JP4859164B2 - ゴルフクラブシャフト - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴルフクラブシャフトに関し、詳しくは、該ゴルフクラブシャフトとする管状体の表面の装飾性の付与について改良するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、一般にゴルフクラブシャフト、テニスやバトミントンのラケット、釣竿等の管状体からなる物品は、主としてカーボンを強化繊維とした繊維強化樹脂にて成形されている。これらの繊維強化樹脂材料は、高い強度と適度な撓み性を有し、かつ軽量であることより、この種の管状体の主流となっており、目的に合わせた機能を有する様々なタイプの物品が提供されている。
【0003】
特に、近年、これらの基本的機能に付加して外観的な美しさを備えた製品が増えており、装飾が製品独自の特性として極めて重要なものとなってきている。このような要請から、物品の表面に金属被膜等を形成し、鏡面を設けることにより、光輝性を有した優れた外観的特色を得ると共に、耐食性および耐候性に優れた製品が得られる技術が開発されている。
【0004】
例えば、特開平7−31337号では、図8(A)に示すように、外面に塗装膜2を形成すると共に、この塗装膜の外面に対し干渉被膜3を形成した管状体1が提案されている。
また、特開平9−122574号では、図8(B)に示すように、物品4の表面に光を反射する微小な凹凸面4aを形成し、該凹凸面上に透明層5aを形成すると共に、該透明層5a上に透明被膜5bを形成した干渉被膜5が提案されている。
さらに、特開平10−44308号では、図8(C)に示すように、部材本体6上に直接または下地層7を介して形成される金属層8aと、該金属層8a上に形成された透明または半透明の保護層8bとを具備する装飾層8を有する部材が提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−31337号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平9−122574号公報
【0007】
【特許文献3】
特開平10−44308号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特開平7−31337号、特開平9−122574号、特開平10−44308号では、物品に装飾を施す手法として塗装を行っているため、塗装時のばらつきにより、塗膜の厚さが変化し、その結果、装飾が均一にならないという問題がある。また、塗膜であるために、使用の繰り返しにより、装飾が剥げ落ち長期間維持できないという問題がある。さらには、塗装工程という別工程が必要であるために、製品完成までの生産性や作業性が悪いという問題もある。
【0009】
本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、装飾が剥がれにくい上に、装飾のばらつきが無く均一な装飾が施された繊維強化樹脂にて構成される管状体からなるゴルフクラブシャフトを提供することを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、強化繊維にマトリクス樹脂を含浸したプリプレグの積層体からなり、
上記積層体の最外層のプリプレグは、ガラス繊維の強化繊維と、透明性或いは半透明性を有するマトリクス樹脂と、該マトリクス樹脂中に配合された金属酸化物がコーティングされたガラスフレークとからなり、該ガラスフレークが上記マトリクス樹脂分に対して0.01重量%以上5.0重量%以下の範囲で配合された装飾ガラスプリプレグであり、
上記最外層の装飾ガラスプリプレグが他のプリプレグと一体化した積層体として成形され、かつ、
上記装飾ガラスプリプレグの表面にはクリア塗装が施され、あるいは、該装飾ガラスプリプレグの表面にシルク印刷、転写箔、あるいはシールからなる図柄が施されると共にその表面にクリア塗装が施されていることを特徴とするゴルフクラブシャフを提供している。
【0011】
上記のように、繊維強化樹脂層の最外層にガラス繊維を強化繊維とし金属酸化物をコートしたガラスフレークをマトリクス樹脂に配合した装飾ガラス層を配置すると、ガラス繊維が透明性を有すると共にガラスフレークが光揮性を有するため、この装飾ガラス層を設けることにより、繊維強化樹脂製品を成形した時点ですでに外表面に装飾層を有する構成とすることができる。
【0012】
即ち、装飾ガラス層の強化繊維をガラス繊維とすることにより、透明性を得ることができ、光輝性の効果を最大限に発揮することができる。ガラス繊維は、無アルカリでもよいし、含アルカリでもよい。ガラス繊維は、長繊維、短繊維のいずれであってもよく、繊維角度、形状や配列についても限定されず、例えば、単一方向、ランダム方向、シート状、マット状、織物(クロス)状、組み紐状等のいずれの形状・配列でも使用可能である。特に好ましくは、クロス状である。また、ガラス繊維径は5μm〜20μmが好ましい。
【0013】
さらに、装飾ガラス層のマトリクス樹脂中の配合するガラスフレークには、金属ではなく、金属酸化物をコーティングしているため、金属をコーテイングした場合と比して光輝性を高めることができる。かつ、アルミ粉やマイカ等の他の光揮性材料を配合する場合に比して、ガラスフレークに金属酸化物をコーテイングしているため、光透過性が高く、より一層光輝性の高い装飾層を形成することができる。
【0014】
特に、本発明では、後加工で物品表面に装飾塗装を施す工程が不要となり、かつ、塗装時には発生しやすい装飾層の厚みのバラツキがなく均一化される。さらに、この装飾層は下層の繊維強化樹脂層と一体成形されるため、塗装による装飾と異なり、繰り返し使用に対しても剥がれにくく、装飾を長期間維持できる。
【0015】
上記装飾ガラス層および下層の強化繊維樹脂層のマトリクス樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂、ABS樹脂、ナイロン樹脂、ポリカーボネート樹脂、PEEK樹脂等の熱可塑性樹脂を単独、あるいは適宜組み合わせて用いることができる。その中でもエポキシ樹脂が好ましい。
【0016】
上記強化繊維樹脂層は、強化繊維にマトリクス樹脂を含浸したプリプレグの積層体とし、該積層体の少なくとも最外層に配置する上記装飾ガラス層は、強化繊維をガラス繊維としマトリクス樹脂中に金属酸化物がコーティングされたガラスフレークを配合した装飾ガラスプリプレグとし、該装飾ガラスプリプレグと他のプリプレグとを積層した状態で型内で加熱硬化して一体成形している。
【0017】
このように、プリプレグの積層構造とすると、最外層の装飾ガラス層のみ強化繊維としてガラス繊維を用い、かつ、マトリクス樹脂中に金属酸化物でコーテイングしたガラスフレークを配合した装飾ガラスプリプレグを用い、これをカーボン繊維を強化繊維とする下層のプリプレグに積層すれば良いため、繊維の種類およびマトリクス樹脂への配合材を容易に異ならせることができ、装飾性を有する繊維強化樹脂成形品を容易に設けることができる。
【0018】
即ち、プリプレグ積層体とすると、プリプレグの厚み、形状や大きさ等の変更が容易であるため、装飾ガラスプリプレグの厚み、大きさや形状等を変化させるだけで、容易に物品の所望の範囲を均一に装飾することができる。
具体的には、装飾ガラスプリプレグは、積層体の表面全域を覆うように配置しても良いし、軸方向や周方向等に部分的あるいは断続的、連続的に配置して積層体の表面を部分的に覆うように配置してもよい。この積層体の表面を部分的に覆う場合には、装飾ガラスプリプレグ及びその他のプリプレグの形状、マンドレル形状等を適宜設定し、物品の表面が平滑になるようにすることが好ましい。
かつ、装飾ガラスプリプレグの枚数も適宜設定可能で、1回巻きが好ましいが、1.5回巻き、2回巻き、3回巻き等としてもよい。
【0019】
上記プリプレグ積層体とする場合、装飾ガラス層のマトリクス樹脂は透明性を有する樹脂とし、他層のプリプレグのマトリクス樹脂は装飾ガラス層のマトリクス樹脂よりは透明性が低い或いは不透明であっても良いが、密着性を高めるために同一種類の樹脂であることが好ましい。
【0020】
なお、プリプレグ積層体に限らず、強化繊維をFW(フィラメントワインディング)し、最外周にガラス繊維を巻き付け、これを金型中に配置し、金型にナイロンモノマー等からなる熱可塑性樹脂をマトリクス樹脂として充填し、充填される樹脂の最終工程で金属酸化物をコーテイングしたガラスフレークを配合した樹脂を充填して、成形される物品の表面に装飾ガラス層を成形してもよい。
【0021】
上記ガラスフレークに用いるコート材としての金属酸化物としては、酸化チタン、二酸化ジルコニウム等が用いられるが、コスト面で二酸化酸化チタンが好ましい。
【0022】
また、この金属酸化物をコーティングしたガラスフレークは略円形板形状で、その平均粒径は30μm〜50μmの範囲内が好ましい。この範囲としているのは、平均粒径が30μm未満ではサイズが小さすぎて光輝性が低下し、50μmよりも大径では、装飾層の耐衝撃性が低下すると共に、外観が粗くなり好ましくないためである。この平均粒径はマイクロトラック法(レーザー解析粒度分布測定方法)により測定されるものである。 なお、平均粒径最も好ましくは50μm〜100μmである。
【0023】
さらに、金属酸化物をコーティングしたガラスフレークの厚みは、0.1μm〜10μmの範囲内としている。この範囲内としているのは、0.1μm未満では光輝性が低下し、10μmより厚いと耐衝撃性が低下することに因る。
なお、この厚みは好ましくは0.1μm〜7μm、最も好ましくは0.1μm〜5μmである。
この金属酸化物をコーティングしたガラスフレークとしては、日本板硝子株式会社製のメタシャインが好適に用いられる。
【0024】
上記金属酸化物をコーティングしたガラスフレークは、装飾ガラスプリプレグのマトリクス樹脂分に対して、0.01重量%以上5.0重量%以下の範囲としている。この範囲とするのは、0.01重量%未満でも、または5.0重量%よりも多くても、装飾の外観、装飾層の厚みの均一性、および装飾層の耐摩耗性の点で本発明の効果が得られないことに因る。
なお、好ましくは0.05重量%以上3.0重量%以下、最も好ましくは0.05重量%以上1.0重量%以下で有る。
【0025】
装飾ガラスプリプレグ以外のプリプレグの積層枚数、巻き回数当は適宜設定可能である。装飾ガラスプリプレグ以外のプリプレグに用いられる強化繊維としては、一般に高性能強化繊維として用いられる繊維が使用できる。例えば、カーボン繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、ガラス繊維、芳香族ポリアミド繊維、芳香族ポリエステル繊維、超高分子ポリエチレン繊維等が挙げられる。また、金属繊維を用いてもよい。これらの強化繊維は、長繊維、短繊維のいずれであってもよく、これらの繊維を2種以上混合して用いても構わない。強化繊維の形状や配列については限定されず、例えば、単一方向、ランダム方向、シート状、マット状、クロス状、組み紐状等のいずれの形状、配列でも使用可能である。
【0026】
上記のように、装飾ガラス層を配置したプリプレグ積層体等からなる繊維強化樹脂成形品の表面にクリア塗装を施し、あるいは、上記表面に製品表示用等のシルク印刷、転写箔、あるいはシールからなる図柄を施した後に、その表面にクリア塗装を施している
上記のようにクリア塗装を施すと、装飾ガラス層の透明性および光性を損なうことなく、装飾保護を図ることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図4は、本発明の第1実施形態に係る繊維強化樹脂にて構成される物品である管状体10を示す。図1に示す管状体10は、図2に示すプリプレグ11〜15の積層体を一体的に成形してなる中空パイプ状である。
【0029】
上記プリプレグ11〜15は、いずれも強化繊維にマトリクス樹脂を含浸させたシート状のものであり、マンドレル(図示せず)に順次巻回し、最外側に巻き付けるプリプレグは装飾ガラスプリプレグ15としている。
本実施形態では、装飾ガラスプリプレグ14より内層(下層)に配置される基体となるプリプレグ11〜14は強化繊維としてカーボン繊維を用い、マトリクス樹脂として熱硬化性のエポキシ樹脂を用いている。
【0030】
図3はプリプレグ積層体の表面全体を覆う最外層の装飾ガラスプリプレグ15であり、強化繊維としてはガラス繊維15aを用い、マトリクス樹脂15bとしては他のプリプレグと同じ熱硬化性のエポキシ樹脂を用いている。エポキシ樹脂中には、金属酸化物である二酸化チタン15cをコーティングしたガラスフレーク15dを、エポキシ樹脂分に対して0.05重量%の配合量で含有されている。この二酸化酸化チタンをコーティングしたガラスフレーク15dは、略円形板形状であり、その平均粒は50μmとし、その厚みは1μmとしている。
【0031】
管状体10は、シートワインディング製法により作製されており、上記プリプレグ11〜15をマンドレルに順次(11→12→…15)巻き付けて積層した後、ポリエチレンテレフタレート樹脂製等のテープでラッピングし、オーブン中で加熱加圧して樹脂を硬化させて一体的に成形し、その後、マンドレルを引き抜いて管状体を形成している。
【0032】
上記成形した管状体10の表面には、図4に示すように、品番等を表示するため、図柄18をシルク印刷し、さらに艶出し、装飾の保護を目的としてウレタン樹脂でクリア塗装19を施している。
【0033】
このように、最外層の装飾ガラスプリプレグ15内のエポキシ樹脂中に金属酸化物をコーティングしたガラスフレークを一定量配合し、他の層のプリプレグ11〜14と一体的に形成した管状体10は、成形させた状態で既に表面に装飾が施されているため、装飾塗装を施す工程が不要となり、生産性を高めることができる。また、装飾層の厚みも均一になり、外観のばらつきが少なくなるうえ、装飾ガラスプリプレグ15のマトリクス樹脂はプリプレグ11〜14と同じエポキシ樹脂であるため、装飾層の密着性が高く、耐磨耗性に優れ、繰り返し使用に対しても剥がれにくい。
【0034】
図5は、本発明の第2実施形態に係る管状体20を示す。
ガラス繊維を強化繊維とし、金属酸化物である二酸化チタンをコーティングしたガラスフレークを配合した装飾ガラスプリプレグとして2枚のプリプレグ25A、25Bを用いている。装飾ガラスプリプレグ25Aはプリプレグ21〜24の積層体の最外層の軸線方向のほぼ中央付近の位置に、装飾ガラスプリプレグ25Bを管状体20の先端側の最外層位置に配置して、積層体の表面を部分的に覆い、管状体20の表面が平滑になるように配置している。
【0035】
さらに、図6に示すように、装飾ガラスプリプレグ35を管状体30の軸線方向中央付近の位置で最外層に配置し、プリプレグ35の内層側に配置した複数のプリプレグ31〜34と一体的に形成してもよい。
【0036】
上記のように、装飾ガラスプリプレグ及びその他のプリプレグの大きさ、形状、厚み等、マンドレルの形状等を適宜設定することにより、種々の形態の管状体を作製することができる。
なお、上記実施形態は、装飾ガラスプリプレグを一周巻きとしているが、複数回巻きとしてもよいし、図7(A)に示すように、装飾ガラスプリプレグ45を半周巻き、あるいは図7(B)に示すように2枚の装飾ガラスプリプレグ45A’、45B’を周方向に断続的に配置し、周方向に部分的に配置し、デザイン性を持たせてもよい。
【0037】
【実施例】
本発明に係る繊維強化樹脂にて構成される物品であるゴルフクラブシャフトの実施例、比較例を下記の表1、表2に示す製法で作成した。かつ、作成した実施例および比較例の装飾層の厚みのばらつき、装飾層の耐摩耗性、外観、光輝性、装飾時間の評価を行った。
【0038】
【表1】
Figure 0004859164
【0039】
【表2】
Figure 0004859164
【0040】
(実施例1〜6)
上記第1実施形態と同様のプリプレグの積層構成としたが、装飾ガラスプリプレグである最外層プリプレグのエポキシ樹脂中に含有する金属酸化物をコーティングしたガラスフレークの重量%を上記表1のように各々変更した。この金属酸化物をコーティングしたガラスフレークとして、日本板硝子株式会社製のメタシャイン(品番:MC1080RS)を使用した。該メタシャインMC1080RSは、厚み1μmのガラスフレークに二酸化チタンをコーティングしたもので、コートの厚みは0.05μmとし、平均粒径は80μm、発色はシルバーである。
上記装飾ガラスプリプレグ層の厚みは20μmとした。また、該装飾ガラスプリプレグ層の表面には、品番等を表示するために図柄をシルク印刷し、さらに艶出し、装飾保護を目的として透明なウレタン樹脂で2回(表1、2中の1st塗装と2nd塗装)のクリア塗装を行った。
【0041】
(比較例1〜3)
カーボン繊維にエポキシ樹脂を含浸させたプリプレグの積層体を加熱硬化させて作製しており、最外層のプリプレグの強化繊維は他のプリプレグと同様にカーボン繊維とし、ガラスフレークを配合せずに一体的に形成した。成形品は黒色であった。成形品の表面に酸化チタンをコーティングしたガラスフレークを含有したウレタン樹脂で1回目の装飾塗装(1st塗装)を行った。このガラスフレークの配合量は表2に示すように各々変更した。ガラスフレークは実施例と同様な、平均粒径80μm、厚さ1μmのメタシャインMC1080RSを用い、0.05μmの厚さのコーテンテイングが施してシルバーに発色されたものを用いた。
さらに、成形後の装飾層の表面には、品番等を表示するために図柄をシルク印刷し、さらに艶出し、装飾保護を目的として透明なウレタン樹脂で2回目のクリア塗装(2nd 塗装)を行った。
【0042】
(比較例4)
最外層プリプレグに、ガラス繊維にエポキシ樹脂を含浸させたプリプレグを用い、このエポキシ樹脂中に光輝性材料としてアルミ粉を含有させた。この最外層プリプレグの発色はシルバーである。
さらに、成形後の表面に、上記各実施例と同様に、品番等を表示するために図柄をシルク印刷し、さらに艶出し、装飾保護を目的として透明なウレタン樹脂で1回クリア塗装を行った。
【0043】
装飾層の厚みのばらつきは、各ゴルフクラブシャフトにつき任意の10点で輪切りにし、断面を観察して装飾層の厚みを測定し、10点中の最大厚みと最小厚みの差(ばらつき)(μm)を求めた。
装飾層の耐摩耗性は、学振磨耗試験機を使用し、三共理化学株式会社製のDOXBタイプの研磨布を用いて磨耗試験を行った。
外観評価および光輝性評価をゴルファー20人による目視評価で行った。
【0044】
上記外観評価および光揮性評価は、以下の基準に基づいて5段階評価した。
評価点5:光輝性有りと判断した人数が17人〜20人
評価点4:光輝性有りと判断した人数が13人〜16人
評価点3:光輝性有りと判断した人数が9人〜12人
評価点2:光輝性有りと判断した人数が5人〜8人
評価点1:光輝性有りと判断した人数が0人〜4人
【0045】
塗装工程に係る時間とは、塗装時間と乾燥時間を合わせた時間で、2層塗装の場合は各塗装工程に係る時間の合算で表示している。
【0046】
表1に示すように、実施例1〜6はいずれも装飾層の厚みにばらつきが少なく、均一性が高いことが確認できた。また、外観、光輝性ともに高い評価であることが確認できた。さらに、装飾ガラスプリプレグを他のプリプレグ層と一体に形成しているため、装飾層の耐摩耗性が高いと共に、装飾のための時間を要せず、加工時間を短縮することができた。
【0047】
一方、表2に示すように、比較例1〜3は、金属酸化物をコーティングしたガラスフレークを含有したウレタン樹脂で装飾塗装を行ったため、塗膜の厚みに大きなばらつきが見られると共に、装飾層が均一でないために外観も実施例に比して劣る結果となった。また、塗膜が剥がれやすく耐摩耗性が低いうえ、2段階塗装を行っているため作製時間が長時間となることも確認できた。
なお、比較例4は、最外層の装飾ガラスプリプレグを内側層のプリプレグと一体形成しているため、装飾層のばらつきが低く、外観評価や耐摩耗性も高いが、光輝性が低い評価となった。
【0048】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明では、ゴルフクラブシャフトからなる物品を構成するプリプレグ積層体の最外層に、金属酸化物をコーティングしたガラスフレークを配合したマトリクス樹脂をガラス繊維に含浸させた装飾ガラスプリプレグ等からなる装飾ガラス層を配置し、他のプリプレグ層等からなる繊維強化樹脂層と一体的に形成している。従って、物品本体の表面に装飾塗装を施す必要がなく、容易、かつ短時間に装飾を施すことができるため、作業性や生産性も高めることができる。
【0049】
また、物品の表面に均一な装飾が可能になるため外観がよくなるうえ、塗膜で装飾層を形成する場合と異なり、装飾層が剥がれにくく、装飾を長期間持続することができる。さらに、部分的な装飾も容易に施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態の管状体を示し、(A)は斜視図、(B)軸線方向の断面図、(C)は径方向の断面図である。
【図2】 管状体本体を構成するプリプレグを示す図である。
【図3】 装飾ガラスプリプレグの拡大断面図である。
【図4】 管状体に模様を付した部分を示し、(A)は一部拡大図、(B)は一部拡大断面図である。
【図5】 本発明の第2実施形態に係る管状体の軸方向の概略断面図である。
【図6】 第2実施形態の変形例の管状体の軸方向の概略断面図である。
【図7】 (A)(B)は他の形態の管状体の周方向の概略断面図である。
【図8】 (A)(B)(C)は、従来の管状体の構成を示す図である。
【符号の説明】
10、20、30 管状体
11〜14、21〜24、31〜34 プリプレグ
15、25(25A、25B)、35、45、45A’、45B’ 装飾ガラスプリプレグ
15a ガラス繊維
15b マトリクス樹脂
15c ガラスフレーク

Claims (2)

  1. 強化繊維にマトリクス樹脂を含浸したプリプレグの積層体からなり、
    上記積層体の最外層のプリプレグは、ガラス繊維の強化繊維と、透明性或いは半透明性を有するマトリクス樹脂と、該マトリクス樹脂中に配合された金属酸化物がコーティングされたガラスフレークとからなり、該ガラスフレークが上記マトリクス樹脂分に対して0.01重量%以上5.0重量%以下の範囲で配合された装飾ガラスプリプレグであり、
    上記最外層の装飾ガラスプリプレグが他のプリプレグと一体化した積層体として成形され、かつ、
    上記装飾ガラスプリプレグの表面にはクリア塗装が施され、あるいは、該装飾ガラスプリプレグの表面にシルク印刷、転写箔、あるいはシールからなる図柄が施されると共にその表面にクリア塗装が施されていることを特徴とするゴルフクラブシャフト。
  2. 上記装飾ガラス層は、上記積層体の外表面の全部あるいは部分的に配置されている請求項1に記載のゴルフクラブシャフト
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