JP4860173B2 - 酸化物分散強化型の白金材料及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、白金中に金属酸化物微粒子を分散させた酸化物分散強化型の白金材料に関し、特に2mm以上に粗大化させた鱗片形状の白金結晶粒が層状に積層した酸化物分散強化型の白金材料とその製造方法に関するものである。ここで、本発明の白金材料の製造方法は、繰り返し重ね接合圧延(Accumulative Roll−Bonding:ARB)の工程を経るものである。
例えばガラス溶解用の構造材としては、高温クリープ強度特性が優れた酸化物分散強化型の白金材料が使用されている。ここで、高温クリープ強度特性をさらに向上させるために、白金材料を構成する白金結晶粒を、平均結晶粒径が200〜1500μm且つ平均結晶粒アスペクト比が20以上となるように粗大化させる技術が開示されている(例えば特許文献1を参照。)。
またARB法は、複数の金属板を積層して接合圧延を行い、超微細組織高強度金属板を製造する方法である(例えば特許文献2を参照)。特許文献2に記載されたARB法は、表面を清浄化した複数の金属板を積層し、その先端部を接合する工程と、先端部を接合された積層板を、再結晶温度未満で回復が起こる温度域に加熱する工程と、再結晶温度未満で回復が起こる温度域に加熱された積層板を、所定の板厚まで圧延して接合する工程と、接合圧延された積層板を長手方向に所定の長さに切断して、複数の金属板となし、これらの表面を清浄化する工程とを複数サイクル繰り返し行なうことにより、金属板の平均結晶粒径を1μm以下に微細化するという技術である。ここで、繰り返し重ね接合圧延する際、いわゆる冷間圧延を行なうものである。
特開2002−12926号公報 特許第2961263号公報
しかし、特許文献1に記載された白金材料では、白金結晶粒を、平均結晶粒径が200〜1500μm且つ平均結晶粒アスペクト比が20以上となるように粗大化させているというものの、主として白金結晶粒を圧延法線方向に粗大化させるものである。したがって、粒界で破断が生じやすいとすれば、板材としたときに粒界に沿って圧延法線方向に連続した亀裂が生じやすく、高温クリープ強度は必ずしも充分とはいえない。
一方、特許文献2に記載された高強度金属板の製造方法は、金属結晶粒を1μm以下と微細化し、超微細組織により高強度化を図る技術であり、結晶粒の粗大化とは無縁の技術である。
本発明の目的は、少なくとも圧延加工が施された酸化物分散強化型の白金材料において、該白金材料を構成する白金結晶粒を、圧延方向(RD方向)、圧延幅方向(TD方向)及び圧延法線方向(ND方向)のいずれにも大きく伸長させた粗大結晶粒組織に制御することで、高温クリープ強度特性を向上させることであり、また、該粗大結晶粒組織を得るための最適な製造方法を提供することである。
本発明者らは、酸化物分散強化型の白金板を繰り返し重ね接合圧延するに際して、冷間圧延ではなく熱間圧延を行なって大きなひずみを導入しておき、その後アニール処理を施すことで、白金板を構成する白金結晶粒が圧延方向、圧延幅方向及び圧延法線方向のいずれにも大きく伸長し、鱗片形状の白金結晶粒となることを見出した。そして、この鱗片形状の白金結晶粒が白金材料内で板材の表面とほぼ平行で層状に分布することとなったため、(1)圧延法線方向の粒界が減少し破壊が連続的に起こり難くなること、(2)大きな粒成長により、高温において変形に寄与する粒界すべりの頻度が従来のものよりも少なくなること、によって、白金材料の高温クリープ強度特性が向上されることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明に係る酸化物分散強化型の白金材料は、白金中に金属酸化物粒子が分散されており、少なくとも圧延加工が施された板状の酸化物分散強化型の白金材料において、前記金属酸化物粒子の粒子径は、0.1〜1μmであり、該白金材料の板厚は4mm以下であり、該白金材料の白金結晶粒は、圧延法線方向に対する直交方向での平均結晶粒径をaとし、前記圧延法線方向と前記直交方向のいずれの方向に対しても直交関係となる方向での平均結晶粒径をbとしたとき(但しa≧bとする)、比a/bが1以上5以下でaが2mm〜10mmの鱗片形状を有し、且つ該白金材料内で圧延法線方向に5〜20層で積層していることを特徴とする。クリープ時の亀裂の伝播距離が長くなって亀裂の伝播が遅れるため、高温クリープ強度の向上につながる。
本発明に係る酸化物分散強化型の白金材料では、前記白金材料は、接合圧延加工がなされていることが含まれる。
本発明に係る酸化物分散強化型の白金材料の製造方法は、白金中に粒子径が0.1〜1μmの金属酸化物粒子が分散された酸化物分散強化型の白金材料からなり、板厚が4mm以下の白金板を積層したものを600℃以上白金融点温度未満に加熱した状態で接合圧延加工することを繰り返して接合板を得る工程と、前記接合圧延加工して得た接合板を1200℃以上白金融点温度未満でアニールを0.5〜150時間行なうことにより、白金結晶粒を圧延方向、圧延幅方向及び圧延法線方向のいずれにも結晶粒成長させる工程と、を有することを特徴とする。アニールを0.5〜150時間行なうことで白金結晶粒が充分に伸長することとなる。
本発明に係る酸化物分散強化型の白金材料の製造方法では、接合圧延加工を4回以上繰り返すことが好ましい。4回以上接合圧延加工を繰り返すことにより、2枚=16枚以上の板が接合圧延されたこととなり、効率良く巨大なひずみを与えることができ、その大きなひずみがアニール時に開放される際に、圧延方向、圧延幅方向及び圧延法線方向のいずれにも結晶粒成長させる駆動力となる。
本発明は、少なくとも圧延加工が施された酸化物分散強化型の白金材料において、該白金材料を構成する白金結晶粒を、圧延方向、圧延幅方向及び圧延法線方向のいずれにも大きく伸長させた粗大結晶粒組織に制御することで、高温クリープ強度特性を向上させることができる。
以下、本発明について詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。まず、本実施形態に係る酸化物分散強化型の白金材料の製造方法を説明する。
本実施形態に係る酸化物分散強化型の白金材料の製造方法は、酸化物分散強化型の白金板を熱間で繰り返し重ね接合圧延した後、得られた接合板をアニール処理するものである。以下、工程順に説明する。
(接合圧延1回目)
まず、白金中に金属酸化物粒子が分散された酸化物分散強化型の白金材料からなる白金板を積層する。ここで、金属酸化物粒子としては、酸化ジルコニウムが例示される。金属酸化物粒子の粒子径は、0.1〜1μmとすることが好ましい。金属酸化物粒子の粒子径が0.1μm未満であると、酸化物分散強化の効果が低く、一方、1μmを超えると、繰り返し重ね接合圧延した際に粒子の破壊が生じやすくなる。白金材料の板厚は4mm以下とする。板厚が4mmを超えると安定的なひずみを与えることが困難となるからである。次に積層した白金板を600℃以上白金融点温度未満に加熱した状態で接合圧延加工して接合板を得る。加熱温度は、好ましくは700〜1550℃とする。熱間圧延とすることで接合されやすくなると共に後述するアニール工程において、圧延方向、圧延幅方向及び圧延法線方向のいずれにおいても結晶粒成長が冷間圧延した場合と比較して助長される。加熱温度を600℃未満とすればアニール工程において結晶粒成長が抑制され、加熱温度を白金融点温度以上とすると、白金が融解してしまい接合板が得られない。このときの圧化率は40〜60%とすることが好ましい。
(接合圧延2回目以降)
次に前記接合板を切断して複数の接合板となし、該複数の接合板を積層する。接合板の重ね方向は、圧延方向が揃うように重ねても良く、或いは、圧延方向が異なるように重ねても良い。また、別途同条件で得た接合板を混在させて積層しても良い。次に接合圧延1回目と同様に600℃以上白金融点温度未満に加熱した状態で再度接合圧延加工して接合板を得る。ここで、接合圧延1回目と接合圧延2回目の加熱温度は、上記温度範囲内であれば同じ温度としても異なる温度としても良い。圧化率は接合圧延1回目と同様に40〜60%とすることが好ましい。そして、このような接合圧延を繰り返す。接合圧延加工は4回以上繰り返すことが好ましい。4回以上接合圧延加工を繰り返すことにより、2枚=16枚以上の板が接合圧延されたこととなり、効率よく巨大なひずみを与えつつ、圧延法線方向における接合面の数を増やすことができる。なお、接合板に対する圧延方向は、前回と同一方向としてもよいし、前回とずらして異なる方向に圧延しても良い。
(アニール工程)
次に再度接合圧延加工して得た接合板を1200℃以上白金融点温度未満でアニールする。白金結晶粒の粒成長を効率良く助長するために好ましくは1400〜1600℃でアニールする。ここで、繰り返し重ね接合圧延において熱間圧延とし、さらにアニールすることにより、次の現象が生じる。すなわち、例えば10回接合圧延が繰り返されることで、接合面は理論的には210枚となるが、アニール工程を経た後に例えば圧延幅方向横断面の顕微鏡観察を行なった場合、5〜20層程度に見える場合がある。この理由は、繰り返し重ね接合圧延において冷間圧延又は熱間圧延のいずれを行なった場合でも大きなひずみが白金結晶粒に生じることとなるが、熱間圧延をしておくことで、結晶粒成長が圧延方向、圧延幅方向及び圧延法線方向のいずれの方向においても、冷間圧延をしておいた場合と比較して、助長されるからと考えられる。よって、例えば圧延幅方向横断面の顕微鏡観察で観察可能な接合面は、アニールによりその多くが消失することとなる。さらにアニールにより、白金結晶粒は圧延法線方向よりも圧延方向及び圧延幅方向により結晶粒成長が助長される。なお、接合圧延していることから白金結晶粒は圧延方向横断面における圧延幅方向よりも圧延方向横断面における圧延方向により伸長する。ここで接合板の重ね方向又は圧延方向は、方向をそろえても良いが、接合圧延のたびにずらして異なる方向としても良い。接合板の重ね方向又は圧延方向のずらし方を大きくするにつれて、板表面に対して平行の断面上における結晶粒成長方向の異方性を少なくできる。すなわち、白金材料の白金結晶粒は、圧延法線方向に対する直交方向での平均結晶粒径をaとし、前記圧延法線方向と前記直交方向のいずれの方向に対しても直交関係となる方向での平均結晶粒径をbとしたとき(但しa≧bとする)、比a/bが1以上5以下でaが2mm〜10mmの鱗片形状に伸張し、粗大化する。板表面に対して平行の断面上における結晶粒成長方向の異方性を少なくすることで前記比a/bが1以上5以下となる。さらに鱗片形状の白金結晶粒は、白金材料内で圧延法線方向に5〜20層に積層している。この理由は、アニール時に大きなひずみエネルギーが解放されるために、結晶粒成長が生じるが、接合面を原子が拡散しづらいため、圧延法線方向よりも圧延方向及び圧延幅方向により結晶粒成長がし易くなるからと考えられる。ただし、接合圧延によって形成された接合面よりも観察される粒界が少ないのは、圧延法線方向においても少なからず結晶粒成長が生じているからである。ここで、アニールは、繰り返し重ね接合圧延において白金結晶粒に蓄えられた大きなひずみエネルギーが解放され充分に結晶粒成長が行われるように、0.5〜150時間行なうことが好ましい。より好ましくは1〜10時間である。0.5時間未満では充分な結晶粒成長が行われず、150時間を超えても結晶粒成長が終了してしまっているため効果が薄い。
このようにして得られた本実施形態に係る酸化物分散強化型の白金材料は、白金中に金属酸化物粒子が分散されており、少なくとも圧延加工が施された板状の酸化物分散強化型の白金材料であり、白金材料の板厚は4mm以下であり、白金材料の白金結晶粒は、圧延法線方向に対する直交方向での平均結晶粒径をaとし、前記圧延法線方向と前記直交方向のいずれの方向に対しても直交関係となる方向での平均結晶粒径をbとしたとき(但しa≧bとする)、比a/bが1以上5以下でaが2mm〜10mmの鱗片形状を有し、且つ該白金材料内で圧延法線方向に5〜20層で積層している。なお、圧延法線方向に対する直交方向と圧延法線方向と直交方向のいずれの方向に対しても直交関係となる方向とは、互いに直交関係を満足していれば、必ずしも圧延方向又は圧延幅方向と一致している必要はない。白金結晶粒の鱗片面同士の界面は、アニール工程を経ることによって白金結晶粒が粒成長するため、顕微鏡観察では判別しがたい程度に消失しているが、ここで観察された界面は、重ねられた白金板同士の密着面が圧延により接合された接合面に由来するものと考えられる。
本実施形態に係る酸化物分散強化型の白金材料は、HIP等で白金板をあらかじめ接合しておき、その接合板に冷間圧延を行ない、その後アニールすることによっても得ることができる。冷間圧延は、600℃未満で行ない、アニールは1200℃以上白金融点温度未満で行なうことが好ましい。
(実施例1)
酸化ジルコニウムを分散させた酸化物分散強化型の白金板(フルヤ金属製)を準備した。白金板の厚さは1.2mm厚とした。これを2枚重ねとし、圧化率を50%、加熱温度800℃として、熱間で接合圧延を行なった。次に、得られた接合板を2つに切断し、これを2枚重ねとし、圧化率を50%、加熱温度800℃として、接合圧延を行なった。このサイクルを繰り返して、合計8サイクルの接合圧延を行なった。次に、得られた接合板を空気中で1500℃、100時間の条件でアニールを行なった。
(実施例2)
接合圧延における加熱温度を1000℃とした以外は実施例1と同様にして接合板を作成し、実施例1と同様のアニールを行なった。
(比較例1)
実施例1と同様の白金板を準備し、これを2枚重ねとし、圧化率を50%、加熱せずに冷間で接合圧延を行なった。次に、実施例1と同様のアニールを行なった。
図1は実施例1の白金材料の顕微鏡画像を示し、NDは表面の画像、TDは最終圧延幅方向横断面の画像、RDは最終圧延方向横断面の画像をそれぞれ示した。なお、図1において、最終圧延幅方向横断面における圧延方向をAと表記し、最終圧延方向横断面における圧延幅方向をBと表記し、圧延法線方向をCと表記して、それぞれの方向を示した。図2は実施例2の白金材料の顕微鏡画像を示した。ND、TD及びRDは図1と同様である。図3は比較例1の白金材料の顕微鏡画像を示した。ND、TD及びRDは図1と同様である。また、圧延法線方向に対する直交方向での平均結晶粒径aは、A方向における平均結晶粒径とした。また、前記圧延法線方向と前記直交方向のいずれの方向に対しても直交関係となる方向での平均結晶粒径bは、B方向における平均結晶粒径とした。
図4に実施例1、実施例2及び比較例1の各白金材料のクリープ強度特性を測定して得られた結果をグラフに示した。クリープ強度特性試験は、試験片を厚さ1.2mmとし、種々の荷重を負荷した状態で、温度1500℃雰囲気中に放置した際のクリープ破断時間を調べることにより行なったものである。図中、比較例1aは圧延方向における強度、比較例1bは圧延幅方向における強度を示す。
図5に実施例1及び比較例1の各白金材料について、クリープ強度特性試験後の最終圧延幅方向横断面となる破断部の顕微鏡画像を示した。(a)は実施例1、(b)は比較例1である。
図1と図2を参照すると、実施例1と実施例2の白金材料は、圧延幅方向(TD)、圧延方向(RD)共に粒成長した鱗片形状の白金結晶粒が板表面と平行に層状に積層されていることがわかる。図1又は図2の顕微鏡画像を参照しても、鱗片形状の白金結晶粒が、圧延方向に大きく伸張して画像枠外にはみ出るため、白金結晶粒の最終圧延幅方向横断面における圧延方向の平均結晶粒径は判別しがたいが、顕微鏡観察に基づく測定を行なったところ、白金結晶粒のaは2mm〜10mmであった。また、最終圧延幅方向横断面における圧延方向の平均結晶粒径aと最終圧延方向横断面における圧延幅方向の平均結晶粒径bの比a/bは1以上5以下であった。一方、図3の比較例1の顕微鏡画像を参照すると、圧延方向に伸張した鱗片形状の白金結晶粒が観察されるが、最終圧延方向横断面における圧延幅方向の平均結晶粒径は1mm以下で、アニールによる白金結晶粒の粒成長は見られなかった。さらに、図1と図2を参照すると、実施例1と実施例2の白金材料は、圧延法線方向に白金結晶粒が5〜10層程度の層状をなしていることが観察された。ここで接合圧延を8サイクル行なっていることから、接合板の層数は256層と計算されるが、実際観察された白金結晶粒が5〜10層程度であることから、圧延法線方向にも結晶粒の粒成長があったと考えられる。一方、図3を参照すると、比較例1の白金材料は、実施例1と実施例2の白金材料よりも圧延法線方向における白金結晶粒の粒界数が多いことから、圧延法線方向の結晶粒の粒成長は少ないと考えられる。このように、実施例1と実施例2の白金材料の板移動方向と圧延法線方向の結晶粒の粒成長は、接合圧延を熱間で行なったこととその後のアニール処理によるものと考えられる。
図4を参照すると、実施例1と実施例2は、いずれも比較例1a、比較例1bよりもクリープ強度特性が向上していることが判明した。実施例1及び実施例2では大きな結晶粒成長により、高温において変形に寄与する粒界すべりの頻度が比較例1のものよりも少なかったと考えられる。
図5を参照すると、実施例1と比較例1は共に粒界に沿って亀裂が伝播していると観察された。しかし、実施例1では、aが2mm〜10mmで鱗片形状を有し且つ白金材料内で表面とほぼ平行で層状に分布しているという組織を有しているため、亀裂の伝播距離が長い。このため、亀裂の伝播を遅らせることができるので、強度の向上を図ることができる。一方、比較例1では、aが1mm以下であるため、亀裂の伝播距離が短い。
ここで、図6に実施例1及び比較例1の各白金材料について、クリープ強度特性試験後の最終圧延幅方向横断面の破断部の亀裂の伝播のモデル図を示した。図6のモデル図で示されるように、実施例1では圧延法線方向の亀裂の粒界が減少しており、連続的に破壊が起こりにくくなっている。
以上のように実施例1及び実施例2では、粗大結晶粒を圧延時の圧延方向に形成させることにより、高温クリープ強度特性が大きく改善されたことがわかった。
実施例1の白金材料の顕微鏡画像を示し、NDは表面の画像、TDは最終圧延幅方向横断面の画像、RDは最終圧延方向横断面の画像をそれぞれ示した。 実施例2の白金材料の顕微鏡画像を示し、NDは表面の画像、TDは最終圧延幅方向横断面の画像、RDは最終圧延方向横断面の画像をそれぞれ示した 比較例1の白金材料の顕微鏡画像を示し、NDは表面の画像、TDは最終圧延幅方向横断面の画像、RDは最終圧延方向横断面の画像をそれぞれ示した 実施例1、実施例2及び比較例1の各白金材料のクリープ強度特性を表す応力破断曲線を示した。比較例1aは圧延方向における強度、比較例1bは圧延幅方向における強度を示す。 実施例1及び比較例1の各白金材料について、クリープ強度特性試験後の最終圧延幅方向横断面となる破断部の顕微鏡画像であり、(a)は実施例1、(b)は比較例1を示した。 実施例1及び比較例1の各白金材料について、クリープ強度特性試験後の最終圧延幅方向横断面となる破断部の亀裂の伝播のモデル図である。
符号の説明
1,引張応力
2,亀裂
3,粒界

Claims (4)

  1. 白金中に金属酸化物粒子が分散されており、少なくとも圧延加工が施された板状の酸化物分散強化型の白金材料において、
    前記金属酸化物粒子の粒子径は、0.1〜1μmであり、
    該白金材料の板厚は4mm以下であり、
    該白金材料の白金結晶粒は、圧延法線方向に対する直交方向での平均結晶粒径をaとし、前記圧延法線方向と前記直交方向のいずれの方向に対しても直交関係となる方向での平均結晶粒径をbとしたとき(但しa≧bとする)、比a/bが1以上5以下でaが2mm〜10mmの鱗片形状を有し、且つ該白金材料内で圧延法線方向に5〜20層で積層していることを特徴とする酸化物分散強化型の白金材料。
  2. 前記白金材料は、接合圧延加工がなされていることを特徴とする請求項1記載の酸化物分散強化型の白金材料。
  3. 白金中に粒子径が0.1〜1μmの金属酸化物粒子が分散された酸化物分散強化型の白金材料からなり、板厚が4mm以下の白金板を積層したものを600℃以上白金融点温度未満に加熱した状態で接合圧延加工することを繰り返して接合板を得る工程と、
    前記接合圧延加工して得た接合板を1200℃以上白金融点温度未満でアニールを0.5〜150時間行なうことにより、白金結晶粒を圧延方向、圧延幅方向及び圧延法線方向のいずれにも結晶粒成長させる工程と、を有することを特徴とする酸化物分散強化型の白金材料の製造方法。
  4. 接合圧延加工を4回以上繰り返すことを特徴とする請求項3記載の酸化物分散強化型の白金材料の製造方法。
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