JP4856798B2 - 反射型マスクブランクの製造方法及び反射型マスクの製造方法、並びに半導体装置の製造方法 - Google Patents
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しかしながら、142mm×142mmの領域において50nm以下の平坦性は、基板の研磨技術により、再現良く、かつ低コストで作製するのが難しいため、露光時の位置ずれについて要求値を満たすことは困難であった。
しかしながら、マスクブランクの平坦度変化量データだけに基づいてパターン描画位置を補正したとしても、位置ずれが起こる要因は、マスク表面、裏面の表面形状や平坦度などの表面形態、マスクの基板の板厚ばらつき、及び露光装置のマスクステージの表面形状や平坦度などの表面形態の複雑な表面状態にあるため、特許文献3に開示された方法では、精度の高い補正ができないおそれがある。上述したように、特にEUV光露光用の反射型マスクでは極めて厳しいパターン位置精度が要求されているため、マスクの基板や、マスクの原版となるマスクブランクの表面形状や平坦度などの表面形態情報を正確に取得して、極めて精度の高い補正を行わないと、マスクのフラットネスに起因する半導体基板上でのパターンの位置ずれを防止することはできない。
(構成1)主表面が精密研磨された基板を準備する工程と、前記基板上に少なくとも、露光光を反射する多層反射膜と、露光光を吸収する転写パターン用の吸収体膜とを成膜することにより、反射型マスクブランクを得る工程と、前記基板及び/又は前記反射型マスクブランクの所定領域内における両主表面の基板表面形態情報及び/又はマスクブランク表面形態情報を取得する工程と、前記基板表面形態情報及び/又は前記マスクブランク表面形態情報と、露光装置の前記反射型マスクブランクによって作製される反射型マスクがセットされるマスクステージの該マスクステージ表面形状情報とに基づき、前記反射型マスクブランクを用いて作製される反射型マスクを前記マスクステージにセットした転写パターン形成面の基板表面形態情報及び/又はマスクブランク表面形態情報を得る工程と、を有することを特徴とする反射型マスクブランクの製造方法。
構成2にあるように、前記表面形態情報は、少なくとも表面の平坦度と表面形状のデータを含むことにより、マスクブランクを露光装置のマスクステージにセットしたときにおける転写パターン形成面の複雑な表面状態を高精度に予測することができる。
構成4にあるように、前記表面形態情報は、少なくとも表面の平坦度と表面形状のデータを含むことにより、マスクブランクを露光装置のマスクステージにセットしたときにおけるマスクパターン形成面の複雑な表面状態を高精度に予測することができる。
構成3又は4で得られた反射型マスクを用いて露光装置(パターン転写装置)により半導体基板上にパターン転写する際に、位置ずれ量を補正せずに露光することで、高い位置精度の微細パターンが形成された半導体装置が得られる。
(構成6)基板上に、少なくとも露光光を反射する多層反射膜と、露光光を吸収する転写パターン用の吸収体膜とが形成された反射型マスクブランクから、前記吸収体膜をパターニングすることによって得られた反射型マスクを準備する工程と、前記基板、前記反射型マスクブランク、前記反射型マスクのうちの少なくとも何れか一の両主表面の所定領域内における基板表面形態情報、マスクブランク表面形態情報、マスク表面形態情報の何れかの表面形態情報と、露光装置の反射型マスクがセットされるマスクステージの表面形態情報とに基づき、前記反射型マスクを前記マスクステージにセットした転写パターン形成面のマスク表面形態情報を得る工程と、前記マスクステージにセットする前後の転写パターン形成面のマスク表面形態変化に起因する、被転写基板上のパターン位置ずれ量を算出する工程と、前記転写パターンを露光装置により被転写基板上にパターン転写する際に、前記位置ずれ量を補正して露光する工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
すなわち、図1によれば、本発明に係る反射型マスクブランク及び反射型マスクの製造方法は、基板の準備工程(S1)、成膜工程(マスクブランク作製)(S2)、(露光装置セット前の)表面形態情報取得工程(S3)、露光装置セット時の表面形態情報取得工程(S4)、パターン転写時の位置ずれ量算出工程(S5)、マスクパターン描画工程(S6)、反射型マスクの製造工程(S7)、の各工程からなる。
以下、図3を適宜参照しながら、各工程を順を追って説明する。
基板1(図3(a)参照)としては、低熱膨張係数を有し、平滑性、平坦度、およびマスクの洗浄等に用いる洗浄液への耐性に優れたものが好ましく、低熱膨張係数を有するガラス、例えばSiO2−TiO2系ガラス等を用いるが、これに限定されず、β石英固溶体を析出した結晶化ガラスや石英ガラスやシリコンや金属などの基板を用いることも出来る。金属基板の例としては、インバー合金(Fe−Ni系合金)等を用いることができる。基板1は0.2nmRms以下の平滑な表面と100nm以下の平坦度を有していることが高反射率および転写精度を得るために好ましい。
また、本発明に記載する平坦度とはTIR(Total Indicated Reading)で表される表面の反り(変形量)を表す値で、次のように定義される。すなわち、図2において基板表面41を基に最小自乗法で定められる平面を焦平面42とし、次にこの焦平面42を基準として焦平面42より上にある基板表面41の最も高い位置Aと、焦平面42より下にある基板表面41のもっとも低い位置Bとの間にある高低差の絶対値を平坦度と定義した。故に平坦度は常に正の数となる。なお、本発明においては142×142mmのエリア内の測定値をもって平坦度とする。例えば、6インチ基板の中心における142×142mmのエリア内の測定値である。
基板1上に、露光光を反射する多層反射膜2、主にエッチングストッパーの機能を有する中間層3、及び露光光を吸収する吸収体層4を順次成膜して、反射型マスクブランク10(図3(a)参照)を作製する。
この工程により、多層反射膜付き基板が得られる。
吸収体層4の材料としてTaB化合物薄膜を用いる例では、DCマグネトロンスパッタ法により、まずTaBターゲットを用いて、Arガス雰囲気下でTaB膜を成膜し、引き続き、Arと酸素ガスの雰囲気で、TaBO膜を成膜することが好ましい。
以上の工程により、反射型マスクブランク10が得られる。
次に、上記で得られた反射型マスクブランク10の両主表面の所定領域内における表面形態情報を取得する。主表面の表面形態情報を取得する手段としては、光の干渉を利用する平坦度測定装置(図示せず)などを用いて得ることができる。このような平坦度測定装置を用いて、マスクブランクの主表面における複数の測定点(精度を上げるためになるべく多くすることが望ましい。例えば大きさが152mm×152mmの基板の場合、測定点は少なくとも256×256ポイントとする。)における基準面(最小二乗法により算出される焦平面であり、図2の焦平面42である。)からの高さ情報を主表面の表面形状情報として取得することができる。また、取得した高さ情報から前述の図2に示す定義による主表面の平坦度の値を得ることができる。さらに、これらの両主表面の表面形態情報により、マスクブランクの厚みばらつき(TTV:Total ThicknessValuation)を取得でき、このマスクブランクの厚みばらつきの表面形態情報を用いて次工程(S4)の露光装置セット時の表面形態情報を取得することもできる。マスクブランクの表裏両主表面の表面形態情報としては、少なくとも、以上のような高さ情報(表面形状情報)と平坦度の値を含むことが好ましい。
次に、上記(3)の工程によって取得した反射型マスクブランク10の表裏の両主表面の所定領域内における表面形態情報と、露光装置内のマスクステージの表面形態情報とに基づき、上記マスクブランク10を用いて作製される反射型マスクを上記マスクステージに真空チャックによりセットしたときにおけるマスクブランク10の転写パターン形成面の表面形態情報を取得する。この上記マスクブランク10を用いて作製される反射型マスクが上記マスクステージに真空チャックによりセットしたときにおける転写パターン形成面の表面形態情報は、反射型マスクブランク10の表裏の両主表面の所定領域内における表面形態情報と、露光装置内のマスクステージの表面形状情報とに基づき、シミュレーションして得ることができる。シミュレーションの方法としては、反射型マスクブランク10の表裏の両主表面の所定領域内における表面形態情報(具体的には、表裏の両主表面の表面形態情報により算出したマスクブランクの厚みばらつきの情報)と、露光装置内のマスクステージの表面形状情報とを用いて、反射型マスクの裏面が真空チャック面にならってセットされたものとし、真空チャック面を基準面としたときのマスクブランクの厚みばらつきから、転写パターン形成面の表面形態情報を得ることができる。
次に、上記(4)の工程によって得られた前記転写パターン形成面の表面形態情報に基づき、露光装置により被転写基板である半導体基板上にパターン転写する際の前記転写パターン形成面の表面形態に起因する位置ずれ量を算出する。露光装置により半導体基板上にパターン転写する際の転写パターン形成面の表面形態に起因する位置ずれ量は前述の図5に示すような関係にあるため、上記(4)の工程によって得られた転写パターン形成面の表面形態情報を用いて、半導体基板上にパターン転写する際の転写パターン形成面の表面形態に起因する位置ずれ量を算出することができる。尚、この位置ずれ量の算出の際は、露光装置にセットする前の転写パターン形成面の表面形態情報と、露光装置セット時の転写パターン形成面の表面形態情報とから得られる表面形態変化を図5におけるdとすることができる。
(a)レジスト塗布工程。得られた反射型マスクブランク10の吸収体層4をパターニングして転写パターンを形成することにより反射型マスクを製造することができる。まず、得られた反射型マスクブランク10上に例えば電子線描画用レジストを塗布しベーキングを行う。
(b)描画工程。上記レジストを塗布した反射型マスクブランクにEB描画機を用いてパターン描画を行う。本発明では、このパターン描画工程において、上記(5)の工程によって算出された位置ずれ量を補正しながら転写パターンを描画する。描画後、レジストを現像して、レジストパターン5a(図3(b)参照)を形成する。
次に、上記レジストパターン5aをマスクとして、吸収体層4を例えばドライエッチングし、吸収体層パターン4aを形成する(図3(b)参照)。そして、吸収体層パターン4a上に残存するレジストパターンを例えば熱濃硫酸で除去する(図3(c)参照)。さらに、下層の中間層3は、吸収体層パターン4aに沿って例えばドライエッチングにより除去する。この工程により、反射型マスク20が得られる(図3(d)参照)。
以上の実施の形態では、マスクブランクの吸収体膜をパターニングするための転写パターンを描画する工程において、算出した位置ずれ量を補正して転写パターンを描画する場合を説明したが、その代わりに、得られた反射型マスク(描画時に位置ずれ量の補正は行わずに)を用いて露光装置(パターン転写装置)により半導体基板上にパターン転写する際に上記位置ずれ量を補正して露光するようにしてもよい。
(実施例1)
基板1として、外径6インチ角、厚さが6.35mmである低膨張のSiO2−TiO2系のガラス基板を用いた。また、基板1は、機械研磨により、0.2nmRms以下の平滑な表面と40nmの平坦度(132mm×132mm領域)とした。
以上のようにして反射型マスクブランクを得た。
次に、この得られた転写パターン形成面の表面形態情報に基づき、半導体基板上にパターン転写する際の転写パターン形成面の表面形態に起因する位置ずれ量を算出した。
まず、上記反射型マスクブランク上にEBレジストを塗布、乾燥し、EBレジスト膜を形成した。
次に、転写パターンを描画する工程において上記で得られた位置ずれ量を補正して転写パターンを描画した。描画後、現像により、レジストパターンを形成した。
次に、このレジストパターンをマスクとして、TaBOとTaBの積層からなる吸収体層4を、塩素を用いてドライエッチングし、吸収体層パターンを形成した。その後、吸収体層パターン上に残存するレジストパターンを除去し、下地のCrN膜より構成される中間層3は、上記吸収体層パターンをマスクとして、塩素と酸素の混合ガスを用いたエッチングで除去し、反射型マスクを作製した。
このようにして本実施例で得られた反射型マスクを用いて、半導体基板上へのパターン転写を行った結果、高い位置精度で微細パターンが形成できることを確認した。
実施例1における、マスクブランクの吸収体膜をパターニングするための転写パターンを描画する工程において、算出した位置ずれ量を補正して転写パターンを描画する代わりに、本実施例では、得られた反射型マスクを用いて露光装置(パターン転写装置)により半導体基板上にパターン転写する際に上記位置ずれ量を補正して露光した点が実施例1とは異なる。
作製した反射型マスクを用いて、図4に示す露光装置(パターン転写装置)により、反射型マスクの表面形態情報(フラットネス:平坦性)をモニターし、フラットネスエラーをマスクステージのアクティブな制御により小さくし、半導体基板上でパターンの位置ずれがないように露光し、半導体基板上へのパターン転写を行なった。本実施例においても、半導体基板上へのパターン転写を行った結果、高い位置精度で微細パターンが形成できることを確認した。
2 多層反射膜
3 中間層
4 吸収体層
10 反射型マスクブランク
20 反射型マスク
50 露光装置(パターン転写装置)
Claims (6)
- 主表面が精密研磨された基板を準備する工程と、
前記基板上に少なくとも、露光光を反射する多層反射膜と、露光光を吸収する転写パターン用の吸収体膜とを成膜することにより、反射型マスクブランクを得る工程と、
前記基板及び/又は前記反射型マスクブランクの所定領域内における両主表面の基板表面形態情報及び/又はマスクブランク表面形態情報を取得する工程と、
前記基板表面形態情報及び/又は前記マスクブランク表面形態情報と、露光装置の前記反射型マスクブランクによって作製される反射型マスクがセットされるマスクステージの該マスクステージ表面形状情報とに基づき、前記反射型マスクブランクを用いて作製される反射型マスクを前記マスクステージにセットした転写パターン形成面の基板表面形態情報及び/又はマスクブランク表面形態情報を得る工程と、
を有することを特徴とする反射型マスクブランクの製造方法。 - 前記表面形態情報は、少なくとも表面の平坦度と表面形状のデータを含むことを特徴とする請求項1に記載の反射型マスクブランクの製造方法。
- 主表面が精密研磨された基板を準備する工程と、
前記基板上に少なくとも、露光光を反射する多層反射膜と、露光光を吸収する転写パターン用の吸収体膜とを有する反射型マスクブランクを準備する工程と、
前記基板及び/又は前記反射型マスクブランクの両主表面の所定領域内における基板表面形態情報及び/又はマスクブランク表面形態情報を準備し、該基板表面形態情報及び/又はマスクブランク表面形態情報と、露光装置の前記反射型マスクブランクによって作製される反射型マスクがセットされるマスクステージの該マスクステージ表面形態情報とに基づき、前記反射型マスクブランクを用いて作製される反射型マスクを前記マスクステージにセットした転写パターン形成面の基板表面形態情報及び/又はマスクブランク表面形態情報を準備する工程と、
前記マスクステージにセットする前後の転写パターン形成面の前記基板表面形態情報及び/又は前記マスクブランク表面形態変化に起因する、被転写基板上のパターン位置ずれ量を算出する工程と、
前記位置ずれ量の算出結果に基づいて、該位置ずれ量を補正するべく前記反射型マスクブランク上に描画されるパターンの位置補正データを準備する工程と、
前記反射型マスクブランクの吸収体膜をパターニングするための転写パターンを描画する工程であって、前記位置補正データに従って転写パターンを描画する工程と、を有することを特徴とする反射型マスクの製造方法。 - 前記表面形態情報は、少なくとも表面の平坦度と表面形状のデータを含むことを特徴とする請求項3に記載の反射型マスクの製造方法。
- 請求項3又は4に記載の反射型マスクの製造方法によって得られた反射型マスクを準備する工程と、
前記反射型マスクにおける前記転写パターンを露光装置により被転写基板上にパターン転写する工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 基板上に、少なくとも露光光を反射する多層反射膜と、露光光を吸収する転写パターン用の吸収体膜とが形成された反射型マスクブランクから、前記吸収体膜をパターニングすることによって得られた反射型マスクを準備する工程と、
前記基板、前記反射型マスクブランク、前記反射型マスクのうちの少なくとも何れか一の両主表面の所定領域内における基板表面形態情報、マスクブランク表面形態情報、マスク表面形態情報の何れかの表面形態情報と、露光装置の反射型マスクがセットされるマスクステージの表面形態情報とに基づき、前記反射型マスクを前記マスクステージにセットした転写パターン形成面のマスク表面形態情報を得る工程と、
前記マスクステージにセットする前後の転写パターン形成面のマスク表面形態変化に起因する、被転写基板上のパターン位置ずれ量を算出する工程と、
前記転写パターンを露光装置により被転写基板上にパターン転写する際に、前記位置ずれ量を補正して露光する工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
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