JP6730907B2 - 連続焼鈍炉用のハースロール及び連続焼鈍炉用のハースロールの製造方法 - Google Patents

連続焼鈍炉用のハースロール及び連続焼鈍炉用のハースロールの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6730907B2
JP6730907B2 JP2016202681A JP2016202681A JP6730907B2 JP 6730907 B2 JP6730907 B2 JP 6730907B2 JP 2016202681 A JP2016202681 A JP 2016202681A JP 2016202681 A JP2016202681 A JP 2016202681A JP 6730907 B2 JP6730907 B2 JP 6730907B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer sleeve
outer layer
sleeve
inner layer
hearth roll
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016202681A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018062700A (ja
Inventor
植野 雅康
雅康 植野
三宅 勝
勝 三宅
健太郎 石井
健太郎 石井
岡田 圭司
圭司 岡田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Daido Castings Co Ltd
Original Assignee
JFE Steel Corp
Daido Castings Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp, Daido Castings Co Ltd filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2016202681A priority Critical patent/JP6730907B2/ja
Publication of JP2018062700A publication Critical patent/JP2018062700A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6730907B2 publication Critical patent/JP6730907B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)
  • Heat Treatments In General, Especially Conveying And Cooling (AREA)

Description

本発明は、連続焼鈍炉用のハースロール及び連続焼鈍炉用のハースロールの製造方法に関する。
冷間圧延にて加工硬化した金属帯は、通常、熱処理による焼きなまし(焼鈍)処理が行われている。このような焼鈍処理は、金属帯をプレス等で成形する際、加工硬化した状態では曲げや絞りといった加工性に劣ることから、熱処理により転位を取り除いて、金属帯の加工性を向上させる為に行われる。近年、金属帯の焼鈍処理には、生産性の高い連続焼鈍炉が多用されている。連続焼鈍炉では、金属帯コイルから払い出されたコイル長手方向の尾端部と次コイルの先端部とを順次接合しながら、複数の金属帯を連続して焼鈍処理することで、長時間にわたって連続した熱処理を行うことができる。通常、連続焼鈍炉は、金属帯の入口側より順番に加熱帯、均熱帯及び冷却帯から構成されており、所望の焼鈍処理をするための熱処理パターンにしたがって各帯での温度設定がなされている。金属帯は、炉内各帯の上部及び下部に設置されている複数の搬送ロールにより、加熱帯から冷却帯までを上下に順番に通板方向を変えながら搬送されていく。
ここで、薄鋼板の連続焼鈍処理を例にとると、加熱帯では、薄鋼板を常温の状態から搬送中に最高温度が600℃〜800℃程度にまでに加熱する加熱処理が実施される。次いで、均熱帯では、加熱帯で加熱された温度近辺での均熱処理が実施される。さらに、冷却帯では、段階的な温度パターン設定により、薄鋼板の温度が100℃以下となるまで、冷却処理が実施される。
この際、薄鋼板を搬送するために炉内に設けられる搬送ロール(以下、「ハースロール」とよぶ。)は、炉内各帯の雰囲気温度で加熱されるのみならず、薄鋼板とロール温度(概ね雰囲気温度と一致する)との温度差に応じて、接触による入熱や抜熱によって加熱又は冷却される。このため、ハースロールは、ロール軸方向に温度分布が生じ、ロール表面が凹形状あるいは凸形状に変化する。このようなロール表面の形状変化が生じると、ロール表面が凹形状では薄鋼板の蛇行現象、凸形状では薄鋼板のバックリング現象(皺状の疵が発生する現象であり、以後、絞りとよぶ)が発生しやすくなる。これらの現象に対して、実操業では経験的に通板速度を低下させることでロール形状の変化を低減させる対策がとられており、生産性を低下させる大きな要因となっている。また、近年、飲料缶などに使用されるブリキ材等では薄ゲージ化が進んでおり、低コスト化のために高速化による連続焼鈍炉での熱処理生産性の向上が重要となっている。
ハースロールの熱膨張によるプロフィル変化を抑制する方法としては、連続焼鈍炉用ハースロールを複層構造としてロール軸方向の温度分布を緩和する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1の技術は、耐熱鋼からなる外層スリーブに、外層スリーブよりも熱伝導性の高い金属材料からなる内層スリーブを結合させるものであり、軸方向の熱伝導を促進させ、ロール全体の温度分布、延いてはロールの熱膨張プロフィル変化を緩和することができる。このような機能を有するハースロールの製造方法としては、高熱伝導材を溶融して結合する技術(例えば、特許文献2)が提案されている。また、遠心鋳造技術により耐熱鋼からなる外層スリーブを製造した後、その内面に高熱伝導性の金属材料を遠心鋳造にて鋳込んで内層スリーブを形成する技術(例えば、特許文献3)が提案されている。
特開昭62−127428号公報 特開平4−247821号公報 特開平6−615号公報
ところで、特許文献1〜3の複層構造のハースロールは、ロール軸方向に生じる大きな温度分布を改善することのみに主眼が置かれており、物性の異なる金属を結合して使用することによって生ずる結合界面の寿命に関しては、一切言及がされていない。
異なる材料が接合した異材接合体では、界面上における材料の不連続により、外力や温度変化が作用すると、接合界面が自由縁と交差する接合端部(異材界面端)近傍において応力場が弾性論上無限大となる特異性を示す場合がある。このような特異性を示す場合、接合体の強度が著しく低下することとなる。
つまり、特許文献1〜3の複層構造のハースロールでは、異材界面端の応力特異性を考慮したものとはなっておらず、実機操業における昇降温過程で繰返し作用する熱応力によって、異材界面端に極めて大きな応力が作用する場合があった。そして、このような場合には、接合界面の剥離が生じ、所望の均熱効果が得られないために、搬送中の金属帯の蛇行や絞り現象が生じ、安定的な搬送ができなくなるという問題があった。また、ハースロールの寿命が短くなるという問題があった。
そこで、本発明は上述した事情に鑑みてなしえたものであり、金属帯の安定的な搬送を可能とし、かつ長寿命化を可能とする連続焼鈍炉用のハースロール及び連続焼鈍炉用のハースロールの製造方法を提供することを目的としている。
本発明の一態様によれば、耐熱鋼からなる円筒状の外層スリーブと、この外層スリーブよりも熱伝導性が高く、銅を含む金属からなり、上記外層スリーブの内周面に外周面が接合する円筒状の内層スリーブと、を備え、上記外層スリーブと上記内層スリーブとの接合界面に対して上記外層スリーブの軸方向端部の自由縁がなす角度θ、及び上記接合界面に対して上記内層スリーブの軸方向端部の自由縁がなす角度θは、(1)式を満たし、且つ(2)式または(3)式のいずれか一方を満たすことを特徴とする連続焼鈍炉用のハースロールが提供される。
θ+θ=180°±10° ・・・(1)
55°≦θ≦80° ・・・(2)
125°≦θ<180° ・・・(3)
本発明の一態様によれば、耐熱鋼からなる円筒状の外層スリーブと、この外層スリーブよりも熱伝導性が高く、上記外層スリーブの内周面に外周面が接合する円筒状の内層スリーブとを有する複層構造の円筒スリーブの軸方向の端部を機械加工するスリーブ加工工程と、上記スリーブ加工工程の後、上記外層スリーブの軸方向の端とアクスルとを接合させるアクスル接合工程とを備え、上記スリーブ加工工程では、上記外層スリーブと上記内層スリーブとの接合界面に対して上記外層スリーブの軸方向端部の自由縁がなす角度θ1、及び上記接合界面に対して上記内層スリーブの軸方向端部の自由縁がなす角度θ2が、(1)式を満たし、且つ(2)式または(3)式のいずれか一方を満たすように、上記外層スリーブ及び上記内層スリーブの軸方向の端部を成形することを特徴とする連続焼鈍炉用のハースロールの製造方法が提供される。
本発明の一態様によれば、金属帯の安定的な搬送を可能とし、かつ長寿命化を可能とする連続焼鈍炉用のハースロール及び連続焼鈍炉用のハースロールの製造方法が提供される。
本発明の一実施形態に係るハースロールを示す断面図である。 図1のI−I線断面図である。 ハースロールを示す部分断面図である。 ハースロールを示す部分断面図である。 異材接合体における異材界面端を示す模式図である。 異材接合体における応力特異性の出現及び消失条件を示すグラフである。 ハースロールの外層スリーブに用いられる耐熱鋼及び内層スリーブに用いられる銅の横弾性係数の温度に対する変化を示すグラフである。
以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の細部について記載される。しかしながら、かかる特定の細部がなくても1つ以上の実施態様が実施できることは明らかであろう。他にも、図面を簡潔にするために、周知の構造及び装置が略図で示されている。
<ハースロールの構成>
まず、図1〜図4を参照して、本発明の一実施形態に係るハースロール1の構成について説明する。ハースロール1は、回転中心軸を通る断面である図1に示すように、外層スリーブ2と、内層スリーブ3と、アクスル4と、軸部5とを備える。また、ハースロール1は、熱処理される金属帯が薄鋼板である、連続焼鈍炉に用いられる。このような連続焼鈍炉では、通板時にハースロール1には大きな力が加わらないために過度の剛性が不要である。また、金属帯毎の機械的特性や板寸法に合わせた通板速度の変更に対応するため、回転慣性を小さくする必要がある。このため、ハースロール1の内部は空洞になっている。
外層スリーブ2は、中空の円筒状の形状を有し、耐熱鋼からなる。外層スリーブ2に用いられる耐熱鋼は、25Cr−24Ni鋼であり、縦弾性係数が214GPaで、ポアソン比が0.3である。外層スリーブ2の厚みは、例えば15mm〜30mm程度であり、用いられる温度条件や強度条件、設備条件(例えばモータの出力)等に応じて適宜設定される。また、外層スリーブ2の表面は、通板中の金属帯の蛇行を抑制するため、軸方向(図1における左右方向)の中央側の外径が軸方向の端部側の外径に比べて大きな凸クラウン形状を有する。凸クラウン形状は、焼鈍を行う金属帯の寸法やハースロール1が設けられる炉内の位置に応じて、適切なクラウン形状が採用される。
内層スリーブ3は、外層スリーブ2よりも径の小さな中空の円筒状の形状を有し、タフピッチ銅や脱酸銅、無酸素銅等の純銅からなる。内層スリーブ3に用いられる純銅は、縦弾性係数が118GPaで、ポアソン比が0.34である。内層スリーブ3の厚みは、例えば10mm〜20mm程度であり、ハースロール1の強度条件や設備条件等に応じて適宜設定される。なお、内層スリーブ3の厚みが、10mm未満と薄い場合、外層スリーブ2の均熱効果が十分に得られないことがある。また、内層スリーブ3の厚みが20mm超と厚くなる場合、ハースロール1の重量が重くなりすぎるため、設備の導入やメンテナンスに掛かるコストが増大する。内層スリーブ3は、外層スリーブ2の中空内に配され、外周面が外層スリーブ2の内周面に金属結合によって接合されている。なお、外層スリーブ2と内層スリーブ3との界面を、接合界面6ともいう。また、外層スリーブ2と、外層スリーブ2に接合された内層スリーブ3とからなる接合体を、複層構造の円筒スリーブともいう。
図3は、図1の破線で囲った領域であり、外層スリーブ2及び内層スリーブ3の軸方向の端部を示す部分断面図である。
外層スリーブ2の軸方向の端部は、合界面6に対して外層スリーブ2の軸方向端部の端面である自由縁がなす角度θ1で傾斜するように形成される。つまり、図3に示す例の場合、外層スリーブ2は、軸方向の中央側の厚みが一定であり、軸方向端部における接合界面6の端からなす角度θ1で傾斜する傾斜領域が形成される。そして、外層スリーブ2は、傾斜領域から軸方向端側に中央側よりも薄い一定厚みの領域が形成され、アクスル4に接続される。
一方、内層スリーブ3の軸方向の端部は、合界面6に対して内層スリーブ3の軸方向端部の端面である自由縁がなす角度θで傾斜するように形成される。つまり、内層スリーブ3は、軸方向の中央側の厚みが一定であり、軸方向端部に、接合界面6の端に向かって端面がなす角度θで傾斜する傾斜領域が形成される。
さらに、本実施形態では、なす角度θ,θが、下記の(1)式を満たし、且つ(2)式及び(3)式を満たす。
θ+θ=180°±10° ・・・(1)
55°≦θ≦80° ・・・(2)
125°≦θ<180° ・・・(3)
なお、図3に図示した例は、上記の条件において、なす角度θ,θが、(1)式及び(3)式を満たす場合である。一方、なす角度θ,θが(1)式及び(2)式を満たす場合、層スリーブ2及び内層スリーブ3の軸方向の端部の断面形状は、図4に図示した例のようになる。図4に示すように、なす角度θ,θが(1)式及び(2)式を満たす場合、外層スリーブ2及び内層スリーブ3の傾斜領域における傾斜方向が変わる。
ここで、本発明者らは、物性の異なる外層スリーブ2及び内層スリーブ3について、接合端部における特異性の観点から、外層スリーブ2及び内層スリーブ3の軸方向の端部の形状を上述のように規定することで、ハースロール1を長寿命化できることを見出した。
異材界面端における応力特異性の出現及び消失の条件については、久保等の報告(久保、「自由縁応力特異性を消失させるための異種材料接合端の幾何学的条件」、日本機械学会論文集(A編)、日本機械学会、1991年、57巻、535号、p.632−636)がある。この知見によれば、図5に示すような点Tでθの開き角を持つ材料7Aと、θの開き角を持つ材料7Bとが、θ=0の線上で接合しているとした場合、異材界面端部の応力特異性の出現及び消失の遷移条件は(4)式で表される。なお、(4)式中の、Jは(5)式、Jは(6)式、s及びsは(7)式、並びにt及びtは(8)式で定義される(j=1,2)。また、(2)式及び(3)式中のαは(9)式、βは(10)式で定義される。さらに、(9)式及び(10)式中のκ,κは、平面ひずみ条件において(11)式で定義される(j=1,2)。さらに、(9)式及び(10)式中のμ,μは、材料7A,7Bの横弾性係数であり、材料7A,7Bの縦弾性係数E,Eとポアソン比ν,νを用いた(12)式で定義される(j=1,2)。
Figure 0006730907
つまり、異材界面端における応力場は、接合端部の形状及び材料の弾性定数(縦弾性係数、ポアソン比)によって特異性が変化し、応力の分布形態や大きさが変化することとなる。そして、適切な材料特性の組合せ及び端部形状を選択することで、特異性を消失させることが可能となる。
このような知見に基づき、本発明者らは、外層スリーブ2及び内層スリーブ3の異材界面端における応力の特異性について検討を行った。本検討では、図3または図4に示す形状の外層スリーブ2と内層スリーブ3とについて、異材界面端の形状であるなす角度θ,θの値、及び材料の横弾性係数μ,μの値をそれぞれ変化させて、特異性の出現及び消失を検証した。なお、本検討では、マクロな応力集中を防ぐことを目的として、異材界面端が直線で滑らかに連続した形状とするため、なす角度θ,θは、(13)式を満たすこととした。
θ+θ=180° ・・・(13)
本検討の結果を、図6のグラフに示す。図6において、横軸は外層スリーブ2の横弾性係数μに対する内層スリーブ3の横弾性係数μの比である横弾性比率μ/μ、縦軸はなす角度θの値をそれぞれ示す。図6において、網掛けが施された領域は、異材界面端において応力の特異性が出現する条件であり、この領域の条件では、接合界面6の端部近傍に非常に大きな応力が作用することとなる。一方、網掛けが施されていない領域は、異材界面端において応力の特異性が消失する条件であり、この領域の条件では、接合界面6の端部近傍に大きな応力が作用しないこととなる。つまり、図6のグラフにおいて、網掛けか施されていない領域の条件となるように、異材界面端の形状を制御することで、ハースロール1の長寿命化を実現することができる。
図7に、本実施形態において外層スリーブ2に用いられる耐熱鋼、及び内層スリーブ3に用いられる銅の横弾性係数μ,μの温度依存性を示す。また、図7には、銅の横弾性係数μを耐熱鋼の横弾性係数μで除して算出される横弾性比率μ/μの温度依存性を示す。連続焼鈍炉で使用される室温から800℃までの温度範囲における、横弾性比率μ/μは、0.6以上0.8以下の範囲となることが確認できる。
さらに、この横弾性比率の範囲と図6に示す検討結果から、本実施形態の外層スリーブ2及び内層スリーブ3において異材界面端の応力の特異性を消失する条件としては、(13)式の条件に加え、なす角度θが(2)式又は(3)式のいずれか一方の条件を満たすことが必要となる。この条件を満たすことで、外層スリーブ2と内層スリーブ3との異材界面端に作用する応力を大きく低減することができるため、軸方向端部における外層スリーブ2と内層スリーブ3との剥離の発生を抑制することができ、ハースロール1の長寿命化を実現することができる。なお、なす角度θとなす角度θとの和の条件については、(13)式の条件を(1)式の条件の範囲に広げたとしても、(13)式の場合と同程度の応力抑制効果を得ることができる。また、(13)式の代わりに(1)式の条件とすることで、後述する外層スリーブ2及び内層スリーブ3の端部の加工が容易になる。
そして、アクスル4は、略円錐台状の部材であり、耐火鋼等の金属からなる。アクスル4は、外層スリーブ2の軸方向両端側にそれぞれ配され、軸方向の一端が外層スリーブ2の端部に溶接によって接合され、他端が軸部5に溶接によって接合される。なお、図1では、外層スリーブ2とアクスル4との接合位置を破線aで示し、アクスル4と軸部5との接合位置を破線bで示す。
軸部5は、外層スリーブ2の軸方向に延在する部材であり、耐火鋼等の金属からなる。軸部5は、外層スリーブ2の両端側にそれぞれ配され、延在方向の一端がアクスル4に接合される。
<ハースロールの製造方法>
次に、本実施形態に係るハースロール1の製造方法について説明する。まず、遠心鋳造等の手段により、粗形状の外層スリーブ2を製造し、削り出し等の機械加工によって所定の寸法に仕上げる(スリーブ製造工程)。また、スリーブ製造工程では、外層スリーブ2と同様な方法で内層スリーブ3が製造される。
次いで、外層スリーブ2の内側に内層スリーブ3を配し、熱間静水圧プレス処 理(HIP処理)を施すことで、外層スリーブ2と内層スリーブ3とを接合させ、複層構造の円筒スリーブを製造する(スリーブ接合工程)。HIP処理では、高圧容器内に外層スリーブ2及び外層スリーブ2の内側に配された内層スリーブ3を入れ、高温高圧処理を施すことで、外層スリーブ2と内層スリーブ3とを接合界面6にて金属結合させる。
さらに、外層スリーブ2と内層スリーブ3とが接合された、複層構造の円筒スリーブの軸方向の端部を、上述の条件を満たす所望の形状に機械加工する(スリーブ加工工程)。
その後、機械加工された外層スリーブ2の軸方向の端と、予め軸部5が溶接により接合されたアクスル4とを、レーザー溶接等の手段により接合する(アクスル接合工程)。
次いで、アクスル4が接合された外層スリーブ2の表面を、真円度を確保するために円筒研削する(研削工程)。なお、研削工程では、外層スリーブ2の表面が、上述した凸クラウン形状となるように研削が施される。
以上の工程を経ることにより、本実施形態に係るハースロール1を製造することができる。
<変形例>
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態の種々の変形例とともに本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲は、本発明の範囲及び要旨に含まれるこれらの変形例または実施形態も網羅すると解すべきである。
例えば、上記実施形態では、外層スリーブ2に用いられる耐熱鋼は25Cr−24Ni鋼としたが、本発明はかかる例に限定されない。耐熱鋼は、一般的に用いられる他の成分系のものであってもよい。また、内層スリーブ3には純銅が用いられるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。内層スリーブ3は、外層スリーブ2に比べて熱伝導性が高ければ、銅合金等の銅を含む他の金属であってもよい。なお、異材界面端部の形状が(2)式または(3)式で規定される場合、連続焼鈍炉で用いられる温度域において、外層スリーブ2の材質と内層スリーブ3の材質との横弾性比率μ/μが0.6以上0.8以下となるように、各材質が選択される。
また、上記実施形態では、HIP処理を用いて外層スリーブ2と内層スリーブ3とを接合する構成としたが、本発明はかかる例に限定されない。外層スリーブ2及び内層スリーブは、遠心鋳造法を用いた多段鋳込みや嵌合加工による複層化といった他の手法を用いて形成されてもよい。
さらに、上記実施形態では、金属帯が薄鋼板であるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。金属帯は、連続焼鈍炉で処理されるものであれば、薄鋼板と材質や厚みの異なるものであってもよい。
<実施形態の効果>
(1)本発明の一態様に係る連続焼鈍炉用のハースロール1は、耐熱鋼からなる円筒状の外層スリーブ2と、外層スリーブ2よりも熱伝導性が高く、銅を含む金属からなり、外層スリーブ2の内周面に外周面が接合する円筒状の内層スリーブ3と、を備え、外層スリーブ2と内層スリーブ3との接合界面6に対して、外層スリーブ2の軸方向端部の自由縁がなす角度θ、及び接合界面6に対して内層スリーブ3の軸方向端部の自由縁がなす角度θは、(1)式を満たし、且つ(2)式または(3)式のいずれか一方を満たす。
上記(1)の構成によれば、外層スリーブ2と内層スリーブ3との異材界面端(接合界面6の軸方向端)の近傍において、応力場が弾性論上無限大となる特異性を消失させることができるため、熱応力等によって異材界面端の近傍に生じる応力を低減することができる。このため、接合界面6の剥離を防止でき、複層化による均熱効果を長期間にわたって得ることができることから、金属帯を安定的に搬送することが可能になる。また、接合界面6の剥離が防止できることから、ハースロール1の長寿命化が可能となる。
(2)上記(1)の構成において、内層スリーブ3は、純銅からなる。
上記(2)の構成によれば、内層スリーブ3の熱伝導性が高くなることから、より高い均熱効果を得ることができ、さらに、内層スリーブ3の重量を低減することができる。
(3)本発明の一態様に係る連続焼鈍炉用のハースロール1の製造方法は、耐熱鋼からなる円筒状の外層スリーブ2と、外層スリーブ2よりも熱伝導性が高く、外層スリーブ2の内周面に外周面が接合する円筒状の内層スリーブ3とを有する複層構造の円筒スリーブの軸方向の端部を機械加工するスリーブ加工工程と、スリーブ加工工程の後、外層スリーブ2の軸方向の端とアクスル4とを接合させるアクスル接合工程とを備え、スリーブ加工工程では、外層スリーブ2と内層スリーブ3との接合界面6に対して外層スリーブ2の軸方向端部の自由縁がなす角度θ、及び接合界面6に対して内層スリーブ3の軸方向端部の自由縁がなす角度θが、(1)式を満たし、且つ(2)式または(3)式のいずれか一方を満たすように、外層スリーブ2及び内層スリーブ3の軸方向の端部を成形する。
上記(3)の構成によれば、上記(1)と同様な効果を得ることができる。
(4)上記(3)の構成において、スリーブ加工工程の前に、熱間静水圧プレス処理を用いて、外層スリーブ2の内周面に内層スリーブ3の外周面を接合させるスリーブ接合工程をさらに備える。
上記(4)の構成によれば、熱間静水圧プレス処理を用いることで、接合界面6において、空隙や熱伝導性の低い合金層等を生じることなく、外層スリーブ2と内層スリーブ3とを接合することができる。このため、複層構造の円筒スリーブを製造する際に用いられる他の方法に比べ、高い均熱効果を得ることができる。
次に、本発明者らが行った実施例について説明する。実施例では、鋼帯の焼鈍処理を行う連続焼鈍炉の加熱帯に導入することを想定した上記実施形態に係るハースロール1を製造し、効果の検証を行った。
実施例では、まず、ハースロール1の胴部を模擬するため、円筒状の耐熱鋼(25Cr−20Ni鋼)の外層スリーブ2の内側に、円筒状の銅(純銅)の内層スリーブ3を配し、真空中にて1000℃の条件でHIP処理を行うことで複層構造の円筒スリーブを作成した。耐熱鋼の外層スリーブ2の寸法は、胴長400mm、外径φ350mm、肉厚15mmである。また、銅の内層スリーブ3の寸法は、胴長400mm、外径φ320mm、肉厚10mmである。次いで、作成した複層構造の円筒スリーブを、軸方向に50mmの長さに切断し、耐熱鋼と銅との接合端面を機械加工することによって、異材界面端の角度を調整した試験片を作成した。
そして、作成した試験片について熱処理を施す試験を実施した。熱処理の試験では、試験片を、窒素雰囲気の電気加熱炉で常温から800℃まで昇温した後、加熱した試験片について1時間の均熱処理を行った。次いで、加熱炉の電源を停止することで、試験片を炉冷した。さらに、冷却後のサンプルについて、異材界面端の亀裂の有無を確認した。確認の結果、亀裂が有る場合には、試験を終了とした。一方、確認の結果、亀裂が無い場合には、再度、加熱から冷却までの熱サイクル(熱処理)を付与した後、異材界面端の亀裂の有無を確認した。そして、このような熱サイクルの付与及び亀裂の確認を、最大10回の熱サイクルの範囲で、亀裂が確認されるまで繰り返し行った。
表1に、試験に用いた試験片の端部形状及び試験の結果を示す。実施例としては、なす角度θ,θが、(1)式及び(3)式を満たす条件を実施例1とし、(1)式及び(2)式を満たす条件を実施例2とした。また、実施例では、端部形状におけるなす角度θ,θが上記実施形態の条件を満たさない条件についても、比較例として試験を行った。比較例としては、なす角度θ,θが、(1)式、(2)式及び(3)式を満たさない条件を比較例1とし、(1)式を満たし、且つ(2)式及び(3)式のいずれも満たさない条件を比較例2〜4とした。
Figure 0006730907
試験の結果、(1)式の条件を満たさない比較例1では、1回の熱処理で異材界面端に亀裂が発生することを確認した。また、比較例2〜4の条件では、(1)式の条件を満たすことで比較例1よりは亀裂が発生するまでの熱処理回数は増加したが、いずれの条件においても6回以内の熱処理回数で亀裂が発生することを確認した。
一方、上記実施形態におけるなす角度θ,θの条件を満たす、実施例1,2の条件では、10回の熱処理を施しても、亀裂が発生しないことを確認した。
つまり、本発明に係るハースロール1によれば、異材界面端に生じる応力ができることから、接合界面6の剥離を防止でき、複層化による均熱効果を長期間にわたって得ることができることが確認された。このため、金属帯の安定的な搬送及びハースロール1の長寿命化が可能となる。
1 ハースロール
2 外層スリーブ
21 第1領域
22 第2領域
3 内層スリーブ
アクスル
5 軸部
6 接合界面

Claims (4)

  1. 耐熱鋼からなる円筒状の外層スリーブと、
    該外層スリーブよりも熱伝導性が高く、銅を含む金属からなり、前記外層スリーブの内周面に外周面が接合する円筒状の内層スリーブと、
    を備え、
    前記外層スリーブと前記内層スリーブとの接合界面に対して前記外層スリーブの軸方向端部の自由縁がなす角度θ、及び前記接合界面に対して前記内層スリーブの軸方向端部の自由縁がなす角度θは、(1)式を満たし、且つ(2)式または(3)式のいずれか一方を満たし、
    前記外層スリーブの横弾性係数μ に対する前記内層スリーブの横弾性係数μ の比である横弾性比率μ /μ は、0.6以上0.8以下であることを特徴とする連続焼鈍炉用のハースロール。
    θ+θ2=180°±10° ・・・(1)
    55°≦θ≦80° ・・・(2)
    125°≦θ<180° ・・・(3)
  2. 前記内層スリーブは、純銅からなることを特徴とする請求項1に記載の連続焼鈍炉用のハースロール。
  3. 耐熱鋼からなる円筒状の外層スリーブと、該外層スリーブよりも熱伝導性が高く、前記外層スリーブの内周面に外周面が接合する円筒状の内層スリーブとを有する複層構造の円筒スリーブの軸方向の端部を機械加工するスリーブ加工工程と、
    前記スリーブ加工工程の後、前記外層スリーブの軸方向の端とアクスルとを接合させるアクスル接合工程と
    を備え、
    前記スリーブ加工工程では、前記外層スリーブと前記内層スリーブとの接合界面に対して前記外層スリーブの軸方向端部の自由縁がなす角度θ、及び前記接合界面に対して前記内層スリーブの軸方向端部の自由縁がなす角度θが、(1)式を満たし、且つ(2)式または(3)式のいずれか一方を満たすように、前記外層スリーブ及び前記内層スリーブの軸方向の端部を成形し、
    前記外層スリーブの横弾性係数μ に対する前記内層スリーブの横弾性係数μ の比である横弾性比率μ /μ を、0.6以上0.8以下とすることを特徴とする連続焼鈍炉用のハースロールの製造方法。
    θ+θ=180°±10° ・・・(1)
    55°≦θ≦80° ・・・(2)
    125°≦θ<180° ・・・(3)
  4. 前記スリーブ加工工程の前に、熱間静水圧プレス処理を用いて、前記外層スリーブの内周面に前記内層スリーブの外周面を接合させるスリーブ接合工程をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の連続焼鈍炉用のハースロールの製造方法。
JP2016202681A 2016-10-14 2016-10-14 連続焼鈍炉用のハースロール及び連続焼鈍炉用のハースロールの製造方法 Active JP6730907B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016202681A JP6730907B2 (ja) 2016-10-14 2016-10-14 連続焼鈍炉用のハースロール及び連続焼鈍炉用のハースロールの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016202681A JP6730907B2 (ja) 2016-10-14 2016-10-14 連続焼鈍炉用のハースロール及び連続焼鈍炉用のハースロールの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018062700A JP2018062700A (ja) 2018-04-19
JP6730907B2 true JP6730907B2 (ja) 2020-07-29

Family

ID=61966526

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016202681A Active JP6730907B2 (ja) 2016-10-14 2016-10-14 連続焼鈍炉用のハースロール及び連続焼鈍炉用のハースロールの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6730907B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018062700A (ja) 2018-04-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2388582C2 (ru) Плакированные основы из сплавов и способ их изготовления
CN102294456B (zh) 一种离心坯斜轧双金属复合无缝钢管的制造方法
JP3917650B2 (ja) 放電加工用多層コーティング電極線およびその製造方法
US11110542B2 (en) Friction pressure welding method
WO2018066413A1 (ja) 放熱部品用銅合金板、放熱部品、及び放熱部品の製造方法
JP2009006379A (ja) 難加工性大型製品の中心欠陥防止方法
TWI632959B (zh) Titanium composite and titanium for hot rolling
JP6730907B2 (ja) 連続焼鈍炉用のハースロール及び連続焼鈍炉用のハースロールの製造方法
KR20100095779A (ko) 초경 접합 전조 다이스의 제조방법 및 그를 이용한 초경 접합 전조 다이스
EP2562281B1 (en) Ni-base alloy large member, Ni-base alloy welded structure made of same, and method for manufacturing structure thereof
JP2018162518A (ja) ベーパーチャンバー用銅合金板及びベーパーチャンバー
JP6787428B2 (ja) 熱間圧延用チタン材
JP2505999B2 (ja) 超高温熱間鍛造方法
JP6730906B2 (ja) 連続焼鈍炉用のハースロール及び連続焼鈍炉用のハースロールの製造方法
JP6156596B2 (ja) チタン複合材および熱間加工用チタン材
CN112548104B (zh) 一种降低模具钢激光增材修复过程中热裂敏感性的方法
JP4988093B2 (ja) リン青銅複合焼結材
EP2620250A1 (en) Heat treatment method for branch pipe welded portion
JP6137423B1 (ja) チタン複合材および熱間圧延用チタン材
JP6848991B2 (ja) 熱間圧延用チタン材
JP7209237B2 (ja) ニッケル基合金製品またはチタン基合金製品の製造方法
JPS63242408A (ja) 圧延用複合ロ−ル
WO2017018521A1 (ja) 熱間圧延用チタン材
CN106040741A (zh) 以钒为中间层的钛钢复合板的制备方法
JP2007039725A (ja) ボス付きワークの部分焼き入れ方法および焼き入れしたボス付き部品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190425

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191209

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200121

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200316

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200609

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200703

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6730907

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250