像等の情報を表示することが可能とされている。また、図11,13では3×3で合計9個の部分表示部162を連結した構成の表示部160を示しているが、表示部はより多数個の部分表示部を連結した構成であってもよい。
前述のように、本第5実施形態に係る表示部160は、単一の表示部160の表示面をミウラ折りに倣って複数の部分表示部162に分割した構成であり、個々の部分表示部162の形状が非長方形であるので、部分表示部162専用の表示デバイスを開発・製造せざるを得ないという欠点はあるものの、マトリクス状に配列・連結された複数の部分表示部162の展開を、単一かつ特定の部分表示部162(複数の部分表示部162が折り畳まれた状態(図11(A),(B)に示す状態)で最上層に位置する部分表示部162)に一定方向の力(図11(B)に示す矢印M方向への引張り力)を加える展開操作を行うのみで実現できると共に、およそ面一となるように展開された状態の複数の部分表示部162の折り畳みについても、前記特定の部分表示部162に一定方向の力(図11(C)に示す矢印N方向への引張り力)を加える折り畳み操作を行うのみで実現でき、複数の部分表示部162の展開・折り畳みを容易に行うことができる。本第5実施形態では、上記の特定の部分表示部162の角部に把持部164が取付けられている。
また、収納ケース161には、取っ手部124が取付けられている側面と、当該側面に隣接する側面との角部に、複数の部分表示部162が折り畳まれた状態の表示部160を収納可能な形状・大きさで、収納ケース161外に開口している収納部166が設けられている。収納部166内の角部には、被照射面72に直交する方向に沿って延びる回転軸168が立設しており、回転軸168は回転部材170の略中央に設けられた円孔を貫通しており、回転部材170は、表示部160の複数の部分表示部162のうち、複数の部分表示部162が折り畳まれた状態で最下層に位置する部分表示部162の角部付近に取付けられている。
これにより、表示部160は、複数の部分表示部162が折り畳まれているか展開されているかに拘わらず、回転軸168を中心として回動可能とされている(複数の部分表示部162が折り畳まれている状態での表示部160の回動を図11(A),(B)に示し、複数の部分表示部162が展開されている状態での表示部160の回動を図13(A)〜(C)に示す)。表示部160は、複数の部分表示部162が折り畳まれている状態で、回転軸168を中心として図11(A)の矢印J方向へ回動させる操作(引き出し操作)が行われることで、図11(B)に示すように収納ケース161の収納部166内から引き出され、回転軸168を中心として図11(B)の矢印K方向へ回動させる操作(収納操作)が行われることで、図11(A)に示すように収納ケース161の収納部166内に収納される。また表示部160は、複数の部分表示部162がおよそ面一となるように展開されている状態では、回転軸168を中心とする回動に伴い、図13(A)に示すように、表示部160が筐体70外のうち、取っ手部124が設けられている側の外側の空間に位置している状態や、図13(C)に示すように、表示部160が筐体70外のうち、取っ手部124が設けられている側と隣り合う側面の外側の空間に位置している状態、或いは図13(B)に示すようにその中間の状態をとり得る。このように、本第5実施形態に係る表示部ユニット159についても、収納ケース161の収納部166への表示部160の収納が可能で、かつ収納部166から引き出された表示部160が取っ手部124が設けられている側へ展開可能な向きで筐体70に取付けられている。
また、表示部160の複数の部分表示部162のうち、複数の部分表示部162が折り畳まれた状態で最下層に位置する部分表示部162には、複数の部分表示部162が折り畳まれ、かつ表示部160が収納部166内に収納されている状態で、筐体70外へ露出する側の側面に把持部172が取付けられている。この把持部172を把持することで、収納部166内に収納されている表示部160の引き出しを容易に行うことができる。
なお、表示部ユニット159は本発明に係る表示部ユニット(より詳しくは請求項2,3,10〜12に記載の表示部ユニット)に対応しており、取っ手部124は請求項2に記載の取っ手部に、把持部164は請求項3に記載の把持部に各々対応している。
次に本第5実施形態の作用を説明する。本第5実施形態に係る電子カセッテ22についても、表示部ユニット159を筐体70に取付けることで、放射線画像等の情報を表示部160に表示可能な構成を実現しており、表示部ユニット159を取付ける電子カセッテ本体としては、既存の電子カセッテを用いることができ、筐体70の形状等の変更は不要である。従って、本第5実施形態に係る電子カセッテ22についても、既存の電子カセッテに対して最小限の構成変更(筐体70への表示部ユニット159の取付け等)で実現することができる。
また、第5実施形態に係る電子カセッテ22は、表示部160を収納ケース161の収納部166内に収納可能であるので、電子カセッテ22を位置58又は位置60へ移動・位置決めする際や、他の撮影室や手術室、或いは放射線画像撮影装置を搭載した車両での放射線撮影に用いるために電子カセッテ22を放射線撮影室42から持ち出す際には、前述の折り畳み操作、収納操作を順に行って表示部160を収納ケース161の収納部166内に収納しておくことで、表示部160が電子カセッテ22の移動の障害となることを防止することができる。
また、第5実施形態に係る電子カセッテ22は、表示部160を収納ケース161の収納部166内から引き出す引き出し操作、複数の部分表示部162をおよそ面一となるように展開させる展開操作を順に行うことで、表示部160の表示面を収納ケース161外(筐体70外)へ展開させることができるので、表示部160の表示面を筐体70外へ展開させる展開操作を容易に行うことができ、取扱性も良好である。また、本第5実施形態では、前述の引き出し操作時に(前述の展開操作を行う前に)、複数の部分表示部162が折り畳まれた状態の表示部160の位置(回転軸168の軸回りの位置)を調整しておくことで、表示部160(の表示面)を、筐体70外のうち取っ手部124が設けられている側面の外側の空間へ展開させる(図13(A)や図13(B)に示す位置へ展開させる)ことが可能であるが、電子カセッテ22の移動や位置調整は取っ手部124を把持して行われるので、上記空間は通常、他の物体が存在しない空間であり、他の物体の干渉によって表示部160の表示面を展開させることが困難となることを防止することができる。
また、第5実施形態に係る電子カセッテ22は、表示部160を構成する特定の部分表示部162が、回転部材170、回転軸168を介して収納ケース161に支持されており、表示部160が収納ケース161(筐体70)と分離することのないように収納ケース161に取付けられているので、電子カセッテ22を所望の位置へ移動・位置決めした後に、前述の引き出し操作によって表示部160が収納部166から引き出され、前述の展開操作によって複数の部分表示部162がおよそ面一となるように展開された状態でも、表示部160が収納ケース161を介して筐体70に支持され、筐体70に対して図11(C)や図13(A)〜(C)に示す位置関係で維持されると共に、表示部160自体も複数の部分表示部162がおよそ面一となっている状態で維持される。従って、表示部160を支持する支持機構等は不要であり、表示部160を設けたことで電子カセッテ22の取扱性や可搬性が低下することを回避できる。
また、電子カセッテ22の筐体70に対し、被写体としての患者が図5に破線で示す位置に位置している等の場合にも、表示部160の表示面を筐体70外に展開させることで、表示部160の表示面が患者の体と接している状態となったり、患者の体によって表示部160の表示面が隠れている状態となることを防止することができ、表示部160に表示された放射線画像等の情報を撮影者が確実に視認することができる。更に、表示部160は、複数の部分表示部162がおよそ面一となるように展開されている状態でも図13(A)〜(C)に示すように回動可能であるので、電子カセッテ22の配置位置や姿勢等に応じて、表示部160の表示面に表示された情報がより視認し易い位置へ表示部160を回動させることも可能となる。
なお、第5実施形態では、ミウラ折り状に折り畳み可能な表示部160を説明したが、これに代えて蛇腹状に折り畳み可能な表示部を設けてもよい。
また、上記では過去に撮影され今回の撮影に関連する放射線画像として、過去に撮影され、今回の撮影と患者が同一かつ撮影部位が同一の放射線画像を表示部に表示させる態様を説明したが、これに限られるものではなく、過去に撮影され今回の撮影と撮影部位が同一の放射線画像を、過去に撮影され今回の撮影に関連する放射線画像として表示部に表示させるようにしてもよい。
また、上記では過去に撮影した関連する放射線画像のデータを、コンソール26経由でRISサーバ14から取得する態様を説明したが、これに限定されるものではなく、過去に撮影した放射線画像のデータを電子カセッテ22の画像メモリ104に記憶しておき、放射線画像の撮影を行う際に、画像メモリ104に記憶されている放射線画像のデータの中から関連する放射線画像のデータを検索・抽出して表示部に表示させるようにしてもよい。
また、過去に撮影した関連する放射線画像を表示部120等に表示させることは必須の処理ではなく、撮影者が指示した場合にのみ上記放射線画像を表示部120に表示させるようにしてもよいし、上記放射線画像を表示部120等に表示させる機能を省略し、今回撮影した放射線画像のみを表示部120に表示させるようにしてもよい。
また、上記では表示部が、電子カセッテ22の筐体70外のうち取っ手部124が設けられている特定の側面の外側の空間へ展開される態様を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、請求項1記載の発明は、表示部が電子カセッテ22の筐体70外のうち特定の側面以外の面の外側の空間へ展開する態様も権利範囲に含んでいる。