JP4859338B2 - ポリウレタン発泡体の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、ポリウレタン発泡体の製造方法に関し、更に詳細には、発泡の終期、すなわちライズタイムが経過する直前または経過後の一定時間内に発泡雰囲気を減圧させることで、充分な破泡のなされた構造を有するポリウレタン発泡体を製造する方法に関するものである。
一般にポリオールおよびイソシアネートを重合させて製造されるポリウレタン発泡体は、低い圧縮永久歪みを有し、繰り返し使用に対してヘタることがない点で、ソファーに代表される家具等のクッション材に好適に使用され得る素材としての特性を備えている。しかし前記ポリウレタン発泡体は、前述の優れた特性を材質的に有する一方で、発泡体を形成する骨格の膜(セル膜)が閉じた、所謂独立気泡構造を有しているため、外気の通気性が低く大きな圧縮変形をさせることができず、その硬度が高く発現してしまうといった問題を内在していた。また一般に通気性を有するポリウレタン発泡体であっても、前記セル膜の充分に取り除かれている、すなわち骨格間が充分に開口しているとは言い難く、その使用において高い柔軟性および通気性や、大きな圧縮変形が必要とされる前述のクッション材等の用途には好適な利用には向かなかった。
そして前記ポリウレタン発泡体のような独立気泡構造を有する発泡体を連通化する、すなわち前記セル膜を少なくとも破る方法として、(1)等速2本ロール等を使用し、該ロール間に発泡体を狭持する、所謂カレンダー加工を施すことで物理的に独立気泡を破壊し、連続気泡構造とする方法や、(2)該発泡体を所定の密閉容器内に装入し、ここに所要組成の酸素ガスおよび可燃ガスを注入・点火して爆発により独立気泡構造を破壊する、所謂熔解法が知られている。このような方法を実施することで、独立気泡構造を有するポリウレタン発泡体は、連通性を容易に獲得し得る。
しかしながら、(1)に記載の如く、等速2本ロール等で発泡体を圧縮し、その圧縮力により気泡を物理的に破壊する場合、一定方向からの圧縮による破壊のために気泡の破れ方に方向性が生じてしまい、更にその破れ方においても前記セル膜に亀裂が入ったように破れ、該セル膜の開口径が充分に大きくなるわけではなく、通気性の大きな向上は期待できない。また(2)に記載の方法の場合、前記セル膜のみを選択的に取り除き、かつ樹脂骨格は発泡時の構造で形状保持されるようにするためには、該熔解条件、具体的には使用される酸素ガスおよび可燃ガスが発生させる燃焼熱および使用圧力等の緻密な制御が必要である。この制御が好適に実施されない場合には、爆破、除膜時にポリウレタン発泡体の骨格溶融が起こり、体積収縮を起こすと共に、気泡の膜と骨格の部分の区別がはっきりとしない発泡体となってしまったり、歩留まりが悪化する等の実用に耐えない方法となってしまう問題が指摘される。
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本発明に係るポリウレタン発泡体の製造方法は、
予め添加物を添加したポリオールとイソシアネートとの混合原料を発泡させてポリウレタン発泡体を製造する方法において、
前記混合原料を発泡容器に注入し、該発泡容器を圧力調整機構の圧力調節可能な圧力チャンバーに収容して発泡を開始させる発泡段階と、
前記圧力調整機構の制御下に、混合原料が発泡完了する秒前から発泡完了後の37秒までの間において、前記圧力チャンバーを1kPa/秒以上の減圧速度で前記発泡段階の圧力より5kPa以上減圧し、前記発泡容器に得られたポリウレタン発泡体の骨格間に形成されたセル膜を破る減圧段階と、
前記減圧段階で減圧された圧力チャンバーを、前記圧力調整機構の制御下に大気圧状態に戻す復圧段階と、
前記発泡容器からポリウレタン発泡体を取り出す脱型段階とを有し、
ASTM D 3574に準拠した通気性が前記減圧段階および復圧段階をしないで製造されるポリウレタン発泡体の少なくとも1.1倍以上に設定されるポリウレタン発泡体を製造することを特徴とする。
以上に説明した如く、本発明に係るポリウレタン発泡体の製造方法によれば、該発泡体の原料であるポリオールおよびイソシアネート等を所定の圧力状態下において発泡させ、該発泡が完了直前または完了後の一定時間内にその圧力状態を低下させることで、該発泡体を構成する骨格間に形成されるセル膜を好適に取り除き、骨格間を充分に開口させて高い通気性を確保し得る。
次に、本発明に係るポリウレタン発泡体の製造方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。本願の発明者は、ポリウレタン発泡体を製造するに際し、所要の圧力下で発泡させると共に、該発泡が完了する発泡終期の前後、具体的にはライズタイムが経過する直前または経過後の一定時間内に、該発泡時の圧力を降下(減圧)させることで、得られるポリウレタン発泡体がシュリンク等を起こすことなく、かつ充分に破泡がなされて一定以上の高い通気性を発現した構造となることを知見したものである。ここで高い通気性とは、減圧されないで製造されるポリウレタン発泡体の少なくとも1.1倍以上となる通気性またはASTM D 3574に準拠した通気性が1.67×10−2dm/秒以上となったものを指す。なお本発明において減圧の時期は、基本的に減圧が完了した時点を指すが、この減圧に必要とされる時間は1〜5秒程度であるため、減圧の開始と完了との間に大きな差違はない。また本発明の説明において絶対圧力とは、圧力ゼロの状態を基準として測定された圧力を指す。
本発明の好適な実施例に係るポリウレタン発泡体の製造方法は、図1に示す如く、基本的に原料混合工程S1、注入工程S2、発泡工程S3および最終工程S4からなる。また図2に前記ポリウレタン発泡体を好適に製造し得る製造装置20を示す。この製造装置20は、第1原料タンク24、第2原料タンク26および複数(図2においては3つ)の添加物タンク28からなる原料供給部22と、これら各原料タンク24,26および28から供給される各原料から混合原料Mを得る原料混合部30と、混合原料Mから所要のポリウレタン発泡体を得る発泡容器32と、少なくともこの発泡容器32における圧力および温度等を制御するための圧力調整機構34とから基本的に構成される。そして、この製造装置20を構成する各機器は、所定の減圧下での使用を前提としているので、所定の圧力に耐えるよう構成されている。
原料等の各タンク24、26および28には、制御下に所定量の貯留物を送出するポンプと攪拌機構とが備えられ、また発泡容器32は、その上方が開口した形状となっており、最終的に得るべきポリウレタン発泡体を基として製造される製品より大きな寸法とされている。なお、本実施例における発泡容器32としては、上方にだけ開口した容器が使用されているが、混合原料Mの粘度や発泡時間の好適な制御によって、発泡容器32からの混合原料Mの流出を防止し得るものであれば、例えば横方向にだけ開口した容器の使用や、該容器を無くした構成としてもよい。また各原料を混合する原料混合部30としてスタティックミキサーを使用しているが、この他、第1原料タンク24または第2原料タンク26の何れかを使用して、イソシアネートおよびポリオール等を混合して混合原料Mを得るようにしてもよい。
また発泡容器32を任意の圧力状態とする圧力調整機構34は、発泡容器32全体を密閉的に覆う圧力チャンバー36と、このチャンバー36の内部空間の圧力を制御する開閉バルブ38aおよび大気解放弁38bを有する圧力調整装置38と、温度を制御する温度調節装置(図示せず)とを備えている。そして圧力チャンバー36は、図示しない駆動機構により上下方向に移動可能となっており、この駆動機構の作動により発泡容器32を上方から密閉的に閉成し得るように構成されている。なお本実施例において圧力チャンバー36は、発泡容器32の全体を覆うだけの構成として記載しているが、殊にこれに限定されるものではなく、製造装置20の全体を覆うような構成であってもよい。この場合、必要に応じて製造装置20全体の圧力が調整されることになる。また第1原料タンク24にイソシアネートが、第2原料タンク26にはポリオールが夫々予め貯留され、添加物タンク28には添加物であるアミン触媒、スズ触媒および整泡剤等が夫々個別に貯留されているものとする。
主原料の1つとして使用される前記ポリオールとしては、一般にポリオールと呼称される水酸基を2個以上有する化合物、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等が単一または混合されている物質が好適である。この他、水酸基の代わりにカルボン酸、アミン等の活性水素を有する化合物の併用も可能である。また前記イソシアネートとしては、通常使用されているイソシアネート基を2個以上有する芳香族系、脂肪族系、脂環族系の各種イソシアネート化合物、更には、イソシアネート化合物を変性して得られる変性イソシアネートが使用可能であり、また該イソシアネートを2種類以上併用するようにしてもよい。
前記イソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、P−フェニレンジイソシアネート(PPDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)等の芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、水添化XDI(HXDI)、水添化MDI(H12MDI)等の脂環族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リシンジイソシアネート(LDI)、リシントリイソシアネート(LTI)等の脂肪族イソシアネート類が挙げられる。また、その変性体としてはイソシアネート化合物のウレタン変性体、2量体、3量体、カルボジイミド変性体、アロファネート変性体、ビューレット変性体、ウレア変性体またはプレポリマー等が挙げられる。
原料混合工程S1は、主原料であるイソシアネートおよびポリオール等を混合して得るべきポリウレタン発泡体の基となる混合原料Mを得る工程であり、添加物タンク28に貯留される各添加物を、第1原料タンク24に貯留されているポリオールに所定量混合するポリオール成分製造段階S11と、この段階S11を経て得られるポリオール成分(ポリオールと各添加物とが混合されたもの)と第2原料タンク26に貯留されるイソシアネートとを原料混合部30で混合する混合原料製造段階S12とからなる。
注入工程S2は、原料混合工程S1で得られた混合原料Mを所定の発泡容器32内に注入する工程である。本工程S2において注入される混合原料Mの注入量は、発泡容器32の体積と混合原料Mの密度および得られるポリウレタン発泡体の密度とから、言い換えれば、得るべきポリウレタン発泡体の発泡倍率から決定される。
発泡工程S3は、発泡段階S31、減圧段階S32、復圧段階S33および脱型段階S34からなる(図1参照)。そして発泡段階S31は、所定の圧力下において混合原料Mの発泡・重合を進行させる段階である。基本的に発泡雰囲気は大気圧に設定され、通常の発泡と何等変わる部分はない。また本発泡段階S31の実施中は、圧力チャンバー36内の圧力はその数値によらず一定に保たれる。この発泡段階S31の実施中において圧力が一定に保たれないと、ポリウレタン発泡体内に形成されるセル14がいびつとなったり、所謂荒れた状態となって歩留まりが悪化する。
通常、発泡段階S31は大気圧下で実施されるが、得られるポリウレタン発泡体のセル径を、大気圧下で得られる状態より大きく設定するために減圧状態下における発泡、所謂減圧発泡させたり、所定の加圧下で実施することも可能である。殊に減圧発泡を実施した場合、発泡剤を増量することなく、または所定の硬度を維持したまま発泡倍率の高い、すなわち見掛け密度の低い多様性のあるポリウレタン発泡体を製造し得る利点がある。そして減圧発泡の諸条件を規定する減圧に係る圧力およびその時期については、以下のような設定が好ましい。
減圧圧力、すなわち常圧発泡と減圧発泡との圧力差は、少なくとも30kPa以上(減圧時の絶対圧力は983kPa以下)となるよう実施される。この減圧が30kPa未満であると、混合原料Mが有する粘度に充分に対抗してセル14を常圧発泡時よりも大きく引き延ばすだけの駆動力とはなり得ず、好適なポリウレタン発泡体が得られなくなる。更に温度については、20℃程度が好適である。これは、混合原料Mの反応速度、すなわちライズの速度を遅くすることで、製造時における作業時間の確保、言い換えれば製造に係る各操作範囲を広くするためである。また基本的に得られるポリウレタン発泡体の発泡倍率は、常圧下での発泡倍率を発泡時に実施される減圧された圧力の常圧に対する割合で除した値となる。従って、常圧の半分の圧力まで減圧した雰囲気下で発泡させた場合、常圧下の発泡の約2倍の発泡倍率となる。一方、発泡段階S31における圧力を常圧以上の加圧状態に設定する場合については、殊に圧力条件に限定はない。
また減圧を完了する時期については、混合原料Mがクリーム状態(混合原料Mの内部に微細な気泡が発生して、混合原料Mの透明度が大きく低下した状態)に至るまでの、所謂クリームタイムが経過するまでに設定される。この減圧をこのクリームタイム以後に実施した場合や、クリームタイム以後も引き続いて実施した場合には、形成されるセル14の形状がいびつとなり、得られるポリウレタン発泡体の骨格12が脆くなり、その結果、発泡体10自体の機械的強度が製品としての使用に耐え得るものでなくなってしまう。
セル膜16を取り去るための減圧段階S32は、図3に示す如く、所要圧力となっている圧力チャンバー36内から空気を吸引して所定の減圧状態とすることで、セル14を破泡、すなわちセル膜16に亀裂16aを入れ(図3(a)参照)、更にセル膜16を骨格12に付着させて、骨格12間を充分に開口させて通気性を確保する(図3(b)参照)段階である。なおここで亀裂16aを元に切り裂かれたセル膜16は、四方の骨格12に巻き付くようにして付着している。このような減圧を実施することで、混合原料Mから製造されるポリウレタン発泡体を構成する骨格12間に存在するセル14を膨張させて破泡すると共に、セル膜16を取り除くことが可能となる。本減圧段階S32の実施時期は、図4に示す如く、基本的に混合原料Mの発泡が完了する直前から完了後の一定時間内の間、すなわちライズタイム経過前後、具体的にはライズタイム終了の秒前から、37秒後までの−〜+37秒の範囲内に実施される(図4はライズタイム経過前に減圧を実施した例である)。
本減圧段階S32が、混合原料Mの発泡が完了するかなり前(具体的には秒より速い場合([0027]参照))から実施されると、ポリウレタン発泡体を形成する骨格12の充分な重合・樹脂化が達成されていない状態、すなわち減圧に対して骨格12の形状を維持し得ない状態時において減圧がなされることになり、その結果、発泡体のセル構造が不均質の、所謂荒れた状態となってしまう。また、本減圧段階S32をライズタイム完了後の一定時間の経過後に実施した場合には、骨格12だけでなく取り除くに至っていないセル膜16まで完全に樹脂化してしまうため、減圧による効率的な破泡が望めなくなってしまう。
また本減圧段階S32については、得られるポリウレタン発泡体のセル膜16を好適に取り去るため、発泡段階S31を実施した圧力からの圧力低下は少なくとも5kPa以上で、かつその減圧速度が少なくとも1kPa/秒以上に設定される。この圧力低下や減圧速度が充分でないと、該圧力低下を前述([0019])した時期に実施した場合であっても、セル14が破泡が充分なされなかったり、既にセル膜16が発現する強度に対抗して、セル膜16を取り去るだけの駆動力とならない。従って、セル膜16を好適に取り去ることが困難となってしまう。
そして破泡、すなわちセル膜16の取り去りの度合いについては以下のように考えられる。すなわち、破泡度合いを示す指標として採用されているASTM D 3574に準拠した通気性が、減圧を施さない状況で製造されるポリウレタン発泡体の少なくとも1.1倍以上となる状態は、減圧速度が、前述([0021])の設定値以上に設定されると共に、発泡段階S31を実施した圧力からの圧力低下後の絶対圧力が500kPa以下に設定されることで達成される。例えば掃除機用のフィルター等に好適に採用され、セル膜16が充分に取り去られたものと考え得るASTM D 3574に準拠した通気性の数値は1.67×10−2dm/秒程度以上に設定されているが、この数値は常圧状態で製造されるポリウレタン発泡体の通気性が一定以上となるように組成設計し、かつ前述の各条件を最適に実施することで達成される。そして前述の減圧に係る各条件の値が範囲外であると、セル14の破泡はなされるものの、図3(a)に示すような単に亀裂16aが入った状態となるに過ぎず、セル膜16は充分に取り除かれないことになる。
復圧段階S33は、減圧状態となっている圧力チャンバー36内に対して、大気開放弁38b等の使用により空気を導入して大気圧状態に戻す段階である。本復圧段階S33の実施時期は、基本的に混合原料Mが重合・硬化した後に行なわれる。またポリウレタン発泡体が減圧発泡によって製造される場合、通常、製造後の復圧によって該発泡体内に形成された各セル14が収縮し、所謂シュリンクした状態となってしまうが、本発明の場合、減圧段階S32によりセル14が破泡しているため、このような問題は発生しない。
最終の脱型段階S34は、完成したポリウレタン発泡体を発泡容器32内から外部へ取り出す段階である。なお脱型段階S33の実施に先立ち、所要形状となったポリウレタン発泡体に対して、所定の時間および温度でキュアを実施するようにしてもよい。
ここまでの工程の完了により得られたポリウレタン発泡体は、最終的に洗浄、製品形状への加工および検査を行なう最終工程S4を経ることで、最終製品とされる。
(実験例)
以下に本発明に係るポリウレタン系発泡の実験例につき説明するが、本発明に係るポリウレタン発泡体はこれに限定されるものではない。
(実験1) 減圧段階S32を実施する時期と、得られるポリウレタン発泡体の通気性との関係について
本実験1においては、以下に示す各原料を表1に示す割合で混合し、同じく表1に示す各減圧条件で、前述の製造方法に基づいて発泡サイズ2000×1500×600となる実施例1−1〜1−5および比較例1−1〜1−3に係る夫々の発泡体を製造した。そして実施例1−1〜1−5および比較例1−1〜1−3に係る夫々の発泡体につき、ASTM D 3574に準拠した通気性を測定し、常圧発泡(圧力低下無し)させた比較例1−1を基準とした通気性の倍率を算出した。なお、下記の各原料から得られる混合原料のライズタイムは140秒(2分20秒)である。
Figure 0004859338
(使用原料)
・ポリオール:汎用のポリエーテルポリオール(分子量3000)
・イソシアネート:商品名 T-80;日本ポリウレタン工業製
・添加物:発泡剤として水を使用し、触媒として汎用のアミン触媒およびスズ触媒を使用すると共に、汎用の界面活性剤を使用した。
(実験1の結果)
上述の表1に実験の結果を併記する。表1に記載の結果から、減圧に係る前述した各条件を達成することで、常圧で製造されるポリウレタン発泡体(比較例1−1)の通気性の少なくとも1.1倍となる通気性を発現するポリウレタン発泡体をシュリンクさせることなく製造し得ることが確認された。殊に減圧完了時間を発泡完了後5秒後とした実施例1−2については、通気性1.67×10−2dm/秒を達成した。なお、比較例1−2に係る発泡体はシュリンクしてしまったため、通気性等は計測できなかった。
(実験2) 減圧段階S32で達成される絶対圧力と、得られるポリウレタン発泡体の通気性との関係について
本実験2においては、以下に示す各原料を表2に示す割合で混合し、同じく表2に示す各減圧条件で、前述の製造方法に基づいて実験1と同様サイズとなる実施例2−1〜2−4並びに比較例2−1および2−2に係る夫々の発泡体を製造した。そして実施例2−1〜2−4並びに比較例2−1および2−2に係る夫々の発泡体につき、実験1と同様にASTM D 3574に準拠した通気性を測定し、常圧発泡(圧力低下無し)させた比較例1−1を基準とした通気性の倍率を算出した。なお、上記の各原料から得られる混合原料のライズタイムは101秒(1分41秒)である。
Figure 0004859338
(実験2の結果)
上述の表2に実験の結果を併記する。表2に記載の結果から、減圧速度が少なくとも1.0kPa/秒以上であれば、減圧段階S32で達成される減圧時の絶対圧力に比例して通気性が向上し、常圧下で発泡させたポリウレタン発泡体(比較例2−1)に対する倍率が1.1倍以上となることが確認された。
この発明は、前述した従来技術に係るポリウレタン発泡体の製造方法に関して内在していた欠点に鑑み、これを好適に解決すべく提案されたものであって、得るべきポリウレタン発泡体の原料であるポリオールおよびイソシアネート等を所定の圧力状態下において発泡させ、該発泡が完了する直前または完了後の一定時間内の間にその圧力を低下させることで、得られるポリウレタン発泡体を構成する骨格間に形成されるセル膜を好適に取り去り得るポリウレタン発泡体の製造方法に関するものである。
本発明の好適な実施例に係るポリウレタン発泡体の製造工程を示すフローチャート図である。 実施例に係るポリウレタン発泡体の製造装置の一例を示す概略図である。 実施例に係るポリウレタン発泡体を製造する際のセル膜の状態を示す状態図である。 実施例に係るポリウレタン発泡体を製造する際の発泡の度合いと、圧力の変化とを時間に対してプロットしたグラフ図である。
符号の説明
12 骨格
16 セル膜
32 発泡容器
34 圧力調整機構
36 圧力チャンバー
M 混合原料

Claims (4)

  1. 予め添加物を添加したポリオールとイソシアネートとの混合原料(M)を発泡させてポリウレタン発泡体を製造する方法において、
    前記混合原料(M)を発泡容器(32)に注入し、該発泡容器(32)を圧力調整機構(34)の圧力調節可能な圧力チャンバー(36)に収容して発泡を開始させる発泡段階と、
    前記圧力調整機構(34)の制御下に、混合原料(M)が発泡完了する秒前から発泡完了後の37秒までの間において、前記圧力チャンバー(36)を1kPa/秒以上の減圧速度で前記発泡段階の圧力より5kPa以上減圧し、前記発泡容器(32)に得られたポリウレタン発泡体の骨格(12)間に形成されたセル膜(16)を破る減圧段階と、
    前記減圧段階で減圧された圧力チャンバー(36)を、前記圧力調整機構(34)の制御下に大気圧状態に戻す復圧段階と、
    前記発泡容器(32)からポリウレタン発泡体を取り出す脱型段階とを有し、
    ASTM D 3574に準拠した通気性が前記減圧段階および復圧段階をしないで製造されるポリウレタン発泡体の少なくとも1.1倍以上に設定されるポリウレタン発泡体を製造する
    ことを特徴とするポリウレタン発泡体の製造方法。
  2. 前記発泡段階は、前記圧力チャンバー(36)が大気圧状態にあり、前記減圧段階で該圧力チャンバー(36)が大気圧以下に減圧される請求項1記載のポリウレタン発泡体の製造方法。
  3. 前記発泡段階は、前記圧力調整機構(34)の制御下に、前記圧力チャンバー(36)を大気圧より3.0kPa以上減圧して行われる請求項記載のポリウレタン発泡体の製造方法。
  4. 前記減圧段階は、前記圧力チャンバー(36)の絶対圧力を50.0kPa以下に設定した請求項1〜3の何れか一項に記載のポリウレタン発泡体の製造方法。
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